国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議 体制及びマネジメントの在り方検証作業部会(第6回) 議事録

1.日時

平成29年6月27日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 報告書(案)
  2. その他

4.出席者

委員

観山座長、徳宿座長代理、飯嶋委員、伊地知委員、市川委員、川越委員、佐藤委員、高津委員、田中委員、中野委員、永宮委員、山本(均)委員、横山委員

文部科学省

関研究振興局長、板倉大臣官房審議官(研究振興局担当)、渡辺振興企画課長、岸本基礎研究振興課長、轟素粒子・原子核研究推進室長、吉居加速器科学専門官
三原科学官

5.議事録

【吉居加速器科学専門官】  それでは定刻になりましたので、よろしいでしょうか。
 開会に先立ちまして、事務局より御連絡をいたします。本日の会議は公開としております。本日はプレス2社から撮影の希望がございましたので、冒頭の撮影を許可したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【吉居加速器科学専門官】  ありがとうございます。それでは、撮影希望の方はお願いいたします。
 よろしいでしょうか。それでは、撮影につきましては、ここまでとさせていただきます。
 それでは観山座長、よろしくお願いいたします。

【観山座長】  それでは、国際リニアコライダーに関する有識者会議、体制及びマネジメントの在り方検証作業部会、第6回を開催いたします。本日は大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 では、本日の出席状況等について、事務局から報告をお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  御報告します。本日は北村委員、それから山本明委員が所用により御欠席でございます。出席委員は13名、定足数の8名を満たしておりますので、会議は有効に成立しております。
 事務局からは以上です。

【観山座長】  それでは、続いて事務局より、配付資料の確認をお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  お手元の資料を御覧ください。本日は、資料1が報告書(案)、資料2が今後のスケジュールとなってございます。参考資料としまして、前回もお配りしました報告書の概要版を付けております。
 このほか、机上資料といたしまして、御欠席の北村委員、山本明委員から事前に意見を頂いておりますので、それをまとめたもの。それから、白い表紙の調査報告書、ドッチファイル資料を置いておりますので、適宜御覧いただければと思います。
 以上、不足がございましたらお知らせ願います。
 以上でございます。

【観山座長】  それでは議題に入ります。本日は、本作業部会の報告書(案)について議論いただきたいと思います。
 前回の会議では骨子案について議論いただきまして、その後、メールで御意見を頂戴いたしました。非常に参考になりました。本案については、前回の骨子案と頂いた御意見を踏まえて事務局で作成したものであります。委員の皆様には先週あらかじめ送付させていただきましたので、既にお目通しいただいていると思いますけれども、本日はセクションごとに、事務局からまず説明し、議論するという進め方でいきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、まず1の、本部会で聴取したこれまでの研究者コミュニティにおける検討の概要について議論を行いたいと思います。本日欠席の北村委員、山本明委員からも事前に意見を頂いておりますので、それも含めて事務局から説明をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いします。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  御説明いたします。資料1を御覧ください。まず、前段部分でございますが、本作業部会はILC計画において、研究者コミュニティが想定している国際研究機関に係る体制及びマネジメント、並びに周辺環境整備について検証を行い、併せて、仮に国際研究機関を日本に設置する場合の国内における実施体制の在り方について検討を行ってまいりました。
 まず1.本作業部会で聴取したこれまでの研究者コミュニティにおける検討の概要の部分でございます。
 (1)国際研究機関に係る体制及びマネジメント。ILC計画における国際研究機関に係る体制及びマネジメントに関しては、ILCに関する国際的な研究者組織(別紙1)、後ろから2枚目に添付されておりますが、その研究者組織の一つでありますリニアコライダーボード(LCB)により、プロジェクト実施計画(Project Implementation Planning、PIP)というものがまとめられております。
 特に、準備段階における対応については、PIPに加えまして、先ほどのLCBの前身であるILCSCが取りまとめたプロジェクトデザインガイドライン(PDG)、それから高エネルギー加速器研究機構(KEK)が取りまとめたKEK-ILCアクションプランがございます。
 これらの報告において想定されているILC計画の全体スケジュールにつきましては、各国政府了解の下、研究機関間の合意に基づき、多国籍のマル1、プレ研究所を設立し、最終的な工学設計や参加国間の役割分担等に係る検討を4年間実施。その後、条約に基づく国際研究機関であるマル2、ILC研究所に移行し、8年程度の建設期間を経て、マル3、国際共同実験グループによる実験を開始し、少なくとも20年間運転するというものでございます。
 このマル1からマル3のそれぞれの段階における体制及びマネジメントについて、次ページ以降に示しております。
 この部分は、前回第5回作業部会でも御説明しましたとおり、第3回から第5回の作業部会において会議資料又は参考資料として既にお示ししてきた「研究者コミュニティにおいて想定されているILCの概要」という資料を基に、図表等を加えて分かりやすく記載したものですので、議論の時間を確保するためにも、内容の詳細な説明は省略させていただきたいと思います。
マル1のプレ研究所につきましては、第1回作業部会における山内KEK機構長の御説明に基づき作成しております。
 ここで1点、In Cash、In Kindの日本語訳については、複数の委員から御意見を頂きましたが、2ページのM1、M2のところにございますように、資金拠出(In Cash)、それから現物拠出(In Kind)、ただし現物拠出については物品提供だけではなく、役務提供も含むという形で整理させていただいております。
 続きまして3ページのマル2の部分、ILC研究所のところにつきましては、主に第1回作業部会における駒宮前LCB議長の御説明に基づき作成しておりますが、4ページの加速器の製造体制の部分につきましては、第4回作業部会における山本明委員の御説明に基づき作成をしてございます。
 また次、5ページに参りまして、マル3、国際共同実験グループの部分につきましては、第2回作業部会における川越委員の御説明に基づき作成しております。
 続きまして、6ページの(2)周辺環境整備についてでございます。ILC計画における国際研究機関に関わる周辺環境整備については、PIPに加えて、KEKのレポートとして国際リニアコライダープロジェクト立地に関わる調査検討報告書が取りまとめられております。
 これらの報告書において想定されている国際研究機関に関わる周辺環境整備の概要につきましては、第3回作業部会における北村委員の御説明に基づき、マル1、前提となる人口規模、及び7ページに参りまして、マル2、求められる生活環境要件及び社会基盤要件について、巻末に別紙2という資料を添付してございますが、その別紙2も含めまして、図表を用いて分かりやすい記載を心掛けております。
 1.の概要についての構成はこのとおりでございますが、欠席委員からこの部分につきまして御意見を頂いておりますので、紹介させていただきます。机上資料を御覧ください。
 山本明委員より、意見番号のマル1からマル5の御意見を頂いております。このうち特にマル1については、PIPにおいては建設期間が8年と書かれているのですが、TDRでは9年と書かれておりまして、後ほど川越委員から御説明があるとお伺いしております。
 簡単でございますが、以上でございます。

【観山座長】  いかがでしょうか。細かい事項については少し意見があるのですけれども、全体としてはいかがでしょうか。何かありますでしょうか。
 1つ私が気になっているのは、細かいことですけれども、5ページの上から2つ目のポツ、不確実性対応のための予備費(Contingency)の予備費って、これは駒宮さんが最初にこういうふうに言われたのですが、コンティンジェンシーの意義というか必要性は、私は非常に実感するところでございますが、予備費という訳がいいのかなと。予備費というと、ほとんど財務省から認められそうにない名前なので、例えば調整費とか、コンティンジェンシーをそのまま使うか、そこは、この訳がずっと使われていくと、将来に禍根を残すのではないかという気がちょっとしますものですから、いい訳があれば。
 ITERでは何と言われていましたでしょうか。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  リザーブ・ファンドと言われております。

【観山座長】  リザーブド・ファンドとかね。リザーブド・ファンドでコンティンジェンシーというのは、英語を英語で訳すというのもおかしなことなので、それは懸念の残っているところでありますが。
 ほかに、小さいことでもいいですけれども。どうぞ、伊地知委員。

【伊地知委員】  ありがとうございます。3ページの中ほどですが、また表現ですが、トップ(執行部)マネジメントのところにある最初の、「評議会(Council)」というものがあります。それで、日本の公的な機関を考えた場合に、評議会が最終意思決定機関ということは、なかなかイメージしづらい。そこで、前の方の議論にもありましたけれども、ITERの関係の協定の中で、最高意思決定機関が、「Council」に対しては「理事会」と和文では語が充てられていますので、「理事会」というようにすると、例えば理事会ということであれば、日本国内であっても最終意思決定機関であるということがあるかと思いますので、誤解なく通用するのではないかと思います。

【観山座長】  なるほど。もっともな御意見だと思います。
 そこでも、3ページのプロジェクトマネジメントの中央プロジェクトチームですが、これはPIPにあるものですが、突然出てくるような感じでは。この前に何か引用がありましたか。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  3ページの下段の最初のところに中央プロジェクトチーム(Central Project Team)というのがありますが、役割はその後ろに、サイトを踏まえた設備配置を含む設計に責任を有し、参加国により現物拠出される機器の仕様を決定すると記載されております。それが中央プロジェクトチームの主な役割と認識しております。

【観山座長】  ですね。だから、PIPに定義されるとか、何か文言があった方がいいかもしれません。
 ほかにいかがですか。

【佐藤委員】  すいません。

【観山座長】  どうぞ。

【佐藤委員】  今のプロジェクトマネジメントの最後のところに、競争原理を加えてコスト低減を図ることも考えられると書いてあるのですが、次のページには、製造体制の中で国際競争入札ということが出てきます。これは全く別のことを多分言っているのではないかと思うのですけれども、最初のプロジェクトマネジメントチームで言われている競争原理というのは、何と何がどう競争するという意味なのでしょうか。もし明確なのであれば、もうちょっと明確に書かれた方が、誤解がないかなと思いました。

【観山座長】  私もそれは気になったところだったのですが。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  駒宮先生の御説明の資料にそのようになっておりますので、また原文にも当たって、しっかり確認をしたいと思います。

【観山座長】  そうですね。加速器の製造体制は競争入札による企業との契約を実施するとあるので、それ以外の部分があればですが、二重に何か。前の方では、図ることも考えられると書いてあって、すぐ次のページにあるので、ちょっと違和感がありますよね。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  承知いたしました。

