競争的研究費改革に関する検討会(第6回) 議事録

1.日時

平成27年5月22日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省東館15階 15F特別会議室

3.議題

  1. 間接経費の充実について
  2. 研究人材の育成について
  3. 研究施設・設備の共用促進について
  4. その他

4.出席者

委員

濵口主査、大垣主査代理、有信委員、井関委員、上山委員、甲斐委員、小安委員、佐藤委員、角南委員、竹山委員、知野委員、橋本委員、藤巻委員

文部科学省

常磐研究振興局長、安藤大臣官房審議官(研究振興局担当)、義本大臣官房審議官(高等教育局担当)、岸本科学技術・学術政策局次長、村田科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官、松尾振興企画課長、豊岡高等教育局国立大学法人支援課長、坂本科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課長、行松基礎研究振興課長、鈴木学術研究助成課長、瀬戸学術機関課学術研究調整官、中野振興企画課学術企画室長、髙山振興企画課競争的資金調整室長、岩渕基礎研究振興課基礎研究推進室長、前澤学術研究助成課企画室長

オブザーバー

東京大学大学院理学系研究科菅教授、北海道大学理学部網塚教授、奈良科学技術・学術政策研究所所長

5.議事録

【濵口主査】
 それでは、お時間ですので、競争的研究費改革に関する検討会を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中御出席いただきましてありがとうございます。
 それでは最初に、事務局から配付資料の確認をお願いしたいと思います。

【松尾振興企画課長】
 議事次第に沿いまして、確認をさせていただければと思います。配付資料のところに書いてございますが、資料1から資料6まで、横型と縦型のものが混在しておりますけれども、資料1、2が横型、資料3が縦、4が横、5、6が縦型のものがございます。それから、参考資料として1から5までございますが、これもA4で基本的に縦ですね。参考資料1、2。3が1枚紙でございまして、ちょっと紛れやすいですけれども、参考資料3、4、5。それから、最後の参考資料5も1枚紙ですが、配付させていただいております。
 不足ございましたら、事務局にお申し付けいただければと思います。以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。本日は、これまで議論を重ねてきました間接経費の充実に関してさらに議論を深めるとともに、残された論点であります人材育成と施設・設備の共用、この2点に関する議論を行うこととしております。
 では、議題1の間接経費の充実についてにまず入りたいと思います。これに関連して、文部科学省と北海道大学から御発表をいただくことになっております。間接経費の必要性が向上している背景として、産学連携の本格化などが挙げられておりますが、現在科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会において、産学連携を巡る課題等について検討が行われていると聞いております。このため、まずは文部科学省産業連携・地域支援課の坂本課長から、現在の検討状況について御発表をいただくことといたします。また続いて、北海道大学理学部の網塚教授から、設備・機器の共用の事例として、北大におけるオープンファシリティの取組をお話しいただきます。その後、事務局から改めて整理した資料について説明いただいた上で、まとめて質疑応答と議論を行いたいと思います。
 まずは、坂本課長から、恐縮ですが5分程度でよろしくお願いします。

【坂本産業連携・地域支援課長】
 ありがとうございます。産業連携・地域支援課長の坂本でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元に、産業・連携地域支援部会における検討についてという資料があると思いますが、そちらで御説明をさせていただこうと思います。1枚おめくりいただければと思います。この当課が担当しております産業連携・地域支援部会の検討事項を書いておりますけれども、この部会、こちらにもいらっしゃいます有信先生に部会長をお願いしておりますけれども、大学等の知的生産集団がイノベーション・エコシステムの核になるために、マネジメント機能を抜本的に強化していくと。これは今、当課の最大の重要事項に位置付けております。
 そのための取組の方向性を今、この部会の中で検討していただいているわけですけれども、その検討の場といいますのは、3つ委員会がございます。2番目の競争力強化に向けた大学知的資産マネジメント検討委員会は、知的資産、要は大学の優れた人材、あるいはインフラ等の物、それから資金といったものを有機的に結合させ、産業界及び大学双方にとっての価値の創造にどう結び付けていくかという、マネジメントのあり方を議論していただいているところでございます。
 もう一つは、その下にございます産学官連携リスクマネジメント検討委員会でございますけれども、こちらは産業界と大学との間がどんどん近くなってまいりますと、利益相反の問題、あるいは商業機密をどう扱うか、あるいは機微情報をどう扱うかといったところが大きな問題になりますので、そういった点を包括的に御議論いただいているというところでございます。
 特に2つ目の知的資産マネジメント検討委員会が間接経費の関係では重要でございますので、それの内容を簡単に御説明させていただきます。競争力強化に向けた大学知的資産マネジメント検討委員会における検討のポイントというペーパーを御覧いただければと思います。この委員会で検討されるポイントについてまとめておりまして、大きく4つ論点がございます。
 1つ目は、研究経営システム全体に関する論点ということで、エビデンスに基づく研究経営の在り方についてです。この中で、特に民間との協力、共同研究を進める際に、やはり間接経費が問題になります。民間との間で、間接経費の必要性そのものについての認識が薄いということは、我々も大学の産学連携の部局から、あるいは産業界からも聞いております。産業界への必要性の認識というのは、もとの理由を考えますと、そもそも間接経費がどういうものに使われるのかという透明性の欠如に問題があるというところも聞こえてきております。そういったところについてどうするかということを、こちらの委員会の方でも議論をするということは想定されております。そのほか、マネジメントを担う人材。その中で、外部人材を登用する在り方等々、人材の問題も議論するということがございます。
 2つ目でございますけれども、研究開発投資の財源については、今後ますます多様化していきます。運営費交付金、競争的資金もあるわけでございますけれども、さらに民間との共同研究をどんどんこれから導入して、大学も成長していっていただきたいと考えております。そういった財源の多様化に対応して、マネジメント機能はどうあるべきか、どう進化するべきかというところも、検討の対象になっているところでございます。
 3つ目、左下になりますけれども、知的財産等の資産の取扱いに関する論点です。知財を巡っては、産学連携で様々な議論があるわけでございますが、今後企業のオープンイノベーションの流れの中に大学がきちっと組み込まれるために、例えば知財についてはロイヤリティを稼ぐ。その機能もないわけではないということですけれども、それよりもその価値というのは、どうしてもロイヤリティは非常に限られていると。一方で、知財の維持のコストというのは非常に大きなものがあります。そうすると、これをコストセンターとして、重荷として感じるだけではなくて、別の形で産業界とパートナーシップたらせる。要は、共同研究を拡張していくツールとするとか、そういった活用の仕方というのを考えるべきではないかという議論も出ているところでございます。
 最後4.研究人材に関する論点でございますが、産学のパートナーシップを拡張するこのコアは、いかに人材の流動性を高めるかということ、これも我々、非常に重要視しております。産学共同研究の中で、いかに産学双方の人材、これは学生も含めてでございますが、どう巻き込んでいくかというところも、その在り方を議論するということが想定されております。私からの説明は以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございました。
 それでは続いて、網塚教授からお願いします。大変恐縮ですが、10分程度でお願いしたいと思います。

【網塚教授】
 それでは、北大のオープンファシリティの取組について御紹介いたします。資料2を御覧ください。本日、研究担当理事の川端が急用のために、川端のもとで総長補佐を務めております網塚より御説明させていただきます。
 まず、1枚めくっていただきまして、ここにはなぜ本学がオープンファシリティを整備してきたかという経緯を簡単に紹介しております。ご存知のように大学には、多くの研究用設備があります。数百万円から数億円のオーダーのものまで様々です。その減価償却費、すみません、漢字が間違っておりますが、減るという字が正しいですけれども、減価償却費が毎年二、三十億円の規模で生じております。これは当然認められておりませんので、設備更新の費用というのは、やはり耐用年数がきましたら概算要求、あるいは補正予算に頼るということを続けております。しかしながら、年々設備の更新費用の確保が厳しくなってきまして、大学としては、研究設備への投資計画が非常に立てにくいという状況になってきています。
 この設備投資のマネジメントの自由度が、極めて大学、あるいは総長に少ないということが、大学の設備に関する本質的な問題ですけれども、これは今すぐ改革できるというものではありません。そこで現状の枠の中で、大学がまず努力すべきこととしまして、設備の共用化、それから集約化を図りまして、無駄を省いて現有設備を最大限に活用する、そういうシステム作りを行ってきております。それがオープンファシリティであります。ただし、このオープンファシリティを運用するためには、やはり持続的な資金が必要であるということになっております。
 次のシートでは、右上の方が国の共用促進に関する政策をまとめてありまして、左下の方が、本学が国の政策に沿って共用促進をどのように進めてきたかということをあらわしております。北大のオープンファシリティは、平成17年度4月に設立いたしまして、ちょうど昨年度末で10年の節目を迎えておりまして、11年目に入ったところであります。この間、右の上の方にありますけれども、先端研究施設共用促進事業、設備サポートセンター整備事業、そして先端研究基盤共用プラットフォーム形成事業といった国家的な事業の支援をいただきまして、設備を拡充してまいりました。今年度平成27年度からは、特別経費を措置していただきまして、この運営組織をグローバルファシリティセンターという新組織に改組して、本学の機能強化にさらに役立てていくということを進めているところであります。
 めくっていただきまして3ページ目は、オープンファシリティシステムの概要を模式的にあらわしております。要するに、オープンファシリティシステムといいますのは、大学にある共用性の高い先端設備を、学内、学外でシェアするための便宜を図るという、ワンストップの窓口といっていいと思います。予算や料金収受、あるいはユーザートレーニングといったことを行います。10年前に北大の3つの施設で、装置50台からスタートしまして、現在は120台程度の装置を持つという形に発展しております。
 続きまして4ページ目に、オープンファシリティの利用実績を簡単にまとめております。左側のグラフを見ていただけますとお分かりいただけますが、装置はこの10年間に約2倍に増えておりまして、これに伴って、年間の延べ利用者数が、平成25年度末に2万人を超えて2万1,000人で、26年度末に2万4,000人になっていますので、この増加傾向は続いているという状況です。緑のグラフの緑の部分が学外利用の割合ですけれども、割合は5%程度と少ないですけれども、右側にありますように、利用者数は1,000人を超えておりまして、徐々に増えているというところです。そのほか道内、それから全国の技術者間の連携等を図るなどいたしまして、総じて北海道大学の研究教育を支える重要な基盤組織あるいは基盤機能に成長しております。これがないと、これがストップすると、多くの研究者の方が困るというふうに言ってもよろしいかと思います。
 めくっていただきまして5ページ目は、オープンファシリティのコンセプト、ポリシーを示しています。第1のコンセプトは、要するに高いお金を出して購入した装置を遊ばせておかないで、使いたい人に使っていただいて、1つの装置からできるだけ多くの成果を生み出す、そういうものであります。
 その次、6ページ目、第2のコンセプトですけれども、装置を共用しますと、ユーザーは使用料を払うだけで、自分で装置を買う必要はなくなります。その分の予算をほかの費目に振り分けることができますので、結果的に研究費を有効に使うということができます。これは特にまだ大きな予算をとってくることができていない若手研究者の方に、効果的な仕組みになっています。
 めくっていただきまして7ページ目には、オープンファシリティの特徴をまとめております。1つの装置を多種多様なユーザーが使うということには、資格を認定するとか、安全対策をする等、様々な工夫が必要になってきまして、10年かけて、このノウハウを培ってきたということであります。装置を共用化することによって、結局使いにくくなってしまってはいけないので、利便性の向上に腐心しているというところであります。一番下に書いてあります予約管理システムは、今はスマートフォンのページも用意していまして、スマホからも予約等状況が見られるという形にしております。
 次のシートには利用手続の流れを書いておりますけれども、初めて利用を希望する方が、目的に見合った結果が得られるかどうか、これを事前によく打ち合わせをするとか、あるいは装置を利用する際には十分なトレーニング期間を設けるといったようなきめ細かなユーザー支援が必要で、それを充実させてまいりました。
 めくっていただきまして9ページ目、これが現在のオープンファシリティの管理体制であります。共用機器管理センターという組織になっておりますが、中に委託分析部門と共用機器部門の2つの部門がございます。委託分析部門は、資料をこちらでもらってプロが分析するという部署でありまして、共用機器部門が、ユーザー自身が装置を使ってデータを出すという部署になっております。常勤職員5名と非常勤職員約10名といった規模の組織で運営しております。それで総長のガバナンスを強めるということで、センター長に総長補佐の、現在は私ですけれども、総長補佐がつくという形で、昨年度から組織を運営しております。この組織が今年度、グローバルファシリティセンターに改組するということとなっております。
 次、10ページ目は、装置の共用化による効果の例を挙げております。北大の共用機器の目玉の装置の1つに同位体顕微鏡というのがありまして、これは物質中の同位体の空間分布をナノスケールで可視化するという、世界で北大にしかない装置であります。この装置を共用化したところ、様々な分野の方が利用しにきていただきました。その表にありますように、生命科学、環境エネルギー、ナノ材料等々いろいろな分野の方が利用され、シンポジウム等を開催することによりまして、異分野・異業種の方々のユニークな交流の場を作るということができております。この装置に象徴されますように、機器共用の持つ性格を生かしまして、現在、複数の既存の分野、それから研究者の方々、あるいは組織に横串を刺す、そういう活動を戦略的に進めております。
 その下にメリットが幾つか書いておりますけれども、情報の一元化ですとか、教育へも還元できるとか、あるいはイノベーション創出環境を積極的に作っていくことができるといったように、10年オープンファシリティをやってきまして、いろいろな付加価値があるということを見出しております。
 めくっていただきまして、次のページも同位体顕微鏡の活用例を書いております。詳細は省きますけれども、はやぶさの微粒子を分析した装置としても有名ですけれども、もともとは鉱石とか隕石を分析するための装置だったんですが、共用利用を始めましたところ、予想を超えて異分野の方々の利用希望がありました。バイオ、ナノ関係の企業との産学連携も活発に進められております。
 次のシートも、同位体顕微鏡の実績をあらわしたものですけれども、下のグラフのピンクのところを見ていただきますと、ライフサイエンスの分野の利用が伸びているということが分かります。繰り返しになりますけれども、これは共用促進をする前は、こういうことは予想していなかったというものでありまして、要するに先端的で、なおかつ共用性のあるオリジナルの装置がありますと、産学連携、異分野融合等も大いに進むという1つの事例になっております。また、所有者自身が気付かない使い方が、共用化することによって発見できるということがあります。
 最後13ページになりますけれども、ここにはオープンファシリティを運営するに当たりまして、様々な課題が挙げられています。下の方に書いておりますけれども、昨年度末に設備サポートセンター整備事業の採択校10校が札幌に集まりまして、第1回のシンポジウムを開催いたしました。ここに挙げております課題は、その際にまとめました、全ての大学に共通する課題であります。技術人材の不足であるとか、利用料金設定、システムを整理したいとか、研究機関及び地域における連携の増進が必要であるとか、いろいろな課題が出されましたけれども、中でも一番切実でありましたのは、4番目に書かれております、修理やアップグレード、それから設備更新のための費用の確保が困難であるということです。オープンファシリティは利用料を徴収しますので、この利用料の収入でメンテナンス費用の一部は持てますけれども、冒頭でお話ししましたように、機器の更新費用、つまり減価償却分までをユーザーの負担に強いるということは、現状では不可能です。ですので、結局日々の運用のための費用を確保するというのが精一杯でありまして、このオープンファシリティシステムを設備の更新まで含めて自立するということは、全く次元の違う話になっています。
 北海道大学は、総長ガバナンスのもとでこれを進めておりまして、ほかの大学の方からも、優遇されているというような声もお聞きしておりますが、老朽化した装置をどうやって更新させて、この機器共用を持続的に発展させていくかということを考えましたときには、現在の総長マネジメントの予算の規模、これは北大の場合は大学の全予算の2%程度ですけれども、これではなかなか設備の有効的な投資の計画を立案するのは非常に難しいという状況になっております。私からの説明は以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございました。それでは、続いて事務局から、資料3の説明をお願いします。

