平成22年7月13日(火曜日)13時~15時10分
文部科学省3階「3F1特別会議室」
高祖敏明座長、浅井経子委員、家泰弘委員、江川雅子委員、小杉礼子委員、鈴木郷史委員、田中啓委員、寺崎千秋委員、中西友子委員、星野敏男委員、丸山文裕委員、宮部義幸委員、美山良夫委員、渡辺三枝子委員
森口文部科学審議官、山中大臣官房長、土屋大臣官房総括審議官、辰野大臣官房政策評価審議官、坪井大臣官房政策課長、渡邉大臣官房政策課評価室長、福澤大臣官房政策課評価室長補佐、渡邉大臣官房国際課長補佐、長坂大臣官房文教施設企画部施設企画課長、黄地生涯学習政策局政策課長補佐、今井初等中等教育局初等中等企画課長補佐、義本高等教育局高等教育企画課長、斉藤科学技術・学術政策局政策課長補佐、次田研究振興局振興企画課長補佐、古田研究開発局開発企画課長補佐、猪股スポーツ・青少年局企画・体育課長補佐、高田文化庁長官官房政策課長補佐
【高祖座長】
予定の時刻となりましたので、これより、文部科学省第28回政策評価に関する有識者会議を開会致します。
本日の会議では主な議題としまして、お手元の議事次第にございます通り、1つ目が「文部科学省実績評価書-平成21年度実績-(案)」について、2つ目が「政策評価に関する有識者会議の公開について」、この2つを予定しております。
それでは、議事に入ります前に、森口文部科学審議官よりご挨拶をお願い致します。
【森口文部科学審議官】
お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。第28回政策評価に関する有識者会議の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
本日は、昨年度文部科学省において取り組みました施策につきまして、事後評価である実績評価書の案に基づきましてご議論いただき、また、昨今の政策評価を取り巻く状況についてご報告申し上げたいと思っております。
昨年度の政権交代以降、「我が国は『人と知恵』をはぐくむことを国の中心に据え、未来を切り開く牽引力としなければならない。『人と知恵』が輝き、尊敬される国を目指し、文部科学行政の充実発展に全力を挙げて取り組む」、これが先の国会で川端文部科学大臣が所信として述べたところですが、その方針に沿って文部科学行政を進めているところでございます。
本日のメインテーマである政策評価についてあらかじめ申し上げておきますと、現在、相当いろいろな評価が錯綜しており、私自身も混乱するほど様々な評価がございます。PDCAサイクルをしっかりやるということは非常に重要でして、従来からも、法律に基づく政策評価のほか、会計検査院が会計検査として予算の執行を調査し、また、財務省は予算執行調査を行っております。さらには独立行政法人評価、国立大学法人評価といったことを既に行っているわけでございますが、それに加えまして、政権交代により事業仕分けが始まりまして、この4月、5月にかけて、2回目として独立行政法人・公益法人の事業仕分けが行われたところでございます。そしてまた、行政事業レビューというものも進められており、またさらに、まだ行われていないのですが、政策達成目標明示制度というものも今後予定されております。
そういう形で様々なものが非常に錯綜しておりまして、我々としても政治主導ということで取り組んでおりますので、問題意識は政務三役に伝えております。中川副大臣は様々な場でこの問題点を指摘し、政府内においてもこのことは今後調整していく、そうなっているところでございます。そうした中で、それぞれの区分けについて明確に説明できないのは申し訳ないことでございますけれども、ぜひ本日は従来法律に基づいてやっております政策評価についてのご議論を、ぜひよろしくお願い致したく思います。その上で、またご意見をいただいた上で、政務三役にも話をしていきたい、そのように思っているところでございます。
本日はぜひ忌憚のないご意見を賜りたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【高祖座長】
どうもありがとうございました。
それでは、事務局から本日の配付資料の確認をお願い致します。
【渡邉評価室長】
では、大部でございますけれども、資料の確認を申し上げたいと思います。
まず座席表と本日の有識者会議の名簿、その下に議事次第がございます。議事次第の下に<配布資料>と書いてあります。これに沿った形で確認致したいと思います。
資料1-1と致しまして、実績評価書の要旨(案)という横長の資料がございます。次に非常に厚いものでございますけれども、資料1-2と致しまして、実績評価書(案)がございます。そして、資料2-1と致しまして、政策評価に関する有識者会議の公開について(案)という資料がございます。次に、資料2-2と致しまして、政策評価に関する情報の公表に関するガイドラインがございます。そして、資料3と致しまして、今後の開催予定についてという資料がございます。
参考資料でございますが、参考資料1は、今森口文部科学審議官から申し上げましたけれども、今年の春に行われました事業仕分け第2弾の評価結果のうち、当省部分についての一覧資料を配付しております。参考資料2と致しまして、行政事業レビュー・公開プロセスの結果というものです。行政事業レビューとは、事業仕分けを各省でやるという類のものでして、この公開プロセスを6月冒頭に行いましたが、そのときの結果についての資料でございます。参考資料3と致しまして、行政事業レビューの状況についてというものです。これは各部局で予算の執行状況についてレビューを行っているものでして、全体の報告書はここにあるほどの量があり、全てホームページにも掲げられているのですが、大部にわたりますので、概略をこちらの参考資料3に載せているところでございます。参考資料4と致しまして、今年6月に決定されました新成長戦略、その下に別表もあわせて配付させていただいております。そして、参考資料5と致しまして、これも6月に決定されました財政運営戦略を配付させていただいております。その他、机上資料と致しまして、昨年度の実績評価書、事業評価書、そして政策評価に関する法令等一覧を配付させていただいております。
過不足等ございましたら、事務局にご連絡いただきたいと存じます。
【高祖座長】
ありがとうございました。それぞれお手元に資料等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入りたいと思います。1つ目の実績評価書に関連するものにつきましては、資料も大部でございまして、時間をとってじっくり議論したいと考えております。そこで、2つ目の議題に挙がっております政策評価に関する有識者会議の公開について、こちらの議題から先に行わせていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、そのように進めさせていただきます。では、議題2について、事務局から説明をお願い致します。
【渡邉評価室長】
では、資料2-1、2-2に基づきましてご説明をさしあげます。
資料2-2にございますように、総務省で「政策評価に関する情報の公表に関するガイドライン」というものがまとめられたところでございます。簡単に言いますと、できる限り情報の公開を進めてくださいということでございますので、当方と致しましても今まで以上にこの会議の情報を公開しようということでまとめた案が、ご提示させていただいている資料2-1でございます。
趣旨と致しましては、まず、この有識者会議における公開に関する事項を定めるということです。そして、第2条にございます会議の公開、ここは特に新しいところでございます。有識者会議の会議は公開して行う、ただし、人事案件など審議の円滑な実施に影響が生じるものについてはこの限りでなく、非公開にすることができるという趣旨でございます。そして、傍聴については大臣官房政策課評価室に登録するということでございます。これは制限するということではなく、キャパシティの問題としてそのような条項を設けさせていただいているところでございます。