【観山座長】  ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

【川越委員】  先ほど室長がおっしゃられた、建設期間が8年か9年かということですが、我々はずっとTDRのときから建設期間9年、それからコミッショニング1年、それから実際の実験開始と考えていましたが、PIPではなぜか8年の建設期間と書かれていました。
 山本明委員にもいろいろ調べていただいたのですが、どうもPIPの方は記述の誤りで、お恥ずかしい話ですけれどもチェック不足だったということです。今後記録に残るものとしては、例えPIPにはそう書いてあっても、実際には建設期間9年ということでありまして、それが分かるような書き方、記録の残し方を、ここではしていただきたいと思います。

【観山座長】  そうですね。ここは重要といえば重要なところですよね。8年か9年かというのはね。

【川越委員】  それともう1点、これは定義の問題なのですが、ホスト国と参加国という言葉が報告書(案)に出てきます。もちろん実験にはホスト国も参加するのですが、ここではホスト国と参加国は明確に分離されたものとして定義されているのでしょうか。

【観山座長】  いや、ホスト国ももちろん参加国の一つだと思いますが。

【川越委員】  だから、参加国の中にホスト国が含まれると考えてよろしいでしょうか。

【観山座長】  もちろん、そう思っていますけれども。

【永宮委員】  それに関しては、昔、運転経費の議論をした際、ホスト国と参加国かどうかという議論をしました。運転経費は参加国負担であると徳宿さんが言われたと思うのですけれども、参加国とホスト国というのは違うものだとクリアに言っておかないと、後で混乱がおこるのではないですか。例えば、住宅はホスト国で負担する、参加国は負担しないとか。

【徳宿座長代理】  よろしいでしょうか。多分、川越委員がおっしゃられたことは、「ホスト国と参加国」と書いてあるところと「参加国」と書いてあるところを、場合によっては参加国のところをホスト国及び参加国と書き直した方がいい場所があるということですかね。

【川越委員】  どうも後半部分を見ていると、区別をした方がいい部分、ないしは、「ホスト国」と「ほかの参加国」とか、はっきり区別した方がいいという部分があるように見受けられます。

【徳宿座長代理】  多分、今の書き方は、僕が見る感じでは、ホスト国も参加国に含まれている形で書かれているのだと思いますけれども、そのとおりですよね。

【観山座長】  いや、あるいは。

【徳宿座長代理】  そのままでいいならば。

【観山座長】  永宮委員が言われるときには、ホスト国と参加国は分離しているのですが、多くの部分はホスト国及び参加国が参加国の意味ですよね。

【徳宿座長代理】  参加国の意味で書かれていると思います。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  そこの部分は混同がないように、今御提案いただいた、他の参加国と書くなど工夫をしたいと思います。

【観山座長】  そのほか、よろしいですか。

【徳宿座長代理】  先ほどの5ページのコンティンジェンシーを観山座長がおっしゃったところの、その次の共通経費なのですが、共通経費の説明として今、機関運営の独立性確保等に資すると書いてありますけれども、後ろでも議論になりますように、Common Fundの一番重要なのは、In Kindだけではできない部分をちゃんとお金で集めるということで、かつその部分がかなり大きいというのが、実態だと思います。後で流用ということも書いてあるので、独立性確保というよりは、これは駒宮さんのところの文章だと思うのですが、発表では、In Kind貢献が期待できない物品に関しての共通基金という形で書かれていたと思いますので、そのことを文章に増やして、両方書いていただいた方がよいと思います。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  承知いたしました。追記させていただきます。

【観山座長】  この独立性確保、及びIn Kindで提供されるところが難しい機器等に資するとかいう形にしますかね。

【徳宿座長代理】  はい、そういう形に。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  そのほかの欠席委員からの意見については、特によろしければ、このように修正させていただきますけれども、よろしいでしょうか。

【観山座長】  はい、結構だと思います。
 それでは、また後で全体を議論する時間もありますので、では、2の国際研究機関の体制及びマネジメントの在り方に関する検証について、またよろしくお願いします。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  御説明いたします。9ページです。2.国際研究機関の体制及びマネジメントの在り方に関する検証。本項以降、2.から4.は、1.において示された研究者コミュニティの考えている国際研究機関に係る体制及びマネジメントに対して検証を行い、併せて、仮に国際研究機関を日本に設置する場合の国内における実施体制の在り方について検討を行った結果の概要となります。
 前回第5回の作業部会で御説明しました骨子案は、かなり時間を掛けて御説明を差し上げましたので、今回は御議論の時間を確保するために、骨子案からの主な変更点を中心に御説明をすることにさせていただきたいと思います。
 (1)プレ研究所に係る体制及びマネジメントの部分でございます。佐藤委員から御意見を頂いておりまして、それを踏まえて、2つ目の丸と3つ目の丸を追加してございます。具体的には、KEK-ILCアクションプランで想定されている200人規模のプレ研究所を運営するためには、相当数の新人加速器研究者の育成が必要であるということが書かれておりまして、それに併せて企業でも、カウンターパートとなる高度な知識や技術を有した人材の準備が必要である。その点を佐藤委員から御意見いただいており、この2つの項目を追加させていただいております。
 なお、(1)の部分について、欠席委員からの御意見はございません。
 以上でございます。

【観山座長】  まず、この(1)プレ研究所に係る体制及びマネジメントに関しては、御意見いかがでしょうか。

【佐藤委員】  すいません。

【観山座長】  どうぞ。

【佐藤委員】  私自身が提案させていただいたところなのですが、出向等の形態で研究者とともに経験を積むことが考えられるということですけれども、この話のときには、この後に、企業のモチベーションも重要であるというお話をさせていただきました。
 ですから、研究者とともに経験を積むことが考えられるというところを、もしできたら、出向等の形態で研究者とともに経験を積む場を提供することが考えられるというふうにしていただいて、なかなか企業がみずから行くというのが難しいかと思いますので、直接書かなくてもいいかと思いますけれども、人件費の話とかそういうことも含めて、場を提供していただけるという形にしていただけるとありがたいかなと思います。

【観山座長】  もう一回おっしゃっていただければ。

【佐藤委員】  「出向等の形態で研究者とともに経験を積む場を提供することが考えられ、プレ研究所立ち上げ時の人材不足を補う効果も期待できる」という形でお願いできれば。

【観山座長】  結構だと思います。
 それでは、(2)に移りましょうか。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  (2)ILC研究所に係る体制及びマネジメント。マル1とマル2を続けて説明させていただきますが、マル1、法的位置付けにつきましては、記述の順番を整理しまして、論旨が分かりやすくなるように修正をしております。最初の3つの丸で、条約に基づく場合のメリットをお示しし、4つ目の丸のところで「一方で」と、その場合のデメリットを示してございます。
 また、5つ目の丸のなお書きのところで、条約とは別の枠組みの可能性について研究することについて言及しております。また、6つ目と7つ目の丸では、仮にILCのホスト国を日本が担う場合、条約の条項の検討に当たっては、国連大学本部協定とITER機構設立協定が参考になる旨、記載しております。
 続きましてマル2、トップマネジメント及びプロジェクトマネジメントについてでございます。骨子案からの主な変更は、4つ目の丸です。11ページのところに、これを追加しております。
 4つ目の丸のところで、ILCのホスト国を日本が担う場合には、そのプレゼンスを高めるためにも、強いリーダーシップでマネジメントを担う人材を計画的に養成していくことが重要であるとされています。第5回の作業部会、前回ですけれども、ALMAのヒアリングで、日本のプレゼンスを高めることに成功した例の御紹介がありましたので、その次の4つ目の丸として追記をさせていただいております。
 なお、このマル1、マル2の部分に関しては、欠席されている、北村委員から御意見を頂いておりますので、机上資料を御覧いただきたいと思います。意見番号の6と7となっております。文章の適正化というところが中心でございます。
 以上でございます。

【観山座長】  いかがでしょうか。(2)のマル1、9ページですけれども、9ページの一番最後、この作業部会として、条約による国家間の合意に基づくことは妥当であると考えたということは、1つの方向性を出すことになりますので、これはよろしいですね。
 それから10ページ目、11ページ目ですが、10ページの真ん中辺にある国連大学本部協定には課税の免除とかあって、例がありますが、多分、大学にも結構たくさんのものを入れたのだと思いますが、もしもILCが建設が始まると、その輸入の規模は相当、全然違う規模になると思うので、そういう課税・無税の件というのは結構重要なことになると思います。
 それから、欠席の委員からの御意見は机上資料にあるとおりでございます。
 いかがでしょうか。伊地知委員。

【伊地知委員】  すごく細かいことで恐縮ですが、10ページの下から2番目の丸のところです。実はこの中で、「設立」と「設置」という語が結構たくさん出てきまして、法人格を持つ機関が設立されるときは設立でいいかと思うのですが、設置ということが、組織をある土地に、地理的なところに置くというときか、あるいはその機関の中で、ある部署を設けるという場合は設置でいいかと思うのですけれども、下から2番目の「新たな国際機関としてILC研究所を」のところは「設立」かと思います。

【観山座長】  そうですね。

【伊地知委員】  今気が付いたものですから、全体を見ていただいて、そろえた形にしていただければと思います。

【観山座長】  適切な御意見をありがとうございます。
 どうぞ。

【市川委員】  すいません、前回欠席したので、どういう議論だったか分からないのですけれども、1ポツのこれまでの研究者コミュニティにおける検討だと、トップマネジメントについて評議会か理事会があって、こう選ばれて、所長は公募・選考され、組織全体の経営責任を有するとか、そういうことをいろいろ書いてあるのですけれども、2ポツのこの作業部会での検証では、そういうことについて一切触れていないのですけれども、それについて、何もこの会議からはメッセージを出さないということになるんでしょうか。

