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国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議(第9回) 議事録

1.日時

平成30年5月31日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省16階 科学技術・学術政策研究所会議室

3.議題

  1. 作業部会における検討状況について
  2. 経済的波及効果の委託調査の再計算について
  3. その他

4.出席者

委員

平野座長、岡村長代理、伊地知委員、大町委員、京藤委員、熊谷委員、徳宿委員、中野委員、観山委員、森委員、横溝委員、横山委員

文部科学省

伊藤文部科学審議官、磯谷研究振興局長、千原大臣官房審議官(研究振興局担当)、岸本基礎研究振興課長、轟素粒子・原子核研究推進室長、山本加速器科学専門官、三原科学官

オブザーバー

LCCアソシエイトディレクター 道園教授、高エネルギー加速器研究機構 宮原特別技術専門職、株式会社野村総合研究所 神尾部長、株式会社野村総合研究所 佐竹上級コンサルタント

5.議事録

【平野座長】  皆様、こんにちは。大変お忙しいところを、第9回の国際リニアコライダーに関する有識者会議に御参加くださいまして、ありがとうございました。本日はよろしくお願い申し上げます。
 では、まず事務局から、出席状況について御報告をお願いします。

【山本加速器科学専門官】  本日の出席状況につきましてお知らせいたします。
 本日は、梶田委員、神余委員が所用により御欠席となっております。熊谷委員が省内の別の会議出席中のため、遅れての参加となります。なお、本日は出席委員12名であり、定足数は8名ですので、会議は有効に成立しております。
 本日は、2つの作業部会から報告を頂くため、当会議の委員であるそれぞれの作業部会の座長に御出席いただいているところでございます。
 また、野村総合研究所から神尾部長、佐竹上級コンサルタントに御出席いただいております。
 なお、技術設計報告書検証作業部会での審議において、同報告書の内容の説明を行っていただいておりました、高エネルギー加速器研究機構の道園教授、宮原特別技術専門職にオブザーバーとして御出席を頂いております。
 続きまして、文部科学省から、前回以降人事異動がございましたので、紹介させていただきます。
 本年1月16日付けで着任いたしました研究振興局長の磯谷でございます。

【磯谷研究振興局長】  磯谷でございます。よろしくお願いします。

【山本加速器科学専門官】  4月1日付けで着任いたしました大臣官房審議官(研究振興局担当)の千原でございます。

【千原大臣官房審議官】  千原でございます。よろしくお願いいたします。

【山本加速器科学専門官】  また、私は、4月1日付けで加速器科学専門官に着任いたしました山本でございます。よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

【平野座長】  ありがとうございます。
 それでは、事務局から、配付資料の確認をお願いします。

【山本加速器科学専門官】  本日の資料について、御確認をお願いいたします。議事次第にありますとおり、資料1-1から資料4、また、参考資料として、参考資料1から参考資料3まで御用意させていただいております。
 このほか、机上に関連する資料をドッチファイルにまとめておりますので、議論に際して適宜御参照いただければと思います。
 以上、不足等ございましたら、事務局までお知らせ願います。

【平野座長】  よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 きょうは、作業部会の担当の方から御報告いただき、議論をしたいと思っております。特に2つの作業部会に大変御協力いただきました委員の方々に御礼を申し上げたいと思いますし、野村総研の方々についても、きょう御報告いただきますが、御足労いただきましてありがとうございます。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 議題1として、当会議の下に設置されている2つの作業部会から、これまでの審議の状況について報告を頂きます。議論をしていきたいと考えております。
 御存じのように、昨年11月の国際研究者コミュニティによるILC計画の見直しの公表を受けまして、昨年12月には、第8回の有識者会議を開催し、ILC計画の見直しの内容を確認するとともに、ILCの科学的意義の再検証のために「素粒子原子核物理作業部会」を、また、ILC計画のコストや技術フィージビリティの再検証のためには「技術設計報告書(TDR)検証作業部会」を再設置するということをお認めいただいて、作業をしていただいたところであります。
 両部会においては、本年1月より精力的に検証を行っていただいておりまして、有識者会議への報告が取りまとめられておりますので、ここで両部会の座長から御報告いただくことにしております。
 それでは、まずILCの科学的意義等に関して審議を行っていただいた「素粒子原子核物理作業部会」の座長であられる中野委員から、審議状況について説明をお願いします。よろしくお願いします。