【松尾振興企画課長】
 資料3につきまして御説明を申し上げます。一番上に書いてございますとおり、これまでの検討会の御議論を踏まえて、第4回、前々回の検討会の資料1をベースに加筆修正をしているという位置付けのものでございます。
 1.は前回のとおりでございますので基本的に飛ばさせていただきますが、裏返していただきまして2ページ目の一番下に、またいつもの図をくっつけてございますが、最後までこの定義がいくかどうかは別として、競争的資金の包含するものとして、その外に競争的研究費なる概念があって、文中に競争的資金でありますとか、競争的資金でない競争的研究費でございますとか、そういう言葉が出てきますので、そのときにはこの図を思い出していただければなと思います。
 中身つきましては3ページ目からでございますが、2.間接経費の必要性が向上ということで整理をさせていただきました。1に書いてございますのが状況変化なんですが、イノベーションにつきましては、将来何が新たな価値につながるかの予測が一層困難なものとなっているということなので、古典的なリニアモデルではなくてスパイラル的に研究開発が進展していく状況が生まれているという状況認識であります。「また」ということなんですが、そのためには多様な人材が結集したチームとしての対応が極めて重要になっているということと、それから民間の対応におきましては、よく言われていますが、オープンイノベーションというのがキーワードになっているということです。そしてさらにということで、イノベーションにおいては、幅広い分野の連携・融合というものがキーとして重要だということもあります。
 2ですが、こういう状況の中で、研究というものが社会における役割を果たしていくためには、研究者の個々の取組に加えて、「特に以下の観点での」としておりますが、研究機関による組織的な取組というものが必須になっているのではないかという問題意識であります。それをa)からd)の4つに整理をさせていただきました。
 1つ目が、融合性、国際性などの「現代的要請」ということで、学術分科会から御指摘いただいたことをもう1回引用させていただいておりますけれども、こういった趣旨というものをそれぞれの競争的研究費の性格に応じながら、全ての経費で促進される必要があるのではないかということであります。
 2つ目、「このためには」ということで、研究機関が組織の枠を超えた共同研究等を組織的に支援することが重要になっているのではないか。中でも、国際共同研究は前回も議論がありましたけれども、大変なリソースがかかるので、特に組織的な取組が求められるであろうと。先ほどもお話がございましたが、具体的な対応の1つとして、設備・機器の共有というのは極めて重要な取組ではないかということであります。
 4ページ目にまいりまして、2つ目のまとまりが産学連携の本格化の観点であります。坂本課長からもお話がございましたとおり、産業連携・地域支援部会において具体的な検討が、今開始をされているということであります。2つ目の白丸、このような状況の中で、やはり施設・設備の共用と。産学連携における共用ということについても、本格的な産学連携の拠点を形成していく上では極めて大事なのではないかというふうに考えております。このような本格的な産学連携を促進していくためには、産業界からの研究資金が大学等に投入をされて、研究活動の幅が広げられていく、広がっていくということとあわせまして、その研究を進めていく上で不可欠な人的・物的な研究基盤を整備することが不可欠であって、この2つが並行して行われていくべきであろうということであります。したがって、競争的研究費改革の面から、産業連携の本格化を後押ししていく必要があるのではないかということであります。
 c)、3つ目でございますが、研究基盤の持続性確保の観点ということであります。1つ目の丸、従来からの競争的研究費においては、例えば技術支援者の雇用でございますとか設備・機器の管理でございますとか、ICT環境だとか、論文データベースといった基盤インフラの整備などにつきまして、持続性が確保できないというようなことが繰り返されてきたということであります。2つ目の白丸ですが、外部研究費の受け入れというものは大変重要なものではあるんですけれども、その際に、研究基盤には運営の継続性が求められていることを考慮に入れる必要があって、したがって持続的な研究基盤を確保するために、間接経費の概念の中でそういった持続的な研究基盤の確保ということを明確化することが不可欠ではないかということであります。これは広く府省庁や産業界全体から見たときに、研究活動の成果を持続的に活用できるようになるということになるのではないかと考えます。
 5ページ目でございますが、このようにこれら研究基盤につきましては、個別の競争的研究費ごとに措置するということではなくて、同時に複数の競争的研究費とか、組織を超えて措置する方が効果的・効率的であろうということと、それから、中長期的に見て、組織全体として持続的に発展させていくことが適切だろうということから、こういったことを競争的研究費改革の面から後押ししていく必要があるのではないかということであります。
 4つ目の視点がその他ということで、2つ書いておりますが、教員の研究時間の確保ということですが、1つ目の丸のところに書いてございますとおり、研究者からの御意見によりますと、大学運営業務・学内事務手続の効率化でありますとか、教育専任教員の確保といった面が希望されているわけなんですが、そういったことについて後押しをしていくことが必要なのではないか。それから、若手研究者育成の観点ということから、テニュアトラック制とか、同じような趣旨の人事システムを原則導入していくべきである。総合政策特別委員会で指摘があるわけなんですが、そういったことをこの競争的研究費改革の面から後押しをしていく必要があろうということであります。
 以上a)からd)、4つに整理をさせていただいたような組織的取組というものを、この研究費改革の面から投資をしていくべく、間接経費を適切に措置することが求められると思うのですが、その際、間接経費には以下の面でも利点があることに留意をするべきであろうと、頭に入れるべきであろうということで、幾つか黒ポツで整理をさせていただきました。
 1つ目が、間接経費というのは研究機関に配分をされて、その性格上、研究機関がそれぞれの特徴に応じた独自の取組を行うことを容易にするという観点が1つあるのだろうと。それから、次のページにまいりまして2つ目の黒ポツで、いわゆる基盤的経費との一体的な活用が容易であることから、現場において一体的に活用することで、大学改革の取組の一層の推進にも資するということが挙げられるのではないか。それから3つ目、競争的研究費を獲得した研究機関が、より多く間接経費を獲得していくということになりますので、研究機関の取組に競争性ある好循環を生じさせることができるのではないか。それから、「また」ということで、それによって所属研究者が質の高い研究環境を持続的に得ていくことができるようになるというふうに考えられますので、研究機関と所属研究者との協働の面でも好循環を生じさせることができるのではないかということであります。「なお」ということで最後書いてありますが、間接経費の必要性やその性質としての利点というのを改めて今までのように整理をしてみますと、今こそそもそもの間接経費のあるべき姿といいますか、位置付けというものを追求していくということは、自然な今の延長戦上として必要なことであろうということを書かせていただいております。
 3.が具体的な措置の在り方でありますが、1に書いてありますとおり、このような間接経費の必要性の増大に鑑みますと、文科省における競争的資金を含みます全ての競争的研究費について30%の間接経費を措置することを原則とすることが適切と考えられる。他省庁や民間からの資金につきましても、CSTIのイニシアティブにより措置を働きかけていくことを期待したいと思いますけれども、ただその際、先ほど坂本課長からお話ございましたけれども、産学連携の本格化に向けた別途の検討と連携いたしまして、産学連携に必要な間接経費、間接的な業務に係る経費につきましては、大学に対してその説明を私どもとしても求めていかなければならないと思いますし、その根拠についてさらに詳細な調査を行っていくことが、あわせて必要なのかなと思っております。
 3、競争的研究費以外の競争的経費、システム改革経費などが当たるわけなんですが、これについては前々回申し上げましたけれども、別途検討が必要であろうと。
 それから4、30%の措置の仕方の検討に当たっては、これも前々回に申し上げましたけれども、諸外国との状況を比較しても、一定の枠内のやりくりではなくて、研究開発投資の総額自体を伸ばす発想が不可欠であるということを踏まえる必要があると考えますので、28年度以降の具体的な措置につきましては、既存で採択された分も含めて、全ての競争的研究費について外付けで30%を措置するというやり方から、28年度以降の新規採択分に対して外付けで措置をしていくと。28年度の新規採択からちゃんと措置をしていって、プログラムの平均サイクルが五、六年ということを考えますと、その五、六年程度かけて段階的に措置をしていくというやり方まで考えられると思いますけれども、これは特に行政的な観点から検討を深めていくべきではないかということであります。
 以下、第4回検討会資料の再掲でございますので、飛ばしながら最後、ポイントだけ申し上げますと、5が、間接経費の使用に関しては、大学等の研究機関の透明性ということ、説明責任ということが重要ですので、黒ポツに書いてあるとおり、間接経費の使用方針や使用実績についてホームページ上で公開していくということが必須であろうということと、6で「なお」ということで、その際、間接経費だけではなくて、大学全体の経営について公開されて、透明性をもって説明されていくことがより望ましいので、取組例に書いてあるようなことを含めて、大学全体としての戦略というのをあわせて公開していただくことが望ましいのかなということが、繰り返しですけれども、最後まとめて書かせていただいております。以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございました。それでは、これまでの御発表と、今の説明について、2時を目処に質疑応答、議論を行いたいと思います。じゃ、小安先生、お願いします。

