今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討ワーキンググループ(第24回) 議事録

1.日時

平成26年1月31日(金曜日)10時~12時

2.場所

文化庁 特別会議室(旧文部省庁舎5階)

3.出席者

委員

小柳主査,青木委員,秋山委員,天野委員,宇川委員,加藤委員,喜連川委員,小林委員,高田委員,常行委員,中村委員,牧野委員,松岡委員,室井委員,渡邊委員
(HPCI計画推進委員会委員)土居主査

文部科学省

板垣振興企画課長,下間参事官,川口計算科学技術推進室長,遠藤参事官補佐

4.議事録

(1)HPCIコンソーシアムの提言についてヒアリング

 宇川委員より資料1-1及び資料1-2に基づいてHPCIコンソーシアムの最終報告について説明。質疑応答は以下の通り。

【土居計画推進委員会主査】  人材育成の章の最後で,「以上,計算科学という観点で人材育成について述べたが,同時に基盤となる計算機科学,ハードウェア開発やその応用技術を支える人材の育成も同様に重要であることを付記しておきたい」ということで計算機科学についての記述を済まされていますが,「計算機科学,ハードウェア開発やその応用技術を支える人材」も同様に重要と考えるべきであるということをもう少し御検討いただいた方がよかったかなと思います。その辺のポリシーは何かあったのでしょうか。
【宇川委員】  今回については産業界への人材育成ということを中心軸に据えて議論してはどうかということでまとめましたので,こういう形になりました。もちろん,計算科学,計算機科学全体について引き続き議論を進めていくということが重要だと思います。コンソーシアムとしても議論しなければと思います。
【松岡委員】  産業利用の振興(2)「産業利用のあり方」の2番目のパラグラフで,「将来のスーパーコンピューティングにおける産業利用の在り方は,高並列HPC技術の効果を産業界の課題で実証する実証利用を基本とすべきである」と書かれています。本学でも産業利用を非常に促進していますが,最近では実証利用にとどまらず,産学連携における研究開発を行うという例が出ています。ですので,単に実証だと言ってしまうと,そのような可能性を否定してしまうのではないかと感じますが,いかがでしょうか。
【宇川委員】  産業開発に直接つながるような利用まで含めて産業利用を促進するのかどうかということについては,もう一段の議論が必要だと思います。どこまで国費で支援するのかということについての整理も必要でしょうし,研究者側としてどこまで踏み込むのかということについても議論が必要だろうと思います。この報告書では従来の実証利用ということを基本とすべきであろうという書き方をさせていただいています。
【松岡委員】  それですと,企業が全くプライベートな研究開発を国のスーパーコンピュータで行うというようなシナリオを想定されていると思いますが,実際は産学の研究体制を築いて将来の製品開発につなげていくシナリオは既にあるわけです。このように実証と限定してしまうと,狭過ぎるのではないかと思います。今後検討が必要であるというところはあると思いますが,その事実が書かれていないことは気になるところです。
【宇川委員】  成果公開が基本だと思いますけれども,産業界と大学との間の共同研究は一切否定するものではなく,それについては一般利用に応募してもかまわないわけです。少なくとも今の産業利用枠において,産業界が自らの製品開発を行う上での利用というものをどう捉えるかについては,ここの考え方でいかがかということです。
【松岡委員】  それでしたら,そのように限定していただいて,「産学における今後の研究開発に関してはより検討を要する」とか,もう少し限定された形で書かれないと,スーパーコンピュータ産業利用を否定するような文章になってしまうと思います。
【宇川委員】  冒頭にも,「将来のスーパーコンピューティングにおいては,産業利用のあり方を再整理するとともに」と書いてありますので,必ずしも否定はしていないです。
【小柳主査】  今の論点は,書き方の問題で大変重要なポイントだと思います。
【中村委員】  海外との関係について,こちらから発信していくという文言がありますが,学問の分野で海外と共同してアプリケーションを作っていくということに対してどうするのかということが読み取れないのですが。
【宇川委員】  率直に申し上げて議論が不十分です。
【室井委員】  頂点に立つ次期システムについての考え方で,システム構成とアーキテクチャの選定,それからアプリケーションの対応のことについて記述されていますが,その中に「コミュニティの意見は必ずしも一致していない」や「単一システムを選択することはほぼ必然である」とあります。まとめられているようにトップダウン,ボトムアップのような開発を効果的に進めていくためには,この最終報告をまとめられた以降もコミュニティの意見が一致して,共通認識が持てるような活動を継続的に行っていくことが必要ではないかと思います。この報告書はこれとして,今後どのような活動が必要だと思われているのか,お考えがあればお聞かせいただきたい。
【宇川委員】  現在進行中の次期システムについては来年の初夏の頃に仕様等が最終的に固まってくると思いますので,その時点で御説明をお願いして,コミュニティとして確認するという作業が必要だと思います。第二階層についても,どういったシステムを国として資源投下して整備するかということに関しては,コミュニティ側として確認をさせていただきたいと思っております。
【小柳主査】  HPCI一括課題選定の話が1つのセクションになっていますけれども, HPCIコンソーシアムとしては課題選定の在り方について,今後どのような方向性を考えているのでしょうか。
【宇川委員】  4年前から2年間の暫定コンソーシアムにおいてかなりの議論を積み重ねて,登録機関の役割や中身をどこが見ることができるのかについての議論を踏まえて,現在のシステムを提案させていただいたわけです。それで,第1期1年半は,登録機関側も非常に苦労されたと思いますけれども,ようやく動き始めて,第2期の方も進んでいるという状況です。ですから,実情を見ながら直していくべきところは直していくというスタンスは必要だと思いますが,今の時点では,システム全体を新たに見直すという観点は持っていないと申し上げていいかと思います。
【小柳主査】  第二階層についてはどのようにお考えですか。
【宇川委員】  一括選定については,1期はなかなか難しいこともあったと思いますけれど,2期に向けてはよい方向に動いていると思っていますので,これももう何期か様子を見ながら,今の体制がいいのかどうかを検討するのが妥当ではないかと思います。

