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ジャーナル問題に関する検討会(第3回) 議事録

1.日時

平成26年5月30日(金曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.出席者

委員

浅島主査、安達委員、加藤委員、佐野委員、白石委員、竹内主査代理、谷藤委員、田村委員、永井委員、林委員、引原委員
(発表者)波多野トムソン・ロイター学術情報ソリューション 出版・学会事業担当マネジャー

文部科学省

下間参事官(情報担当)、長澤学術基盤整備室長、松本参事官補佐、その他関係官

4.議事録

ジャーナル問題に関する検討会(第3回)

平成26年5月30日


【浅島主査】  それでは、時間となりましたので、ただいまより第3回ジャーナル問題に関する検討会を開催いたします。
 御多忙中、御出席くださいましてありがとうございました。本日は日本発のジャーナルの強化について意見交換を行いたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局より配付資料の確認と傍聴者登録についての報告をお願いいたします。

【松本参事官補佐】  それでは、お手元の議事次第に基づきまして配付資料の確認をさせていただきます。まず、配付資料1「日本発ジャーナルを取り巻く環境について」、資料2「日本の学術誌の現状について」、資料3「我が国の科学技術情報発信力強化のための取組案について」、資料4「ジャーナル問題に関する検討会の日程について」。それから、資料番号は付いておりませんけれども、安達委員からの資料につきましてA4の3枚ものを、資料4の後ろに付けてございます。それから、机上の方にこれまでの検討会の資料、それから研究環境基盤部会学術情報基盤作業部会の審議のまとめを用意してございます。
 なお、本日の傍聴登録者は39名となっております。以上でございます。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思いますが、まず初めに日本のジャーナルの置かれている環境等について事務局より説明した後、本日はトムソン・ロイター社出版学会事業担当マネジャーの波多野様においでいただいておりますので、日本のジャーナルの現状について御説明いただきたいと思っております。それでは、まず事務局よりお願いします。

【長澤学術基盤整備室長】  それでは、まず初めに資料1に基づきまして、余り御説明する必要もないかと思いますけれども、今の日本発ジャーナルの環境につきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、ジャーナルに関する政策的な提言等の状況でございますけれども、平成24年7月に科学技術・学術審議会の学術情報基盤作業部会におきまして、学術情報の国際発信技術力の強化についての取りまとめを行っております。その中ではその現状といたしまして、日本の研究につきましては成果はトップクラスなんですけれども、発信されるジャーナルについてはインパクトファクターが高くて国際的に認知されたというジャーナルは多くはないということと、それに関連して、日本学術会議からも日本の学術コミュニティーに基礎を置く国際的なジャーナルが必要だということと、そういった有力ジャーナルの育成が不可欠だというふうな形で指摘されているということがございます。そういった観点から、日本におきまして国際的ジャーナルが刊行されるということは日本発のオリジナルな研究成果の掲載と、それに続く研究成果が諸外国からも投稿されることにつながって、当該学術分野で世界をリードするというふうな論文、ジャーナルを通じた成果の好循環という形が期待されるというふうな取りまとめが行われております。
 それから、2ページでございますけれども、日本学術会議が平成22年8月に学術誌問題の解決についての提言を出されております。その中では、やはり学術誌発信に関する課題の解決ということで、日本の学術情報受発信の必須要件とか多様性の認識を共有しまして、日本の優れた研究活動を国内外に力強く発信し、持続する競争力を持った流通基盤を提案、構築するということで、国際的に通用するオンラインプラットフォームを構築してリーディングジャーナルを育成するとか、日本の学術活動を多様な取り出し方で見えるようにするということで、例えば日本発の質の高いオープンアクセス論文を集めて掲載した統合サイトを構築し、日本発の情報のプレゼンスを向上させるというのも考えられるというふうな解決策の提案がされております。
 続きまして、今年の5月26日に科学技術・学術審議会の学術分科会におきまして、日本の学術研究の推進方策に関する総合的な審議についての中間報告(案)というのが出されております。その中で具体的な学術研究や社会における役割を十分に発揮するための取組の方向性ということで、学術研究を支える学術情報基盤の充実等という観点から、優れた研究成果の受発信、普及におきまして重要な役割を担っているジャーナルについて、こういった学術振興の普及、国際交流の活性化の促進を図って、海外との情報受発信を強化している学協会の取組、ジャーナル刊行を電子化するとかオープンアクセス化移行するとかというふうなことを支援している科研費の取組強化が必要である。そういうことを強化することによりまして、ジャーナルの抱えている価格高騰などの課題とか、研究成果のオープンアクセス化にも対応することが可能になるというまとめ方がされているところでございます。
 あと、環境に関する現状的な認識のデータでございますけれども、4ページのところに科学技術・学術政策研究所がNISTEP定点調査2013というのを出しておりますけれども、ここで我が国における知的基盤や研究情報基盤の状況という項目がございまして、これは有識者や大学関係者に対するアンケート調査なんですけれども、2011、2012、2013というところで関連しますと、この充実度に関する指数が低下傾向にあるということで、特に大学の関係者の回答におきましては、不十分という認識になっていると。その中の具体的なコメントとして、充実度を上げた理由の例としては、情報検索システムが非常に整備されているというものがありますが、充実度を下げた例としては、十分な雑誌の確保ができない可能性があるとか、情報の管理人材が不足しているとか、データを活用する能力を持っている人材が不足しているとか、アクセスできる人とできない人の差が広がっているとか、そういった形の例が具体的に挙げられているという状況がございます。
 それを踏まえて、また、個別の意見として出されている中におきましては、論文誌に関する課題といたしまして、国の予算によってなされました実験結果などの成果が主として外国雑誌に登録をされ、その外国雑誌を購読するために高額の経費を要求されるのは憂慮すべき事態ではないだろうかと。我が国発の国際的トップジャーナルの創設や高額の研究費取得者の成果発表を国内発のジャーナルに限定するなど、国として何らかの施策をとる必要があると考えるというふうな御意見とか、購読費用が増大しているためか、国立大学間で利用できるデータベース量の格差が増大していることは重大な問題と考えるということで、この検討会の課題認識のところを指摘されている声も出ているという状況でございます。
 次が雑誌のインパクトファクターの状態の、これも参考資料でございますけれども、例えば6ページで日本発の高インパクトファクター誌ということで、2012年の結果では、このような状況になっているということでございます。特にこういった雑誌のインパクトファクターをとられている学協会誌も多数存在しているということで、中にはしっかりとJ-STAGEを活用してインパクトファクターで高い数値をとっておられる雑誌もあるというふうな現状もございますので、こういった取組を強化することは必要ではないかということで考えております。
 ただ、世界の高インパクトファクター誌ということですと、レビュー誌も含めますと7ページのとおりでございますし、それを除いたとしましても8ページではこういった状況になってございますので、更に高めていくための取組も必要ではないかということでございます。
 9ページはインパクトファクターの御説明ですので、説明は省略をさせていただきます。
 関連する施策の方向性でございますけれども、10ページのところに科研費の取組状況でございますが、この1ページの作業部会の方向性を踏まえて科学研究費補助金の国際情報発信強化という改善が行われております。概要としましては、これまで紙媒体で発行するジャーナルの出版助成を行っていたのですけれども、それを国際情報発信力の強化を行うための取組であれば、それに対して評価して支援するという形に改善を図っておりますし、オープンアクセス誌のスタートアップを重点支援するための応募区分も新設をしております。これによりましてジャーナル発行に必要な経費の助成とか、発信力強化の取組内容を評価するとか、オープンアクセスの取組も支援するというふうな形の支援方針をとっております。
 11ページは科研費の成果公開促進費の採択状況でございますが、国際情報発信強化につきましては、括弧が前年度ということで25年度になるわけですけれども、創設のときには115件の応募に対して53件が採択されて、採択率は46.1%、1課題当たりの配分額は平均762万円で、最高は3,140万円という形になっております。26年度につきましては87件応募があって、37件が採択で、採択率は42.5%、1件当たりの配分額はごらんのとおりでございます。これは複数年採択になっておりますので、そういった観点も含めて応募件数が減っているというふうに御理解していただければと思っております。
 それから、もう一つが、科学技術振興機構が行っておりますJ-STAGEの概要でございます。J-STAGEにおきましては、学術論文の電子ジャーナル発行を支援するプラットフォームの整備を行っておりますけれども、これにおきましては充実を図っておりまして、実施内容・成果のところの右側の枠ですけれども、参加学協会誌は約1,800ございますし、年間ダウンロード数も4,000万件を超えているというふうな状況になってございます。
 最近の方向性として、強化方策のところでございますけれども、国際レベルで情報流通力をより高めるための機能強化ということが図られてきておりますし、今後もそれを強めていくという方向性でございます。それと同時に、J-STAGE Liteという仮称でございますけれども、こういうものを立ち上げまして、高度な機能を必要としない電子ジャーナル発信のための簡易なシステムを提供して、学協会の電子ジャーナルの発行を支援するという方向性でございます。
 右は、利用者の意見でございます。
 その成果の概要でございますけれども、13ページのところにございますが、J-STAGEのアクセス数というのは海外からのアクセスが着実に増えているという状況にもございますし、掲載誌のインパクトファクターにつきましても、着実に取得する雑誌が増えているということが見られる。また、インパクトファクターの伸び率自体も上昇傾向にあるというデータが出てございます。
 もう一つの施策が14ページにございますが、JSTでは国内文献の引用情報を付与するという取組を開始しようとしているところでございます。現状では国内誌におきましては日本語のジャーナルにつきましては特にそういった引用情報が整備されていないわけでございますけれども、そういうものに対してもやはり引用情報を整備して流通を進めるということが非常に必要だということで、これまでNIIが行ってきました引用文献検索データベース「CJP」という事業を引き継いだ形で拡充してJSTの方で掲載論文の引用情報整備というものを行っていくという取組をしようとしているという状況でございます。
 このほか、NIIがやっておりますSPARC Japanという取組もございますし、こういった施策を通じてジャーナルの強化を図っているということでございます。
 以上でございます。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。
 今、長澤室長から日本発のジャーナルを取り巻く環境ということで述べていただきました。
 それでは、次に、トムソン・ロイター社の出版学会事務担当マネジャーの波多野さん、お願いいたします。