【観山座長】  基本的には、皆さんはそういうことについて肯定的に理解したということなのでしょうけれども、それを少し、1ポツの組織体制みたいなものについて、これは従来の高エネルギー分野の体制的なものと称されて書かれていると思いますが、理解できるという部分を、丸を1つ入れましょうかね。それは多分、(2)のどこかですね。法的位置付けじゃなくて、マル2のところですかね。いかがでしょうか。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  そうですね。この部分は前回も座長から、骨子案の議論のときに、ここの部分についての指摘が少ないのですが、何かございませんかという問い掛けをしていただいているのですけれども、余り御意見が頂けておりません。そういう意味で、今もし御意見を頂けるようでしたら、頂ければと思います。

【観山座長】  そうですね。

【市川委員】  是非、このままだと何か、政府が作ったお役所的なイメージが強い組織になってしまうので、運営というところに研究者の代表がちゃんとトップに立つというのを、是非入れていただきたいと思います。

【観山座長】  それでは、適切な形でマル2のところに、提案されている体制は十分理解できるとか、適切であるとかという文章を一文入れることでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、また後で戻りますので、マル3に行っていただきましょうか。あと、マル4ですね。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  11ページのマル3、マル4を併せて説明させていただきます。
 マル3経費分担の方式についてでございますが、骨子案からの主な修正点は、上から3つ目の丸でございます。ここの部分は佐藤委員からの御意見を踏まえまして、後段ですが、仕様とコスト及び納期の責任がILC研究所とハブ研究所で乖離して、全体の責任の所在が不明確になるおそれといったものについて、追記をさせていただいております。
 さらにその下、4つ目の丸でございますけれども、実際にITERにおいても、ITER機構と7参加極の国内機関の間で利害が対立しまして、スケジュールの遅延の拡大とそれに伴うコストの増加が大きな問題となったという事例も実際に起こっておりますので、それも追記しております。
 その次の5つ目の丸で、こうした現物拠出(In Kind)方式に起因する課題等に対応するために、予備費(ここの訳についてはまた後ほど検討かと思いますが、Contingency)や共通資金(Common Fund)の重要性を指摘しておりまして、その事例を次のページ、12ページに、CERN、ITER、ALMAの場合で、いかに重要であるかということを事例として挙げさせていただいております。
 また、マル4国際的な経費分担につきましても、骨子案からの主な変更としまして、ITER、CERN、ALMAの国際的な経費分担の例を追記させていただいております。
 マル3とマル4に関しましては、欠席委員から御意見を頂いております。机上資料の意見番号でマル8からマル10となっております。

【観山座長】  ありがとうございます。山本明委員と北村委員から御意見ありますけれども、特に私も12ページのマル4の最初で、ホスト国に権限が過度に集中と。権限だけではなく、私は責任と書き直したのですが、山本委員ですか、負担と権限とか、つまり50%程度としたということはPIPに書かれているところで、この数字は書かれているので、このまま書きましたけれども、これがいいとか悪いとかというのは、ここでは余り議論はしませんでしたけれども、責任や負担や権限が過度に集中しないという御意見はあったと思いますので、これぐらいでよろしいかなと思いました。

【永宮委員】  一つ質問。細かいことですが、今のところで、ホスト国の経費分担を50%までとするというのがありますね。これは住宅とかは含まれているのですか、含まれていないのですか。要するに、建設というと加速器だけなのでしょうか。

【観山座長】  正確には、PIPでは多分含まれていないのですね。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  周辺環境整備は含まれていないと思いますが、中央キャンパスとか、土地の購入費とか、そういったものは含んだ上で、超伝導高周波加速器技術のような高度技術でも相応の貢献をする場合には、ホスト国の全貢献は50%程度になると書かれていると思います。

【永宮委員】  トンネルなどを作るのも。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  それは入っていると思います。

【永宮委員】  それは入っている。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  はい。

【観山座長】  町を作ったり、道路を整備したりするという部分は入っていない。

【永宮委員】  それは明瞭に分かりますか。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  それはPIPには書いてございます。

【観山座長】  米印で下に付けるか何か、工夫しましょう。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  そうですね、分かりました。

【観山座長】  あと、12ページの一番下の、細かいところですけれども、その他6参加極が、おのおのですよね。おのおの9.09%。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  はい、そうです。

【観山座長】  これ、6掛けると101になるのだけれども、細かいところだけれども。
 あと、これは簡単な質問、次のページ。
 いかがでしょうか。どうぞ。

【山本(均)委員】  マル3の3番目の丸のところで、全体責任の所在が不明確になるおそれがあると。それの解決策として、ここで提案されているのが予備費ということだと思うのですけれども、それ以外にも中央研究所というのがコストと納期に関して、全体のコストと全体の納期に関して責任をとるというのが必要じゃないかと思うんですけれども、要するに、あるハブがそれができなかった場合に、コストに関しても納期に関しても全体の調整をして、全体としてコストと納期が達成される、予定が達成されるといった責任というのが、中央研究所に与えられるべきじゃないかと。
 ITERのケースにしてもCERNのケースにしても、結局そういうところがあったのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

【観山座長】  高津さん、何か御意見ありますか。

【高津委員】  ご指摘の通りだと思います。

【山本(均)委員】  だから、そういったことを少し加えていただければいいのではないかと思うのですけれども、結構重要な変更になるかもしれませんが、いかがでしょう。
 要するに、ここではハブ研究所というのがコストと納期の責任を全て負っていて、中央研究所は単に設計をして、全体のリンクをしているだけだというふうな設定になっているのですけれども、それはちょっと弱いのではないかと。ここであった議論に照らしてみると、それでITERも非常に苦労したというところもあるのじゃないかという気がするんです。

【観山座長】  必要なことでしょうね。例えばALMAであったことは、結局、同じような形態をとったんですけれども、ある国の建設が非常に遅れたので、違うところに割り振り直したということもありましたから、ある程度状況を見ての話ですけれども、ハブ研究所だけが責任を負うわけじゃなくて、中央の司令塔が責任を持つということですかね。連携を密にして責任も持つということは、適切だとは思いますけれども。ただ、なかなかうまくいくかどうかという問題があります。
 どうぞ。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  すみません、11ページの一番上ですけれども、先ほど説明したマル2のトップマネジメント及びプロジェクトマネジメントのところで、ILC研究所と参加国の間のIn Cash、In Kindの関係をマネジメントする中央プロジェクトチームの役割は重要であるということは指摘させていただいておりまして、付け加えるとするならば、ここに何かしら、こんな役割も期待するとか、そういった形で書くということはあり得るかと思います。

【観山座長】  そうですね。

【山本(均)委員】  そのようにお願いします。

【観山座長】  どうぞ。

【永宮委員】  これは参考になるかどうか分かりませんけれども、例えば、ILCのインフラを除く建設と運営という意味ですね。これの経費負担って、インフラは除いているのですね。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  いや、インフラも入っております。ですので、先ほどの整理でいくと、周辺環境整備以外のところは基本的には入っております。

【観山座長】  トンネルを掘ったりする部分は。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  入っております。

【観山座長】  それは入っている。

【永宮委員】  町作りなんかは入っていないのでは。

【観山座長】  ええ。研究者の例えば宿舎みたいなのは入っているのでは。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  そこは、今日は北村委員がいらっしゃらないのですけれども、北村委員の説明によりますと、中央キャンパスの一部分については、テクニカルデザインレポートの中に重複して費用が入っている。でも、それ以外はないという説明だったと思います。

【永宮委員】  参考になるかどうか知りませんけれども、GSIのFAIRというプロジェクトが、75%ドイツが出し、あとの25%は外国と決めてあるのですね。そうすると、トンネルを掘り出したら、途中でトンネルの費用がものすごくかさんできました。
 日本は地震国ですから、予定の額よりももっとかさむかもしれない。そのときは、そういうふうに50%以内と制限を入れてしまうと、ハードウエアの加速器部分は別の国がさらに負担しなければならないという状況が起こります。要するに、トンネルはホスト国が作らざるを得ない。そのために加速器製作が圧迫されて他の国の負担になる。そういう失敗が外国では見られたので、御参考までに。

【観山座長】  基本的には、コンティンジェンシーは中央で支配して、どこは足りているとか足らないとかということを見ながら、コンティンジェンシーをこれには使わなくてはとか、今みたいな部分だったら当然使わなきゃいけない項目になりますよね。それは初めから余りがんじがらめにすると、なかなか対応が難しい状況になることは事実ですね。先ほどありましたように、中身については米印で加えることにいたしますので。
 それから、私は1つ、これは重要な、13ページの上から2つ目、ALMAの中の米印がありますね。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  はい。

【観山座長】  これ、やめませんか。25%になった経緯は様々にあって、もちろん2年遅れたということもあるのですが、例えばここでいうと、そのときの財務省は、GDP比で絶対対等とはできないと言われたこともあって、微妙な結果、こうなったので、ただこれだけ書くと、ちょっと変な感じになるので、やめておいた方がいい。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  そこは座長と御相談させていただきたいと思います。

【観山座長】  大きな問題にはならないと思いますので。
 ほかによければ、次に。どうぞ。

【川越委員】  すいません。13ページの(2)の最後の項で、ILC研究所は、欧州におけるCERNと相補的なアジアの国際研究拠点にしていくことも考えられるとあるのですが、CERNと相補的なという意味がいま一つ分からなくて、お聞きします。役割的には科学的な、サイエンティフィックな役割では、ハドロンコライダーとレプトンコライダーということで相補的なのですが、それ以外の意味も、例えばCERNの場合はヨーロッパの国がGDPに応じて資金を出して運営しておりますが、そのような意味まで含んで、ここで書いているのかということが分かりません。多分そうではないと思うのですが。
 欧州の場合は、政治体制からも含めて一体になる体制がありますが、少なくともアジアではそういうことは容易ではないと考えられますので。

【観山座長】  この意味付けについては。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  永宮先生の御意見から記載させていただいていますけれども、今おっしゃったようなGDPなりNNI比の経費分担まで含めて相補的ということではなくて、前者の部分ですね。

【川越委員】  役割として相補的、ということですね。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  ええ。陽子-陽子と電子-陽電子という観点で、相補的というところも含まれると思いますが、経費分担の方式が含まれるということではありません。