【小安委員】
 御説明ありがとうございます。持続性という観点から、どのように間接経費を使うかというのは重要な論点だと思いますが、いろいろなルール、規制との関係がちょっと気になりました。
 それで網塚先生に伺いますが、非常にすばらしい取組をされていると思いますが。例えば、いろいろな高額機械に関して、それを共用していただいて皆さんに使ってもらうには素晴らしいと思います。そのときに、例えば目的外使用に当たらないかなど、そういうルールとの関係をどのようにクリアされているのでしょうか。それから、使用料金、これは取るのは当たり前ですが、これもどういう財源で支払えるかという点は、皆さん非常に苦労されていると思います。ここをどうやって解決されているのか、教えてください。
 もう一つは、ここは間接経費のことを話ししているわけですが、北大の中では、大学の間接経費のどのぐらいを、この先生の施設の運用に実際充てられているのか、あるいは充てるのがふさわしいとお考えになっているのか。間接経費との関係に関して教えてください。この2点をお願いいたします。

【網塚教授】
 まず最初に、利用者が適切な形でこの設備を利用しているかどうかの判断というのは、現状は学外の方が使うときでも、一応アカデミックな部分を含んでいるということ。大学内にカウンターパートとなる共同研究者が見つけられることということを条件にして、審査を行っています。ですので、先ほどの同位体顕微鏡などでは審査会をちゃんと設置して、学外の方が利用を希望される際には、大学の装置を使ってやる研究にふさわしいものかどうかを審査して、それで与えております。
 あともう一つ、ユーザー側がどういう費目で利用料を支払うかというのは、これには特に何も制限はないので、科研費から、その科研費の目的に沿った使い方で共用機器を使うのであれば、支弁することはできます。それで一旦支払われた利用料は、色のつかないお金になって大学に入ってきますので、それはその装置を管理している方が、その装置のメンテナンス等に使うことが許されるという流れになっております。
 それから、間接経費の中からどれだけが設備共用に回っているかというのは、実はちょっと私は現在存じてなくて、大学からは一般運営財源という形でお金は入ってきています。先ほどの共用機器に関する部分ですと、大凡のところセンターを運営していくのに、年間7,000万円ぐらいの予算が必要で、その中には常勤職員の雇用費も含まれています。外部資金から入ってくる部分が、その4分の1ぐらいと一応なっていますので、その中に恐らく間接経費の分が入っていると認識しております。

【小安委員】
 ありがとうございます。今のことに関連して、特に最初に私が申し上げた規制の部分について繰り返させていただきます。ここで議論しているのは、いろいろな府省庁からの分もあわせて間接経費をどのように有効利用するかという議論です。そうすると、やはり機器等に関して、これまでのルールでは使用の目的が限られているようなものを、どれだけいろいろとシェアできるようにするかという仕組みがものすごく大切だと思います。そこらあたりも役所の方でも是非議論して考えていただくことをお願いします。

【松尾振興企画課長】
 よろしゅうございますか、今のことに関連して。まさに先生の、研究施設の共用に関する規制といいますか、仕組みのところはすごく大事ですので。実は後の議題の資料6のところで、その辺も御説明申し上げたいと思っています。

【濵口主査】
 それでは、有信委員。

【有信委員】
 今のに関連する話ですけれども、私が企業から大学に行って経費処理の問題で一番理解に苦しんだものが2つあって、1つは減価償却費の取扱い、それからもう一つは、退職積立金が行われていない、この2つです。北大さんの取組は非常に極めて重要であると思います。
 重要であるということの1つの意味は、目的外使用等々の問題も指摘されましたけれども、非常に多くの問題をこれは含んでいるわけです。大学の経費処理では、減価償却費がいわゆるP/L上に載らない。費用としてだけ処理はされるけれども、P/Lに載らないために、いわば減価がそのままきちんと図られることになっていないわけです。これは多分外部の専門家も含めて、少し検討をする必要があります。P/L上に載せて、減価償却費を間接経費できちんと処置をするという道が開かれれば、間接経費との結び付きが出てくるという話になるというふうに思います。だから、そこを是非検討していただければと思います。
 それから、一般的に減価償却費を企業会計と同じように扱おうとすると、実際に無理な部分があって、大学の場合には、施設整備補助金で手当をされる、例えば建物だとか、それから、また別途費用が手当される病院施設だとか、様々な区分があります。それから、大学に対して寄附されている建物だとか、そういうものと今、ここで扱われているような研究用の設備をどういうふうに経理区分上区分けができるか。こういうことも含めて、財務関係の関係者も含めて検討されると、ある意味ではお金が回るようになるし、それが間接経費をきちんと確保するということの根拠にもなるし、間接経費の中で処理が可能になるという道が開けるような気がします。

【濵口主査】
 松尾さん、これは相当大きな問題だと思うけれども、何らかの検討はできますか。

【松尾振興企画課長】
 施設整備費との、ある意味一体的な整理のところは、済みません、今ちょっと申し上げる材料がないので。

【有信委員】
 いや、施設整備の話は関係ないんですよ。だから、区分ができればいいわけです。

【松尾振興企画課長】
 はい。少し相談をさせていただきたいと思います。

【常盤研究振興局長】
 多分それは1つの国費というか、文部科学省が補助金などの形で大学に出している、まさに国立大学のために出している経費を、減価償却などの考え方をどう処理するかということと、今おっしゃっていただいたように、競争的資金で例えば設備を買ったときに、じゃあその償却をどう考えるのかとか、そういう幾つか、まさに財源によって扱いが違う可能性があるんだと思います。
 それで有信委員のおっしゃっているのは、むしろその競争的資金のことも考慮に入れるんだけれども、むしろ根本の部分は国立大学の基盤的経費とか、補助金で整備された部分をどういう処理するかというところは、結構財務諸表の作り方に関連してくるので、それについてはここでやるというよりも、恐らくまさに大学改革と、競争的資金改革の一体改革ですから、大学改革の方の側面の話にも関連してくると思いますので、そのあたりちょっと議論の場をどう、場なのか、それともまた別途財務の専門家から御意見とかを別の場でいただくのか、そのあたりちょっと考えさせていただきたいと思います。

【濵口主査】
 お願いします。橋本先生。

【橋本委員】
 2点、間接経費の話と装置の共有化の話で述べたいと思います。まず間接経費に関しては、いろいろなルートを使って、今、他省庁とかあるいは産業界にその必要性を認識していただくように働きかけているところです。この前も少し申し上げましたけれども、やはり他省庁はなかなかそんな簡単に理解してくれません。ですので、まず文部科学省の中でしっかりとその位置付けを整理し、議論していただいて、文科省の中できちんとそういうのが動くという姿を見せていただくことが大変重要だなと考えております。
 あわせて、これは有信委員がおっしゃったこととほとんど同じ印象を受けているんですけれども、産業界は、研究に直接に係るもの以外のものも研究には必要だということは理解しているので、それをきちんと積み上げて出してくれれば、その部分を支払うことに対しては全く違和感はないと。ただし、30%みたいな形で一律でつかみ金のようにされるとこれはとても理解できないし、あるいは、一緒にやる研究の内容に応じてその中身も変わってくるので、そういうことまで含めてやっていただかないとなかなか難しい。けれども、逆に言えば、そこをしっかりやっていただければ、理由がちゃんとしているものであれば30%だろうがそれ以上だろうが、それを支払うのは十分当然のこととして考えられるということを言っておられました。
 そういったご意見に対して、本来しっかりと積み上げた形で個々に要求するのが筋ではあるものの、なかなかまだその体制にならないので、当面ある割合でという形でお願いすることにしたいと思うのですがというふうに、私のほうではいっていますけれども、その辺は是非、文科省の方でしっかりと考えていただきたいなと思います。
 一方で、私たちが今ここで間接経費の重要性をずっと議論してきたのは、これは上山先生もお話しになっていたように、間接経費を大学のマネジメントに自由度を持たせるためのお金として使うことも視野に入れてのことです。すなわち、研究にはお金がかかりますが、このように民間等々からお金を得られる分野と、そうじゃない分野があります。あるいは、学術研究がある。文科系の研究で全くそういうのと違ったところだけど極めて重要なものがある。そういうものに対するお金は、本来国費が出すべきなんでしょうけれども、この厳しい予算状況の中で、なかなか国費だけでは十分じゃない。そういうときに、外部からの資金を稼げる分野・研究で稼いで、大学のガバナンスの中で、資金が得にくいところだけれど重要であるとその大学が思うところに配るという、こういう学術を守るために稼げるところが稼ぐという、この思想がすごく重要なんだと思います。
それが1点目。
 2点目は簡単に申し上げますが、施設の共有、装置の共有の話ですが、北大の大変すばらしい事例を紹介いただいたと思います。実は私、10年前にできたときにちょっと関わっていたので、そのときの大変苦しい思いをされていた頃から見ると、随分うまく回るようになったんだなと思って感心したところであります。これは、全学のセンターですから、比較的大きな装置に対する共用が主かと思います。それはそれで極めて重要なのですが、今私たちが考えたいのはまた別の次元の、例えば、学科・専攻ごとでこういう共有のシステムを入れるべきじゃないかと思っているんです。すなわち、必ずしも大型じゃなくて中型の装置についても、各専攻で共有の部屋があって、そこで実験できるような整備をするということも重要というか、それは全ての大学でできるようなことだと思います。そういう意味では装置の共有には幾つかのフェーズがあるのだと思います。これは多分、装置の大きさで分けるべきではないかなと思うんですけれども、その辺も含めて制度設計をする必要があるかなと思います。以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。それでは、佐藤先生。

【佐藤委員】
 ちょっと細かなことになるかも分かりませんけれども、北大にお聞きしたいと思います。競争的資金は目的を定めて実施をされているわけで、目的外の使用の問題が出てくると思うんですけれども。そのことにつきまして、大きな装置を共用に供する場合において、問題になったとか、トラブルになったとか、そういうことはございませんでしょうか。特に民間からの競争的資金は、研究のプロジェクトにお金を出しているのであって、その機械を全然無関係なことに使われるとすると、いろいろな問題が出てくると思うんですね。科研費も部分的にそうだと思うんですけれども。例えば、獲得したその瞬間から、共同利用に供することができるのか、ある程度減価償却した後で措置しているのか、初期の段階から、目的外使用を即座にしているのか、そういうことで何か問題になったことがないのかということをお聞きしたいんですが。

【網塚教授】
 通常の科研費レベルで購入された数千万のオーダーの装置に関しましては、その科研費の目的の期間が終わるまでは共用には供さないという形にしております。先ほどの様々な国の政策の中の共用促進の事業の予算で買った装置は、最初からもちろんそれが目的で導入をしていますので、共用に出しているという状況です。ですので、科研費の装置に関しては、注意してやっております。最近、科研費や新学術等の大きな国の予算で買った装置も、共用をできるだけすることということを前提として申請書を書くようになっていますよね。ですので、そういう装置に関しては、できる範囲でやるようにしています。