(2)最終報告(案)について

 川口室長より資料2に基づいて説明。意見交換は以下の通り。

【牧野委員】  36ページの下の方に「既に開発・整備に取り組んでいるフラッグシップシステムの次世代に係る検討を,当該開発・整備と並行して」とありますが,検討だけでは困るという気がしていて,これに関わる要素技術なり,アーキテクチャなり,計算方式といった技術開発を行うというような観点が欲しいと思います。
【中村委員】  37ページでフラッグシステム以外のシステムについてですが,例えばIBMのWatsonの実用として,ビッグデータ絡みで医療に対して人工知能で支援する仕組みが使われていますが,このような使い方は,ここのどこに当たるかと考えたときに,なかなかそぐわない使い方であると思います。要するに計算手法とか計算資源量以外に,オンデマンドでリアルタイムにアクセスして答えを返すような,そういうI/Oの技術が必要な部分ということが,ビッグデータの分野では必要なのではないかと思いますので,それが入るような文章を加えていただけるといいかなと思います。利用の仕方として,バッチジョブでない使い方があり,それは産業利用でも非常に使われ,期待されると思います。
【松岡委員】  欠けている視点というのが我が国の産業競争力としての輸出についてです。スーパーコンピュータに関しては,富士通がFX10を輸出していますが,全体的な産業として見ますと,世界的シェアは大分下がっています。台数ベースで,1996年に筑波大のCP-PACSが世界一だったとき,例えばTop500で日本製のものは13.4%だったものが, 2008,2009年くらいだと1.2%に低下しました。「京」が出てきて多少持ち直して,今は確か2.8%ぐらいになっています。ですので,全体のシステムもそうですが,要素技術等も海外に販売していくといった記述があってもよいのではないかと思います。極端な話,例えば次世代で開発されるプロセッサがアメリカのスーパーコンピュータに入っても別におかしくはないわけです。ですので,要素技術及び全体のシステム,フラッグシップやリーディングシステムを我が国の技術輸出につなげていくという観点があると,よりインパクトがあるのではないかと思います。
【小柳主査】  例えば48ページの国際協力の節で,システムを作るということだけを書いてありますけど,これをもう少し広げて技術を輸出していくということを考えてもいいかと思います。
【松岡委員】  ハードウェアについての国際協力のニーズは明らかでないと書いてありますが,例えば要素技術の輸出になるとそれは出てくるので,要素技術の輸出を通じて技術協力ということは考えられると思います。我が国は技術輸出立国なので,技術輸出を考えていかないと産業としてサステナビリティがないのではないかと思います。
【小柳主査】  要素技術の輸出は,ボードの冷却設備などについて,既にあります。
【松岡委員】  そうですが,CPUやメモリを輸出してもいいわけです。
【喜連川委員】  現行の「京」の開発において,要素部品は海外に輸出してもかまわないということを明文化されておられるのですか。
【松岡委員】  全体のシステムに関しては輸出規制にかかりますが,例えば,FX10を輸出することに関しては特に問題ないです。
【小柳主査】  「京」について言うと,「京」そのものはどこにも売られていません。それの商用版というのを別に作って,FX10という形でいろいろ売り出し,輸出もしています。
【喜連川委員】  国家基幹技術の中で開発されたものをどこまで出すかということに関して,産業萎縮効果が出ないように,最初からそこを明文化しておくことが必要だと思います。それから,輸出という観点で見ますと,今回の場合,経済産業省が随分サポートしているわけです。ですから,文部科学省の枠組みの中で物を売るということについて,他省庁との連携を従前から計画しておくことが重要ではないかなと感じます。
【宇川委員】  輸出戦略まで立てろということを言うつもりはなかったのですが,この国際協力のところは,読み返してみると気になります。特にハードウェアに関してのニーズは明らかでないとはっきり書いていますが,今後の国際協力のやり方は様々な形があるはずで,そこにハードウェアを除外する必要はないし,相手国によっては,むしろ積極的にやった方がいいかもしれない。だから,もう少し文章を書き直していただくことが必要だと思います。