【佐藤委員】  すいません、もう1点よろしいですか。

【観山座長】  はい。

【佐藤委員】  先ほどのILC研がいろいろな調整事項が発生したときに力を発揮すべきだということを、11ページの上の方に一言書こうということになったと思うのですけれども、ここら辺はもうちょっと明確に、ILC研とハブ研や企業のやるべきことというのは、私の考えとしては、ILC研は各国地域のいろいろな調整に集中すべきであって、あと、全体システム設計の整合性とか完成度をしっかり上げていくことに集中して、一つ一つのIn Kindの物作りについては、ある程度ハブ研や企業への権限委譲の範囲を明確に決めて任せるということを、早めにしっかり決めることが、納期やコストに対していいことなんじゃないかなと思います。そういうところをマネジメントのところに明確に書いてみてはどうかと思いました。

【観山座長】  いかがでしょうか。先ほどの対応では11ページの一番上の、これは人材に関する部分ですけれども、複数の御意見がありましたので、1つ丸を独立させて、ILCとハブとの関係を少し、ILCは先ほどありましたように責任を十分持たせて、いろいろコントロールするとか、ハブとか企業との連携についての中央集中的な機能を持たせることがマネジメントとして必要ではないかという意見を、丸を入れましょうかね。いかがでしょうか。
 これは実際はなかなか大変で、各国は各国の、さっきも話していた文化があって、どことは言いませんけれども、遅れても余り問題にしないところもありますので。ただ、中央でしっかりコントロールしないと、ずるずるといってしまいますのでね。
 どうぞ。

【田中委員】  今の佐藤委員のコメントに私は賛成します。ヨーロピアンXFELのDESYと同様な事をしていると、多分このプロジェクトは失敗します。佐藤委員の話というのは、コンポーネントの要素技術は充分に確立されていて、それはハブ研究所に任せられるという前提の下で、ILCの研究所はシステムデザイン、所謂サブシステム間の整合性とか、全体のインテグレーションに集中できる役割分担を明記した方がいいという意見だと理解しました。逆にそういうところまで技術が仕上がっていないと、この計画は破綻しますので、それが前提ということは、とても重要ではないかと思います。

【観山座長】  ありがとうございます。そういう方向で付け加えるということでよろしいでしょうか。

【徳宿座長代理】  よろしいですか。今、議論に皆さんの温度差がかなりあったような気がするので、私にはちょっと解らなかったのですが、つまり、中央の方に余り権限を持たせないようにというのが佐藤さんの意見ですか。

【田中委員】  いや、そういうことではなく、守備範囲を。

【徳宿座長代理】  きちんと決めなさいということですか。

【田中委員】  ええ。要素技術の細部に亘り、個々のサブシステムの性能のところまでをILC研究所が全て責任を持つというのは、多分非常に困難なことであって、そこはIn Kindのそれぞれを受け持ったところにちゃんとやっていただいて、それをトータルトータルシステムとしてインテグレートするところに、どっちかというとILC研究所は集中した方がいいという、佐藤委員、基本はそういうことですよね。

【佐藤委員】  そのとおりです。それで一方、実際にあるハブ地域が大きな遅れを出した場合には、出そうな場合には、それはもちろんILC研が責任を持って発注を替えるなどということもできるようなところがあった方が、スムーズにいくだろうと思います。そこを明確に最初にしておくべきじゃないかなと感じております。

【徳宿座長代理】  中央研究所もコントロールはしっかりするけれども、守備範囲をきっちりしておいて。

【佐藤委員】  そうです。任せるところは任せると。

【徳宿座長代理】  マイクロマネジメントまでするなという話ですね。分かりました。

【山本(均)委員】  僕もそれで賛成で、いいと思いますけれども。重要なのは、僕の懸念と言ったのは、要するに中央研究所というのが全体のプロジェクトの成功に責任を持つということなのですね。

【徳宿座長代理】  分かりました。

【佐藤委員】  恐らくマイクロマネジメントをしなければならなくなってしまうのは、全体のシステム設計の完成度ですとか、先ほど田中委員がおっしゃられていた一つ一つの技術の完成度が十分じゃないということが原因になるのだと思います。

【観山座長】  私もそのように理解しておりました。
 それでは、よろしければ、次の(3)測定器建設を含めた国際共同実験に係る体制及びマネジメント。よろしく。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  13ページ、(3)でございます。測定器建設を含めた国際共同実験に係る体制及びマネジメントについて。骨子案からの主な変更は、3つ目の丸ということで、14ページの頭になりますけれども、ここは観山座長も何回かおっしゃられた点ですが、加速器実験が民主的な運営をされているという中で、仮に日本がホスト国を担う場合に、その妥当性やメリットを明確に示すことが重要であるというところです。骨子案ではもう少し学術の観点からの言い方だったと思いますけれども、明確にホストのメリットということで記載をさせていただいております。
 ここの部分、(3)につきましては、欠席の北村委員より御意見を頂いておりまして、机上資料の意見番号12となっております。文章表現の正確さの改善という観点でございます。
 以上でございます。

【観山座長】  何か御意見ありますか。これは短いですけれども。
 それでは、またありましたら後でも振り返りますが、3ポツの国際研究機関の周辺環境整備の在り方に関する検証。3番の、まず(1)について。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  御説明いたします。14ページの3.(1)前提となる人口規模につきましては、骨子案からの主な変更は、1つ目の丸で、まずPIP及び国際リニアコライダープロジェクト立地に関わる調査検討報告書で、どういう記述がなされているかということを追加しております。その想定については懸念があるということでございまして、以下2つ書かせていただいているということでございます。
 この(1)につきましては、欠席委員から意見番号13、14の御意見を頂いております。

【観山座長】  そうですね。私もちょっと気になりましたけれども、14ページの山本明委員の修正は適当と思いますが。よろしいですか。

【川越委員】  よろしいですか。

【観山座長】  どうぞ。

【川越委員】  丸の2つ目で、建設終了後に人口が減少していくことが予想されるとありますが、これは7ページ目に図がありまして、これだけ見ると、10年目ないしは11年目でがくっと落ちていいて、そのことと勘違いされる恐れがあると思います。この部分の減少は、単純に、建設に携わる人が純粋に、それが終了したからいなくなる分が減るというだけです。実際に心配されているのは、その後の推移がさらに減少になるのではないかということだと思います。
 それについて、それが議論になったときに、ちゃんと私が発言すればよかったのですが、ILCは単一目的の実験と、たしか市川委員がおっしゃったのですが、実はそうではなくて、ILCとかLHCなどのコライダー実験は、1つの実験ではありますが、その中にいろいろな目的があるということです。例えば論文数にしても、年間100を超えるものが出てくる。非常に多様なテーマを持っているということで、必ずしも単一目的の実験だから人が減っていくとは言えない、ちょっと単純過ぎるのではないかという感じを持っております。だから、それはいろいろな見方があるということではないかと思います。

【中野委員】  多分、物理の広さとか、目的とかということではなくて、現場にいなくてはいけないか、いなくても大丈夫かという議論だったと思うんですね。まだ起こっていないことなので、正確に予想するのは難しいというのは同意いたしますけれども。

【川越委員】  ただ、今、例えばLHCで、既にネットワークが発達した社会で、それでCERNにいる人が減っているかというと、それは減っていないと思います。同じことが起きるかどうかまでは分からないのですが。

【中野委員】  だから、それがCERNだからじゃないかとか、そういう議論だったと思うのですよね。ハイルミLHCにかけての準備とかもありますし、ILCについても順次拡大していくとか、そういうことがあったらやらないと思いますけれども、何が起こるか分からないということで、可能性として。

【川越委員】  だから、予想されるというよりは、その可能性があるぐらいの書き方が良いと思います。

【中野委員】  それぐらいでいいと思います。

【横山委員】  よろしいですか。

【観山座長】  はい。

【横山委員】  恐れ入ります、14ページの3ポツの丸の2つ目で、今と同じ継続した議論なのですけれども、推計のように人口を増加させるためには、他分野への研究拡大に明確な見通しが必要であるということなのですが、推計のように人口を増加させる必要がそもそもあるのか。プロジェクトが目的であるから、人口を増加させることが目的になると、ちょっと違和感があるかなと思って、ここの文章はカットしてもよろしいかなと思いました。
 といいますのは、委員としてはシングルパーパスの研究所として提案されているということを前提に議論しているので、最初からマルチパーパスを見込んでの議論というのは不可能であると感じております。もちろん、今川越先生がおっしゃったCERNのような発展の仕方というのは、研究所として望ましいというのは理解できますが、それを見込んでの議論というのは、材料が少な過ぎるということもありますので、ここの文章はカットしていただいてもよろしいかなという印象を持ちました。

【観山座長】  カットしてもいいのですが、ただ「建設終了後には人口が減少していく可能性もある」でおしまいにしますか。

【市川委員】  いいですか。すいません。人口を増加させる必要はないとは思うのですけれども、研究を発展させていくということは大切なので、言葉を変えて、何か残した方がいいと思うんですけれども。そのままだと、ネットワーク越しに解析できる時代だと、どんどん縮小していってしまうのは事実だと思うので、発展させていく努力が必要とか、そういうことはあると思うのですけれども。

【観山座長】  だからこれは、人口が減少していくとか増えていくということが主題ではなくて。

【川越委員】  研究所そのものの発展性とか、そうですよね。

【観山座長】  研究目標を有するILC研究所は、建設後には他分野への研究の拡大等についても検討の必要があるとか、そういうことですよね。人口を入れちゃうので、何か話が変になってしまっているので。

【川越委員】  そうですね。確かにそうだと思います。

【観山座長】  もちろん、PIPでグラフは少しずつ伸びているということを、別にここで説明する必要はないので、基本的にILCというのは加速器の目的で作るという当初の目的で進むわけですが、建設後には他分野への研究の拡大等についても十分検討していく必要があるとかいう部分であれば、よろしいのではないかと思いますけどね。今それを全て考えろというわけじゃないですけれども。

【市川委員】  東北か分からないのですけれども、そういう町に作るときには、そこに学術的な町が発展することを、多分その町の人は期待していますよね。多分、その辺をきちんと考えて研究所の設計をしていかないと、作った後はただ最低限の人だけがいる寂しい町になっていくというのが、ちょっと心配しているところなのですけれども。

