ここからサイトの主なメニューです

国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議(第8回) 議事録

1.日時

平成29年12月5日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省15階 15F特別会議室

3.議題

  1. 前回からの状況について(報告)
  2. ILC計画の見直しについて
  3. 欧州合同原子核研究機関(CERN)における実験の進展状況について
  4. 今後の検討及び作業部会の設置について
  5. その他

4.出席者

委員

平野座長、伊地知委員、大町委員、京藤委員、熊谷委員、徳宿委員、中野委員、観山委員、森委員、横溝委員、横山委員

文部科学省

伊藤文部科学審議官、板倉大臣官房審議官(研究振興局担当)、渡辺振興企画課長、岸本基礎研究振興課長、轟素粒子・原子核研究推進室長、吉居加速器科学専門官、三原科学官

オブザーバー

CERN研究・計算機部 エルゼン部長、リニアコライダー国際推進委員会(LCB)議長 中田教授、LCCアソシエイトディレクター 道園教授、高エネルギー加速器研究機構 山内機構長

5.議事録

【吉居加速器科学専門官】  それでは、皆様そろわれましたので、よろしいでしょうか。
 会議に先立ちまして、事務局より御連絡をさせていただきます。
 当会議は公開としておりますので、御承知おき願います。
 本日はプレス3社から撮影の希望がございましたので、冒頭の撮影を許可したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【吉居加速器科学専門官】  ありがとうございます。
 それでは、撮影希望の方、お願いします。
 撮影につきましては、ここまでとさせていただきます。
 それでは、平野座長、よろしくお願いいたします。

【平野座長】  皆様、こんにちは。それでは、国際リニアコライダーに関する有識者会議の第8回会合を開催いたします。本日は御多用のところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。よろしくお願いします。
 まず、本日の出席状況について、事務局から御報告をお願いします。

【吉居加速器科学専門官】  御報告いたします。
 本日岡村委員、梶田委員、神余委員が御欠席でございます。出席委員は10名、定足数は7名ですので、会議は有効に成立しております。
 本日は、議題2で御説明いただくため、リニアコライダー国際推進委員会(LCB)議長の中田達也先生、議題3で御説明いただくため、CERNの研究・計算機部長のエッカート・エルゼン先生にも御出席いただいております。
 また、本日の議題の関係者といたしまして、高エネルギー加速器研究機構の山内正則機構長、そして、リニアコライダー国際推進委員会の下にございますLCCで今回のILC計画の見直しにつきまして関わられた高エネルギー加速器研究機構の道園真一郎教授にも御出席いただいております。
 それから、本日は、本会議に設置されておりました技術設計報告書(TDR)検証作業部会の座長、それから、人材の確保・育成方策検証作業部会の委員もお務めいただきました一般財団法人総合科学研究機構の横溝英明理事長にも御出席いただいております。
 このほか、事務局について、7月に異動がございましたので、紹介いたします。文部科学審議官の伊藤でございます。

【伊藤文部科学審議官】  伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  事務局からは以上でございます。

【平野座長】  ありがとうございます。
 続きまして、今紹介がありました総合科学研究機構理事長の横溝先生には、今回から、委員としてこの会議に御参画いただきたいと考えております。よろしく今後ともお願い申し上げます。
 では、事務局からまた説明をお願いします。

【吉居加速器科学専門官】  御説明いたします。資料1に本会議の委員名簿がございますので、御覧ください。
 本日御出席いただいております横溝先生におかれましては、平成26年6月から27年3月まで開催しました「TDR検証作業部会」の座長並びに27年11月から28年6月まで開催いたしました「人材の確保・育成方策検証作業部会」の委員もお務めいただきました。特に、「TDR検証作業部会」におけるコストと技術的検証の観点につきましては、本日の議題で取り上げますILC計画の見直しに深く関係してまいりますので、今回、平野座長に御相談しまして、有識者会議の委員として御参画いただくことといたしました。
 事務局からは、以上でございます。

【平野座長】  ありがとうございます。
 では、続きまして、配付資料の確認をお願いします。

【吉居加速器科学専門官】  本日の資料について御確認をお願いいたします。
 資料1が、今ほど御覧いただきました委員名簿、それから、資料2が、前回からの状況について、1枚物です。資料3は、1から7まで枝番が付いてございます。詳しくは、次の議題1で御説明させていただきますが、3-1から3-7。3-1から4が、参考としまして、英語の本文の次に日本語の資料を付けてございます。続いて、資料4でございますが、中田議長から御提出いただきましたプレゼン資料でございます。資料5番が、エルゼン部長から御提出いただきましたプレゼン資料でございます。資料6番が、作業部会の設置について(案)、資料7が、今後の検討スケジュールという1枚物でございます。最後に、参考資料1、TDR検証作業部会の抜粋、参考資料2が、ILCに関する国際的な研究者組織という1枚物でございます。
 それから、机上資料といたしまして、委員の先生方には、日米ディスカッショングループ第3回の議事録を置いてございます。こちらは会議終了後回収させていただきますので、よろしくお願いいたします。また、机上のドッチファイル資料は、これまでの関連資料でございますが、新しく14番におまとめいただきました体制・マネジメントの報告書を追加しております。
 以上、不足の資料がございましたら、お知らせ願います。

【平野座長】  資料については、よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入ります。議題1は、前回7月からの状況について、事務局から説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  前回からの状況を御説明します。資料2を御覧ください。
 前回は7月28日に開催されました。その際、体制及びマネジメントの在り方の検証に関する報告書を取りまとめいただき、8月に、文部科学省のホームページにおいて公表しております。続けて、英文版も公表しております。
 また、10月には、米国エネルギー省と文部科学省による日米ディスカッショングループの第3回を開催しております。机上資料に、その際の議事録がございますので、御覧ください。
 ILC計画に関する部分を御報告しますと、1つ目、今年4月から開始しているILCのコスト削減に向けた日米共同研究の進捗について、実施機関である高エネルギー加速器研究機構と米国フェルミ国立加速器研究所から、それぞれ順調に進捗しているとの報告がありました。
 2つ目、本会議でおまとめいただいた体制・マネジメント報告書について、文部科学省から内容を説明しました。これに対して、DOE側からは、本報告書は、ILC計画のマネジメントのために考えられたモデルを理解する最初の糸口になるとのコメントがあり、DOEから、今後、本報告に対するフィードバックを行うつもりであるとの意向が示されました。
 裏面へ行っていただきまして、5つ目、日米双方の意見交換の部分ですが、文部科学省より、11月にILC 250GeV案、今回の見直し案のことですが、これが取りまとめられれば、有識者会議において、その科学的意義やコスト等について検証を行い、また、これまでの結果と合わせて、日本学術会議に再度審議を依頼することも考えているという説明をしています。
 また、DOE側からは、今回の見直し案にあるILC 250GeVは、2014年に策定されたP5 レポート-P5 レポートといいますのは、米国の素粒子物理学分野における10年間の戦略のことですが、そのP5 レポートで想定されているILC 500GeVの計画とは異なると認識しており、ILC 250GeVの案については、次期のP5 Reportの策定のプロセスにおいて検討していきたいというお話がありました。そのスケジュールについては、間もなく公表される予定であるとのことです。また、体制や経費分担の枠組も、参加国・参加機関間で議論する重要な課題であるとの説明がありました。
 続きまして、先月11月の上旬には、カナダにおいて、リニアコライダー国際推進委員会(LCB)と国際将来加速器委員会(ICFA)が開催され、ILC計画の見直しが公表されました。
 本日の資料の最後にある参考資料2「ILCに関する国際的な研究者組織」という資料と、資料3-1から3-7を併せて御覧いただければと思います。
 参考資料2を見ていただきますと、研究者組織のLCC(リニアコライダー・コラボレーション)で、まずILC計画の見直し案がまとめられました。見直し案は、科学的意義と装置の2部のレポートから構成されています。
 資料3-3が科学的意義、資料3-4が装置(マシン)となっています。本日御出席いただいています道園先生は、この装置(マシン)のレポートの取りまとめを御担当されています。
 また、資料には、それぞれ参考として、日本語訳を付けております。
 参考資料2に戻ります。その2部から構成されている見直し案が、LCCから上位のLCB(リニアコライダー国際推進委員会)において審議され、更に上位のICFA(国際将来加速器委員会)に諮られたのち、公表されています。その際、LCB、ICFAから、それぞれ声明が発表されており、資料3-1がLCBからの声明、資料3-2がICFAからの声明となっております。本日御出席いただいている中田先生は、こちらのLCBの議長をされております。
 また、資料3-5ですが、これは、これらの検討に先立って、本年7月に、日本国内の素粒子物理学の研究者組織である高エネルギー物理学研究者会議、略してJAHEPといいますが、そこにおいて、ILCを500GeVから250GeVとして早期に建設することを提案する声明が出されており、その声明文となっております。
 以上の資料のうち、特に資料3-1のLCBの声明が重要になっておりまして、もう一度資料3-1を御覧ください。2枚目の日本語訳のところを見ながら、御説明させていただきたいと思います。資料3-1の2枚目になります。
 本声明では、第1段落で、科学的意義について、それから、第2段落で、加速器のコスト削減やILCの日本建設支持及び日本政府への検討の推奨等について、続いて、第3段落では、最近の同様の国際プロジェクトが例示された上で、費用分担や国際交渉の進め方について述べられています。
 その下、脚注1に、最近の同様の国際プロジェクトの例として、ドイツにある欧州XFELとFAIRというプロジェクトの記述がありますが、これについては、資料3-6、3-7に概要資料を作成してございます。
 資料3-6、欧州XFELについては、ドイツの電子シンクロトロン研究所(DESY)にあるX線自由電子レーザーの施設で、12か国が参加、今年から本格実験をスタートした施設です。建設コストは約1,640億円、費用分担は、ドイツが58パーセント、ロシアが27パーセント、他となっています。
 また、資料3-7には、FAIRについて説明しておりますが、これはドイツにある重イオン研究所(GSI)に建設中の反陽子・イオン研究施設で、9か国が参加、2025年に運転開始を予定しております。建設コストは約1,700億円、費用分担は、ドイツが約75パーセント、ロシアが約14パーセント、他となっております。
 これら2つですが、ホスト国のドイツが主要な費用負担を行うプロジェクトということで例示されておりまして、今回の計画見直しでは、科学的意義やコストのみならず、プロジェクトの負担割合や国際交渉の進め方等についても方向性が示されており、併せて論点になろうかと思われます。
 本日、この後、このLCBの声明を中心に、LCB議長である中田先生から詳しく御説明いただくことになっております。
 以上でございます。

