今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討ワーキンググループ(第19回) 議事録

1.日時

平成25年7月22日(月曜日)17時~19時

2.場所

文部科学省 3階 3F2特別会議室

3.出席者

委員

小柳主査,秋山委員,天野委員,石川委員,宇川委員,加藤委員,小林委員,
関口(智)委員,善甫委員,常行委員,富田委員,中島委員,平尾委員,
牧野委員,松尾委員,松岡委員,村上委員,室井委員,渡邉委員
(HPCI計画推進委員会委員)土居主査,
(説明者)
産応協/東レ株式会社基礎研究センター先端材料研究所 茂本主任研究員,
産応協/日本自動車工業会 梅谷主幹,
東洋紡株式会社 阿部氏,
株式会社竹中工務店技術研究所 重野主任研究員

文部科学省

菱山審議官,下間参事官,林計算科学技術推進室長,遠藤参事官補佐

4.議事録

(1)産業利用アプリケーション検討サブワーキンググループの設置について

 林計算科学技術推進室長より資料1に基づいて説明。産業利用アプリケーション検討サブワーキンググループの設置が了承された。 

(2)利用の在り方についてヒアリング

 茂本主任研究員より資料2-1に基づいて説明。質疑応答は以下のとおり。

【加藤委員】  何をやるにもギブ・アンド・テイクは大事だと思うが,国に要望を出すときのギブは何になるのか。産業利用が進むこと自体がギブで,それによって税収が上がるとか,だから特に自分たちは何も出さなくていいのか,その辺の考えをお聞きしたい。
【茂本主任研究員】  お答えしにくい質問だが,第一義的には加藤先生がおっしゃったとおりで,産業競争力が強化されて日本の税収が上がる,あるいは外貨が獲得できるといったことが大きな視点で見た場合の効果になると思う。今の議論はそこまで広い話ではなく,産学連携の現場で産側が何をやるかという趣旨の指摘ではないかと思う。
【加藤委員】  私も産にいたので両方とも分かるが,これをやってくださいという提案だけだとなかなかうまく行かない。自分たちはこういうことをやって,学と国にはこういうことをやってもらいたいというような全体的な構図があって,だからこれをみんなでやろうというようになるのがいいと感じた。
【梅谷主幹】  「京」の枠組みでは,成果は公開するということでやっているので,基本的には先端技術の開発になると思う。
【加藤委員】  それで結構だと思うので,それも前面に出し,「京」を使ってこういう成果が出て,それが産業全体として普及されるといった面も強調した方がいいと思う。
【秋山委員】  21ページの図の中間層マシンは,自社若しくは業界団体の方で用意されるという理解でいいと思うが,第2階層のリーディングマシンは国が用意するのを待つのか,それとも,産業界からも何かが出てきて第2階層リーディングマシンができるのか,そこが一番興味深い議論のポイントだと思うがどうか。
【茂本主任研究員】  現行のHPCIの枠組みでは,大学の情報処理センターのリソースが第2階層に相当すると思う。産業利用枠に申請するユーザから見ると,東工大のTSUBAMEのように個々にやっているサイトはあると思うが,HPCIの枠組みでは「京」しか産業利用枠がない。その意味で,産業界ユーザから見た場合に第2階層が抜け落ちているように見えるので,第2階層も含めて産業界が利用できる仕組みを整備していただきたいという趣旨である。
【中島委員】  HPCIに関しては,今年中にいろいろな大学で産業利用枠を出すことになっているので,26年度の後半からは大学でもできるようになると思う。
 第2階層でも中間層でも,結局アカデミアが用意するスパコンの形態はどうしてもアカデミアが使いやすいものになってしまう。先ほどの30%の空きがもったいないから使わせろというのも分かるが,その30%を埋めてしまうとにっちもさっちも行かなくなってしまう。大学のスパコンは大きいようでびっくりするようなお金がかかっているわけではない。FOCUSのマシンは少し小さいが,産業界用のスパコンセンターのモデル的なものを経産省かどこかの主導で立ち上げ,産業界で欲しいものがどのようなものなのかを見せることが必要ではないか。例えば商用ソフトの品ぞろえにせよ,セキュリティの問題にせよ,一度産業界用のスパコンセンターをデザインしてみるのも一つのアイデアではないか。アカデミアはまず自分の都合を優先した運用になるので,産業界で必要な商用ソフトを入れるとどのようなシステム構成になるのか,あるいはランニングコストや,オペレーションのコストがどのくらいかかるかを知るためにも,産業界主導でそのようなものを一度考えてはどうかと思う。
【梅谷主幹】  今の質問はアカデミアとインダストリのスーパーコンピュータを分けるべきだということか。
【中島委員】  それは分からないが,我々はアカデミアスタンダードでスパコンを提供せざるを得ない。
【梅谷主幹】  これは一つの議論だと思うが,例えば材料開発の分子シミュレーションであれば,アカデミアでもインダストリでもやっている方がいる。いわゆるコンピュータの特徴で見れば,分子シミュレーションに特徴的なコンピュータがあるので,それを産学共同で使うのは効率的な側面もあると思う。
【中島委員】  あるかもしれないし,それは分からない。例えば京都大学が考えるネクストフェイズのスパコンは,どうしてもメインユーザがアカデミアなので,アカデミアが使いやすいシステムになってしまう。セキュリティや商用ソフトの問題にしても,産業界にとってどのようなものが理想のシステムであって,それを運用するのにどのくらいのコストがかかるかというのは我々にはわからない。このようなシステムを作ってほしい,あるいはこのような観点で運用してほしいというモデルが現実のものとしてあるのはFOCUSしかないが,FOCUSは小さいから何とかなるような話にもなってしまうと思う。
