ここからサイトの主なメニューです

HPCI計画推進委員会(第7回) 議事要旨

1.日時

平成23年11月28日(月曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.出席者

委員

土居主査、小柳委員、笠原委員、関口委員、土井委員、所委員、村上委員、矢川委員
(作業部会)富田チームリーダー、石川教授、丸山助教、石井主任
欠席者:鷹野委員、根本委員

文部科学省

岩本情報課長、林計算科学技術推進室長、村松計算科学技術推進室長補佐

4.議事要旨

(1)今後のハイパフォーマンス・コンピューティング技術の研究開発の検討状況について

富田チームリーダー及び石川教授より資料1及び資料2に基づき説明。質疑応答は以下の通り。

【笠原委員】
低消費電力で高速化を達成するということ、また、ヘテロジニアスアーキテクチャは重要だと思う。数百万プロセッサをつないだときに、どういうヘテロ構成だったらマネジメントできるのかというのが気になる。チップの中は汎用コアとアクセラレータがヘテロな形でつながっているけれども、全体のシステムとしたときには、そういうのがたくさん並んできて、遠くから見たときにはホモジニアスに見えるようなアーキテクチャになる可能性もあると思う。要するに、低消費電力で高速化を達成するために必要なのはアクセラレータであって、アクセラレータだからヘテロジニアスアーキテクチャというのはもう少し検討してみる必要があると思う。例えば、100万コアでアクセラレータのグループとプロセッサのグループがあって、それをアプリケーション・プログラマーが一生懸命使っていくというのはちょっと考えにくい。アクセラレータであってもホモジニアスアーキテクチャというのはあるかと。

【石川教授】
アーキテクチャはヘテロだが、プログラミング言語やシステムソフトウェアによってプログラミングレベルでそれを吸収し、アプリからはホモジニアスに見えるようにする。

【笠原委員】
例えば100万コアあったときに、アーキテクチャとしてどういうヘテロを想定されているのか。要するに、トータルでヘテロに見えるか、ヘテロなものがたくさんつながってホモジニアスに見えるか、いろいろなつくり方があると思う。

【石井主任】
チップの中はヘテロになっているが、それがたくさんつながったらホモジニアスに見えるというような想定はしている。そうではなくて、ある特性を持った計算機のグループと、別の特性を持った計算機のグループでヘテロというのも考えてはいるが、そちらの方が今のところ可能性は低いとアーキテクチャグループでは考えている。

【村上委員】
サイエンスドリブンという言葉を何ゆえ明確にしないといけないのか。言いたいことはわかるのだが。

【富田チームリーダー】
想定としては2018年にエクサフロップスが来るが、サイエンスドリブンと言っているのは、そのエクサフロップスを目指すのではなく、まずサイエンスとして何をやりたいかということを前面に押し出さないと、国民に説明がつかないという意味である。

【村上委員】
ニーズが先にあるのであって、単にシーズからこれだけの性能のものをつくるというアプローチではないということ。

【富田チームリーダー】
結果的にはアプリケーション側としてもできるだけリソースは欲しいし、コストパフォーマンスを考えながら、その時点での最高性能のものが欲しい。しかし、同時にそこで何をやるのかということを明確にしておく必要がある。

【小柳委員】
サイエンスドリブンの反対語は、1つはベンダードリブン、それからコンピュータサイエンスドリブン、3つ目はLINPACKドリブン。サイエンスドリブンあるいはアプリケーションドリブンは、この3つのアンチテーゼである。

SCで理解した状況として、アメリカではCo-Designというのが非常に不十分な印象である。アーキテクチャに即したソフトウェアを書くというようなことを中心に意味しているようだ。我々の場合は、むしろアプリケーションからアーキテクチャあるいはシステムへのフィードバックがあるということを強調しており、ある意味でアメリカの路線と少し違っているので、そのことを報告書でも明確にするといいのではないか。

【富田チームリーダー】
アプリケーションはサイエンスをやるためのツール。何をサイエンスブレークスルーとして考えるかというところから始めないといけないという意味で、アプリケーションドリブンではない。