【波多野氏】  御紹介いただきありがとうございます。トムソン・ロイターの学会事業担当をしております波多野と申します。本日はこのような貴重な機会を頂きありがとうございます。
 本日は、ジャーナル問題に関する検討会の中で、日本発のジャーナルの評価を上げたいということで、日本の学術誌の現状についてというお話を頂きましたが、特に発信力の現状についてが分かるような資料と思って準備してまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず簡単にトムソン・ロイターについて御紹介させてください。皆様、知っていただいている方が多いかと思うのですが、トムソン・ロイターは金融や科学技術、そして法務などのデータを提供しておりますグローバルな情報に関するカンパニーでございます。その中で特に科学技術の中では論文とその引用情報、特許、医薬品などのデータベースを御提供しております。本日御紹介させていただくデータは、多分御存じでいらっしゃるWeb of Science、論文引用情報のデータベースを基にしたデータを御紹介させていただきます。
 Web of Science、最近名前が変わりましてWeb of Science Core Collectionと申しておりますが、科学技術全分野をカバーし、特にコアジャーナルを集めた文献データベースです。研究成果には論文、書籍、そして作品、絵やポエムなども含めて様々なものがございますが、この中でWeb of Science Core Collectionでは、一定の基準を満たしたコアな国際ジャーナルを収録しております。逆に言いますと、先ほどからインパクトファクターでもってジャーナルの国際競争力を見ていただいておりますが、このWeb of Scienceに収録されていて、インパクトファクターを持っているということは、コアな国際的なジャーナルの一つの条件であるとも言えると思います。
 このWeb of ScienceのCore Collectionのデータを基に雑誌のタイトルごとに集計したJCRや機関、国、年度ごとに集計したInCites、そして高頻用論文を集計したESIなど、トムソン・ロイターでは様々なデータを提案しております。
 データの中で特に皆様に関わってくるのは、このインパクトファクターが収録されているJCRかと思います。今回、ジャーナルの国際発信力を見ていくに当たって、そして、この全貌を見ていくに当たって、まずは国別のインパクトファクターの収録誌数というものから学術誌の状況を見ていこうと思い、データを準備いたしました。こちら、5ページ目になっております。御確認いただければと思います。
 左側の図がWeb of Science Core Collectionの収録誌数の国別のデータでございます。左から1、2、3、4、5、6と順位別に並んでいるわけではございませんので、そこだけ御留意ください。データ、赤色とオレンジ色のものがございまして、赤とオレンジを足したものがWeb of Science収録誌数でございます。そして、オレンジのところ、Q1と書いてございますが、こちらWeb of ScienceのCore Collectionの収録誌の中でも、更に各分野内でインパクトファクターの順位がトップ25%に入るジャーナルの数でございます。このWeb of Science収録誌数で見ますと、日本は世界第4位でございます。これはかなりいい順位かなと思います。日本はかなりWeb of Scienceの収録数で健闘していると思います。そして、分野内でのインパクトファクターの順位がトップ25%に入るジャーナル、こちら、弊社はQ1と呼んでいるのですが、Q1のジャーナルの割合で見ますと、米国や英国、ドイツが25%が平均だと思うのですが、25%以上になりまして、残念ながら日本と中国、韓国、ブラジルは低いということで、Web of Science収録誌数で見るとかなり健闘しているのですが、更に世界の本当にトップのジャーナルという意味では少し数が少なくなっているのかなというふうに感じます。
 次のページ、6ページのデータは、Web of Science Core Collectionの収録誌の年次変化を見てまいりました。オレンジ色のデータが2007年のもので、赤が2012年のものでございます。トムソン・ロイターでは、2007年から2012年にかけてWeb of Scienceの収録誌数を増やしておりまして、特にリージョナルジャーナルと呼ばれるジャーナルを増やしているのですが、日本を含む各国でWeb of Science収録誌数、かなり増加しております。実際、伸び率をこのグラフのそれぞれ上に載せているのですが、日本はこの5年間で収録誌数が1.4倍に増えておりまして、アメリカで1.2倍なので、伸び率で考えるとかなり健闘しているかなと思います。先進国軒並みやはり1.2、1.3、1.4倍程度なのですけれども、一方で中国、韓国、ブラジルなどの国々のWeb of Science収録誌数の伸び率は日本やほかの先進国と比較すると高いかなと思います。ここで怖いなと思うのは、中国がかなり増えておりますので、この勢いで、まあ、増えないとは思うのですが、この勢いでもし増えていくと肉薄する日も近いかもしれません。
 ここでリージョナルジャーナルについて少し補足させてください。リージョナルジャーナルというのは何かといいますと、それは研究自体が地域に根ざしたものである分野のジャーナルのことをリージョナルジャーナルと呼んでおります。例えば、稲の研究というのが、例えばそういう研究を扱っているジャーナルがあったとしますと、稲の研究自体が気候、風土的にどうしても日本やこの周辺、アジア地域に偏っておりますので、当然、例えば著者とか引用する方もアジア地域に偏ってまいります。そういうものをリージョナルジャーナルと呼んでおりまして、このリージョナルジャーナル、平均的に引用は研究者数が少ないので低めに出るのですが、その分野において重要だろうということでWeb of Science収録を増やしております。
 もう一つ、学術誌の現状としまして、本日の議論にリーディングジャーナルというものがございましたので、先ほど御紹介したQ1のジャーナル数の5年間での推移のデータもお持ちしました。日本のQ1ジャーナルの数、この5年間で2倍以上に増加しております。これはかなり増えているなという印象で、先ほど、Web of Science収録誌数全体で1.4倍でしたので、Q1のジャーナルの伸び率はそれよりも更に高いということになります。こちらの数字、米国や英国、先進国に比べると伸び率で見るとかなり高いです。一方で、先ほどWeb of Science収録誌数全体でも同じだったのですが、中国、韓国のジャーナルの伸び率は日本よりも高いということで、こちら、大分追い上げてきているというふうにも見えるかなと思います。
 ここからインパクトファクターではない視点で国際発信力を見ていきたいと思います。発信力の視点として一つ、インパクトファクターは影響度の大きさという意味ではあると思うのですが、どれぐらい幅広い国から活用されているかというのも一つ、国際発信力の指標かなということで、その指標をグラフ化してみました。先ほどは日本全体で見たのですが、今回、日本の平均をとってみようとしたところ、傾向がぼやけてしまいましたので、あるジャーナルの例として御紹介させていただきます。こちら、日本のQ1に入っているジャーナルの国際的な、どういう国から引用されているかというグラフでございます。まず左は、引用ではなくて著者の所属国の比率です。右上のデータがジャーナルAを引用した文献の著者の所属国の比率です。左下が参考に付与したのですが、ジャーナルが含まれる分野全体でどのような国の方々が論文を出版されているか、そしてそれがWeb of Scienceに収録されているかという比率でございます。こちら、Q1のジャーナルはかなり国際競争力が高いと思うのですが、著者の所属国で見ると、やはり日本の比率はかなり高いです。50%程度です。そして、ジャーナルAを引用した著者の所属国で見ますと、かなり日本の比率は下がりまして、中国や米国、ドイツを含むかなり幅広い国から引用されているということが分かります。ただ、ジャーナルが含まれる分野全体では中国、米国の論文の著者の比率が高いので、もっとこういう国々の方々に論文を知っていただく、影響力を向上する余地があるのかなというふうにも見えると思います。
 次のデータは、これは日本のQ1ジャーナルの別のジャーナルのデータの例でございます。このジャーナルはかなり日本の所属の著者の率が高いです。80%を超えております。そして、引用した文献の著者で見ても、かなり日本の所属の方の率が高くて50%を超えております。分野全体では中国、米国、ドイツ、ロシアに続いて日本の論文数、5番目ですので、まだまだ国際的な発信力を強化する余地がある意味高いというふうにも見えます。
 ここまでで日本の例を二つ見てきたのですけれども、日本のジャーナルが学協会が出しているジャーナルが多いので、なかなか発信力を強化するのが難しいというふうなお話もあると思います。そこで、こんなジャーナルもありますという御紹介ですが、海外のトップジャーナル、ドイツの学会誌の例ですが、ドイツの学会誌でありながら、論文の著者の所属国の比率は実は米国が一番高いんです。そしてドイツが2番目です。そして、ジャーナルCを引用した文献の著者の所属国で見ますと、中国が一番高くて、米国、そしてドイツが3番目と、学会誌でありながら、その国以外にかなり幅広く引用されているということが分かります。そして、この比率、大きさまでは余り関係がないですが、このジャーナル誌が含まれる分野の著者の所属国、1位、2位が中国、米国であることを考えますと、世界的にどの研究者からも活用されているジャーナルというふうに見ることができます。このような、ここまである意味することができるというのはすごいことだなと感じます。
 以上、国際発信力を見てまいりました。ジャーナルの国際発信力を見るに当たって、先ほどの、どこの国が多いのかという具体的なデータも見ていくに当たって、日本の研究自体が世界的にどういう位置付けにあるかというのを見ていくのもとても重要と思いますので、御参考として日本全体の論文数や影響力の大きさというデータも持ってまいりました。この表は、論文数の国別の論文数と相対被引用度の国別のデータでございます。論文数は調査機関内、ここでは2003年から2012年の10年間に出版された論文の合計です。そして、相対被引用度は各国の論文の世界平均に対する相対的な影響度を表す指標です。こちら、論文数で見ますと、世界で日本4位なんですね。相対被引用度では世界平均と大体同等程度でございます。最も高いのがUSAで、これは相対被引用度では一番上から順になっていないですけれども、USA、イングランドの影響力が高いというふうになっております。中国はこの10年間で見ますとまだまだ低いですが、実は多分、最近5年間とかで見るともうちょっと高い数字になってくるかもしれません。
 次のページは主要国の論文数の全分野の推移でございます。日本の論文数は近年、安定傾向にございます。日本のデータは赤のデータです。順調に1980年頃から伸びていたのですが、2000年頃から大体安定しておりまして、論文数が増えておりません。ほかの国、例えばアメリカとかチャイナという国は論文数がかなり順調に増えております。こういうことを先ほどのジャーナルのデータと関連付けて考えますと、日本の論文数全体が増えていない中で、発信力が日本に限定されていると、影響力も余り増えない。ほかの国は海外でよく引用されているとなると、その海外の著者を取り込んで、海外の著者に読んでいただけるというふうになると、ほかのジャーナルの引用や影響度が高まっていくという状況になりますと、日本が安定しているがために相対的な影響力は下がっていくという事態にもなりかねませんので、世界的に論文が伸びている状況では、やはり世界の発信を強めていくというのはすごく重要なのかなと、このデータを見ると感じます。
 そして、こちらは主要国の論文の相対的な推移でございます。先ほどと色が違って申し訳ないのですが、グレーが日本のデータでございます。日本の相対被引用度、影響力、徐々に伸びておりまして、1980年頃に比べてかなり高くなっておりますが、中国、英国、カナダの相対被引用度の伸びがかなり大きいです。伸びで見ますと、日本よりかなり高いです。ここですごく面白いなと思うのは、先進国でも相対被引用度がまだまだ伸びておりますので、高い中で伸びておりますので、そういう意味では日本全体としてより発信力を強化して相対被引用度、影響力を伸ばしていくという余地はまだ高いなと思います。
 最後に論文の引用に影響を与える要素とはということについて、少し要素に分解して考えてみました。こちらのプレゼンテーション資料を最後にして私からの御報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、これまでの内容について、長澤室長とトムソン・ロイターの波多野さんの御発表について、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。どうぞ、安達先生。

【安達委員】  トムソン・ロイターの国別の学術雑誌の現状という図の中に、オランダという国が出てこないのはなぜでしょうか。

【波多野氏】  特に理由はございません。アジアの近辺の地域のデータを少し出しているだけでございます。

【安達委員】  そうしますと、図6などでは、米国、英国、ドイツ、日本という順になっているのですが、このどこかにオランダが実は入っているということですか。

【波多野氏】  実際はデータはデータベース中にございますので、今日お持ちしたデータは全ての国ではないのでオランダが入っていないということでございます。失礼いたします。

