平成22年8月20日(金曜日)14時~16時
文部科学省3階「講堂」
高祖敏明座長、浅井経子委員、家泰弘委員、小杉礼子委員、舘昭委員、田中啓委員、寺崎千秋委員、中西友子委員、星野敏男委員、星野芳昭委員、丸山文裕委員、美山良夫委員、渡辺三枝子委員
清水事務次官、森口文部科学審議官、金森文部科学審議官、前川総括審議官、田中政策評価審議官、山野大臣官房政策課長、渡邉大臣官房政策課評価室長、福澤大臣官房政策課評価室長補佐、渡邉大臣官房国際課長補佐、長坂大臣官房文教施設企画部施設企画課長、久芳生涯学習政策局政策課専門官、三木初等中等教育局初等中等企画課長補佐、佐藤高等教育局高等教育企画課長補佐、山下科学技術・学術政策局政策課長補佐、坂下研究振興局振興企画課長補佐、上田研究開発局開発企画課長補佐、吉田スポーツ・青少年局企画・体育課長補佐、高田文化庁長官官房政策課長補佐
【高祖座長】
予定の時間になりましたので、これより、文部科学省第29回政策評価に関する有識者会議を開会致します。
前回の有識者会議におきまして、委員の皆様からご了承いただきましたように、当有識者会議の議事は原則として公開するということでございます。議事要旨と議事録はこれまでどおり公表させていただきます。資料もホームページに掲載するとともに、一般の方々にも原則議事を公開とさせていただきますので、ご承知おきください。
本日の会議では議題としまして、1つ目が前回に引き続きまして平成21年度の実績評価について、それから、その他としまして2つ目の議題を用意しております。
議事に入ります前に、事務局に異動があったとのことでございますので、事務局からご報告をお願い致します。
【渡邉評価室長】
人事の異動についてご紹介を申し上げます。清水事務次官、金森文部科学審議官、前川総括審議官は、後ほど参る予定でございますので、そのときにご紹介したいと思います。
まず、田中政策評価審議官でございます。
【田中政策評価審議官】
よろしくお願い致します。
【渡邉評価室長】
山野大臣官房政策課長でございます。
【山野政策課長】
よろしくお願い致します。
【高祖座長】
ごあいさつは後ほどいただくことにしまして、まず、事務局から本日配付されております資料の確認をお願い致します。
【渡邉評価室長】
では、資料の確認を致します。座席表と本有識者会議の委員名簿がございまして、その次に議事次第がございます。その次に資料1-1と致しまして、実績評価書の要旨(案)がございます。次に資料1-2と致しまして、非常に厚いものですが、これが21年度実績評価書(案)でございます。そして資料2と致しまして「平成23年度事業評価について」という資料をお配りしております。
過不足等ございましたら、事務局までお申し出いただきたいと思います。
【高祖座長】
委員の皆様、それぞれお手元にございますか。よろしいでしょうか。
それでは早速、議事に入りたいと思います。まず、議事1でございます。平成21年度実績評価について事務局から資料1-1と1-2に基づき、ご説明いただきます。それに基づいて、皆様からのご議論、ご意見をちょうだいしたいと思います。なお、評価書の案につきましては、事務局から各委員の皆様に暫定版として事前送付されております。しかし、それ以降いろいろと書き加えられた点もあるようでございますので、改めて事務局から説明していただきます。お願い致します。
【渡邉評価室長】
では、資料1-1と1-2とございますが、1-2は非常に大部でございますので、専ら1-1を使ってご説明申し上げたいと思います。当然、委員の先生方ご存じのことと思いますけれども、本日は文部科学省が平成21年度に取り組んだ施策についての実績評価を実施したものについて評価をしていただくということでございます。主な内容でございますけれども、13の政策目標とそれにぶら下がる形での47の施策目標ごとに評価を実施するという内容でございます。そして、裏のページにございますが、主な改善点、変更点と致しまして、まず評価結果につきまして、文章化を致しました。これまでのSABCによる単純評価では表現し切れない内容についても、記載できるようにしたということでございます。また、昨年来、事業仕分け、また現在行政事業レビューを行っておりますけれども、それらで指摘を受けた事項につきましては、状況を記載することにしております。
見やすさの観点からの整理として、総務省の主導により「政策評価に関する情報の公表に関するガイドライン」というものを作成致しましたので、これに従い、使用したデータの名前、作成者、作成時期などについて記載をしております。
そして、評価の結果ですが、別添として付けておりますけれども、今まで「順調である」ということばかりが目立っていた部分もありまして、なるべく課題、問題点について明らかになる形での記載を担当部署にお願いをしたところでございます。仮に指標の中でA評価ばかりであったにしても、指標以外の問題点や、今後の実施に当たっての課題も分析し、なるべく積極的に書くということに致しました。これからご説明する内容に課題などがたくさん含まれていたとしても、その施策に問題が多いというよりは、関係部署がこれからの課題をきちんと分析した結果であると事務局としては考えておりますので、そのようにとらえていただければと思っております。
別添資料をご覧いただきながら、具体的な説明を致します。まず政策目標1、生涯学習社会の実現につきましては、全体としては「概ね順調に進捗している」という評価でございますが、例えば教育改革に関する基本的な政策の推進等につきまして、今後はエビデンスに基づく施策立案推進のための教育の費用対効果分析を一層進めることが課題であるということでございます。
また、地域の教育力の向上については、PTA関係団体が開催したシンポジウム数が低下したことや、学校支援地域本部の一本部当たりのボランティアの数が減っているといった課題があると分析しております。
また、家庭の教育力向上について、家庭教育支援チームによる訪問支援手法の開発では、事業が廃止になったため十分な開発を行うことができなかったという課題がございます。
そして、ICTを活用した教育・学習の振興については、エル・ネットのアクセス件数などの伸び率が想定より高くなかったという課題を記載しております。
次に、政策目標2でございます。「概ね順調に進捗している」という状況ですが、一部の施策目標、達成目標については十分に達成できたと言えないものもあるという、かなり自分たちで厳しい評価をしているという状況でございます。 確かな学力の育成については、国内外の学力調査を分析した結果、前年を下回る数値が見られるという課題があるとしております。
児童生徒の問題行動への適切な対応について、「一部については目標に達していない」とありますけれども、例えば認知されているいじめが解消された割合ですとか、地域の関係機関と連携、協力した学校の割合といったものが思ったほど伸びなかったということを分析しております。
青少年の健全育成については、学校以外の公的機関、民間団体等が行う自然体験に関する行事に参加した子どもの割合が、前年度に比べて8.6パーセント減少しているという課題を書いております。
安全・安心で豊かな学校設備の整備推進については、耐震化、耐震診断のどちらも未だ完了には至っておらず、今後も事業の増加が見込まれるということで必要な予算の確保をしていく必要があるという課題を書いております。
教育機会の確保のための特別な支援づくりについて、日本語指導が必要な外国人児童生徒への指導に関しては、調査手法との関係もあり、目標を達成できなかったという課題を記載しております。
幼児教育の振興については、例えば認定子ども園の認定件数ですとか、子育て支援事業における相談や情報提供といったところが不十分であったなど、個々の達成目標については達成できたとは言えないことを評価書の中に書いております。
次に政策目標3、義務教育の機会均等と水準の維持向上については「順調に進捗している」という評価をしております。
政策目標4、個性が輝く高等教育の振興につきまして、全体としては「概ね順調に進捗している」という評価でございますが、施策目標4-2の大学における教育研究基盤の整備につきまして、老朽再生整備や狭隘解消整備などには遅れが見られるという分析をしております。
政策目標5、奨学金制度による意欲・能力のある個人への支援の推進につきましては「想定どおりに達成できている」という評価でございます。
政策目標6、私学の振興につきましては「概ね順調に進捗している」ということでございますが、少子化に伴う18歳人口の急激な減少など、社会情勢の変化といった影響によって帰属収入で消費支出を賄えない学校法人の割合が増加傾向にあるという将来的な政策課題を書いております。
政策目標7、科学技術・学術政策の総合的な推進につきましても「概ね順調に進捗している」と書いておりますけれども、施策目標7-3の地域における科学技術の振興について、取組が不十分である地域があり、それらについては今後改善する必要があると書いております。
また、国際活動の戦略的推進については、国際的な人材獲得競争の激化や、世界の多極化という観点から、さらなる国際活動の戦略的な推進をしていく必要があるという課題を書いております。
政策目標8、原子力の安全及び平和利用の確保につきましては「概ね順調」と記載しております。
政策目標9、基礎研究の充実及び研究の推進のための環境整備については「概ね順調に進捗している」とありますけれども、例えば学術研究の振興につきまして、大学や大学共同利用機関等における研究基盤に対する安定的、継続的な支援、科研費の拡充や制度改革等に取り組む必要があるということを記載しております。
研究成果の創出と産学官連携などによる社会還元のための仕組みの強化につきましては、大学等における企業との共同研究実績が分野全体としては昨年と同程度であったということを書いております。
また、科学技術振興のための基盤の強化につきましては、次世代スーパーコンピュータについて、多様なユーザーニーズにこたえる革新的な環境の構築を行うこととしており、その取組を今後推進していくという目標を記載しているところでございます。
政策目標10、科学技術の戦略的重点化については、全体としては「概ね順調に進捗している」という状況でございますが、例えば情報通信分野の研究開発につきましては、各事業間や他省プロジェクトとの連携を深めつつ、成果利用の効率化が図れるような研究開発を進めていくと書いております。
また、施策目標10-5の原子力分野ですが、事業仕分けにおいて、戦略性・効率性を考えた制度が必要という指摘を受けたことから、事業目的をさらに明確化した上で、例えば将来を担う人材の育成への貢献について採択の観点に入れるなどの原子力システム研究開発事業の改善を行うなど、引き続き効果的な施策の立案推進をするための改善を重ねていきたいということを書いております。
宇宙・航空分野につきましては、GXロケットに関して、事業仕分けの結果を参考に致しまして、当初はGXロケットへの搭載を前提とした予算計上を考えておりましたがこれを見送って、汎用性の高いLNGエンジンの技術を確立するという計画の変更を図ったと書いております。
