参考資料3「今後のHPCI計画の推進に向けた提言」

参考資料3


今後のHPCI計画の推進に向けた提言


平成29年8月7日
HPCI計画推進委員会


フラッグシップシステムとしてのスーパーコンピュータ「京」を中核とするHPCI(High Performance Computing Infrastructure)は、平成24年の共用開始から5か年にわたり、関係機関による着実な運営、公正な課題選定及びきめ細やかな利用支援の仕組みに支えられ、多くの成果を創出し、我が国全体の計算科学・計算機科学の発展に貢献してきた。
 
近年のICTの進歩を受け、第5期科学技術基本計画において、国は、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させた「Society 5.0」を世界に先駆けて実現するとともに、その実現を支えるビッグデータ解析や人工知能等の基盤技術の強化を図ることとされている。
そのような中、HPCを取り巻く環境については、科学の方法に関して、理論科学、実験科学、計算(シミュレーション)科学に続く第4のパラダイムとしてデータ科学が浸透しつつある。
さらに、HPCの技術的側面において、GPGPU(General-Purpose Computing on Graphics Processing Units)や超メニーコア型等の新たなアーキテクチャのハードウェアが出現し、理論演算性能において「京」を超えるシステムがHPCIに導入される等の変化が生じつつある。
 
これらの変化に対応し、ポスト「京」の運用開始後も視野に入れつつ、今後のHPCI計画を推進していくにあたり、国は、これまでの活動に加えて、計算科学とデータ科学の融合領域の研究や、新たなアーキテクチャのハードウェアに対応したソフトウェアの開発を推進し、HPCの新たな可能性を開拓することが必要である。


これまで、関係機関及び各大学の情報基盤センター等による多様な計算環境の整備、利用支援及び広報活動を通じてユーザの拡大が図られてきたが、今後、広帯域ネットワーク等を含めた総合的な計算環境の整備を図りつつ、HPCユーザの層をより厚くし、更なる成果の創出を支えていくことが重要である。
このため、国及び関係機関は、ユーザの裾野拡大の具体的な方策を検討するとともに、関係機関が構築してきた課題選定の仕組みを踏襲しつつ、科学的に卓越した又は社会的に意義が高い課題に加え、今後は、さらなる先駆的成果の創出を目指す挑戦的な課題についても選定することを検討するべきである。


さらに、今後検討すべき事項として次の3項目を提言するものである。

  1. シミュレーションにより得られた成果を社会へ発信していくため、関係機関は、ユーザとの連携協力を継続するとともに、成果の二次利用を促進すること
  2. 産業界のユーザによる一層の成果創出を促すため、関係機関は、引き続き利用支援を行うほか、アプリケーション資産を継続して活用できる環境や、大規模データを取り扱うための環境の整備及び情報セキュリティの状況をユーザが正しく理解・評価できる仕組みの整備等、産業界のユーザに配慮した環境・仕組みの整備を検討すること
  3. 他国との競争・協調を通じ、我が国のHPCが今後国際的に存在感を発揮していくため、国は、最先端の計算科学を支える研究基盤である「京」及びポスト「京」と、それらを支える特徴ある複数のシステム(いわゆる第2階層)を含めた今後のHPCIのあり方について、開かれた活発な議論を踏まえ、検討すること


(以上)

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