【安達委員】  多い順番から並べてこうなっているというのではないということですか。

【波多野氏】  何ページ目のデータですか。

【安達委員】  6ページ目ですが。

【波多野氏】  そうですね。こちら、米国、英国、ドイツ、日本までは、こちらは多い順なんですが、ちょっと口頭でも申しましたが、アジア近辺、中国、韓国も伸びているというふうによくお話を聞きますので、そこのデータを載せようと思って、5番目とかのところを外しております。順位順ではございません。注意が必要なので御注意ください。御指摘いただきましてありがとうございます。

【安達委員】  そうしますと、例えば学術雑誌を英語で発行するときには言語的な問題があり、例えばフランスが図中にないなどの分析ないしは評価はこの図ではできないということですね。

【波多野氏】  そうですね。この図ではそこは見えていないと思います。もしそういうところを見たいということでしたら、そういう切り口で見る必要があるかなと。フランスは実際にはWeb of Science収録誌数、220ぐらいございまして、日本にかなり近いぐらい入っております。

【安達委員】  あと一つ。ドイツの学術誌CというのはNew Journal of Physicsですか。

【波多野氏】  これは化学分野のAngewandte Chemie(アンゲバンテ・ヘミー)でございます。

【浅島主査】  佐野先生。

【佐野委員】  大変面白いデータなんですが、特に今日取り上げられた論文というのは、Web of Scienceから見た論文なんですね。

【波多野氏】  おっしゃるとおりです。Web of Scienceから見た論文です。

【佐野委員】  ですから、採録されていないデータは、要するに数の中に入っていないということですね。

【波多野氏】  おっしゃるとおりです。はい。

【浅島主査】  ほかに。じゃあ、林先生。

【林委員】  Q1ジャーナル誌の推移、8ページの表について伺いたいのですが、これは後でも構わないので、2007年から2012年の間のトレンドを毎年見た方がいいと思うんです。単純に6倍、2.3倍の差ではなくて、きっと伸びが違うと思うんです。それと、もう一つ大事なのが、Q1で多分補足されるべきなのは、分野別にノーマライズをした上での25%ということですよね。

【波多野氏】  おっしゃるとおりです。はい。

【林委員】  そうすると、その分野によってもQ1の率、絶対数や伸び率が違うと思うので、そこを見ることによって日本の強み、弱みっていうのが見えるはずです。リーディングジャーナル候補であえて言うならば。それが見えると思うので、そのデータをお示しいただけると、多分、ここの議論に資するんじゃないかと思いました。

【波多野氏】  ありがとうございます。

【浅島主査】  今のことはある面で重要なことになるのですけれども、日本発のジャーナルの強い部分、リーディングジャーナルで育っているというのは一つの目的があるので、そうしたときに今のように、こういうふうに全部出てきちゃうと、どの分野が日本が本当は強くて、どの分野がある面では弱いのかとか、そういうのはいずれ分かるんですか。もしも調べようと思えば。

【波多野氏】  はい、分かります。分野ごとに日本のジャーナルがどのぐらい含まれているかというのもお見せすることは可能です。ただ、全分野お見せしようと思うと大変な数になりますので。

【浅島主査】  その辺がむしろこれから考えていく上で非常に重要になってきますので、変化というのと同時に分野別のものがどうであるかということであるのと、もう一つは、このリージョナルジャーナルというときに日本語はどのような扱いになっているんですか。

【波多野氏】  日本語の扱いというよりは、例えばですけど、日本の歴史の研究があるとします。日本の歴史の研究をするに当たってはやはり日本語でないといけないだろうという場合には、そして、日本の歴史のジャーナルがある程度引用されていれば、それは日本語であってもWeb of Science収録の対象になり得ます。

【浅島主査】  じゃあ、谷藤先生。

【谷藤委員】  先ほどの安達先生の質問からふと思ったのですけれども、もしかして誤解があるといけないので明確にしておきたいのですが、国で分別したのはテリトリーで見ているんですよね。

【波多野氏】  そのとおりです。

【谷藤委員】  ですから、パブリッシャー(出版プラットフォームを提供している企業・団体)の国ではありませんね。

【波多野氏】  はい、そのとおりです。

【谷藤委員】  オランダの国の人口の少なさを思えば、(この表の)上位に出てくることはまずあり得ないと思うので、この数字は純粋にジャーナル(発行元)が所在する国で分けたものですね。

【波多野氏】  そこはもう少し難しくて、Web of Scienceにジャーナルの国が登録されているんですね。どのような国として申請いただいたかで実は違うんです。日本のジャーナルであっても海外出版社を御利用になっていて、海外で登録されているジャーナルはあります。

【谷藤委員】  それは私も認識しています。日本の学術誌を出している発行団体が間違いなくそこを日本(Territory=Japan)と、トムソン社に申告していることを是非期待しています。一つコメントなんですけれども、自らコアな国際誌と定義付けておられるので、世界に存在する学術雑誌の数に対して、トムソン社が収集するデータが何割少ないのかということは、このデータと一緒に記述するべきじゃないかなと思います。先ほど佐野先生からも御指摘ありましたけれども、1年間に何十万論文出したといっても、それは世界として把握される全数に対してトムソンデータがどのくらい少ないのか(世界数字を考えるときは何十%増しで考えないといけないか)という定量的な敷値を、適切に数字で表すことが大事ですね。

【波多野氏】  おっしゃるとおりです。はい。

【谷藤委員】  もう一つ。最後はこの全体議論へのコメントなんですけれども、長澤室長から御説明があった国際発信力というときの、その国際発信力の言っている意味が何なのかということを少しクリアにするべきという印象を持ちました。
 リーディングジャーナルを育てたいという別の希望と同じ問題を抱えていて、つまり、リーディングジャーナルと言っている意味が、日本人がたくさん論文を出すジャーナルになることがリーディングジャーナルなのか、それとも先ほどの定量的な分析にあったような、ドイツのあるジャーナルの例のように、いろいろな国の著者の人が満遍なく混じっている、そして引用も満遍なくいろいろな国からされている、その全体量が多いということが日本が目指したいリーディングジャーナルなのか、そこは少し明確に絞って考えるべきなのではないかということを考えました。

【浅島主査】  ほかにあるかもしれませんけれども、まだ後で時間を取りますので、それでは次に進みまして、各大学の状況の説明と、及び意見交換をこれから始めたいと思っております。
 続きまして、御出席の委員の方々から、日本のジャーナルの国際発信力を強化するという課題についてどうお考えなのか、また、御自身の専門分野における日本の学会誌の状況や問題点、あるいは日本における受信力の強化のための取組、リーディングジャーナルの育成の必要性などについて御意見を伺いたいと思います。
 まず、各大学、研究機関の方からお願いしたいと思います。それでは、京都大学の引原先生、お願いします。

【引原委員】  引原でございます。
 今お話にあった議論に関しても、大学でもいろいろな調査をしています。大学全体の論文数が100だとしますと、そのうち約50が和文であり、残り50が英文で、そのうちの6割ぐらい、30ぐらいがトムソン・ロイターの評価を受けるような、まあ、30あればいいと思いますけれども、割合となっているわけです。よく大学の評価でTimes Higher Educationなどのランキングとかありますけれども、それはこういうデータが使われますから、お分かりのように30%で評価される。それが現実なわけです。ほかの雑誌に論文を出していることが評価されていないというのが、マイナスと見るのかプラスと見るのかというのが非常に重要なポイントです。インパクトファクター、あるいはこういう評価指数で見ると、学術が弱いように見えますけれども、実は幅が広いのではないかと考えられます。それは例えば韓国など新興国を調査しますと、研究分野全体を見たときに、円陣で書いて、ワンポイントだけ、特定のところが非常に強くなっています。ところが、日本の場合は全方位になっている。それはヨーロッパ型あるいは、アメリカ型なわけですね。全方位に対してそういう評価を受けるのと、ワンポイントで抜けていくというのは全然意味が違って、その分野を席けんするためにはワンポイントで抜ければいいわけです。特定の企業がやっているようなやり方です。それを同じような評価をこういう数字で与えてしまっているのではないかという危機感というか、危惧を覚えます。
 それが今、大学のランキングというので、トップ1桁台を目指しなさいと、大学はお尻をたたかれているわけですけれども、それはそういう意味ではなくて、次の芽のためのベースを、基盤になる部分を上げないといけないのに、トップだけで見ている。それを助長してしまう危険性があります。だから、見方としてはいろいろな方面から見て、数字を見ていくべきじゃないかなというのが大学の中での議論です。
 ですから、例えば、和文で、文系の先生方であれば、図書館でその書かれた著作がどれぐらい読まれているかとかいう数値があるわけですよね。そういうのだって評価の対象になるわけです。だから、きちんと冷静な評価をしていくということが重要なのではないかなと私は思っています。大学としてはそういうことです。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。
 皆さんの御意見を伺ってから、またしたいと思いますが、慶應大学の田村委員、お願いします。

【田村委員】  これについては、一つは投稿する研究者に対してどのように方向付けていくかという話と、それから雑誌自身がどのように自助努力によって強化していくかという二つの話があるのかなと思っております。話はそれますが、雑誌を元にした現在の評価方法について、慶應大学というか、人文社会系を中心としている私学の立場で言うと、非常に不利な立場であると。人文社会系は医学系、理工系と同じようには研究が評価されないという印象を常々持っております。慶應の学内でも、医学部、理工学部等々については、それこそインパクトファクター等々を用いて評価しようという動きがありますけれども、人文社会系についてはそれでやってはいけないとは皆考えていますが、ではどのようにやればいいかというのは余りアイデアがなく、検討する必要があるかなと思います。
 まず、投稿側について、投稿することに対してインセンティブを与えるということは非常に大事なんじゃないかと思います。前回もお話しいたしましたが、慶應も投稿に対して補助をするということはやっています。ただし、現行制度は電子ジャーナル向きになっていないという問題があるほか、日本発の雑誌への投稿に対してどのように補助するかという視点もないように思います。反省ばかりなのですが、日本のジャーナルに投稿することに対して、何かの形で評価する、あるいは支援することは考える必要があると思っています。それは大学単位でもそうですし、日本全体の中でそういうスキームをどのように作っていくかということも問題なのかなと思っております。
 私の分野、図書館情報学ですけれども、私の分野で言うとやっぱり研究者は海外の雑誌に投稿することを考えるし、指導教授としても海外雑誌への投稿を勧めています。評価されたいと思うときは海外の方に投稿するというふうになっている。なかなかそれを変えるのは難しいかなという印象はあります。
 第二の雑誌自身の自助努力について言うと、これは全く私の個人的な感想なので、勘違いというかとんちんかんな議論なのかもしれませんが、雑誌にも何らかのマーケティングが要るのではないかと思っています。非常にコンペティティブな環境の中で雑誌としての競争力を付けていくためには、ある種のマーケティングというのは要るのだろうなと思っておりまして、その辺をどのようにやっていらっしゃるかというのは雑誌を出していらっしゃる方から伺いたいなと思っています。それから、そうしたときにマーケティング情報というのが非常に大事になると思うのですけれども、マーケティング情報とかいうのをどのようにして得ていらっしゃるか。そして、それを基にどういう戦略的な判断をしていらっしゃるかですよね。その辺のところを伺いたいと思っております。
 以上です。

【浅島主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、いろいろな御質疑があるかと思いますけれども、次に横浜市立大学の白石委員、お願いします。