また、新興・融合領域につきましては、産業界との連携の一層の強化ですとか、各課題間のさらなる相互協力を図り、効果的な成果の創出に努める必要があることを書いております。
次に政策目標11、スポーツの振興でございます。こちらの評価は「順調に進捗している」という反面、今までの取組の中で新たに課題が判明したというところもありますので、それに対して効果的な施策を展開していきたいとしております。
具体的には、子どもの体力の向上について、運動をほとんどしていない層の存在や地域間格差、生活習慣、授業の工夫と体力水準の関連などが調査によって判明しつつあるということで、こうした側面からの効果的な施策を立案、推進していく必要があるという課題を書いております。
生涯スポーツ社会の実現に関しては、総合型地域スポーツクラブの全国展開について、進捗にやや遅れが見られるという課題を書いております。
また、国際競技力の向上につきましては、指標に対する評価はA、A、Sとあるのですが、そもそもオリンピックにおけるメダル獲得率を3.5パーセントという目標を掲げておりますので、これに比べると北京オリンピックにおきましても、バンクーバーオリンピックにおきましても、合わせたメダル獲得率が2.47パーセントにとどまっているという課題を書いております。
次に政策目標12、文化による心豊かな社会の実現につきましては「概ね順調に進捗している」と書いておりますが、芸術文化の振興におきましては、21年度の事業仕分けの結果、例えば学校への芸術家派遣や、子どものための優れた舞台芸術の体験授業につきまして意見があったということで、それを踏まえて事業の見直しを図りながら進めていくということを書いております。
文化財の保護と活用の充実におきましては、文化財行政担当者研修の参加状況が前年度の数字を下回るといった課題を書いております。
また、日本文化の発信及び国際文化交流の推進におきましては、二国間交流を除く国際芸術交流支援事業の申請数が5年間の平均と比較して下回ったという課題を書いております。
最後に政策目標13、豊かな国際社会の構築に資する国際交流・協力の推進につきましても「概ね順調に進捗している」ということでございますが、国際交流の推進に関しては、本来であればレベルの向上を目指していた高校生交流に関しても何とかレベルを維持したと書いているところでございます。
非常に簡単な説明ではございましたが、これを踏まえてご議論いただければと思っております。よろしくお願いします。
【高祖座長】
ありがとうございました。
それでは、議論に進みたいと思います。なるべく委員の皆様全員にご発言をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願い致します。各委員におかれましては、ご発言を2、3分程度でまとめていただき、また事務局の説明や担当課の回答につきましても簡潔にご説明をお願い致します。発言される委員の皆様は、机上の名札を立てていただいて、いつもの通り、私がそれを見ながらご指名申し上げるということで進めていきますので、どうぞよろしくお願い致します。
実績評価書について、これからご意見をちょうだい致しますが、今、ご説明ございましたように内容が大部にわたっております。これまでも行っていることでございますが、皆様のご賛同を得られるようでしたら、4つに分けて進めたいと思います。これから1時間ほど議論のための時間を取りたいと思っております。そのうち最初が生涯学習と初等中等教育に関係します政策目標1から3、2つ目が高等教育関係の政策目標4から6、3つ目が科学技術関係の政策目標7から10、4つ目がスポーツ、文化、国際関係の政策目標11から13と、4つに区分したいと思います。一応それぞれ15分程度をめどに致しまして、全体で1時間を議論に使いたいと思っております。全体に関係することにつきましては、恐らく事例を挙げながらお話しになると思いますので、適宜ご発言いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
では、委員の皆様どなたからでも結構ですので、よろしくお願い致します。
まず、田中委員、小杉委員、お願い致します。
【田中委員】
資料1-1の最初の部分、施策目標1-1の教育改革に関する基本的な政策の推進等についてです。事前に送付いただいた資料では、この文章の最後の部分「今後はエビデンスに基づく施策立案の推進のため」が赤字になっていましたが、これは新たに加えられた文言という理解でよろしいでしょうか。
【渡邉評価室長】
事務局の資料作成段階で、委員の皆様に分かりやすく赤字にしていたものを暫定的にお送り申し上げて、今日は黒字になっているという、それだけでございます。文言としては、確かに前回の会議以降追加されたものでございます。
【田中委員】
前回、委員の方からそういう発言があったことを踏まえての修正かと思います。いずれにしても、エビデンスに基づく施策立案というものは、一般論として非常に重要なことです。確認させていただきたいのは、このエビデンスに基づく施策立案というものをいかに定義されているかということです。これは、かなり幅があると思います。文部科学省として、どのような定義のもとにこういう文言を追加されたのかということをまずお聞きしたいのです。
先に私自身の考えを申し上げますと、一般的にエビデンスという言葉遣いは、政策以外の様々な部分に使われると思いますが、非常に厳密な手法、統計学的あるいは理論的な手法を用いて出た結果という場合に、エビデンスという言葉を使うのではないかと思います。その観点からしますと、この実績評価は、もちろん非常に重要な成果ではありますが、前回私が申し上げましたように、あくまでメジャーメントでありモニタリングであると思います。総合評価は今ちょっと手付かずになっておりますが、やはりエビデンスを産出するものはエバリュエーションであります。あるいは、総合評価でなくてもエバリュエーションという形、つまり、様々なエビデンスを生むような厳密な評価ができると思うのですが、そういうことをきちんとやっていく方向性を示されたのかなと思います。私としては、非常にうれしく考えているのですが、そういう理解で良いのでしょうか。
その上で、もしその理解が正しいのであるとすると、やはり厳密な評価というものは、かなり手間暇や費用がかかりますので、そのための人員や予算を手当てしていただく必要があります。前回私が「リフォーム」と表現した枠組み、すなわち現政権において様々な無駄を排除する趣旨での改革の取組があると思いますが、そこでせっかく無駄を排除したとすれば、そうしたエビデンスを算出するような評価の取組に、ぜひ予算を充てていただきたい。
色々申し上げましたが、まずエビデンスに基づく施策というものの定義について、私の考えも示しましたのでお答えをいただければと思います。
【高祖座長】
ありがとうございました。
小杉委員、どうぞ。
【小杉委員】
私も最初の部分、今の「エビデンスに基づく施策立案の推進のため、教育の費用対効果分析を一層進めることが課題である」というところを読みまして、これ自体は非常に良いことで賛成しますし、こうした反省にのっとって何が課題であるかをここで書くということも大変良い方向だと思います。しかし、この中の記述を読む限りでは、どこからこれが出てきたのか分かりませんでした。全体として、こうした方向性を示すことが大事だとは分かりますが、施策目標1-1に書いてある記述の一体どこからこの話が出てきたのだろうと、根拠となる箇所が分からなかったのです。もし根拠となる箇所がございましたら、教えていただきたいです。そもそも、施策目標1-1にとどまる内容でもないので、違う場で議論してもいいのではないかと思いましたが、一旦ここで意見を述べさせていただきます。
あとは細かいことですが、申し上げます。ある値が低いからそこのところは良くなかった、ということは、今回の評価書ではどこにでも書くようになっているのですが、値が低かったことについての分析を、非常にきちんと行っているところと、あまり分析を行っていない、つまり、ここは悪かったけれどもこっちが良かったからいいよね、という書き方をしているところの両方がありました。悪かったところの分析は当然していると思うのですが、それを書き込んでいないのが少し気になりました。例えば、施策目標1-2の3ページ目を拝見すると、生涯学習フェスティバルに興味が沸いたという回答をした人が少なくなったという箇所があるのですが、一方で、他のところがうまくいっているので、ということで収めてしまっています。このように、悪かった箇所の分析を十分書き込めていなかったところは、ぜひ分かるように書いていただけたらと思いました。
それからもう1つ、これは施策目標2-11のところです。最初の指標には入っていない発達障害等のお話ですけれども、その中で指標においては小中高というものが前面に出た支援の作り方がされております。この中では高校の話が書かれているのですが、実は、大学でも発達障害が疑われる若い人たちが増えていると聞きます。大学に入って障害を抱えた、もしくは、発達障害があるかはっきりさせないまま高学歴段階にどんどん進む、という現象も起こっていると思います。大学で起こっている現象に対して、モデル校の指定が小中学校ではなく高校であるのは、大変大事だと思います。そもそもこの事業は、最初の設計の中では小中学校の方にウエートを置いて評価をしているものです。年齢の進んだ高学歴層にも発達障害が疑われる人がいる、という新たな課題に対して、いかにその評価の中に取り組んでいくかという時に、現在は、具体的に高校の話までは書いてありますが、今後の対応として、大学を含めたもう少し上の段階に対しても、特別支援を考えているかどうかということがここから示唆されます。このような次の指標になりうる芽のような話も、どこかに記載があっても良いと思いました。
【高祖座長】
ありがとうございました。
それでは、最初のエビデンスに関係することをご説明いただけますでしょうか。生涯学習政策局、お願い致します。
【生涯学習政策局】
生涯学習政策局でございます。本日はありがとうございます。
まずはエビデンスベースについてどのようにとらえているのか、ということですが、これという定義をして進めていることは、明確にはないのが現状であります。これまで、ややもすると教育については、いわゆる経験知に頼って実証されていないまま突き進んできたという部分がございます。
やはり、社会が発展をして多様化し、また財政が非常に厳しくなってきている中、しっかり厳しい目で見ていかなくてはいけない、よって、エビデンスに基づいた政策を進めていかなくてはいけない、というのが、文部科学省を含めた政府全体の課題だととらえているところでございます。おっしゃる通り、エビデンスベースで進めるためには、また費用がかかり予算をつけなくてはいけないということで、例えば生涯学習政策局政策課におきましては、調査研究に関する予算を計上しまして、実際に調査研究を進めております。ただ、やはり先ほども申し上げましたように、全政府的に予算が限られていて、特に来年度は厳しいということはありますので、その点に関しましては、できるところから手をつけていくことで進めていくところとなっております。