【中野委員】  素粒子原子核物理作業部会の報告をいたします。資料1-1を御覧ください。
 まず1ページ、導入部分ですが、本作業部会は、ILC計画の目指す研究内容と、その内容が巨額の投資に見合った科学的意義を有するかについて検証・議論し、それを報告する部会です。平成27年3月に前報告をまとめましたが、それを踏まえて、この有識者会議で、平成27年6月に「これまでの議論のまとめ」を公表いたしました。その際は、ILCは衝突エネルギー500GeVの電子・陽電子衝突型加速器と想定して議論を行ってまいりました。
 その後、ILCに関する国際的な研究者組織の一つであるリニアコライダー・コラボレーション(LCC)でまとめられたILC計画の見直し案が、リニアコライダー国際推進委員会(LCB)における審議を経て、国際将来加速器委員会(ICFA)において承認され、平成29年11月に公表されました。この見直しにおいて、2017年までの13TeV LHC実験の結果を踏まえた上で建設に必要なコストを引き下げることも考慮して、ILC計画は衝突エネルギーを500GeVから250GeVとする提案(250GeV ILCと呼ばせていただきますが)に変更されました。この公表を受けて平成29年12月に開催された有識者会議において、250GeV ILCの科学的意義について検証し、留意すべき点について専門的見地から検討を行うために、当作業部会が再度設置されたという、こういう経緯になっております。
 まず、1ポツから御説明いたします。CERNに置ける実験結果についてです。
 前回の報告及び「これまでの議論のまとめ」では、ILCの性能、得られる成果等については、CERNが設置する大型ハドロン衝突型加速器(LHC)におけるエネルギー増強後の13TeV LHCにおけるⅡ期実験の結果に基づき見極めることが必要とされています。
 13TeVによるⅡ期実験は当初2015年から2017年までとされていましたが、その後18年まで延長されています。作業部会においては、2017年末までのLHCにおける実験結果を確認したところ、ヒッグス粒子の発見以来様々な成果はあるものの、標準理論を超える新粒子――括弧の中で(強い相互作用をする超対称性粒子の可能性がある粒子)と書いてありますが、超対称性粒子というのは、強い相互作用をするものとしないものがあります。LHCでは、そのうちの強い相互作用をするものが発見されると期待されていたわけです。これが重要なのは、超対称性粒子の中の強い相互作用をしない粒子については、それよりずっと軽くて、LHCでは発見が難しいことから、ILCで発見が期待されている、そういう経緯がありました。そういうものであるとか、新現象(暗黒物質や余剰次元)の兆候は捉えられておりません。
 また、さらに、これまでの実験結果から、LHCにおいて、Ⅱ期実験が続く2018年末までに新粒子や新現象が観測される可能性は低いことが判明しており、その結果、前回3つのシナリオが出てきたんですが、そのうちの、これから説明する1番、2番は該当せず、3の13TeV LHCで新粒子や新現象が観測されない場合となりました。その結果を踏まえて、国際研究者コミュニティは、ヒッグス粒子の精密測定の重要性から、ILCは当初計画の500GeVから衝突エネルギーを下げて250GeVでヒッグスファクトリーとして運転を行うように見直したことから、その内容については修正を要します。
 その後、前回報告の6ポツの(1)~(3)の抜粋です。おさらいになりますが、ここも説明したいと思います。
 13TeV LHCでの成果を踏まえたシナリオに応じて、ILC計画で実施する場合の今後の戦略方針は以下のとおりとして、3つのシナリオが挙げられております。
 まず1番ですが、13TeV LHCで新粒子が発見された場合、これはLHCについても、ILCにおいてもゴールデンシナリオと呼ばれていた、そういうシナリオです。その場合は、ILCにより、ヒッグス粒子やトップクォークの精密測定から、新粒子の背後にある物理現象を解明する。また、LHCにおいて、強い相互作用をする粒子が割合軽い場合や、先ほど言いましたように、強い相互作用をしないパートナーがいますので、その質量は、強い相互作用をする粒子が軽ければ、より軽くなるという性質もありますので、そういう場合や250GeV以下の質量を持つ新粒子に崩壊しているらしいとの示唆がある場合には、ILCにおいてこの新粒子を発見し、詳細解明を行うことが期待される。そうでない場合は――そうでない場合というのは、重い場合ですが――エネルギーアップグレードがゆくゆくは必要となる、そういう方針になっておりました。
 もちろん、効果は大きなもので、超対称性の存在の証明、あるいは複合ヒッグス粒子の確認などにつながり、大きな発見や研究の進展が期待される。ILCで新粒子が発見された場合にも、大きな研究の進展が期待されるとなっております。
 2番目のシナリオは、そういう新粒子というものが直接は発見されなくとも、何らかの意味での新現象(暗黒物質や余剰次元)と思われる事象の兆候が観測された場合です。この場合の方針といたしましては、LHCで発見された新現象の性質をILCで精査し、ヒッグス粒子やトップクォークの精密測定とあわせて、標準理論を超える物理を研究するとなっております。
 効果といたしましても、暗黒物質の初観測や余剰次元の探索の足がかりの観測により、大きな発見と研究の進展が期待されるとなります。
 3番目、今回お13TeVの結果を踏まえて、このシナリオになったわけですけれども、新粒子や新現象が観測されない場合となります。この時点の方針といたしましては、ヒッグス粒子やトップクォークの精密測定から標準理論を超える物理を探索する。また、ILCではLHCでは検出が困難なタイプの新粒子にも感度があるため、これらの新粒子の探索も行う。LHCで未発見の原因を精査し、ILCで発見できる新粒子を探索するとともに、将来のエネルギーアップグレードの必要性を検討するとなっております。
 後ほど何度も出てきますが、標準理論のずれというものを観測しようとするもので、それが観測された場合は、ずれの大きさとそのパターンから、標準理論を超える物理の方向性と関連する新物理のエネルギースケールが明らかになるとなっておりました。また、このときは新粒子についても言及しておりますので、それが発見された場合にも、大きな研究の進展が期待されるという効果を上げておりました。
 2ポツに移ります。250GeV ILCの科学的意義についてです。
 国際研究者コミュニティにおいて、ILC計画の衝突エネルギーを500GeVから250GeVに下げる見直しが行われました。これにより、加速器の建設コストを引き下げ、ILC計画の目標について焦点を絞ったものにすることができると報告されております。
 前回報告においては、ILCの目指す科学的意義を以下のとおり整理しておりました。
 (1)が、ヒッグス粒子やトップクォークの詳細研究によるヒッグス機構の全容解明で標準理論を超える物理を探索するということ。
 (2)が、超対称性粒子などの新物理の探索、及び発見された場合のその詳細研究。
 (3)その他と書いてありますが、これは暗黒物質や余剰次元、主に間接的な方法で新しい物理を探索するというものです。
 まず(1)についてですが、250GeV ILCによる実験が最も優位性を有するのは、ヒッグス粒子と素粒子の結合定数の精密測定です。ヒッグス粒子は現在知られている強い相互作用及び電弱相互作用による力を感じない、新しい力、そういう力しか感じない新粒子とも結合し得る性質があり、暗黒物質や通常の実験では検出不可能な粒子とも相互作用すると考えられる。結合定数を高い精度で測定し、標準理論のずれのパターンを見出せれば、新しい物理の性質に関する情報が得られます。その結果が、今後の素粒子物理学が進む方向性に示唆を与える可能性があります。例えば、暗黒物質の正体やヒッグス粒子が真の素粒子か複合粒子であるかどうかなど、現在の標準理論では説明が困難な課題に対して、ヒッグス粒子の結合定数の精密測定が、その解明の端緒を与える可能性があります。
 衝突エネルギー250GeVでヒッグス粒子の生成断面積が最大化されます。それに加えて、13TeV LHCで新粒子の兆候が観測されず250GeV ILCでのヒッグス粒子の精密測定に有効場理論が利用できることが明らかになった。これは少し説明が必要です。先ほども言いましたように、ゴールデンシナリオの場合の、新粒子がILCで発見できる可能性が非常に高いという、そういう場合はなくなったんですが、そのトレードオフとして、低いエネルギーには新粒子がないであろうということになりました。そういう前提を置きますと、結合定数の精密測定というものは、いろいろな素粒子に分裂する確率を測定しなくてはいけないんですけれども、その確率の分母となる全崩壊幅と言っているものが決定しやすくなります。従来は500GeVにエネルギーを上げないと決定できないと思われていたんですが、250GeVの測定だけで、あと有効場理論という、理論と名前を付けますと、何かモデルディペンデントな印象を与えるんですが、かなり一般的な仮定の下で、250GeVで全崩壊幅が決定できるということで、250GeVでのヒッグス粒子の精密測定に対して、実現可能性がより明確になったとなっております。
 一方、500GeV ILCから250GeV ILCへ衝突エネルギーを下げたことにより、前回報告において、ILC計画における重要な課題の一つとして挙げていたヒッグス粒子の三点結合(1つのヒッグス粒子から2つのヒッグス粒子ができる反応)の測定は、250GeV ILCではできなくなります。また、トップクォークの精密測定についても、衝突エネルギー350GeVが必要であることから、250GeV ILCでは実験が不可能となります。これについては、後ほどもう少し詳しく御説明いたします。
 (2)ですが、超対称性粒子などの新物理の探索、直接測定も含めて、それについては、前述の2017年末までのLHCにおける実験結果から、強い相互作用をする超対称性粒子については1.5TeV~2TeV以下に存在する可能性は極めて低いと考えられる。したがって、強い相互作用をする超対称性粒子と強い相互作用をしない超対称性粒子の理論的な対応から、予想される比から、LHCでは探索な困難なためILCで直接測定することが期待されていた、強い相互作用をしない超対称性粒子については、当初計画の500GeV ILCで発見できる可能性は低く、見直し後の250GeV ILCでは更に低くなります。
 一般に電子・陽電子衝突実験はLHCに代表される陽子・陽子衝突実験では検出が困難なタイプの新粒子にも感度があるが、新粒子が250GeV ILCで直接生成される可能性は低いため、主にヒッグス粒子の結合定数の精密測定や輻射補正の測定等の間接的な方法を用いて探索するということになります。例えば、これは、SuperKEKBとか、そういうところで行われている方法と同じような方法です。
 最後の(3)については、(3)というのは、その他カテゴライズされていた新しい物理ですが、それについては、ヒッグス粒子のインビジブル崩壊や一光子事象、標準理論粒子の対生成における輻射補正等を測定することで暗黒物質や余剰次元等の存在を見極める間接的な方法をとるので、250GeV ILCにおいてもその意義は余り下がらないとなります。もちろん、エネルギーは高い方が有利な探索もあります。ただし、例えば、ヒッグス粒子を介して間接的な方法をとる場合は、その生成断面積が最大となる250GeVの方が有利ということはありますので、余り変わらないということになります。
 3ポツ、13TeV LHCの結果を踏まえた250GeV ILCのシナリオ及び留意点です。
 科学的意義の観点から、13TeV LHCの結果を踏まえた250GeV ILCのシナリオは以下のとおりとなります。
 方針:ヒッグス粒子と他の素粒子の結合定数を精密測定し、標準理論を超える物理の解明の端緒となる事象を探索する。また、主に間接的な方法による暗黒物質や余剰次元等の探索も行う。
 効果:ヒッグス粒子と他の素粒子との結合定数の精密測定において、標準理論からのずれが観測された場合は、そのずれの素粒子ごとの大きさとパターンから、標準理論を超える物理の方向性とそのエネルギースケールが明らかになる。また、暗黒物質や余剰次元等が観測された場合も研究の大きな進展が期待されるとなります。
 留意事項が2点あります。
 最初の留意点。他方、13TeV LHCの結果から、ILCでは新粒子の直接探索による発見の可能性は低い。さらに、500GeV LHCから250GeV LHCへの見直しにより、トップクォークの精密測定は実施できないことに留意する必要がある。
 上記シナリオの妥当性については、技術設計報告書(TDR)検証作業部会において示される250GeV ILCのコスト見積り等も併せて検討されるべきものであるとなります。
 以上が報告ですが、別添があります。
 まず最初の別添ですが、これは前回の報告書の別添です。それをそのまま再度上げております。何が違うかというと、この赤で囲ってある部分が違うところで、赤で囲ってあるのは、今回、LHCで発見がない場合ということですので、その2つの場合が挙げられております。
 最初が、精密測定に対してのLHCで新粒子の発見がない場合で、備考欄を見ていただきますと、LHCで発見がない場合は、ILCしか他に手段がないとして、科学的意義は更に高まる、又は変わらないとの両論がある。LHCへの求心力が低下した場合は、標準理論を超える物理へのアプローチで、ILCでの精密測定に対する求心力が高まるとなっております。
 それから、超対称性粒子などの標準理論を超える新粒子の直接探索による新物理の研究ですが、LHCで新粒子がない場合、ILCで探索可能な新粒子が存在する質量領域は現在より狭まる。いろいろとあるんですけど、ここは、先ほども申しましたように、計画を見直して250GeVに下げておりますので、直接測定というのは、前回に比べて重点が下がっております。
 このような経緯を経まして、次の別添2に、今までの報告を分かりやすいようにまとめております。この表は、500GeV LHC(当初計画)と250GeV ILC(見直し後)の科学的意義の比較となっております。
 (1)(2)(3)(4)と、更に細かくその科学的意義について述べているんですが、まず1番のヒッグス粒子精密測定による新たな物理の探索というものは、前回両論併記だったんですが、作業部会での検討の結果、科学的意義に関しては上がったと判断しております。
 理由は、備考に書いております。LHC実験の結果、標準理論を超える物理を探る手段として、ILCにおけるヒッグス粒子の精密測定の科学的意義が高まった。
 ヒッグス粒子の精密測定により、標準理論を超える新物理の探索が可能であり、250GeVでヒッグス粒子の生成断面積が最大になる。
 これは新粒子の探索をあきらめたと言うと言い過ぎなんですけど、その可能性は非常に低くなったということとのトレードオフですけれども、精密測定に必要なヒッグス粒子の全崩壊幅は、新粒子が直接生成されていないエネルギー領域では、有効場理論を用いて決定できることが判明したということになっております。
 三点結合について、少し御説明いたします。三点結合は、これはヒッグスポテンシャルというポテンシャルの形を決めるのに非常に重要なんですが、それが標準理論からずれているかどうかというのを調べる、そういう物理です。250GeVでは実施不可能で、500GeVで実施可能なんですが、500GeVで測定できる精度というのがそんなに十分ではなくて、もし500GeVで測定できるほどずれていたら、精密測定でその効果が見える可能性が非常に高いということになっております。だから、ここでは、ヒッグス粒子の三点結合については表からも省いております。
 2番目、新粒子の直接探索ですが、これは繰り返しになりますが、LHC13TeVでの探索で新粒子が発見されなかったことから、理論的に対応する新粒子がILCで発見される可能性が低くなったということで、科学的意義が下がっております。ただ新粒子と書いてありますが、これは強い相互作用をする超対称性粒子のことです。
 3番目、間接的方法による暗黒物質や余剰次元等の探索について。これについては、先ほど言いましたように、間接的な方法というのは、エネルギーが高ければそれがよいというものではありませんので、科学的意義の変化としては変わらないとしております。
 最後に、標準理論における真空安定性の検証、トップクォーク質量精密測定というものですが、真空の安定性というのは、ヒッグス粒子の質量とトップクォークの質量、その2つを測らないといけないです。ヒッグス粒子の質量の測定については、LHCで十分が精度が出ると考えられております。ILCでも出ます。トップクォーク質量の精密測定について、LHC実験での最終的な測定精度、予想精度というものは、標準理論の真空安定性の検証が可能な程度に向上すると考えられるので、ILCでのトップクォークの質量測定の物理的意義は下がるとなっております。250GeVでは不可能なんですが。
 以上が報告です。
 それから、資料1-2について御覧ください。ILCと近い分野での最近の同様の国際プロジェクトの例ということを説明しております。
 そもそもこの議論を行いましたのは、最初の丸ポツにありますように、平成29年11月に公表されたLCB及びICFAの声明では、ILCと近い分野の最近の同様の国際プロジェクトの例として、ドイツにある欧州X線自由電子レーザーと反陽子・イオン研究施設が挙げられていることを踏まえて、素核作業部会において聴取した両プロジェクトの概要は以下のとおりということで、そういう声明がきっかけとなっております。
 まず欧州X線自由電子レーザー(European XFEL)ですが、これは12か国の国際協力においてドイツのDESYに併設され、自由電子レーザーの原理により過干渉性高輝度X線を発生させて、原子・分子・細胞などの微細構造の研究を行う施設です。
 建設費は12億2,000万ユーロ(約1,670万円)で、負担割合はドイツが約60%、ロシア27%で、その他の国々は一桁小さい負担割合となっております。
 経費ですが、2003年にドイツ政府が、DESYから提案のあったXFELについて、建設費の半分を負担する用意があることを表明しております。それから、国際交渉が開始されたんですが、なかなか難航しておったんですけれども、ロシアが2億5,000万ユーロの貢献を表明した結果、2009年に国際プロジェクトとして条約が調印され建設が開始されました。
 その後、完成が1年遅れた影響もあって、建設コストは条約乗員時から約13%増加しましたが、これは建設されたということです。
 同計画に携わった研究者の述懐として、以下の点が指摘されている。
 加速器建設のみならず土木建設の費用についても国際分担が行われたが、土木建設はドイツが全責任を持つ体制の方が手続の煩雑性を回避できたはずであるとなっております。
 次に、反陽子・イオン研究施設(FAIR)です。
 これは9か国の国際協力によりドイツのGSIに併設して建設中であり、重イオンビームによるハドロン高密度物質の研究や不安定核・宇宙核物理の研究、多種イオンビームによるプラズマ物理研究やがん治療等の応用研究、反陽子ビームによるハドロン物理の研究等を行う施設です。
 建設費は、XFELとほぼ同額の12億6,200万ユーロです。負担割合は、ドイツが約70%、ロシアが17%で、残りは一桁小さい値で各国が負担するとなっております。
 XFELと同じく、2003年にドイツ政府が、GSIからの拡張計画としてFAIRについて、建設費の4分の1は外国負担とすることを成立条件と決定しました。以後、政府レベルの国際交渉が開始されて、これも難航しておったんですが、ロシアが1億8,000万ユーロの貢献を表明したおかげで、2010年に国際プロジェクトとして条約が調印され建設が開始されております。
 その後は、軟弱地盤とか東日本大震災を踏まえた放射線安全基準対策等によるコスト増かが明らかになって、2014年、ドイツ政府は建設を中断するとともに外部評価により計画を見直し、2017年に再度起工式を実施して2025年の完成を目指しているが、協定調印時から完成は8年遅れ、コストは約23%増加していると、なかなか難航しております。
 上記外部評価に携わった研究者の述懐として、以下の点が指摘されております。
 プロジェクトマネジメントが機能しておらず、プロジェクト内の異なるグループや階層間のコミュニケーションが欠けていた。
 コストの増加や計画の遅れの主な原因は、土木建築(ドイツが全負担)の混乱であり、加速器や測定器の技術的な面は、それよりは良い状態であった。
 科学的な競争力は、計画の大幅な遅れによって明らかに低下しているとなっております。
 そもそもLCBとかICFAからこういう例が出されたのは、素核の部会でもちょっと戸惑いがありまして、なぜそんな例を出してきたのかということがありまして、そこにおける議論で、まず両プロジェクトともドイツ国内法に準拠した有限責任会社を設立する特殊な形態であることや既存の研究所に併設して建設されていること、さらに、FAIRについては国内プロジェクトから発展した多目的施設であることなどから、ILCと同様の例とならない部分が多いというか、ILCとの比較はなかなか難しいというのが素核部会の委員の意見でしたので、両プロジェクトを例示したLCBに対してその意図を確認しました。回答は以下のとおりです。
 2017年11月に開かれたオタワでのLCB会議で出されたILCに関する声明文において、リニアコライダーから派生したX線自由電子レーザー施設のXFELと、素粒子原子核物理施設のFAIRが、ILC推進議論を進めるために関連するとされた部分の2点は、両方のプロジェクトにおいてホスト国が、1、負担する割合が高く、2、まず施設を相当額の拠出をしてホストしたいという意思があると宣言し、国際協力の立ち上げとプロジェクトの推進のイニシアティブを取った。この2点を取り上げて、その例として挙げたということです。
 備考欄にももう少し詳しい説明がありますが、これは読み上げることはいたしません。
 以上が作業部会の報告となります。