【加藤委員】  37ページの最後のパラグラフですが,結論的に何が言いたいのかがよく分からないです。このままでは行かないので,非常に難しいけれども,何かブレークスルーを求めるということなのか,それとも,このままでは行かない可能性は高いけれども,もしかしたら行くかもしれないから,その可能性を追求するのか,一体どちらの立場に立っているのでしょうか。2020年だけではなくて,その先どうするかということを考えると,そこに対して明確なスタンスがあった方がいいと思います。
【小柳主査】  スタンスは,その先も追求するということが一番大きなスタンスで,ただ,実際の方向性についてはまだいろいろ選択肢があるということだと思います。
【加藤委員】  これは,2020年は大丈夫だと言っているのでしょうか。
【小柳主査】  2020年代というのはエクサの先です。これは,2020年のエクサで打ち止めです,というスタンスはやめた方がいいのではないかという御意見を反映したものです。
【加藤委員】  それでしたら,見えている限界をブレークするようなことを今からやるべきだといったように,積極的な書き方もあるかと思います。
【宇川委員】  ここの文章はすごく気になっていて,今までは理論性能ばかり追求していて,実効性能は追求していなかったと無理やり読む人もいるかもしれないと思います。ここの文章は,積極的に必要な技術開発をするというように,ポジティブな書き方をしないと,意図されたことが伝わらないと思います。
【加藤委員】  47ページのソフトウェアの利用促進についての記述ですが,少し違和感があるのではないかと思います。というのは,ソフトウェアの利用は必ずしも産業用のソフトウェアだけではないからです。後ろの方で国プロアプリケーションの普及は戦略機関やコミュニティでやるべきだということが書かれていますが,ここの部分では最初に「産業界で多く利用されている商用ソフトウェアは」とあると,各戦略分野で開発されているソフトウェアはどうやってコミュニティやそれぞれの分野に利用促進していくのかという観点がなくなってしまうと思います。ですので,少なくとも,ここは順序を反対にした方がいいと思います。つまり,一般的な話を先に書いて,分野としてこれだけのコストやエフォートをかけて開発してきたのだから,それを利用すべきだと書き,特段,産業利用に関してはこういう特異性があるからという書き方にした方が分かりやすいと思います。
【渡邊委員】  51ページに「このため,共用法に基づく登録機関や」とありますけども,共用法のために理化学研究所,RIST,戦略機関も苦しんでいるというところがあるので,その後にでも共用法の見直しも考えるべきであるという記述を入れていただけないでしょうか。
【喜連川委員】  共用法には,どのような不具合があるのでしょうか。
【渡邊委員】  運用責任は理化学研究所とかRISTが持っているのですが,運用権限は持っていないんです。そのために何かあって,こうしたいといったときに全部上がっていって文部科学省まで行くので,時間がかかってしまうといったことです。
【土居計画推進委員会主査】  共用法は,もともとSPring-8用にあったものをスーパーコンピュータに関しても適用したものですが, SPring-8側も不便になってしまったということはあります。それぞれ政治的な配慮,その他等々から,何らかの形でやらざるを得ないということで出来上がったのですけれども,走ってから見直そうという雰囲気はありました。ですから,見直しをするというようなことを入れておいていただくのも一考ではないかと思います。
【小柳主査】  単なる運用上の工夫で済む問題と共用法の本質に関わる問題と,いろんなレベルのものがあって,それぞれ違った対応が必要ですが,いろいろ無理があることは確かだと思います。
【宇川委員】  コンソーシアムの方としても,そこは認識していて,責任体制の明確化と申し上げました。
【小柳主査】  権限は,全部にあって,全部にないようなところがあるので,運用上,それから法制上もいろいろ改良の余地があることは確かだと思います。
【高田委員】  利用の在り方の,特に産業界の利用の在り方というところですが,産業界の場合は, HPCIで利用させていただいて,実証研究を経て,スキルアップした後は,商用のデータセンターなどのリソースを使っていくことになるのだと思います。新しい次のマシンが出てくればまた利用させていただくことになるとは思いますが,産業界のユーザの多くは,アカデミアの先生方と違って,一旦そのマシンを卒業させていただくことになると思います。ですので,商用のデータセンターなどのリソースの状況も踏まえて,HPCIの中での利用を考えていかななければいけないといったことが書いてある方がよいと思います。また,たくさん利用すればいいというところだけではなくて,その後のプロダクトランとしての利用のシナリオのイメージも書いておいていただいた方がいいと思います。