もう一つ、政策目標1-1の評価に、急に「エビデンスに基づく施策立案の推進のため」という言葉が出てきたのはなぜか、というところでございます。理由としましては、先ほども申し上げたとおり、まず、文部科学省として元々そういう方針で進めていくということであります。確かに「教育改革に関する基本的な政策の推進」と「エビデンス」は、若干直結しづらいところがありますが、施策目標1-1に関しましては、個々の担当課が進めている教育改革を、言うなれば一つの方針にまとめ上げるものです。その趣旨から教育振興基本計画があり、計画に沿って各担当課が進めていく上で最低限必要となる統計調査に関する業務について、評価をする形になっております。おっしゃられるとおり、いきなり出てきたような形のところもございますが、元々施策目標1-1の中には、このようにエビデンスに基づいて行うことを推進するという趣旨が含まれていたという形で、とらえていただけたら幸いです。
【田中委員】
エビデンスに基づく施策については、定義はないというご回答だったと思いますが、定義をしたほうが良いということが私の質問の趣旨であります。どのような定義をするにせよ、希望ベースで進められるほど簡単なことではありませんので、これはご専門の先生方いらっしゃると思いますが、海外で様々な先行事例があると思いますし、きちんと取り組まない限りは、多分かけ声だけで終わってしまうと思います。
たまたまこの部分で出ていたのでご質問しましたが、私は、これは文部科学省の政策全体において、こういった姿勢を貫くべきであろうと思います。なので、そういったことはほかの局でもぜひ取組を進めていただきたいと思います。
【高祖座長】
田中審議官、何かございますか。どうぞ。
【田中政策評価審議官】
少し補足をさせていただきたいと思います。冒頭、評価室長から申し上げたとおり、これまでの評価書は、課題として「概ね順調」などと書いてあるのみで全て終わっていました。今回は、「概ね」をとって「順調に行く」とか、さらにその上に行くためにはどういう手立てが必要なのか、どういう課題認識があるのかということまで書き込もうではないかということで、それぞれのところについて担当で一生懸命考え、書いたという状況です。従いまして、今の先生のご意見等々踏まえて今後そういうことに役立てていきたいと思いますけれども、今回は少し、初めてのチャレンジとしてそれぞれについて書けるところは書いていこうということで、評価としてはチャレンジングな取組ですが、やらせていただいているということであります。
【高祖座長】
ありがとうございました。
今、事務次官はじめ皆様がお越しになられました。お越しを待たずに会議を始めたものですが、早速ですが、ごあいさついただけますでしょうか。
【清水事務次官】
去る7月30日に事務次官を拝命致しました、清水でございます。
政策評価に関する有識者会議ということで、今月はお忙しい中、いろいろお願いしております。今ちょうどご議論いただいている実績評価について、前回もご議論いただいたことを引き続きお願いしておりますし、また近々、事前評価についてもお願いしなければならない状況でございます。
一方、私ども全体として今年度の概算要求は、組替えという新しい枠組みのもとに、今、全体として厳しい10パーセント削減をどう乗り越えていくか、そして、新しい成長戦略を踏まえ、この政権の形を示すためにどういう形の概算要求にするのか、政務三役のもとで鋭意作業を行っている段階でございます。当然その中で、様々な事務・事業をどのような形で組み替えていくかということが、今、必至の課題になっておりますし、そこの中では不要不急な事業の見直し、あるいは再構築ということも入っているわけでございます。実はそれだけではなく、これから「要望枠」を活用して出した事業について、政策コンテストというプロセスも今後ございます。私どもにとっては、これからどういう形でどのような方向でどういうことが課題になるか、まだ見えてきてはいないわけでございます。ただ、これもよくよく見てみると、政策評価そのものであるというわけです。政策評価というものは、この10年間の中で様々な形のものが出ております。ある意味でこの10年間は、評価に関しては過渡的な状況でもあります。まさに色々なご意見をこの会議で賜れればと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
【高祖座長】
どうもありがとうございました。今、お話の後段でございました概算要求や「要望枠」につきましては、2つ目の議題においてもう少しご説明をいただいて、皆様からのご意見をちょうだいすることにしたいと思います。
【渡邉評価室長】
では、先ほど参りました者を、あわせて皆様にご紹介したいと思います。
【高祖座長】
お願いします。
【渡邉評価室長】
金森文部科学審議官でございます。
【金森文部科学審議官】
よろしくお願い致します。
【渡邉評価室長】
前川総括審議官でございます。
【前川総括審議官】
よろしくお願い致します。
【高祖座長】
これからまた、どうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました。
それでは、議事に戻りたいと思います。中西委員、星野委員、渡辺委員、お願いします。
【中西委員】
資料1-1にある評価結果の概要を見させていただき、全体的に問題点や課題が入っており、非常に理解しやすくなり、良くなったと思いました。特に政策目標2のところは、例えば青少年の健全育成(施策目標2-3)の部分は、非常によく書かれており、これが評価の本来の姿だと思うような文章があって良いと思いました。一方、例えば、政策目標1、2、3、4と順に見ていきますと、長さが全然違います。B評価が1つでも付いたところは、非常に良く書かれているのですが、一方A評価やS評価のところは、あまり課題抽出がされていませんでしたので、もう少し書き込んでいただけたらと思いました。特に政策目標3のところは、政策目標3全体の評価と、そのすぐ下にある施策目標の評価とが、全く同じ文章です。ここはSが付いているわけですから、特に何がすばらしいか、良かったのかということを、もう少し加えていただきたいと思います。それから、長さだけが問題ではないと思いますが、全体的な文章バランスを見ると、あまりに短いところもあることが気になりました。
細かいところですが、施策目標1-3(地域の教育力の向上)で、最初に課題抽出として、「一部前年度の指標から数値が低下した部分があるものの」と記載がありますが、もう少し具体的に書いていただければと思いました。
【高祖座長】
ありがとうございました。
では、星野委員、どうぞ。
【星野(芳)委員】
まず、改善点ということで、実績評価自体の工夫の姿勢は非常によろしいかと思っています。ただ2点ほど、全体の話として課題提起を申し上げたいと思います。
1点目は、評価書中にところどころ、事業仕分けや行政事業レビューで指摘を受けた事項と書いてある部分です。これは、細かい事業の切り張りと言いますか、削減の議論に過ぎないので、あまり本質的なことではないかと思っています。むしろこの有識者会議で今まで指摘された事項が、なぜ実績評価書に入っていないのかです。
2点目は、事務次官がおっしゃったように、今日は予算編成の話を議論していただきたいと思っています。1つ考えられるのは、予算の組替えについてです。組替えに明確な定義自体はないですが、要は今までの予算の立て方というものをもっと柔軟に、その予算の構造を変えるということです。ではどのように構造を変えるかというと、1つの答えは、政策目標ごとに予算を組むと考えたらどうかということです。この実績評価書中でも、例えば施策目標1-1で、その中の項目として具体的な達成手段としての事業について21年度の実績があります。たまたま一番初めの事例でいくと、教育改革に関する基本的な政策の推進というものは、3つの事業で4億8,200万円の決算数字となると思いますが、では来年度23年度の概算要求の時にこうした政策目標ごとの数字を並べていって、その合計をどうやって組み替えるかということを示すのが大切だと思います。必要なことは優先順位なのです。優先順位で一番わかりやすいのは「文部科学省の使命と政策目標」における優先順位、これが一番マクロな優先順位でして、まさに教育か科学技術かというレベルです。さらに政策目標の中の各施策目標レベルの優先順位、さらに施策の中の各事業レベルの優先順位という3つの優先順位があります。せっかくここまで政策評価をやって来られたのですから、予算編成につなぐ材料としてこの実績評価書を使っていただいて、一度数字で出していただくということが必要ではないかと思います。今、国の財政状況は本当に厳しいですから、これだけの予算で政策を実行するためにはどこを伸ばしてどこを削るか、その判断の拠りどころが優先順位ということです。そういうことを考えていく必要があるのではないでしょうか。
【高祖座長】
ありがとうございました。後ほどまたこの議題に返るかと思いますが、もしございましたら後でお願い致します。
どうぞ、渡辺委員。
【渡辺委員】
既に先生方ご指摘のように、数字ではなく文章化していただいたことで、非常に分かりやすくなったと思います。また、それが初めての試みということで、先ほどお話がありましたように、幾つか十分に表現し切れていない試み的な文章もお有りになるとは思います。それを承知の上で、3点お話しさせていただきたいと思います。
1つ目は、施策目標2-7の「魅力ある優れた教員の養成」。これは「全体的に順調に進捗している」ということですが、中身を見ますと、要は免許更新制の導入に当たって大学と教育委員会との連携が進んできたことが中心ではないかと思います。それ自身、望ましいことではありますが、タイトルから言うと、魅力ある教員の養成の中身の方が問題なのです。今回はそこまで対象にはなっていないのですが、それを頭に置くと、「3つの判断基準のうち、2つがAで1つがSとなり」という部分をもう少し文章化していただくべきではないでしょうか。例えば、大学と教育委員会との連携が非常に進んでいるとか、ほとんどの対象教員が受けるようになったなどの記載があればと思います。ただ、問題の本質は、評価の記載ぶりを変えれば良いということではなく、プログラムの中身についてなのです。ですから、今後中身の調整も必要になってくるのではないかと思います。それを書くかどうかは別として、今ある評価の表現をもう少し工夫してみた方が良いのではないかと思います。
2点目は、施策目標2-9の「教育機会の確保のための特別な支援づくり」についてです。ここも文章で「概ね順調に進捗している」とありますけれども、「調査手法との関係があって目的が達成できなかった」という文章もあるので、この評価、概ね達成と言っていいのだろうかと思ってしまいます。そして、この「調査手法の関係」といった言い方も、例えば今回はこういう方法だったのでどうだったとか、今後ここは改善したほうがいいとか、何かこの部分をもう少し言葉で表現していただいた方が良いのではないかと思っております。