【平野座長】  ありがとうございます。
 ただいま資料について説明を頂いております。
 それでは、議事に入っていきたいと思います。まず、この議題2でありますが、今、説明もありましたように、先月、国際コミュニティより公表されましたILC計画の見直しについてであります。
 この会議では、委員の皆様方に御協力いただきまして、これまでILCの科学的意義、コスト、人材の育成・確保、体制・マネジメント等について議論を進めてきております。その議論のベースになるのは、平成25年に公表されました技術設計計画書(TDR)であります。今回公表されました見直しは、これまで本会議で積み上げてきました議論とも密接に関係いたしますので、その内容を確認しながら進めていきたいと思っております。
 本日は、今回の計画見直しに関する国際的な議論を取りまとめられたリニアコライダー国際推進委員会議長であられるローザンヌ連邦工科大学の中田達也先生に内容を御説明いただき、それを基に議論していきたいと思っております。
 それでは、先生、よろしくお願いします。

【中田教授】  どうもありがとうございます。この機会を設けていただいて、大変ありがたいと思っております。
 英語と日本語でキーワードのようなものを書いてありますので、それを見ていただければ、どちらかでフォローできると思います。
 LCBの活動が始まったのは、2017年の7月に、日本の高エネルギー委員会から提案が出たことが始まりです。その提案のことはもうお聞きになったと思いますが、LHCでの結果を踏まえて、その科学的な重要性というものを考えてみると、そのために250GeVでヒッグスファクトリーとしてのILCを早急に作ることが必要であり、それを日本に作りたいという、そういう声明を出したわけですね。
 LHC Run2の結果というのは、この後のエッカート・エルゼンが説明すると思いますが、やはり一番重要なことは、LHC、今までの結果を踏まえてみると、ヒッグスの精密-ヒッグスだけではないですが、精密測定を行うことによって、標準理論との比較ができ、それを見ながら、今度は、標準理論と合わないものを見つけて新しい物理を見つけていこうと、そういうやり方の物理がますます重要になってきました。歴史的に見ても、新しい物理というのは、最初にそういう精密実験から兆候が出てくることは、歴史的にも非常に多いですね。
 トップクォークとか、ヒッグス粒子とか、そういうことを今言っていますが、ヒッグス粒子や、トップクォークのようなものがあるはずだというのが最初に分かったのは、精密実験で、今まで知っていることと比べてみると、そこで外れが出てきている。それによって、こういう外れを説明するためには、そういう新しい粒子がなければいけない。時によっては、このくらいの重さでなければいけない、そこまで分かる。そういう意味で、ヒッグス粒子が出てきて、今度はヒッグス粒子の精密実験をすることによって、そのずれから新しい物理を発見するということが非常に重要になってきたと思います。
 それなので、250GeVのヒッグスファクトリーというものを、日本のコミュニティがやろうと言い出したことに対して、世界がこれはやはり重要なことなのでみんなで考えようということになったわけです。
 それを受けまして、LCBとしては、これを正確に評価するためには、リニアコライダー・コラボレーション(LCC)に対して、次のことを調べてくれと依頼しました。1つは、250GeVの物理、特にヒッグスの精密実験をすることによって、新しい物理に対してどういうセンシティビティがあるのかというのをしっかり調べてほしい。それから、250GeVにすることによって、計画自身がもちろん安くなりますが、ILCに基づいて250GeVのリニアコライダーを作るとなるとマシンはどうなるか、それを調べてほしい、そういう答申をLCCに出して、LCCからの物理の結果、マシンのスタディの結果に基づいて、最終的にLCBが答申を出し、それを今度はICFAが議論して、ICFAとして、ステートメントを出したという次第であります。
 こちらが、LCBがLCCのインプットしたのを見て、評価の元になった重要な一つ、物理ですが、さっき言いましたように、250GeVでやれるヒッグスファクトリーとしての250GeVの物理というのが、それだけで十分な物理的な意義があると。精密実験をすることによって、LHCでまだ見つけられないような重い粒子に対しても、間接的に見ることができる、それが一番重要なヒッグスファクトリーの物理であり、それ自身に非常に意味があることであると。それをもっと定量的に見るために、これは、リニアコライダー・コラボレーションの計測器と物理サブグループが作り出したものですが、特に理論の人が考えまして、今までやっていたことよりも、250GeVでヒッグスの結合力をもっと精密に測って、さらにいろいろな他のインプットまで入れてやると、250 GeVからのデータがもっと効果的に使えると分かりました。
 その結果として、ここにグラフがありますが、これは、いわゆるヒッグス粒子が、例えば、Z粒子とかW粒子、それから、フォトン、bクォーク、グルーオン、そういう他の粒子とどのくらいの強さでつながっているか、もしスタンダードモデルにしますと、ヒッグス粒子が他の粒子とつながる強さ、いわゆるカップリングコンスタントといいますが、それは粒子の重さに比例している(フォトンはもっと複雑)。その比例状態を測ることによって、それがずれていると、今度は新しい物理が存在しているということも分かるのですが、それをどのくらいの制度で正確に測れるか。赤の棒にあるのは、ハイルミアップグレードまで入れ、LHCだけで測った場合には、赤の精度でコンスタントが測れる。それに今お話になっているILC 250GeVの結果を加えると、この緑まで精度が上がる。
 お分かりになるように、ほとんど精度が変わらないチャンネルもあります。LHCで十分にやれるところ。特にトップカップリングなどは、250GeVで行うとトップクォークが作れませんので、LHCで十分できるのですが、他のところを見ると、特にWとかGというボゾンにカップリングするところ、あるいは、bクォーク、タウを見ると、やはりILCへ行くことによって、非常にカップリングの測定精度が上がる。それから、LHCでは測れないようなもの、ILCでなければ見れないもの、例えば、チャームクォークとのカップリングですね。そんなものまで出てくる。ここには出ていませんが、ILC250GeVでは、ヒッグスが観測できないものに、壊れるものまで見られることがありますので、やはりILC 250GeVというのは、物理的にLHCの結果と一緒に混ぜることによって測定精度が上がっていくのだということは分かると思います。
 もちろん、250GeVから500GeVに行けば、ものによっては測定精度が良くなる、チャンネルによって少し良くなる、あるいは、大きく良くなるということはあります。500GeVは500GeVで、それなりの物理の理由がありますが、250GeVで既に非常におもしろい結果が出てくるというのはこれで分かるかと。
 その次に重要なことというのは、こういう標準モデルから、それぞれのチャンネルがどんなカップリングでなければいけないかということが分かっていますが、それから一度ずれると、そのずれ方が新しい物理の種類によって違います。いろいろなこういうチャンネルを見た場合に、どういうふうに標準模型の予想からずれているか、そういうパターンを勉強することによって、新しい物理の中では、そういうずれがどうなるかということが予想できますから、それと実際に検証されたずれを比較することによって、モデルの区別までつく。もちろん、これは見られたらの話ですけれども。そういう意味で、ただ新しい物理があったというだけではなくて、その新しい物理の性格はどういうものかということまで勉強ができるということ。
 この2つの点が、ある意味では一番大きな例、いわゆる物理としては250GeVでも十分それなりの価値があるということですね。
 2番目はコストの問題。TDRにあった500GeVのILCに比べると、建設費が大幅に減少する。大幅に減少するというのは、もちろん、トンネルの距離が縮まりますよね。それから、加速器施設自身の長さも、250GeVまで加速しないで、125GeVまで加速すればいいわけですから、加速管の長さも短くて済む。その分だけ、もちろんコストが下がるわけです。
 TDRの500GeVのマシンと比べると、加速器の建設費は大体まで40パーセント下がる。これが内訳ですが、ここがTDR、例えば、メインリニアック、リニアックの線形加速器の部分、それが、250GeVにすると、ここからAというところまで下がる。さらに、TDRで検証したILCのテクノロジーですけれども、先ほど文部科学省の方からお話もありましたが、フェルミラボ等でいろいろなRDを行っており、もっと性能を良くしようと。そうすると、加速性能が上がります。加速性能が上がれば、それだけ125GeVまで行く間の部品の数が少なくなりますから、少し価格が下がる。ここまで入れると40パーセントまで価格が下がるということですね。例えば、これは他の部分のいろいろなコンポーネントですけれども、そこはあまり影響が出ていないのが分かると思います。一番大きい影響というのは、本当に125GeVにすることによって、メインの加速部分が短くなって、その分のコストが減るということになります。
 1つ、トンネル自身ももちろん短くなりますが、トンネルだけの効果というのはあまり大きくないのがここで分かると思います。このAプライム、あるいはAというのが125GeVきっちりのトンネル。それに対して、トンネルだけですが、20キロメートル必要なトンネルを27キロメートルまで延ばした場合、コストがこれだけ違う。33.5キロメートルまで延ばすとすると、このくらい違うと。これを見ると、その効果というのは40パーセント減が37.5パーセント減までになる(10パーセント以下)という比較的小さい効果がトンネルだけから出てくるのがわかると思います。
 さらに、建設費のお金だけではなくて、建設のために必要なヒューマンリソース(人件費)があったと思いますが、それも25パーセント減。もちろん、これはやはり作った部品の調整や、それをインストールするための人件費というのが当然安くなります。数が少ないですから。25パーセントリダクションになる。それから、オペレーションの方も、消費電力が小さくなる、それが一番大きい効果だと思いますが、25パーセントまで下がる。そういう訳で、建設だけではなく、その後のオペレーションのコストも、250GeVでやっている間は低くなります。
 3番目、これもやはり重要なことだと思いますが、ILCのテクノロジーというのは、European XFELで使われていて、そういう加速器がヨーロッパで今走り出しました。それによって、テクノロジーというのがよく確立していると。これがEuropean XFEL、free electron laserで、自由電子レーザーと書いてありますが、大体これは125GeVのILCの超電導加速部分だけを見ると10パーセント規模に当たる加速器なわけです。
 ここに部品の数、例えば、クライストロンとか、空洞などの部品の数、XFELのfree electron laserを使ったものと、それから、ILC 250GeVで使わなければならないものの数を書いてみました。大体10パーセントぐらいになっているのが分かると思います。そういう意味で、ヨーロッパで作られた自由電子レーザーというのは、ある意味では、ILCの10パーセントのプロトタイプになる。
 そこで出てくる、例えば、このキャビティですが、実際に作ってみた場合に、どのくらいの歩留になるかというのが分かり、これがほぼILCの価格で仮定したものと一致しているという面で、ILCの価格の判定なども、もっと確実に分かるようになった。
 自由電子レーザーの方は、今、順調に立ち上げ中で、今は12GeVまで加速をして走っている。最後のところに、エレクトロンのビームが到着し、スポットが見えてきている。そういう意味で、非常にエンカレッジングで、これからエネルギーも設計された値まで上げていくということになると思いますが、いわゆるプロトタイプとしての価値が十分成功されていると思います。
 最後に、リニアコライダーで一番重要なことが、そのエネルギーに制限がないということですね。リニアコライダーの場合には、直線型なので、物理が、もう少しエネルギーを高くした方がいい、2倍、3倍でもエネルギーを上げたいときに、それを上げることができる。円形の場合にはそれができないですが、リニアコライダーの場合にはそれができる。
 2つ方法があって、1つは、普通にトンネルを長くして、その中の加速器施設を延長する、それが一番簡単な方法ですね。今まで作ったものと同じものを長くしたトンネルに入れていただければいい。そういった意味では、確かにトンネルが前もって少し長めにあれば、エネルギーを上げようと思えば土木工事をせずにできるという利点はあるかもしれません。
 また、もう一つの方法、トンネルの延長と一緒にやってもいいのですが、加速器のテクノロジーというのはどんどん進化している。そういう意味で、今からILCを作って、5年、10年なり運転して、その後にまたアップグレードするとなれば、そのときには今よりも優れた加速器のための技術ができていますから、そういう新しい技術を使った加速器でさらにエネルギーを上げるということも可能であると。そういった意味で、長期的に見て、やはりリニアコライダーの特徴、利点というのは、エネルギーを上げることができるということ。
 このような4つの点を考えまして、LCBが出した結論というのが、リニアコライダー国際委員会としては、250GeVのILCを日本に建設するというJAHEP(高エネルギー物理学研究者会議)の提案を強く支持して、なるべく早めに決定するということに向けて、日本政府がこの日本のコミュニティの提案を本格的に検討していただけるとありがたいという、そういう奨励をしたわけです。
 さらに、そういう国際協力の場合、XFEL、ヨーロッパの自由レーザー加速器や、FAIR、これは重イオンの加速器ですが、それらを見ますと、両方ともドイツに建設されていて、ドイツのコミュニティがこういうものを作りたいと自国に提案して、国の方でも、もし外国から協力があるようなら、ドイツとしても進めてもいいという状況になりました。それで、ドイツが、まず自分たちがこれをやりたいんだ、自分の国に作りたいんだ、でも、国際協力でなければできないので、誰かほかに一緒にやりませんかという提案をし、お金を集めて作ったというのが歴史的な発展だったわけです。お金としても、free electron laserの場合には、ドイツ連邦、州、ハンブルク市、それが全部で58パーセントぐらい。FAIRの場合には、ドイツ連邦と州ですが、それが75パーセントぐらい。60パーセントぐらいの割合のお金をまず国内で集めた段階で、では、みんなで一緒にやりましょうという形ででき上がったという例があります。
 LCBとしては、現実的に考えた場合、今の段階では、ドイツが前にXFELやFAIRのときに行ったような原則に基づいて、加速器をホストするということをまず日本がそういうことをやってみたいんだということを提示されることが大事なのではないかと。それが提示されれば、ヨーロッパ、アメリカ、ほかのアジアの国でも、では、それで一緒にやりましょうという、そういう交渉が始まると思いますし、それから、特にヨーロッパの事情ですと、やりたいということで自分たちの国ともいろいろと話をします。そういう話をするときに、やはり具体的に、では、どのくらいの規模で、どのくらいの程度のコントリビューションをしたらいいのか、できるのかという話し合いをしようとする場合に、ホストのはっきりとした意思が出ていないと明確な議論ができない。だから、日本がやりたいということを明確にすることによって、有益な議論が始まるのではないか。それがLCBの考え方です。
 それを受けて、ICFAがコメントを出しました。そのICFAのコメントというのも、やはり我々の出した結論を支持して、日本が、日本のイニシアティブによって国際プロジェクトとして、250GeVのヒッグスファクトリーをなるべく早くできるような形でやっていただく、そういう奨励をしたということであります。

【平野座長】  丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございます。
 ただいまの御説明に関して、何か御質問等ございましたら、お受けしたいと思います。どうぞ。

【中野委員】  2点御質問があります。
 まず5ページですが、250GeVのILCを使うことによって、LHCの結果から、非常に精度の良いところまでいくという御説明で、たしかこれはeffective field theory、有効理論を使った計算だと思いますが、その有効理論の前提となっているのは、ILCでは実粒子は出てこないであろうと。つまり、新粒子は見つけることはできないということが前提となっているから、そういう前提がないとこういう計算はできないと思うのですが、そういう理解で正しいでしょうか。

【中田教授】  そういう前提というのは、確かにそうですけれども、それは別にILCだからというのではなくて。

【中野委員】  LHCでの今までの結果を受けて、多分、500GeVで到達可能な範囲には新粒子が出ないであろうという、そういう。

【中田教授】  出ない可能性がだんだん強くなってきたということですね。

【中野委員】  非常に強くなってきたと。その強いという前提の下で考え直すと、新粒子は見つけることができないけれども、ループの効果をモデルインディペンデントなeffective field theoryに入れて計算し直すと、精度の面では非常にいいものが出るという、そういう解釈でよろしいですか。

【中田教授】  そういう解釈で構わないと思います。ただ、これは別にILCだけではなくて、要するに、新粒子が直接見つからなかった場合に何かを見つけようとすると、そういうループのエフェクトしかできないと。ヒッグスでそれをやろうというのが、その一つの考え方ですね。それ以外に、もちろん、例えば、フレーバーとか。

【中野委員】  新粒子探索のためにヒッグスの精密測定でループの効果を見る際に、その精密測定精度を上げるためにループの効果をモデルインディペンデントな形で有効理論に入れるということをしている。