【佐藤委員】
 それでは基本的にこの問題は解決できるような方向で、ちゃんとできていると思ってよろしいわけでしょうか。

【網塚教授】
 はい。今までトラブルは起きたことはないです。

【濵口主査】
 ありがとうございます。甲斐先生。

【甲斐委員】
 じゃ、関連なので短く。先ほど、資料6でもう1回出ると言いましたのでちょっと控えていたんですけれども、話が結構細かくなってきましたので。規制対応については、目的外使用ということは結構縛られていると思うんです。北大の場合には、その期間が終わってからということで問題ないのかもしれないですけれども、今後はもっと自由に共用化していくためには、最初からそういうことを考えた方がいいと思うんです。その場合に、科研費だけは、例えばお金を合わせて買うことができるぐらいにしていただいているので、非常に優れた制度ですけれども、まず文科省のほかの資金が全てそうなっているのかというところが重要だと思います。
 最初、それをしっかりそれをしていただいて、先ほど来から間接経費を他省庁やほかの競争的資金にも広げていくと、そういう話題が出ていますが、それと同時に、規制を同じようにしていっていただきたいというのを、どこかにちゃんと盛り込んでほしいと思うんです。といいますのは、ある省庁のは厳しく限定されていて、それ以外には絶対使ってはいけないと。本当に普通に使う遠心機とか、本当の基盤的なそういうものにさえ、これのみに使うという証拠の文書を書けと言われます。取ったときに、もともとその遠心機は当然あって取ったんだけれども、スタートしようとしたら壊れた。だから、購入したいというふうに言うと、それのみにしか使わない証明を書いてから買えと。そんなことは不可能で、実験室に1個しかない遠心機だったら、みんなで使っているわけですね。それさえ許さないという省庁が結構あるんですよ。
 ですから、そんなことだったら、共用どころじゃないんです。そういうつまらない規制がまだしっかりと動いていて、現場は作文で何とか乗り越えているんですけれども、それはおかしい。だから、共用化を進めるためには、間接経費30%を全部にとると同時に、規制についても同じように変えていっていただきたいと、1つ思います。
 それから、その上でですけれども、今見ましたら、北大の場合、5%ぐらいが学外だったといいますけれども、これはある一定の上限を設けるべきではないかなと思うんです。つまり、何か大きな機器を買って、即時に全てにオープンで、もし対外が9割とかになったら、大学はただの機器維持機関みたいになってしまって、公開して儲けてみたいな感じになるといけないので、使用料のこともありますけれども、それとあわせて、それ特有のものを考えていかなければいけないんじゃないかなと思います。

【濵口主査】
 上山先生、どうぞ。

【上山委員】
 ちょっとだけつけ加えさせていただくと、やっぱり間接経費、この中では原則30%という表現なんですが、本来この間接経費というのは、やっぱり積み上げでやるべきものだと思っています。というのは、それぞれのリサーチに応じて、あるいはプロジェクトに応じて間接経費が発生し、かつそれぞれの部局ごとに違っているわけですから、それを積み上げるというプロセスこそが、本当は間接経費をマネジメントに使うというプロセスだと思うんです。でも、一律30%と言われると、その30%の根拠というのはほとんどなくなってしまうので、やっぱりそこは多分、最終的にこういうふうに書くしかほかの省庁が説得できないということなのかもしれないけど、やはり原則30%以上とか、30%超えた部分に関しては、追加的にどういうような根拠があるかということを示さないといけないということの方が、よりマネジメントに生かせるだろうなということが1つ。
 それから、私もちょっと強調し過ぎたかなと思うんですけれども、間接経費が他の部門に流用されているという表現は、多分こういうところでやると余りよくないかなと。実際にはそういう面があるんですが、間接経費で、つまり大学本部を通して他のお金がとれないところにわたっている部分というのは、まずはフェローシップですね。奨学金を含めた人材育成にかかわるところというのは、部局を超えて、プロジェクトを超えて、大学の中で、文科系・理科系かかわらず非常に関心のあるところで。特に学部生にわたるようなフェローシップになってくると、これは文科系でやっていた人が、グラジエートにいくときには理科系になるということはいくらでもあることなので、それも説明として学内で非常に説得力があるわけです。
 ですから、フェローシップというのが1つ大きい項目と、もう一つはやっぱりライブラリーですよね。大学のライブラリーというのは、昔からお金かかる組織ですけれども、電子ジャーナルになってますますお金がかかるようになってきていると。これは完全に共通する、文科系・理科系かかわりなく必要なお金ということになりますので、その点でいうと、ある意味ではお金は歓迎されている。しかし、例えば文科系のどこかに特別にお金をそこから出すということが表面に出てしまうと、ちょっとそれはやっぱりいろいろな抵抗感もあるだろうなということが1つです。
 もう一つ申し上げたいのは、間接経費を30%と仮にしたところで、それをその研究者、あるいはプロジェクトが属している学部の利害と関わらないのかということです。つまり、本部は何%が持っていくと。でも、その人が属しているファカルティというのも、実はそのファカルティに属している研究を維持していく、持続性を担保するために、やっぱりある程度のお金が必要なんですね。それは運営費では賄えなくなっているというと、これはその人が、プロジェクトが属している部局というかファカルティのところに、どういう形でこの間接経費が配分されていくかということも、ちゃんと目配せしなければいけないということだと思います。
 その意味では、これは実は明らかに、大学という組織とか研究を持続させるということですから、本来で言えばこれは運営費なんですよね。運営のためのお金なんです。そこがなくなっているという現状でいうと、ここからやっぱり手当するしかないということ。その論理は、多分産業界の人も非常によく分かっていただけるんじゃないかと思うのは、多分産学連携をやっているときに、お金を出す側は、これを出してプロジェクトをやるけど、大学は本気でやってくれるのみたいな話が必ず出てくるんです。大学はサポートしてくれるのとか、大学はマネジメントという形で、我々がかかわっている共同研究をちゃんとサポートしているかという意見は必ず産業界から出るんですけれども、間接経費を出しているのになぜやらないという論理があるので、そういう意味でも、産業界もこれを出すことによってより安心して参画できるということですね。
 ちょっと長くなりましたけれどももう一つ、間接経費は一方で、ある意味限定されたお金ではなくなるという側面がありますから、自由度が高まるので、実はいろいろな変なことが起こりやすいこともあります。アメリカでも、間接経費というのは80年代以降、いろいろな事件が起こってきています。それはファンディングエージェンシーとしては必ず考えなければいけないということになるんだろうと思います。以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。ちょっと議論の論点、全体の流れで心配なのは、間接経費で全体を支えるということと、基盤運営費交付金と一体型の運営に資するという議論が余りストレートに出ると、全体として予算が縮んでいくのではないかと。間接経費が取れるならば、基盤運営費交付金ももう少し効率化したらいいんじゃないかという議論になりかねなくて、ちょっとさっきから悩んでおるんですけれども。橋本先生の文系を支えるという議論の流れから考えますと。

【橋本委員】
 はい。そこはすごく心配で、実はそうならないということを前提に、この話を進めたいということで、財務当局とか政府とは話をしています。

【濵口主査】
 学長の感覚でいきますと、大学の資金って多様性がある程度ありますので、この間接経費はやっぱり研究推進にかなりフォーカスを当てて、基盤をはっきりさせて、積み上げを、積算を明確にある程度させて、それに集中させる。そうすると、そのために使用していた他の資金を、裁量をもって使えるようになると思います。例えば、大型プロジェクトの電気代、コンピューターなんていうのもすごく電気代かかっていますけれども、これを間接経費で、そのコンピューターを動かすために払いますというと、基盤経費から払っている部分がフリーになりますので、そこで文系を支えることができると思いますね。それから、ひょっとすると積み上げ的にきちっとある程度根拠を示した方が、戦略的には正しいのではないかなと。

【橋本委員】
 よろしいですか。もうそれは戦略で、是非うまく考えていただきたいと思います。私があえて発言したのは、やはりここで議論していることは、現場の研究者の直接経費を減らすことにつながりかねないわけです。そうすると、その方々が理解していただくような論理も必要であると。それからもう一つは、さっき申し上げたとおりで、全然こういうことと関係のない分野の方がたくさんいらっしゃる。多数なわけですね。そういう方々にもしっかりとこの問題を理解していただいて、それで応援していただかないとこのシステムは動かないと思いますので、それでちょっとあえて発言させていただいたところです。

【濵口主査】
 大垣先生。

【大垣主査代理】
 今の主査と同じような意見になるかと思いますけれども、競争的資金というのは、大学のような組織の中に新たに始まる研究ですね。それに伴って、前にちょっと申し上げたんですが、営繕だとか、環境対策だとか、安全対策だとか、全体的な労務管理とか、ハラスメント対策とか、先ほどのライブラリーの支援とか、様々な周辺の組織インフラを使って研究が推進されていくわけです。現在の、今ここで多分議論になっているというか、今の時代で議論になっているのは、運営費交付金が非常に合理化されて、減額されている中で、新たな研究、大きな研究をしようとすると、組織全体にしわ寄せがくる。そういう共通的な部分を支えるものとして、財政的な支援として間接経費がある。初期の頃に議論がありましたけれども、そこに立ち戻ってというか、それを原則にしないと、先ほどのほかの全体を支えるためにお金を回すのではないかというような誤解を受ける心配があるのではないかという気がいたします。

【濵口主査】
 どうぞ。

【小安委員】
 今と同じ路線ですが、ちょっと注意しなければいけないのは、新しいプロジェクトを始めるに当たり、基本的には直接経費で手当できないもののために間接経費があるのであって、例えば電気代は明らかに直接経費だと私は思います。ですから、そうではない部分を何かという点は必ずしも明らかではないと思います。ですから、必ずしも全てを積算できるのかどうかというのはかなり疑問に思っております。積算できるものはかなり直接経費に入れられるものが多いのではないかと思います。ですから、そこの仕分けをどうするかというのをきちんと説明して、そこで説明しきれないものが、やはり間接経費の上に乗ってきているという姿にしないと、難しいような気がしています。

【濵口主査】
 ありがとうございます。有信先生。

【有信委員】
 ちょっと議論が一部分で混乱していると思うんですね。今、小安さん、直接経費、間接経費という話をしましたけれども。要するに、恵まれないといいますか、橋本先生がおっしゃった、いわゆる人文社会系を中心とした外部資金が取りにくいところをどうするかは非常に重要な問題。これは基本的には、私は大学の学長のリーダーシップ、あるいはマネジメントの問題だろうというふうに思っています。
 つまり、大学の基盤経費の運営費交付金の傾斜配分をそこで考える。あるいは、寄附金等々のいわば学長が、あるいは大学当局が自由に裁量で持っていけるお金をそこに傾斜配分する。その傾斜配分する根拠は、大学の基本的な方針で、例えば世間的には注目されていなくても、この大学としてのこの学問領域をきちっと担って、知的資産を確実に蓄積することがその大学の使命であるということをはっきり明言しながら、それをやっていく。こういう姿勢を明示しながら、それぞれ大学の特徴を出していくということにしないといけない。それから、そこの部分は、いわば直接研究に関わる部分ですから、間接経費を充てるという話ではないんですね。だから、直接的にかかる費用を傾斜配分をしていく。
 それから、間接的な部分は、大学の基盤的な経費、インフラに関わる経費。その中の部分については、当然そのお金を持ってきたところに多くの負担がかかわるわけですから、それは考慮するし、直接的な経費は当然競争的資金の中で確保される。ただ、問題はそれを継続的にどう維持していくかというところは、もちろん問題として残りますけれども、そこのところは大学全体のマネジメントをうまく回るようにしていくということだというふうに、産業サイドは比較的気楽に考えているんですよね。