3点目は、同じく施策目標2-9にある、日本語教育を必要とする子どもたちのための施策についてです。これは海外に派遣する先生の数とか、僻地校とか、夜学の中学校とかの状況は非常に上向きになっておりますが、実はこの文章どおり、日本語を必要とする外国籍の子どもたちの教育というものは、まだ十分ではないようにお見受けします。ですから、その辺りももう少々今後の課題を示すという意味で書き込まれてはいかがかと思っております。
【高祖座長】
ありがとうございました。
浅井委員、どうぞ。
【浅井(経)委員】
私はどちらかといいますと、文章よりもできるだけ数値で表していただきたいと思っております。最初にこの有識者会議参加させていただいた時よりも、本当にきちんと数値で表す取組を進めていただいていますので、それは大変良いと思います。ただ、数値とはやはり難しいもので、これで適切な指標になっているのかどうかについては、まだまだ問題があろうかと思います。そういう意味では文章も必要ではないかと思いますが、いずれにしましてもやはり一番難しい問題は、アウトカムが出てこないということだろうと思います。例えば生涯学習関係では、地域と学校が一緒に活動を行った結果、不登校が全生徒の5パーセントを占めていた中学校が3年間のうちにゼロになっていくなど、そうした本当にすばらしい事例も出てきています。それがなぜなのかということは、私ども研究者が探らなければならないこととは思いますけれども、学校支援地域本部や放課後子ども教室なども同様ではないかと思われますので、もう少し社会に訴える力のある数値が出てくると良いと思っております。
それに関連して、生涯学習について、先ほど担当の方からお話がございましたように大変厳しい状況になってまいりまして、今後どうなるか、案じております。数年前に一部分ご紹介したことありますけれども、個人的に社会教育や生涯学習の効果分析をずっと続けており、今、社会教育事業に参加した受講者・参加者数の効果を分析しています。これは、47都道府県のサンプルですから、サンプル数が決して多くはないですが、参加者が多い地域は、高齢化した地域で犯罪が少なく、ボランティア活動が盛んでもあります。さらに言うと、高齢者の一人当たりの医療費が低い。一方、どちらかというと生涯学習そのものは都市部でよく取り組まれていると思います。そうしますと、社会教育・生涯学習の事業がどんどんなくなっていくことで、今でも地域が崩壊しているという中で、地域づくりが本当に大丈夫なのかという問題が出てまいります。そうした問題を訴えるものを作っていかないと、生涯学習政策が非常に難しくなるのではないかと思っております。
それからもう1点、全体的なことを申し上げます。他の先生方と逆の意見になるのかも知れません、先ほど事務次官のお話がございましたように、様々な形の評価が出てきております。本来でしたら、施策が前に進むための評価であるはずが、評価に振り回されてしまっているという気もしますので、全体の整合性をどのように持たせるか、ということとともに、もう少し簡素化してもいいのではないかと思います。ほかの仕分けやレビューなどとの関係もあろうかと思いますが、評価結果がただ分厚ければいいというものではないのではないかという気が致します。
【高祖座長】
ありがとうございました。
どうしても議事進行は最初の部分が長くなりまして、後の議題の時間が短くなってしまうものですから、それぞれの項目についての改善提案は、事務局から一つ一つ答えをいただく必要は特にないですね。それはそれぞれの部局で受けとめていただき、特にご発言をしたいということがあれば言っていただくこととしたいと思います。
【渡邉評価室長】
全体的なことで1つだけ、よろしいでしょうか。
【高祖座長】
はい、どうぞお願いします。
【渡邉評価室長】
各評価欄の表現については、いろいろとご指摘があり、また先ほど政策評価審議官から申し上げたとおり、試行段階的であることもあって表現が統一されていないところもございます。おっしゃるとおり、うまくいかなかったことの理由や分析、今後の方策まで書いて欲しいという話は、当然各担当に申し上げているところでございますが、簡単に分析ができるところもあれば、容易でないところもありまして、それはだんだん詰めてまいりたいと思っております。また、今回はどちらかというと課題を書いてほしいという話をしておりますので、うまくいっている理由というものは、今まであまり書いておりません。それはまた今後確かに対応してまいりたいと思っております。また数値につきましても、当然できるだけデータを拾っていき、それを見た上で全体を総括するという意味で評価を文章化して書くこととして今回考えておりますので、数値は数値として当然重要なこととしてとらえてまいりたいと思っております。
【高祖座長】
ありがとうございます。
資料1-1の別添「評価結果」の政策目標2の部分ですが、最後の文章に「これらについては今後目標達成年度に向けて取組を更に進めることとしたい。」という、評価というよりも決意表明のようなことが書いてありますが、こういう総論的なことはここには必要ないだろうと思います。
それから、施策目標2-2「豊かな心の育成」の中でキャリア教育のことが書かれています。評価書本体を見ますと「キャリア教育の中核をなす職場体験・インターンシップ」という書き方をしてあるのですが、これは適切ではないだろうと思います。キャリア教育の中心が職場体験、インターンシップだと言ってしまうと、どこの学校もそれを軸にキャリア教育を受けさせることになります。しかし、職場体験等はきっかけであって、それを小学校、中学校、高校、大学のカリキュラムの中にどう統合していくかということが大事ですので、ここの書き方は工夫が要るだろうと思います。
それでは、2つ目のブロックでございますが、政策目標4と5と6、高等教育に関係するところに移りたいと思います。
どうぞ皆様ご発言をお願い致します。まずは星野委員、そして舘委員、お願い致します。
【星野(芳)委員】
全体の話になってしまうのですが、今は一般的に何でも「課題」と言いますよね。実務的な意味での「課題」というのは、あるべき水準と現状との差を言うわけです。それが深刻な場合に「問題」と言い、前向きな言葉で言う場合に「課題」と言っています。ほかの定義があるかも知れませんが、実務ではそのように使われています。また目標という言葉には必ず達成か未達成がついており、未達成の場合の原因が「課題」なのです。そこに重点を置く考えは大変良いと思います。どちらかというと今までは、「達成しました、それはこうやりました」と一生懸命PRしていましたが、それは時間の無駄だと思います。評価というのはやはり「課題」です。その意味で考えると、気になるのは、「順調に進捗している」とはどういう意味なのかということです。「進捗」とは何ですか。むしろ達成したかしないかということが実績評価の基本です。進捗しているかどうかということは、「課題」に向けて一応手を打っているという意味合いになり、少し次元が違うと思います。ですので、その部分の基本設計をもう一回しっかりやり、周知徹底することが、実績評価をレベルアップすることになると思います。そうすれば浅井先生が言われるように、大事なことが見えて余計なものは無駄になるので、かなり簡素化ができると思います。簡素化と手抜きは違います。手抜きしないでなおかつ無駄を省くとしていただきたいということです。
【高祖座長】
ありがとうございました。
舘委員、どうぞ。
【舘委員】
数値をきちんと使ったり、文章化を試みたりしておられるので、それゆえに目立つところも出てくると思うのですけれども、施策目標4-1「大学における教育研究の質の向上」で最初の達成目標4-1-1の判断基準イ、ロで「改革の進捗」と特に「英語の授業」のことが目標になっていて、2ページ目に指標が示されています。指標を数字化するときには「数字の意味が目的に沿っているか」ということが必要であると思いますので、その観点から申し上げます。
まず、例えば、カリキュラム改革を行っている大学数については、ずっと続けておられる「大学における教育研究の改革状況」のデータとしては採っておられます。しかし、カリキュラムは、変えれば良いというわけではないですよね。逆に言うと変え過ぎになるかもしれない。この指標は、あまりカリキュラムについて各大学の変化がない時代に立てたのかも知れないですが、もしすべての大学が毎年カリキュラムを変えていたら少し変え過ぎではないでしょうか。ただし、これは「大学のどこかでは変えている」という意味かもしれません。これは今、例として申し上げているのですが、改善状況の把握に使われているこの調査の内容が現在どういう意味を持つのか、疑問です。例えばFD(ファカルティ・ディベロップメント)の実施率は、スタートの時の指標としては良いと思いますが、今やFDに取り組んでいない、大学改革していない大学はないわけです。そうした状況において、どのような指標を使えばポジティブな改革が見えてくるのか、そこまで考えないと、ただ指標の数字が高いから良いとか、低いから悪いとか言えないような気がします。
それから、今の施策目標4-1の2ページ目に挙がっている指標について申し上げますと、6から9のところは、データソースが違うせいか大学数と割合が両方載っていないものがあります。これは一見したときにはどうして片方にしかないのかと思ってしまいます。
最後に、判断基準ロの英語に関しては、星野委員のご指摘にあるように「進展している」と評価されていますが、数字を見る限り、割合が減っているところがあります。確かにダブル・ディグリーの数だけは少し増えているような感じではありますが、進捗しているように見えないと思います。
このように、指標をそのままとらえても評価のとおり読めないということで、3種類の問題提起をさせていただきました。
【高祖座長】
ありがとうございました。
では丸山委員、どうぞ。
【丸山委員】
政策目標間の関連性について一言コメントさせていただきます。例えば、高等教育の分野、政策目標5は奨学金についてです。政策目標6は私学の振興です。私学の振興について読んでみますと、専ら私学助成の効果によって評価されています。しかし、私学振興というものは、大学という機関に助成する私学助成だけではなくて、奨学金という個人助成を経由しても、間接的に振興がなされていると考えられますので、例えば政策目標6の私学の振興の部分に「奨学金によっても間接的になされている」という記述があってもよいかと思います。記述のないことは、もったいないような感じがします。ここだけではなく、ほかにも目標間の関連性を記述するところがあれば、良いと思いますので、次回にでも目を配っていただきたいと思います。
【高祖座長】
ありがとうございました。
先ほどの星野委員からございました、「順調に進捗している」という表現と目標の達成度を見る評価との違いについてはどう考えているか、この質問に事務局からお答えください。
【渡邉評価室長】
まさに星野委員のご指摘のとおりだと思います。ガイドライン的な表現方法について、事務局で詰めが甘かったということがございますので、文言を事務局で詰めさせていただいて、適切な表現というものを考えていきたいと思います。
【田中政策評価審議官】