【梅谷主幹】  おっしゃるとおりで,産業界でやる方が効率的な部分は,産業界でやるのが当然と思う。どこまでを国プロでやって,どこからを産業界の努力でやるのかという枠組みを決めていく必要があると思う。
【加藤委員】  市販ソフトの充実に関しては,ワーキングを作ってそこで現状も調査しながら,特にベンダの動向も聞きながらやっていこうと思っている。ただ,一部のベンダを除いて,そもそもベンダ自体が必ずしもHPCに対して積極的ではないという状況もある。その中で,産業界として具体的に誰がお金を出すのか,あるいはライセンスをどうするのか,権利をどうするのかなどの考えがあれば是非お聞きしたい。
【梅谷主幹】  今回,自工会はLS-DYNAやADVCなどのソフトを移植して高速化しているが,そのようなところに自工会や業界団体の力を借りるということはあると思う。ただ,今は全部ボランティアでやっているので,そこに何らかのインセンティブがあって,民間の得意なところは民間の活力で乗せていくというようなことは一つのアイデアとしてあると思う。
【松岡委員】  東工大でもこれまで産業応用をやっていて,累計100社くらいが利用しているが,バジェットシートを見ると約10億プラスのオペレーションのコストに対して,約1億円のコストを国と産業界から頂いて,そのリソースを産業界に振っている。その中で,なぜ産業界が使うのかを考えると,やはりそれはレバレッジがあるからだと認識している。つまり,産業界が独自で用意するのに比べ,大学の大型スーパーコンピュータセンターと共同でやった方がレバレッジがあっていいということだと思う。例えば,各基盤センターの10%くらいの部分を国か産業界からお金を出してもらい,そこを優先的に産業界で使うようにして,それに関して産業界のワーキングモデルを一緒に作っていくのが健全ではないかと思う。
 アカデミアに何でも用意してくれというのは難しいが,我々もどういうものを作るか,どういうコストモデルでやっていくかを前向きに検討していく必要がある。そこで,例えば10%,20%を産業界に供出するのは,逆に産業界がそれだけのお金を出しているのであれば何の文句はなく,かつレバレッジがあるというように認識している。産業界も人が少ないが,我々には経験があって,そういうところの我々の経験値も評価していただいているというように感じている。
【善甫委員】  産業界は分野がかなり違うので一言では言えないと思うが,松岡先生がお話ししてくださったレバレッジについても確かで,便利なサービスを提供しているところに行くのは当然である。例えば大学の基盤センターを見ても,同じようなマシンで同じような運営をしているわけではなく,得意としている分野が違うマシンがいろいろあると思う。産業界が本当に使おうと思ったら,サービスが提供されているところを探して使うのが現状であり,それを茂本さんが第2階層という形で話されたのだと思う。特に23ページにあるような利用窓口は,まさにそのようなところをかわりに探してほしい,若しくは探すのを手伝ってほしいということを相談できる窓口を準備しなければいけないということであり,このようなところがあれば,利用が進むということだと思う。現状は,このタイプだったらここを使えばいい,というのを相談するところがない。まだ十分ではないという説明であったが,FOCUSはそのような機能を一部は満たしていると思う。そこをどう充実していくかを議論していくことが必要だと思う。
【平尾委員】  FOCUSの活動は産業利用という意味では数少ない成功例の一つだと思う。大学のスパコンセンターでも産業界の利用を促進するようにいろいろやってきているが,なかなか進んでいない。FOCUSは産業界の方と同じ目線で話をしていて,計算機のパワーは小さいが,このような成功例をもっと伸ばすように考えることも重要ではないかと思う。
【関口(智)委員】  産業利用ということで,いわゆる非競争領域の話と競争領域の話がごっちゃになって議論されているように思う。非競争領域に関しては,成果を公開することを前提にすれば,ある程度国費等を入れることはそれなりに理解されるが,一方で,競争領域,特に市販ソフトを使ってパラメーターサーベイをやるような話であれば,いろいろなコストがかかる部分をいかに効率化していくかが,いわゆるHPCIコミュニティをどう活性化していくか,すなわちHPCIのエコシステムをどう作っていくかが議論になってくると思う。先ほど善甫先生はすばらしいとおっしゃったが,確かにここは一番価値を生むところで,みんなでお金を出してもここを育てていくということが全体を回していく鍵になるのではないか。産業界から見たときのサステナブルなHPC周りのエコシステムはどんなイメージをお持ちなのかを教えていただければと思う。
【茂本主任研究員】  産業利用窓口についてだけ絞って申しますと,例えばFOCUSは兵庫県神戸市の出資団体になるが,そこに例えば産業界が出資して強くするとか,あるいは人を出すとか,そういったことも考えていくべきだろうと思っている。
【小林委員】  我々も数は多くはないが,産業利用の成功例としてMRJや垂直磁気がある。結局,そのような取組というのは大学の開発者と計算機屋,エンジニアリング企業の担当者が一体になって取り組んでうまく行ったというのが実情で,人的なリソースが足りないため,アカデミア用のスパコンセンターとしては非常に支援が難しいという面もある。
【加藤委員】  梅谷さんと松岡さんの話を聞いていて,まずモデルを明確に定義し,それをみんなで合意して進めるというスタンスが重要だと思った。特に市販ソフトに限って言えば,チューニングするフェイズ,実証するフェイズ,プロダクションランをするフェイズとそれぞれパートナーが違うと思うが,誰がどのようなインセンティブで,あるいはギブ・アンド・テイクで,それぞれのフェイズで誰が何をやるかの案を梅谷さんの方で考えていただければと思う。それをもとに今度の産業利用サブワーキングでプレゼンしていただき,議論していきたい。