【平野座長】  どうも、中野先生、ありがとうございました。大変丁寧に議論いただき、まとめていただきました。
 ただいままとめて説明いただきました内容について、御質問等ありましたらお受けしたいと思います。御自由にどうぞ。いかがでしょうか。

【観山委員】  すみません、少し遅れてきまして。
 中野先生、非常に丁寧に議論していただいたのをまとめていただいて、分かりやすいと思ったんですが。ただ、まず資料1-1で考えると、非常に淡々と述べられているんですが、1つは、500GeVを250GeVにしたという効果と、もう一つは、LHCのこの前からの状況を見ての判断ということなんですが。250GeVにしたとしても、巨大な計画であることには変わりはないわけで、何か印象なんですが、もしもこれができたとすると、素粒子化学ですごいブレークスルーが分かるとかいう雰囲気がちょっと感じられないんですが、それはうそですか。

【中野委員】  多分、その印象を観山先生が持たれたとしたら、僕の失策で、後ろから刺されるような感じがするんですけど。そういうことはありませんで、ゴールデンシナリオにならなかったのは確かです。これから新粒子をどんどん見つけていきましょうということにならなかったのは確かで、いろんな道があったんですが、険しい道の中では、やっぱりILCが王道であろうというのが議論です。
 それで、これはもうILCを推進しようとされている方に工夫していただくしかないんですけど、標準理論からのずれのパターンというのが非常に分かりにくいというところがあるんですけれども、実際のところ、ヒッグス粒子がどのような粒子に崩壊するかというのは、標準理論の範囲内だと質量と1対1の関係がある。質量さえ分かれば、どういうふうな確率で崩壊するか分かっているんだけれども、それを超える理論があると、特に超対称性理論が成立すると、それよりも確率的にはダウンタイプのものにたくさん崩壊する。たくさんというか、結合定数が強くなる。ヒッグス粒子は複合粒子で、点粒子でなかったら、その結合定数が小さくなると。そういうような一般的な理論的な予言があって、そういうところが解明できる。
 標準理論を超える物理はいろんなところで探索されておりますけれども、標準理論が破れているということは分かっても、その理由が何かというところまで詰めることができるという研究はなかなかないので、そういう意味では、今現在、標準理論の破れ、綻びが見えていない段階でどういう方法をとるかということを考えたときに、道は若干険しいですけれども、現在のところ王道であろうと考えております。
 作業部会では非常に活発な議論がありまして、熱い議論になったんですが、こういうふうに文章にまとめてしまいますと、若干淡々とした説明になってしまいます。

【観山委員】  だから、もうちょっと、特に別添2の星取り表で見ると、下がったのが2つで、上がったのが1つで、変わらないが1つだとすると、雰囲気的には随分下がったのかなという感じがするので、多分、(1)がすごく重要なことなんだと思われるのであれば、もうちょっとそこら辺がしっかりと。もともと難しい話なので、みんなに――みんなが対象が誰なのかは非常に難しいですけれども、そこら辺は注意深いあれが必要かなと思いました。

【中野委員】  ありがとうございます。全くそのとおりで、今回の議論で一番重要なのは、この1番のヒッグス粒子の精密測定ですね。それも結合定数の精密測定が一番重要であるということになっております。
 意図したわけではないですが、備考にたくさん書きました。面積的には広がっております。

【平野座長】  よろしいでしょうか。そのほか、どうぞ。

【森委員】  1点だけお伺いしたいんですが、250GeVで作ったとして、その後、何か必要があれば500GeVにパワーアップすることは可能なんでしょうか。

【中野委員】  それは可能だと思います。ただ、今回はアップグレードについては議論しておりません。

【平野座長】  よろしいでしょうか。どうぞ。

【徳宿委員】  観山さんの印象ももっともだと思いまして、この委員会の中でも大分議論したのも確かです。でも、LHCのRun2の結果というのがやっぱり非常に大きなインパクトでありまして、LHCで低いエネルギーに何か出てきたら、それを狙い撃ちにするということがあるわけですけれども、それがないという状況がはっきりしたということです。これは素粒子の方で研究する上では、ヒッグスに本腰を入れて、できるだけ精度よく測るというのが今のやり方の王道だというのがはっきりしたのだと思います。それで、ヒッグスについての科学的意義が上がって、その上で、できるだけコストも下げてスリム化するというところで、ほかのところを犠牲にして下げるということにより、250GeVが提案されたという結果が出ているのだと私は思っています。

【平野座長】  そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【岡村座長代理】  新粒子は見つかるのが難しいというので、精密測定ということがテーマになっていると思いますが、実験のイメージについて教えてください。例えば、結合定数をいろんな素粒子と調べる実験をやるときは、実験のパラメータを変えた実験をやるのか、それとも、1つの実験をやって、それから、いろんな解析の仕方で調べるのかというのが、まず分かっていません。
 それから、検出装置というのは、例えば、ヒッグスのときのように、違うグループが2つ作って、独立に検証するのか、あるいは、いろんな性能を持っている1個の装置を、いろんなグループが協力してそれぞれの実験目的に合わせて分担して作るのか。そのあたりが分かっていません。今後いろんなお金の掛かり具合を考えるときに、実験の具体的イメージが何となしに私自身はよく分かっていないなと思ったので、御説明いただけるとありがたいと思います。

【中野委員】  まず僕から説明します。足りない分があったら、徳宿委員から追加していただきたいんですが。
 まず実験ですが、電子と陽電子をぶつけまして、いろいろなことが起こります。その中のヒッグスができたという事象、我々はイベントと呼んでいるんですが、そういうものをたくさん集めまして、それが最終的にどのような粒子に壊れていくかというのを見ます。だから、測定装置としては、できたものを全て見つけないといけないので、新粒子を探索する装置と全く同じです。だから、装置自体は変化ありません。いろんなことが起こっているということを見るわけですね。
 それぞれについて、どういう確率で起こっているかということを測定するというのが、その実験の方法です。だから、先ほどから新粒子についてかなりネガティブなことを言っておりますが、常に自然は我々の予想を超えておりますので、たまたまそこに新粒子があれば見つかります。だから、そういう測定器になっております。
 次に、装置についてですが、現在の計画では、2つのグループが装置を建設すると聞いております。それがLHCの場合は、衝突点を2つ作りまして、その2つで測定するんですけど、ILCの場合は1つですので、測定器を入れ替えながらということで。