【白石委員】  まず投稿費用の話でいきますと、投稿費用に関しては大学の研究費からの支出が認められています。最近ではそれが金額として増加してきているのではないかというような、でも、全学的な状況がはっきりとしているわけではないのですが、そうした声を聞いております。
 投稿側ということでお話をしていきたいのですけれども、いわゆる有名誌、ネイチャーに載りましたとかいうことになると、大学のホームページに成果として宣伝をしていると。それで、研究の評価、人文と理系では性格が違うので、学問分野による研究評価の基準については、今のところ、全学的な基準が決まったというような話は聞いておりません。本学では、教育、研究、診療の成果を教員評価という形でしているわけなんですけれども、例えば何か数値目標みたいなものがあってというようなことではなくて、自分がやったものを、その学問分野に即した書き方で教員評価の方に載せているというのが実態です。
私の専門は経済学なので経済学の話をちょっとさせていただきますと、この学問はアメリカ発の学問体系をとっておりまして、非常に国際的にスタンダードな内容になっております。ということがありまして、やはり研究成果ということになりますと、英文の査読誌に載せるというのが、研究者が一番目指していることでありまして、査読誌への掲載は、もちろん採用とか昇任などにも参照されますし、科研費等の研究成果でも査読誌にどれぐらい載ったか、それが英文かどうかというのはカウントされるようなことになっております。英語で出されている、それが日本の学会のジャーナルというのも幾つかあります。経済学は世界標準みたいなことになっておりますので、例えば経済学のジャーナルのトップ100というようなランキングもあるのですが、日本の学会が出している英文のジャーナルでトップ100にランキングされているジャーナルもあるということです。ただ、それがどの出版社かというのは微妙に問題だと思いますが。
 以上です。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、次に、千葉大学の竹内委員、お願いします。

【竹内主査代理】  竹内でございます。私どもの大学でもジャーナルを取り巻く問題についていろいろ議論はしておりますけれども、これは千葉大学からの情報発信ないしは研究成果の発信という観点で申しますと、個々のジャーナル、あるいはジャーナルを切り口としてというよりも、むしろジャーナルを素材として、研究評価というような観点での議論が一定程度進んでおります。特に、ユニバーシティー・リサーチ・アドミニストレーターの仕事として、我が大学の研究力の分析が文献データベースを中心に行われているところがございまして、例えば学部別に強み、弱みといったものを明らかにしていくという試みはしております。
 ただ、そういったエクササイズをやっている中ではっきりしてくるのは、領域によって全然違うということでして、いろいろな数値は客観的であるかのように出てきても、それは分野によってその数字の読み方を全く違えないといけないというようなことがあって、これにはスタンダードな基準のようなものがあるわけではありませんので、本当にこれは強いのか、あるいは弱いのかということがどうもよく分からないというのが私個人の感想としては持っております。
 それから、何人かの先生がおっしゃいましたように、人文社会科学系は、いわゆるSTMと全く同じような評価はできないということがコンセンサスとして出来上がっているのは事実だと思いますが、とはいえ、大学のランキングを上げるといったようなことを考えていくと、いろいろな戦略をとっていかないといけないというのがあって、その中でどのジャーナルに出せばいいのかというようなことがひょっとしたら今後議論の対象になっていくのかなというふうには思っております。
 以上です。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、名古屋大学の佐野委員、お願いします。

【佐野委員】  この件に関して大変興味を持ってこの間、活動をしてきました。先ほど、アンゲバンテ・ヘミーの話もありましたが、アンゲバンテが世界的な地位を獲得した一番の理由は、ノーベル賞記念講演が載っているからでございます。
 それで、学術情報発信という点から考えますと、現在、世界的なデータベース、Web of Science、Science Direct、それからGoogle Scholarとありますが、Web of Scienceが一番代表的なもので、採録基準がしっかり決まっているということからすると、世界のゲートウェイになっていると。そこに日本の学術情報が人文社会系においては多分90%ぐらいは載っけてもらっていないというのが現実だろうと思います。工学的な分野、自然科学ですが、理系の分野においては、逆に90%近くいわゆる英文で発表されているんでしょうが、工学的分野でさえも、これは引原先生の方がよく御存じだと思うのですが、日本から発表される学術論文については半分近くは英語ではないのではないかと。と思っています。したがって、先ほど、日本の歴史であればWeb of Scienceに載っかるというふうに、可能性があるというふうに言っていましたが、それは極めて少ないというのが現状です。それは、学術のレベルが低いということではなくて、それとは全然別の話です。
 というようなことがあって、名古屋大学においては、名古屋大学の関係者が発行しているジャーナル、紀要まで含めまして、それをいかにWeb of Scienceに載っけるかということの支援をやろうということで、昨年から始めていますが、一人、図書館職員もそういう専門家を養成してやろうということをやっておりますが、なかなか難航をしているのが事実です。一つだけの成果は、今までWeb of Scienceに載っていたものにインパクトファクターを付けるということはやりましたが、ほかには支援のいろいろな準備をして、Web of Scienceに載っけるためにはトムソン・ロイター社からこういうことを言ってきています、そのためにはこういうこと、こういうことをやってくださいということを言っていますが、まだなかなかそれができていない状況でございます。
 ただ、先ほども言いましたが、日本語で書かれているから学問的レベルが低いということではないものですから、逆に言うと今の日本から発信していて、日本語で書かれている学術情報が宝の山に見える人たちもいるわけです。そういう現実がありますので、それに対して国としてしっかりとした体制が、国際的に情報発信をする体制が私は必要なんだろうと思っています。
 以上でございます。

【浅島主査】  各大学におけるいろいろな意味での問題点は分かりましたので、次に、ジャーナルも発行されている物材機構の谷藤委員、お願いします。

【谷藤委員】  ジャーナルを作る方の視点からですか。

【浅島主査】  はい。

【長澤学術基盤整備室長】  両方で結構でございます。

【浅島主査】  日本の学術誌の状況の問題点とか、あるいは日本における発信力の強化とか、リーディングジャーナルの育成の必要性とか、そういうもの全体を含めてです。

【谷藤委員】  そちらの方ですか。分かりました。それでは、出版者の立場として発信について発言をします。オープンアクセスの話はこれまでに十分に意見交換をしたので脇に置き、発信力を強くするためにするべきことは幾つかはっきりしてあるのですけれども、残念ながら、そういった一つ一つのやるべき事柄を日本の中で全てやろうと思うと、どうしても技術力、競争力、先進性においてなかなか選択できないという現実があると思います。具体的に言うと、例えば今、オンラインジャーナルの世界ですから、オンラインジャーナルプラットフォームと、先ほどJ-STAGEの例なども紹介されましたけれども、紙にあったものを電子的にしてインターネットで読めるようにする、そして目次や検索やDOIが付いているという必需品があるかどうかという意味では、日本のオンラインジャーナルプラットフォームも立派だと思うのですけれども、世界標準という観点から見ると、国際発信力と言えるようないわゆる競争力を持った出版プラットフォームがあるかと言えば、実際には競争力をもった選択肢はほとんどないというのが実感です。
 国際発信力を何をもって評価するかですけれども、例えば自分の領域に近い名の知れたジャーナルと同じだけのダウンロード数を得られるだけのプラットフォームの仕組みはどういうことがあるべきかというような質問になったとき、答えられるような機能を持ったプラットフォームを作っている日本の会社はほとんどないように思います。基本的な、非常に単純に言えば、IT力において優れているはずの日本でどうしてできないんだろうと不思議に思うぐらい、世界レベルの競争力を持ったプラットフォーム市場が極端に弱いと感じています。国際市場競争の中で日本発ジャーナルが生き残るには、欧米の流行を後追いしているだけでは不十分と思います。
 それから、もう一つ、国際発信力というのは発信すればよいだけじゃなくて、発信した成果を証明しなければならないと思いますが、それに応えられるプラットフォームが日本にはありません。それは、先ほどのIT力と関わるのですけれども、先ほど委員の方から御発言がありましたけれども、客観的に国際発信した結果を定量的、定性的に評価するという、その素地(そじ)が日本にまだないと思います。それは俗に言うところのフェイスブックで何回書かれたかというように、ブログ的なソーシャルネットワークで言及された数を拾う手法は最近の流行ですが、実際に論文を書いた人が良かったと思うような、あるいはその研究の成果がきちんと読んでほしい国々に届いて、反響があって、ひいては引用につながったかという、そこまでをきちんとフォローして検証しているかと言えば、日本発ジャーナルのほとんどは、これは物材機構が発行支援するオープンアクセスジャーナル(STAM)もそうなんですけれども、なかなかできていません。そのために必要な分析する力、人材を育てていないというのが根幹にあると思います。
 日本の材料科学の中核機関としての物材機構は、全機構を挙げて、安く安定して高い質のオープンアクセスジャーナルに取り組んでいるのですけれども、実際かなり苦労しているのは、なかなか日本の中でその課題を解決するための答えを見つけることができないということに尽きてしまいます。
 以上です。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。
 次に、学協会の立場から永井委員、お願いします。