予算との関連ですが、政策目標4、5、6の関連性が見えにくくなっているというご意見は、予算事項と施策を対応させてこの評価を作っており、予算の観点から事項を切っているため、そういう印象を持たれるのかという気が致します。そこを変えられるのかどうかという点は、工夫をしてみます。しかし、今の評価書の事項立ては、予算とリンクしていることで見やすいように整理していることをご理解いただければと思います。
【高祖座長】
よろしいですか。ほかに高等教育に関連して、何かございますでしょうか。
指標について幾つか指摘がございました。例えば先ほど施策目標4-1に関連しまして、FDについてのご意見が出ています。一方、数年前から「教職協働」という言葉が随分言われていまして、これは教員と職員が一緒に仕事をするという意味です。大学はどうしても授業を担当する教員が主に教育を担うというのがこれまでの通例でしたけれども、最近は職員の役割にも非常に力が入れられています。FDに対してSDということが言われ、大学によっては職員が大学のマネジメントをやっていくと言っている大学すらあります。そうしますと、各大学の中の改革状況を調べていく場合に、職員がどのような位置づけでどのような役回りを果たしているのかについて見ていくことも、1つの大事なポイントになっていくだろうと思います。
それから政策目標6、私学の振興につきましては、前回も図書館の電子化の問題など幾つか申し上げたのですが、改めて見てみますと、例えば定員超過率を指標とする判断基準において、今もって150パーセントを超えた大学の数が幾らかという見方をしています。舘委員のおっしゃるとおりで、この評価を始めた当初は、定員超過150パーセントを超えているかどうかという指標で良かったかも知れません。しかし今や、私学助成も超過率を下げて査定するという時期ですので、例えば130パーセントに切り替えた指標を立てる等の工夫が必要だろうと思います。該当する大学が1パーセントにも満たない数字が並んでいるような今の統計資料では、これは指標とは言えないだろうと思います。やはり時代の動きに応じて指標をどんどん読み替えていく、作り直していくことが必要です。実際の動きをしっかりと押さえていく工夫が要ると思いますので、ぜひ検討をよろしくお願いしたいと思います。
それでは、議事を進めてよろしいでしょうか。
【星野(芳)委員】
高祖先生のお話で思い出したのですが、施策目標4-1を拝見して、評価の欄では「5つの達成目標を設定しており、すべての目標を概ね達成できている」と言っていますけれども、この達成目標は21年度のものですよね。ですから、表現としては「概ね達成できた」と表現して、かつその5つの達成目標に対して表をつけた方が分かりやすいのではないでしょうか。「5つの達成目標を設定しており、すべての目標を達成できている」という表現ですと、中身は先まで読んでいかないと分からないですので、評価欄と達成目標の間に一覧表を作ったほうが分かりやすいのではないかと思います。
【高祖座長】
ありがとうございます。
それでは、政策目標7、8、9、10の、科学技術に関連する部分に移りたいと思います。では、まず家委員、どうぞ。
【家委員】
3点、申し上げさせていただきたいと思います。
まず、政策目標9の基礎研究の充実や基盤整備について、評価として「基盤の強化は、概ね順調に進捗している」という、ほかの部分と同じような表現があるのですが、この評価というものは、努力評価なのか、結果評価なのか。努力評価だとすれば、私はこれに賛成なのですけれども、結果評価だとすると、ほとんどの大学関係者は「順調に進捗している」という評価にはとても同意できないと思うのです。そう思って、厚い実績評価書本体の施策目標9-1に書かれている判断基準を改めて拝見しますと、達成目標9-1-1の判断基準イについて、A評価は予算に関して対前年度比95パーセント以上110パーセント未満だと「着実に確保された」という基準になっているのです。ところが、実際に大学関係者の話を聞くと、予算が対前年度比マイナス5パーセントというのはとんでもない話でありまして、これで「着実に確保された」という判定ではとても同意はできないと思います。もちろん政府全体の政策という大きな枠組みの中での文部科学省の活動ですから、そういう意味において、努力評価としては大変よくやっていただいたと私は思います。しかし、かつては効率化係数マイナス1パーセントがあり、それが政権交代を経てなくなると思ったら未だに予算削減の動きがあるわけで、大学の現場の立場から言うと、科学技術振興のための基盤の脆弱化が順調に進行しているというのが実感ではないかと思います。
2点目ですが、施策目標7-5として、科学技術の国際活動の戦略的推進が挙げられています。この項目は非常に大事なことでありまして、注目して見ているのですが、そこに書かれている評価指標というのは、協定締結の国が増えたか、合同委員会が開催の数が増えたか、国際交流の状況が非常に活発に行われているか、といったものです。統計の話ですから外形的なものになるのはある程度やむを得ないかとも思うのですが、これらは非常に外形的な話で、戦略的推進という観点からするとやはり中身が大事だと思うわけです。私は、前回の有識者会議を途中で退席しましたので、後日メールで申し上げたことなのですが、国際活動の戦略に関する1つの重要な観点ではないかと思うのは、学術成果のアウトプットである学術誌の国際戦略というものを我が国の国策としてどのようにしていくのかということです。このことが今、非常に危機的な状況にあるということは多くの方々が認識しておられるかと思います。
それから最後に全体的なことを申し上げます。先ほど浅井委員がおっしゃったことに私も賛成で、この評価に関することをまじめにやるのは非常に大事なことではあるのですが、これにどの程度の労力をかけておられるのかということが、大変気になっています。恐らく、多くの方のかなりの時間を費やしてこれを作成されていると思うのですが、そのために犠牲になっているものは何だろうかということを一度考えておく必要があるのではないかと思います。
【高祖座長】
ありがとうございました。今の家委員のご発言について、研究振興局、どうぞ。
【研究振興局】
今、家先生からご指摘いただきました、学術研究の振興の判断基準、目標の判断基準について予算措置状況をベースにした基準の設定を行っていることにつきましては、ご指摘を踏まえましてさらに工夫をしていきたいと考えております。もう一点、学術誌の国際戦略についてご指摘いただきました。日本発の一流のジャーナル誌、英文のジャーナル誌を作っていくことは非常に重要な取組でございまして、これまで文部科学省としても様々な形で支援をしてきたところでございます。しかし、まだなかなか具体的な形になっていないという状況を認識しておりますので、引き続きしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。
【高祖座長】
ありがとうございました。
ほか、続けてございますか。どうぞ。
【科学技術・学術政策局】
科学技術・学術政策局でございます。同じく家委員からご指摘いただきました学術誌も含めまして、科学技術の国際戦略について中身が大事だという点につきましては、全くご指摘のとおりでございます。なかなかこの文章にどこまで盛り込むのかという工夫につきましては、直ちにできるところと長期的に各国の事情や複合的な動きを見るべき部分等様々なものがございまして、どういったバランスで書くべきか、我々も工夫をしていきたいと思っております。
【高祖座長】
ありがとうございました。では事務局、どうぞ。
【渡邉評価室長】
本日お休みされておりますが、浅井彰二郎委員から書面でのご意見が2点、届いておりますので、ご紹介を致したいと思います。
まず1点目、施策目標10-4のナノテクノロジー・材料分野につきまして、「ナノテクノロジー・材料分野を中心とした融合新興分野研究開発」における研究拠点形成型のプロジェクトとして、平成17年年度から21年年度まで実施された東京大学のナノバイオ・インテグレーション研究拠点は、東大が持つリソースを集めて医療の方向付けに非常に巧みに組織化されている。研究成果について、既に治験に入っている医薬、遺伝子送達高分子ミセルなど、独創的で実用化の期待も高い成果を得られている。文部科学省の事業としては21年度で終了してしまったのですが、このような特に優れた研究拠点というものは、COE施策を含めて実施された拠点計画の中から少数を選び出して、継続的に育成をすることを考えていってはどうかということが意見として述べられております。
2点目は、地域における科学技術振興についてです。施策目標7-4でございますが、地域科学技術については事業仕分けの対象となってしまいましたけれども、今後は大学や高等専門学校などが核となって地方の特色を生かした研究開発活動を、文部科学省としての関与を続けながら、引き続き実施する必要があるのではないかという意見が届いておりますので、ご紹介致します。
【高祖座長】
ありがとうございました。
では、中西委員、美山委員、どうぞ。
【中西委員】
先ほどの学術誌の件に関連してですが、今、科学技術の振興で一番問題になっていることの1つが、科学雑誌を地方の大学で読めなくなっていくことです。科学技術・学術審議会でも野依良治会長はじめ非常に危惧を持っておられますが、ある大手の会社が科学ジャーナルを独占しており、毎年値上げをしていく状況にあります。もともと科学雑誌には研究者が互いの研究成果を知るために載せるという営利目的ではないことのために設立されたものです。しかし良いジャーナルを独占した企業に、日本中、学術誌雑に莫大なお金を払っています。大きな大学でも部局別ではなく一括して購入するか等、様々な検討が動いてはおりますが、学術誌に多額のお金を出すことができない小さな大学では、そこの研究者は情報が得られないのです。科学技術は過去の実績の上に発展していくものです。そこで、研究の場に立つ人が全国一律、どこにいようとも同じ情報が得られないと、科学技術の進展に大変なマイナスになると思います。また、大学関係にはディスカウント価があるのですが、企業の研究所ですとそれよりもっと高額になります。企業の研究者もこれまで、基礎研究に多大な寄与をしてきました。例えばITの基礎研究は概ね企業で行われました。それらの人たちが後に大学の先生に移ってさらに研究を進めたケースも多く見られます。企業も含めて日本の科学技術をどのように発展させていくかに当たっては、科学技術情報である科学ジャーナルをいかに皆が安く得ることができるかが、とても大切なことだと思います。そのためにはしっかりと、国際戦略ということだけではなく、国が音頭をとっていただきたいと思っています。韓国では、国が取り組んだと伺っています。また、例えばカリフォルニア大学では『Nature』誌等の購読停止など、様々な動きがありますので、学術誌のことはぜひどこかできちんととらえていただければと思います。
【高祖座長】
ありがとうございました。
では、美山委員、どうぞ。
【美山委員】
今、ジャーナルのお話がありまして、そのことは切実に感じていますが、今もうお話になられましたのでそれは置いておくことと致します。