【岡村座長代理】  入れ替える。2つ置いておくのではなくて入れ替えるのですね。

【中野委員】  サンダーバードみたいな、例えが悪いかもしれませんが、動かして入れ替えると聞いております。それでよろしいですか、徳宿さん。

【徳宿委員】  はい、それで結構です。

【岡村座長代理】  じゃ、実験のパラメータとしては変わらなくて、例えば、250GeVなら、それでもうともかくやって、事象をたくさん集めて、それでいろんなことを調べるというので、実験のパラメータを変えていろいろ実験するという話ではないんですね。

【中野委員】  ないですね。エネルギーをいろいろ変えながら測定するというよりは、コミッショニングのところで変えるときはあるかもしれないですけれども、250GeVにエネルギーもセットして、ヒッグス粒子を一番たくさんできるところで何が起こるかというのを測定するというのが実験スタイルになっております。

【岡村座長代理】  ありがとうございます。

【平野座長】  そのほか、いかがでしょうか。

【京藤委員】  ちょっとお尋ねしたいんですけれども、内容はなかなか素人ながらおもしろいなと思っているんですけれども。500GeVから250GeVにして、生成断面積が最大になるというんですけれども、これは半分にした理由がそれでやられたのかというのと、生成断面積が最大になるという効果はあると思うんですけれども、これは250で最大になるというのは、どれくらい500GeVに比べてなるということにしているんでしょうか。

【中野委員】  2番目の質問については、ぱっと出るほど詳しくないというか、図案を見たのでおぼろげながら覚えているんですけど、多分、1.5倍ぐらいですかね。

【京藤委員】  1.5倍ですか。

【中野委員】  はい。それで、250GeVで最大になるというのは、今分かっている標準理論のモデルの計算で、かなり確かだろうということになっております。

【平野座長】  そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 今、大変重要な御質問と御回答を頂いております。恐らく、これ、ずっと500GeVの頃から議論をしておられる委員ばっかりですので、内容の経緯が分かりながらであろうと思っておりますが。国民と言ったらちょっと失礼なんですが、外の方々が、500というのを聞いておられた方が、250になったら何がどうなのか、予算のために下ろしたのか、しかし、そこではどういう残念なことがあり、一方では特長があるのかということは、これは事務局としても整理をしていただいて、最後のまとめのところでは皆さん方に確認をしていただいた方がより分かりやすいだろうと思っております。
 そういうまとめでよろしいでしょうか、中野先生。

【中野委員】  はい、結構だと思います。これはお金のために半分にしたというのはありませんで、あくまでも生成断面積が最大になるということと、それから、新粒子が250GeVまでにはなさそうだという、その2つの点ですね。それでこのエネルギーが決められていると考えていただいてよろしいかと思います。

【平野座長】  恐らく経緯をどこかでちょっと見ると、この有識者会議としての責任なんですが、これはきちっとデータを、議論は皆さんに極力分かるように、生の考えを入れながら出すべきだと考えて議論しておりますので、是非、そのところは入れていきたいと思っております。
 ややもすると、コストの問題かなとだけ思うかもしれません。そればっかりでなくて、きちっとエネルギーもまず第一段階として重要なポイントとして決めているのだということが分かるようにはまとめておきたいと、思っております。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。
 では、続きまして、もう一つの作業部会である技術設計報告書(TDR)検証作業部会での審議状況について、座長の横溝委員から御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

【横溝委員】  それでは、資料2-1を説明させていただきます。
 まず最初のところは経緯が書いてありますので、これに関してはスキップさせていただきます。
 1ポツ、当作業部会で聴取したILC計画の見直しの概要から説明いたします。
 まず国際研究者コミュニティによる見直しの提案が最初ありまして、250GeV ILC、これをOption Aとして提案されました。
 その中に、その後将来的に350GeVまで拡張しますというのをOption B、さらに、500GeVまで拡張しますというのをOption Cとして提案されています。この部会では、Option Aだけを検討して、BとCは検討しないということで対応させていただきました。
 それから、(2)研究開発を踏まえたコストの削減。現在も技術開発しておりますし、今後も準備期間で開発するということを見込んで、加速勾配を上げるとか、いろいろな技術開発をすることの結果安くなるということを予想していまして、それをOption A’として定義しております。
 それから、土木・建築等に関しては、トンネルの長さが33.5キロメートルから20.5キロメートルに短くなる。それから、断面が11メートルの幅から9.5メートルに縮小しています。それから、ビームトンネルとクライストロン電源等が置かれている中央に遮蔽壁があるのですけれども、この厚みを3.5メートルから1.5メートルにする。これによって、運転時はアクセスが制限されることになりますけれども、建設コストを削減する努力をしています。
 さらに、3番目ですけれども、TDRでは地上から地下へはアクセストンネルを経由していたのですけれども、見直し後は、衝突点の物理実験・測定器の組み込みは立坑経由にすると。クレーンで機器類を搬入するということで、作業効率の向上を図られています。
 これらの見直しに伴って労務費も下がりまして、当初の22,892千人時が17,165千人時に縮小されています。これは資料2-2で人員表をまとめておりますので、後で御参考に御覧いただければと思います。
 2ポツ、当作業部会で聴取した見直し後のILCの見積りの概要です。この概要を細かくここに記載しておりますけれども、最後に表を付けておりまして、この表で御覧いただければと思います。
 一番左に項目が書かれておりまして、(1)~(3)が前回のTDRに記載されている項目になっております。本体の建設費は、9,900が今回の見直しによって大幅に下がるということになっております。それ以外の(2)の方は、そのまま変わっておりません。それから、(3)の不定性相当経費、これは見積りの不確定さを表現して、25%曖昧性が残っていますよということを言っているのですが、これも変わっておりません。
 それ以外に、その下に年間運転経費、これが366~392億円、これは加速器自身が小さくなりましたので、下がることになっておりまして、労務費もそれに伴って下がっております。
 5番目は、その他の付随経費で、特にTDRでは具体的に書いていなかった部分ですけれども、今回は準備経費ということで、233億円が算定されています。これ以外にも、TDRでも指摘して、検討していないものを指摘してありましたけれども、そこで指摘したもの以外に今回指摘しているのは、建設廃棄物処理、湧水処理、電力引込み等や受変電設備のエネルギーサービス事業化、低圧電源設備等が、まだ見積りが抜けていますということを指摘しております。
 6番目は新しい項目で、コンティンジェンシーというのが提案されておりまして、これは全体の10%程度を入れるというふうになっております。
 それから、実験終了後の解体経費に関しても、当初なかったことですけれども、年間運転経費の2年分程度を考えたいということが、ここで新たに示されております。
 それで、前回の500GeV ILCと比較しますと、総額で1兆912億円だったのが、これらを足していきますと、7,355~8,033億円に下がっております。この幅があるのは、土木関係ですと、現在、震災復興とオリンピック特需で工務費が非常に上がっているということで、高い単価になってしまう。ただ、今後は下がっていって平準化されるのではないかということで、ある程度の幅を持って見積りをさせていただいております。それから、加速器の部分ですけれども、これはOption Aの見積価格と技術開発がうまくいってOption A’になったときの見積りで値段に差がありますので、これでコストの幅が生じております。それを足した結果が7,300億~8,000億円の幅ということになっております。
 それでは、元に戻りまして、4ページまでずっと説明したことになります。4ページの下の方の3ポツ、コストのリスク要因や技術上の課題に関してから説明を続けさせていただきます。
 前回報告でも、「建設開始まで準備期間(4年程度)を設けて、技術的課題の解決、必要な人材を養成することが必要である」ということにしておりましたけれども、これを受けて提案されたのも、KEK-ILCアクションプランを策定して、4年間で技術の開発をしていきますということで、その項目も提案されまして、233億円、これは一部を国際協力で対応することにもなっております。
 それ以外に、今後指摘することに関しては、加速器の技術、トンネル建設、地震対策などに関するいろんな課題は、準備期間中の実証、実地でのトンネル建設等が開始されても、それらの状況を踏まえて仕様等の見直し、最適化を図る必要がある。ということで、いろいろな検討はされてきておりますけれども、これらの性格上、具体的にコストを見積もるというのは難しいということで、基本的にコストは明示しておりませんで、リスクはありますよという、そういうことだけの指摘にとどめております。
 (1)前回報告で指摘した課題への対応状況及び追加の指摘事項ということで、前回指摘した課題に関しては、かなり頑張って検討を進めていただいている部分もありますし、まだ幾つかに関しては検討が十分でないというのも認識されております。
 その主要事項を説明しますと、丸1、コスト面でのリスクに関する課題。この最初のところは良好事例ですけれども、超伝導加速空洞のコスト削減に向けて、日米共同研究によって「低コスト・ニオブ材料の活用による超伝導高周波空洞材料の低コスト化」及び「低損失・高電界実現のための超伝導高周波空洞の表面処理」という技術開発をしていまして、これはコストの削減が見込める技術開発になっております。
 2番目ですけれども、大量の高純度・高品位のニオブの必要性に加えて、今回の見直しで加速空洞が半分になったということ、それから、コスト削減R&Dでニオブ材料をインゴットから直接スライスする工法によって生産性が向上する、ILCで必要とする品質、調達規模に見通しが得られるような状況にもなってきているということで、これも非常に良い事例になっております。
 先ほどもちょっと指摘しましたけど、見積りから漏れている部分で新たに指摘しているものとしては、建設廃棄物の処理、湧水処理、ES事業化などをここで指摘しております。
 それから、コンティンジェンシーは10%、それから、解体費用が2年分。解体費用に関しては、更に精度を高めるということと、見積りを超過した場合も含めて、この費用の国際分担の在り方についても検討すべきであると考えました。
 丸2、技術面での実現可能性に関する課題。
 前回報告以降、ヨーロッパX線自由電子レーザー(E-XFEL)がユーザー運転を開始したということで、ILCが求める超伝導加速技術はかなり技術的な見通しが向上した。ILCと比べて10分の1の規模ですけれども、かなり実績が上がってきているということは言えると思います。一方、そのコストが当初予想していたコストより10%増加しているということが指摘されていまして、これらのコストアップの要因を検証して、ILCのコスト精査に反映してほしいと指摘しました。
 性能実証が不十分な機器として、ビームダンプ、陽電子源、電子源、ビーム制御、ダンピングリングの入出射システム等は、いまだに課題が残っている事項になっております。
 特に、ビームダンプに関しましては、衝突エネルギーが下がった、半分になったということで、設計尤度は増しておりますけれども、依然としてハイパワーであるということで、特に窓の耐久性、窓の定期的な交換作業技術、耐震性能等も含めまして、本準備期間においてビームダンプとしての技術を完成する必要があります。
 それから、陽電子源は、幾つかの方法を検討していますけれども、ヘリカルアンジュレータ方式では、ガンマ線を照射するターゲットの熱負荷対策や、ターゲットの交換方法などが開発途上の技術であって、開発コストも含めて技術の選択をすべきと指摘しております。
 ILCは、巨大かつ複雑な加速器システムであって、長期間の安定な運転に耐え得る性能が求められているということを踏まえまして、本準備期間において技術実証の目途を付けることが肝要であると考えています。
 丸3、建設・運転・マネジメントにおける人材確保に関する課題は、この有識者会議のところに部会を作って、「人材の確保・育成方策の検証に関する報告書」としてまとまっていますので、この部会では議論はしておりません。
 (2)今回の当作業部会において特に抽出して検証した事項。ここでは、ILCを建設・運用する際に検討すべき法的な規制、過去の事例を参照しつつ想定される様々なリスクについて、野村総研が行った調査結果も踏まえて検討しております。
 丸1、土木・建築関係ですけれども、掘削工事においては、大量の掘削残土が発生する。その早い段階で有効利用や処理方法、処理場所の確保をしておく必要があるでしょう。特に、掘削残土に何が出てくるか分からないというところがあって、重金属等が含まれている場合には、処理方法等を含めて、関連機関との事前協議が重要になってきます。
 それから、坑口部は地表面に造ることになるということで、工事中や運用中の周辺環境に与える影響が大きい。工事対象となる坑口周辺や掘削残土の捨場等において、事前の環境調査を適切に行い、法面崩壊、土砂災害の対策を行う必要もあります。
 トンネルの中央遮蔽壁の厚さを3.5から1.5メートルに縮小したことによって、加速器のビーム運転中はメンテナンス等の作業に立ち入ることができなくなったということで、運用上の支障にならない工夫が必要になっています。
 放射線防護に関しましては、トンネル周辺の土壌や地下水に、ビームラインからの放射化の影響を受けないために、ビーム損失は小さいという前提で、ビームライナックの主なところは損失が小さいということで、トンネル壁は厚さ30センチのコンクリで覆うことでよいとされています。これは構造強度上の必要な厚さであって、放射化に関しては、もっと低いレベルでいいということですけれども、こういう前提は、特にビーム損失が前提を超えないように加速器や制御システムの信頼性を上げること、信頼性の高いビーム損失モニタ等を装備するなどの配慮が重要になりますよということです。
 現時点で、実験終了後の施設の取扱いについての検討は深まっていない状況ですけれども、ビームダンプをはじめ、放射化された実験装置や空洞について、実験終了後も含めた長期にわたる維持管理方法の検討が必要になっています。
 地震対策。地下構造物の耐震設計に関して、明確に規定されている法律や規制類は存在していないようであります。しかし、衝突実験ホールやその周辺は、一般見学者も出入りする可能性があるということで、地上建築構造物に適用されている建築基準法等が耐震設計として求められる可能性があります。また、それが適用されないような部分でも、管轄自治体との協議結果によっては、同様な耐震に関する基準類が適用される可能性があることに留意が必要となります。
 他方、施設設備については、土木学会により示されたガイドラインを踏まえた耐震性能の確保を基本方針として位置付けています。また、近年の大規模地震によるトンネルの損傷事例も鑑み、覆工コンクリートの損傷・剥離などを防止する観点から、耐震補強の導入を提案の中にも想定されておりまして、これらの対策を確実に行うことが重要と考えます。
 ILC施設はトンネル全長が長大であるということで、個々の施設・設備が設置されている地盤は均質堅固な岩盤とは限らず、部分的に断層・弱層に近接する場合や、地震で湧水量が急増する可能性なども否定できないため、現地の詳細な調査・試験を行って、その結果を踏まえた地下構造物の設計を行う必要があります。
 特にメインライナックトンネルにおいては、全長にわたって所要の性能レベルの地震時安定性が確保されるとともに、排水、給排気、照明、通行、通信等の基本的機能が常に維持されるように設計を行う必要があります。
 いまだ耐震性能の具体的な検討に至っていない一部の施設設備については、詳細な検討が必要と考えます。
 湧水対策。空洞掘削時に遭遇する地山状況は事前の調査では把握しきれないことも多々あります。このため、施工中に岩盤剥離や大量湧水などの変状現象に遭遇した場合は、建設工事の費用や工期に大きく影響するリスクがあります。
 特に、湧水に重金属等が混じっている場合には、そのまま流すことができないので、当該区間を特定し他の湧水とは分離して、個別に処理する設備及びコストが掛かることに留意が必要となります。
 現在の見積りは、地下水が一様にしみ出す前提での設計に基づいておりますけれども、花崗岩地盤における地下水の流れ方は一様ではなく、局所に偏在するため、水量が局所的に増える可能性がある。それに対応するための新たな処理システムと設置工事等の費用が必要となるリスクがあります。
 環境影響。ILC設備は、大部分が地下空間に設置されるため、地上施設に比べて、環境影響評価法に規定する環境アセスメントの適用範囲が狭くなるということも考えられます。一方で、ILC施設は、建設や運用面で環境に与える影響が大きいということから、法令を遵守するということだけではなくて、十分な環境アセスメントの実施や社会への説明責任を果たすことが重要となっています。
 地下空間の建設に伴い、周辺地下水が集まることもあり、地質条件次第では、広範囲にわたって地下水位が低下するなどの現象が生じる可能性もあります。このため、建設工事の前後や途中段階において、植生や生態系、小川・沢の水量などを入念に調査して、工事の影響を把握するということも必要となります。
 環境アセスメントは通常3~5年程度は必要となっていますけれども、想定していなかった問題に遭遇することも多々あるため、更に長い期間を要する可能性も留意しておく必要があると考えます。
 説明は以上です。