【永井委員】  いろいろな問題があって、とても難しく、うまく話せるかどうか分からないのですが。まず一つは、波多野さんの資料の最後に、論文の引用に与える要素とはと、これはとても重要なところで、今の谷藤さんのお話の中にもあったように、大事なことは日本の学協会が自分たちのジャーナルを本当にきちんと分析できているのかということがあるかと思います。もちろん多くの日本の学協会は小さくて、動物学会も含めてですけれども、そのような分析ができるような人を雇えない。しかし、それでも、会員や学会の理事が、自分たちのジャーナルが何かということを本当に厳しく見つめるということを日本の学協会は余りしていないように思います。
 私は、自分が動物学会の仕事をしていて、そこからお金をもらっている限り、そのジャーナル出版に、私にも責任があると思っています。責任があるというのは、そのジャーナルがどういうジャーナルで、今どういう立場にあって、今後どうすべきかということを大局的に、しかも長いスパンで考えなければいけない。目先のことではなくて。しかし、インパクトファクターが上がりました。それはうれしいですね、すごく。でも、本当にそれでいいのかどうかということを自分たちが分かっていないといけないと思います。
 ここで申し上げておきたいことですが、私は少なくとも研究者ではないので、少なくとも動物学という分野に対して何らかの責任も持てる立場ではないのですが、ジャーナル出版をしなければいけないという立場から言えば、インパクトファクターを並べられて、高い低いとやるのはもうやめたいと思います。それはなぜかというと、先ほど竹内先生がおっしゃっていたように、分野の違いということが大きいということをもっと日本は、学会は、理解しなければいけないと思います。少なくとも、もう一つ、前からお願いしていることなのですが、インパクトファクターを示されているときは、年間論文数を併せて出してほしいと思います。年間論文数なしにインパクトファクター云々(うんぬん)と言うのは大きな間違いですし、それから、重要なことは、波多野さんの御講演にある、論文と関係する研究分野の研究者数ということです。つまり、先ほど田村先生がおっしゃったこととは違うマーケットだと思うのですが、要はマーケットに誰がいるか、何人いるか、そういったことを私たちが理解しなければ、分野の違いということがやっぱり分からないと思うのです。あえて言いますけれども、発生生物学というのは今、生物学の中の王様です。発生生物学分野はどうしてもインパクトが出やすいのですね。ある方から、発生生物学学会のインパクトファクターが高いのに、なぜ動物学会のジャーナルのIFはこんなに低いんだと言われて、本当に動物学会を辞めようかというぐらい失望しました。
 なぜそんなことをおっしゃるのか。全然違うのです。それが現在も続いている。一生懸命言っても分かってもらえない。なぜこんなことを申し上げているかといえば、私どもは、学協会なのですから、自らの分野の発展のために努力をし、注意深く論文を出版している。そのことを分かっていただきたい。しかし、それでも、その背景には、分野間の相違があるということなのです。
 そう言いながら、やっぱりトムソンのインパクトファクターは、たかがインパクトファクター、されどインパクトファクターという言葉がありますが、まさにそのとおりです。なぜかというと、私など、おととい、自分で今年の予想を出してしまいました。つまり、気になるわけです。さて、長澤室長の資料ですけど、途中から来たので前段を見ていないのですが、日本の中の高インパクトファクター誌のことを少しお話ししたいと思います。3年前でしょうか、文科省の方から依頼を受けて、何人かの先生方と学会のインタビューをしました。報告が残っているはずですけれども。その中で、報告というかお話を、実際インタビューをして伺ったところが、この資料に五誌入っています。かずさ、日本植物生理学会、それからSTAMの物質・材料研究機構、それからCIRCULATION JOURNAL、それから癌学会は伺えませんでしたが、癌学会の先生方は、かつてお話をさせていただき、よく存じている学会です。
 これらの雑誌は、インパクトファクターが高く出るだろうという、よく論文が引用される分野ではあるのですが、このジャーナルには、やはりジャーナルのことをよく分かり、何とかして自分たちのジャーナルをよくしたいとお考えになられる方たちがおられます。それは間違いない。OUPの方もいらっしゃるからなかなか言いにくいのですけど、OUPに対して、きっちりものを申し、英国物理学会にもものを申し、自分たちは良いジャーナルを出すんだという意思がある学会、研究所であるということは間違いありません。私が存じ上げないここに示されているジャーナルは、同じように、多分そのようだと思います。しかし、こういう並べ方はやめてほしいなと思います。大事なことは、高いインパクトをたたいているところはそれなりに努力がある。そして、一方で、じゃあ、私たちの動物学はどうかというと、これは自分たちの分析で申し上げますが、動物学でのトップジャーナル、トップの30、40ははっきり言ってZoologyと言えるかどうかというのをトムソンに以前から申し上げています。ニューロサイエンス、ブレーンサイエンス、それからエコロジー、それとつながった、本当にジェネラルなzoologyじゃないものが高いインパクトをたたくのは当たり前で、私はそれらは無視しています。自分たちにとってどこが一番の競争誌なのかいうことが一番問題です。それらは、ほとんどIFが1から2の間にある。Zoological Scienceもそこにある。どうしてもっと自分たちのジャーナルに誇りを持たないのか。そうしない限り本当にいいジャーナルはできるわけがないです。
 それから、私はもともとは、人文系出身なのでもう一つ申し上げたいのは、リーディングジャーナルを作りたいのなら、日本では簡単なはずです。日本語の文献です。日本史の文献を読みたい、日本の文献を読みたい、日本の仏教仏典を読みたいという研究者腐るほど世界にいるんです。そこで本当にハイインパクトなジャーナルを作ろうと思えば作れるはずですし、そのジャーナルはあるはずだと思います。自分たちが何の言語をしゃべっているかといったら日本語ではないですか。私はインド史をやっていて、ヒンディー語、ペルシャ語ですごく苦労しましたが、日本史をやっている友達に言われました。なぜほかの国の研究をするのかと。
 そこは別にそれだけ特別に評価しろとは言いませんが。もちろん物理、化学、様々な分野でリーディングジャーナルたるものは何かということを考えなければいけないかなと思います。
 それから、最後に、田村先生の御質問に少し答えたいと思います。マーケット調査は非常に大事なことです。去年科研費の中で、ある学会がマーケットのリサーチをしています。これはとても重要なことですが、そのためには、やはりお金が掛かります。しかし、先ほど冒頭にもうしましたように、田村先生もそれをお考えなんだと思うんですが、自分たちが一体海外においてどう見られているか。どういう評価を得ているかということを、どんなにつらくても自分たちで知らなければいけないと思います。
 また、引原先生がおっしゃった、全方面から見る、いろいろな評価をするというのは、これは当たり前で、人間を評価するときも1、2、3、4、5で評価するのはやめなければいけないのと同じだと思います。様々な角度から。とても難しいことだと思います。
 申し上げたいのは、日本の学会は頑張っているということだけは分かってほしいなと思います。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、またここでもいろいろな御質問があるかと思いますけれども、最後に国内においてジャーナルの流通を支援している立場としてのJSTとNIIからお願いしたいと思います。まず最初にJSTの加藤委員、お願いいたします。

【加藤委員】  今日は資料を用意しておりますので、それに基づいて御説明差し上げたいと思います。前回の検討会におきまして、バーチャルのジャーナルサイトの構築について発言をさせていただきました。その中でJ-STAGEをやっておりますJSTとして、今回、検討中の案をお持ちしております。先ほど長澤室長がお話されたように、J-STAGEとしても昨年来、機能追加をしており、また、今後、選択と集中ということで有力な学協会さんと一緒にいろいろな投資をしていくべきという提言も頂いております。その中で、今後、NIIさんのELSのサービスについてもJ-STAGE LiteということでJ-STAGEに統合することにより、企業の技術誌も含めて、J-STAGEが、一つのプラットフォームになる状況になっているところでございますし、また、国内誌におきます引用文献につきましては、昨年来、文科省さんと一緒に示させていただいて、国内誌2,400誌、15万件の引用情報を整理いたしております。今年度、それをJ-GLOBAL等に載せて使えるようにすると。Web of Scienceの引用情報と併せて評価ができることになります。現在、そういうような取組をしているところでございます。
 バーチャルのサイトということで、私の方で考えておりますのは、1枚目でございますけれども、基本的にウェブ上で文献、論文を見ていただかない限り、引用情報とかそういうところにも行かないわけですね。発信力をまず強化して、そしてその論文を見ていただいて、その論文を引用していただく、そういうような流れの中で、やはり国際発信力を強化するという非常に重要な役割を持つと考えております。かと申しまして、日本の学協会は約1,800ございます。また、あるいは同じところの分野でも幾つかの小さな学会に分かれているというようなこともございます。そのような分野の論文について、もう少し分野ごとに統合し、大きなバーチャル学会というような形で発信することができれば、より発信力を強化できると考えておりますし、あるいは、今回御提案差し上げておりますように、日本の発信する論文の中で評価をいたしまして、これは日本が代表する論文であるということで国際的な発信ができれば非常にいいのではないかということで提案を差し上げているところでございます。
 J-STAGEに載っている学会の論文でも、JAIRO Cloud上に載っている論文でも、あるいはOAプラットフォームの上でも、あるいは国内外の有力な雑誌に載っております論文の中で、これを是非推薦したいという論文を発信していくことを想定しております。バーチャルでございますので、この中には実際の全文はないという形でございます。しかしながら、レコメンド機能だとか、あるいはレビュー機能だとか、そういう発信力強化の機能を提供するわけです。基本的にウェブの世界というものは、ウェブそのものがマーケティングをするという時代になってございます。ウェブマーケティング機能を持ったサイトを構築するということで、一つの論文から、その研究者の関係の情報、その研究者の他の論文はこういう論文がありますよということでリファレンスもできるということでありまして、このバーチャルサイト上の有力論文として、国際的な発信ができれば、このサイトからそれぞれの学会の論文のところに、バーチャルですから、つなげていくということで、各学会誌のアクセスにも非常に効果があるのではないかと考えているところでございます。
 基本的にはウェブマーケティングの機能とかいうことにつきましては、私ども調べましたところ、商用の電子ジャーナルサイトでは、基本的にあるようでございます。それはウェブのCMSの機能等により、十分実現できる機能でございます。この提案の肝の部分はどこにあるかというと、研究活動、学術出版、それぞれの評価をして、チェックをして、これが日本を代表する論文であるというようなところを評価してあるという評価の信頼性が実は肝になるということでございます。
 こういう考え方を持ちまして、実は浅島先生のところに御説明に行ったところ、浅島先生からアドバイスを頂きまして、4ページ目を見ていただきたいと思いますけれども、実は同様の例がFACULTY of 1000ということで、これはイギリスですけれども、5,000名の研究者が論文の評価をして推薦をするということで、ほとんどライフサイエンス系でございますけれども、論文をランク付けをして出してあげると。そうすると、どの論文が一番いいのかということを見ることができるし、評価したもののコメントも参照し、そこから論文にアクセスをするというような形の論文を評価したサイトを構築しているというケースもございますし、F5000ということで、これ、中身は、同じFですけれども、Frontrunner5000というプロジェクトでございますが、これは日本の状況と類似しているかもしれませんけれども、中国国内の中国語の論文を中心に、そこに英語によるレビューを付加することによって国際的な発信を強化していこうということでございます。発信をしつつ、ここに評価した部分につきましては、定量分析とレビュワーによる評価をして、厳密に選んだ論文を出していくと。その論文については、実際に抄録とかそういうものにつきましては電子ジャーナルサイトの方に依頼をいたしまして、抄録を出していくというふうな形の仕組みになっていると聞いてございます。いずれのサービスも本文そのもの、全文は自身で持たないということでございまして、電子ジャーナルサイトでは二重投稿等の問題は回避していると。このように発信を強化するということで、これは各学協会のそれぞれの学会誌への誘導にもつながりますし、非常に効果的ではないかと考え、御提案を差し上げているところでございます。
 前のページに戻りますと、やはり肝の部分というのは、チェック、評価、共有をどういう形でやるのかというところが一番重要なところではないかなと。それ以外につきましては、IT、技術ということでございますので、どういう形でやるかというのは既に想定できています。まずは、あくまでも道具としてこのウェブのマーケティング機能を持ったサイトができるのですが、このサイトの運営上の要は、この評価等の支援をどういうふうな形で実施するかというのが肝ではないかと思っているところでございます。
 素案でございますけれども、3ページ目にございますが、以前の御報告にもあったように、これらにつきましてはJSPSさん、それからNIIさん、それからJST、この三者がある程度連携をして、この科学技術情報発信力強化のための取決めをしていくのがよろしいのではないかなということで御提案を差し上げております。まだNIIさん、JSPSさんの方には調整をしているわけではございませんけれども、商用サイトに匹敵するバーチャル電子ジャーナルのサイト、あるいはイギリスにおけるF1000、中国におけるF5000、そういうものに匹敵するサイトを構築していこうという提案でございます。
 また、このバーチャルジャーナルサイトの運用につきましては、先ほど言った評価、選定、あるいはJAIRO Cloud等の利用、機関リポジトリ等の利用もございますので、JSPS、NII、JSTの共同運営体制というような形ではできないのかということでございます。例えば、リサーチマップ等につきましても、開発はNIIさんがやって、運用はJSTがやるというような形で連携は十分とれるような状況になってございます。そういうやり方でできないものかなということで御提案を差し上げているところでございます。
 次のページ以降は参考で見ていただきまして、JSTの中でJSTがファンディングする研究成果についてオープンアクセスを義務化しようということで、今、JST内でタスクフォースを動かしてございます。その一環として、J-STAGEもオープンアクセスのインフラということで少し変更、追加を検討しているということでございます。参考資料としていただければと思います。
 以上でございます。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、NIIの安達委員、お願いします。