【土居主査】
自然の神秘を追いかける場合と、そうでない場合とで観点が変わってくるという面があるので、その辺はちょっと難しい問題だろうと思う。

「京」の時も、どういう問題があって、どう解決しなければいけないかというのをやっている。それを今回はより強くやろうということで、Co-Designを前面に出す。

【小柳委員】
歴史的に言えば、数値風洞にしても、筑波のCP-PACS、地球シミュレータ、もちろん「京」も、アプリケーションというか、サイエンスドリブンというか、そういう方向はずっと堅持してきており、それの継続としてあるエクサはもちろんサイエンスドリブンで考えるというのが我々の立場だと思う。

【土居主査】
知見を積んできて、より深めていくというスタンスで書いていただければと思う。

【矢川委員】
成果が得られるのかということについて考えると、大きなプロジェクトではあるけれども、世の中、社会からまだそれがよく見えていない。比較として、大型実験というのは結構わかりやすい。例えば「はやぶさ」は様々な難しい課題があるがイトカワに行って試料の石を採取してくるということで、かなり強くコミットしている。つまり、ロードマップでは夢を語るだけでなくプラスアルファが要るのではないか。例えば、10年後にがんの薬ができると言うにしても、単にコンピュータを回したらできるわけではなく、一般の人が信用できるような書き方でロードマップをつくらないといけない。計算しながら何か出てくるのではないかというのでは、多額の国費を投入するのに誰も信用してくれない。

【富田チームリーダー】
計算科学というのは、理論と実験に並ぶ科学の一面であり、本当にプロジェクト化するなら実験を巻き込まないと確約はできない。計算科学では可能性を示すしかないのだと思う。

【矢川委員】
その間をつなぐところまで書き込まないと無責任になる。

【岩本情報課長】
サイエンスロードマップを書くときに、その分野の理論、実験や観測も含めたサイエンスとして想定されている方向性を踏まえつつ、計算科学には何が求められているのかということを考える必要があるのだと思う。今、サイエンスドリブンということで、各分野における10年、20年先の動向を踏まえて検討されているのは、そういう意識からきているのだと思っている。

【土居主査】
極めて重要なことである。実験と計算科学の間をつなぐというようなことを含めた上で、アプリケーションドリブンやターゲットドリブンで、どのようなことができるのか、あるいは、これをするにはこういうものが必要だとか、国民がなるほどと思うような書き方ができるとよい。

【富田チームリーダー】
例えば気象業界ではHPCだけではなく、当然、観測もある。衛星の動向も踏まえながら、計算科学ではどういうことができるのかという観点で書いている。全部の分野がそうなっているかどうかわからないところはあるが、少なくとも、実験や観測の人たちとちゃんとコラボレーションしていくということは、他の分野でもコンセンサスが得られていると思う。融合してやらないといけないという機運が非常に高まってきているので、そういうことをロードマップに書きたいと考えている。

【土居主査】
時間的なこともあるし、全面展開するのは難しいと思うが、幾つかのキラーみたいなものができるとよい。

【笠原委員】
低消費電力化について、資料からはDVFSやパワーゲーティングといったキーワードが見えないが、実際にはその辺が必要ではないかと思う。コア数が100万など多くなってくると、余裕があるプロセッサの周波数を落したり、場合によってはクロックやパワーゲーティングができて電力が落ちるかもしれない。

【石井主任】
文章としては既に実用化されている技術も書かれていて、さらに、現在実用化されていない技術に関して、特にロードマップの中で、今後フィージビリティスタディなどをして議論を深めていく必要があるというまとめ方をしている。

【笠原委員】
DVFSとかパワーゲーティングは、チップの中のOSレベルの制御は実用化レベルと言えるかもしれないが、OSレベルはアプリケーション間でのDVFSであり、1個のアプリを動かしているときの自動DVFSはできておらず、そこが技術課題として大事なところではないか。

また、ラックがたくさんつながってきたときのラックレベルの制御とか、信頼性を落とさずに電源を遮断したりであるとか、そういう技術はまだ世界でもできていないと思うので、その辺も考えていく必要があるのではないか。

【石井主任】
先ほどの話は確かにハードウェアに寄っていて、ソフトウェアではそういうところがまだ不十分な点があるのは事実だと考えている。その点に関しては、細粒度電力制御として議論されていて、そういった課題がロードマップ中では議論されると考えている。

【笠原委員】
文書中で議論されている細粒度電力制御はOSのところである。OSの電力制御だけではなくて、1個のアプリケーション内だったらコンパイラとかでやるような電力制御もあるので、詳細な記載はなくても問題意識は示しておいてもいい。