政策目標12、文化による心豊かな社会の実現から指摘させていただきたいと思います。例えば施策目標12-1の7ページ目、アートマネジメント重点支援事業に関する文章を読みますと、「大学等に本事業を周知し、教育機関と現場との連携を図った。」というところで文章が終わっています。大学の立場で言うと、実際に現場との連携を行う場面でなかなかうまく行かないということも多いのであって、うまく行かなかった理由ですとか、あるいは逆にうまく行った理由ですとか、そこまで書いてもらわないと評価ということにはならないと思います。やりましたということだけではなく、やってどうなのかというところが一言ないといけないのではないでしょうか。このことは、この部分だけではなくほかの部分でも散見致しますので、今後、書き方として工夫をする必要があるのではないかと思います。また、これを事業仕分け等の観点との関係で言うと、こういった文化関係の事業の場合、効果がすぐ表れるものではない、あるいは数字化しにくい部分があるので辛い側面があり、だからこそ余計にそのような書き方の工夫は必要だと思います。
そうした趣旨からしまして、今度は施策目標12-1の2ページ目をご覧いただきたいと思います。メディア芸術分野の創造的活動の活性化推進はもう何年にもわたって行われているものですが、その指標として、文化庁が主催するメディア芸術祭への応募数、来場者、満足度といったものが挙がっています。指標には、何年にもわたって一貫した指標を使い比較をしていくべきものと、新たな指標を付け加えていく方が効果的なものがあるのではないかと思います。とりわけメディア芸術に関して言えば、その活性化をメディア芸術祭だけで図っているわけではありません。本来、これはメディア芸術祭を振興するための予算ではなく、メディア芸術全体の底上げや振興を図っていく目的なのですから、メディア芸術祭だけの推移を見るのではなく、その後どうなったのかを追う必要があると思います。例えば、大学の中でメディア芸術関係の学科やコースがここ最近増えていることや、それからこの夏は特に顕著でしたが、公立の博物館・美術館でメディア芸術関係の展覧会が増えたことなどを見ても、それだけ国民的な関心が広まっていると言えるわけです。『博物館研究』誌を読んでそれだけで分かるデータもありますので、そうした国民的な関心が高まっているとか、教育の中でもそれが広まっているということも、メディア芸術祭のことだけではなく、メディア芸術の振興の指標としてとらえた方がより説得力があるのではないか思いますし、また、次年度以降の説得力ある説明材料にもつながると思っております。
【高祖座長】
美山委員からは、もう4つ目の課題に切り込んでいただきましたので、4つ目も含めて委員のご意見をお願いします。
小杉委員、田中委員、お願い致します。
【小杉委員】
施策目標7-1について、21年度で終わる事業として地域産業の担い手育成プロジェクトや、専門高校等を対象にした「目指せスペシャリスト「スーパー専門高校」」が挙げられています。これらモデル事業は、モデルとして終わった後にどう波及効果を及ぼすか、あるいは同じモデル地域で継承されていくか、そのような事後の観点が大事なのではないかと思います。例えば地域産業の担い手育成プロジェクトは、それ自体は高校からも非常に高い評価を得て、地域の産業界からも高い評価があるのですが、この事業が終わった後にそれがどのように地域に継続されるかとか、あるいはほかの地域に伝播するとか、文部科学省としてはそれをフォローしておく必要があるのではないでしょうか。例えば、結果として文部科学省がモデル指定しなくなったら全部なくなってしまったということが起きたとしたら、それに対してどういう対応が必要なのかを考えることとなり、次につながるのです。21年度で終わるものについて、特にモデル事業については、その後についてぜひフォローすることを考えていただきたいと思います。
【田中委員】
全体に関わる点として、2点のことを申し上げます。
1点目は、先ほど星野委員からご提案があった件に関してです。星野委員のご趣旨は、各施策目標で設けられている評価欄は、実態としては施策目標ごとに設定された指標や目標値の達成状況によって判断されているので、その積み上げとして指標を達成したことを示す表を作り、その下に指標を並べた方がいいのではないかということと思います。これは今の実態として、評価の内容がまさにそうなっていますので、その意味では妥当な指摘かと思います。ただ、あくまで各施策目標において、その施策目標のパフォーマンスを評価するために無理やり各施策目標とも幾つかの指標を選び、それによって無理やり評価してしまっているということも実態なのです。ですから、そこにある目標値や手法だけをもって評価結果を総括してしまうと、施策目標の真の評価にならない側面がありますので、実態としては全く星野委員のおっしゃる通りですが、むしろそうすべきでないと私は考えます。
2点目として、先ほどから私が気になっておりますのは、評価室長から各課にこう書いてほしいとお願いしているという表現があることですとか、あるいは内容について書きぶりが云々という様々なコメントがあったことについてです。考えてみますと、これはあくまで各課で行った評価の報告様式だと思っています。ですから、この「書きぶり」イコール「評価」であってはならないと思うのです。実態として難しいのは分かるのですけれども、理想論を言うと、各課で様々な評価活動を行って、その結果としてこの様式に収まったものが報告事項として入っているととらえるべきだろうという意図です。もちろんこの様式を見ながら考え、評価するということはあっても結構だと思いますが、間違っても、評価というものが、毎年一定時期にこの様式を担当者に配って記入させて上司の方がちょっとチェックをしてとりまとめて終わりという形になってはいけないと思うのです。
文部科学省でも恐らく、いわゆるPDCAサイクルというものを志向されていると思いますし、以前からPDCAという文言は何度か出てきていたと思います。言うまでもなく評価がC(Check)であって、評価がないとその後のA(Action)につながらないわけですから、PDCAのCとAというのは、とても重要なのです。先ほど家委員から、今行われている評価は費用対効果の面で良いものなのだろうかというご指摘があって、まさにその通りだと思います。そのような懸念が出る状況ですので、私は手間暇かけてもやった価値があるような評価にしなくてはいけないのではないかと思います。事務次官もいらっしゃるのでぜひ申し上げたいのですけれども、評価を担当されている各担当者の方が十分に時間をかけて評価を行い、その結果を課内で共有・議論して、その結果をきちんと評価として入れて、それを省内で使うという仕組みにぜひ変えていただきたい。極端な話、評価ウィークのようなものを作って1週間丸ごと課を挙げて評価に取り組むような、要するに予算作成の際に皆さんが努力されるくらいのウエートを持ってやるぐらいの価値があるのではないでしょうか。逆に言うと、そこまでやらなかったとすれば、家委員がおっしゃったように、やった割にはあまり意味がないという懸念も出かねないと思いますので、かなり難しい要求であることは分かっておりますが、今まで出ていない視点だと思いますので、敢えて申し上げたいと思います。
【高祖座長】
ありがとうございました。
星野委員、一言ございますでしょうか。
【星野(芳)委員】
施策目標7-5、先ほどお話にも出た科学技術の国際活動の戦略的推進についてです。科学技術の国際化ということも戦略的推進ということも表に出ているわけでして、評価書には「戦略的な国際共同研究や政府間会合を通じ」という表現も見られますが、その中のポイントはやはり戦略的な国際研究とは何か、何が達成目標とつながっているということでして、そこがどうもよく見えない。そのことを考えるのは、政策評価の仕事ではなくて、本来の主管課の仕事ではないのですか。書き込まれる評価の言葉と普段やっている仕事の実態がかけ離れていること自体おかしな話でして、それならば評価はもっと簡素にすべきです。評価書が単なる書くための資料になっているとすればそれこそ無駄です。考えたことをまとめる、説明するという努力をしているかどうかということです。今日は多くの部局の方が来ていらっしゃるので全体に申し上げますが、そこは本当に仕組みの運用の部分として徹底していかないといけません。人事異動もあるわけですから。結局、良く見せるために一所懸命文章を作って、最後に評価室でちょっと虚飾を書き加えることで終わったら、全然意味がないのです。
戦略的な推進とは何かを、きちんと答えるようにしてください。それは政策評価でなくても、本来の文部科学省の職員としての使命ではないですか。これはたまたま事例で言っているだけでして、特に答えは結構なのですが、ぜひ考えてください。
【高祖座長】
政策評価の仕組み、やり方についてかなり多くのご意見が出ましたけれども、では田中審議官からお答えください。
【田中政策評価審議官】
まず1つは、正直に申し上げて、指標の取り方を何とか数値化しようという流れがあるものですから、数値化しやすいところを指標にしてしまうという点がありがちではあります。特に文部科学省が取り組んでおりますものは、そんなに早急に成果が出るわけではないものも多い。しかしながら、毎年評価をしなければいけない。その関係の中で、全体体系の中のある部分、それが全体の中心であるかどうかということよりも、まず成果が目に見えやすい、数値化しやすい性質のものを選ぶ傾向があります。そうならないように我々も全体を見ておりますし、数値化しようと思って出てくる指標が全体の政策体系の中のほぼ総体を覆えるようなものに、今後もしていきたいと思っております。
もう1つ、政策評価だけを切り出して何かに取り組むというよりも、予算要求をしながら評価もしながら、と一体で進んでいる部分があります。その時には数字を作って電卓計算する一方で、同時に評価を経てここは削るべきという作業もしながら、結果的に予算なりこの評価書なりに反映するという作業をしていることは、お伝えしたいと思います。
【高祖座長】
ありがとうございました。
それでは、星野委員、浅井委員、お願いします。
【星野(敏)委員】
全体的な話になるかと思いますが、政策目標4や政策目標11、スポーツ・青少年教育の視点から見た時に、評価の枠組みの発想を少し変えられないかということをずっと感じていました。予算が先か、事業が先かはちょっと分かりませんが、例えばあるところでは体力測定の結果、あるところでは体験活動の回数と、様々な視点で評価をやっていますが、子ども・青少年の立場から見ると、トータルが見えてこないような気がします。子ども・青少年という全体像から見たときの評価の視点というものを、どこかに作れないかという気がしています。もちろん文部科学省の枠組みの中ですので、限界があるかと思いますが、多分他省庁でも、農業体験をどれくらいやったことがあるかとか、川で遊んだことがあるかとか、様々なことが行われていると思います。私から見ると、そうしたものがバラバラに評価されている気がするので、ぜひ新しい評価の枠組みを考える時に、少し枠組みそのものの視点も変えるような大胆な発想でやってもいいのではないかと思います。