【中田教授】  はい。

【中野委員】  もう一つは、次の表ですが、星取表で、15シグマとかもたまにありますが、ほとんど10シグマ以下で、先ほどのLHCからILCへのインプルーブメントを見ると、精度の大体二乗でセンシティビティは上がっていくので、LHCだと、こういうモデルの分解というか、モデルに対するセンシティビティはほとんどないというふうに考えてよろしいでしょうか。

【中田教授】  LHCの場合はほとんどない。そうですね。多分、15シグマとか20シグマになっていない場合、例えば、5シグマ、6シグマ、一応それは総計的に割れるということになっていますけれども、それはやはり精度と関係していますから、そのとおりだと思います。

【中野委員】  もう一つは、こういう星取表で出てくるとき、いつも気になることは、そういう新しい理論というのは、フリーパラメータがいっぱいあって、大体ティピカルな値で計算されていると思うのですけれど、もしそのずれが見つからなかったときに、理論はまたパラメータの調整で逃げるというか。

【中田教授】  当然です。その辺は、今まででもみんなそうやっています。

【中野委員】  それはもう仕方がないと。

【中田教授】  それはもう仕方ないということですね。

【中野委員】  分かりました。どうもありがとうございます。

【平野座長】  どうぞ。

【横溝委員】  私、コストの評価をやっていたので、コストが気になるのですけれども。ヨーロッパのXFELと比較すると、ILCの10パーセントくらいに相当するというお話があったのですけど。

【中田教授】  いや、コストがILCの10パーセントに相当するとは言っていません。

【横溝委員】  ヨーロッパのXFELは1,640億ですよね。それの10倍になると、すごく高くなるわけで、比較は同じような内容なのかどうかというところもあるのかなと。それで、ILCの方が安くなるといったときに、今作っているものの単価が反映されているのか。前のTDRのときには、まだ分かっていない部分って結構あって、そこがどうなっていくのかというのは、非常に大きなポイントになるのかなとは思うのですけれども、そういうところは少しは詳細に理解できるようになってきているのでしょうか。

【中田教授】  多分おっしゃっているのは、26パーセントぐらいのいわゆる不確定性があるという、価格にTDRの不確定性というのがありますよね。それの話ですか。

【横溝委員】  そういう26パーセントというのは、TDRのコストの中にはもう評価されていたのですけれども、それ以外に、例えば、サイトの準備とか、検出器の部分とか、まだまだちゃんと評価できていない分というのは結構あったのですね。そういうのも含めて、トータルがどうなるかというのはやっぱり一番重要かなという気はするのですけれども。

【中田教授】  検出器は、ここには含まれていません。含まれていないのは、お金の出方が違うからということで含まれていないのであって、これは、加速器はホストが有り、ファシリティとして作るのであるのに対して、検出器の場合には、実験グループが自分たちのファンディングエージェンシーと話をして、それでお金を持ってくるという意味で、お金の出方が違うので、検出器に対しては、幾ら掛かってどのくらいやるかということは、今まで僕たちがやっていたCERNの実験でも 、そこは加速器の値段に入れてないですよね。だから、それはまた別に評価していただくしかないですし、たしか、それをおやりになったと思うのですけれども。どのくらい掛かるか。それは別に、500GeVから250GeVに変わったからとして、あまり変わるものではありません。
 それから、確かに、このコンストラクションコストに入っているのは、例えば、インフラストラクチャーでも何でも、キャンパスの中のものだけで、それの外のものについても、ここには入っていませんし、それは今までこちらで評価していたと思いますが、別に評価していたコストと、それとは変わらないと思います。この40パーセント減10パーセントというのは、いわゆる8,300億と言われた、それに対しての10パーセントということです。

【横溝委員】  分かりました。10パーセントの範囲は、そういう範囲ですということ。
 今、この13ページ、European XFELは、リニアコライダーの10パーセントのプロトタイプというふうに書かれているわけで、だから、そのときは、コストが、単純に10倍するのは正しくないかも分からないですけれども、それ以外も施設、測定器など全部を含んでいるのかなと思うのですけど、それらを含めた総コストが1,640億相当になっているのかなと思うので、今のところ、単純な比較は難しいと思っていいですかね。

【中田教授】  単純な比較ができるという意味では、ここで比較できるのは、超伝導の加速器施設の部分だけです。

【横溝委員】  何が10パーセントプロトタイプということを言っているのかなという、そこのポイントを言っていただければいいのかなと思います。

【中田教授】  10パーセントというのは、超伝導加速に必要な施設の部分が10パーセントということです。だから、もちろん、本当にこれを作るためには、ポジトロンソースも要るし、ダンピングリングとか、そういうものも更に要りますけれども、一番価格が大きい部分が何かと見ると、超伝導加速のための必要な部分というのが一番大きいポーション、割合を秘めている。その部分はXFELと同じテクノロジーを使っている。そこの部分というものを考えると、10パーセントのプロトタイプがXFELでできたということです。

【平野座長】  どうぞ。

【観山委員】  どうも、御報告ありがとうございました。
 資料3-1の結論という1枚の文章がありますね。これを見て、第1パラグラフ、第2パラグラフ、第3パラグラフと分かれていますけれども、今までのTDR等の資料から思うと、奇異に感じるのは第3パラグラフです。今、御質問にあった、「最近の同様の国際プロジェクトの例では」とまず引いてあって、それはXFELとFAIR計画とあります。それらは、ドイツと主にロシアが経費投入した計画で、ドイツが最初やりたいという計画だった。その計画の部品数などを考えるとILCの10パーセントぐらいなので、それなのに、同様のというのが。やはり一桁違うのではないかなということです。まず質問は、こういう第3パラグラフみたいなものは、もともとのILCが500ギガ電子ボルトの計画であったときにも、LCBからこのような表明があったのでしょうか。

【中田教授】  このような部分というのは、どういうことですか。

【観山委員】  要するに、ここでは「相当」と訳されておりますが、英文はmajority contributionですから、過半というか、大半のコントリビューションを

ホストが出さなければいけないととらえることが出来、その表明が日本からあれば、それに基づいて交渉が始まるとかいうような意味に感じます。そのような文章が以前のLCBからの表明にもあったのでしょうか。

【中田教授】  コストについては、前のLCBの結論を見てみますと、コストについては、インフラストラクチャーですね。いわゆるトンネルとか、建物とか、そういうもの。それは当然ホストがやらなければいけない。それから、加速器の部分があると。加速器の部分は、例えば、3つのリージョンでやるとしますね。その場合には、ホストが3分の1、残りを2つのリージョンでやる。そういう計算がいいのではないかという提案はしています。

【観山委員】  いや、提案はいいのですけれども、要するに、LCBとして、今後の方向性のようなものが第3パラグラフですよね。こういう部分があったのですか?

【中田教授】  それをLCBが出したかどうか?

【観山委員】  そうです。つまり、この250ギガ電子ボルトの提案に対するLCBからの結論というときに、この文章が入ってくるのだとすると、非常に奇異に思うのです。私は体制やマネジメントの部会で座長をやりましたので、そのときILCのいろいろな前提をお聞きし、まずは、ILCは国際協力事業であることでした。それから、もちろん、インフラストラクチャーとか、そういう部分については、結構ホスト国がコントリビューションしなければいけないのが加速器関係の国際事業の通例であることも報告を受けました。また、例として、いろいろな計画を部会で議論しましたけれども、マネジメントのことで。核融合のITAR計画では、ホスト国の建設地の引っ張り合いがあって、ホスト国のコントリビューションが大変高くなったというような事情も報告を受けました。しかし、ILCに関する我々の前提としては、国際協力事業であり、もちろん、ホストのコントリビューションは高いかもしれないけれども、全体として50パーセント以下に抑えて、非常にたくさんの国が参加するという計画であるとの感覚を持っていたのです。しかし、これだと、過半のコストをホストが払わないと話も進まないということを書かれているようで、前提として、今までの状況と大分変わったなという感じがするのですけど。
 だから、500ギガのとき、もっと高い計画のときに、どんな状況になっていたのか。それから、小さくなったとはいえ、ドイツでやられているような二つの計画よりも、今の計算で言うと、やはり一桁違う計画であると思います。したがって、一桁小さい計画と同様に、ホスト国が大半の寄与をするべきと言うのは、これまでの議論とはずいぶん変わったと思うのです。

【中田教授】  一桁じゃないですね。XFELが粗12億ユーロ、250GeVILCが粗48億ユーロだから、ファクター4ですよね。

【観山委員】  でも、部品点数なんかは10パーセントですよね。

【中田教授】  何ですか。

【観山委員】  10パーセントですね。そこに書いてありますけどね。

【中田教授】  超伝導加速器の部分の部品が10パーセントぐらいだということです。全部のコストが10パーセントではないです。

【観山委員】  でも、全部のコストって、ILCの場合には、まだ出ていないわけですよね。

【中田教授】  コンストラクションのコストは、8,300億円の40パーセント減だから、5,000億と出ていますよね。40パーセントまで建設費が下がっていくということは。