また、会議の資料の公表、議事録の公表はそれぞれ第4条、第5条にございますが、これについては従前よりこのように特段の差し支えがないものについては公表している状況でございます。そういう意味では、会議の場を一般の方々、プレスの方々にも公開しようということでご提案差し上げるものでございます。
以上でございます。
【高祖座長】
ありがとうございました。
それでは、ただ今の説明についてのご意見、またご提案等をいただきたいと思います。いつもの通り、発言を望まれる方は名札を立てていただき、それを見ながら、私がご指名申し上げるということで進めさせていただきますので、よろしくお願い致します。なお、ご発言はなるべく多くの方にしていただきたいと思っておりますので、なるべく簡潔に、それから、事務局のお答え等につきましても、なるべく簡潔に済ませていただくよう、ご協力をよろしくお願い致します。
では、今の政策評価に関する有識者会議の公開についての基本的な考え方、条文になっているものにつきまして、ご意見等ございましたら、お願い致します。
特にございませんか。
先ほど説明がございましたように、こういう会議を公開するというのは時代の流れでもありますし、なるべくここでやっていることを社会でも広く知っていただくという意味からも好ましいかもしれません。同時に歯止めも一応置いてありますので、ご提案の通りということでよろしゅうございますか。
(「はい」の声あり)
【高祖座長】
それでは、そのようにさせていただきます。次回から一般の傍聴を認めることでこの会議を進めていきますので、どうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました。
それでは、議題1に戻りたいと思います。事務局から実績評価書の要旨(案)と本体の実績評価書(案)を、あらかじめ委員の皆様に送っていただきまして、意見もいろいろとお聞きいただいているかと思いますが、改めて要点を絞ってのご紹介を事務局からいただきますので、よろしくお願い致します。
【渡邉評価室長】
では、資料1-1、要旨に沿った形で簡単にご紹介さしあげたいと存じます。
まず今回の実績評価につきましては、昨年度、平成21年度に取り組んだ施策についての評価でございます。内容につきましては、従来から同じでございます13政策目標と、その下に掲げております47施策目標ごとに評価を行うということで、政策目標は政策を構成する施策の背景や根拠、施策目標はそれらを実現するための目標との関係性、判断基準、達成度合いを示すための指標や、その必要性、有効性、効率性といったものについて分析しているものでございます。
昨年度からの変更点ですが、まず、評価結果の文章化でございます。資料1-2にありますように、上から施策期間、主管課、関係局課、施策の概要とありまして、評価の欄がございますけれども、これは今までSABCという単純な結果で示し、各達成目標の達成状況を単純平均した数値によってSABCに置き換える形で出していたのですが、細かいニュアンスがなかなか伝わらないのではないかというご意見もございましたし、当方としてそういう思いもございましたので、簡潔ではございますが評価を文章で書くということで、変更したいと思っているところでございます。
また、先ほど来ご説明しております事業仕分けや行政事業レビューでの指摘を受けた事項について、どのように取り組んできたか、どのようにして計画されたか、どのように取り組んでいくかということについても、きちんと反映させるということを考えております。まだ調整中のものもございますが、例えば施策目標2-4(青少年の健全育成の推進)の6ページから7ページにかけて、ちょうど2件載っているのですが、6ページの一番下から「子どもの読書活動の推進に関する施策については、平成21年度に実施された事業仕分けの意見を踏まえ、今後は、普及啓発・情報提供に特化した事業を実施していく」、また、「行政事業レビューの公開プロセスの評価結果を踏まえ、青少年元気サポート事業については、平成22年度限りで廃止とする」、こういうことをきちんと適切に反映していこうということをやっております。
ただ、行政事業レビューにつきましては、現在調整中のところもございますので、これから8月末にかけて随時修正していくこととしております。
次に、見やすさの観点からの整理でございますが、先ほど議題2の際に言及しました「政策評価に関する情報の公表に関するガイドライン」において、政策評価に使ったデータがわかるようにという記載があることを受けまして、データの名称、作成者、作成時期などにつきましてなるべく記載することとしてございます。また、無駄を省く観点から重複記述や冗長文などを排除するという見直しを図っております。
簡単に内容について、ご説明したいと思います。
政策目標1(生涯学習社会の実現)全体ですと、概ね想定どおり達成されているとなっておりまして、施策目標もその通りでございます。
政策目標2(確かな学力の向上、豊かな心と健やかな体の育成と信頼される学校づくり)でございますけれども、十分な進捗が見られるけれども、「一部の施策目標・達成目標については、依然として十分に達成できたと言えない」となっております。例えば個別の施策を見ますと、2ページの確かな学力の育成ですと、国内外の学力調査の結果を分析した結果、前年を下回る数値が見られるというような課題があったとか、児童生徒の問題行動等への適切な対応では、いじめ問題に関する地域連携との協力などについて一部目標に達していないとか、その下の青少年の健全育成に関しましても、自然体験活動が前年度に比べて減少しているというような課題が見られているところでございます。3ページの安全・安心で豊かな学校施設の整備推進につきましても、耐震化、耐震診断のどちらもまだ完了に至っていないという課題がございます。教育機会の確保のための特別な支援づくりにおきましても、日本語指導が必要な外国人児童生徒の指導については目標を達成できていません。また、幼児教育の振興につきましても、例えば認定こども園の認定件数については達成できていない部分もあるというような課題が評価されているところでございます。
政策目標3(義務教育の機会均等と水準の維持向上)では、全体で成果を上げているというものです。
政策目標4(個性が輝く高等教育の振興)につきましては、例えば大学などにおける教育研究基盤の整備では、老朽再生整備や狭隘解消整備など一部にやや遅れが見られる、ということが指摘されております。
政策目標5(奨学金制度による意欲・能力のある個人への支援の推進)につきましては、大体想定どおりに達成できているのではないかという評価となっております。
政策目標6(私学の振興)につきましては、概ね目標どおりに成果を上げているとなっておりますけれども、一番下に、少子化に伴う18歳人口の急激な減少などにより、帰属収入で消費支出を賄えない大臣所轄の学校法人の割合が増加傾向にあるという分析がされているところでございます。
政策目標7(科学技術・学術政策の総合的な推進)につきましては、概ね想定どおり達成されているとなっておりますけれども、例えば6ページの地域における科学技術の振興では、取組が不十分である地域もあるということです。また、科学技術の国際活動の戦略的推進でございますが、こちらでも国際的な人材獲得競争の激化や世界の多極化が進んでおり、さらなる戦略的推進が求められるという指摘がされております。
政策目標8(原子力の安全及び平和利用の確保)は概ね想定どおりに進んでおります。
政策目標9(基礎研究の充実及び研究の推進のための環境整備)では、例えば研究成果の創出と産学官連携などによる社会還元のための仕組みの強化において、大学等における企業との共同研究実績は分野全体としては昨年度と同程度、伸びはあまりなかったということですが、研究成果の社会還元は総じて進展したという分析がされているところでございます。