 阿部氏より資料2-2に基づいて説明,また,重野主任研究員より資料2-3に基づいて説明。質疑応答は以下のとおり。

【小柳主査】  前進・後退代入で大部分の時間を使っているということだが,あれは同じLU分解で何回も解くからなのか。あの比率は信じ難い感じがする。
【重野主任研究員】  先ほどの例は前進・後退代入が1万5,000回くらいになる。1回当たりのLU分解は0.5秒くらいだが,回数が多くなると比重的にあのようになってしまう。
【小柳主査】  前進・後退代入にチューニングの余地があるように見えるが,ここはそれを議論する場ではないので。
【中島委員】  竹中さんのお話では,RISTといろいろやりとりしているとのことだったが,東洋紡さんの方は問題がでたときにどの程度RISTとやりとりをしているのか。ユーザなので幾らでも文句を言っていいと思うが。
【阿部氏】  特に苦情は申し上げたことはない。
【中島委員】  ここで言っても,実際にやっているところに投げかけないと,解決しない話は多いと思う。成果報告のときにも,改善してほしいといった話は出てくると思うが,デイリーで言っていかないとオペレートしている側も進歩しないと思う。
【阿部氏】  北浦先生や,富士通の方とは頻繁に情報交換をしていた。大きなジョブほど流れづらく,当時は1週間,1か月待ちはざらだと言われていたので,二日,三日ならまだいい方だと思っていた。
【加藤委員】  質問ではなくコメントだが,直接法は大規模計算ではないという話があったが,決してそんなことはなく,我々も直接法の重要性は認識している。収束しにくい問題は反復法ではできないので,ADVCなどは部分的に直接法に切りかえている。それからもう一つは,デンスのマトリクスを収束性のある反復法で解くか,あるいは直接法で並列度を確保するかは永遠の数学的な課題みたいなもので,特に今後エクサに向けては,非常に重要なライブラリになると思っている。AICSを中心に,クリティカルになるところをライブラリ化するということは既に確認されているので,その辺は大丈夫だと思う。
【善甫委員】  この二つの発表の中で,産業利用を進める上で共通していることがあると思う。一つは制度的なもので,制度を直せば済むこともあるはずだが,やはり現状は少し固いのではないか。もう一つはライブラリで,この二つが大きな共通している問題だと思う。そういったところに注目して,産業利用を図っていくことを考えればいいのではないか。