【平野座長】  ありがとうございます。大変貴重な御議論を頂きまして、懸念される項目をも洗い出していただいたことに感謝いたします。
 ただいまの御報告に御質問等ございましたら、是非、御自由にどうぞ、お願いします。いかがでしょうか。どうぞ。

【中野委員】  質問ではないんです。コメントなんですけど。先ほど資料1、2で説明したEuropean XFELで、TDRの報告書の6ページに書いてある費用が、XFELで約10%増加しているという理由ですね。これについては、これは徳宿委員から説明があったと思うんですけれども、工期が遅れたということで、それの主な原因は、ドイツが全てを行わずに、土木作業についても分担したということが主な原因になっているという、そういうことだと思います。
 余り参考にならないかと思います。かなりこういうことも参考になるかなという感じがします。

【平野座長】  そうですね。国際的なところの対応ですから、当然、参考にしなければいけないと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【京藤委員】  私も民間で新しい機器の開発をやっているんですけれども、非常に最近困ることが多くて、日本の企業の人材の高齢化で、対応できなくなってきていると。それから、もう一つは、大企業もやっぱり収益率を上げるために、こういう、国のためにはいいんだけれどリターンの来ないやつはもうできるだけ取らず、もしやるんだったら海外、例えば、中国なんかに委託しちゃうというようなことがだんだん起きるのではないかと思うんですよ。
 それで、問題は、税金を使うときに、何のためにこれをやるんですか、税金を落とすんですかというときに、科学的意義があるからどこでもやってもいいのではないかと割り切るぐらいにやらないと、さっき言われたように、工期が遅れちゃうとか、そういうことも起きるので、そういう点をどう腹づもりでやるかというのは。
 今までは良かったんですけど、これからはその辺もちゃんと頭に入れてやらないと、後々いろんなことがあって、ほとんどが海外のときにお金が下りちゃったのではないかとか、そういうことになって。それから、育成もできないので、高齢化の問題も起きているし、私どももやっていて、二、三年後にはもう撤退しちゃったとか。そうすると、新たにまた開発要素が出てくると、指導もしなければいけない。そういう人材の高齢化に対するリスクをどう考えるかとか、企業の事業撤退のリスクに対してどう考えるかと。
 これ、逆にすると、それによるコストアップというのは、期間の長期化もあるんですけれども、そういう問題が日本の今の現実では起きているんです。今までは良かったんですけど、ここ二、三年、めちゃくちゃに激しくなってきまして、我々みたいに小さなベンチャーをやっていても、もうその壁にぶち当たっていると。海外と一緒にやらざるを得ないということが起きてしまっていますので、その辺は、長期的な大プロジェクトなので、そこの視点を相当入れておかないと。
 民間だといいんですけど、国としては、税金をどこに落とすんだという話になってしまいますので、そういう面でも大きいかなと思うので、それはリスク要因として。いや、納得していればいいんですけど、知らぬ間にやっちゃうと、後々大きな問題になっちゃうということが、ちょっとお聞きして気になった――聞いただけではないんですけれども、気になる点と。
 それから、もう一つ言わせてもらうと、もんじゅの解体の炉を、私、見てきたんですけれども、余りにも神経質で、管理を厳しくしちゃっているんですけれども、実態は、数ミリ削ったら、ほとんど放射線は出ないんですよ。なのに、それも管理しなきゃいけないというような雰囲気になっているんですけれども。そういう廃棄物のコンセンサスをもっと科学的に説明して、無駄なことをやらないというのも、こういうところでも住民運動なんか起きると思いますので、その対策も考えるというのが必要かなというのは昨今思ったことがあって、その2点だけ、もし考えていただくなら考えていただいた方がいいかなと思います。
 以上です。

【平野座長】  ありがとうございます。
 今御指摘のような議論はされたんでしょうか。

【横溝委員】  いや、特にはしておりません。

【平野座長】  そうですか。是非……。はい、どうぞ。

【森委員】  今のお話の裏返しのようなものですが、この以前の議論では、技術開発だとか人材育成の波及効果のようなものが結構議論にあったと思うんですよね。ちょうど今の話はその裏返しで、それがなくなることによって、波及効果も同時になくなってしまう。これは後の方の経済波及でも同じような形で出てくるんですけれども。この本体だけではなくて、これまで幾つか可能性としての科学に対する波及効果の議論はありましたので、それがプラスになればプラスメリットになり、失われればまたリスク要因にもなるということを、これもどこかで触れておかれた方がいいかなと思います。