政策目標10(科学技術の戦略的重点化)についても全体概ね想定どおり達成されているという評価になっております。
政策目標11(スポーツの振興)は一定の成果は上げており、着実に進捗しているという状況でございますけれども、例えば生涯スポーツ社会の実現におきましては、総合型地域スポーツクラブの全国展開についてはやや遅れが見られると分析されております。国際競技力の向上におきましては、オリンピックのメダル獲得率3.5パーセントを実現することが目標になっており、北京オリンピック、バンクーバー冬季オリンピックでは下回る結果になってしまったのですが、一定の成果も見られるという評価になってございます。
政策目標12(文化による心豊かな社会の実現)につきましては、概ね想定どおり達成しているという評価でございます。
そして、政策目標13(豊かな国際社会の構築に資する国際交流・協力の推進)につきましては、概ね想定どおりに達成ということでございます。
調整中の部分もございますが、現在の案とすると、以上のように評価しているところでございます。
【高祖座長】
ありがとうございました。
それでは、これから議論に入らせていただきたいと思います。この評価書の内容が相当大部にわたっております。そのため、これまでも幾つかのグループに分けてご意見をちょうだいするという方法で進めてきておりますが、そのような進め方でよろしゅうございますか。大きく分けまして、政策目標の1から3、生涯学習・初等中等教育関係のところを1つのグループ。それから、政策目標の4から6の高等教育関係を1つのグループ。科学技術関係の政策目標7から10までを1つのグループ。そして政策目標11から13まで、スポーツ・文化・国際交流関係を1つのグループということで進めたいと思います。全般に関するご意見は適宜ご発言いただくことにさせていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、最初にまず政策目標1から3、生涯学習社会の実現、また初等中等教育に関わることのご意見を頂戴したいと思いますので、どうぞ委員の皆様、積極的にお願い致します。では、まず浅井委員からどうぞ。
【浅井(経)委員】
まず、全体的なことでお伺いしたいこと、あるいは意見を申し上げますので、ご回答いただければと思っています。
大体、この評価書を見まして「概ね達成されている」などの評価が出ておりますけれども、「達成されている」ということをどう判断するかということについてです。一応目標達成されたので、今後はもう必要ないと判断するのか。達成されているけれども、その事業をやめてしまえばまた落ち込んでしまう可能性があるため継続するのか。その判断はなかなか難しいと思いますけれども、それをきちんと検討しておかないと、事業仕分けなどにおいてせっかく良い事業があるにもかかわらず理解していただけないということが出てくるのではないでしょうか。それが1点目です。
それから2点目、これも全体的なことで申し訳ないのですが、事業仕分けの結果、あるいは6月に行われました行政事業レビューの結果を拝見させていただきますと、「地方に任せる」という言葉で廃止となっているものがかなりございます。特に生涯学習分野では地方に任せるというものが多いのではないかと思いますが、しかし、実態としましては、地方自治体の方に聞きますと、日本の体質の悪い面かも知れませんが、国が旗を振ってくれないと地方の財源が少ない中でそれを取り上げていただけないので、ぜひ国でも旗を振っていただきたいという声はかなりあるようです。地方へ移管するということを前進的アプローチでやっていただきたいということが2点目でございます。
それから3点目として、国の役割は一体何かということをもう一度問わなければならないのではないかと思っております。なかなかこれも難しいのですが、国際的な比較との関係で教育の問題を明らかにするとか、あるいは国としてきちんとデータを収集することなどがあげられます。実際に施策目標1-1では、かなりデータを収集する方向でやっていただいているのですけれども、評価ということが絡まってまいりますと、多種多様な評価が行われて、その事務に追われていらっしゃるかと思いますが、むしろ、多様な評価の中で必要なものがきちんと残るためには、かなり細かいデータが必要になってくるのではないかという気が致しますので、この施策目標1-1のところは、ここの評価にとどまらず、もっと中身を充実させていただきたいと思います。
それから、本当に細かいことですけれども、指標として取り上げられているホームページのアクセス数などですね。施策目標1-1の2ページ目、下から3行目のところです。「イのデータについては、文部科学省のホームページの「統計情報」のアクセス数を集計したもの」とございますけれども、私どもは、政府統計の総合窓口から入っていきますので、文科省のサイトからわざわざアクセスする方が全体からみてどれほどいるのだろうかという気が致します。もう少しこういうデータの処理の仕方も、どのようなデータを扱うかということは、ご検討いただいたほうがよろしいのではないかと思います。
それから、やはり気になりますのは、こちらの評価ではSとかAとか挙げられているのですが、例えば施策目標1-2にある生涯学習フェスティバルです。これは達成目標Aとなっているのですが、行政事業レビューで廃止となっています。判断はいろいろあるかと思いますが、ある意味で民間に任せるということも大事ですけれども、民間がうまく動くように支援するという目標は重要と思いますので、整合性ですね。政策評価できちんと評価されているものが、事業仕分けや行政事業レビューでいきなり廃止となってしまうというところの整合性というものをもう少しご検討いただければありがたいと思います。
細かいことでも重要なことはたくさんあるのですけれども、そこは省略させていただきます。あと学校教育についてですけれども、ICTの整備と耐震化がやはり遅れているような気がしまして、これは早急に何としても進めていただかなければならない課題ではないかと思っております。
以上です。
【高祖座長】
それでは、星野委員、寺崎委員、お願いします。
【星野(敏)委員】
星野でございます。私から実績評価案を読んだ感想と意見を少し述べさせていただきたいと思います。
政策目標1と2の関連ですが、私は、青少年教育とか、体験活動を専門に関わっております。例えば今、学校で行う自然体験活動のフォローのために、指導者養成をスポーツ・青少年局青少年課が盛んに行っています。中央教育審議会の生涯学習分科会等で、ずっとこれまで青少年の心の育成のために体験活動が必要だということで、特に自然体験が必要だろうということが述べられてきまして、学習指導要領も改訂され、学校でも体験活動をする機運といいますか、しやすさが随分と高まってきているなと思って、見ておりました。
中央教育審議会の答申の影響もあると思うのですが、もし学校が1週間程度、小学生に対して体験活動を提供するようになったら、先生方はちょっと忙し過ぎて、現場ではなかなか指導できないということがあります。そこで、地域の方たちで指導者養成をきちんと行って学校の教育の手伝いをできるようにしようと。そういう機運が高まって、今週もオリンピックセンターで体験の風を起こそうというフォーラムが行われていますし、生涯学習政策局でも家庭や地域での教育力を高めようということで、放課後子どもプランといったものを進めていると思います。
少し気になったのは政策目標2の辺りで、学校の体験活動の評価ということで評価指数が出ていますが、これは多分道徳もそうですけれども、キャリアとか、インターンシップとか、そういうものを含めた体験活動の日数評価になっているのではないかなと思います。ですから、せっかくこういう機運で青少年課や生涯学習政策局が一生懸命やろうとしていますので、学校教育の側でも、例えば政策目標の中の数値テーマを、例えば全国の小学校で、青少年課は小学校5年生を多分想定されていると思いますが、1週間程度の宿泊体験活動を行った学校がどれくらいあるのかといった、具体的にやったかやらないかという数値目標を上げておくと、各部局の連動性といいますか、政策の連携性が図れるのではないかなと思いました。今後、新しい目標数値を評価指数として考えていくときに参考にしていただければと、そう思います。ありがとうございます。