【加藤委員】  人材育成に関して,書いてあることは分かるのですが,この次のステップが何かということが余り示されていないと思います。ほかの章の書き方は,こういう課題があるから,それをこのような方向で解決するというように方向性まで示しているのですが,この章だけはそうなっていないので,例えば計算科学研究機構が何をやるとか,情報基盤センターがどういうミッションを持つべきだといった方向性を書き込むとよいと思います。
【松岡委員】  教育というのは大学のミッションですけれども,大学がそのミッションを遂行するための措置というものがないと難しい。例えば先ほど話題になった産業利用に関しては,HPCIや本学等,産業利用を促進していく施策を文部科学省はとられていますが,HPCに関する教育を推進していく教育体制に関して何らかの施策がとられているかというと,私が知る限りない。具体的な例を挙げれば,基盤センター等でHPC教育の教員を雇うということに関して何ら施策はないわけです。ですので,次の施策につなげていくというような観点がないと,大学はただで人材育成しろというようなことになってしまうと思います。産業育成ももちろん重要ですが,人材育成にも同様の力を入れていただけるような報告書にしていただきたい。
【中村委員】  大阪大学で理事補佐をやっていますが,文部科学省の方から大学改革をと,強い勢いで求められています。それの基本となることとして,社会が求める人材と大学がこれまで育ててきた人材にミスマッチがあるということが言われています。ですから,もう少し踏み込んで方向付けをしていただきたい。
【青木委員】  教育に関して,大きな制度を作るということは大学の中では非常に大変なので,この中でいわれているインターンシップについてある程度積極的に記述していただきたい。大学側としては,なかなか窓口がないので,そこを積極的に進めていいただけるとよいのではないかと感じていますし,こういう人材を教育してほしいというニーズを伝えていただけるといいのではないかと思います。
【牧野委員】  戦略プログラム等では非常に優秀な若手が育ってきていますが,その人たちが次の世代を教育する場がないことが問題だと思います。これは大きな問題で,先ほどの大学改革のような話とつなげるのであれば,そういう人たちが次世代を教育できるようなものを目指していかなければいけないと思います。
【秋山委員】  インターンシップのところに戻りますけれども,このメッセージが大学に何も伝わらないというような意味でコメントすると,まず「長期間にわたるインターンシップ」の長期間というのはどのぐらいを指すのかということが曖昧です。また「学生」とありますが,修士課程の学生なのか,それとも博士課程の学生なのかも分からないです。産業界を目指すというと,多くの場合修士課程の学生だと思いますが,かなり授業を詰め込んでいますので,例えば半年を超えてインターンシップに出すというのは不可能です。これらの点が,これでは読み取れないという点が大学人から見るとあります。
【松岡委員】  確かに,修士課程の学生をインターンに出すというのは,例えば夏休みの期間に2か月ということはよくありますが,長期は難しい。博士課程の学生の場合も例えば6か月,最長1年程度は送り出したことがありますけれども,それは相互にメリットがないと難しい。また,送り出す先というのは,私の場合,ほとんどが,日本の機関ではなくて,海外の研究所や大学です。どうして我々が国内に送っていないかというと,インターンを受け入れることによる相互のメリットが余り明確ではないからです。例えば日本原子力研究開発機構や宇宙航空研究開発機構に送り込むことは問題なくできると思いますけれども,そういう体制をどうやって作っていくのかということが重要になると思います。それは企業だけではなくて,国立機関,例えば気象庁に対してインターンに行くとか,そういうことを含めて検討すべきではないかと思います。