【濵口主査】
 よろしいでしょうか。ちょっとお時間押してきましたので。まだ御発言いただいてなかった方はお願いします。はい、どうぞ。

【知野委員】
 先ほどの座長のご懸念と一致するのかもしれませんが。外部から見ますと、30%の間接経費の措置を原則にし、全体の研究開発投資の総額自体を伸ばす発想が不可欠であるということをあわせて考えますと、研究費に関して3割増という、今の財政状況から見ると実施が厳しいもののように感じます。また一般的にはその理屈が分かりにくいような気がします。こういうふうになっていくのだとしたら、一方で、競争資金の種類を絞り込むとか、何かそういうものも必要ではないかと感じます。
 それから、外から見た時に、大学のたたずまいが随分変わってくるように感じます。例えば、間接経費で文学部とか、ほかの分野を処遇することになってくると、国からの運営費交付金が出されているものとは違う姿になっていく。それはもちろん学長のガバナンスとかリーダーシップなのでしょうが、この大学はどういうものを目指しているのかが、分かりにくくなってくるのではないでしょうか。
 主要方針の中で、経営戦略上、ホームページで公開というふうにありますけれども、これは相当しっかりしたものを出さないと、今まで以上に研究費が不透明に使われる懸念があるのではないかという、思いを抱きますので透明性をもっと極めないといけないという気がします。

【濵口主査】
 ありがとうございます。透明性、説明責任は大前提だと思います。ほか、よろしいでしょうか。

【常盤研究振興局長】
 主査、先ほど来御議論あるように、もちろん一つ一つの積み上げという部分は重要だと思うんですけれども、やはり産業界の方の理解を得るとか、大学の方の理解も得なければいけないということを考えると、やっぱり理屈の整理、ロジックの整理というのが多分一番基本にあるんだろうと思うんですね。そのときに、やはり基盤的経費ということを考えると、例えば国立大学として存在して、そこで標準的にというか、国からこの教育研究をやってくださいねということで託されたミッションがあるわけで、その部分の教育研究活動を支えるものが基盤的経費であって、その範囲を超えて、外部資金で研究とか教育の範囲を拡張していっているわけですね、今。
 府省庁の資金とか、産業界の資金で拡張していって。そこの部分の基盤というものが、研究の規模が倍になれば、本来基盤だってある程度増えていかなければいけないわけで、そこの部分は必要な間接経費でちゃんと手当出していただいて、サポートしていただくということが必要だと思うんです。それができているものとできていないものがあって、そこのところができていないものについてはしっかりとやっていただかないと、ある意味標準的な基盤を、言葉は悪いですけれども、ただで使っているということにもなりかねないので、そこのところをしっかりやりましょうということで、基盤と外部資金の話は基本的に分けて考えていくということが、まず基本にあるのかなと思っております。そのあたりの理屈をしっかり、ロジックを整理すると。
 それでその際に、なぜそういうことを増やさなければいけないのかというのは、3ページから4ページにかけて一応今、4点出していますので、これでまだ完璧だとは全然思っていませんので、是非このあたりの理屈のところについて、いろいろまた御教示いただければありがたいかなと思っています。

【橋本委員】
 一言だけよろしいですか。

【濵口主査】
 はい、どうぞ。

【橋本委員】
 今、常盤局長がおっしゃったとおりなんですね。ただ、新たに資金を持ってきて活動を広げているところの基盤、活動が、そうじゃない分野に対しても、そういうふうに基盤を超えてうまく働くということを出す必要があると思うのです。それでやはりほかのいろいろな多くの人たちから理解を得て、応援してもらう必要があると思います。

【常盤研究振興局長】
 そこはむしろ、まさにこの文章もそうなんですけれども、そういうふうに拡張していくということは、やっぱり大学が、本来大学としての学術研究を中心とした役割と、社会とか国家のいろいろな要請の中での対話をして、むしろそこは拡張していくということが本当は重要なことなんですね。拡張していくためには、やっぱりそこの基盤が必要なので、そこをちゃんと手当しながら拡張していけば、大学も拡張しやすくなるし、その方向がむしろ促進されるということを訴えていくべきなんじゃないかなということを考えて書いているつもりなんですけれども、まだまだちょっと練れていないので、是非そのあたりの御示唆をいただければありがたいかなと思います。

【上山委員】
 一言、すぐ終わります。競争的資金というものの捉え方が、恐らく能力のある人がプロジェクトベースで取ってくるお金という、そういうイメージでとられていると思うんです。でも本当は、この基盤経費と競争資金を分けることによって、競争的資金というのは、アカデミアのフロンティアを拡大させていくお金なんですよ、それは。拡大をさせていくための一つ一つのプロジェクトにお金を出すということなので、それは役割が違うんですね。ただ、それをやっていくために、そこから発生する基盤的なものというのは、当然そこから払うべきでしょうというのがまずアイデアとしてあって。同時に、拡大をさせていくというのは、とても融合的な作業なので、それは他の分野とも関わっているというのが、ロジックとしてはそういうことなんですね。そういうことが競争的資金という言葉の中に、余りそういうイメージが込められていないために、ちょっと分かりにくいんだろうなという気はしたりします。

【常盤研究振興局長】
 是非そのあたりのロジックを磨いていきたいと思いますので、またいろいろ御示唆をいただけばと思っております。

【濵口主査】
 資料3については、引き続きもう少しブラッシュアップをよろしいでしょうか。
 ちょっとお時間押しておりますので、次の課題に入りたいと思います。まず次の課題は人材の育成でありますが、議論に先立ち、東京大学大学院理学系研究科、菅教授に、日本と米国の給与システムの比較を中心に御発表いただきます。その後、質疑応答と議論を行いたいと思います。大変短い時間で恐縮ですが、10分ほどでお願いしたいと思います。

【菅教授】
 今週の火曜日に突然電話をいただきまして、出てこいということで出てまいりました。1時間半しか時間がないので、簡単にまとめさせていただきました。お手元の資料を御覧いただくと分かるんですけれども、実は私が今日書いていることは、ほとんど平成16年、今から10年前に私が出版した本に書いてあることで、今だから言っていることではなくて、もう10年以上前にこうあってくれたらなと思って書いたことが、今日話すことです。つい最近は、上山先生と実は一緒に岩波書店の本を書かせていただきまして、ここには間接経費のことを上山先生からかなり言われましたので書かせていただいていますので、そちらの方も参考にしていただければと思います。
 まず2ページの米国における大学の連邦機関というところですけれども、こちらの方は上山先生の方から説明もたくさんあったと思いますので、簡単に説明するだけですけれども、アメリカではアシスタントプロフェッサー、いわゆるテニュアトラックと、それからフルプロフェッサー、アソシエートプロフェッサー、テニュアの人たちがいます。これは任期制という制度ではありません。これはあくまでテニュアトラックですので、任期が終わることを前提に、任期が終わってそこで生き残っていけることを前提にしたシステムであるということで、任期制とは違うというのをまず理解していただきたい。
 それで大きな今回の論点は、直接経費から、実は給料が出ているということです。アメリカの場合は、給料は夏休みを除く給料になります。したがって、9か月が原則です。州立大学だと9か月。それから、医学部系の私立大学などになると、それこそ10か月分ぐらいは研究費から出さないといけない。あるいは、12か月というところもあります。基本的に講義をしているお金が9か月ということです。残りの3か月、夏休みは会議も何もありません。したがって、自由気ままに大学の先生はどこでも行けるわけですが、その分給料がないということで、そこの部分を研究費から補塡するということは許されています。したがって、3か月が普通ですので、これでエフォート管理がされています。
 したがって、例えばNIHのグラント書いたときに、州立大学の先生がそこに40%というエフォートを書くとバツです。これは25%までです。つまり、3か月の給料しか出ないので。3か月の給料というのは、要は自分の持っている給料を9で割って、年俸を9で割って、その3か月分を補塡できるということですので、25%がマックスであると。エフォート管理の考え方が、そもそも日本と大分違うと。日本は、後で出ますけれども、言ったら勝ちというか、適当に言っているというのが事実ですね。
 ちょっと裏は省きますと、非常に重要なのは、この競争的資金の獲得というのは、大学の貢献にすごく影響しているわけですが、間接経費による初期投資の回収ということで、必ずアメリカの大学はアシスタントプロフェッサーがつくときに、スタートアップファンドを何千万もつけます。5,000万とかそれぐらいの額を今はつけていますけれども、その分を回収しないといけない。要は研究費を取ってくると間接経費が入ってくるので、それで回収しているという考え方もあると思います。それから、もちろん研究の維持もありますし、それから、間接経費として外部資金が入っているということは収入になっているということですけれども、実はアメリカは間接経費はちゃんと積み上げています。これは適当に30%ではなくて、NIHに交渉して、実際にこれだけ欲しいというふうに大学はいうんですね。したがって、大学によって全部違います。例えば、ハーバードは100%だったり、私がいたバッファローだったら54%だったり、大学によってジャスティフィケーションがいろいろあって決まっていくわけです。
 大学の先生が活躍してくれると、大学への貢献ということで、ランキングの貢献とか、それから特許収入とかそういうようなことがあるわけですが、講義も大学貢献ではあるが、差別化項目にはなっていません。つまり、差別化というのはどういうことかというと、優秀な教員の人で、外部資金を稼いでくる人というのは、大体ほかのところからオファーがきたりして、そのたびに給料が倍増していくわけです。ほとんど給料倍増です。倍増で、オファーもらうたびに倍増されていくということで、そういうところからしても、給料の差別化が起きているということは揺るぎのない事実だと思います。
 一方で日本を見ますと、まずスタートアップ資金ゼロです。それから、給料はそのかわり12か月ということです。テニュアと任期というふうにあって、そこに真ん中に線を引いていますが、准教授の人はテニュアの人もいたり、任期の人もいたりするので、少なくとも助教の下はみんな任期付きというような考え方が一般的になっています。これはテニュアトラックではないので、アメリカのシステムとは全く違うということを、まず御理解ください。それで直接経費に関しては、研究費としては使えますけれども、給与に対するサポートは全くないということです。その下に書いていますけれども、日本の大学の先生は、年中会議です。実質的に夏休みなし。それから、エフォートでの管理というのは、自己申告制といいますか、実質的に意味なしということが現状であります。
 ちょっと裏を開きますと、給料というのは号俸で決められていて、差別化は全くありません。これはみんな御存じだと思いますが、勤続年数や年齢で決められていて、研究費の獲得には全く関係ないと。それから、特許収入等で大学に貢献しても全く関係ないと。私の給料が上がったかというと、全く上がっていません。非常にインセンティブが不足しているなという感じがします。昨今よく言われることは、運営費交付金が減っていって、しかもスタートアップ資金もないし、若手人材登用への予算が非常に不足しているというふうに考えられています。よく国際的に日本の大学が伸びていかないといけないといいますけれども、基本的に無理です。現状で海外から優秀な人を引き抜くとか、若い人材を誘致してくるなんてほとんど無理に近いというのが現状だと思います。
 そういう中で、そんなことを言っていても仕方がないので、私が10年前にいろいろ考えたことをちょっと1つ案として出しますが、そのときに私が考えたのは、要は給料をある程度研究費から出せるようにできたらなと思っています。その1つの案として、例えば給与のテニュアを持っている人、つまり任期から外れている人たちは、その人によると思うんですけれども、給与システムを11か月、あるいは10か月でもいいんですけれども、11か月にすると。じゃあ1か月減らして、みんな大学の先生がハッピーかというと、ハッピーじゃないと思うんです。したがって、そこに最大で2か月ぐらいまでは研究費で補塡できると。つまり、1か月分多く給料が取れるということで、ちょっとインセンティブをつけたいなというのが私の考え方です。
 その1か月の給料が減っている分は完全に夏休み休業にして、その間会議なしというふうにして、研究に没頭していただくと。エフォート率は補塡給与で管理するということで、実質的にエフォートの管理を給与分でするというふうに考えてはいかがかということです。もちろん研究というのは、1年おしなべてやるので、アメリカでも25%といっても、それは夏休みだけじゃなくて1年中やっているわけです。ただ、考え方として夏休み分の補塡をしていますというのがエフォート管理です。そこがちょっと日本に欠けているので、そういうのはどうかというふうにちょっと提案をしました。
 そのメリットを後ろに書いていますが、テニュア教員の1か月を削減することで、これを一体何に使うかということですけれども、これは私は若手に使うべきだと思っていまして、その1か月分を、出てきたお金で若手のスタートアップ資金に充てるとか、若手の人材、助教の人たちの、ある程度のいわゆるちゃんとしたトラックに乗った人たちへの資金に充てると。これは人材獲得の国際的な競争力の一部に使うと。これはいわゆる大学自体がそういう決断をして、大学の先生がそういう決断をして、それを国際的な競争力に担保していくというような考え方です。
 テニュア教員の人たちには、直接経費から給与を補塡すると。決して助教の人たちにこれをしろというのではなくて、あくまで教授とか、テニュアを持っている准教授の方々ということです。最大2か月の補塡であれば、給与は最大3か月なので1か月分多いということで、もちろんインセンティブになります。ただし、絶対に2か月加えなくちゃいけないというわけじゃなくて、例えば私だったら1か月分しか加えません。研究費が減るのが嫌だからということもあると思いますけれども、そういう自由度を持たせることができるということです。
 これは逆に言うと、競争的資金の獲得へのインセンティブということになると思うんですけれども、もう一つ重要なことは、別に地方大学含め、いろいろな全部の大学をフォローする必要はないと。それは逆に言うと、いい意味で人材獲得になるというふうに私は思います。そうじゃなくてもいいというチョイス、そういうことが嫌だという先生も当然いらっしゃると思うので、そういうことによって地方大学にはそれを好む人が行くと。アメリカの場合、実はそういうことが非常に多くて、みんながみんなハーバード大学に行きたいわけではなくて、実は州立大学に行くのもいいと。それはなぜかというと、テニュアのプレッシャーが少ないとか、落ち着いて研究できるとか、研究費を取ってくるのも、3つも4つも取らなくても1つ取ればとりあえずいいとか、そういうふうな非常に精神的な面を含めて、そういうふうにいい人材がそっちへ流れることも多々あります。
 そういうふうなシステムが日本の中でできることが、僕は非常に重要だなと思っていますので、こういう提案を10年前にしたというお話をさせていただきました。どうもありがとうございました。