【板倉大臣官房審議官】  すいません、よろしいでしょうか。さっき横山先生がおっしゃったと思うのですけれども、余りここで人口の問題ですとか、あるいは町の発展の問題を議論し始めますと、また別のファクターが余りにも大きいかと思いますので、ここで余りそういう議論をしていただかなくても大丈夫かなとも思います。
 例えば、記載するのであれば、ILC研究所では、他分野への研究の拡大がない場合には人口が減少する可能性があるという、ただ単に事実だけ書いていただくとか。町の発展ということは余りにもほかのファクターが大きいかなとも思いますので。

【観山座長】  そのように調整したいと思います。分野からは、ただ加速器じゃなくて、その周辺の学術が広がっていくという期待感を持っておられると思います。
 ほかにはいかがですか。どうぞ。

【山本(均)委員】  ここのポイントなのですけれども、要するに、1つの研究目標を有するILCであるがゆえに、他分野への研究の拡大等がなければ人口が減少するという事実を書くというお話ですけれども、それは果たして事実でしょうかね。要するに、野村総研がやったスタディーというのは、いろいろな要素を取り入れて人口がどういうふうに遷移していくかというのを調べたら、逓増しているということになったので、それが事実とは必ずしも言えない。
 だから、それを凌駕するスタディーをやった上で言うなら、また別なのだけれども、それを事実として言いますかね。言えますかね。

【関研究振興局長】  ここでは事実ではなくて、検証ということなので、野村総研の冒頭の方に提示されているものについて、ここでの御議論としてどう考えるかということについてのことを、ここで書いていただくということだと思います。それが事実かどうかというよりも、むしろ考え方としてどうかということを、この検証作業部会としての検証の中での御議論を整理していただくということではないかと思います。中身の云々ではなくて、性格としてはそういうことだと思います。

【観山座長】  どうぞ。

【田中委員】  横山委員の議論に戻りますけれども、人口について、ここで本当に書く必要があるのかどうかというところに戻った方がいいのかなと思います。単一の目標を有するということなので、アクティビティーを維持するためには、それを多方面に広げていく努力が必要ぐらいの話だけじゃだめなのでしょうか。どうしても人口に触れないといけないのでしょうか。人口がどうなるかというのは多分、非常に未知数な話で、それをここで議論することに大きな意味がないような気がするのですが。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  すみません。この人口推計に基づいて、周辺環境の整備というのが設定されて、そのコストなども一部計算されているというのが野村総研の2つの報告書でありましたけれども、そういった設定や試算の根拠になっている大もとはこの人口規模なのですが、その方向性については、今までの議論を伺っていまして、人口が減る可能性があるというところまでは合意されているのではないかと思いますので、そこで止めてそれ以上書かないというのはいかがでしょうか。
 人口が増えていくという前提の下で町の計画を立てていくことには懸念があるということをここで述べさせていただくということでいかがでしょうか。

【観山座長】  先ほど板倉審議官がおっしゃったとおり、単一だけだと減少する可能性があると。だから他分野への研究の拡大等を考えない場合はとかいった形で収めておくぐらいですかね。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  後ろの部分は、むしろ入れると先ほどの山本(均)委員の御意見と齟齬が生じると思いますので、横山委員がおっしゃったところで終わるという、「可能性がある」で終わるということではないでしょうか。

【観山座長】  「可能性がある」だけにしましょうか。
 ほかにいかがでしょうか。

【伊地知委員】  (2)のところでもよろしいですか。

【観山座長】  (2)は、さっき説明はまだ。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  (2)のところの説明をさせていただきます。よろしいでしょうか。

【観山座長】  どうぞ。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  (2)求められる生活環境要件及び社会基盤要件のところですけれども、ここにつきましては、骨子案では特出しして住環境等、具体的な要件について指摘もさせていただいていたのですけれども、今回、一番最後のページに別紙2を付けさせていただいて、事細かに、より詳細に構想が記載されていたものを添付させていただきましたので、そこから恣意的に項目をピックアップするということはやめまして、本文からは削除させていただいたというところが、1つ大きな変更点になっております。
 また、15ページの3行目、1つ目の丸ですけれども、こうした周辺環境整備に係る経費というものは相当額に上るということが考えられ、その経費の分担については、立地等の議論と併せて整理する必要があるとしております。その際、なお書きですけれども、ITERの例をより詳しく記載する形にさせていただいています。
 最後の丸のところですけれども、ここは横山委員の御意見を踏まえまして、その文章のとおり修正をしております。
 また、(2)につきまして、欠席委員からの御意見ですけれども、机上資料意見番号15、16となっております。
 以上でございます。

【観山座長】  どうぞ。

【伊地知委員】  細かいのですけれども、14ページの下から3行目に「医療・保険」とありまして、別紙2を見ると、これは確かに医療保険の話なのですが、まず健康の「保健」ではないということと、保険と言った場合、様々な保険があって、ここは医療保険に限定されているので、重複するのですが、「医療・医療保険」がよろしいのかと思うのですが。ただ、あえてまた、確かに別紙2にあるのですが、そこまで医療保険についても書かなければいけないかどうかというのは、少し疑問があるというか。少なくとも日本であったとしても、様々な公的あるいは民間のものでも医療保険はあり得るかと思うので、ここの表現ぶりについては、余り誤解がないようにしていただけるとよろしいかと思うのですが、いかがでしょうか。

【永宮委員】  よろしいですか。

【観山座長】  はい。

【永宮委員】  同じことになるかもしれません。周辺環境整備はホスト国と参加国の協議によって決めるというのは、そういうものも両方で出すということですか。さっきはそういうもの、町づくりなんかは、ホスト国が出すのだと言われたような気がするのですけれども。

【観山座長】  まちづくりというのもいろいろありますが、基本的には国というよりは、関連自治体との分担も十分期待しているという考え方は、ずっと私は持っていると思うのですけれども、それは15ページの1番目の丸というか、3行目の丸で、正確には書いてありませんけれども、そういう立場だと思いますが。
  さっき言われた、ちょっと戻りますけれども、言われることは、この表の医療保険について、ちょっと詳し過ぎて、要らないのではないかと。

【伊地知委員】  保険というと様々な保険があって。

【観山座長】  ありますね。

【伊地知委員】  つまり、ここに限定されているのは医療保険の話なので、もし書くとすれば、「医療・医療保険」かと思います。もし本文中に書くとすればですね。

【観山座長】  そういう意味ですか。

【伊地知委員】  あるいは、医療保険といっても医療に含まれるので、本文中に「医療」だけでもいいのかと。つまり、医療と並ぶ保険となると、どちらかというと健康の「健」がイメージされやすいので。でも実はそうではないわけですから、ということです。
 とはいえ、いろいろな国の状況のことを考えれば、確かにこうだとは思うのですが。そうはいっても、例えば日本の場合に仮にするとすれば、国民健康保険であっても一定の条件を満たせば外国人でも入れるので、ここがどれだけ妥当なのかどうかということもあります。いずれにせよ、本文中、誤解を招かない「医療」だけにするか、「医療・医療保険」にするか、そこは御検討いただければと思います。

【観山座長】  分かりました。

【山本(均)委員】  ちょっと確認ですけれども、周辺の環境整備というのは、例えば道路の整備、水道の整備、ガスなどのユーティリティーの整備とか、それからキャンパス外にあるアパートの整備であるとか、そういうのも含まれるのでしょうか。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  別紙の最後のところを見ていただくと、図表の社会基盤要件の中の一番最後の部分、供給処理基盤というところで、電力とか給排水とか、そういったことも書かれています。

【山本(均)委員】  どこでしょうか。

【観山座長】  図表の22ページですか。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  はい、そうです。資料1の22ページ、最後のページです。

【観山座長】  広域交通基盤とか、情報通信基盤とか、供給処理基盤。

【山本(均)委員】  そうすると、空港の整備も含まれるということなのですか。

【観山座長】  それは、基本的には空港というのは国が営業している空港もありますし、企業体が営業して、どれだけお客さんが増える可能性があるかによって、そういう会社や国が整備するのではないでしょうか。
 ただ、共有しておくのは、日本では研究をする人が集まってくるのだから、環境はそんなによくなくても集まってくるのではないかという考え方があるかもしれませんが、国際的な実験、国際機関を作るという面でいうと、相当のしっかりしたものを作らないと、研究者がそこに居住しないとかそういうことになってしまいます。ジュネーブの例は、物価は高いですけれども、非常にいい環境であるために、そういう所に作られたのだと思うので、日本の研究所も結構立派になりましたけれども、居住環境も、国際機関の例でいうと、相当レベルの高いものを世界的には期待されるというか、共通認識であるということです。

【山本(均)委員】  確かに必要なのは合意するのですけれども、それはホストがするべきものだという考え方はずっと持っていましたので、参加国が、バランスよくと書いてありますけれども、それも払うべきだというと、新しい考え方なので、ちょっとびっくりしたというのは確かです。

【観山座長】  余り詳しく触れるとなかなか難しくなるので、ここら辺にしたいと思いますが、ほかにいかがでしょうか。
 それでは、4の国際研究機関を日本に設置する場合の国内の体制の在り方に行きましょうか。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  4.(1)日本の大学によるILC国際共同実験への参画の在り方の部分ですけれども、骨子案からの大きな変更はありませんが、2つ目の丸のところで、「ILC研究所を日本に設置する場合、ILCで行われる実験において日本の大学等が埋没することなく存在感を高めるための工夫が必要である」とありますが、もともとはビジビリティという言葉を使われていたと思いますけれども、ビジビリティというのが日本で一般的ではないということで、存在感という形で日本語にさせていただいたのですが、ここのところは御了解いただけるか御確認いただければと思います。
 なお、欠席委員から、机上資料の意見番号17から19の御意見を頂いております。この部分についても、特に大きな変更ではありませんが、御了解いただけない場合は御指摘いただければと思います。