【観山委員】  でも、それは一部の予算ですよね。

【中田教授】  一部の予算というのはどういうことですか。

【観山委員】  つまり、ILCの、先ほどから質問にあったように、XFELやFAIRと比較出来るような総予算が正確に出ていないのではと言うことです。そこで、比較の可能な対象として、加速器の点数というのは、10パーセントの計画がXFELだということは事実なのでしょう。

【中田教授】  XFELの10パーセントとは、その値段がXFELの全部のお金の10パーセントというのではないですよ。

【観山委員】  いや、10パーセントと言っているのは、要するに、機器の点数が、先ほどの表にありますけれども、キャビティとか、クライオスタットとか、点数を見ると、大体10分の1ですよね。

【中田教授】  そうです。だから……。

【観山委員】  その10分の1の計画で1,600億のコストが掛かったというのが事実ですよね。

【中田教授】  10分の1になっているのは、超伝導の加速器の部分だけが10分の1になっている。だから、全体の計画が10分の1になっているわけではないわけです。

【観山委員】  私が言いたいのは、何を言いたいかというと、最近の同様の計画とあるところで、これはILCが規模的にXFELやFAIRと同様の計画なのかということです。

【中田教授】  同様の計画ということを言っているのは、LCBの解釈として……。

【観山委員】  つまり、反対に言うと、XFEL(1,600億円ぐらい)程度で、ドイツが最初に始めたいという計画と、ILCが同じような計画と考えられるので、ILCでも、ホストがたくさん出して、みんなを招待すれば協力の話になりますよというふうに読めるのです。でも、私はやはり、XFELなどはILCと同様の計画ではないし、もともとが国際的なプロジェクトなので、初めは日本が提案したのかもしれないが、すばらしい計画なので各国が多数参加したい計画となったと思っていたのです。計画を縮小したからと言って、過半出さないと今後の話になりませんよとLCBから言われるのは非常に奇異な感じがします。
 私の印象ですから、これ以上は結構ですけど。

【中田教授】  ただ、やはり誤解があるとまずいと思いますので、はっきりさせたいのですが、さっき言ったように、加速器の部分の中の特に超伝導に関した加速器の部分だけが10パーセントなのであって、それが全部の加速器を作るだけの10パーセントと取られると、これは間違いですね。全部の加速器。

【観山委員】  いや、コストのことだけを言っているのではなくて、先生は、このILCというのはXFELとかFAIRとかと同様の計画だと思われているのですか。

【中田教授】  同様の計画という……。まずこれは私が思っていることではないですから。これはLCBの結論として出たことで、まず私の個人的なことではありません。それははっきりさせておきます。
 LCBの観点では、これで議論して、こういう結論が出たというのは、つまり250GeVで作ろう、そういう計画、そういうイニシアティブというのは、日本の物理学者が明確に出してきたんですね。それが今までの前の500GeVのときに比べると、日本がこれを、少なくとも学者のレベルで、日本はこれでやりたいというのがはっきり出ていて、それは、そういう意味で、LCBで見た場合に、例えば、こういうリニアコライダーと、XFEL、free electron laserを一緒に掛けたようなものでテスラをドイツがやりたいとまず言い出して、FAIRの場合にもドイツがまずやりたいと言い出して、それを政府と話した場合に、全部うちでやるのは大変だから国際協力でやろう、それで発展していきました。ドイツがこれを提案して、うちでこういうことをやりたい、一緒にやりませんか、それで最終的にでき上がった。
 そういう意味で、LCBで議論したときに、今回の125GeVというのは、本当に日本が非常にイニシアティブを取っている、学者のレベルですけれどもね。そういう意味で、似ているのではないかということです。

【観山委員】  では、規模とか、そういう面では。

【中田教授】  規模は4倍程違いますよね。

【観山委員】  3倍なのか10倍なのか知りませんけれども。分かりました。その同様というのは分かりましたけれども。我々の認識としては、これまでのTDR等で説明された形としては、もちろん、国際的なコミュニティの中で日本が最初にアピールした計画だけれども、国際的な事業としてILCをやっていきたいというイメージが非常に強かったので、過半のコストをとにかく出しなさいというのは、日本が大半を主導する国際的プロジェクトとの認識をLCBは現段階ではしているということですよね。

【中田教授】  そうですね。日本がイニシアティブをまずやっていただくと。そうすれば、みんな一緒にやりますということになると。

【観山委員】  それは随分印象が変わりますよ。随分印象が変わります。今まで我々が議論していたものに比べればね。

【中田教授】  そうかもしれません、確かに。

【平野座長】  よろしいですか。
 座長として、今の観山委員の御質問は大変重要なところでもあると思いますので、これは、あとで御提案申し上げますけれども、認めていただければ、委員会でも再度、ここの原点のところは重要視しなければいけない。それは、特に今御指摘があった2行の部分については、これまでの検討ともどこがどう違うのかということを含めて、きちっと見ていかなければいけないだろうと、こう思っております。また、そこで検討していただき、この会議で議論したいと思います。これはILCの在り方になりますので、大変重要な指摘だと、私は座長として思っております。
 それでは、よろしいでしょうか、観山委員。また後で続いて検討したいと思います。

【観山委員】  はい。

【平野座長】  そのほかの委員で、御意見あったら、どうぞ。

【熊谷委員】  よろしいですか。
 XFELの話と、それから、FAIRの話と、2つありましたけれども、この建設費の内訳の詳細というのは、なかなか手に入れることができないのですが、これは。

【中田教授】  XFELの方ですか。

【熊谷委員】  ええ。多分、そこがあまりはっきりしないので、議論がかみ合っていないと思うのです。
 意外とこういうプロジェクトのときの建設費の詳細というのがなかなか出てこないのだけど、そういうものはそちらから手に入るものですか。

【中田教授】  そこのところは、道園さんが多分もう少し僕よりもよく説明できるのではないかと思うのですが。よろしいですか。

【道園教授】  XFELに関しては、ドイツのXFELを担当したプロジェクトマネージャーの方に個人的に問合せをして、事務方同士でお話をしていただいて、この資料を得ました。いわゆる公開資料だけではないです。

【熊谷委員】  私が聞きたいのは、最初の当初予算というのと、実際にものができた後、掛かった予算とは大幅に違っているということがよくあります。今、ILCで一体幾ら掛かかるかということをきちっと精査するためには、実際に掛かった予算が幾らなのかというのを知りたい。その算出条件をきちっと知りたいということなのですが、そこはどうなんですか、道園さん。

【道園教授】  私も、この実際の資料3-6の値がどの時点のものかというのは確認しておりませんけれども、私が見た個人的な感想としては、10.8億ユーロが12.2億ユーロだったのかと理解したんですが、それは要確認だと思います。私自身は確認しておりません。

【平野座長】  よろしいですか。その点も、また資料入手を努力してもらうということであります。
 そのほか、いかがでしょうか。

【中田教授】  ちょっとした付け足しですけれども、XFELの10.82億ユーロというのは、計画ができたときに、MOUの形で、これが上限だということで出てきた価格が10.82億ユーロです。それから、現在12.2億ユーロというのは、去年のアニュアルレポートで最終的に発表された額です。

【熊谷委員】  内訳が知りたいですね。

【中田教授】  内訳は、なかなか。

【熊谷委員】  いわゆるXFELの場合は、本体とビームラインとXFELにするところですね。あと、全体の実験室も含めて、これはシステムとして成り立っていないと使いものにならないわけですよ。その金額が10.82億ユーロなのか、その辺がきちっとしていないと、その数字だけでILCと比較しても始まらないと思うのですよね。
 それから、もう一つ、反陽子イオンのシステムだと、これ、多分、施設の建設コストは割合多くかかっていると思うのです。

【中田教授】  これ、10.8億のXFELの額をそのままILCに比較するということはできません。というのは、必要な施設が違うし、それから、例えば、ILCの場合には、メインキャンパスとか、そこのビルとか、そういうのまで入れていますでしょう。こちらの場合には、DESYのそばに作って、それから、働いている人の数も違うから、そういうものの価格が全然違う。
 XFELが非常に重要なのは、さっき言いましたように、加速器のためのテクノロジー、超伝導を使ったテクノロジーの加速器の部分、その部分がILCと一緒だと。ですから、そこで使った、そこで掛かった額、それから、空洞がどのくらいの精度でできて、何パーセントが本当に働くとか、そういうものが直接ILCのコストのエスティメートに入ってくるのであって、これがそのままILCのコストには関係しません。それを一緒にすると間違いです。だから、加速器の部分だけ見ていただいて、そこの性能がどのぐらい上がっていて、どのくらい歩合が出てきて、それがILCで使っているものとどのくらい合っているのかということを見なければいけないんです。

【平野座長】  よろしいですか。理解できますね。

【熊谷委員】  それで結構だと思います。

【平野座長】  ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。

【徳宿委員】  同じところにはなるのですけど、例としてXFELとFAIRを挙げたということですけれども、今、お金のことばかり議論には出ていましたが、もう一つ、この2つに関しては、非常に特殊な組織で、ドイツで会社組織でやっているものということですよね。それは、ILCのガバナンスの方では、それは採らないと言われていた形態だと思うのですが、あえてこの2つを挙げたというのは、会社的な組織にしろということを言っているのでしょうか。