【安達委員】  私の立場は、大学の情報の基盤を作っていくということにありまして、本日の議論は発信力がテーマでありますが、私の立場上、危機感を感じておりますのは、大学の受信力の方が弱まっているという点です。そこのトムソン・ロイターの方がお書きになっている資料に「引用には、論文を読みたい研究者が論文を読める割合が影響を与える」とありますが、我が国の大学で電子ジャーナルの契約が十分にできず論文を読めなくなるという危機意識がございます。笑い話として、投稿した論文を自分の所属する機関が契約していないので読めないというような例も起こっているわけです。そのような観点から、我が国ではオープンアクセスを推進すること、そして国際共著論文を増やすということが日本のプレゼンスを示して研究発信力を強化するという、非常に重要な方策だと言われていると理解しています。この点については、トムソン・ロイターの方に、本当にオープンアクセスにすることが発信力強化につながるのかということや、また国際共著論文を書けば引用数が増えるというデータはあるようですが、実際のところを教えていただければ有り難く思います。
 私は、以上のような視点から、国内のリーディングジャーナルを育てるという観点で意見をまとめましたが、その資料の詳細はお時間のあるときにお読みいただければよろしいかと思います。要点は、日本の政府が基本的にオープンアクセスを推進するという立場をとるのであれば、そしてそれは恐らく事実でして、既に現在の科研費の制度としてオープンアクセス雑誌を育てる具体的な方策を採っていることから、そのような方針であると言えます。日本の学術誌がオープンアクセスで国際発信するように押し進めているということは大変重要なだと認識しております。学会にとってみれば、これは直接的な助成ですが、研究者から見ると、この日本の学術誌をこのように国がサポートしていることは極めて間接的といいましょうか、ほとんど意識されないことであります。私は、オープンアクセスを進めるというのが国の方向であるならば、それに対して直接的に研究者に訴えるような方策が必要であると考えます。
 具体的にはJSPSやJST等の研究助成機関がAPC、つまりオープンアクセスジャーナルに投稿する投稿料に相当する経費を助成するということを考えてはいかがかということであります。具体的には、科研費の成果の論文がオープンアクセスジャーナルに掲載された場合、そのAPCの総額、すなわち研究者の所属する大学のAPC総額を間接経費として翌年度、その大学に返すというものです。千葉大の例を前々回、竹内先生がおっしゃっていましたが、1,000本あたりぐらいの論文を書くとのことです。そのうちの10%がオープンアクセスで、APCが平均2,000ドルとすれば、千葉大学は一年に2,000万円ほどAPCを払っているということになり、その翌年に同額の補助をするということになります。そのAPCが日本の有力な学会のオープンアクセス雑誌であれば、その学会への投稿を間接的に勧めるということになるので、非常にいい循環としてオープンアクセスの推進、そして具体的に日本の研究者が日本の学会のオープンアクセスに投稿するというメカニズムが実現できるのではないかと考えます。
 以上のような方策のざっとした試算ですと、APCの額は4億円ぐらい、更にその傾向が進めば10億円と増えていくことになるわけですが、現在の科研費で助成している学会への助成の金額とそう大きく外れた金額ではないと考えますので、このような形で研究者が直接的に雑誌に投稿することを勧めることに大いに寄与すると考えます。我が国の有力な雑誌がオープンアクセスであれば、それを支援するということになり、冒頭に申し上げましたように、オープンアクセスによる海外情報発信力を強化することにもつながりますし、大学の受信力が下がるということに対してもきちんとした政策をとっているということになると思います。
 以上です。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。
 そうしますと、今、大学の現状というのと、それからジャーナルを発行している母体の問題、学協会の問題、それからジャーナルが流通している立場の2機関について、それぞれいろいろな意見を頂きました。今日の主体はいかにして我が国の科学情報の発信力強化をしていくかということと、受信力の強化ということでありますので、どこからでもいいので御意見を述べてください。では、お願いします。

【引原委員】  先ほど、大学の立場で申し上げたのですけれども、私は、学会としては電気学会、電子情報通信学会、システム系の学会、物理系の学会など、いっぱい入っております。応用数理もあります。理科系をくまなく見ているわけですけれども、各学会、日本の国内の学会ですけれども、従来の会費に頼っていたビジネスモデルはもう崩壊しています。その中で雑誌発行が非常に難しくなって、電子化に走っています。無理やりそうなっているわけで、J-STAGE等に御助力いただきながら、いろいろな発刊をまだ何とか続けている状態です。しかしながら、発刊してもインパクトファクターが付かない。そういうジレンマに陥っているわけです。
 それは当然であって、学会誌は国内のコミュニティーを守るための雑誌であって、海外に打って出るものではなかったわけです。ですから、それに評価を付けろといったところで、メンバーが日本人がほとんどであり、エディトリアルボード、ボードメンバーがみんな日本人なのです。そういう状況で、評価を得ようかという観点が全然なかったわけです。雑誌として、例えばさっきのレビュー雑誌なんかは非常に評価が高いのは当然で、レビューの雑誌1本に200から300の論文が引用されているわけです。1個読めば、本を読むのと同様、そこの論文は全部引用したことになるわけです。だから、そういう戦略を打って評価を得ようとしているわけです。
 日本の学会はどうなっているかというと、過去、私の関与したところで言えば、日本語の雑誌に自分の関係者以外の論文を引用しているのは非常に少なかったんです。要するに、日本の学会というのは、学術分野が他人の研究を認めず、自分だけ認めろということをずっとやってきたわけですね。孤高であると。それで初めてこういう評価を受けるときになって、私はアメリカで教育を受けたときに、少なくとも論文が20編以下の引用の論文というのは成立しないよと言われたことがあります。それは当然であって、それぐらい客観性を持たせなければならないわけです。なのに、日本国内でやってきたことはそれとは真反対なことをずっとやってきた状態であり、そこに学会があるわけです。いきなり、こういう黒船に近いような状況でオープン化、あるいは評価を受けるようになってしまって、今、破綻しつつあるというのが一つあると思います。それはもちろん分野によると思います。
 もう一つは、それを今、見える化を一生懸命しようとしているわけですね。最近、エコ系の話で見える化というのが一つの一番重要な手段で、経費節減につながるものです。最初はそれでうまく行くんですけれども、すぐ慣れてしまいます。慣れた結果どうなるかというと、元に戻ります。だから、その次メリットは何でしょうねということを提示していかないといけない。今、J-STAGE等で電子化してオープン化されていった中で、見える化して最初は見られるけれども、中身がなければもうそれ以上見られなくなる。そういう、次から次へと手を打っていかなければならないわけです。トムソン・ロイターさんも次から次へと評価システムを変えてこられますから、当然ながらそこでうまくかみ合わなくなって、周回遅れで評価がされない状態になってしまいます。だから、やるべきことは、周回遅れであるならば、その次の先のことを考えないといけないのであって、今、後ろから追いかけて同じことをやっていっても、当然ながら評価にはつながらない。昔、トムソン・ロイターさんと大学で議論したことがありますけれども、そういうことがあるのではないかなと思います。
 最後にもう1件なんですけれども、RU11で私が、3月に海外調査させていただきましたけれども、そのとき、オープンアクセスの関係で、さっきのTimes Higher EducationのトップにあるCalTechで議論をしたんですが、彼らは、やっぱり重要視しているのがそういう学術コミュニティーが崩壊してきているということです。物すごく問題視しています。それは、電子ジャーナル化していくことによって図書館に人が集まらなくなる。人が議論しなくなる。そういうような状況の中でどうやって大学のコミュニティーを保ち、研究力を上げていくかというのが非常に重要だと考えています。そういうようなことをウェブ上で作れないかというようなことを言っているんですけれども、彼らが逆に質問してきたのは、日本は日本語でやれる環境というのをどうやって維持していくんだと言うことでした。
 そういうコミュニティーを意識した活動をこれから続けるかどうかというのが学会等に非常に重要なポイントではないかと考えます。それはアジアでも同じことで、大手出版社が入って、アジアが英語化したときに、そこの国の言語を失って、学術を失ってしまう。それを一番食い止められるのが日本かもしれないなと私は思っています。

【浅島主査】  今の引原先生の発言は、これからの非常に重い問題であって、どのように学術を発信していくかという問題ですので、これについて何か、例えばトムソン・ロイターさんは何かありますか。考え方として。つまり、今のような、例えば評価軸をある面では常に変えていっているのか、あるいはもう自分たちはアカデミックに対してこういうものを要求しているというか、あるいは評価しているのかという、その評価軸というのはどういうふうに決めているんですか。

【波多野氏】  ありがとうございます。例えばですけれども、多分両方あって、インパクトファクターという指標があるとしますと、もちろんこの指標の計算式は変わっていませんし、あと、Web of Scienceの収録基準も変わっておりません。ただ、時代が変化して、研究者の方が求める指標とかが変わっていけば、それに合わせて指標を取り入れて増やしていっているんですね。種類が増えております。
 これで回答になっておりますでしょうか。

【浅島主査】  そうすると、先ほど永井委員が言われたような、出てくる論文数とか、あるいは研究者数とか、あるいは分野面とか、それから学協会の立場みたいなものを考えたときに、やっぱり母集団が多くて、そこにみんなが寄ってたかってくれば、それだけ引用される率は高くなるんですね。だけど、重要な分野だけれども研究者が少ないときには、なかなか引用される率は少ないわけですね。そうすると、その辺の関係について何かお考えみたいなものがあれば。

【波多野氏】  トムソン・ロイターではもともとインパクトファクターは分野を混ぜて評価はしないでくださいと申しております。逆に、分野内で評価してくださいとお願いしております。数学と発生生物を同じ土俵で評価したら、同じ数値にはならないです。
 あと、JCRというインターフェースにインパクトファクターが載っておりますが、そちらを見ていただきますと、インパクトファクターと併せて論文数も掲載しております。是非、永井様がおっしゃったような、1年間の論文数が20とか15とかのレビュー誌というのは、そこは外して見るというのが一つのやはり方法かなと思います。今、何を見たいかに合わせて評価する母集団を変えていくというのは絶対必要だと思っています。

【浅島主査】  安達先生。

【安達委員】  この引用分析というのは、統計的に議論できるか、統計処理をするとバイアスが掛かってしまう規模の分析なのか、実はその境界の辺のような気がするのですが、非常に簡単なモデルを立てますと、インパクトファクターは、研究分野の研究者数ないしは当該研究分野の論文数、及び参考文献欄に書く引用論文の数に直接的に比例します。ですから、引原先生が言われたように、電気工学やコンピュータ分野では20ぐらいしか引用しないのですが、そのような分野では絶対的にインパクトファクターは低くなります。100ぐらい引用する分野は当然、インパクトファクターが高くなります。これはモデルですぐに計算できます。更に参考文献欄に書く論文の中で国別で分けて考えますと、研究者数が国によって変わってきますよね。したがって、急にたくさんの論文を書いてくる国が出現すると、マクロに見れば、そこの国のパフォーマンスがよく見えるというふうになります。したがって、インパクトファクターは、そのようなことを踏まえた上で評価しないといけない指標だと言えます。

