政策評価に関する有識者会議(第48回) 議事要旨

1.日時

平成30年1月26日(金曜日)13時30分~15時

2.場所

文部科学省15F特別会議室

3.議題

  1. 政策評価結果の政策への反映状況について
  2. 政策立案の改善に関する政府の取組について
  3. その他

4.出席者

委員

浦野座長、金藤委員、貞廣委員、杉谷委員、田邉委員、林委員、源委員

文部科学省

藤野サイバーセキュリティ・政策評価審議官、岡村大臣官房政策課長、鎌田評価室長、林大臣官房会計課財務分析評価企画官、服部評価室室長補佐、田中評価室室長補佐、安藤大臣官房国際課課長補佐、高見生涯学習推進課課長補佐、新免青少年教育課課長補佐、國分企画評価課課長補佐、邉田参事官(情報担当)付専門官、越競技スポーツ課課長補佐、荻原芸術文化課企画調査係長

オブザーバー

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 田口副主任研究員

5.議事要旨

(1)政策評価結果の政策への反映状況について
 事務局より資料1-1及び資料1-2に基づき説明を行った後、委員からの主な意見は以下のとおり。



(杉谷委員)
・主なものとして資料上で説明された事業以外にも、廃止事業や縮小事業があるようなので、施策目標全体として見た場合の総額がどう変わってくるのかというデータを示す必要があるのではないか。



(林委員)
・政策評価結果の政策への反映状況についての資料の中で、今後必要であると書かれていることについて、必ずしも政策評価の結果として得られたことが書いてあるわけではないように見える。
・事前評価はうまくいくと思うが、第5期科学技術基本計画で新しい方向性が示されるというような、流動していくものに対して、過去に設定した目標の達成度を確認するという施策の事後評価という形で、新しい政策に反映するのは難しいのではないか。今後、仕組みを良い方向に変えていっていただきたい。


(貞廣委員)
・成果の上がりぶりが予算にいかに反映されたかという説明があったが、必ずしも成果が上がらなかった事業についても、例えば手法等を変えて予算を増額することによって、優先順位の高いものについてはより手厚くしていくというような思考も持っていただきたい。今回、残念だと思ったものとして、青少年の携帯電話のフィルタリング等の利用率がなかなか上がっていかないという問題がある。今後、政策の社会的優先度をいかに取り入れるかということも検討いただきたい。



(2)政策立案の改善に関する政府の取組について
 事務局より資料2に基づき説明を行った。また、欠席の髙橋委員からのコメントとして、「EBPMの取組については、文部科学省の職員の仕事が増えないような形で進めるようお願いしたい。データやエビデンスの明示についても、その政策が合理的・必然的であることが分かるような必要最小限のものに限るべきである」との意見を事務局から紹介した。その後、委員からの主な意見は以下のとおり。



(貞廣委員)
・EBPMには若干違和感があり、エビデンスはあくまで事象を一面的に切り取った一部分であってそれが全てではないので、「エビデンス・インフォームド」ポリシーメイキングというスタンスの方が良いと考えている。
・政策立案者が統計的手法まで精通するべきかということについて、参考資料2(EBPMを推進するための人材の確保・育成等に関する方針(骨子案))にはそういう人材を育成する又は中途採用すると書かれているが、むしろ、もろもろの研究知見等の中から政策に重要なエビデンスを抽出し、解析して、翻訳したり仲介してくれる第三者的な存在が介在する形の方が健全ではないかと思う。
・アメリカにはそのようなエビデンスの仲介組織があると思うが、そういう形の方が、実質的になり、無駄な仕事が増えないと思う。



(源委員)
・評価論が専門の自分個人としては、EBPMに大変違和感がある。介入と結果との因果を問うのも重要だが、基本的に政策も事業もプラクティカルなものなので、ロジックモデルを作っていく「セオリー評価」のプロセスの中で定性情報も含めて判断していくという、一連の政策評価の流れの中にエビデンスがあるのが当たり前だとすると、それと離れて議論が始まっていると思う。エビデンスは政策評価の一環として活用していただきたい。
・プログラム評価というのは、エビデンス・ベースト・プラクティスが基本になっている。指標の測定だけが評価ではなく、立案の時もセオリー評価、実施もプロセス評価をやっていくという統合的なアプローチとしてプログラム評価が非常に重要だと感じている。



(林委員)
・源委員の議論は非常に重要であり、特に科学技術政策では、プログラム評価を文部科学省で動き出そうとしているが、プログラムの単位設定の難しさや重点研究領域をどう設定するかなど、まだ別途検討しなければいけないところもある。
・文部科学省は、科学技術、教育など成果が測定しづらいものを対象にしているので、エビデンスといっても、ともすると論文数や引用数になってしまう。そうではなく、研究評価の領域では「インフォームド・ピアレビュー」というが、その分野の専門家の意見を尊重しながらも、定性的なものも含め、エビデンスをしっかりと入れていくというような発想は常にある。そういう文部科学省ならではのエビデンスをどう考えるか検討を進めていっていただきたい。



(金藤委員)
・厚生労働省等のデータで教育に活用できるものが多々あると思うので、府省間でのデータ共有を容易にできるよう検討いただきたい。
・総務省での会議に同席した際、研究者から、府省に統計データを出してもらう手続きが煩雑で、意欲がそがれるという意見があったので、データ活用を進める方向で検討いただきたい。



(杉谷委員)
・統計分析には専門的知見が関わるので、どういう体制を作って、コストに見合う成果を出していくのかが重要になる。参考資料2(EBPMを推進するための人材の確保・育成等に関する方針(骨子案))において、人材の確保のため若手研究者を任期付職員として採用していくことが強調されているが、成果をどこまで公表して、本人の研究上のメリットとして還元できるか。若手研究者を消耗させるポストにならないか危惧される。
・任期付は昨今の流れだと思うが、落ち着いて研究に、あるいは政策評価に取り組める体制作りを初めに検討いただきたい。



(田邉委員)
・例えばドーピング防止活動によりクリーンなアスリートが増えて、メダル数が上がるなど、事業ごとの評価において、他の事業の影響も見ていくといった各事業の評価の連携が必要である。



(浦野座長)
・もともと官庁ではEBPMの考え方を持って政策立案してきたと思うので、今こういう形で出てくることに相当違和感がある。データやエビデンスにこだわりすぎて、リスクを取ってでも今までと異なる政策をやってみようという意欲がそがれないよう、省内で運用していただきたい。
・企業の例で言うと、店で組み合わせて買われた商品のデータのように、これまで結果として利用されていなかったデータにも目を向けると、新しいものが生まれてくると思う。



以上

お問合せ先

大臣官房政策課評価室