【中田教授】  いえ、それは言っていません。どういう組織でやるかやらないかというのは、LCBでは議論していません。

【徳宿委員】  では、組織の形態として、この2つを挙げたわけではないということですか。

【中田教授】  そうではないです。

【徳宿委員】  分かりました。

【平野座長】  よろしいですか。
 そのほか、いかがですか。どうぞ。

【中野委員】  全く同じところですけど、別の観点からで。
 先ほどは、物理のところで、LHCとILCが相補的であると。だから、双方の結果を合わせることによって非常に高い精度までいけるという、そういう御説明があったかと思いますが、ILCができないことによって、LHCの価値が下がるということは、ボードでは議論されなかったのでしょうか。
 だから、日本に任せて、日本が信頼されるというのは非常に喜ばしいことだとは思うのですけれども、ILCができなかった場合に、LHCでいろいろと先行投資して、いろいろ測定もしている、その価値が下がってしまうというリスクが大きくなるのではないかと思うのですけれども。

【中田教授】  それはないと。多分、エッカートの発表になるかと思いますが、それはないというのは、例えば、確かにヒッグスは、LHCのうちの非常に重要な物理の一つではありますけれども、LHC物理というのは、これだけではないですよね。

【中野委員】  なるほど。そのほかが大きいから。

【中田教授】  そのほかが大きい。これだけではない。これは一部だ。そうです。

【平野座長】  では、ちょうど関係のお話が出ましたので、次のエッカート・エルゼンさんにまたいろいろ説明いただきたいと思っております。どうもありがとうございました。
 次は、欧州合同原子核研究機関(CERN)における実験の進捗状況であります。
 委員の方々はよく御存じのように、この会議では、平成27年にまとめました報告書「これまでの議論のまとめ」の中で、提言の一つに、「ILCの性能、得られる成果等については、2017年末までの計画として実施されているLHCでの実験結果に基づき見極めることが必要であることから、LHCの動向を注視し、分析・評価すべきである」と提言をしております。
 当初のCREN-LHCにおける実験計画では2017年末までとされておりましたけれども、少し変更されまして、2018年末までに予定が変更されたと聞いておりますけれども、ある程度の結果の見通しが得られているとのお話も伺っておりますので、現在の状況として御説明いただきたいと思います。
 きょうは、わざわざエルゼンさんが来ていただきました。お聞きすると、きのう着いて、きょう帰られると、そういう日程の中で来ていただいております。どうもありがとうございます。では、よろしくお願い申し上げます。