【高祖座長】
ありがとうございました。では、寺崎委員、お願い致します。
【寺崎委員】
政策目標2について、幾つか感想的になるかもしれませんが、お話をさせていただきます。
確かな学力の育成、豊かな心、健やかな体の育成ということで、さまざまなシステムの改善又は事業の実施が行われていて、学校現場を色々見て回ると、それらが制度的には着々と改善され、あるいは新しいものが入ってきているなと感じています。そして、今日のこの評価でも、そういう意味では一定の評価がされているということは妥当なところだろうなとは思っております。
ただ、学力の面が必ずしも十分ではないという点でやっぱり気になるのが、全国どこでも学力、学力と、これに向けた取組がされているのですけれども、結局、バランスの良い教育になっていない。つまり、後で出てくる豊かな心の育成や健やかな体の育成とのバランスの問題ですね。この辺りがどうしても学力の方に偏っているということが結果的には確かな学力になっていかない。一定の点数は上がるとしても、今求めている確かな学力にはどうもなっていないのではないかということが、危惧されるところであります。
というのは、これはほんの小さな研究なのですが、私どもの研究で、昨年度末に全国の校内研究の状況を調査したことがあるのです。その中で各学校が、学校の教育課題や子供の課題を踏まえた校内研究・研修でどんなテーマを挙げているかというと、圧倒的に学力が多いのです。心の面と体の面が非常に少ない。つまり、学校の先生たちが今本当にエネルギーをかけているのがそちらの面であり、しかし、それでも結果的に十分な成果が出ていないとすると、偏りがあるのではないかなという気がしています。施策を推進するに当たって、もう少し心の面や健やかな体の面にバランスのよい教育を求めていく方向性が必要なのではないかなと感じているところです。
それから、児童生徒の問題行動の適切な対応に関して、学校内外における相談体制の整備、関係機関と連携した取組について、一定の成果が上がっているとの評価があり、まさにその通りだと思います。どこの学校に行っても、相談員、相談体制ができていて、親も含めて、かなりシステムができ上がっているというのは実感しています。ただ、ここで気をつけなければならないのは、親の面も含めて、新たな課題がさまざまに発生している、あるいは創起している状況があるということを考えると、これも一層内実をさらに新たなものに対応できる方向に進めていく必要があるのではないかなと感じています。
最後に、魅力あるすぐれた教員の養成・確保の件ですが、教育改革、あるいはこれからの日本の教育の質の向上はまさにこの点にかかっているわけです。資質、能力の向上を図る施策で2つがAで1つがSとなって、全体的に順調に進展しているとあります。確かにシステム的にはそうなのだろうと思いますけれども、ご案内のように、特に都市部では新規採用教員の大量採用の時代を迎えて、教員の質の問題が取り上げられています。そういう中で、これに安住しないで、さらに教員の養成・確保を、一層質を高める方向で深めていく必要があるのではないでしょうか。先ごろの中教審の提言でも35人学級等の新しい方向性が出されていますが、これらをしっかり踏まえて、学校の教員の質を一層高める方向でぜひ施策を進展していただきたい。
以上でございます。
【高祖座長】
ありがとうございました。
小杉委員、どうぞ。
【小杉委員】
ありがとうございます。簡単に3つ。1つ目は、生涯学習というのが、放送大学と専門学校なのかなというのはいつも疑問に思います。本来、日本を生涯学習社会として築くためには、高等教育機関をはじめとする機関との連携が大事なのですが、ここの仕切りは仕方がないのかなと思いつつ、生涯学習の社会をつくるとなったら、やっぱりここだけではないだろうと常々思っています。
2つ目は、施策目標2-2の豊かな心の育成で、キャリア教育の充実の成果として、インターンシップ等で成果が上がって、Sになったと。次年度につなげて、これはここで終わる形になっていると思うのですが、次年度につなげる形で、新しいフォローアップといいますか、2-2の5ページ目にあります、小中一貫したプログラムですとか、その中で非常に良いと思っているのが、産業構造や地理的制約等の地域の実情を踏まえた対応策と課題があり、これに対する解決モデルの提示をするとあります。これは非常に現実をよく見据えた次のプログラムということで、よく考えられていて良いと思いました。例えばインターンシップでしたら何個やったなどとありますけれども、この政策の評価はどういう基準を考えていらっしゃるのか。もし決まっているのなら、教えていただければ。私はこの政策は大変重要だと思っていますので、関心を持っています。
そして最後の3つ目は、健全育成、問題行動についてです。今年、子ども・若者育成支援推進法という法律ができたと思いますが、その対応をどう考えられているのか。つまり、学校単体ではなくて学校外の機関を巻き込んだ形で、大きな問題のある子供、若者に対しては対応していくというようなネットワーク化を図るというような法律だと思いますけれども、その辺りへの対応が、もしありましたら教えてください。次の達成手段というか、PDCAのこの中だけではなくて、外からの新しいインプットだと思うのですが。
以上です。
【高祖座長】
ありがとうございました。では続いて、江川委員、お願いします。
【江川委員】
2点、ご質問があります。
1つ目は、今色々なところで政策に関する評価が行われているので、先ほど冒頭の森口審議官のお話もありましたけれども、その間での整合性がどうなっているのかというか、文科省はかなり広い分野を担当しているので、その中に13の大きな目標がありますけれども、その中のプライオリティーづけをどのように関係者の間で合意してやっていらっしゃるのかということが大変気になります。
小さな例なのですけれども、私は東大で国際交流を担当しておりますことから、先だって事業仕分けの中で、学生支援機構の留学生寄宿舎運営が廃止とされたという話を聞いてびっくりしました。学生支援機構も色々問題があるということは聞いていますが、一方で、今大学の国際化は非常に重要な課題になっていて、グローバル30といった政策もあります。それから、私どもが経営協議会や色々な外部の方とお話をすると、とにかく国際化を進めて欲しいということをよく言われます。例えば留学生を増やしていく際に宿舎というのは大変重要なのですが、一方でグローバル30にはお金をつけて、一方で宿舎はやめましょうと言っている、そうした不自然なことがあるように見受けられるのです。今後そういうことも増えてくるかも知れないので、政策の間でのプライオリティーづけというものをきちっと行った上で色々なことを進めていく必要があるのではないかと思うのですが、その辺りのプロセスがどうなっているか、教えていただければと思います。
それから2つ目は、私の専門ではないので間違っているかもしれませんが、施策目標2-10の認定こども園のことです。幼稚園と保育園を一体化して少子化対策につなげていこうというのは非常に重要な課題だと思うのですけれども、認定こども園の展開がなかなか進捗してないということを聞いたことがあって、2-10のところも「十分に達成できたとは言えないものもある」と書いてあります。私も細かいことは分からないのですけれども、もし認定こども園という仕組みがあまり実情に適さないのであれば、例えば違う枠組みを検討するとか、そういったことが必要なのかということを教えていただければと思います。つまり、このレポートを見る限りは来年も頑張るという感じに読めるのですけれども、今後、劇的に改善する可能性があるのかということを疑問に思いました。
【高祖座長】
ありがとうございました。