【観山座長】  今、4の(1)についてですが、山本明委員、北村委員からの意見は適切ではないかと思いますけれども、いかがですか。
 では、(2)について。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  16ページ、(2)KEKとILC研究所との関係の在り方についてでございます。骨子案からの主な変更ですけれども、16ページの一番下の丸です。山本均委員及び徳宿委員の御意見を踏まえまして、ここの部分を追加しております。すなわち、「ILC研究所には強い権限を有する中央プロジェクトチームが存在することが重要である。仮にILC研究所が日本に設置される場合には、KEKはホスト国の研究所として、ILC研究所の中央プロジェクトチームの早期形成を支援することが重要である。」
 もともと徳宿委員のプレゼンテーションの中では、コア組織という言い方をしていたと思いますけれども、徳宿委員に確認しまして、ILCにおいては中央プロジェクトチームのことであるという御指摘を頂きましたので、入れ替えて、中央プロジェクトチームと書かせていただいております。
 また、欠席委員からは、机上資料の意見番号20から22の御意見を頂いております。特に21番のところは、「世界の多くの高エネルギー物理研究所は財政的に厳しく、フォトンサイエンスに転身している現状の中で、DESYもフォトンサイエンスにかじを切っているが」のところには、もともとは「縮小しつつも」という表現があったと思いますが、山本(明)委員の御趣旨は、加速器自体の運用というのは確かになくなっているけれども、人はむしろ十分維持されているということで、しっかり書き分けた方がいいのではないかという御意見を頂いているところです。
 以上でございます。

【観山座長】  DESYもフォトンサイエンスにかじを切り、素粒子実験の加速器運用は終了しているけれども、DESYの素粒子実験グループは健全に残っておりという形の流れにしたと。

【横山委員】  よろしいですか。

【観山座長】  はい。

【横山委員】  内容としては同じところになるのですが、(2)の1つ目の丸、2つ目の丸、3つ目の丸について、知らない方が読まれるとすると、KEKは欧米の研究所のように、フォトンサイエンス研究所に移行していくと読み取れてしまうと思いました。でも実際は多分、いま議論されている放射光施設高エネ研に作ろうとしているわけではないということだと思うので、高エネ研の後に放射光施設がそこにできるという形にならないような切り分け方というのをお願いできるといいかなと思いました。
 あと、KEKという表記のときには、当然それはJ-PARCが入っているという認識でよろしいですね。これもKEKだけだと、J-PARCのことを指しているのか、それともつくばキャンパスのことを指しているのかというのが、少し離れた方には余り分かりにくいかなと思いまして、代案がすぐに思い付かなくて恐縮ですが、御検討をよろしくお願いいたします。

【観山座長】  マル1は、例えばという形で放射光や大強度陽子加速器施設を建設したとあり、マル2は別に放射光と書いていない。マル3がフォトンサイエンスということでした。分かりました。例えばと入れて決してそれがKEKの方向性ではないよという形、決まっているわけじゃないよということニュアンスは盛り込む必要があります。うまくできるか分かりませんけれども、状況は分かりました。
 ほかにいかがですか。KEKがフォトンサイエンスにかじを切るわけではないと。

【中野委員】  多分、現状の中でというのがきついのかなと。フォトンサイエンスに転身している現状の中でという、それが全ての方向性を決めている印象を与えているので、フォトンサイエンスに転身している例もあるとして。

【観山座長】  例もありですね。

【中野委員】  それで文章を変えたら。

【観山座長】  なるほど。ありがとうございます。例えばそういう形で。
 よろしければ。

【徳宿座長代理】  確認ですけれども、山本委員の方でありますが、22番ですね。プロジェクトアソシエートは、CERNがLHCの建設に当たってプロジェクトアソシエートという形で加速器研究者を呼ぶことで人件費をセーブしたというのはあるのですが、DESYの高エネルギー物理学者がCERNのプロジェクトアソシエートになったという事実は多分ありませんので、ここの括弧の中は取った方がいいと思います。

【観山座長】  加えることによって、何か誤解を与えるということですね。

【徳宿座長代理】  誤解です。

【観山座長】  結構と思います。
 それでは、(3)をお願いします。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  17ページ、(3)ILCを踏まえた日本の高エネルギー物理研究の将来計画に関する議論の在り方の部分につきまして、骨子案から主な変更は、3つ目の丸です。ITERをホストすることになった欧州の核融合研究機関で実際に起こった変化について、追記をさせていただいております。
 なお、欠席委員からの御意見は、ここの部分についてはございません。
 以上でございます。

【観山座長】  いかがでしょうか。どうぞ、三原さん。

【三原科学官】  最初の丸のところですが、ECFAについての記述で、これは私が第2回目に報告したことが基になっている部分だと思うのですけれども、ECFAについての説明をこういうふうに外に出して書くことで、非常に簡潔に文章をまとめていただいているんですけれども、ここでいうECFAの説明の中の括弧の中に書いてある、各国政府はオブザーバーとして参加というのは、通常ECFAで行われている形態ではなくて、この新しい大型プロジェクトを議論していたときには、こういう形をとって各国政府がオブザーバーとして参加していたということなので、脚注として書く場合にはもう少し説明を加えて、例えば括弧書きの中を、「研究者コミュニティにおける委員会であり、新規大型プロジェクトを議論する際には、各国政府はオブザーバーとして参加していた」という記述に変えた方が、ここでのECFAの意味というのがちゃんと通じると思います。

【観山座長】  正確を期す意味では。

【徳宿座長代理】  すいません、正確を期すなら、新規のときにいつもオブザーバーが入るわけではないと思いますので、事実だけに、何のときだかと、書くならば書いていただいた方がよいと思います。ないならば、オブザーバーとして、委員会の組織として入っているわけではないので、僕はない方がよいとは思いますが、限定できれば構いません。

【永宮委員】  いいですか。

【観山座長】  永宮委員。関連して。

【永宮委員】  ECFAに関してですが、この会議でECFAの議論をしたことは一度もないですよね。

【徳宿座長代理】  あります。

【永宮委員】  ありますか。

【徳宿座長代理】  三原さんの。

【永宮委員】  そのときに、どういう位置付けなのか知らないけれども、ACFAというのは完全に無視するのですかね。

【観山座長】  今言われたのは、どういう組織なのですか。

【永宮委員】  ACFAというのはアジアン。ヨーロピアンがECFAなのです。

【徳宿座長代理】  ここは欧州の事例を言うときに、こういうことがあったということが書いてあるわけなので、こういう組織が全てあるとリストするものではないから、ここには書かないのではと思います。

【永宮委員】  だけれども、なぜACFAを無視するのか、ACFAでそういう議論はするべきでなかろうか、とかいうことは、書き加えても良いのではないか。 僕はよく分からないけれども、ACFAがどういう活動をしているか。

【観山座長】  ここではとにかくヨーロッパの例を出されただけの、ヨーロッパではこうやっていますよということで、実際にACFAというのは具体的な活動をしているのですか。

【山本(均)委員】  ACFAで発表はしたことありますけれども、全体として活動レベルは余り高くなくて、特に高エネルギーに関して高くないので、別のAsiaHEPという組織を作って何とかしようとしているという状況ではあります。全体としては余りレベルは高くはないです。

【永宮委員】  分かりました。

【観山座長】  先ほどの括弧の中の書き方は、どう書いたらいいのですか。新規大型プロジェクトの評価等についてというのは正確ではない。

【三原科学官】  過去形で書くというのは1つですね。過去の大型プロジェクトを議論する際にはオブザーバーとして参加していたという過去形で書くというのは1つですね。過去のというのを入れて。

【徳宿座長代理】  大型計画をやるときに、ECFAが必ず入る、オブザーバーとして議論するものではないと思いますが。

【三原科学官】  ないと思うのですけれども、ここでいう例の、いつかを具体的に書いていないのが、確かにそこが誤解を招きかねないところですけれども。

【徳宿座長代理】  これはいつなのですか。

【三原科学官】  これはHERAの議論をしていたときですね。LEP、LHC、HERAという議論をしていたときのお話です。

【観山座長】  質問ですけれども、各国政府がオブザーバーとして参加するということは、ここで結構大きな意味を持ちますかね。つまり、これはヨーロッパの研究者コミュニティにおける委員会で議論されているという事実を述べたわけですよね。だから、もしも正確を期すのであれば、今聞くと、各国政府がオブザーバーとして参加しているというのは、資金的な面からいうと、割としっかりしたものであるという印象はあるけれども、それが正確に簡単に述べられるのでしたら、述べていただければと思いますが。

【三原科学官】  まず、重要かどうかについては、議論が多国間の中で行われていたけれども、最終的なファンディングはそれぞれの国で行われていたと。

【観山座長】  そうですね。

【三原科学官】  それを突然政府の方に話が来るのではなくて、政府はその多国間の議論をフォローしていたというところは重要で、そういう意味で、政府がちゃんとフォローしていた、議論の最初から聞いていたという記述は必要かなとは思っているんですが、ただしそこは誤解がないように、常にやっているわけではなくて、今まであった過去のプロジェクトで必要と判断したときには、政府の人間を呼んで議論を聞いてもらっていたという。

【観山座長】  だから、どうですか。各国政府はオブザーバーとして参加した場合もあるとか。

【三原科学官】  場合もあるとか。

【観山座長】  例もあるとか。

【三原科学官】  過去形で、ある特定のときは、必要があった場合にはとかいう限定的な言い方で書くというのはあると思います。

【観山座長】  よろしいですか。

【徳宿座長代理】  事実を見せていただいた方がいいと思う。先ほどおっしゃったのはHERAとLHCとLEPのときで、それぞれ別な会議なわけですね。複数の会議のときに、ECFAに出ている研究者のところの全部の政府の人がオブザーバーとして来たということですか。

【三原科学官】  特にLEPとHERAの議論をしたときに、どちらでEプラス・Eマイナスをやって、どちらで次の計画を始めるかという議論をしたときに、特にドイツ政府ですね。HERAをホストする立場にある政府の人間は参加して聞いていたと。全ての政府はどうかというと、そこはもう一度確認しないと分かりません。

【徳宿座長代理】  それは、研究者が議論している場に、お金を出すことになる政府の人が、興味があったから聞きに来たということであって、それはオブザーバーというのとは違うのではないかと思います。

【三原科学官】  それに関しては、研究者の方から政府の人を呼んだと聞いています。

【徳宿座長代理】  インバイトはすると思いますけれども。

【三原科学官】  インバイトをして。

【徳宿座長代理】  正確に書いてあるのでしたら問題はないと思いますけれども、ECFAというのに政府が関与している会議だという形に誤解されたり、投票権はないけれども政府が関与している会議だと誤解をされないような書き方にしていただければと思います。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  書きぶりのところは、調整していただいて、両者納得の書き方にさせていただきたいと思います。