【エルゼン部長】  座長、御紹介いただきましてありがとうございました。このように、LHCの今の段階での見通しを説明する機会を頂いて感謝しております。
 まずは、今とても話題になってしまいましたドイツから来ておりますので、自分自身の紹介をしたいと思います。DESYで勤務しておりましたので、先ほど話題になったことについても、少しクリアにできればと思います。
 ドイツでの大型の施設については、10年ほど掛けて整備をし、その後は、国際的なコラボレーションという形で、長く運転をするというものですが、例えば、HERA、XFEL、FAIR、あるいは、ESSなどがありました。
 このような大型施設に関しましては、そういう設備を建設するということだけでホスト国に便益があるということもありまして、主に建設コストはホスト国が負担します。
 中身のハイテクの装置等については、参加国や連携に参加している国々で分担するということで、ヨーロッパの大型プロジェクトでは、こういうアプローチが取られていました。
 それと違うのはCERNですが、私もCERNに異動しまして2年ほど経過していますので、LHCの話をいたします。これは本当に違うパターンで、欧州の加盟国が全てお金を出したという意味で、ファンディングは違っています。
 なお、1と2の結果についてですが、Run1については、7~8TeVという低いエネルギーで行いました。今現在進行中のRun2は13TeVで2018年まで行います。また、2021年から、14TeVで3年間行う予定です。
 4つの実験が左下に書いてありまして、インジェクターからLINAC、プロトン、シンクロトロンからSBS,LHCと、このように非常に長いインジェクターチェーンになっています。左側に書いてあるような複数の実験により、出てきたビームについて、他の物理にも使っている、それがCERNでの全体の活動です。
 今現在の活動については、欧州素粒子物理学戦略に則って行っておりまして、その活動は主にCERNで行われています。この欧州戦略がリリースされたのは2013年で、右に映っているのがそのドキュメントです。
 エネルギーフロンティアで、様々なツールの中でも、LHCが一番中心的です。非常にいい成績で、グラフを見ていただくと、開始したのが左側、グラフの右側の方が2015、16、17。高エネルギーの領域に上げていったところなのですが、積分ルミノシティについて言えば、データ量の測定と言ってもいいのですが、このように順調です。50 inverse femtobarn、これ、pbではなくてfbです。タイプミスですが、ちょうど50 inverse femtobarnという記録を達成しました。
 この左下にあるのがまとめですが、LHCについては、非常に理解がされていて、非常に細かく精密に維持がされているということで、期待どおりの成果を上げており、非常にアベイラビリティも高い。
 アベイラビリティやパフォーマンスについても非常に高い水準となっておりまして、ピークルミノシティについては、2×10の34乗で、通常のルミノシティの2倍です。
 ビームとバンチが交差するときに、非常に相互作用が強くて、同時にたくさんの衝突が起こっています。例えば、ルミノシティが1.5×10の34乗というところで、1つの衝突当たり60のvertex interactionが必要であると。
 4つグラフがある中の右上のグラフを左から右に見ていくと、このような分布です。例えば、前の年だったらば30前後だったところが、今だと60ぐらいで行っていて、しかも、始めたグラフの左側の方はずっと低かったということの比較ができます。
 よりクリーンなイベントを検出するために、また、実験をやりやすくするために、ビームの分離については、ルミノシティの最初のフィルのところで行い、後からオーバーラップを上げていく。なので、最初のフィルの数字化については、ルミノシティは一定であって、その後、ビームのバーンオフがあります。このようなモードがいいのではないかという考えになっています。ロスも小さくなります。
 このスライドは、基本的には、計画どおりにLHCができているということを示すものです。今のセットアップで、既に123 inverse femtobarnの積分ルミノシティを超えています。さらに、2018年を追加します。
 計画は、数年前にできましたこの左側にある長方形のところ、その計画はそのままキープされていまして、2019から20年に掛けて長期のシャットダウン、さらに、2024年までに300のinverse femtobarnを目指して再開をします。
 もともとのLHCのゴールが300 inverse femtobarnでした。一方で、その間、完全にLHCのポテンシャルを利用するためには、ハイルミノシティのLHCにしなければいけないということも気が付きました。
 なぜそれが妥当であるのか、その正当性を説明しまして、ただし、かなりのアップグレードが必要となりますので、2019から20のシャットダウンの中で一部行い、そのほかは、それより後にアップグレードします。
 まずRun1と2のハイライトを紹介しますと、もう一般的な出版物でさえ大きく話題になりましたヒッグス粒子の発見。左側のグラフの方がもともとのプロットで、右側の方が質量のピークを再構成したもので、レプトンの崩壊について非常に正確に出ています。
 ヒッグス粒子については、本当に天、神からの贈り物としか言えません。というのは、必要があるものと全部カップリングしますので、これこそ新しい物理でした。
 それで、その物性が予想と合っているのかどうか、幾つかそれを紹介しますが、まずはレプトンへの崩壊。この3つの中で重いのが好まれるということで、タウレプトン。ただ、この実験は大変です。このタウレプトンについても、例えば、ハードの複数のものであるとか、電子ニュートリノであるとか、ミューオンニュートリノであるとか、ありとあらゆるものに崩壊していくので。ただ、この右下のグラフの右下のところにシグマが書いてありますが、5シグマに近いです。これだけのメソッドを高めることによって、こういう結果を出すことができています。
 それで、更に重い粒子の研究ということで、今度はbクォークについて、branching ratioについては高い。というのは、トップのキネティックでは無理なので。それで、右側に出ていますが、ディテクション技術が高くなったからこそ軽いクォークとの鑑別が可能であるということが、右側の再構成で出ています。ヒッグス粒子がリコールドするベクターボゾンとアソシエートして出ています。
 CMSでも同じ測定をしていまして、右下に書いてありますが、シグマ3.8という優位性があります。これは低いエネルギーのRunと組み合わせた場合ですが。2つのb-jetをdisentangleしないという新しい方法もCMSはトライしている。
 高い横の運動量のPTと高エネルギー領域で出てくるヒッグス粒子については、ほぼフュージョンを起こすという感じで、b-jetについて、ほぼ一つに見えます。
 高エネルギー領域で、左下の図に書いてあるところのbbバーについて、このvertexについてきちんとディスプレーしており、鑑別することができています。右下のグラフのところのZ粒子を90GeVで再現することでこの実験のパワーについて見ることができます。Zの再構成については優位であると、このグラフの文字の真ん中に書いてあるZのところ、だけれど、この右下のその領域のところでは、まだヒッグスは余り見つかっていない。ただ、積分したときのハイルミノシティのポテンシャルは、これで示されていると思います。
 今話したことのまとめです。タウの測定とbbバーの崩壊と非常にプレシジョンのレベルが高い。
 こちらですが、ttバーHのカップリングについて、ATLASと連携して最近測定をしました。ヒッグスの直接崩壊と比べるともちろん運動量は抑制されていますが、これはヒッグスからttバーのカップリングが示されています。
 この右上のところで書いてあるように、アソシエートプロダクトとして、ttバーについては、同じカップリング、上のところの左の上のところ、あとは、このtクォークに対する直接のセンシティビティが示されています。大体通常は6ジェットですが、ふだんはもっと多いので、非常に実験としては難しくて厳しい。トップクォークについても、ジェットとかに崩壊するし、もしくは、レプトンになることもあるし、あとはヒッグスもbバーにとか、ということで、本当にジェットが多くて大変です。
 左のグラフに書いてあるように、ヒッグスがWW、タウタウ、ZZ側に崩壊していく、その尤度(likelihood)と優位であって、大体こういう重いものになります。あとは、トップとアンチトップの崩壊。
 これらの測定結果を全部組み合わせてノーマライズし、スタンダードモデルの期待と比較をした場合に、この右下の赤いところはかなり精度が高いことが分かります。そのノーマライズした1位に対して、統計的に30パーセントの不確実性です。
 この右側のグラフに書いてあるように、グラフの右上から左の方に行くと、トップ、Z、W、フェルミオンで、左下の方のミューオンペアについては軽いので、もう測定結果がほぼないわけなのですが、左側の方へbranching ratio、大きいのもあるけれど、ディセントアングルは非常に難しい。このどこかにニューフィジックスが隠れていないか見極めたいと思っています。
 簡単にスタンダードモデルの測定をもう少しお話したいと思います。W粒子のペアとZのペアについては、豊富にLHCでできるわけですが、これについては、右側のグラフで示されているように、非常に精密な測定が可能となっています。なぜかというと、非常に高い統計的な優位性でシステマティクスも減っているからであって、PDFのparton distribution functionsについても、非常にいい予測ができている。なぜこの話をわざわざしたかと言いますと、当初のPDFがignorantであるから、プロトンコライダーで苦労があるということ。