【浅島主査】  じゃあ、加藤委員、お願いします。

【加藤委員】  先ほど、J-STAGEに登録されている学協会の数が約2,000ということです。学協会の数と研究分野の数というのは、多分、学協会の方が多いのかなというような気もしますね。そういう面で言うと、バーチャルで発信力を高めるといったときに、同じ分野の複数の学協会の論文について、やっぱり集めて、その上で発信力を高めていくということが必要ではないかと考えております。個別の学会ごとでアクセスをしていくようなことではなくて、だからといって、学協会そのものを統合化するというのは難しいかもしれませんけれども、少なくとも論文の発信力という意味では、ある一つの研究分野で、日本の学協会が集まって、そこで発信をしていく、それはバーチャル的な発信力強化でもいいのではないかと。そういうような取組がやっぱり必要なのではないかと考えています。

【浅島主査】  そうすると、今言われたことは、一つは新しいシステムを作るという、バーチャル的なものを作るということと、日本の学協会で期待していることは、J-STAGEのプラットフォームが世界スタンダードになるような、そういうプラットフォームであって、そして、先ほど谷藤委員が言われたような、そこに載せたときに、本当にWeb of Scienceのところにちゃんとつながるようなシステムになっているのかどうか。そういうところでマーケティング力も含めて、J-STAGEがもう少し頑張れるような仕組みというのは何かお考えですかね。

【安達委員】  まさに浅島先生が言われたことに尽きるわけで、谷藤委員が言われたプラットフォームとしての力の差ということにも関わります。はじめは、プラットフォームとは、コンピュータのハードウェアやソフトウェアからなるシステムの下の部分のことを意味するのかと思っていたのですが、お話を聞いている内に、恐らくそれよりも上の、目利きのエディターがいて、当該分野の動向を理解しつつきちんと出版するということ、また田村先生が言われたマーケティング力というようなレベルのことをおっしゃっているのだと思い当たりました。そのようなことなしにコンピュータのシステムさえ作れば、それでプラットフォームを作ったという考え方と大きな乖離(かいり)があり、日本で今一番欠けているところがそこだという、そのような御意見ですよね。

【谷藤委員】  すみません、発言します。
 そのとおりで、コンピュータシステムの話をする必要が今あるとはとても思えず、むしろ全体の仕組みとしてのプラットフォーム。ですから、J-STAGEがこれまで十何年かやってきて、最も最後までなかったのが出口ですよね。購読管理ができていない。売るための仕組みがない。あるいは、売れた後が分からないと。それを今後どうされるのかちょっと分かりませんけれども、学術情報を自由に、自在に発信しようと思ったら、作るだけでも駄目で、売るだけでも駄目で、中抜きでも駄目でということで、今、そろえなきゃならない部品が幾層にもあると思うんですね。ですから、その最たる例として今日の素案として資料で御説明いただいたんだと思うのですが、ちょっとこの場を借りて質問なんですけれども、コンテンツを持たなくてどうやってマーケティングするんだろうというのが素朴な疑問だったのですが、これは、ここに載る書誌情報を基に何かをするんですか。

【加藤委員】  各学協会の方とヒアリング等をしているのですが、学協会の方からは、全文を格納するプラットフォームは、逆に言うとどこでもいいと。自分の論文を外に発信をして、自分のプラットフォームで全文を読むような形で呼び込むという機能を持った、実はウェブサイトなりマーケティングサイトが必要というようなお話を伺っておりまして、全文を格納するプラットフォームとしてはJ-STAGEで十分できますし、また、学協会の協会の方、会員向けの検索とかいうものにつきましてはJ-STAGEも十分できるし、中の論文の格納の方法につきましても世界標準のXMLの形式になっております。全文格納するプラットフォームとしてはJ-STAGEは一定の水準に達していると考えています。
 じゃあ、それをどうやって誘導していくかということが実は欠けているのではないかなということで、先ほど言ったバーチャルサイトの上の部分ですね、そこはいろいろなコンテンツ、逆に言ったら、レビュワー、評価の話、そういうコンピュータシステム以外の仕組みづくりが必要で、その上で、そこから全文の方に誘導してあげるというようなことが可能になるのではないかと考えています。

【谷藤委員】  そうすると、例えば、機関リポジトリから収集されるコンテンツは何が来るんでしょうか。書誌がJAIROを通してくるということですか。

【加藤委員】  オープンアクセスで格納したものを発信するということにもつながるのではないかと考えています。

【谷藤委員】  その発信するというのは、書誌を発信するという意味ですね?つまり全文は持たない(版元にある)のだとすると、書誌情報しか流せないように思いますが?
 マーケットの対象とする相手、すなわち研究者の情報はどうやって持つことになるんでしょう。マーケットするといっても、誰に何をマーケットするかにもよると思いますが、学術情報の発信力という意味で言えば、読者という意味の研究者のマーケティングであろうし、この中で課金しているジャーナルがあるのだとしたら、それは具体的に売れる図書館という対象がマーケティングの対象になると思うのですけれども、そういったプロフィール情報をどうやって統合するのだろうかというのが二つ目の質問なんですが。

【加藤委員】  JSTではJ-GLOBAL、あるいはNIIさんはリサーチマップ、それからCiNii、あるいは、JSTで日本化学物質辞書の情報とか、基本的な情報資産をかなり持ってございまして、これにつきましては、現在、書誌の同定、それから著者の同定、ID化というものを今、進めております。そういう情報が集まってくることによりまして、ある論文に対して注目が集まれば、その論文に関係する共著者の情報が全部分かると。そこから今度はほかの論文にも展開をできるということで、いろいろな情報に実は誘導できるようになります。また、サイトを参照された方が、こういう分野に興味があるのであれば、こういう論文も是非見てくださいよというような形の、マーケティング機能を持ったサイトは実現できると考えております。現状、最新のeコマースのサイトなんかは大体そういう構築の仕方が主流となりつつありまして、実は、電子ジャーナルの分野でもコンテンツを販売するということなので、そういったマーケット機能を持ったサイトを今、構築していくという提案を差し上げております。

【谷藤委員】  そうすると、課金の決済機能も持つということですね。

【加藤委員】  多分、課金の決済のところにつきましては、各個別のサイトで対応することになると思われます。

【谷藤委員】  元に戻すわけですか。

【加藤委員】  ええ。となると思います。各個別のサイトに誘導する。だから、バーチャルサイト上には決済機能は持たない想定をしておりますので、そうなると思います。

【浅島主査】  じゃあ、長澤さん。

【長澤学術基盤整備室長】  ちょっと大ざっぱなお話を申し上げさせていただいてよろしいでしょうか。私どもの認識としては資料の出し方が悪くて、いかにもインパクトファクターの数字自体が問題であり、高ければいいと言っているというように思われたかもしれませんが、そのようなつもりでこの数値を出したわけではございません。当然、分野の違いがあるというのも十分分かっておりますし、日本の学協会が頑張っているということは、いろいろ調べていきますと、例えばインパクトファクターが3というのは決して低いのではなくて、すごく高いんだということは調べていくうちに分かりましたし、これは取ることだけでも大変な作業を行っておられるということも分かっておりますし、それをその学協会レベルでやられているということで、すごくマーケティングとかに努力をされているということも十分分かっております。ただ、更に国際発信力を伸ばすためには、これが同じジャーナルでどれだけ伸びたのかという、その伸びしろを評価していくということが重要ではないかと思っております。
 ですので、この科研費の国際発信力強化のときも、何を評価するかといいますと、5年間の支援期間の間にどれだけ発信力を強化させたのかということを評価者に評価をしていただいて、ベースはそれぞれ違うわけですから、ベースからどれだけ伸びたのかというところを評価するのが大事ですということでお願いしてございます。そういう観点で、今何が必要かということを是非教えていただきたいなというのが我々のお願いです。
 先ほどのプラットフォーム、例えばJ-STAGEに欠けているというのは何なのかとお伺いしたかったのですけれども、今のお話を聞きますと、ソフトウェア的なイメージで、例えば分析機能であるとか、若しくは優れた論文というものを紹介する機能などを例えばJ-STAGEのサイトに載せていれば、そこをきっかけにして、入り口にして、そのJ-STAGEを使って論文にアクセスしようと、関心を持っていただける人を増やすことができるのか、そういう姿勢があれば、より日本の論文に対する関心が高まるのか。それから、日本語の論文が多いわけですけれども、英文の抄録を付けておけば、それだけでも発信力の強化にもつながるのではないかというふうなお話も聞いたりしております。例えばそれを当然、日本語の論文は日本語でいいんですけれども、英文の抄録を付けていただければ、海外からはアクセスがどんどん伸びて、最終的に日本語のジャーナルであってもインパクトファクターが付くような形の影響力の高いジャーナルになる可能性があるのではないかなど、いろいろ情報を頂いております。更に具体的にもっと効果が上がるためにはこういう施策が要りますよというところ、また、そういう汗をかいているところにより支援をしていくためにはどういった支援が必要かというところも含めて御示唆をしていただければと思います。これからのまとめの作業に向けまして、そういったことを最終的には発信していければなと思っております。

【浅島主査】  竹内先生。

【竹内主査代理】  今日の議論をずっと伺っていて、最後までよく分からなかったのですが、日本発のジャーナルを強化するということと、日本の研究力を強化するということと、それから、日本の研究力を強化した結果として日本から優れた研究成果を出すということの議論がどうしてもかみ合わないという印象があるんですね。今、我々がジャーナルの問題で考えなければいけないことは一体何なのかということを、優先順位を決めてきちんと整理しないと、この議論はかみ合わないまま進んでいってしまうのではないかという危惧を大変強く持ちました。
 例えば、安達先生から御提案のあったオープンアクセスの強化の一案といったようなものというのは、まだちょっと丁寧に拝見している時間がございませんけれども、先ほど安達先生もおっしゃったように、オープンアクセスということが本当に日本の研究力を強化していくためにどうしても必要な方策であって、そのためには単に日本発のオープンアクセスジャーナルを作るのではなくて、直接的に研究者にOAを進めていくためのインセンティブを与えるということが重要だということであれば、これは当然、その方向で議論するということをしないといけないと思います。
 その辺りの優先順位をきちんと整理していただいた上で、大学から見た場合と、それから学協会から見た場合と、恐らく全然見方は違うと思いますので、その辺りを少し深く突き詰めていく必要があるのではないかなと思います。
 今日、大変興味深い話がたくさんあり、日本から研究成果を出していくということを考える上で、考えなければならない論点がたくさんあるということが分かりました。そのこと自体とても大きな成果だったと考えますけれども、次の一歩を考えたときの方向性というものがやはり重要かなと思います。
 以上です。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。
 じゃあ、佐野先生。