【濵口主査】
 ありがとうございました。それでは、御発表を踏まえて質疑応答をしたいと思います。いかがでしょうか。なお、本検討会の第3回会合にて議論した、人材育成に関する事務局作成の資料を、再度資料5として配付しておりますので、これも参考にしていただいて御発言いただければと思いますが、いかがでしょう。どうぞ。

【小安委員】
 ありがとうございました。間接経費の積み上げに関してですが、交渉するのは事実です。たしか昔、私がいたときのハーバードは72%だったと思います。積み上げるといっても、実際にそれがどこまでの実質を伴っているかというのは結構グレーなところはあったと思います。ただ、それは内容に関しても、本当に基盤的なもので、間接経費が本来守るべきところだったというふうに私は記憶しています。

【菅教授】
 そうです。本当に間接経費というのは、私、資料を持っているはずなんですけれども、ちょっとどこにいったかよく分からないですけれども、実はちゃんと全部あります。私がバッファローにいたときに、バッファロー大が間接経費を交渉するときに、こういうのを提案していますという資料がありました。ですので、それを全部見ると積み上げていて、もちろんそれは直接研究に関係することではないものもたくさん、図書館とかもちろんさっき上山先生がおっしゃったように、そういうところもたくさんあるわけです。ただ、例えば廃液とか、研究から実際に出てくるんですけれども、それはどこのどの研究から出てきたか分からないものというのは当然ありますね。同じ研究室の中でも2つか3つプロジェクトを持っていると、一緒に混ぜちゃうわけですから、分からないわけですね。だから、そういうものに関しては間接経費で払いましょうと。
 もう一つの重要なポイントは、セーフティに関することは絶対的に間接経費です。これは直接経費を増やすために、セーフティを怠るということは当然起きる可能性があるので、そういうことは一切起きないように間接経費で賄うという考え方があって、それをどう積み上げるかということだと思います。

【濵口主査】
 どうぞ。

【井関委員】
 ありがとうございました。もう一つお伺いしたいのは、先ほどハーバードは間接経費が100%とおっしゃったんですが、それはハーバードの中の研究員どなたが取っても、同じ割合ということでしょうか。例えば同じ内容の研究がハーバード大学と、それからバッファロー大学にあったとして、それに対してバッファローでは50%の間接経費を要求するし、ハーバードでは100%要求するということでよろしいんですか。大学ごとに交渉して決定されていると。

【菅教授】
 そのとおりです。

【井関委員】
 でも、そうなると本来の間接経費の内容というか、本来の研究費に対する間接経費にかかってくるお金というのは、同じ内容の研究だと同じぐらいじゃないかなと思うんですが、そこはどうなっているんでしょうか。

【菅教授】
 それは恐らく州立大学と私立大学の違いというところもあると思うんですけれども、もう一つはロケーションの違いもあると思うんです。ですので、そういうことも全部含めて、各大学はNIHならNIHに交渉するわけです。認められないこともしばしばあります。認められると100%くれることもあるんですね。研究費と同じ額の間接経費がついたりするわけですけれども。それは研究によるからというのではなくて、やはり大学でどういうふうな運営をしていて、これが間接経費として必要であるというジャスティフィケーションを各大学が責任を持ってやっているということだと思います。マネジメントだと思います。

【濵口主査】
 はい、どうぞ。

【上山委員】
 間接経費が、例えば東大とかの一流大学と、地方のどこかの大学と同じ数字でやるということ自体は、僕は非常に違和感があって。先生今おっしゃったみたいに、ハーバードで、今だったら大体70%超えていて、スタンフォードで今、60ちょっとぐらいでしょうかね。やっぱりスタンフォードの間接経費の申請の仕方を見ると、これぐらい分厚いアプリケーションを書くんですけれども、その中に、その研究がどういうカテゴリーに属しているのかということもきちっとあって、カテゴリーごとにそれぞれ間接経費の値が違っていて。それを合算して持っていき、最終的にNIHならNIHで、こんなに取り過ぎたといってディスカウントが始まり、決まるというプロセスだと思うんですけれども。
 だから、例えば最近でいうと、動物愛護が結構きついので、アニマルケアとかアニマル関係のところは、間接経費は恐らく90%ぐらいほぼ認められるような形になっていて。ただそれでも、ハーバードで必要な間接経費と、例えばミシガンとはやっぱり違うんですね。ロケーションもそうだし、ネームバリューも違うし、大学の中で維持していくためのコストというのは圧倒的に違うので、ハーバードだったらこれぐらい必要だという根拠をきちんと持っているということが、実は大学のマネジメントではとても重要な作業なんです。一々全部見なければいけないわけですから。マネジメントのコストはかかるけれども、同時に大学のマネジメントに非常に先鋭な意識が生まれるわけですね。これをやらなければ、うちの大学はもうやっていけないという。それが間接経費というものの、すごく戦略上の大きな意味を持っているんだと思います。

【濵口主査】
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【藤巻委員】
 先生のおっしゃったこと、私も大変同感するところがございます。本は10年前に書かれたということなんですが、今、クロスアポイントメント制度というのが始まってますので、これをうまく利用すれば、給与補てんと言ったことも必ずしも難しくないような気もします。少なくとも他研究機関とはクロスアポイントメントで、エフォートとして11か月は自分の本籍で、残りの1か月は他機関というようなこともできますので、比較的やりやすくなってきたのかなという気はいたします。
 さて、ちょっとお伺いしたいのは、最後の7ページのスライドで、「若手のスタートアップ資金に充てる(+間接経費支出)」と書いてあるこの括弧書きのところですね。ここはどういう意図で書かれたのかというのを、ちょっと教えていただけませんか。

【菅教授】
 括弧付けているので、絶対そうすべきというふうに別に思っているわけじゃないんですけれども、間接経費の一部というのは、ある程度アメリカなんかでもそうですけれども、オーバーヘッドとしては確かに少し認められている部分があります。例えば、大学の運営管理、裁量で見て使えるお金としてとっていると。その部分をもう一度、要は研究、あるいは教育が活性化しないと大学というのは廃れていくわけなので、そういうところに大学の総長なりプレジデントの方が使っていける。あるいは、ディーンに当たる人たち。日本の場合、ディーンがいないですけれども、ディーンがそういう判断をして配分していくというのがすごく重要だという意味で、括弧付きで間接経費というのを書かせていただきました。

【濵口主査】
 どうぞ。

【竹山委員】
 今日お話しいただいたのは給料制度に関してかと思います。このような指摘は以前からもありましたが、私も賛成する部分があります。そこで、制度的な面でこのようなことを進めるのが難しい点を文科省の方から伺いたいと思います。日本も多くのヨーロッパの国々も年12か月雇用となっており、クロスアポイントメント制度を適用しようと思っても無理な状況です。一方、アメリカから招聘するには何も問題はありません。
 現在、年俸制度が動き始めている中で少し矛盾が出てくる部分もありますし、研究費の直接経費から給料にあてすぎると研究費が減ることを懸念する研究者、このような制度が一般化されてしまうと困ると考える研究者もいるかと思います。その人の研究環境、研究費獲得状況によって、賛否両論あるかと思います。また、給料体系の話になるとそれぞれの組織の組合からの意見も出てきてもめることも多いかと思います。
 研究費からPIの給料を出すには、その研究費の性格によっても異なることもあるかと思います。制度的な問題として、文部科学省のお考えを聞かせてください。

【菅教授】
 ちょっと私からコメントいいですか。まず最初に、10年、こういうことを提案していますけれども、実際紙に書かれたものって多分ないですよね。文科省の方が大分調べられて、最終的に私のところに来たというのは、私しか書いてない。紙にはっきり書いて、何かに発表しているのは恐らく私だけなんだと思います。11か月にしろ、もう2か月加えてインセンティブ入れろというような非常に具体的に書いたのはないと思うんです。
 それから、もう一つ重要なのは、これを一律にするんじゃなくて、こういうフレキシビリティを持たせることによって、競争的資金の原動力とかインセンティブをとるためのインセンティブにするということですね。だから、申し上げたように、地方大はこれをする必要はないと思います。もしやるんだったら、そういう人が出てきたときにはいいですよというのはオーケーだと思いますけれども、それを絶対やらないといけないと決めなくちゃいけないのは、例えば東京大学とかはしたらいいと思うんですよ、私はむしろ逆に。ですが、必ずしも全大学でする必要はない。そういうフレキシビリティを持たせることが、僕はインセンティブにつながっていくというふうに思います。

【濵口主査】
 文科省の方から。

【松尾振興企画課長】
 一言だけよろしいですか。次のときに整理をしたいと思うんですが、別途お配りした資料5の中でも、前々回にお出しした資料の中でも、この話をするときには、大学における人事給与システムの改革というのを一緒にやるのが前提になるわけですので、橋本先生が今戻ってこられましたけれども、大学改革との一体的改革というものの中で、やはり議論が行政的には議論できるようになっているという、今のフェーズの特殊性というのはありますので。なかなか構想はあっても、科学技術政策だけで、どうこうなかなか行政的に正面から当たれなかったという状況は、今まで確かにあったんだと思います。