委員のご質問ご意見が5人ほど続きました。かなり事務局に質問がたまっていると思いますが、いかがしましょうか。
【渡邉評価室長】
それでは、まず当方から全体的な部分についてお答えした後に、担当局から個別の回答を致したいと思います。
【高祖座長】
それでは、全体的なことをお願い致します。
【渡邉評価室長】
浅井委員と江川委員からあったお話にお答えしようと思います。概ね達成された事業について、今後どうなるのかというお話がございましたが、この評価書では施策期間途中のものもあるわけで、例えば5年間でしたらその途中の進捗状況がS、A、B、Cとかというものがあるのですけれども、終わった段階におきましては、当然その内容に応じて、そこで一定の目標が達成されれば終わりというものもありますし、現状を踏まえて、第2期というものになったり、もしくは同じような行政分野でも少し形を変えた新たな施策を考えたりということはございます。それは当然、担当部局が施策、政策の現状・問題点を把握した上で考えていくべきものと考えております。
その上で、事業仕分けなどで言われたものにどのように対応していくのかというお話がございましたけれども、事業仕分け、もしくは行政事業レビューの公開プロセスという外部の有識者のご意見を踏まえた結論、あるいは行政刷新会議からの指摘ということで、非常に重要なものと受けとめておりますけれども、最終的には当省内、政務三役まで含めて、その対応を判断していくことになろうかと思います。ただ、その際に、有効な論点での反論ができなければ、基本的には行政事業レビュー、もしくは事業仕分けの内容は十分尊重するほどに重いものなのかなと思っております。
そういう意味では、今年度はただ今8月末の概算要求に向けて、指摘を踏まえてどのように対応していくのかということについて、担当課で詰めている段階という認識を持っているところでございます。
【高祖座長】
江川委員からご質問の、政策間のプライオリティーについてはいかがですか。これは審議官からお答えいただいたほうがよろしいですか。
【辰野政策評価審議官】
冒頭、森口文部科学審議官からありましたように、今はっきり言って評価の世界というのは星雲状態のような形になっています。政策評価を行政に取り入れましょうと今世紀初めに方向性をつけ、法律に基づく政策評価ということで10年行ってきたのですけれども、政権が変わった後、全部色々な事業を棚卸しして、公開の場で議論して、説明責任にたえるようなものを残していくという趣旨から、色々な評価が入ってきたわけで、それはそれでまたそれぞれの観点があるわけです。
ですから、例えば事業仕分けでは、地方ないしは民間でやれることは、地方や民間でやればいいではないかという観点があります。しかし一方で、国が旗振りをすれば、それはそれで確かにみんなやるかもしれないけれども、地方が嫌がるものを強いることもありうる。1つの考え方として、むしろ地方のほうがやりたいというものについて、それをやってもらうというのがあるべき方向性ではないかという観点からもいろいろと議論があるものですから、そこでまず1つ食い違うという部分はあるのですね。
先ほどの江川先生のお話、国際交流の関係で言えば、方向性としては絶対大事であると、大体先ほどおっしゃられたような観点は文部科学省としても事業仕分けの場で主張しているのです。ところが結果として、国が今の段階で国費を投入してやる必要があると思われない、はい廃止、ということで査定されてしまう。それはそれで一つの判断としてなってしまう。どこかに司令塔があって、色々な仕分けが各々の位置づけと観点を持って行われ、それを最終的にどのように結論づけるかというシステムというものが、ある意味まだできていないのですね。
そうしたものがどんどんと重なり、重複していって、それが整理できないような状態になりつつある。ですから、冒頭に森口文部科学審議官から申し上げましたように、当省の副大臣もそのPDCAを回す制度の重複について、問題提起を行っておりまして、政府の中でも課題として認識されておりまして、総務省行政評価局、行政刷新会議事務局、国家戦略室、財務省と、色々なところにまたがっていまして、これらの担当者たちが集まって、話し合いも持たれております。
当然この様々な評価システムが併走する問題については、ここでもご議論になって、色々なご意見が出ると思いますし、私どもも様々な問題意識を持っておりますので、政府内で不断に問いかけていかなければならないし、それからまた、こういった評価が出ても、先ほど評価室長から説明がありましたように、最終的には各省の政務三役が判断することになりますので、そのときに仕分けなどで出された論点に、きちんと反論し、覆し、国民から見てなるほどなというものが構築できるかどうかというところも一つの大きなポイントになってくると思います。
いずれにせよ、今の段階では色々なものが並行して走っていて、星雲状態のようになっていますので、そこのところご指摘を受けながら、その中でどう間違いない政策を進めることができるかということについて、課題としてやっていきたいと思っております。
【高祖座長】
なかなか言いにくいところも含めて、ありがとうございました。
先ほど生涯学習や初等中等教育関係のご発言がございましたので、そちらへのご回答を、手短に、要点を絞ってお願い致します。
【生涯学習政策局】
生涯学習政策局でございます。浅井先生から5点ほどご質問いただきました。若干順序が前後致しますが、まとめてご回答させていただきます。
まず、2点目の質問の地方の生涯学習に関する予算がだんだん低下しているため国として旗を振るべきではないかといったお尋ねにつきましてお答えします。今年、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律ができてちょうど20周年になっているということもあって、国・地方の取組を一層推進していかないといけないわけでございますが、他方で地方教育費調査などを見てみますと、学校教育費に比べても、地方の社会教育費は年々低下しているという状況にございますので、先ほど委員からご指摘いただきましたようにデータをしっかりと収集して、分析して、より分かりやすい形で生涯学習政策がどのような効果をもたらすのかといったような費用対効果分析やそれぞれの施策の有効性を検証して、しっかりと生涯学習政策は役に立つということを、地方の教育委員会の方々や、それだけではなくて首長さんにもまずご理解いただくといったことが必要と考えております。
これに関連して、1つ目の質問に戻りますが、例えば、モデル事業の評価の仕方につきましても、今回の評価の尺度は、有効なモデルが開発できたかどうか、あるいは委託した団体が有効だと考えたかどうかということで事業の実施状況を検証させていただいたわけでございますが、先ほどの生涯学習政策全体ということでとらえた場合に、事業ごとの評価だけではなくて、それらを包含した形で政策全体がどのように整合的に行われ政策目的全体を達成しているのかも含めて、また今後とも適切な評価を心がけていきたいと考えております。
そのためにも、3つ目のお尋ねでございましたデータの収集の仕方については、今本省の中で経常的に行っている行政調査だけではなく、他省庁が行っている調査や、国立教育政策研究所で生涯学習の需要に関する調査なども行っていますので、さまざまな調査を幅広く収集して分析してまいりたいと思います。
そのような努力の一方で、4つ目のお尋ねにございました、例えば生涯学習フェスティバルといったものもしっかり活性化していかないといけないと考えております。元々の趣旨が先進事例の紹介や、ネットワークの構築ということであったわけでございますが、行政事業レビューの中で言われたのは、それが形骸化しているのではないかとか、祭典的な意味合いが非常に強くなっているのではないかとか、あるいは、都道府県の負担が多くなっているのではないか、こういったご指摘を受けました。したがいまして、今後の方向性としては元々目指していた生涯学習フェスティバルの目的が達成できるような形で引き続き改善を図ってまいりたいと思います。