【所委員】
コモディティアーキテクチャの動向という標題が気になる。全体的なアーキテクチャの動向を分類していくとこうなるというのは一つ示唆に富んでいると思う。これを一歩先に進めて、例えば容量・帯域重視型の場合のストレージやインターコネクトはどういうことを考えないといけないとか、逆に、演算重視型だとどういう形でやっていく必要があるというようなことはどこに書いてあるのか。

【石川教授】
それはFSでやることになると思う。この後さらに議論が進めば進むほど、だんだん集約してしまう。全体をまとめている立場からすると、今後そういうことを考えないといけないというところで次のFSに持っていく形にしたい。

【所委員】
了解した。もう一点は海外動向のリファレンスについて、アメリカでも単に大きくすると動かないシステムになるという問題が出て来ているが、彼らがこれからどんなことを考えるのかというのも次の段階になるのか。

【石川教授】
既に公表されている資料に基づく検討は付録の部分である程度は網羅される。

【村上委員】
「コモディティアーキテクチャ動向」と「ここまでのアプリ解析結果のまとめ」は非常に重要なところ。このアプリケーションは容量・帯域重視型といった記載があるが、これは定性的な見解なのか、それとも2018年の数値を定量的に見てこれで足りているということなのか。

【富田チームリーダー】
全体的にはもう少し底上げが必要だという話は出ている。ただし、ここはもう少し数値的に精査しないといけない。

見積り方としては、基本的には、まず原理的なところで、こういう計算をしたいときにどのぐらいの計算量があって、その結果、メモリのバンド幅がどれぐらい必要で、ネットワークは隠蔽する・しないでどうなるのかというところまでやっており、最終的にはしっかりした数値が出てくると思う。ただし、原理的なところからできる分野もあれば、例えば気象気候分野ではモジュールで組み込まれているので、過去の資産の継承ということに関していうと、そういうモジュール的なところは外せないという分野もある。ある程度外挿的なところもあるが、継承性を重視しながら各分野に考えてもらっている。

【村上委員】
もう一点は、シミュレーションの場合、リアルタイムならデッドラインがあるが、そうでないものは時間とのトレードオフになる。よって、何ペタ、何エクサ必要だというには、どういうアウトカムを出すためには何日で何ラン出さなくてはいけないとか、そういう前提条件がいろいろとついてくると思うが、そこら辺はどうか。

【富田チームリーダー】
特にアレイジョブでは、ターンアラウンドを短くしたい、一気にざっと流してすぐ結果を見たいという要望がある。運用の問題でもあると思うし、そこはもう少し議論したい。

【笠原委員】
技術課題「Cross-Cutting&Co-Design」のスライドで、システムソフトウェアのところに「コンパイラ」という言葉が抜けているのでは。

【石川教授】
コンパイラを入れる。

【笠原委員】
SCでDOEのプロジェクトが強調していたこととして、階層並列とか複数粒度の並列性、エネルギーを減らすための通信の削減、メモリローカリティの最適化、通信のオーバーラッピングなどがある。この検討ではその辺は、ハード、ソフト、ユーザーのどこのレイアウトでサポートするという想定か。

【丸山助教】
ローカリティなどに関しては、例えば、ライブラリレベルでそういうことをちゃんと考えたものをつくっていくという話が現在まとめられている。あと、もうちょっとハイレベルなアプリケーションフレームワーク的なものとして、特定のドメインについては、アプリケーション・プログラマーが書くわけではないが、こういう記述をしたらそれを最適化するような実行をしてくれるものを今後やっていくべきと記述している。コンパイラレベルと、コンパイラをもうちょっとドメイン向けに拡張したものになる。

【笠原委員】
ドメインスペシフィックな新しいプログラム環境をつくるのはユーザーにとって使いやすいと思うが、既存のソフトウェアもあり、フォートランとかC言語とかのプログラムも、通信を最小化、メモリ最適化して、並列化していく必要があるので、その辺も課題として挙がっていてもいい。

【丸山助教】
プログラミングにおいて、そういうこれまでとはちょっと違うフレームワークみたいな方式と、もう一点、既存のプログラムをベースに、それをいかに今後のアーキテクチャで実効性能を出していくかということに向けて、コンパイラがすべてやってくれるのが理想ではあるがなかなか難しいところがあるので、ヒントという形でディレクティブを挿入するようなモデルも考えている。

