資料2 今後のHPCI計画の推進に向けた提言(案)

今後のHPCI計画の推進に向けた提言(案)

平成29年6月○日
HPCI計画推進委員会


 我が国のフラッグシップシステムとしてのスーパーコンピュータ「京」を中核とするHPCI(High Performance Computing Infrastructure)システムは、平成24年の共用開始から5か年にわたり、関係機関による着実な運用、公正な課題選定及びきめ細やかな利用支援の仕組みに支えられ、多くの成果を創出し、我が国全体の計算科学技術の発展に貢献してきた。
 
 一方、この間、HPCを取り巻く環境については、科学の方法に関して、理論科学、実験科学、計算(シミュレーション)科学に続く第4のパラダイムとしてデータ科学が浸透しつつある。
 同時に、技術的側面において、GPGPU(General-Purpose Computing on Graphics Processing Units)や超メニーコア型等の新たなアーキテクチャのハードウェアが出現し、理論演算性能において「京」を超えるシステムがHPCIに導入される等の変化が生じつつある。
 
 これらの変化に対応し、ポスト「京」の運用開始後も視野に入れつつ、今後のHPCI計画を推進していくにあたっては、計算科学とデータ科学の融合領域の研究や、新たなアーキテクチャのハードウェアに対応したソフトウェアの開発を推進し、HPCの新たな可能性を開拓することが必要である。
 

 また、ユーザの裾野拡大により、HPCユーザの層をより厚くし、更なる成果の創出を支えていくことが重要である。
 このため、多様なシステムで構成される「京」以外のHPCIも活用した具体的な裾野拡大の方策を検討するとともに、ユーザの新規参入を促す方策を検討し、課題の選定にあたっては、先駆的な科学的成果の創出に挑戦する課題を重点的に選定するべきである。


 さらに、今後検討すべき事項として次の3項目を提言するものである。

  1. シミュレーションにより得られた成果を社会へ発信していくため、関係機関及びユーザによる連携協力を継続するとともに、成果の二次利用を促進すること
  2. 産業界のユーザによる一層の成果創出を促すため、引き続き利用支援を行うほか、これまで培われたアプリケーション資産が継続して活用できる環境の整備や、情報セキュリティの状況をユーザが正しく理解・評価できる仕組みの整備を図るとともに、産業界のユーザから大規模計算のリクエストがあった場合の対応方針を策定すること
  3. 他国との競争・協調を通じ、我が国のHPCが今後国際的に存在感を発揮していくため、我が国の最先端の計算科学を支える研究基盤であるフラッグシップシステム「京」及びポスト「京」と、それらを支える特徴ある複数のシステム(いわゆる第2階層)を含めた今後のHPCのあり方について検討すること


(以上)

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