【平野座長】  ありがとうございます。重要なところだと思いますので、この報告の中に今のような観点からまた入れるということを考えておきたいと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【岡村座長代理】  質問ですけれども、トンネルの断面が幅11メートルから9.5メートルになったというのは、何らかの条件を課したからそういうふうになったということなんでしょうか。

【横溝委員】  基本的には、真ん中に遮蔽壁というのが3.5メートルあったのですけれども、そうするとビーム運転中もメンテナンスのために電源の領域に入れたんです。今度は運転中は入らないことにしたので、壁厚を1.5メートルに削減でき、トータルのトンネルもそれで幅が減りました。

【岡村座長代理】  これは将来に延ばすというときも、9.5メートルのままで延ばすという理解で良いですか。

【横溝委員】  そうです。そのまま延ばしていくということになります。

【平野座長】  よろしいでしょうか。どうぞ。

【道園教授】  ちょっと補足説明させていただきます。
 一番最初のXFELの10%と13%の記載の違いについてなんですけど、中野先生おっしゃったとおりなんですが、建設費に関して言うと、プラス6%です。1年の遅れによる人件費も含めると、建設費に比べてプラス14%になるんですけれども、その平均の10%を取っていると、そういうことです。
 もう一つ、もんじゅの例のお話があったんですけれども、我々のILCの中で一番放射化がひどいと思われているのは、ビームダンプの部分になります。こちらについては、シミュレーションを行った結果、いわゆる加速器の放射化物の取扱いは明確な規定がない状態なんですが、いわゆる原子炉に対応するもので比較しますと、L1、L2、L3というレベルがあるんですが、一番低いL3のレベルに一応解体当初の時点から入るというようなものです。ですので、いわゆる原子炉と比べると、ILCの一番放射化がひどいビームダンプのところでも大きな放射化はないと、そういったものになっているということは検討されております。

【平野座長】  よろしいでしょうか。どうぞ。

【伊地知委員】  2点伺わせてください。
 一つは、6ページの技術面での実現可能性に関する課題のところです。本準備期間において技術実証の目途を付けることが肝要である等々の書きぶりがされていらっしゃるのですが、それは所定の期間があれば、その中において技術が完成する、あるいは実証がいくというものなのか、それとも、やはりある程度の期間が掛かるということが見込まれるものなのか。準備期間というのは一応想定されていると思うのですが、そこに収まるのかというのが1点です。
 もう一つは、7ページの一番下のところの放射線防護で、長期にわたる維持管理方法とあるのですが、長期といったところの時間のスケールは具体的にはどのような形ででしょうか。

【平野座長】  よろしいでしょうか。

【横溝委員】  準備期間中に技術開発でやる項目は具体的に挙げられているのですけれども、実は、トータルのシステムとしてやる部分というのは、どうしても実機ではないとできない。その中で一番重要なのはビーム制御というか、ビームの衝突点でのリアルタイムのビーム制御というのは非常に難しいものになっております。だから、そういうのも含めて、全部準備期間でできるかというと、なかなかできない。ただ、コンポーネントでやる部分に関してはしっかりやっておいてくださいというのが、ここでの指摘になっています。
 それから、ビームダンプに関しては、提案されているのは、廃棄物を置いておく施設を造って、そこに安全に当初は管理しますという、そういう方針は示されているのですけど、その先になると、国の廃棄物の管理の方針にも関わる部分もあるのかなとは思います。そういう意味で、この長期の表現は曖昧になっている状況なのですけど、それでよろしいですかね。

【道園教授】  基本的には、デコミッショニングの後も、資産として、例えば、超伝導空洞でありますとか高周波源というのは重要な資産ですので、再利用を考えております。ですので、再利用を前提にして取り出し・保管をする。取り出しても、ただ置いておくだけでは資産としての価値がなくなる可能性がありますので、再利用があるときに使えるような保管が必要です。もう一つは、横溝先生がおっしゃったように、放射化しているものに関して、どのように管理するか。多分、この2点があると思いますが、基本的には、ほとんどの加速器の部分は再利用できるもので、また、再利用するべきだと思っております。

【平野座長】  よろしいでしょうか。そのほか、どうぞ。

【横山委員】  恐れ入ります。9ページの環境影響のことについてお伺いしたいんですが、候補地を決めるときに、九州と岩手のこちらの候補地を地質調査されて、岩手の方が科学的に地質がいいということでお決めになったと伺っております。そこで分かっていることと、更に環境アセスメントをして地質を調べることについてどのように理解したらよろしいのでしょうか。より広範囲に入念に調べた結果、地質の条件で更に周囲に環境負荷が掛かるということが新たに分かるということになるかもしれないという、そういう御示唆でしょうか。よろしくお願いします。

【横溝委員】  ここでの議論の範囲は、具体的にどこに造ると決まったときに、詳細に地質の断面の調査とか、水位がどうなっているかとか、そういうのは当然やることだと思っていまして、そういう範囲を含んでいます。
 選定のときの調査というのは、もっと広範囲に、そんなに詳細にではなくやっているのかなと思うので、実際建設を始めるときとちょっと調査の質が違うのかなと思います。何か具体的に、宮原さん。

【宮原特別技術専門職】  お答えします。ILCはやっぱり非常に規模が大きい施設であるということがありますので、ILC、あるいは加速器施設に限らず、あらゆる開発行為、緑地を開墾して敷地造成をして建築物を造る、あるいは、地下でも地下深部に長大なトンネルを建設する、地上で相当規模の工事が長期間にわたって行われる、あらゆる分野において、開発前と工事中と完了後のオペレーション時にどういう環境が変化していくかという、そういうことをしっかりと把握して事業を進めるというのが、もう社会的な責務でありますので、ILCについても、将来建設サイトがしっかりと定まって、しかるべき地質調査、環境調査というのが十分に行われるべきであるという、そういう一般的な議論が審議されたと理解しております。
 以上です。

【横山委員】  ありがとうございます。恐らく、多くの方が環境影響はほぼないと思っているのではないかなと想像しますので、しっかり調査されることはもちろん賛成でございますし、初期段階からなるべく多くの方に参加していただいて、慎重に進めていただくことを希望したいと思います。ありがとうございます。

【平野座長】  大変重要なことだと思いますので、この点については、ここで議論して、報告を作業部会から頂いておりますが、きちっと中に入れるのは当然ですが、その背景も入れておかなければいけないと思っています。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうぞ。

【京藤委員】  もう1点。ちょっと外れているかもしれませんけれども、資料の見積りのところで、年間運転経費なんですけれども、最近、民間もみんなAIとかIoTを使うとかなりコストダウン、人件費は要らなくなるとか。そういうのを見積もると、これはもうちょっとポジティブに考えると、半分ぐらいの価格で運営するチャレンジするんだというつもりでやってもいけないことはないかなという感じはするんですけど、いかがなんでしょうか。

【平野座長】  いかがでしょう。

【横溝委員】  そこまで想定していなくて、検討していないのですけど。

【京藤委員】  今後ね。ここ一、二年すごいんですよ。コストダウンにつながっていて、例えば、事務経費なんかはもう3分の1とか5分の1に落とし込めるレベルに来ているし、保守点検なんかも、企業はもうリターンを得るために、コストダウンとかってAIを使って、かなりもう下がっていると。そうすると、そういうのはうまく取り入れていくと、少しでも年間経費を安くするという意識は持って設計していった方が、モチベーションも上がるのではないかと思うんですけれども。

【横溝委員】  分かりました。この議論の中ではそういうことは具体的にはやっていないのですけど、今後の方向としては、こういう努力をしていくということを入れていただくとよろしいと思います。
 内訳としては、労務費と機器の高経年化に対する費用があるので、その一部分がそういうふうに置き換わっていく可能性はあると思いますけど。

【京藤委員】  ですから、今、AIを使ってかなりいくのは、できるだけ長寿命で使っていくと。今までは何年で取り替えるを、ぎりぎりまで使える予兆を見ながら取り替えていくと、それによるコスト効果というのも出てきますし、そういう意識を、せっかく最先端をいくんだったら、その最先端を導入するんだぐらいの意気込みで検討していただくといいかなと思います。

【道園教授】  よろしいですか。資料2-2のところに、建設時期の人材見積りというのがあるんですが、基本的には、御指摘のとおり、以前のTDRのときから、いわゆるAIの活用とか、そういったものは入っておりません。この建設に必要な人材見積りも、例えば、事務の方とか、そういったものは全部入っているんですが、AIとかを取り込むことで、効率的に人材活用するというのは、確かに重要なコメントだと思います。