【笠原委員】
ディレクティブでユーザーの知識を使うというのはすごく大事なところ。ただ、現状すぐできるものではないが、長期的課題としてはやはり、コア数が100万コア、その次はと、どんどん増えていくとすると、いつまでも手でやっているのも苦しいので、自動並列化というのも入れた方がいいのではないか。

【土居主査】
ちょっと乱暴な話であるが、コモディティアーキテクチャのところで、アメリカでは極端に言うと、コモディティを改良しながら何かをくっつけていってスパコンをつくった。ゲームマシンのためのものを改良してロードランナーをつくった。我が国のコモディティとして、トップをつくったら、あちこち取っ払いながら下りていってコモディティ化する、これが入っているというようなことは難しいか。

【石井主任】
個人的な意見として、それは最終的に何らかの形で商売にするということであり、それは企業の戦略なので今のところ議論していない。今の企業の体制では、「京」の場合よりも下におりてくるという形にはできないのではないかと考えられ、もしそういうことをやるならば、企業の体制にも何らかのブレークスルーを求める必要がある。

【土居主査】
それは重々承知しているが、物理的、回路的にそのようなことができさえすれば、あとはその企業のマインドで出ていけるかどうかということ。

【石川教授】
企業のトップと話さないことにはと思うが、そういうふうに持っていくのはなかなか難しいのではないかと思う。

【土居主査】
「京」のときに総合科学技術会議の評価でやっている下方展開というのは、10分の1で基盤センター、100分の1で企業や独法のセンターにスパコンを落とすというのはさることながら、あのときもそれを含んでいる。そこまでいけば企業の活性化ができる。

【石川教授】
それはアーキテクチャの話というよりも、アプリケーションなり、下方展開の話。町工場の人など本当にそのエンドユーザーが普通に使えるようなアプリケーションと、それの使い方をちゃんと教えることとか。

【土居主査】
それはスパコンの話。スパコンとして落とすのではない。

【石川教授】
だからなかなか難しいところがある。それ以外だったら、例えばスマートフォンとかそういう話になる。そのときに、ここで言っているサイエンティフィックドリブンでもっとメモリバンド幅が必要だとなると、それはスマートフォンでは必要なくなってしまう。そのように別の分野に行ったときというのは、なかなか厳しいものがある。一方で米国企業は自分らでつくっているHPC向けのものは、今はHPC向けとサーバ系に分かれているが、長期的にはマージしていく方向で進めていくと予想される。うまく全体のテクノロジーというのがどちらのセグメントでも使えるようなことをやっている。そこが、日本の企業の場合、別のスマートフォンの市場のプロセッサをいま持っていないという問題になる。結局そこが経営判断になり、それは我々が言える話ではない。

【所委員】
そのとおりだと思う。今から一般的なインテルのコア、AMDのコアのようなものをつくって下方展開するというのは残念ながら極めて難しいと思う。しかし「京」の場合でも、インターコネクトのようなところを下方展開して使っていくということは既に進められているので、これは可能性がある。

もう一つは、新しい分野のアプリケーションというものがあれば、最初は小さくても、知らないうちにどんどん増えていくということはあるかもしれない。アームの場合、携帯市場がPC市場より大きくなって、最近ではそれをハイパフォーマンス・コンピューティングに使おうということまで起こっている。かなりストラテジックに新しい分野を見てやっていけば可能性が全くないとは言えない。しかし、最初からそれが広がっていくことを思い描ける人はほとんどいないし、それを国民に説得しようにも多分5年、10年くらいはかかってしまい、その後、結果的にそうだったと分かるものだと思う。

さらにもう一つ、アメリカの状況では、一般的に汎用なCPUやGPGPUを使うというところから少し外れた動きもある。それが単にある分野のサイエンスに特化した話だけなのか、あるいは、うまく利用していくと次の世代のハイパフォーマンス・コンピューティングの核になるのか、汎用コアにはならないのかという見極めは、今の時点では大変難しい。だから、日本からとんでもなく変わったものが出てきても、直接エクサにつながらないからといってすぐにつぶさず、もう少しもんでいくことでコミュニティを広げていく、そして、最終的には底力というか、ベースラインで正しい議論ができる人を育てていくということが重要だと思う。、そういうところにうまく持っていけたらストラテジックにはいいと思う。