【徳宿座長代理】  すいません、長く議論する必要はないと思いますので。

【観山座長】  だから、聞いてみると全部の政府が来たわけではなくて、基本的には当該の政府をインバイトした場合もあるというぐらいなわけですね。オブザーバーというと、常態的な感じがちょっとしますね。
 よろしいですか。どうぞ。すいません、伊地知委員から。

【伊地知委員】  同じく別の米印、EUROfusionです。非常に細かくて恐縮ですが、EUは今では28か国がメンバー国ですけれども、確かにEUROfusionのサイトを確認すると、26のEUメンバー国のほか、スイス、ウクライナとともにコンソーシアムを構成しているということですので、「26 EUメンバー国」とするか、あるいは「EU内26か国」とするか、どちらかでよろしくお願いいたします。

【観山座長】  では、EU内ですかね。ありがとうございます。
 どうぞ。

【川越委員】  その前の丸で、日本の高エネルギー物理学の研究は多様性を持って進められているというところですが、我々の研究分野では高エネルギー委員会というのがあって、その下に将来計画委員会があって、その下で、特に基幹となるプロジェクト等について議論して、その上で多様な研究についても、ずっとモニターしながら計画を立てているということす。多様性を持つというのは我々の特徴でありますが、その中に基幹プロジェクトもちゃんと想定してやっていると。そういう歴史もありますので、それも分かるように書き直せたらなと思います。
 実際、ILCというのも基幹プロジェクトとして、ずっと30年来議論されてきたものです。

【永宮委員】  それについては、僕はちょっと異論があります。ILCでの人数は日本でも3,000人と言っていますよね。3,000人集めて実行する。日本の原子核と素粒子を合わせても、今は1,000人か1,500人程度です。それを数千人増やすのには、かなり努力しないといけない。そのため、他の高エネルギーのプロジェクトを全部やめてでもやらないと、これは進まないと思う。
 それはどう進めるかという具体案は今のところないですが、「集中と選択」というのは正しい書き方だと思います。

【観山座長】  相当の選択と集中を行わないと、それを行ったとしても可能かどうかぐらいの規模ですよね。研究者の数にしても、経費の問題としても。だから、これは割とさらっと書いてあって、私はもうちょっと選択と集中のところに「大規模な」とか入れたいところですが、一方でそういう考え方もあって、これぐらいがいいのではないかと思いましたけどね。

【川越委員】  私が言いたかったのは、最初の文の多様性というところで、柱になるものがちゃんとこれまであったということも書きたいということです。

【観山座長】  多様性は非常に重要だと思うので。

【川越委員】  この部分は、これまでのことを書いているわけです。今後はさらに選択と集中が必要になるとは思いますが。何と書けばいいでしょう。基幹プロジェクト並びに多様なプロジェクトを併せて進められているとか、そんな感じで書けないでしょうか。

【観山座長】  現状としてね。

【川越委員】  現状認識。

【観山座長】  現状認識として。

【川越委員】  現状認識の部分でそういうことを書いたらどうかということです。

【田中委員】  多様性の中に基幹プロジェクトが何で含まれないと考えるのですか。

【川越委員】  それは、基幹プロジェクトは普通のワン・オブ・ゼムではないということです。

【徳宿座長代理】  基幹プロジェクトをわざわざ出す必要がないのではないですか。

【田中委員】  出す必要はないのではないですか。多様性というのは、ILCを1つのブランチとして含んでいる言葉だと思うのですけれども。だから、この文章自体は特に矛盾がなくて、大規模な選択と集中というのを入れるかどうかは別としたら、このままでいいような気がする。

【観山座長】  大規模はいいですよ。

【田中委員】  おっしゃっていることと矛盾しないように思います。

【中野委員】  ちょっとよろしいですか。どちらも立てるというか。今の選択と集中は、ある程度というか、かなりしているということをおっしゃりたいということだと思うのですよね。それで、選択と集中をこれまでもしてきたので、もっと大規模な選択と集中にも対応できると。

【川越委員】  そういうことです。

【中野委員】  そういうことだと思うので、選択と集中の前に「一層の」ぐらい入れたら。

【市川委員】  いいですか。私の理解だと、今まではそこまで選択はしていなかったと思うので、提案ですけれども、上には、ヨーロッパではコミュニティでこういう議論をしているというのがあったので、ここのところには、日本の高エネルギー物理分野の研究は多様性を持って進められている中で、高エネルギー研究者はILCを基幹プロジェクトの一つとして提案してきたというのを入れて、あとは、その下の文はそのままでいいのではないですか。

【川越委員】  いいのではないですかね。

【市川委員】  それが事実ですよね。

【川越委員】  そうです。

【横山委員】  よろしいですか。この文章のもとの発言を、多分私がさせていただいたと思うのですが、そのとき多様性は、基幹プロジェクトも多様性の一つのブランチだと想定しておりました。
 この発言をしたそもそもの理由は、ITERプロジェクトの御紹介があって、フランスにおいて核融合研究は、ITERのための研究だけに絞ったという話が前提にあって、それを受けての議論でこういう発言に至りました。報告書の中でどういうふうに位置付けるかは、また別の話なのですけれども、そういう前例の紹介があった上での発言だったということを、多少補足させていただきます。
 いろいろ分かるのですが、あとは座長にお任せいたします。

【観山座長】  大体の状況は分かりましたので、いろいろ思い入れがあるのが分かるのですが。

【中野委員】  一言だけよろしいですか。あと、基幹プロジェクトといっても、実際に予算が認められる前の基幹プロジェクトと、実際走り始めたというか、走ることが決まった後の基幹プロジェクトって、影響が全然違うと思います。ここで問われているのは、ILCが走るということはほとんど確定しつつあるとか、あるいは確定したときの覚悟の問題なので、そこはきっちり書いておいていただいた方がいいかなと思います。

【観山座長】  分かりました。状況を聞いて、最終的な文章を考えてみましょう。大分盛り上がりましたね。
 では、(4)をお願いしましょうか。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  17ページ、(4)日本企業も含めた産業界によるILCへの参画の在り方についてでございます。
 マル1、ハブ研究所と企業との関係のところですけれども、骨子案からの主な変更点は、次、18ページの1つ目の丸のところでございます。ここは、佐藤委員の御意見を踏まえまして、超伝導加速器技術の将来展開の重要性について、1つ項目を追記しております。
 また、マル2の国際競争入札に関わる検討課題の部分ですが、ここの大きな変更点は1つ目の丸のところの後段ですが、「ハブ研究所と関係が薄い企業が受注した場合、パートナーシップの構築」について、前回の骨子案ではパートナーシップの構築は難しいと書いていたのですが、そこのところは、パートナーシップの構築に時間がかかる可能性があるという言い方にさせていただいております。
 さらに一番下、マル3、これまでの大型加速器実験計画からの教訓のところでございますけれども、ここの部分は川越委員からの御意見を踏まえまして、18ページの最後の丸のところに修正を施すとともに、19ページの最初の丸のところを丸ごと追加しております。この部分は後ほど川越委員から御説明を頂くということになってございます。
 また、(4)全体につきまして、欠席委員から御意見がありまして、机上資料の意見番号23から27です。
 以上でございます。

【観山座長】  では、まず川越委員から、御意見について。

【川越委員】  今の部分は、轟室長のおっしゃった2つの項目なのですが、もとの骨子案ではSSCについて、米国のSSCが失敗した原因の一つとして、大企業にマネジメントを依存したことが挙げられるとだけあったのですが、その後いろいろ関係者でディスカッションして、一番重たい理由として、ここに書いたような、企業の製造マネジメント集団と研究所の設計マネジメント集団が乖離していたことということが挙がってきました。こういうことを前面に出してはどうかということです。その上でちゃんと、あとは同じかと思いますけれども、マネジメント能力のある優秀な研究者を執行部に据え、明確に統一された命令系統を作ることが必要であると。そういうことをメッセージとして出してはどうかと考えます。
 それからもう一つは、産業界からプロジェクトマネジメントについて協力していただくということですけれども、第一に日本の研究所の状況として、エンジニアが非常に少なくて、会社、産業界に頼らなきゃいけないということがあります。それから、ILCの規模というのは日本でまだ経験したことのない規模であって、恐らく、例えばKEKで何とかしようと思ってもできる規模ではないだろうということで、大型国際プロジェクトの経験を持つ人材を産業界並びにそれ以外、例えばJAXAであるとか、そういう経験を持つようなところの方からも広く人材を求めて、マネジメント体制を築いてはどうか、そういう提案を入れてはどうかということです。

【観山座長】  山本委員、北村委員の修正も含めて、いかがでしょうか。どうぞ。

【永宮委員】  産業界から見た最後のページの最後の最後に書いてあるのは、これは非常に重要な点だと思います。最初のハブ研究所と企業の関係ということで、2行目に、「その場合、企業は自ら設備投資することなくR&Dを行い」と、企業の方はそういうのを書いてもいいのですか。あるいは、企業の方はいいのかもしれないけれども、この書き方は要するに、費用はILC側で負担しますという考えですよね。違うのですか。

【観山座長】  いや、そういうことでしょう。つまり、企業が非常に入りやすい環境を作って、参加してほしいということでしょうね。

【永宮委員】  そういうふうになっているのですか。よく分からないのですが。

【観山座長】  これはどうなのですか。こういうことを議論したことは事実ですし、技術レベルが非常に高い部分があって、それに簡単に産業界から装置だとか何とかを作って投資してというのは、なかなか難しいという議論はありましたよね。

【佐藤委員】  これは特に超伝導加速空洞を意識しているのですけれども、短期間のうちにかなりの数を作らなければいけないので、それなりの相当な設備投資が必要です。ただ、それがその後、ほかの製品に生かせる設備になるかというと、それは余り保証がないところがあります。ですから、ここの設備投資の負担が余り大きいという姿になると、企業が入っていきにくい、企業のモチベーションが上がりにくいというところはあるということで、こういう議論をさせていただいたと思っています。