【平野座長】  今の点については、重要なことだと思います。どれだけリダクションできるかという見積りは難しいだろうと思いますけれども、今後、そのAIの適用によって、労務費の一部については、あるいは、メンテの状況については反映が可能であろうということは入れ込んでおいた方がいいだろうと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
 どうも、貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。
 続きまして、議題2ですが、経済的波及効果の委託調査の再計算についてであります。
 これは検討事項として、ILC計画に関する技術的・経済的波及効果等に関して委託調査を行って、平成27年度の議論の取りまとめに盛り込んであります。
 このたびのILC計画の見直しに伴いまして、特に経済的波及効果について、再び計算をし直す必要がありましたので、その結果について、調査を実施した野村総研より御報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【佐竹上級コンサルタント】  ただいま御紹介いただきました野村総合研究所でございます。今回、部長の神尾と私、佐竹で、このたびの再計算を担当させていただきましたので、その結果を御報告させていただきたいと思います。
 資料3-1のパワーポイントの資料がお手元におありになろうかと思います。そちらと、先ほど御紹介ございました費用の比較表、資料2-1の11ページにございます一覧表、こちらが計算根拠になっておりますので、こちらと私どもの作成いたしましたこのパワーポイントの資料と一部見比べながら見ていただけますと、御理解がしていただきやすいかなという部分がございますので、こちらもお手元に置きながらお聞きいただければと存じます。
 それでは、まず再計算の枠組みについて御紹介申し上げます。基本的には、2014年度に計算をさせていただいた前提・枠組みと大きくは変わりません。推計の前提といたしましては、今、こちらに示しております6つの前提を置いて計算しております。
 1番目として、ILCを効果発生源とするILC固有の経済波及効果を算出いたしますということでございます。
 それから、2点目、ILC建設の日本負担額を前提とした、日本国内への経済波及効果、これを算出しておるということでございます。海外分並びに海外負担分に関しては、今回は算出の対象にしてはおりません。こちらも2014年度と同じ前提です。
 それから、3点目といたしまして、ILCの効果発生源となる支出額に関しましては、原則、TDR部会の検証結果に示される数字、先ほど資料2-1の11ページ目の表を御覧いただきながらと申し上げました。基本的には、こちらの数字を極力反映させる方法で算出してございます。
 それから、4点目、計測期間になりますけれども、建設期間の10年と運用期間の10年、併せて20年間というものを前提としております。
 5点目といたしまして、ILCの「建設」の経済波及効果については、TDRに未掲載、かつILC固有に発生するものの現時点で前提条件が未確定な経費、具体的には、例えば、共通のインフラ、土地の取得ですとか、アクセス道路ですとか、ライフライン、それから、研究棟などのビル、ILCの施設と直接関係のない建物、こういったものに関しては、今回、効果発生源からは除いております。
 それから、6点目、ILCの活動の経済波及効果については、TDRに未掲載、かつILC固有の支出として発生するものの現時点で前提条件が未確定な支出は、効果発生源の中に含めない。具体的には、参加立地研究機関の運営費であったり、ILCに来訪される方、あるいは、会議に参加される方の消費支出、こういったものは算出から外しております。
 以上が前提でございます。
 計算の対象と項目に関しまして、こちらも、この図は2014年度から変わってございません。大きくは3つの項目に関して計算をいたしました。第1点目が、真ん中にございますILCの建設、2点目が、ILCの活動。活動と申しますのは、この研究所、ILCの運営と、職員さんの雇用でございます。そして、3点目が、ILCの技術開発という部分で、こちら、先ほど委員の方から御指摘があった論点になろうかと思いますけれども、技術開発というのを3点目の項目として算出しております。
 その下、まず建設と活動による経済波及効果に関しましては、ILCの建設・活動に伴って、外部に支出する金銭、すなわち、調達発注ですとか、職員の給与、こういったものを源泉といたしまして、産業に波及する経済効果、生産額ですとか所得額の増加というものを捉えるわけですが、そういったものを経済波及効果として捉えて計算しております。
 一方の技術開発による経済波及効果の方は、契約サプライヤーさんが、要は、加速器ですとか、そういった関連設備を納めるメーカーさんが技術開発をする、イノベーションが起こる、それによって、将来的に売上げが増加するといったところを捉えて、経済波及効果を算出しておるということでございますので、先ほどの御指摘の内容というのがまさに関わってくるところかなと想像いたします。
 結論というところでございまして、再計算の結果をまず御紹介いたします。
 最終需要額1.35兆円~1.49兆円となりました。そして、経済波及効果の合計値、これが2.65兆円~2.9兆円、3兆円弱といった計算結果になりました。これは1つは、コストの見直し結果といったところが大きいんですが、それに加えて、後ほど御紹介しますが、使用した統計の更新ですとか、計算方法の変更を一部行っている部分、こういったところが影響して、2014年度の計算結果と比べると数字が変わっておるというところでございます。
 条件変更の内容に関しまして、順に御紹介したいと思います。
 まず建設の効果でございます。こちら、先ほどの資料2-1の11ページにございます表を反映いたしまして、建設コストの低下を反映した計算をしております。具体的に申し上げます。こちらのシートの表頭が青い再計算・最小シナリオの方の数値を使って御紹介申し上げます。
 まず、この表の簡単な見方なんですけれども、少し黄色がかったセルに入っておる数字、これがTDRのこちらの資料2-1の11ページの表に直接数字の記載のある数字そのままの数字が、この黄色いハッチの掛かったところでございます。例えばですが、土木・建築工事費は、TDRの資料によりますと、1,110億~1,290億円という数字が入っております。こちらは最小シナリオということで、一番小さい数字を使って計算しておりますので、土木・建築費としては、こちらに1,110という数字を入れて、こちらの計算に反映しております。ちなみに、以前は1,600億という数字で計算しておりました。
 同様に、TDRの資料の(1)の本体建設費の土木建築の下にあります加速器本体という数字があります。これが4,042億~4,540億となっております。この4,042億という数字は、こちらの私どもの資料の下から2行目の加速器本体という数字として、4,042億というのが入っております。
 同様に、今度はTDR資料の(2)測定器関係経費の測定器本体、この数字は、実は2014年度の見直し前の計算の際に使った数字から変わっておりませんが、766億円という数字が入っております。こちらは、こちらの方に測定器建設費として入っております。
 実際には、この建設の効果については、土木・建設と機器調達費の2つに分けて計算をしております。土木に関しては、この1,110億という数字をそのまま100%日本負担という前提で入れております。一方の機器に関しましては、ものによって一部日本負担比率が33%というものがございますので、そちらを反映いたしまして出てきた計算値、機器調達費として出てきました金額というのが、この最小シナリオでいくと、一番下にございます、青で囲った1,736億円という数字になります。こちらを前提に計算をしておるということでございます。
 同じ処理を最大シナリオの方でもいたしまして、最大シナリオでは、土木・建築費は1,290億円、機器調達費については1,919億円という数字を前提に計算しております。
 この2つの合計値、最小シナリオでいきますと、1,110と1,736の合計値が、前のページの、こちら、ILC建設の最小シナリオの最終需要2,846という数字が、こちらのセルに、ちょっと分かりにくくて恐縮なんですが、左上にございます。こちらと一致するという仕組みになっております。
 ここからの計算は、産業連関表という統計表がございまして、そちらを活用して計算をするということになりました。なので、TDRの費用の見直し結果というのは、こちらの最終需要の数字の変更に反映されているということでございます。
 続きまして、活動の効果に関しまして、前提の変更について御報告を申し上げます。
 活動の効果に関しましては、大きく2つに分けて推計をしております。1つは、このテーブルで言うと1行目に当たる、研究機関の運営費支出でございます。運営費支出とは、水道光熱費ですとか、維持管理費、あるいは調達費というところでございまして、ILC国際研究所を運営していくために毎年必要となるお金のことでございます。
 こちらは、先ほどのTDRの資料、資料2-1の方の表を見ていただきますと、真ん中ぐらいの行のところに(4)で年間運転経費という行がございます。そちらの1つ下の光熱水料及び保守というところに290億円~316億円という数値がございます。こちらの数値をここでは使っておりまして、最小シナリオのちょうど枠で囲ってあるところに、その数字を直接入力しております。
 ただ、TDRの方の資料は、運用期間の年間運転経費なんですが、この水道光熱費等々というお金というのは、建設期間も掛かるだろうという前提で、建設期間に関しましては、運転期間の2分の1、50%と想定して、掛ける10年間という計算の仕方をしております。
 運用期間に関しては、先ほど引用した数字、最小シナリオで言えば290億円というのがございます。これに運用期間10年間を掛けて、2,900億円としております。これと建設期間の1,450億円、合わせた金額が4,350億円として出てきます。これが研究機関運営費支出としての最終需要として用いた数値でございます。
 その下の行になります研究者等の消費支出、こちらに関しましては、TDRの労務費の数値を参照して計算しております。2014年度に関しましては、TDRの労務費という数字を使うのではなくて、人口の方を先に推計して、それに想定される1人当たりの所得を掛け算して、そこから消費支出を推計しておったんですけれども、このたびの見直しで、労務費も明確に見直しが掛かっておるということで、その数字の反映をするという目的からも、こちらに合わせた方がよろしいだろうという判断で、今回、こちらの計算方法については、前回の調査方法からすると変更しております。
 では、どのようにしたかと申しますと、まず建設期間の労務費、これがTDRの資料によりますと、(1)の本体建設費の労務費、これが1,198億円という数字がございます。それから、(2)の測定器関係経費のところに、労務費239億円という数字がございます。この2つの数字をまず引用させていただいております。ここから、法定福利費ですとか、引当金、あるいは、福利厚生のたぐいに相当する費用を17%と仮定して、まず差し引きます。そこに消費性向0.665、これは、こちらで雇用されるであろう職員さんたちの平均収入から、その人たちに相当する消費性向を掛け算しまして、その方々の消費額を10年間で793億円という数字を出させていただきました。そういった計算をしております。
 同様に、運用期間に関しましても、こちらのTDRの資料には76億円という数字が(4)年間運転経費・労務費というところに入っております。この76億円という数字をこちらで使いまして、やはり同じように、17%まず引いて、その後、0.665という消費性向を掛けて、42億円という数字を作っております。これが1年間当たりになりますので、10年間で420億円という数字を、四捨五入の関係で419という数字が入っておりますが、数字を作らせていただきました。こういった推計方法で、こちら、活動の効果については算出してございます。
 次のページ、お手元に2014年度調査の前提条件が書かれておりますが、こちらは古い方法になりますので、後ほど御参考にしていただければと思います。端的に言えば、この計算方法の変更で、こちらの最終需要に関しては数字が小さくなっております。
 続きまして、技術開発の効果に関してでございます。
 技術開発の効果に関しましては、機器調達費にビジネス拡大係数という係数、これが3.0という前提を置いておるんですが、これを乗じた数値を、技術開発による最終需要額ということにして計算しております。
 このビジネス拡大係数というのは何かというと、これ、実はCERNが2011年に出している報告書がございます。技術的なインパクトに関する報告書でございます。これで、CERNさんが実際にサプライヤーだった企業さんにアンケートをして、どれだけの効果があったかということを明らかにしております。その結果が3.0であったということで、今回は、これを単純に引用して、同じ数字、同じ定数になるであろうということで引用しております。
 こちら、先ほどの建設の波及効果を算出する際に作りました機器調達費の合計額、この枠でくくった金額がございます。これに、この定数、ビジネス拡大係数3.0というのを乗じました金額を最終需要額としてインプットしております。こういった形で計算をしておりますが、この部分に関しましては、先ほど御指摘がございましたので、こちらはあくまでプラスに働いた場合の数値でございますので、リスク等については備考等で記載をする必要があるのではないかと想像いたします。
 以上が変更した条件でございます。
 最後に、使用した統計等の変更に関して簡単に申し上げますが、端的に申し上げると、取り得る一番最新の統計表ないしデータに、それぞれ活用した根拠となる数値、あるいはデータを入れ替えて推計をし直したということでございます。
 一番大きいのがやはり産業連関表の時点でございまして、前回、2014年度に計算した際には、平成17年度の総務省の産業連関表(34部門)を使いました。今回は、取り得る一番最新のものということで、平成26年延長表、経済産業省から出ているものでございますが、こちらの54部門を活用して計算をし直しております。
 以下、表に示すとおり、データを更新しておるというところでございます。
 長くなってしまいました。私からは以上でございます。御清聴ありがとうございました。