 様々なスタンダードモデルのクロスセクションを見ていまして、グラフ右下の方に関して、これは、このプロセスによるスタンダードモデルの予測はまだ不確実です。ただ、ディスプレーのクオリティで余りクリアに右下のところでは出てはいませんが。いずれにしても、このクロスセクションについては、10倍といいましょうか、これにわたりまして、全部スタンダードモデルが当てはまる状況が続いています。
 最近分かったことの事例の一つとして、Wの質量が分かってきたこと。19MeVの確率で出てきています。これはすばらしい実績です。標準理論と他の測定と比較をして、右下のグラフで書いてあるように、Wとトップの質量を直接比較するという意味で、意味があります。
 これももう一つの例として、トップの質量を測っているわけですが、右側の方に書いてある絶対値を見ると、GeVの精度が示されています。相対的に言っても、クォークの質量としては、最も精度が高い。
 スタンダードモデルのクロスセクションを紹介した上で、なぜハイルミノシティLHCにしていく理由があるかということを説得したいと思います。右側の方に書いてある300 inverse femtobarnから3000に上げる。2024年から2025年にかけてのシャットダウンが右側の方に予定されていまして、この間でマシンの変更などをしなければいけない。2026年から再開の予定です。
 なぜこれをする必要があるか。3 inverse attobarnまで引き上げていくと、スタンダードモデルのクロスセクションについて、非常に精度を高く見ることができる。あと、ヒッグスの第2世代レプトンであるミューオンペアとのカップリングを是非調べたい。
 ただ、その課題に関しまして、ディテクタについては、レートは高めながら、今のプレシジョンレベルは維持しなければいけない。特に、このヒッグスのリコンストラクションに関して。今、TDRが受理されたところでして、検討されていますが、この真ん中に書いてあるところが皆さんへのメッセージで、是非、引き続き、同様に日本からのコントリビューションを期待しています。
 それでもやはり、不可視なモードでヒッグス粒子を計測することはLHCではできないことは明らかです、つまり、ヒッグス粒子の崩壊それ自体を見つけられないときです。これはもはやILCの電子陽電子コライダーの領域に入ってくると思います。クリーンなイニシャルステートが存在して、不可視なヒッグス粒子の崩壊とのリコイルを比較することができるので。
 中田さんのプレゼンでもこの計画について議論しましたが、このグラフのおもしろいところは、左下にあるような赤と緑のところの対比であって、LHCの3000 inverse femtobarnであったとしても、数パーセントのLHCに持っていくことができる。先ほどもこれにILCの250GeVが加わった場合には、どういう貢献、向上化ができるかということで議論になりました。それが薄い緑を、また、高エネルギー領域に関しても、トップの質量がより正確に分かるであろうという期待をしています。
 そうは言いながら、いろいろなものを観察していますと、スタンダードモデルだけでは終わらないということは確実であるので、絶対どこかに新物理が隠れている。
 見えているよりも絶対質量はあるのだと思っているので、必ず候補となるのがダークマター。この左上の右側のところであるように、左下、この低いレベルのところでのリコイルで、もしZ粒子とカップリングをするのであれば、見られるのではないか。右下のところに書いてあるのが、ハドロニックリコイルのスペクトルで1TeVあるいはそれ以上までですが、残念ながら、これもスタンダードモデルで十分に説明がされている。
 左下のグラフであるように、典型的には、ミディエーターについては2TeV、ダークマターについては1TeVですが、このグラフに示されているように、例えば、ダークマターのミディエータープレーンについては、リミットを掛けるとか、そういうことはできます。
 もう一つの分野としては、超対称性について、一言で答えを言えば、単純なパラメータのコンフィギュレーションでは、これは自然ではできていないようであると。右側のグラフにあるように、sトッププロット、エクスクルージョンプロット、これはTeVの領域まで上がっているけれど、様々なトリックなど、非常にクレバーなものが背景にありまして、さらに、パラメータについては、追加をしていく必要がある。スーパー対称性ということは、スーパーフレキシビリティなので、自然は別のパラメータを選んだ可能性がある。
 様々な実験結果を含めたもので、一言でまとめれば、右下のところで示されているように、ここでは1TeVが今のエクスクルージョンの限度。非常に難しい物理を観察しています。
 ATLASの結果ですが、jet invariantで9.3TeV。とてもハードな衝突です。
 LHCのゴールをまとめますと、2つのアプローチがある。左側がまず最初で、エネルギーフロンティアを追求していく。13TeV、それを14TeV、これについては、ロングシャットダウンの後で、もしかしたら15TeVもやってみる可能性がある。というのは、今のマグネットについては、もう限界の能力まで来ているからで。あるいは、右側のアプローチということで、小さなずれというのは、小さなカップリングだということがスタンダードモデルで分かってきましたが、まれにしか起こらないプロセスについて精密な測定をする。とりわけ、その中でもヒッグス粒子について。
 これが非常にまれにしか起こらないB0からミューミューの崩壊でして、このグラフの左下に書いてあるように、1985年からプロットしてあるぐらい長い歴史があるんですが、それが右下のところでようやく色が着いているところは最近でして、スタンダードモデルで予測されていたように、10のマイナス8 branching ratioでの崩壊が確認されたということは、10のマイナス8回は、イベントが起こらないとこれが出てこないと。
 LHCbでの結果は、ミューオンペアに崩壊していくものについて、ストレンジクォーク、ディープクォーク、このメゾン、この2つのピークをディスエンタングルする。この真ん中の下のところに書いてあるところが今現在のアッパーリミットですが、より数字が出てくれば、もっと可能です。今のところ謎ですが、BメゾンがKとレプトンペアに崩壊する。ミューオンペアとエレクトロンペアになるのは同じであると思うかもしれませんが、しかし、ここにratioを見ると、かなり1からはずれている。今のシグニフィカンスについては、シグマ2.5。もしかしたら、レプトンユニバーサリティの破れのヒントが出てくるかもしれない。データポイントが変わらずに新しいデータが出て、もっと統計が取れれば。非常に注目しています。
 LHCbではダークマターに関して、スタンダードモデルが予測しているように、右上の右の中で、ダークユニバースのディカップリング、さらに、これを弱いミディエーターA’とのカップリングでダークフォトンを見ることができるのではないか。このダークフォトンとのカップリングについては、10のマイナス6から10のマイナス2の間の強度で、今のところのエクスクルージョンプロットが示されています。
 これからの素粒子物理学のヨーロッパ戦略のアップデートについて、そこに含まれてくるエレメントとしては、LHCとハイルミノシティLHC。必要な精密測定を実現するために、今のこの戦略を議論する上でのクエスチョンとしては、ILCが実現できるのか、また、相補的な測定ができるのか。
 下から3つ目のポツについては、まだ遠い将来の議論の可能性ですが、100キロのプロトン円形加速器(FCC)や、あるいは、CLICにおける技術でTeV領域の電子陽電子コライダー。ただし、特にFCCについて、これはまだまだ先の話で、かなりの研究開発を要しますが。
 今現在の欧州戦略の一環としても、ニュートリノは進められており、これも必ず継続されるでしょう。
 さらに、現在の精度のインフラを使うことによって、fixed target、今よりは小さなものについても、コライダー以外のものもやっていきます。
 タイムラインです。物理のコンテンツについて、レポートが出てくるのを2018年に終わりまでに期待している。それらの物理のアイデアについて、コミュニティで2019年に協議をしたい。2019年の終わりぐらいには、これらのディスカッショングループにファンディングエージェンシーが参加することになりまして、予定としては、欧州戦略のアップデートについては、2020年5月を目指しています。だからこそ、ILCの方の実現可能性を2018年までになぜこちらが知る必要があるかという重要性を分かっていただけると思います。
 分かっていただければと思いますが、LHCについては、非常に豊富なすばらしいプログラムが現在進行中です。長期的にも非常にいい物理的な成果が出てくることは、もうはっきりしている。パートン分布を拡張することによって、高エネルギー領域にもアップグレードができる。ただし、やっぱり一番難しいのは、いかに精度を確保するか。例えば、深層学習であるとか分析技術は前進しているけれど、しかし、究極的にどこまで精度を高めることができるかが一番難しいので、だからこそ、ILCへの期待が大きい。
 非常に興味深い、難しいけれども大変、だけれども、必死で頑張らなければいけないというような時代だと思います。とにかく新しい物理がどこかにあることは分かっているのですが、余りにも隠れ上手なので、どこを探る必要があるのかを分からなければいけない。
 ありがとうございました。