2点目は、大学教育の部分に関して、今まで評価したことのない評価指標というものの必要性が出てくるのではないかという気がしています。例えば、先ほどキャリアデザインの話や、支援を必要とする学生の話が出てきましたが、私が現に関わっている大学でも、例えばアスペルガー症候群の学生向けの授業ですとか、あるいは相談室ですとか、盛んに取り組んでいまして、恐らく多くの大学でも個別に対応していると思うのですが、全国の大学でかなりの件数があるという話は聞いています。ですから、それがどのような対応をしているのか、どれくらい対応に苦慮しているものか、例えばそういう評価が今後必要になってくるのではないでしょうか。今まで小学校、中学校、高等学校等で必要とされていた評価指標が、どうやら大学へも移ってきて必要となっているという気がします。
もう1つは、事件絡みですとか、これは個人情報保護の問題や、相談室関係の秘密の保持のことがあって、なかなか表には出にくいことなのですが、恐らく多くの大学がかつて抱えていなかったような問題を、今、多くの大学が抱えて苦労されているのではないかという気がします。そうしたことは文部科学省がやるべきことなのかどうかちょっと分かりませんが、そういった意味から新しい観点での指標のとらえ方というのも考えていく必要があるのではないかと、これを見ながら感じていました。
【高祖座長】
ありがとうございます。
では、浅井委員、どうぞ。
【浅井(経)委員】
先ほど星野(芳)委員がおっしゃられたことは、本当にそのとおりだと思います。努力目標としては今の評価は良いと思うのですが、どう考えましても、担当者の方々が目指されているものの目標設定とそれをどこまで達成できたかということの評価をきちんとやっているのだろうかと感じざるを得ません。読んでいても、書いてあること自体はその通りなのでしょうが、狙っていることはもう少し違うところにあるのではないかという気がいたします。A評価やS評価が非常に多いわけで、これがAやSを出さないと事業自身が成り立たなくなるというようなことも聞きます。ですから、本来これは改善のためにやるものだというところに改めて持っていければ良いと思います。ほかにも幾つもの評価が出てきているのですから、そこを整理して、少しでも良い形にして、かつ、簡素化をしていただいたほうが良いだろうと思っています。
【高祖座長】
ありがとうございました。
最後の4つ目のグループについて、発言があまり多くありませんが、よろしいでしょうか。どうぞ、中西委員。
【中西委員】
書き方について、気になった点を指摘させていただきます。
政策目標10のところは、「概ね順調」と「順調に進捗している」が混ざっています。すべてA判定に基づく表現なので統一して欲しいと思いました。実は前もっていただいていた資料では、政策目標2も混ざっていたのですが、今日改めていただいた評価書では、全部直っていました。
それから、施策目標11-3、スポーツ振興における国際競技力の向上についてです。これは目標値としてメダル獲得率3.5パーセントと書いてあったのですが、評価欄の前半では「2.47パーセントにとどまっている」、後半では「一定の成果も見られる」となっています。もう少し書き方を工夫して、目標には至らなかった課題を書く必要があるのではと思いました。
最後に、施策目標13-2の国際交流の推進についてですが、(A、B、A)とここにはB評価があります。他の部分を見ますと、B評価があるところには課題を様々に書いてあるように思いますので、ここもぜひ書き足していただければと思います。
【高祖座長】
ありがとうございました。
恐らく、各部局の方々も色々とご発言したい気持ちがあるかと思いますが、今日委員の皆様がおっしゃったことをぜひ受けとめていただいて、より工夫していただくよう、お願いしたいと思います。委員の皆様におかれましても、まだ言いたいのに時間がないと思っていらっしゃると思いますが、この実績評価についてはもう少し手を加える時間があるようでございますので、この会議の後でも事務局にご意見をお伝えいただきたいと思います。今、中西委員がおっしゃったような表現上の問題も含めてご指摘いただければ、より良いものができますので、どうぞよろしくお願い致します。
では、先ほどから予算との関連の話が出ていまして、その関係の資料を用意しておりますので、そちらに移らせていただきたいと思います。
資料2、平成23年度の事業評価についてです。まずそちらの説明を事務局からしていただいて、残った時間に委員の皆様からのご意見をちょうだいしたいと思っております。よろしくお願い致します。
【渡邉評価室長】
事業評価について、本日は内容をお示しできなかったのですが、概算要求の現在の状況や、このようなことを評価したいということにつきまして、資料2に基づきご説明したいと思います。
まず、本年7月27日に「平成23年度予算の概算要求組替え基準」というものが発表されております。この内容ですが、「元気な日本復活特別枠」というものが設定されておりまして、これが1兆円を相当程度に超えるものとなっております。資料2の最後のページに横長の資料がついておりますが、これは当省の概算要求組替え基準についての考え方でございます。まず、一番左端に日本私立学校振興・共済事業団補助とあります。これは、要するに年金や医療関係については、基本的に必要額を要求しようというものでございます。次に高校の実質無償化、これは現政権でのマニフェストに基づく重要事項ということで、これについても必要な額を要求するというものです。その他の部分、義務教育費国庫負担金からずっと右に並んでいる部分につきましては、基本的に9割を基礎額として要求するということでございまして、その上でさらに「元気な日本復活特別枠」というものが、基本的には10パーセントの部分について「要望」枠として要求するということになっております。9割よりもさらに削減すると、より多くの「要望」枠ができるということもございます。これが基本的な考え方になっております。
資料2の3ページ目に、当省に示されている基本的な金額がございます。概算要求枠が4兆9,798億円、「要望」枠が5,090億円でございます。この他に日本私立学校振興・共済事業団補助があり、総額5兆5,926億円という額で、現在様々に検討しているという状況でございます。
資料2の2ページ目に戻っていただきまして、この「要望」の内容につきましては、マニフェストの実現ですとか、デフレ脱却・経済成長に特に資する事業、雇用拡大に特に資する事業、また人材育成、国民生活の安定・安全に資する事業ということで「要望」ができることとなっております。当省はやはり、人材育成の部分ですとか、科学技術に関して経済成長に資する事業という観点から「要望」ができるかどうか、検討を進めている状況でございます。今後の配分については、国民に開かれた形で「要望」政策の必要性や効果などを説明した上で、外部の意見なども踏まえて政策の優先順位づけを行う「政策コンテスト」を実施するとあります。その上で、最終的には総理大臣の判断によって予算の配分を決めるということになっております。
このような内容のもと、もう8月20日ではございますけれども、検討をしているという状況でございます。このうち、どういうことを今年度の評価対象事業として考えているかといいますと、まず「政策コンテスト」に出ていくことから、「元気な日本復活特別枠」を活用した要求・要望をする事業については、評価をしていこうと考えております。その他、いわゆる9割の中に入っているものにつきましても、その中で1億円以上の規模の新規事業でございますとか、拡充事業であっても内容に新規性があり、かつ1億円以上程度増額するものがあれば評価をしていこうということを考えております。
これが予算としての評価対象事業でございまして、また税制につきましても、今年度の税制改正大綱で法人税、法人事業税、法人住民税に関しましては評価をするようにと定められておりますので、その部分についても評価をしていくことを考えております。
また、評価書を作成するに当たっては、今日も様々にご議論いただきましたけれども、成果目標や指標について、できるだけ具体的に考えてくださいというお願いを今、申し上げているところでございます。そして、評価書を取りまとめまして、ちょうど10日後の8月30日、13時からまた有識者会議でご意見をいただければと考えております。この時には概算要求がまとまってない段階でございますので、内容については非公開でのお願いということもあろうかと考えているところでございます。
【高祖座長】
ありがとうございました。
予算編成についても、事業評価書についても現在作業中ということで、なかなか今日これから議論しても深まらない点もあろうかと思いますが、今の説明によって基本的な考え方をお聞きになった上で、これから事業評価書を作っていく場合にこういう点を注意してほしい、こういうことを取り組んで欲しいということついて、ご意見を委員の皆様からちょうだいしたいと思います。
まず星野委員、どうぞ。
【星野(芳)委員】
資料2の最後のページ、文部科学省における概算要求組替え基準の姿に全政府の中で文部科学省予算のウエートが20パーセントを超えています。今日は政策評価の有識者会議なので、実績評価の中でそれぞれ事業が出てきました。冒頭に私が申し上げたように、インプットの部分を集めると事業費になります。この場では21年度分しか資料がないのですが、これを集めたものは、この資料の中のどこに入るのですか。つまり、スポーツ関係予算、文化・芸術関係予算、公立学校施設整備、エネルギー対策費、科学技術振興費、私学助成、国立大学法人運営費、義務教育費国庫負担金のいずれにも入らない予算、その関係が分からないのです。政策評価で扱う予算、決算とこの概算要求組替えの比率というのが、政策評価だと何パーセントまでできるのかどうかです。
【渡邉評価室長】
実績評価につきましては、この予算には全部、一応対象に入っております。
【星野(芳)委員】
職員の人件費も入っていますか。
【渡邉評価室長】
人件費は、当然これらの事業を行う上での人としては対象となっております。
【田中政策評価審議官】
おっしゃっている人件費というのは、我々の人件費ですか。
【星野(芳)委員】
そういう意味です。入っていないでしょう。
【渡邉評価室長】
政策目標ごとに、例えば政策目標1の生涯学習社会の実現であれば、生涯学習に関する予算が大体ここに収められている形になっています。おっしゃるような人件費は厳密に言えば含まれていないかも知れませんが、事業費については、この政策のどこかに入っているという状況でございます。
【星野(芳)委員】
例えば、義務教育費国庫負担金はどこの施策にあるんですか。
【渡邉評価室長】
政策目標3でございます。
【星野(芳)委員】
これだけで4兆9,700億円のうちの1兆5,900億円、32パーセントを占めています。まずこれをどうするかです。ここで10パーセント削減できなかったら、他の政策目標で10パーセントにさらに上乗せされ、多分十何パーセントぐらいの削減をしなければならないという話になります。そういう議論をされているのですか。