【平野座長】  どうも、御丁寧な検討をありがとうございました。
 ただいま御報告いただいた件について、御質問等ございましたら。よろしくお願いします。

【中野委員】  2点質問があります。
 まず建設期間の水光熱費を運転時の半分とされているんですけど、小さいながら加速機関なので、何となく時間数はもっともっと少ないのが実情ではないかと。走っていないので。この半分というのは、どういう根拠で出されたのかというのが1つの点で。
 もう一つは、9ページのビジネス拡大係数3.0という値なんですが、ほかの機関がどうなのか分からないんですけれども、CERNというのはもう超優良企業ではないかと想像します。だから、非常に高い数字ではないかと思うんですが、他機関とか調べられて、CERNの値というのはその中でどういう位置付けにあるのかというのがもう一つです。

【佐竹上級コンサルタント】  ありがとうございます。
 まず、建設期間の水光熱費の総体が50%というのは高いのではないかという御指摘がございます。こちらは、人の人数の対比で実は計算をしております。運転中に雇われる職員さんを一定数見積もって、それに対して、建設期間中の平均の人の数を、運転中よりは少ないだろうという想定で計算をしております。

【中野委員】  すみません、加速器の運転費ではないわけですか。

【佐竹上級コンサルタント】  加速器の運転費なんですが、どの前提で計算するかというところで、人の数で、要は、それ以外に根拠にできる数字がそのときはなかったのでということです。
 なので、逆に申し上げれば、加速器の運転状況とかというのが逆に建設期間中にどの程度になるのかというのが分かれば、それに置き換えた方が当然……。

【中野委員】  多分、建設期間中は加速器は運転していないと思います。

【佐竹上級コンサルタント】  試験もないですか。試験運転のようなものもしないと。

【中野委員】  全くしないです。だから、幾らになるか分かりませんが、10分の1とか、そういうことになるのではないかなと想像します。

【佐竹上級コンサルタント】  承知いたしました。御指摘ありがとうございます。では、その点は、後ほど事務局の方と相談しまして、改善を試みたいと思います。
 次に、3.0に関しましては、これは、すみません、CERNさんの調査結果以外は見つけられていないというのが正直なところです。なので、近い存在として引用して差し支えないのではないかという判断を当時しております。
 以上です。

【平野座長】  観山先生、今の件。

【観山委員】  関連して。前回もこの3.0と聞いて、それの調査のドキュメントも頂いたと思うんですが、あんまり大したドキュメントではなくて、例えば、CERNだけじゃなくて、今やっているITERだとか、いろんなのがあるんで。我々も10分の1ぐらいの国際プロジェクトがありましたけれども、3.0というのはちょっと異様ですよ。
 根拠がやっぱりないと、この数字というのは一人歩きしますので、この前も指摘したんですけれども、あんまり大した根拠はなかったような印象を受けていますけどね。

【平野座長】  どうぞ。

【森委員】  私もこの点ちょっと気になりましたのは、工事費に3倍してから最終需要になっていますけれども、実はこれ自体が波及効果を含んだ間接分の増加分になっているのではないかという気がちょっとするんですけど、これに更に産連表の方法を使ってインバスを掛けるとかに、ダブルカウントでやるという危険はないですか。そこは、この3倍されたものが波及効果の結果だけではないかという、そういう意味なんですけどね。
 というのも、後の方で定数が大体1.96と出てきていますね。これ、日本の土木建設業の定数とほぼ同じなので、これは整合的だと思います。当然かもしれませんけどね。だから、それを更に3倍しているというのは、私には何かちょっと不安が残るんですよ。
 それから、もう一つ、この計算の手順そのものは非常に真っ当といいますか、正当なやり方だと思いますので。逆に言いますと、予算が純増で増えた場合には、この効果は出ますけれども、ほかの何かを減らしてこれをやらなければならないとなってくると、そっちでマイナスが発生してしまいますので、これを出されるときには、これはあくまでこの建設の予算が純増で出た場合のものであることをちゃんと書いておかないと、あらぬ期待が出るとちょっとまずいなと思います。
 以上です。

【平野座長】  ありがとうございます。
 今の御指摘については、御意見。

【佐竹上級コンサルタント】  まずは、御指摘ありがとうございます。
 3.0に経済波及効果的な意味合いも含まれるのではないかという点に関しましては、CERNの報告書をもう一度精査してみたいと思います。前回の前提のまま計算するというのが今回の前提条件でございましたので、そちらは精査をしてみたいと思います。

【森委員】  ただ、それは定数には影響しないはずですから、恐らく結論はそんなに変わらなくていいと思うんですけれどもね。

【佐竹上級コンサルタント】  承知いたしました。ありがとうございます。

【平野座長】  そのほか、いかがでしょうか。

【神尾部長】  2点目の話について。

【平野座長】  どうぞ。

【神尾部長】  先ほど御指摘いただいた件なんですが。今回、経済的波及効果ということで、もともと経済的波及効果というのは、ベースの予算の増減ではなく、与えられた数字に対しての波及効果ということなんですが、こういった言葉遣い、便益とか、不効果とか、いろんな言葉遣いが乱立しているところがありますので、そういう意味では、先生の御指摘のとおり、この効果の前提条件がどうなっていて、それに対してどういう数字のものなのかということについては、はっきりコメントをさせていただきます。
 どうもありがとうございます。

【平野座長】  是非、この点であらぬ誤解と変な意味の期待で動かないようにしなければいけないと考えております。背景と前提をきちっと入れ込んでおいていただいた方が誤解がないと思いますので、精査いただくようによろしくお願いします。
 あと、よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。
 本日、2つの作業部会の御報告とILC計画に関する経済的波及効果の再計算結果の報告を頂き、議論をしたところであります。今後は、平成27年に、前回の2つの作業部会からの報告をもとに、「これまでの議論のまとめ」を取りまとめをしておりますが、これを参考にしながら、次回の有識者会議(6月19日)において、本日の報告を踏まえた取りまとめに向けて、更に御議論を頂きたいと考えております。
 今後の予定について、事務局から説明をお願いします。

【山本加速器科学専門官】  今、座長からありましたとおり、資料4ということで、今後の予定でございます。次回の有識者会議は、第10回といたしまして、6月19日火曜日の13時から15時で予定をしているところでございます。
 以上でございます。

【平野座長】  ありがとうございます。
 その6月19日の有識者会議において、きょうの御議論に加えて、この点をという何かありましたら、御指摘をお願いします。

【観山委員】  中野先生がお話になったときにコメントしたら良かったんだと思うんですが、資料1-2で、ILCと近い分野の最近のプロジェクトという例があって、これが大分前になるこの部会のときに、LCBとかICFAの声明の中で、なぜこれがリファーされたのかということで、1つは、規模的にも違いますし、これは国際プロジェクトというふうになっていますが、ドイツが主体で、ロシアと一緒にやった計画ということで、私が少なくとも考えているILCの姿とは全然違うプロジェクトを、国際的な機関、LCBとかICFAが出したということを非常に私は危惧しておりまして。その回答という欄を見ても、これは、要するに、ホストでみんな呼びたいんだったらたくさん出しなさいよということが書いてあるだけなわけですよね。言ったらね。
 やっぱり基本的な考え方として、もしも日本がILCというものをやるんだったら、Iはインターナショナルですので、国際的な機関として、負担の割合は多少はあろうと思いますけれども、国際的なコミュニティが参加してやる計画を是非日本に実現したいというのが私の1つの大きな願望なんですよね。
 だから、そういう面で言うと、私、マネジメントの分科会でもいろいろ議論いたしましたけれども、やはり突出したホスト国があるようなものではなくて、それは大小があってもいいとは思うんですけれども、過半をどこかがやってコントロールするような国際プロジェクトにはしたくないですし、反対に、今度は研究者の方が、いや、そうは言っても平等にやっているんだよというふうになると、過半を出したステークホルダーに対して、今度はまた説明ができなくなるので。だから、やはりある種の国際事業というのはどういうビジョンかというのを、少し次回でも議論できる機会があればいいと思いますけれどもね。

【平野座長】  ありがとうございます。
 大変重要な御指摘で、最後のまとめのところには、そこを反映しなければいけないと思っています。私も、この会の座長として臨むときに、その報告には、今、観山委員が御指摘されたところに加えて、なぜ日本に置いたらいいのかという意味ではなく、なぜ日本で受けるか、地理的なことも含めてですね。それは、やはり日本国民の方に提示をするときには示さなければいけないと思うんです。そこにおいて、かつ今の御指摘の部分を、国際的な共同利用研究所としてどうあるのかという姿をやはり入れておかなければいけないというふうには思っておりました。今ちょうど御指摘いただきましたので、その点については重要事項として、この報告の中には、回答の中には入れておかなければいけないと思っておりますが、よろしいでしょうか。
 是非、委員の方々も整理をしていただいて、次回のところで確認するために、御意見があれば、事務局の方に御意見を寄せておいていただけたらありがたいと思っております。是非よろしくお願いします。
 次回、事務局として、各委員に今のような観点で御意見があったら伺うということで、メールででも御意見を伺うような機会を作っておいてください。よろしくお願いします。それを整理して、次回の会議でも1つの重要な議題として取り上げていきたいと思います。どうもありがとうございます。
 それでは、きょうの議題は以上ですが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 あとは、事務局の方から連絡事項、よろしくお願いします。

【山本加速器科学専門官】  今、座長からありましたとおり、御意見につきましては、事務局までお寄せいただければと思います。
 また、本日の議事録も次回の議論のたたき台になろうかと思いますので、議事録につきましては、出席委員の皆様にメールで内容確認をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 皆様から御了承いただきましたら、ホームページで議事録を公開したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。よろしいでしょうか。
 次回、6月19日に開催いたしますので、引き続き、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、よろしくお願い申し上げます。

【平野座長】  どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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-- 登録:平成30年07月 --