なお、文科省のホームページのアクセス数のデータの採り方に関するお尋ねについてでございますが、技術的な話でもございますので、可否も含めて引き続き検討させていただきたいと考えております。
さらに、小杉委員から、生涯学習という概念で政策をとらえた場合に、放送大学、専門学校だけではなく様々な教育機関が対象になるのではないかというお尋ねをいただきました。まさにご指摘の通りでございまして、このため、初等中等教育や高等教育など様々な教育政策がある中で、生涯学習政策に関する政策目標をまず第1番目に位置付け、その中で施策目標1-1として教育改革に関する基本的な政策の推進を掲げることにより、政策目標の2以降の学校段階ごとの教育政策とも整合性を図りつつ生涯学習の政策目標実現を目指している旨をご理解いただければと思います。
以上でございます。
【高祖座長】
ありがとうございました。では、初等中等教育の関係を、お願い致します。
【初等中等教育局】
初等中等教育局でございます。
まず星野委員よりご指摘をいただきました、施策目標2-2のところで、体験活動にあらゆる活動が含まれているというご指摘でございました。ここにつきましては、2-2自体が豊かな心の育成を評価するべき項目でございますので、それ以外の体験活動以外にも色々な指標を用いているところがございまして、道徳の関係とか、それから、体験活動の下にございますような人権の話などもあります。そういった意味で、ここはかいつまんでしまっているのではないかというご指摘も当然あるかと思います。
一方で、例えば施策目標2-4をごらんいただきますと、先ほどご指摘ありましたような自然体験活動指導者の養成人数というものも、判断評価基準に入っておりますので、こういったものと併せてご覧いただきながら、対応していく必要があるのかなと思っているところでございます。
続きまして、寺崎委員より幾つかご質問いただいております。まず1つは、学力向上だけが特に取り上げられるようなことが多いのではないか、バランスが大切であるというご指摘でございます。政策評価の体系上、例えば施策目標2-1は確かな学力の育成、施策目標2-2は豊かな心の育成、そして、施策目標2-5で健やかな体の育成と、分けて記載させていただいておりますが、我々も当然バランスが大事だと思っておりますし、私どもが日常的に施策をやっていくときには、学習指導要領の「生きる力」の理念、新しく改訂されたものでも変わることなく、これら3つがきちっと整った形で進めていくことは大事だと思っておりますので、ご指摘につきましては私どもも日々の施策の中できちっと対応していくべきだと思っているところでございます。
それから2つ目のご質問で、例えば施策目標2-3で、新しい課題が現場でいろいろ起きているのではないかというご指摘がございましたが、これも当然、ご指摘の通りだと思っております。例えばここの施策では、いじめ、不登校、暴力行為というものを指標としてとっておりますけれども、問題行動にダイレクトではないですが、最近、児童虐待の問題とか、性同一性障害の対応とか、新しい課題が起きております。そういったそれぞれの問題に適宜対応しているところでございますが、この施策目標、政策評価の中でそういったものが取り上げられるかどうか。それは色々とこれからの進捗状況や、社会の情勢などを見ていきながら考えさせていただけたらと思っております。
それから、施策目標2-7で教員の質の問題についてご指摘をいただきました。まさに文部科学省と致しましても、先月6月3日でございますけれども、中教審に対して、川端大臣から諮問させていただいております。教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について、これから中教審の特別部会において検討いただくようになっております。また、本年中を目途に一定の方向性を出していくということになりますので、そういった中教審での議論、出された一定の方向性に基づいて、制度設計の検討を今後進めていくことを考えているところでございます。
続きまして、小杉委員より、施策目標2-2のインターンシップの部分での指標について、ご指摘をいただいていたかと思います。この点につきましては、例えば公立中学校における職場体験の実施率は平成20年度で96.5パーセントというデータでございますけれども、これは実施したかしていないかということだけで言えば96.5パーセントということでして、例えば実施期間が1日、2日、3日、4日、5日、6日以上という形のデータもとっております。今後、職場体験、インターンシップ等の施策を色々進めていったときに、場合によっては、施策の指標のとり方を検討していくことも十分あるかと思います。それにつきまして、今後の検討課題とさせていただけたらと思っているところでございます。
最後に、江川委員より施策目標2-10の認定こども園の部分でご指摘をいただきました。こども園につきましては、現在、五百数十件しかないということで、私どもが立てた施策目標、当面の目標は教育振興基本計画において2,000件を目指すとなっておりますので、まだ4分の1強と、確かに施策評価としては非常に低い位置になっております。しかし、昨年度から比べますと200件近く増になっておりますので、現場では徐々に浸透してきているのかなということを感じているところではございます。
ただ、現場の声を聞きますと、どうしても現在の認定こども園制度については、幼稚園と保育所という制度を軸にやっておりますので、例えばなかなか認可が幼稚園で出ない、保育所で出ないですとか、また、会計基準がいろいろ使い勝手が別になっておりますので、やりにくいなと思っておられる場があるというのも事実でございます。そういったものについて、運用で解決できるものについては、ここ二、三年の間の中でいろいろと取組を進めてまいりました。ただ、どうしても、なかなか大きな制度改正というところまでは、現在まだ踏み込んでなかったのです。しかし、実は、少子化社会対策会議というものが政府にございまして、ここで先月6月29日、子ども・子育て新システムというものについての基本制度の要綱というものが出ております。ここの中には、まさにこれから保育、教育、そういったものを含めて、子ども・子育ての新しいシステムを構築しようということで政府での検討が進んでおりまして、基本的な方向性が示されております。その中には、実は、こども園(仮称)という、現在の幼稚園、保育所、認定こども園の垣根を取り払った、新しいシステムの中で取り組んでいこうではないかという検討がまさにこれから始まろうという状況になっております。私ども政府としては現状と致しましては、幼稚園、保育所、認定こども園の推進に努めていくつもりでおります。ただ一方で、今後の新しい子ども・子育ての体系の中では、こども園(仮称)といった新しい制度設計についても検討するようにとなっておりますので、そういったものを進めていきながら、この点について充実を図っていくよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
長くなって恐縮でございますが、以上でございます。
【高祖座長】
ありがとうございました。数回前のこの有識者会議ですと、比較的足りない部分の指摘がずっと多かったのですが、最近は皆様方のご尽力のおかげもありまして、こういうところが良くできているというような発言に大分変わってきております。それと同時に、その先のこともご指摘がございますので、引き続きどうぞよろしくお願い致します。
では高等教育局から、どうぞ。
【高等教育局】
江川委員から、日本学生支援機構の留学生寄宿舎事業の事業仕分けに関するお尋ねがありましたので、事実関係をちょっとお話しさせていただきます。この事業仕分けで、日本学生支援機構が持っています国際交流会館等の宿舎につきましては、事業の廃止という結論が出されたところでございます。私どももそれを受けて今後どうするか検討しておりますけれども、基本的には、宿舎の機能を維持するということを前提にしまして、大学あるいは民間も含めた自治体も含めたところへの売却をするという形で方向性を考えたいと思っています。