 松尾委員より資料2-4に基づいて説明。質疑応答は以下のとおり。

【中島委員】  いきなり「京」を使うのはむちゃだと思うが,各基盤センターのスパコンは使用料を払えば平等な条件で誰でも使える。例えば「京」は東大のスパコンの10倍速いが,東大のスパコンは切り売りしているし,京大のスパコンも切り売りしている。そこで年間50万でも100万円でも払えば,PCの何十倍といった性能が簡単に手に入るので,それでやるのがいいと思う。
 先ほど「京」のユーザの代表者所属がHPCIの資源提供機関にほぼ限られているという話があったが,「京」以外のHPCIでは全然話は変わって,3割,4割は,いわゆる帝大,筑波,東工大以外のところから来ているし,我々がやっているところも同じである。京大のマシンは京大の人しか使えないとか,京大の人だけ安く使えるといったことはないので,是非近くのマシンを使っていただきたい。計算コードの機種依存性についても,x86クラスタであればPC間の連続性を考えた形で保証されているので,そのようなマシンを使っていいただくのは一般論としてよいと思う。300ノードや500ノードで鍛えて,それから1,000ノードや1万ノードにスケールすることになると思う。
【加藤委員】  中島さんが言うのもごもっともだが,一般の人から見ると,確かにそういう意見があるのは本当である。ここにいる人たちは,多分特殊な人たちで,我々は特殊だから特殊なことをやるというスタンスと,もっと一般にも広げるというスタンスがあると思う。僕は両方のスタンスに賛成だが,普通の人が「京」を使いたいと思うのは,「京」という言葉がシンボリックであり,自分も使ってみたいというモチベーションがあるからであり,それがちゃんと現実につながるようなことを考える責任があると思う。
 言い方は失礼だが,例えば「京」に幼稚園プールみたいなものを作って誰でもある程度のリソースまでは使えるようにし,そのかわり,一定のリソースまでしか与えないという方法も個人的な意見としてはあると思う。
【石川委員】  今日の話や,産業界の話を聞いていて気になったのは,我々はこれだけのリソースを提供しているということを発信していっているつもりではあるが,なかなか浸透していないということを感じる。例えば企業の方の発表を聞いても,現場の人の話と随分違うところもある。ウェブもインターネットも充実している情報化時代にも関わらず,なかなか情報が伝わらないということを改めて感じた。我々の発信する情報をうまく流通させるような仕組みを作っていかなければいけないと思う。
【秋山委員】  加藤先生,石川先生とほとんど重なるが,やはり我々が弱かったところをそのままずばり指摘されたような気がする。9大学のシステムもHPCIの中にあり,これも「京」にシンボリックに表されるものの一部みたいなことで宣伝していかないと,大学全般や産業利用の押し上げにはつながらないのだと思う。「京」に初心者向けのプールを作るのは,私も昔同じようなことを申し上げたことがあるが,それは多分間違っていて,基本的には各大学のマシンに誘う方がいいと思う。ただ,アーキテクチャが違う「京」に行くときに,こんなに手間がかかるのかと言われてしまうといけないし,かといって,日本全国同じアーキテクチャにもできないので,第2階層への導き方はかなり考えないと,難しい宿題を突きつけられたような気がする。
【平尾委員】  松尾先生のプレゼンテーションにはほとんどアグリーしないが,1か所アグリーするところがあって,「京」の利用課題選定の基準の,ソフトウェアの効率性や計算処理,データ収集等々の部分について,私はここの基準はほかと同じウェイトではないと思っている。科学的な卓越性が一番重要であり,こういう問題を解きたい,そのために「京」を使いたい,だけどプログラムはまだこの程度にしかなっていないとうことであっても,本当にそのサイエンスがすばらしいなら採択すべきだと思う。ただし,それによって課題数を増やすことになってはいけないと思っている。例えばブルーウォーターズの課題数は全部で27であるが,それでもすばらしい計算をしている。例えば10億個のMD計算もやっているが,「京」でそれができるかというと,それぞれの課題に時間がアロケートされていないので多分できない。本当の成果を出すのであれば,そのようなことも考えないといけないわけで,「京」の課題を増やすのは余り賛成できないが,課題選定の基準の3番目については見直した方がいいと思っている。
【松岡委員】  我々,基盤センターはまさにリーディングセンターでトップエンドの計算もやるが,広い裾野の部分も担っているのでそれを請け負うための活動もしている。ただ,実際にセンターを運営していると,裾野というのはそう簡単ではないことも分かってくる。トップエンドは,もちろんフラッグシップマシンとのある意味でのコンペティションになるが,ボトムエンドと言ったら失礼かもしれないが,そこでも研究室のマシンとのコンペティションがある。それをどうやって我々のところに持ってくるか。研究室のところにずっといると,「京」のようなマシンにつながらないのが問題であり,人材育成や全体のレベルアップのためには,ちゃんとパスを示したいと思っている。
 そのときに,例えば企業からどうやってTSUBAMEを使ってもらうかを考えると,TSUBAMEのすぐ下のトライアル環境が必要だという認識が最近非常に強い。TSUBAMEですら,デバッグをやるのにTSUBAMEのリソースを使うとほかのユーザの迷惑になる。我々が今考えているのは,TSUBAMEアットホームのような感じで,TSUBAMEのソフトウェア環境を研究室に仮想的に展開し,デバッグはそこでやれるように考えている。
 ユーザの利用でどこにハードルがあるかというと,アカウントの取得やお金の問題もあるが,やはりソフトウェアの利用環境が最大の要因だというのが,今日の議論の結論だと思う。裾野を広げるためにソフトウェア環境のニーズがどういうところにあって,それをどうすればスパコンセンターの環境に接続できるかということをやることが,裾野の広い産業界を含めて必要だと思うので,そのようなところでのコラボレーションは重要だと認識している。
【富田委員】  潜在的利用者の実態については,「スパコンを用いた大規模計算」という文化の伝承が学生へ途絶えておりというところや,大規模なチャンピオン的計算をしないというのは,僕自身が学生時代そうであり,パソコンで小さな計算をやっても割とサイエンスになってしまうことがある。そこは,大規模な計算に行くときのモチベーションの問題,つまり,恐らく教育になると思う。学生がパソコンでやっている計算で,もし大きな計算ができたら,一体どんなことになるだろうというような想像力が原動力になって,大きなのを動かしてみようというような思考になるような気がする。僕自身の経験ではあるが,大学ではそのように誘導してあげることも重要ではないかと思う。
【小柳主査】  最終報告の利用の在り方の部分は大変重要な問題ですので,産業利用,アカデミアでの利用について,いろいろな形で議論を深めて取り入れるように事務局でまとめていただきたいと思う。 

