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<   用 語 解 説   >

AFM(原子間力顕微鏡)
       走査型プローブ顕微鏡の一種で、試料・探針間に働く原子間力を検出して表面形状を観察する。

CT
       Computed Tomographyの略でコンピュータ断層撮影法と呼ばれている。被写体の周囲からX線を照射し、人体を透過した投影データからコンピューターによる画像再構成により断層像を得る装置である。

ESCA(X線光電子分光分析装置)
       試料表面にX線を照射したときに飛び出してくる光電子の運動エネルギーを測定することにより、表面を構成している元素の同定や、原子・分子の化学結合状態に関する情報を得る装置。

ESI−MS(エレクトロスプレイイオン化質量分析装置)
       試料をイオン化する方法としてエレクトロスプレイイオン化法を用いる質量分析装置。エレクトロスプレイイオン化法とは、移動相溶液をキャピラリーに導入し、このキャピラリーと対抗電極の間に高電圧を印加することによりイオン化を行う手法。

ESR(電子スピン共鳴装置)
       フリーラジカルなどが持つ不対電子は強い磁場中に置かれると、特定の周波数のマイクロ波を吸収する。ESRは、この電子スピン共鳴を測定する装置で、活性酸素種を始めとする各種のフリーラジカルを高感度で測定することができる。

fMRI(機能的核磁気共鳴画像)
       fMRIの"f"は"functional"(機能的)を示しており、fMRIとは機能(特に脳機能)の研究に用いられる磁気共鳴画像装置を意味する。
   脳の活動状態を撮像するため、脳神経細胞活動と関連した生理現象を利用するが、血液の酸素飽和度と緩和時間の関係を利用したBOLD法が最も有名である。

ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)
       液体試料中の金属元素を定量する装置。高温アルゴンプラズマ中に液体試料を霧化して導入すると熱エネルギーにより励起されて発光する。この光を分光器で元素特有の原子スペクトル線に分け、その強さにより元素の濃度を求める方法。

ICP−MS(誘導結合プラズマ−質量分析装置)
       イオンソースとしてのICP部とそこで生成したイオンを分離測定する質量分析部から構成される。
   イオンソースはICP−AESの光源と原理的に同じであり、この光源がイオン源としてもすぐれていることを利用している。質量分析部は大部分の装置で四重極質量分析計を用いている。

IR(赤外)分光
       物質に赤外光を照射すると、特定の波長の光が選択的に吸収を受ける。物質の部分構造に関する赤外吸収がどの波数領域で起こるかがわかっており、赤外吸収スペクトルから未知物質の化学構造に関する情報が得られる。

LC−MS(液体クロマトグラフ質量分析装置)
       熱不安定、不揮発性の物質等を液体クロマトグラフで分離し、連続して質量分析計により質量数を求めて物質を同定(定性分析)する装置。

MEG(脳磁図)
       脳や心臓などの神経や筋肉が活動するときには、細胞単位でイオンや電子が出入りし、電流が流れ、磁場が発生している。MEGとは脳内の電気活動に伴って発生する10-15Tesla(fT)レベルの究めて微弱な磁場信号で、超伝導量子干渉素子(SQUID)と呼ばれる非常に高感度な磁気センサによって人間の脳活動を非侵襲に計測する。

MRI(核磁気共鳴映像法)
       磁石が発生する『磁場』を用いて、人体を主として構成している水および脂肪に含まれる『水素原子核(プロトン)』の情報を体内から取り出し、これを『コンピューター』で画像化する手法。

SIMS(二次イオン質量分析装置)
       試料表面にイオンビームを照射したときに放出される二次イオン(放出された粒子の内イオン化したもの)を質量分析することにより、試料表面物質の構成元素の定性・定量分析を行う装置。

SPM(走査プローブ顕微鏡)
       探針(プローブ)を走査することにより、物体表面の三次元情報を原子レベルの分解能で観察・評価する顕微鏡。

アトムプローブ
       電界イオン顕微鏡のスクリーンの中心にイオンが通り抜ける穴をあけて、通過するイオンの飛行時間測定をおこない、試料表面からイオン化される個々の原子を同定することによりサブナノメーター領域の濃度分析を行う装置。
   アトムプローブの検出器に位置敏感型検出器を取り入れたものが3次元アトムプローブで、分析に際してアパーチャーを用いずに検出器に到達した原子の飛行時間と位置を同時に測定する。試料表面の全構成元素を原子レベルの空間分解能で2次元マップとして表示することができ、さらに深さ方向に拡張していくことで、原子分布を3次元的に再構成することができる。

カンチレバー
       片側が固定されて、他方が自由になっている梁や部材を示し、原子間力顕微鏡のプローブとして使用されている。

近接場光技術
       光の波長よりも小さい直径の粒子に光を当てた場合、その粒子の周辺に局在する特殊な光を近接場光と呼ぶ。近接場光を発している粒子のそばに、試料を置き近接場光を散乱させ、その一部を光検出器で観測するものが近接場光顕微鏡(SNOM)である。光の波長よりも小さい微小開口周辺の近接場光を検出する方法もある。この顕微鏡の分解能は、プローブの先の大きさに依存し、光の波長の干渉の影響を受けないため、高い分解能を得ることができる。微小部の構造解析が可能な装置として、近接場ラマン顕微鏡や近接場赤外顕微鏡が注目されている。

光電子ホログラフィー
       結晶がX線を照射された時に発生する干渉パタンを測定することによって結晶の原子構造を研究するために提案された技法。結果として結晶の表面に原子の励起が起き、異なった波長に応答して異なった原子が生じるため、特定の素子を識別することが可能になる。

多光子顕微鏡(多光子励起レーザ顕微鏡)
       試料面をレーザで走査してその焦点面での蛍光の空間分布を記録する顕微鏡のことで、特に多光子励起を用いる場合を言う。例えば、2光子励起によるイメージングでは、蛍光物質の退色が遅いので長時間にわたって変化する細胞の現象解析などに有効である。

テラベース級DNA解析装置
       マルチキャピラリーを用いた既存DNAシーケンサ(最高処理能力:1メガ塩基長/日程度)よりも2−3桁高速のDNAシーケンサのことで、テラ塩基長/年級の処理能力を有する装置のこと。現在、イオン電流のブロッキング現象を用いたシーケンシング技術などの原理実験が試みられている。

プローブ
       細い針で物質の表面をなぞりながら、針と物質の原子との間の力などをはかることで画像にするSPM(走査プローブ顕微鏡)で用いる針。

マルチプローブ
       SPM(走査プローブ顕微鏡)において、複数の探針(プローブ)を使用する技術。

ラマン分光
       物質に特定の波長の光を当てたとき、当てた光と異なる波長として散乱される光がラマン散乱光である。このラマン散乱光は、物質を構成する分子の振動や回転に基づいており、その波数差をラマンシフトという。ラマンスペクトルがもたらす情報は赤外分光スペクトルと相補的であり、分子に特有であるため物質の同定に有効な情報となる。

レーザーアブレーション
       強力なレーザーを試料に照射し、その物質を気化・蒸発させる方法である。ICP−MS結合し、固体試料を溶液化することなく元素の分析ができる。




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