ただ、この問題というのは、だれがこの宿舎の機能の実施を担うかという問題でございまして、先ほど辰野審議官のほうからもございましたように、公的な主体が担うのか、あるいは民間、あるいは大学も含めて検討するのか、その辺りは整理が必要ではないかというご議論でございますので、私どもとしては宿舎全体としては留学生の受け入れにとって必要不可欠なものでございますので、全体としての振興策について考えているところでございます。
【高祖座長】
ありがとうございました。後ほどまた国際交流のところで、その問題のお話があるかと思いますので、よろしくお願い致します。
最初の議題からどうしても議論が沸騰して、だんだん後の議題の時間が短くなるものですから、先に進ませていただきたいと思います。よろしいでしょうか。全体にかかわることにつきましてはまた後でご発言いただくことにさせていただきたいと思います。
2つ目の大きなグループが、政策目標4から6、高等教育関係でございます。こちらについて、委員の皆様からのご発言をお願いしたいと思います。
まず丸山委員、それから渡辺委員、中西委員という順番で、お願い致します。
【丸山委員】
失礼します。高等教育分野を中心に見させていただきました。達成目標SABCのうち、ほとんどがAで、それはそれで結構かと思います。中にはBがありました。例えば達成目標4-2-1です。施設整備の老朽化、狭隘化、大学病院の整備につきましてBがついておりますが、これは数値目標が平方メートルで明記されているので、このような厳しい評価になったと考えられます。進捗状況の遅れが見られるということで、第三者として状況は分かるのですけれども、今後どうなるかも知りたいところです。進捗状況の遅れの理由が分かれば、私たちには、今後どのように推移していくのかが推測できます。ですので、例えばこの場合ですと、予算額の問題なのか、または予算執行の時間的な問題なのか、それらが明記されていれば、遅延理由というのがはっきりして、状況が理解でき、今後はこのように行くのだなということが第三者としては分かると思います。Aについては問題ないのですが、BとかCがついた場合に理由が知りたいところです。今年は無理でしたら、22年度以降、そういうことを記述していただければ良いかと思います。
以上でございます。
【高祖座長】
ありがとうございました。では、渡辺委員、どうぞ。
【渡辺委員】
それでは、大学等における教育研究の質の向上というところで、質問というか、自分の首を締めるようなものでもあるのですけれども、お伺いしたい点と、今後のことについてもお尋ねしたいことがございます。
まず、大学の教育研究の質の向上ということにおきまして、特に5つの観点を挙げながら評価していただいているのですが、例えばファカルティ・ディベロップメント(FD)は96%の大学が実施している、十分に行われているとありますけれども、問題は、まさに質の問題でございまして、質をきちんとお調べいただく必要が今後あるのではないかなと思います。ぜひ、本来各大学が行おうとしているFDの目的と、行っている方法と、その結果をきちんと評価するようなシステムで、大学がFDを行っている状況も今後お調べいただいてみてはどうかと思います。
2番目は、大学の質の問題です。届出制導入による大学の拡充が行われてきて、多様な大学が出てきたということ、これは望ましいのですけれども、逆にそれが大学の質を下げている恐れも十分にあります。また、達成目標4-1-4の判断基準には組織改編の促進状況とありますが、組織改編というのは大学教育に必要な組織改編であるのかどうか。悪く言えば、高校生の進学者をとるための組織改編というものもかなり行われていますので、組織改編の意味合いについても質的にもう少し検討していただくような大学設置の問題を、予算とは少し関係ないですが、政策的にはぜひご検討いただきたいことだと思います。
3番目、最後に国際化との関係ですが、達成目標4-1-1にダブル・ディグリー制度のお話がありまして、今回は英語による授業を中心にして、英語でとれるダブル・ディグリーを指標にされています。英語に限るのもまずは結構で、英語だけでもデータとしては行っている大学が非常に少ないのですけれども、今後、ダブル・ディグリーそのものについてもう少し踏み込んでいただくことはできないでしょうか。英語に限らずですね。ダブル・ディグリーのあり方はもっといろいろあるのではないかと思いますし、これは実際にどれだけ行っているかというよりも、むしろ大学を刺激していく意味で、英語だけにとどめるというのはいかがなものかなと。国際化の関係からも、英語でやれば国際化という誤解を与えてしまうおそれが今どうもあるように思いますので。今年は結構ですが、もう少し国際化という意味でのダブル・ディグリーを、英語という枠を外すという道で今後調査などをしていただけないだろうかと思っております。
以上です。
【高祖座長】
ありがとうございました。1点だけ、私から付け加えさせていただきますが、今の渡辺委員がおっしゃられたFDの質について、これは私も同感でございまして、施策目標4-1の3ページ目を見ますと、FDと大学院の関係というものが出ております。大学院教育に関連する部分のSABCの判断基準は「大幅に進展した」「着実に進展した」「十分には進展しなかった」「進展しなかった」という、どうにでも解釈できるような表現がつけられています。恐らくその辺りのことをご指摘なさっていると思いますので、やはりこういう印象めいた言葉よりも、数値目標なりを掲げて評価するべきというご注文であると思いますので、私から補足させていただきました。
では、中西委員、その後、宮部委員、お願い致します。
【中西委員】
1つは全体に関わることです。政策目標幾つとあり、さらに施策目標2-1、2-2や、3-1とありますが、実際に評価した結果である、SABCはそのさらに下の枝番の2-1-1や2-1-2などの枝番のところにだけSABCがついているのです。全体の施策目標、例えば4-1について、政策目標4ですと大き過ぎることもあるので、施策目標4-1の全体はどうであったかという評価結果についても書いていただければと思いました。
それからグローバルCOEのことです。施策目標4-1の4ページ目ですが、グローバルCOEは教育が中心ですが、今特に博士課程が終わった人の就職先が非常に問題になっています。指標イの部分、4-1の4ページ目にある表の下から2カラム目、「博士課程修了後の進路の多様化」というところでは、平成18年の拠点申請時と平成20年を比べ、修了者の就職率は75.0パーセントから75.6パーセントと、2年間で0.6パーセント増えています。ところが、次のページにある指標ロの「大学院教育の実質化を図るための取組の状況」を見ますと、2行目になりますが、博士課程修了者の就職率は73.5パーセントから74.8パーセントとグローバルCOEより伸びが大きくなっています。一般の大学院はどうかといいますと、4-1の5ページ目に参考指標にあるように、上から4つ目のカラムで18年度と20年度を比較しますと、博士課程修了者の就職率が58.8パーセントから64.3パーセントと一番伸びています。グローバルCOEでは約340億円、これに対して組織的な大学院教育改革推進プログラムでは60億円弱が投じられています。それぞれ、色々進んだことは指標が上がったことで分かるのですが、ドクター修了者の就職率というところだけは、費用対効果が出ていないように受け取れるので、どう対策をとっていくのかということが疑問に思えました。
もう一つは、そんなに大きなことではないのですが、施策目標4-1の3ページ目、指標ロの英語による授業等のところで、英語による授業を実施している大学数を学部段階、研究科段階それぞれに書いてありますが、頭打ちになっているように思えます。これは伸ばしていく予定なのでしょうか。
【高祖座長】
ありがとうございました。それでは、宮部委員、どうぞ。
【宮部委員】