【佐野委員】  一言だけ。情報発信力の強化よりも、私は、今やらなければならないことの一番の優先順位は、世界のいわゆる窓口に見えるようにする。要するに、インターネットで情報を流したからって世界の人たちが見てくれるわけじゃないわけですね。例えばヤフーの検索、グーグルの検索に載らなきゃ、幾らホームページで情報発信をいっぱいしたって、それは発信していないことと同じです。ですから、一言で言えば、データベースが、まあ、Web of Scienceだけではないんですが、Web of Scienceに載っからないと見えない。幾ら情報発信をしていても。そこのところが私は物すごく重要ではないかと思っています。
 以上です。

【浅島主査】  長澤室長。

【長澤学術基盤整備室長】  補足なんですけれども、日本の研究力を強化するということは当然必要なんですけれども、このジャーナル問題検討会として行っている、開催している趣旨は、研究力を強化するという観点からしますと、当然、それに相応するような、日本が発信しているジャーナルの強化も必要ではないのかというふうな御意見があるということも踏まえております。日本のジャーナルを通じて多く発信されている成果を、より国際的に流通させるということにより、結果として研究力の強化につながっていくのではないかというふうな視点から見て、では、その置かれている日本のジャーナルをどうやったら強くできるのかというふうな視点でまず御議論していただければと存じます。その結果として、更に深みとして研究力強化につなげていくというふうなスタンスで是非お話ししていただければ助かるかなと考えております。

【浅島主査】  どうもありがとうございました。
 じゃあ、谷藤さん。

【谷藤委員】  安達先生のお考えに質問なんですけど、今の長澤室長のおまとめに沿った形で質問すると、このAPCファンドは日本の学会誌に出すときに適用するということでしょうか。それを質問する理由は、これと同じことを私も物材機構で調査、検討したところです。研究所の場合、分野によって答えが大きく違いました。オープンアクセスに余り親和性がない分野の研究者であればあるほど、活躍する人であればあるほど、こういう複雑なことはやめてほしい、研究に専念させてほしい、どこに出すかは自分で決めるということになります。少し離れた分野に行くと、(APCファンドもあって)いいじゃないかという意見がでてきます。さらに、どうせやるんだったら日本のOA誌に出すときに適用するAPC制度としてはっきり目的と成果が見えるようにした方が、ロジックが明解で分かりやすいという踏み込んだ意見もありました。いろいろ意見や現状分析をした結果、物材機構の中で今、こうしたファンドを作ることを見送ったのですけれども、先生のお考えの背景にはどういう考察があったのかという質問です。

【安達委員】  少し上の方からお話ししますと、基本的には日本の研究力を強めるということ、例えば日本の学会の発行する雑誌のステータスを高めたりすることにもつながるだろうという気がしております。ポイントとしましては、研究者が論文を書くということをどのようにサポートするかという観点でして、細かい制度設計としましては、日本の学会を支援するということを重視すれば、それにターゲットを絞ればいいということになります。そうではなく、例えばインパクトファクターの高い雑誌に載せた場合には支援するというような制度にしますと、だんだん生々しいものになっていくわけです。ですから、制度設計のときに最も優れた詳細を作ればよいと思っております。
 私の重視する観点は、APCの総額を各大学で統計処理をするのを図書館にお願いするという点です。その結果、図書館が我が大学は一体幾らぐらいAPCを払っているのかという情報を得ることができます。我が国の大学は、年間300億円くらい支払って電子ジャーナルを買っておりますが、万一結果的に見ると科研費などを含めて500億円もAPCへ払ったということが起こるとしたらこれは本末転倒です。研究者は強いプレッシャーのもとで論文を書く努力をしています。その背景もあり、オープンアクセスメガジャーナルが出現してきたわけです。トムソン・ロイターの方にお聞きしたい質問に、引用されない論文というのがたくさんある理由は何かというのがあります。大変不思議なことです。オープンアクセスメガジャーナルもそのような論文をたくさん収録しているのではないかと思ったのですが、インパクトファクターがそこそこに付いたことにより、急激に雑誌として成長しています。今の若い研究者は論文をとにかくきちんとしたところに出さなければならないと強く意識しているわけですから、オープンメガジャーナルなどへのAPCが増えるということが予想されます。つまり、結局、オープンアクセスになっても出版社がもうかるという構図は変わらないことになります。そこを是正するというメカニズムを織り込まないと発信システムが破綻するでしょう。
 私が関係しているSCOAP3では、この活動によりAPCの平均値を大きく下げたということが成果の一つになっています。非常に狭い分野の問題のように見えますが、マックス・プランク研究所の統計では、オープンアクセスジャーナルでは4位の、大きさとしては14番目の仮想的な出版社に位置付けられると言っております。したがって、何らかの方法でAPCを下げない限り、科研費の結構な部分がいろいろなオープンアクセスジャーナルのAPCに消えていくという状況になっていくと思います。
 引原先生が前回言われたように、データに基づいて議論しなければならないわけでして、オープンアクセスが非常によいという単純な話では全くありません。その観点から研究者をエンカレッジする最もよいシステムとして提案したものです。

【谷藤委員】  日本のAPCは世界平均値よりもエコなので、自信を持って参画できると思います。一方で、科研費の成果でベストペーパーの成果をそこに出したいかといったら、またそれは別のファクターがあるので、もう一つ提案なんですけど、インパクトファクターが全てではないことは皆知っていることで、是非分野間の違いをきちんと平準化したインパクトの数値も併用して使うことを是非コメントしたいと思います。
 例えばSNIP値とか、それからFWCI値というのは、私ども研究所の中でも使い始めていますけれども、分野間の違いを適切に補正する、かなり使えそうな数値だというふうに見ています。ですから、何でもかんでもインパクトファクターでものを計って、良い悪いという単純回答ではなく、もう少しいろいろな数値を使ってみて、そこから見えるジャーナル観というのを検証した方が良いと思います。
 実際にやってみると、日本発のジャーナルは全く違う世界観が見えていて、驚くばかりに元気が出る分野もあります。公的な資料や、定量的な比較や外観を評価するような一つ一つの場面から、インパクトファクター依存文化から脱する足がかりとして、複数数値の導入に取り組むことがあってもよいのではないかと思います。

【安達委員】  問題は、基本的には研究者はとても頭がいいですから、評価指標を決めて与えたら、それに対して最適化します。この問題の根は、研究者自身の評価の問題に密接につながっているので、そこのところを……。

【谷藤委員】  研究者に選ばせる時代になった方がいいという主張なんですけど。頭がいい人たちなので、インパクトファクターでは自分たちの研究領域は適切に表現できないことは知っていますし、そもそもインパクトファクターだけで全てを測る文化は、むしろいろいろなものを取り入れて全体として外観を知る、その中で相対的にみるというように自由度を持っていくべきなのではないか、という提案です。

【浅島主査】  そうしましたら、今日は非常にいろいろなもので皆さん方の意見を聞きましたので、そうしてみますと、今日は波多野さんに来ていただいて、トムソン・ロイターの考え方も、あるいは世界の動きについても教えていただきましたけれども、やはり学問分野によっても違うということと、例えば長澤室長が言われたような、研究者自身が前向きになって、なおかつ学協会は活性化して、研究者自身がそれによって良くなるということと、それぞれのジャーナルが今までよりもサポートされたことによって、うんと力が出てきたとか、あるいは学問の分野が伸びたとか、あるいは国際化が見えたとか、そういうことを具体的にするような仕組みとは一体どういうことかということがあるので、この辺について、私はちょっと見たときに実は各学協会が期待している額には数字が行っていないんですね。この辺もうちょっと上げてもらうということと、それから、もう一つは、J-STAGEさんにはもうちょっと国際的なプラットフォームといったときに、先ほどのマーケティングまで行くような、何かシステムを作っていただいて、そして各学協会が本当に出したくなって、そして世界に見えるようなシステムとは一体どういうものかと。それで、研究者も是非出したいというようなものと、あるいはJ-STAGEに載らなくても、とにかくジャーナルがよくなって、学協会も元気が出て、国際発信力が強くなったというシステムを、是非できるようなシステムを各学協会で考えていただくと。
 そして、谷藤さんが言われたように、一つの指標ではなくて、例えばですけれども、論文のハーフライフのものをやれば、多分、日本のジャーナルは物すごくいいんですよ。大体、日本のジャーナルは、今言われているインパクトファクターの高いところは、大体3年ぐらいなんですね。3年すると50%引用されないんです。ところが、日本のジャーナルは大体8年から9年なんです。ということは、日本のジャーナルというのは1回論文が出ると、非常に長く読まれるんです。そういう傾向は明らかにあるので、むしろそういう意味で言うと、クオリティーは非常にいい。ですから、その辺のことについて、むしろ指標というものも、そういうような指標を幾つか作っておくことが私はこれからは必要なのではないかなと思っていますので、そういうことを含めて、分野の問題、それからハーフライフというか、そのタイムのものを持ってくるとか、あるいはいろいろな指標で、インパクトファクターでないサイテーションも含めていろいろなものがありますけど、私はハーフライフというのは比較的クオリティーを示すものではないかなと思うんですね。そういうようなことも含めてみたいと思います。
 トップジャーナルは、加藤先生に言いますと、一時的にはいいんですよ。ただ、すっと落ちるんです。ところが、低いのはずっと引用を続けられるんです。そういうのは多いので、そういうこともクオリティーとしては非常にいいということです。逆に言えば。そういうこともあるので、これからはそういう面で、5年後に我々がやったことが本当に科学者を元気にすると同時に、学協会を元気にし、なおかつ、日本は本当によくなったと、国際化したというような仕組みを作りたいと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
 また、科研費を受けてOAジャーナルをスタートアップした学会が、J-STAGEをインフラとしては選ばなかったことは、むしろ逆に言えば、J-STAGEの方でこれからどれだけ実際的に載ってくるジャーナルが増えるかということと、それから、そこに載ってくるコンテンツはどれだけいいものが出てくるかということを数字的に示していくことが必要だと思うんですね。ですから、2012年よりも13年、そして14年、今年はどうであるかと。大体、選んだときは13年のを見て選んでいますので、そこがやっぱり良くなかったと思うんですね。だけど、14年だったら少し良くなっているので、更に良くしたときにどういうふうになるかというのは一つのデータとして出て行くと思いますので、是非その辺を含めてよろしくお願いします。
 皆さん本当に頑張っていますので、是非それは継続してやっていただいて、数字を明らかにしていけば、絶対日本でもよくなると思いますので、お願いいたします。
 それでは、時間になりましたので、これをもって今日は終わりまして、次回はいつでしたかね。次回は6月23日の13時から15時ですね。それで、もう1回ここでまとめるときに、6月23日にやるんですけれども、ここで終えるか、まとめられるかどうかということと、もしもならば、松本さん、もう一つとっておいた方がいいかね。

【松本参事官補佐】  一応、第5回を7月に予定をするということで、現在は先生方に日程照会をさせていただいておりますので、また日程が確定しましたら連絡をさせていただくということにしてございます。

【浅島主査】  そうしたら、それは早めに調整して、後ろで傍聴している方々もいますので、最後のまとめが非常に重要ですので、是非その辺、よろしくお願いいたします。

【松本参事官補佐】  一応、6月3日までに先生方に照会をかけさせていただいて、急いで日程を決めたいと思います。

【浅島主査】  では、先生方もその辺でよろしくお願いします。
 今日はどうもありがとうございました。波多野さんも今日はありがとうございました。

── 了 ──

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-- 登録:平成26年07月 --