【観山座長】  だから、その部分を書いた方がいいかもしれませんね。つまり、これだけ見ると、えらく誤解されやすい。

【佐藤委員】  ただ乗りに見えてしまうかもしれません。

【観山座長】  ええ。だから、短期間で大量のものを作らなきゃいけないとか、それがほかのものになかなかすぐには転用できないという形であるのでとかいうことを、ちょっと入れることにした方がいいかもしれませんね。

【佐藤委員】  はい。

【永宮委員】  僕はよく分からないのですが、以前にコストの委員会というのがありましたよね。そのコストの委員会というのは、どこかから買うときに、今のような設備投資も含めてやっているのでしょうか。要するに、超伝導を幾らで作れるかというのは試算するわけですよね。その時はどこかの会社で作ると、設備投資を入れると値段が上がるわけですよね。だから、そういうふうに試算されているのでしょうか。どんどん金額が上がっていくとなると困る。

【佐藤委員】  特殊な設備、特殊なジグなどに関しては、製品の値段に含め製造が終わったら廃却するという考えもあります。ただそこには、企業としては利益率というのを乗せていくことになりますので、設備の部分にも利益率を乗せていくことになってしまうので、設備を直接研究所が作る場合に比べて割高になってしまうでしょう。設備は超伝導空洞を作る会社が直接作るわけではないものも多く、例えば電子ビーム溶接機をその企業を通して買うというのは、コスト的には有利なことではないと思います。

【観山座長】  どうぞ。

【田中委員】  KEKの山本委員がいないので、不正確かもしれませんけれども、私が代わりに知っている限りお答えします。ヨーロッパとアメリカとアジアで、それぞれ1社か2社で超伝導空洞を大量生産するという条件でコストをはじいているはずです。ヨーロッパに関しては、ヨーロピアンXFELでマスプロダクションの経験を積みましたが、それらがILCにかなり有効に活用できるはずです。また、LCLS-2が立ち上がるということもあって、アメリカの方でも、ある程度、超伝導空洞の大量生産の目処が立ってくると考えています。
 ただし、日本に関してはそういうテストプロジェクトは現時点では計画がないので、アジアにおける超伝導空洞の生産コストは多分、おっしゃられたように上がるんだろうと思います。一応、説明しましたように、世界の3極で製造するというモデルでコストをはじいていると理解しております。

【観山座長】  全然別のことで、私がちょっと気になったのは、18ページの下から2番目の、マル3の直前の丸ですけれども、日本の強みは研究所と企業との密接なパートナーシップであり、契約に裁量がある中で研究者と企業が議論しつつ装置を作り上げてきた歴史がある。これはよく分かるんですが、契約に裁量がある中でというのは、ちょっとまずい。どう書いたらいいんですかね。契約に裁量があったら困りますよね。

【永宮委員】  契約において。

【観山座長】  契約においてですかね。

【永宮委員】  研究者と企業の。

【観山座長】  契約においてですね。

【佐藤委員】  ここは、契約は要らないですね。

【観山座長】  要らないですね。そうそう、そうですね。

【佐藤委員】  パートナーシップであり、研究者と企業が議論しつつ。

【観山座長】  これに、契約を入れると、何かずぶずぶのことをやっているのかと思われます。

【佐藤委員】  ここでは、その後ろにある、詳細かつ厳密な契約が海外の企業とは求められる中で、先ほどの裁量も含めて、どういうバランスをとりながら効率的に物を作っていこうかということをコメントしたかったというところです。

【観山座長】  ほかにはどうですか。修正意見も、北村さんとか山本さんの意見もありますが、そんなに違和感がなかったと思いますし、多くは字句修正だったと思いますので。
 ありがとうございます。一応全体を通しましたけれども、もう一回振り返って何か残された問題はありますでしょうか。

【川越委員】  13ページの下の方ですが、限られた任期で選出された最低限の組織によってという文章の、最低限はちょっと変かなと。適切な規模のぐらいでどうでしょう。

【観山座長】  そうですね。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  すみません、そこですけれども、机上資料の意見番号12番のところで、北村委員から文章表現を適正化する案をいただいているのですが、この案ではいかがでしょうか。

【観山座長】  限られた任期で選出された人員により構成される組織によってと、最低限のというのを取っちゃって。

【川越委員】  ここでは、最低限の人員により構成と書いてあります。

【観山座長】  最低限は入っているのかな。

【川越委員】  入っています。

【観山座長】  だから。

【川越委員】  僕は、適切な規模のぐらいでいいかと思うのですが。

【観山座長】  そうですね。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  承知いたしました。

【佐藤委員】  すいません、もう一度、ホスト国と参加国の周辺環境整備の話が、私は理解が十分できていないので、もう一度戻りたいのです。15ページの一番上の丸では、周辺環境整備に係る経費はホスト国と参加国の国際分担とともにということで、これは国際分担を考えると書いてありますが、5ページには経費分担、一番上の行ですけれども、土地確保や土木工事・インフラ整備はホスト国の負担が「基本」ですから、矛盾はしていないのかもしれませんけれども、ちょっと分かりにくい表現になっているなと感じました。

【観山座長】  そうですね。

【永宮委員】  ここは僕も何回も質問したのですけれども、ホスト国と参加国の国際分担とするのでしたら、それはそれでいいのですけれども、ここはホスト国が主導しというのでも良いのではないかと思います。15ページ。要するに、経費負担についてはホスト国が主導し、ILC研究所と国と自治体のコストの分担についても整理する必要があるといった感じで。
 それは参加国も入れるのですか。そういうやり方ももちろんあります。CERNの住宅のメランなんていうのは、そういうやり方で作ってやっているので。

【観山座長】  ですから、15ページの在り方としては、周辺環境整備に係る経費というのは相当大きくなる可能性があるので、例えば参加国が主として使うようなものについては、御相談したいところもあるというような雰囲気なのですよね。

【徳宿座長代理】  余地を残しておいた方がいいと思うのですけどね。

【観山座長】  5ページ目は、基本的には主導しという、基本。今言われた余地を残したいという雰囲気はどうしてもあるのですよね。

【徳宿座長代理】  5ページは、しかもこれは研究所の中ですよね。

【轟素粒子・原子核研究推進室長】  5ページは周辺環境整備ではないですね。本体あるいは測定器ですから。

【観山座長】  それでどうですか。そういう分け方ですよと。
 ほかにどうでしょう。予備日をとっているので、もう一回開くという可能性もありますが、相当の意見交換はできたと思いますので。

【中野委員】  すいません、今の「ホスト国と参加国の国際分担とともに」という文章なのですけれども、順番を替えて、「ILC研究所と国及び自治体等のホスト国内における分担とともに」にして、その後に「ホスト国と参加国の国際分担についても」というふうに変えたら、後に置いた方が、必ずそれが必要というふうにはならなくて、議論には含めるということになるんじゃないかと思います。

【観山座長】  もう一度おっしゃってください。

【徳宿座長代理】  後に持ってきた方が重くならないですか。

【中野委員】  軽くなるのでは。経費分担については、ILC研究所と国及び自治体等のホスト国内における分担とともに、ホスト国と参加国の国際分担についても、立地等の議論と併せて整理する必要があると。

【観山座長】  分かりました。実際に書いてみて考えます。趣旨は大体分かりましたので、できれば周辺分野については分担という可能性も、余地は残したいということですよね。
 よろしいですかね。それでは、大体予定された時間がここまででありますので、本日頂きました御意見につきまして、もしもよろしければ、私と事務局に御一任いただければ非常にありがたいと思いますけれども。それでは、そういうことで最終的な報告書をまとめたいと思いますので、よろしくお願いします。
 本日最後の議題となりますけれども、今後の流れについて事務局から説明をお願いいたします。

【吉居加速器科学専門官】  御説明いたします。本日頂きました御意見を踏まえました報告書につきましては、座長と事務局でまず調整をいたしまして、その後、委員の皆様にお送りさせていただきます。その後、7月から8月頃で現在調整中でございますが、開催予定の親会議に当たります有識者会議に本報告を報告させていただき、議論をする予定でございます。その上で、本報告書につきましては有識者会議の報告として公表される予定でございます。
 以上です。

【観山座長】  以上で本日の議題は終了となります。本日の議論をもって、本作業部会としての報告書はおおむね固めることができました。体制及びマネジメントの在り方について、一定の方向性を示すことができました。本当にありがとうございます。本内容については、今事務局からありましたとおり有識者会議に報告いたしますけれども、再度議論するような指示がない限りは、今後の作業部会の開催は予定しておりませんので、3月から4か月にわたり、非常に密な議論をしていただきまして、ありがとうございました。
 事務局からも一言お願いいたします。

【関研究振興局長】  委員の先生方には、この4か月間にわたりまして真摯に御議論いただきまして、ありがとうございました。また、きょうも大変熱心に御議論いただきまして、改めて御礼を申し上げたいと思います。本日、ほぼ御議論をまとめて報告書をという形でまとめていただいたわけでございますが、特にこの間、国内外の大型の国際共同プロジェクトにおける事例などについても分析をしていただきながら、研究者コミュニティにおける体制やマネジメントに関する検討について検証していただいたということでございます。
 また併せて、きょうも御議論ございましたが、周辺環境の整備でありますとか、あるいは大学・産業界との連携等につきましても、それぞれのお立場から大変真剣に御議論いただきましたこと、様々な御提言を頂けたということにつきましては、大変意義深いものであると思っております。このILC計画に関する議論につきましては、座長からもお話がございましたように引き続き、さらに国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議で検討を深めてまいることになるかと思います。
 引き続き先生方には、様々な観点から御指導・御鞭撻を頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

【観山座長】  それでは、事務局からほかに何かありますでしょうか。

【吉居加速器科学専門官】  本日の議事録につきましては、後日またメールにてお送りしますので、御確認をお願いいたします。
  以上でございます。

【観山座長】  それでは、以上でこの作業部会を終了いたします。どうも皆さん、ありがとうございました。


── 了 ──

お問合せ先

研究振興局基礎研究振興課素粒子・原子核研究推進室

(研究振興局基礎研究振興課素粒子・原子核研究推進室)