【濵口主査】
 よろしいでしょうか。どうぞ。

【竹山委員】
 では、見込みとしてどのような方向に動きそうでしょうか。

【豊岡国立大学法人支援課長】
 国立大学に関してなんですけれども、今テーマになっております人事給与につきましては、法人化をいたしまして、従来の公務員の仕組みからは離れたということでございます。ただ、法人化の移行期にどのようにするかという、本来根本的に変えるということも可能だったんだとは思うんですけれども、なかなか移行期は移行期でいろいろ整備が大変でということもあったんじゃないかと思います。
 それで今、先ほど御指摘いただいたんですけれども、年俸制とかそういったもの、つまり年俸制の目的は業績に応じた給与体系ということになってくるんですけれども、そういったものを積極的に導入できるようにしていこうというふうに、今はしております。これまでどうして年俸制みたいなものができなかったのかというと、多分制度的なものもありまして。といいますのは、国立大学の場合には、人件費は運営費交付金で基本賄われておるわけですけれども、その中で、退職手当は別途、毎年毎年退職手当を退職する方を見込んで翌年に退職する分の予算を積んで、それで退職金を払っていたというのがあります。したがって、退職金制度じゃない仕組みも法人化してできるようになったんですけれども、予算上はそういった退職金をきちっと払うという仕組みがあったこともあり、どちらが先か、ニワトリ卵にもなるんですけれども、そういった退職金制度があるために、抜本的な年俸制導入も難しいというようなこともございまして、そこから手をつけているということでございます。
 年俸制が導入しやすいように、退職金制度という形の中の、従来やったものを予算の配分を変えて、年俸制を導入しやすくしているというのが現状でございます。給与に関してはそんな感じでございます。

【濵口主査】
 よろしいでしょうか。

【井関委員】
 ちょっとよろしいですか。先ほど菅先生お話しいただいたのは、アメリカだと、ほぼ全ての大学でお給料は9か月分なのでしょうか。

【菅教授】
 そうじゃない大学もあるかもしれませんけれども、私が知っている限り、研究大学は全部そうです。

【井関委員】
 そうすると、クロスアポイントメントですとか、直接経費から自分の給料の一部を払うというような制度というのは導入されていいと思います。が、菅先生がおっしゃったように、みんなが選ぶ必要がないという場合には、2つの制度が、もしかすると2つ以上の給与制度が存在することになると思います。そうなると、今でさえ事務処理で大学は忙しく、大学が慌ただしい状況の中で、導入する場合には、なるべく効率的に導入を図るところまでじっくり考えて導入していただいた方がいいのかなと。

【濵口主査】
 さっきの豊岡さんの説明が概念的で分かりにくかったと思うんですけれども、今の大学ではもうできるんですよね。年俸制で、9か月雇用にすればいいんです。残りの3か月、自分で稼いでくださいでいいんです。あるいはクロスアポイントメントでこの3か月をさせることができます。実際にそれで動いている部分もありますので、別にこれは今、年俸制を前提にすればできるということなんです。

【井関委員】
 本学でもその説明があったので、十分承知しております。

【濵口主査】
 退職金を置いたパーマネントの雇用だと、これができないと。それを年俸制にしてクロスアポイントメントやったりいろいろ動き始めているので、現場はかなり走り始めているような感じがします。

【井関委員】
 じゃ、システムとしてスムーズに導入されているところでしょうか。

【濵口主査】
 それをどこまでやるか、大学全体がそれでやりたいという話には、かなり議論がまた要ると思うんですけれども。

【菅教授】
 ちょっと済みません。クロスアポイントに似ているんですけれども、実はクロスアポイントメントではないんですよね、これは。別にどこかのところに契約をするわけではなくて、あくまで自分の研究費の中から出すかどうかですね。

【濵口主査】
 研究費から出すというところですね。

【菅教授】
 例えば、実はアメリカの大学の先生なんかもそうなんですけれども、非常に活躍している先生って、引き抜きが何回もあって給料が高いです。年俸が2,000万とか3,000万とかいっている人もいるわけですね。そういうときには、そういう人たちが実は2か月の給料を払おうと思うと、ほとんど研究費の大きなところがなくなるわけですよ。だから、皆さん取らないです。

【濵口主査】
 現実的には、一番問題にさっきからなっている、文系なんていうのは、やっぱり100万、200万の資金の問題ですから無理ですね。

【菅教授】
 はい、だからそういうのは無理です。そういうことを強いることを目的にしているのではなくて、あくまで競争的研究資金を獲得した人に、インセンティブがある程度与えられるシステムをどうするかということだと思うんです。だから、12か月の給料を確保した人は、それでいいと思います。でも、1か月減らすことによって2か月分入れることができるというシステムにしないと、何もインセンティブが働かないというところを、まあ、これが正しいわけではなくて、こういうふうな考え方をすれば、インセンティブというのを考えられるし、またエフォート管理がクリアになるというところだと思います。

【竹山委員】
 現在、日本のほとんどの研究費では、PIの給料を出すことはできませんね。私もそれは問題かと思っています。先生の今おっしゃっていることには賛成をしております。自分で、自分の給料を確保できる方法としては、少し制度的には異なりますが、JST雇用のさきがけ研究ぐらいでしょうか。制度的にPIの給料の部分的な補充を研究費で可能にすることが必要かと思います。

【菅教授】
 もちろんです。それが前提です。

【竹山委員】
 そこがやっぱり重要ですね。それができないと、制度をいくら作っても、クロスアポイントメントぐらいしかやれることがなくなってしまいます。

【菅教授】
 そこはそんなに大きなハードルじゃないんじゃないかなと、僕は思っているんですけれども。そこができないと言われたら、何もできないですね。

【竹山委員】
 今はまだできないですね。

【濵口主査】
 これはどうでしょうね。社会から見たら。

【知野委員】
 先ほど、最後の7ページのところで菅先生が、地方大学は同じ給与体系をとらない選択があるとおっしゃられて、アメリカの大学なんかでも、地方大学で落ち着いて研究できるからとそっちを選ばれる方がかなりいるというご説明がありました。その割合はかなり多いのでしょうか。
 というのは、日本国内で研究費の不正とか、いろいろ研究不正が出てくるときに、今、競争ばかりで競争主義になっていて、落ち着いて研究できないということがかなり指摘されるので、その意味では、何もこういう形でインセンティブを持つ人ばかりではないように見受けられます。今、イノベーション、非連続性といっている時代に、みんなが同じ方向を向いているよりも、いろいろなところでいろいろな分野をやっている人がいた方がいいと思います。アメリカと言えども全部こうではないとするとしたら、どのぐらいの割合になっているんでしょうか。

【菅教授】
 アメリカの、例えばバッファロー大学という、ある意味地方大なんですけれども、ニューヨーク州立大の北の方なんですけれども。文系の人も、実は9か月です。3か月何をするかというと、彼らは本を書く。あるいは、実は夏のサマースクールなんです。そういうところでサマースクールで、ほかの留学生とかカレッジとか、そういうところから来た、別の小さなローカルスクールから来た人たちを教える。それによって、自分たちの給料をそこで補塡するというチョイスをしているわけです。研究をやっている人がそんなことをするかといったら、しないです。彼らは実際、実験したいし、それから研究の論文を書きたいし、そういう方に全てのエフォートを費やすわけですよね。だからこそ研究費を獲得したいという欲望に駆られて一生懸命頑張るわけです。
 だから、文科系の人たちも、実はアメリカではこのシステムに乗っかっているんです。ただ、違う方法で彼らはお金をそこに補塡しているということだと思います。それを大学としてマネジメントがちゃんとできているということだと思います。

【小安委員】
 さっき菅さんがおっしゃった中で、一番多分日本とアメリカで違うのは、アメリカは移るたびに給料が倍々ゲームで増えていくから、要するにそれ以上払う必要がないところまで到達すれば、それで一応いいわけです。ですから、あとは自分の研究費を削る必要がない。でも、日本はそれは不可能ですね。この話をして、後ろ向きに聞こえるとしたら申し訳ないのですが、いつも気になるのは、もしかしたら大学の先生の給与が9か月分で良いのであれば、その分運営費交付金を減らそうよという財務当局の声が、聞こえてくるような気がします。そこをどういうふうにロジックを作るかということが大切です。インセンティブはとても大事であり、それが若手にもプラスということもよく分かるんですが、倍々ゲームにならないようなここで、そこをどうするかというのは、きちっとロジックを立てる必要があると思います。

【菅教授】
 はい、そのとおりです。それは皆さん、考えていただければと思うんですけれども。私のロジックは、その予算でとにかく若手の雇用にできる限り回していくということと、それから、13か月までいけるというところをインセンティブにするんだという、そういうロジックをしっかり固めて、運営費交付金が減るという事態にはならないように、やはりしないといけないと思うんです。減っていくのは避けられないんですけれども、そこをどうするかという。

【濵口主査】
 済みません、お時間押しておりますので、この議題、継続討議ということで、本日の議論も踏まえて資料をもう少し作成していただく方向で、再度整理させていただきたいと思います。本日は、一旦ここまでとさせていただいて、次の議題に入りたいと思います。次は研究施設・設備の共用促進であります。この点について、事務局に論点をまとめた資料を作成していただいたので、資料6に基づいて説明をお願いします。