【宇川委員】  45ページのアプリケーション開発のところですが,最初が共通基盤ということでライブラリ,ミドルウェアの記述があり,その次のページに2番目として,いきなり各研究分野におけるソフトウェア,その次が利用促進という形で,個別論的なことが書かれている印象です。最初に包括的な議論を整理していただいた方がよいのではないかと思います。コンソーシアムの方では,まず全体としてアプリケーション開発がなぜ必要なのかということから始めて,具体的に開発の在り方としてどういうことが必要かとブレークダウンして,それぞれに対して具体的なことを書かせてもらって,最後は次期システムにおけるアプリケーション開発の在り方について具体的なことまで書き込んであります。どこまで,この委員会として同意されるかということは別ですけども,このアプリケーション開発についてはもう少し充実させる必要があるのではないでしょうか。特にシステムとアプリケーションの同時開発,そこは非常に大事なことではないかと思います。
【小柳主査】  46ページに戦略分野の話が出ていますが,これまで戦略分野のような研究組織が非常に有効でしたので,ポスト「京」についても,似たような枠組みが必要だということを書いてもいいように思います。
【喜連川委員】  スーパーコンピュータの世界が今後大きく発展していくためには,それを結合しているネットワークも並行して成長していくということに言及していただきたい。米国に比べると,日本はネットワークが弱く,この状況では海外から研究に来る人がいなくなると危惧します。日米回線もたかが10ギガでしか動いていません。こういう状況を看過していますと,国益を損なうのではないかと思います。
【松岡委員】  ネットワークのインフラの担い手としての情報学研究所というお立場があるにもかかわらず,ここに情報学研究所の記述がないです。HPCIというのは情報学研究所のインフラに依存していますが,そのネットワークがきちんとしていないとHPCIというインフラは成り立たないです。今後,スーパーコンピュータの速度が速くなると,ネットワークもそれに応じて高速化しないといけないと思います。
【下間参事官】  30ページにあるグランドデザインの記述の中に「このためにも,スーパーコンピュータの性能に応じた高速ネットワークの整備を今後も着実に進めていくことが必要である」とありますが,情報学研究所のことについてもどこかで触れることを含めて,ネットワークの記述を一層充実させたいと思います。
【喜連川委員】  これだけではあっさりしていると思いますので,少なくともワンセクション,ネットワークについて書いていただくことが不可欠です。
【松岡委員】  SINETというキーワードがそもそもないといけないと思います。
【渡邊委員】  データ転送で苦しんでいる者の立場で言いますと,データをネットワークで送れるのは数十ギガまでですが,シミュレーションの結果のデータというのはテラのオーダーにもなります。ですので,並列転送に関する国際規格を作っていただきたい。
【喜連川委員】  現在,情報学研究所が提供しているものは40ギガですけれども,28年度には基幹網は多分数百ギガから1テラ弱まで上がると思います。そうしますと,サーバ側の引き込み方が問題になってくると思いますが,先生の御希望にかなり近くなれると思っています。是非スーパーコンピュータユーザからも御支援いただければと思います。
【松岡委員】  並列転送の規格は既に仕様化されたものがありまして,アメリカやヨーロッパでは実際に使われています。例えばDOEのNL上で100ギガも既に実証され, CERNのLHC関係でもそれが使われていて,テラバイト単位の転送は日常的に行われています。日本でもHPCIができて,Gfarmでは並列転送というものが使えるようになっています。
【秋山委員】  報告書にネットワークの節がなかったのは,この予算でネットワークをやるつもりがなかったからだと思います。技術的には大変重要なことは確かです。ほかの施策が動いているのであれば,施策の名前を書き込んでいただいて,この中でやるのか,外でやるかをはっきりさせた方がいいのではないかと思います。
【小柳主査】  報告書の記載は,人材育成など,スーパーコンピュータ開発予算のことだけに限っているわけではないですが,いずれにしても,言及することは重要なことだと思います。
 まだ発言いただいていない御意見,あるいはもう一度読んで気がつかれた点などは御連絡いただきたいと思います。それらは適宜報告書に反映させていきたいと思います。

(3)その他

 遠藤参事官補佐より,今後の開催予定を報告。

 小柳主査より閉会発言

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室

電話番号:03-6734-4275
メールアドレス:hpci-con@mext.go.jp

(研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室)