(3)システム検討サブワーキンググループの報告

 林計算科学技術推進室長より資料3に基づいて説明。小柳主査から引き続きサブワーキンググループで検討を続けていく予定である旨報告があった。

 なお,林計算科学技術推進室長の説明に先立ち,本日のプレゼンテーションについて以下の発言があった。 

【林計算科学技術推進室長】  本日のプレゼンテーションでは,「京」及びHPCIの運営について様々な要望,提言があったので文部科学省から一言コメントさせていただきたい。本日は報告書の議論のためにプレゼンテーションを頂いたわけだが,要望,提言等については報告書の完成を待つわけではなく,できるものは早めに対応していきたいと思っている。また,「京」については大学の基盤センターと位置付けが異なり,共用法に基づいて,アカデミアだけではなく産業界も含めた我が国の研究者,技術者に幅広く使ってもらうための施設になる。最近では産業界からの「京」の利用ニーズも高いということが分かってきたので,産業界も含めて,多くの研究者,技術者が使いやすい運営に改善していきたいと思う。 

(4)その他

 林計算科学技術推進室長より資料4に基づいて今後の予定を説明。遠藤参事官補佐より,次回,及び次々回の会議室が3F1特別会議室となる旨を報告。

 小柳主査より閉会発言

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室

電話番号:03-6734-4275
メールアドレス:hpci-con@mext.go.jp

(研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室)