【土居主査】
とてつもなく難しいということは承知の上だが、アームだって20年以上しぶとくやっており、あれくらいのしぶとさが必要である。

【小柳委員】
参考情報として、先月、中国で独自チップによるペタフロップスマシーンを見てきたが、驚いたのは、同じチップでパソコンやサーバをつくり、さらにはファイアーウォールもつくっているということ。単につくっただけなのかもしれないが、何か日本以上に下方展開をまじめにやっている。

【笠原委員】
最近オークリッジの人が、携帯電話に入っているチップでスーパーコンピュータエクサはつくるとよく講演している。今回のSCでもPGIのマイケル・ウルフが、スパコンのプロセッサはアームになるみたいな講演をした。市場を考えると、組み込み系の大きな市場で培ったプロセッサ技術を、低消費電力のプロセッサという価値があるとして、ハイエンドに利用していく流れがある。どこの国でも量的にあまり売れないマシーンをつくって利益が上がらないまま作り続けていくというのはあり得なくて、組み込み系とか売れる市場で大きな利益を上げて、それをまた次にHPCに投資する。そのHPCで開発した最先端低消費電力メニープロセッサ技術を使ってまた次の組み込みに市場に高付加価値製品としてタイミング良く投入して利益をあげる。そのようなマネーフローと技術フローをつくる必要がある。日本はアームみたいなプロセッサとしてSHプロセッサが今ならまだ残っているので、そのような方式を考えてもいいと思う。今が正念場かと思う。

【石川教授】
信頼性、RASの機能は今後ますます重要になる。携帯とかはそこら辺が抜けており、一方で富士通がつくった「京」のチップはRASの部分で非常にチップ面積も使っており、その結果として、「京」は早急に立ち上がり、しかも安定して動いているのだと思う。今のアメリカのHPCマシンは、昔のアメリカの自動車と同じ状況になっていて、マシンが度々落ちているという噂も聞いている。もちろん今後ソフトウェアで何とかしないといけないという話はあるが、日本人のテーストとしてはちゃんと安定していないと困るというところがあり、我々はそういうことを確実にやっていく必要があるのかなと思う。最後はそれで1位のマシーンをつくるということではなく、いち早くサイエンティフィックバリューのある結果を出すという議論になっていき、日本のように安定したマシーンをつくったことによって、そのような結果が次々に出てくるようになればよいと思う。

【土居主査】
それは今でも狙っていて、「京」を使った成果をできるだけ早くということで、戦略プログラムよりも先に、グランドチャレンジで取り組んできている。信頼性は我が国が昔のメモリの時代から持ってきており、それは極めて重要だと思うが、それでも何かないだろうか。

【土井委員】
サイエンスドリブンという言葉だけではやはり説得できない。リンパックドリブンやCSドリブンでもなくそれ以外という説明は確かにあるとは思うが、それでは下方展開はどうするのかという話になってしまう。サイエンスドリブンによってソーシャルインパクトとして何があるのかというところをもう半歩でもいいので踏み込んでもらいたい。今やっていることは内容としては非常に良く、是非こういう方向で進んでほしいと思うので、あえて何かもう一つスパイスが欲しい。

【岩本情報課長】
作業部会では、まず性能としてどういうものを求めるかということを整理するのに時間を要している。「京」についてそのようなことはある程度説明してきている。具体性があり、意義を理解してもらえるようなものを、全てのターゲットについては難しいかもしれないが、バランスを欠かない範囲で少し例示として考えていただくのが良いかと思う。

【富田チームリーダー】
国民にわかりやすい形でメリットやベネフィットを示すことは非常に大切だが、これは分野によるところがある。戦略分野でいうと分野3の気象気候、地震津波は最もわかりやすく、それは分野3の研究者も十分にわかっており対応もできる。そこは役割分担である。ただし、そこで分野5でやっているような純粋な科学を落としていただきたくない。そこの重要性はしっかり訴えていかないといけない。

【土居主査】
基礎科学を落とすつもりはまったくなく、それも重要である。ただし、説明責任を果たしていただく必要がある。

【関口委員】
スパイスがないという話があったが、それはたぶん夢の部分だと思う。やっていることはいいと思うが、書き方の問題として、今は章立てになってしまっている。むしろ、その中にあるサブスタンス、だからこうなるという結論や予測、予見可能な結果のような部分を前面に持ってくるとよいのではないか。主見出しに、だから人類の半分の命が救われるとか、飛行機が燃料補給なしに地球一周できるようになるとか、断定的には言えないが、こういうことができるかもしれないというところをもう少し出すといいと思う。