【田中政策評価審議官】
この模式図はなかなか読みづらいところもあるのですが、これはトータルの枠として議論をしていて、全体の文部科学省の対象経費がここに書いてある4兆9,798億円であることを表しています。高校の実質無償化等があり、その右のさらなる削減と書いてある部分に義務教育費国庫負担金からずっと短冊のように切っているものがございます。これが今回の10パーセント削減対象の経費でございます。ただ、一律に10パーセントということではなくて、それぞれ軽重がございます。削った部分については、その部分だけ「要望」をすることができます。10パーセントを超えて削ったものについては、3倍ルールの適用があって、削った部分と10パーセントとの差額の3倍まで「要望」ができる、そのような構造になっております。
【星野(芳)委員】
この資料のように費目で見るやり方と、一方で政策体系で見るやり方とがあります。政策体系で見るやり方の方がきめ細かいし、達成した・しない、課題がある・ないということが分かるので、予算の組替えが一歩進むということになるのではないですか。
【田中政策評価審議官】
政策目標に1から13までありますけれども、それと予算の事項とは一致しているのです。一致するように最近数年なっていて、政策目標ごとに幾らの予算がついていると見ることができます。各政策目標で概算要求を幾ら行うということは、概算要求の節目の段階では明らかになることができます。一対一対応しています。
【星野(芳)委員】
ありがとうございました。
【高祖座長】
浅井委員、どうぞ。
【浅井(経)委員】
これからのことが全然分からないのですが、これはあくまで23年度の概算要求の組替え基準であって、今までは、例えば3年間の事業ですとそれぞれの節目で切れてきたのですが、24年度以降は全く分からないということですか。それとも今回決まったものは、少なくとも3年間事業は継続となるのでしょうか。
【星野(芳)委員】
事業が継続かどうかは、毎年の予算編成の時期にならないと分からないと思います。
【田中政策評価審議官】
予算要求の考え方は、基本的には毎年毎年変わるのです。昨年の要求の考え方と今年の要求の考え方は全く違います。従って今後も、トータルでどのような予算編成を行うかという考え方は、毎年変わっていくと思われます。その下の事業について、3年計画の途中というものは、毎年、今回のように評価をしていただいたり、あるいは予算の効率化の観点からの評価を行ったり、様々なレベルの評価を経ます。3年計画であっても打ち切るべしと評価が出たものについては、そこで打ち切ることになります。予算が効率的に使われていないとか、あるいはニーズが大きく変わってしまっていて、それが幾ら当初5年計画であったとしても、もうニーズがなくなったものであるとか、あるいは別の観点から社会的に見て、モデル事業としての意味がないとか、そうした評価が出たものについては、いくら当初5年計画であったと言われてもその段階で打ち切るということが、それは毎年毎年の評価として行われるということであると思います。
【浅井(経)委員】
前にもお伺いしたことがあるのですが、そうしますと、例えば審議会答申ですとか、教育振興基本計画ですとか、そうしたものとの関係がある事業であっても、そのような扱いになるのでしょうか。一体どこに向かっているのかが分からないです。
【田中政策評価審議官】
これは5年が相当ということを、様々な計画や答申等でお示しいただいているものは、計画を作る時には5年計画であり、順調に行っていれば、それは基本的には5年間継続されます。ただ、毎年の予算で評価を得た上で、何事もなくきちんとしていれば継続されると思いますけれども、継続した予算を確保できるかは毎年の予算のプロセスにかかってくるということだろうと思います。
【高祖座長】
では星野委員、それから寺崎委員、お願いします。
【星野(芳)委員】
臨時的・プロジェクティブな、つまりもともと一定期間で区切るという事業と、一方でそのようには区切れない経常的な事業があります。このことを踏まえて、10パーセント削減をどのように考えるかです。一般的には、期限付きの事業について先に10パーセント削減できるかどうか見極めて、それができなければ経常的な事業を見ていくことになるでしょう。政策評価の事業評価と行政事業レビューを一体的に取り組んでいかなければならない、本当に待ったなしの話ですから、ぜひ一回、そのような形で試算してみたらいかがですか。逆に言うと、今ある事業それぞれについて仮に22年度限りで終了となった場合には、どのように施策目標に影響を与えるかを検証していくべきです。削減への取組は国民も期待しているところなのですが、一方で何かを削減すると様々に問題が生じます。その辺りを明らかにするのが、政策評価の指標の役割ということになってくると思います。
【高祖座長】
ありがとうございます。
寺崎委員、どうぞ。
【寺崎委員】
先ほど言えなかったことなのですが、最終的にはやはり、教育の質をどう高めるかということが一番の課題あるいは目標だろうと思います。その中で、私が直接関係している政策目標2について言えば、様々な政策・施策が行われて、確かに順調に進捗しているという実態が見られるだろうと思うのです。例えば学校の職員室について言うと、かつては管理職と学級担任だけがいる職員室にそれの1.5倍近い様々な人が入ってきて、子どもの教育に関わってきています。相談室などももちろんそうです。そういう意味で数値的には非常に改善されていると言えるでしょう。ただ、そこで本当に教員の質が上がっているのかどうかという点は、非常に大きな課題として言われていますし、また課題としてとらえられるだけの実態があるのでしょう。例えば施策目標2-7(魅力ある優れた教員の養成・確保)では「全体に順調に進捗している」という評価が書かれていますけれども、本当にそうだろうかという反省を含めて感じるところが多いわけです。従って、教員の質をいかに高めるかということが新しい施策の中では重要ではないかと考えますし、非常に難しいところではあるけれども、それを具体化していってもらいたいと思っています。
施策目標2-11(一人一人のニーズに応じた特別支援教育の推進)の場合にも、公立小・中学校における個別の指導計画作成率が、平成17年度が28.9パーセントで21年度になると83.7パーセントと、個別指導計画が非常に充実しているというのは確かなのですけれども、実際に教室の中で障害のある子どもの教育指導が充実しているのかと言うと、必ずしもそうではない。これもやはり教員の質の問題なのです。そういう意味で、教員の質をいかに高めるかということが具体的施策に出てくるような工夫を、ぜひしていただきたいという要望であります。
【高祖座長】
ありがとうございました。
先ほど、予算との関係も含めた評価の進め方について、星野委員からご提案がございましたが、それに関連して事務局から何かございますか。
【渡邉評価室長】
星野委員のおっしゃることは非常に重要な問題で、優先順位をつけながら何を残し、逆に言うと必要性の低いものはやめるという判断も含めて今、検討している状況だと思います。その上で、先ほど申し上げました「要望」枠であれば、今後当省としてもより外に打って説明できる施策は何であるかという判断も含めて、政策の順位も考えながら判断をしているところでございますので、そういった内容の重要なものを、事業評価として次回ご相談することになろうかと思います。
【星野(芳)委員】
私は次回の有識者会議に出席できないので、その分も今回コメントさせていただきますが、優先順位は2つあるのです。1つは、まさに資料2の「要望」ルールに書かれている「「要望」に当たっては、優先順位を明示すること」に表れています。この場合は、充実するとか成果を上げるとか、これによって国でなければできない政策課題解決に進むという意味での優先順位です。強気の優先順位。ところが一方で、全体で10パーセント削減をやらなければならないとなると、一定の時期が来れば一旦打ち切ることになりますし、それでも10パーセント削減できなかったら、経常的な事業も優先順位に基づいて削減を考えていかなければいけません。これがもう1つの優先順位で、「その事業費を削減してもさほど政策目標達成と言った成果に影響を与えない」という意味での優先順位付けです。そのことを1回、この政策評価に関する有識者会議も入って行った方が良いと思うのです。個々の事業を見直す仕分けではありません。要するに、この政策目標のこの事業のこれだけの数を削減してもさほど影響ないかどうかというところを、一つ一つ見ていくものです。まさに予算の組替えとして、やはり文部科学省が政府全体の2割を占める予算を持っているのですから、国民の関心も高いので、こうした取組をしていただきたいと思っています。
【高祖座長】
ありがとうございます。
そろそろ時間が来ておりますが、事務局から何かございますでしょうか。
【田中政策評価審議官】
私の説明も良くなかったかも知れませんが、10パーセント削減はする一方で、その範囲で「要望」を行うことができるものです。何もしないということではございません。枠としてトータルを10パーセント削減した上で、また軽重に合わせて10パーセントまで「要望」できます。さらに大きく削ったものについてはその分に照らして上乗せします。そういう構造でございまして、次回の有識者会議においてはパッケージになったものをこの評価書の中に記述させていただいて、予算もその時には確定をするという仕組みだと、ご理解いただきたいと思います。
【星野(芳)委員】
本当の意味での予算組替えになっていただきたい、名前だけ変わったものでは組替えにならないので、そしてトータルのコストは、削減していかなければならない時代です。
【高祖座長】
ここまで様々に大切なご意見をちょうだいしたと思います。今、作業中のものにつきましても、あと10日ということで随分時間的に制限があるかと思いますけれども、今日委員の皆様から出ましたご意見を吸収できるところは吸収していただいて、評価書の中に活かしていただきたいと思います。
なお、次回は事務局から説明ありましたように、10日後の8月30日に事業評価についてご議論いただく予定になっております。急なことであったものですから、ご予定のつかない先生方もいらっしゃるようですけれども、できる限りご参加いただければと思っておりますので、よろしくお願い致します。
文部科学省の政策評価を向上させるために私どもの有識者会議と致しましても、積極的に色々な意見を言わせていただいたり、助言を申し上げたりさせていただきたいと思っております。引き続き委員の皆様もご協力のほど、よろしくお願い致します。それから事務局におかれましては、今日は十分ご発言をする時間を取れなくて申し訳ありませんでしたが、委員の方々が指摘されたことを上手に吸収していただいて、実績評価、事業評価に活かしていただきたいと思います。
では、以上をもちまして本日の会議を終了致します。皆様、ご協力ありがとうございました。
―― 了 ――
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