【松尾振興企画課長】
 それでは、資料6の御説明を申し上げます。1.が設備・機器の共用促進の必要性についてということですが、これは繰り返すまでもないので、書いてあるだけというのに近いんですが、総合政策特別委員会のレポートでも、ここに長々と引用させていただいていますが、すごく重要であると。産学連携のことも含めて重要だということが書かれていて、また2つ目の白丸で、同じく科学技術・学術審議会の先端研究基盤部会というところでも、特に産学連携の企業にとってのメリットということも個別に指摘をいただいていると。
 3つ目の白丸に、施設の共用というのは、今申し上げましたように、全体として意義があるということなんですけれども、それぞれのステークホルダー、例えば研究者、研究機関にとって以下のような効果が期待されているということで、研究者にとって幾つかメリットを書かせていただいておりますが、研究費の有効な活用、それから専門的な研究支援員。支援員が配置されるということで、研究時間の確保や、より高精度の実験が可能になるということと、スペースの効率化ということもあわせて可能なのではないかと。それから、挑戦的な課題に取り組むことが可能なのではないかということと、先ほどもお話がありましたけれども、若手研究者とか、または外国から来られた研究者にとっていい環境を提供できるので、先端的な研究課題に取り組んでいただくことができるのではないか。
 それから、研究機関にとってのメリットということで3つほど書かせていただいておりますけれども、計画的・戦略的に施設のことを考えていけるので、機関全体の研究力向上を図ることができていくのではないかということと、卓越した研究者を国内外からリクルートすること。そして、先ほど来出ておりますが、産学連携の本格化ということに向けて、そういうことへの取組が可能になるのではないか。それから3つ目で、施設・整備の運用、それから管理、メンテナンスに必要な専門人材の育成。そして、その人のキャリアパスということの確立につなげていくことができるのではないかということであります。
 2.が取組の現状なんですが、(1)がまず競争的資金制度におけるこれまでの取組ということで、科研費というのは、他の先生方御承知のとおりですけれども、他の制度に先駆けまして、複数の者で共同購入ができるということを可能としたところなんですが、さらに学振とJSTでは、1に書いてありますとおり、合算使用のルールというのを整備させていただいて、合算による購入を可能にしているということがあります。2つ目の白丸に書いてありますとおり、その合算費用につきましては、前回、前々回ぐらいに御紹介申し上げました、この3月末に関係府省の連絡会申し合わせで作った使用ルールの統一の中で、合算使用というものは一応府省共通のルール化ということにされて、今、各省が具体的な制度設計をこれに基づいて可能化に向けてしているというところまできております。ただし、後半に書いてありますとおり、これは一定の範囲のものにまだ限られておりますので、後で出てまいりますけれども、そこにさらにルール共通化の網をどう引いていくかという問題が残っているということかと思います。
 それから、(2)研究機関における取組ということで、先ほど御説明がありました北大さんの取組、そして何回か前に御紹介いただきました熊本大学さんの取組でありますとか、3ページ目にいきまして、文科省においては先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業でありますとか、ナノテクのプラットフォーム事業ということをやりまして、政策的な重要性を考慮して事業を立ち上げて、大学・研究機関の取組を支援させていただいているということをやっておりますけれども、例えばその中で東大、これは微細構造解析プラットフォームというふうに呼ばれておりますけれども、これを東大の中に共用体制を構築されて、新たな産学連携とか国際共同研究のきっかけにしていただいているというグッドプラクティスもあるというふうに認識をしております。
 ただし、このような個々の競争的資金の中で施設共用を促進させていただいて、研究機関によっては先行的な取組、先導的ないい取組をされているということまであるんですけれども、(3)の現状認識にありますとおり、科学技術・学術政策研究所のアンケート調査によりますと、最初の黒ポツに書いてありますとおり、研究者の中で最も頻繁に利用したのは、自分の所属する大学での共用施設であって、なかなか組織を超えた共用というところまでいっていないかなということと、それから2つ目の黒ポツですが、施設・機器を持っている、または開示している研究者からのお答えとして、幅広い、産学、独法を超えて、組織を超えて幅広い共用取組を進めているという方は15%である一方、共用のための取組を基本的に全くやっていませんよという方が3割以上いらっしゃるというのが現状であるということです。
 そして、1つ飛ばしまして4つ目の黒ポツですが、利用の際に生じた問題点ということで、やっぱり設備・機器のメンテナンスということをしっかりされていなければならないですし、そのメンテナンスというものが研究者がされていると、なかなか正直使いづらいなというようなことも挙げられておりまして、後で申し上げますけれども、こういったことを改善していくためには、やはり組織的な取組というものが極めて大事なのかなというのが透けて見えてくる感じがいたします。
 一番下のところに書いてありますが、「一方」ということで、施設の共用の促進に関しては、研究者からのお答えによりますと、研究開発そのものが加速化するということのみならず、組織外連携のきっかけとなるとか、融合が加速するとか、新たな産学連携のきっかけになるとかということについても、研究者からの意識は高いということは伺えております。
 3.では、今後どういうふうに改革していくかということなんですが、(1)が組織的な取組を間接経費でしっかり強化していくべきではないかという観点からまとめております。先ほどちょっと先行して申し上げてしまいましたけれども、1つ目の白丸のところで、今後は特に研究機関における組織的な取組が強化されることが必須ではないかということであります。
 2つ目の白丸ですが、このためには研究費の直接経費によって購入した機器の共有を一層進めるとともに、直截的な表現で恐縮ですが、そういった施設共用のメリットを享受するステークホルダーからの適切な費用負担というものがあり得るべきかなということを考慮すると、全ての外部資金というものに間接経費を適切に措置することを基本とした上で、間接経費の活用策として、施設・機器の共有に係る組織的な取組が奨励されるべきなのかなと思います。
 具体的にはということで、先ほど御紹介申し上げた科学技術・学術研究所の報告書によると、実験系・工学系だと、そこに書いているような、例示されている施設のような、大体数千万から数億程度の規模のものを頻繁に使用されているということなので、この範囲の中で適切な金額を設定して、先ほど橋本先生からもお話がありましたが、それを超える大型なものについては、組織的管理のもとで外部も含めた共用のものとしていくことを原則してはどうかということであります。これによって、先ほど申し上げた、間接経費でそれを後押しすることによって組織的取組が行われることで、リストの公表もされるでしょうし、専門人材の確保もされるでしょうし、使い勝手の向上もあわせて図られていくのではないかということです。
 その際、あわせてということで、このように比較的大型で、直接経費で購入したもので共有をするというふうになるものについては、研究機関内で間接経費として取り扱うことができるような仕組みも考えていくことが有効なのではないかということを挙げさせていただいております。このような取組というものは、先ほど冒頭申し上げましたように、全体的な効果のみならず、研究者・研究機関の双方にとってメリットがあるものだと思いますけれども、例えば研究実施期間のどの時点から共用していくのかと。済みません、共有になっていますけれども、共用化していくのかというような、期間内での具体的な共用の方法については、済みません、機関内において個別に定められていくことがいいのではないかなと思います。
 それから、下から2つ目ですが、そういった共用のための体制を機関の中で整備をしていただきたいということと、先ほど間接経費のところで申し上げました、この施設の共用についても、間接経費に関する取組の透明性を持った公開というものの中で、あわせて公開されるということが必要なのかなということです。
 最後のところの白丸から書いてありますが、留意点として幾つか申し上げたいと思うんですが、5ページ目の上に書いてありますが、例えば汎用的でない設備・機器を必須とする研究というのは当然ございますので、そういったものについては、いくら比較的大型とはいっても、原則どおり全て共用だというのは、余計研究にとってマイナスの面があろうということですので、そういったことがちゃんとできるように仕組みを考えなければならないかなというのが1つ目。
 2つ目は、科研費などにおいては、既に研究者の移動があった場合には――済みません、この「異動」の字も間違えていて大変恐縮なんですが、移動先にその施設を持ち出してしまうと。持ち出されるということになりますので、それとの関係を整理する必要があるのかなということと、3つ目は、そもそも共用化促進事業というのがいろいろございますので、それらとの整合性をとらなければならないかなということがございます。
 もう一つ(2)ということで、研究者レベルにおける共用の一層の促進ということで、先ほど申し上げた、ある一定の適切な金額というものを超えない比較的小型というものを視野に入れて、以下のような制度的な改善を図った上で周知を図って、共用の一層の促進を図っていくことがいいのではないかということで、3つほど挙げさせていただいておりますけれども、まさにシステム改革的な話、制度面の改革という話なんですが、競争的研究費の事業目的に、設備・機器の有効利用を加えるということと、それから、それぞれの競争的研究費の取扱い規定、ルールの中で、目的遂行に支障のない範囲で施設・機器の有効利用の取組を実施してよいということをちゃんと明記するということ。それから、先ほど合算使用について、ある一定の範囲まででまだとまっていますというふうに申し上げたんですが、それについて原則として全ての競争的研究費においてそういうことを、段階的であっても広げていくべきであろうというようなことが必要なのではないかと考えております。これは文科省だけではなくて、いつも済みません、引っ張りだして大変恐縮なんですけれども、CSTIと連携して、政府全体の取組として広げていくことが必要なのであろうということを書かせていただいております。以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございます。ちょっとお時間押しておりますので、二、三御意見いただいて。これはかなり大きい課題ですので、継続的な議論がまた必要かなと。特に3番目のところ、ディテールのところはかなり議論が必要かなとは思いますけれども、いかがでしょうか。御意見いただければ。

【小安委員】
 これは問題点でも触れられていると思うのですけれども、どの程度の範囲に広げられるかということが大きなテーマだと思います。もちろん科研費、あるいは創造的戦略推進事業あたりまででしたら狭いので、もっとそれを広げるような方向に持っていかないと、なかなか大学の共用設備の活性化というところにはつながっていかないのではないかと思います。先ほどCSTIとも協力してとおっしゃったんですけれども、どこまでいろいろなところに広げていけるかが問題です。今は委託費は全然だめになっていますけれども、そこら辺も含めてどういうふうに考え方を整理していくか、どこまで拡大できるかということが大きなポイントのような気がします。

【甲斐委員】
 1点だけよろしいですか。

【濵口主査】
 どうぞ。

【甲斐委員】
 先ほどの繰り返しになるので、手短に言います。委託費が使えない、ほかのと共有できないんですけれども、最初の申請のときに、既存の設備・施設は大いに活用することになっているんですよ。つまり、向こうは使える、だけどそっちで買ったものはほかに使わせるなというのは非常におかしな論理なので、そこを明確に書けば突破できるのではないかなと思います。御参考までに。

【濵口主査】
 重要なポイントですね。ほかにいかがですか。よろしいですか。どうぞ。

【網塚教授】
 4ページの中ほどにあります、直接経費で購入した共用設備・機関の経費については、間接経費として取り扱うことができるような仕組みの検討も有効というのは非常に賛成でありまして、それから上の方に、研究者が共通して使用できる先端的かつ基盤的で、一定程度以上の大型設備についてはというところも、まさしく我々は常に思っていることではあるんですけれども、非常に難しいのは、例えばある大学ではX線の装置は非常に共用化が進んでいる。別の大学では、ある研究者が個人で使っている。全く同じ装置でも、大学によって利用形態が違ったりしますよね。
 同様に規模の大きいものでは、液体ヘリウムの液化機。これは更新すると4億円ぐらいかかります。北大では、最初は理学部からスタートしましたけれども、今では医学部も薬学部もいろいろな学部が使っていて、10以上の学部で共用しています。ほとんど使っている人にとっては、電気とか水道と同じような意識ですけれども、他の大学にいきますと、物理学科の中で主に使っているというような状況もありますので、同じような大型設備でも、利用形態を各大学で見極めるというのが非常に難しい問題になってくるかなと思います。

【濵口主査】
 重要な点ですね。
 ほかによろしいでしょうか。この点はもう少し継続的な議論が必要かなと思いますので、続けさせていただきたいと思います。
 最後に、参考情報として産業競争力会議、総合科学技術・イノベーション会議における最近の検討状況について、事務局から簡単に御報告いただきたいと思います。

【松尾振興企画課長】
 まず参考資料1でございますけれども、昨日、済みません、いきなり橋本先生のクレジットがついた資料を配らせていただいて恐縮でございますけれども、昨日、産業競争力会議の中の新陳代謝・イノベーションワーキンググループというものがございまして、主査である橋本先生から、この紙が配布をして公開されておりますので、この場でも御参考までに配付をさせていただいたという次第でございます。
 めくっていただきまして2枚目のところに、競争的研究費のことを書いていただいておりますけれども、先ほどの説明の中でも案の1つとして申し上げましたが、文科省及び内閣府の競争的研究費において、来年度から間接経費30%の新規採択案件から適用するという御指摘をいただいているということと、それから、「また」のところで、CSTIにおきましては、大学の人事給与システム改革が行われることを前提としての、関係府省庁の公募型研究費に対する間接経費30%についても検討の上、適切な措置を行うことということと、それから、民間についてもCSTIにおいて年内を目途に、民間に対する理解を促進していく。文科省も先ほど申し上げましたけれども、坂本課長のところと連携して、協力をまさにしていきたいと思いますけれども、こういったことが文科省、政府に対して、産学競争力会議から、橋本先生の名前で検討の御指示をいただいているという状況でございます。
 それから、参考資料2と参考資料3がCSTIの検討状況ですけれども、第5期科学技術基本計画に向けた専門調査会というのが動いていまして、前回のこの場でも、ほぼ似たような内容の素案というものが既に公表されていて、それを前回御紹介申し上げました。それと本質的にはいろいろな表示、表現上の変更はいろいろありますけれども、この検討会として御検討いただいているような内容と、例えば間接経費の問題でありますとか、人件費の問題でありますとか、使い勝手の問題でありますとか、そういうことについては前回同様、素案の段階のときと同様、ここには全て盛り込まれている状況であるということで、個別には今申し上げませんけれども、引き続きCSTIとは事務方も含めて連携をさせていただき続けたいなというふうに思っております。御紹介は以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございました。ほぼ定刻となりましたので、幾つか継続的な議論、課題が残っておりますが、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。
 最後に事務局から、今後の予定について連絡をお願いします。

【松尾振興企画課長】
 最後の参考資料5を御覧いただきたいのですが、次回6月4日の午前中、お時間をいただきたいと思っております。今日事務方の紙をまだ御用意申し上げておりませんでした、研究人材の育成につきましてディスカッションペーパーを御用意させていただいて御議論いただきたいのとともに、中間取りまとめに向けた骨子案につきまして御審議をいただきたいと思っています。
 それから、その次、6月10日でございますが、骨子案の御議論に基づきまして、中間取りまとめの案を御審議いただければなと思っております。以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございました。それでは、本日の会合はこれで終了させていただきたいと思います。どうも今日は参加をありがとうございました。

―― 了 ――

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