【矢川委員】
大変責任があると思うが、やはり夢を具体的に与えないといけない。ただ研究として、論文がネイチャーに出たというだけでは、一般の人はこれだけの予算を使う気にならないのだと思う。そこの深堀が必要である。例えば、ものづくりであれば本当に幾ら安くなるというような具体性がないし、創薬であれば、10年後にがんの薬ができるなんて本当かとみんな疑ってしまう。

【富田チームリーダー】
社会的かつリアリティーのあるものが求められていると。

【関口委員】
サイエンスドリブンでいいのだが、サイエンスのためのサイエンスみたいな感じになるのではなく、このサイエンスは何のためにやるのか、あるいはこのサイエンスをやるとそのあかつきにはこういうことが実現するというところが欲しい。

【富田チームリーダー】
20年先のサイエンスロードマップを書こうとしているが、要は、ここで終わるのではなく、将来的にどういうふうにつながるのかということを、恒常的に議論していく必要があると思う。

【村上委員】
エクサで実現可能なところでは、リアルタイムのオンラインシミュレーションが考えられる。例えば津波なら、その瞬間に1エクサくらいの計算ができればより正確な津波のシミュレーション結果を警報に生かすことができるという話がある。そのためには全国に設置された地震計のセンサデータを集めて、数分間以内でシミュレーションを完了する必要があるということであり、非常にわかりやすい。リアルタイム性については、ほとんどのサイエンスでは必要ないかもしれないが、一部では非常にわかりやすい例になり得るのではないか。

【富田チームリーダー】
今回、地震の研究者も交えて、どういう観測網があり、どういうデータがあれば、どのくらいのコンピュータで、どのくらいの精度のシミュレーションが可能なのかという技術的な議論はする。ただ、これを本当に国の危機管理まで持っていこうとするといろんな障壁があり、ここだけでは閉じない問題である。

【土居主査】
それは重々承知している。できる、できないということ及びどこまでできるということがあって、それを踏まえて法制度やプライオリティをどうするかという戦略に結びつく。ただ、そこのところも、かもしれないというような感じで、もう少しは夢を出してほしい。

【関口委員】
表現の仕方として、今のものは途中経過だけを見せられている感じがする。サイエンスのためのサイエンスと言ったのは、その研究の当事者の頭の中にはロードマップが入っていて、ここをやっているとわかっているが、専門家でない第三者的にはそれがどこに位置しているのかが見えない。それを見えるようにするには、縦と横の軸を整理するとよい。縦の軸は歴史であり、例えば、過去こういう技術開発があったから10年前はこうだったが今これができたと。次にこの技術をやると10年後はこうなるというような書き方にする。横の軸は、その研究において日本は海外と比べてどこの位置にあるのかということ。計算機そのものの比較は総論などで日本は何番目だといったようなことを書くのかもしれないが、個々の研究、中身に関して、横と比べて日本はどこの位置にいて、これは遅れているからこうやらないといけないとか、あるいは日本はここまで来ているからもっと頑張ると世界でトップになれるというようなことを示すべきだ。

【村上委員】
コモディティアーキテクチャ動向のところで、これは基礎データとして非常に重要な位置づけになると思うが、数値の見方とか、コストや電力の考え方について、ここは非常に一人歩きするので、テクニカルにもう少しきちんと精査していただきたい。

【石川教授】
これはかなり特徴的に示しているが、数値の振れ幅もいろいろと議論になっている。きちんとした形でまとめていきたい。

【土井委員】
「京」ができる前にそのままの延長だったらこうだった。だけど「京」をやったことによってこうなったというのが、この2エクサ。だけど今度やるものに関しては、こう引っ張るから、もっと違う、リニアではなくギザギザになっていて、それが国費を投じた効果だというのがわかる絵がほしい。そこで、それがあるとこれができるということで、演算重視という言葉ではなく、リアルタイムの災害予測ができるというように書いてあると納得できる。今の議論を何も否定はしておらず、今回の正当なものをこのまま続けるためにはもう少し理論武装が必要ではないかということ。

【土居主査】
まとめに向けてよろしくお願いする。

土居主査より閉会発言

── 了

お問い合わせ先

研究振興局情報課計算科学技術推進室

電話番号:03-6734-4275
メールアドレス:hpci-con@mext.go.jp

(研究振興局情報課計算科学技術推進室)