【平野座長】  どうもありがとうございます。
 大変丁寧に御説明いただきましたので、予定の時間を20分ぐらいオーバーしておりますが、せっかくの機会ですから、お話を伺える限りは伺っていきたいと思っておりますが、どうでしょうか。

【中野委員】  通訳の方が非常にすばらしいので、日本語で質問します。
 Precision measurementのことについてです。23ページ、特にミューミューペアに対するカップリングについて強調されているのですが、これは物理の面で重要だからですか、それとも、ミューオンでもちゃんと測れるということで強調されているのですか。

【エルゼン部長】  これについては、3 inverse attobarnであったとしても、これは高精密測定ではありません。レプトンの生成については、予想される期待どおりのものです。小さな断面積でルミノシティの必要レベルが分かるからの例を紹介しました。でも、それ以外にもカップリングはあるわけであって、例えば、ヒッグスのセルフカップリングであるとか、それについても、かなりのルミノシティが要求されます。

【中野委員】  いろいろな粒子に対するカップリングを精密に測らないと、新しい物理に対するセンシティビティがないというのは、その理解でよろしいですね。


【エルゼン部長】  もう一回お願いできますか。

【中野委員】  様々な粒子に対するカップリングを精密に測らないと、新しい物理に対するセンシティビティがないという理解でよろしいですか。

【エルゼン部長】  LHCの場合ですと、フルのbranching ratioについては得られませんので、不可視の崩壊があった場合には、ノーマライゼーションもできていないので、branching ratioについては分からない。どのカップリングが同等であるかについて、まずモデルのアサンプションを考える。ほかのコンスタレーションについてどういう説明ができるかも、理論学者たちがどれだけうまく説明をするか次第です。


【平野座長】  よろしいでしょうか。

【中野委員】  もう一ついいですか。

【平野座長】  どうぞ。

【中野委員】   幾つかアップグレードした後は、複数のフィジックスプログラムが可能であるということでしたが、優先順位として、何かトップ1つ2つ、どれでしょうか。

【エルゼン部長】  ATLASとかCMSのような汎用ディテクタに関しまして、ヒッグスのカップリングを追求していくということは、もう何よりも重要で、関心部分だと思います。リコイルを使うことによって、いかに精密な測定をしていくか、というのは、なぜかというと、今、統計的なリミットが明白にあるので。
 あと言及したいLHCbについては、これはBフィジックスに特化したものであって、とにかくもっとルミノシティを収集する必要がある。アップグレードについては、今次のシャットダウンでももう行うものがあるので、あとは、KEKで間もなく出てくるBelle2と同じ物理です。
 きょうは重イオンのプログラムは話しませんでしたので、CERNの同僚にお詫びをしないと。

【平野座長】  よろしいでしょうか。そのほか、何かありますか。よろしいでしょうか。
 Thank you very much for your great contributions. Thanks.
 どうもありがとうございました。それでは、議題に入っていこうと思います。
 議題4は、今後の検討及び作業部会の設置について。

【道園教授】  すみません、一言だけコメントよろしいでしょうか。

【平野座長】  どうぞ。

【道園教授】  先ほどの中田議長との議論でXFELの話が出ましたが、一言コメントさせてください。
 XFELは、超伝導部分については、大きなコスト増はなかったと聞いているのですが、ここの部分は、ILCでも空洞など見積もりを使っている部分で、XFELが無事入札どおりに最後建設を終わって実験段階まで行ったというのは、ILCのコストの点でも、技術的にも非常にいいプロトタイプであったということは言えると思います。それだけお願いします。

【平野座長】  どうもコメントありがとうございます。
 それでは、議題4であります。今後の検討及び作業部会の設置について。この会議におきましては、これまで議論を整理して、本日の議論も踏まえて、作業部会の設置について事務局から提案があるということであります。どうぞ。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  御説明いたします。資料6を御覧ください。
 本日御説明しましたとおり、ILC計画の見直しでは、科学的意義と装置について、それぞれ数十枚のレポートが作成されております。資料3-3と資料3-4になりますが。併せて、先ほどCERNのエルゼン部長からも、CERNの2017年末までの実験結果についての御説明がありました。こうしたものについて、今後、作業部会で詳細な検討を進めてまいりたいと思っております。
 本会議で科学的意義と装置を担当していたのは、素粒子原子核物理作業部会と技術設計報告書(TDR)検証作業部会であり、2015年に一度報告書をまとめていただいておりますが、今回、ILC計画の見直しがありましたので、その前提に変化が生じたということで、両作業部会の再設置を事務局より提案させていただきます。
 別紙1・2に趣旨等ございますが、時間がありませんので、読み上げは省略させていただきます。
 事務局からは、以上です。


【平野座長】  ありがとうございます。
 ただいまの提案につきまして、御意見等ございましたら、よろしくお願いします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、今提案がありました作業部会を設置するということで、進めていきたいと思います。
 この作業部会の座長についてであります。これは、議事運営規則第4条第2項によりまして、作業部会の組織及び運営に関し必要事項は座長が定めるということになっております。
 私といたしましては、素粒子原子核物理作業部会は、前回座長代理を務めていただいた中野委員にお願いをしたい。それから、技術設計報告書検証作業部会の方は、前回座長を努めていただいた横溝委員にお願いしたいと考えております。
 前の素粒子原子核物理作業部会は、座長を梶田先生に務めていただいております。中野委員も座長代理として、皆さん御存じのように、きちっとまとめていただいております。梶田先生は、大変日程上厳しいということでございます。中野委員は、十分背景を含めて御存じでございますので、是非、中野委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【中野委員】  はい。

【平野座長】  よろしいでしょうか。
 それでは、中野委員と横溝委員にお願いしたいと思いますが、今後よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
 あとの委員の人選については、今後の運営に関する部分について、私と中野座長、横溝座長で相談をさせていただいて進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【平野座長】  それでは、本日の意見を踏まえて、今後の対応については、座長の委員の方々と私も検討させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、最後の議題5であります。これはその他としまして、今後のスケジュールについてであります。事務局から説明をお願いします。よろしく。

【吉居加速器科学専門官】  御説明いたします。資料7を御覧ください。
 作業部会の設置を2つお認めいただきまして、ありがとうございました。
 素粒子原子核物理作業部会、それから、TDR検証作業部会、どちらも座長と御相談いたしまして準備を進め、1月頃にはどちらも第1回を開催したいと考えております。それ以降の開催につきましては、作業部会の検討状況を見ながら検討していきたいと思います。
  以上でございます。

【平野座長】  どうもありがとうございます。
 きょうの会議でも皆さん方、大変真剣に御議論いただきました。また、お忙しいところ、中田先生、それから、エルゼン様につきましては、遠くからこちらまでお越しくださり、大変貴重な御発表、御報告を頂きまして、感謝しております。どうもありがとうございました。
 それでは、あとは事務局の方から最終の連絡事項をよろしくお願いします。

【吉居加速器科学専門官】  本日の議事録でございますが、後日、委員の皆様にメールにてお送りさせていただきます。御確認いただいた後、当省ホームページにて公表させていただきます。
  以上です。

【平野座長】  それでは、大変貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。これで終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。


―― 了 ――

お問合せ先

研究振興局基礎研究振興課素粒子・原子核研究推進室

(研究振興局基礎研究振興課素粒子・原子核研究推進室)

-- 登録:平成30年01月 --