年を重ねるごとに、評価システムというものの完成度が高まってきたと言いますか、充実してきたように思うのですけれども、評価のプロセスと次年度以降の政策立案のプロセスというのはどのように絡んでいるかというところについて教えていただきたいのです。どの政策目標にも関係する質問かもしれませんけれども、特に政策目標4の場合は、ほとんどの項目が「概ね想定どおりに達成されている」という総括的な評価があるわけですが、こういう概ね想定どおりに達成されているという評価と次年度の政策立案の策定プロセスとの関連、どのように役立っているのか、役立っていないのかというところを、少し具体的な事例でご説明いただければと思います。
【高祖座長】
ありがとうございました。それでは事務局のほうからいかがでしょうか。
【渡邉評価室長】
幾つか総括的なお話がありました。まず中西委員からのご指摘でございますけれども、枝番にあるSABC評価と政策目標・施策目標の評価について、関係を冒頭ご説明したつもりでしたが、分かりづらかったかもしれません。例えば施策目標4-1のところですと、1ページ目の中ごろに評価という欄がございます。こちらが枝番である達成目標全体を見た上でこの施策目標がどのように進んでいるかということを総括して書くというところでございます。昨年度までは達成目標の評価も、各達成目標をほとんど平均値化したものを記号SABCで書いていたのですけれども、その場合ですと、特によかったところ、あまりよくなかったところというのは書けないということがございまして、今回から文章化したというものでございます。そういう意味では、大学における教育研究の質の向上については全体が目標を概ね達成できている、A相当ぐらいかなという記述にしている状況でございますので、ここを見ていただければと思っております。
また、この評価が来年度以降どのように反映されていくのかというお話がございました。例えば施策目標4-1でございますとずっと後の部分、9ページ目に施策への反映というと欄がございます。まだ現段階、整っていないので書けないところもあるのですけれども、来年度予算要求への反映ですとか、機構定員、これは内部の組織への反映でございますとか、そういった部分について特筆して書くところがあれば、ここに書いていくということになります。そういう意味では順調にいったものであっても、来年度もそれを着実に進めるための予算要求を行うというものもあれば、先ほどもご議論にありましたが、例えば1つ順調に終わったものがあって、それで一定の施策を達成したというものであれば、ものによってはそこで終わりという予算要求のものもあると考えております。これは来年度予算要求、これから検討を進めていくところでございますが、8月末にかけましてこの欄をきちんと書き込んでいくということにしております。
【高祖座長】
どうぞ。
【文教施設企画部】
文教施設企画部でございます。丸山委員から施策目標4-2-1に関しましてご質問がございましたので、状況をお答えしたいと思います。
4-2-1は評価がBでございまして、国立大学法人等の施設整備面積が想定していた目標を下回ったため、こういう評価になりました。
その要因について記述するべきとのご指摘でございますが、まず状況について少しご説明申し上げますと、国立大学法人等の施設整備は5か年計画を作って計画的に整備を進めております。現在、進行中の第2次の5か年計画でございますが、第1次5か年計画の実績を参酌し、計画を策定したものです。ただ、この5か年計画が始まった平成18年度の予算額が約2,000億円、平成21年度の予算額が約1,400億円ということで、全体的に減少しております。なぜこれほど減ったかといいますと、例えば最初に申し上げた18年度の2,000億円の内訳には、補正予算の1,200億円が含まれています。つまり、経済情勢に左右される補正予算に大きく依存しているという、そういった特徴がございまして、これを何とか解消していきたいということがございます。一方、老朽化の問題というものは毎年確実に進行してまいりますので、エンドレスに整備していかなければならないということもございます。いずれに致しましても、計画的な整備ができる予算を確保することが大きな課題と考えております。
【高祖座長】
ありがとうございました。施設整備に特化して話があったわけでございますが、丸山委員のご趣旨としましては、B評価やC評価があった項目については今後どうするのかということも含めて書き込んでほしいというところが主だと思いますので、よろしくお願い致します。
では、高等教育局、お願い致します。
【高等教育局】
ご質問いただいた件に、順次お答えしたいと思います。
まず渡辺委員から3点ほどいただいたところでございます。FDについては、実施率が100パーセントに近いのであれば、次は質の問題、確かにその通りでございまして、一部においてはFDが自己目的化して形骸化しているのではないかというご指摘もいただいており、これからむしろ質をどう評価し、それを伸ばしていくかというところについてはご指摘の通りでございまして、そういう指標のあり方について今後検討させていただきたいと思います。
それから、設置認可について、届出制の問題についてお話しいただいたところでございます。届出制は平成15年度からスタートさせていただきまして、順調に伸びて、ご指摘の通り、大学のいろいろな形での多様な展開を後押しするという面があった一方、認可という形ではなくて、簡便にできるということから、逆にそれを学生集めのために活用しようというところのご指摘があったわけでございます。この問題について、実は、中教審の大学分科会でも議論しておりまして、例えば届出については現行の教員組織の2分の1を継続するということについては学位を変更しないということで、届出を認めるという形になっておりますけれども、それを何回か繰り返すことによって、全く別のものを作るというケースもございます。それは言ってみれば、設置認可の脱法的な行為につながるということもございますので、そのルールづくりについては分科会のほうで今議論して、まとまれば改善を図っていきたいというように進めているところでございます。
それから、国際化、ダブル・ディグリーの問題を取り上げていただきました。これは施策目標4-1の3ページ目でございます。資料の上のほうをご覧いただきますと、具体的な指標を13番から17番まで掲げているところでございます。タイトルとしましては、英語による授業等、国外大学等と交流協定に基づくダブル・ディグリーとしておりますけれども、ダブル・ディグリーにつきましては英語ということを前提にしているという指標にはなっておりませんけれども、丸めますとこういう形になりますものですから、この点については表現の工夫等々あると思います。
中西先生からお話しいただいた英語による授業のことにも関連致しますけれども、今後につきましては、短期交流も含めまして大学の交流をいかに盛んにしていこうかということで、文部科学省においても、施策をこの部分については強化するという形で進めているところでございまして、指標の立て方がこれでいいのかどうかも含めて、今後議論させていただきたいと思います。単なる英語によるコースの開設だけではなくて、むしろ双方向の交流とか短期のプログラムとか、あるいはダブル・ディグリーにつきましても、ご案内の通り、昨今、ガイドラインを国として制定させていただきまして、行き来を伴う具体的に安定的、持続的なダブル・ディグリー・コースについての支援ということも方向性を出しているところでございます。そういうことも含めまして、この問題についての指標のあり方についてこれから議論していきたいと思っているところでございます。
それから、高祖先生からSABCの判断基準につきまして、例えば「大幅に進展した」「着実に進展した」「十分には進展しなかった」「進展しなかった」という形で、立て方自身があいまいでないかというご指摘をいただいたところでございます。この点については、ほかの指標のあり方も参考にしながら、何か工夫ができないかについて考えていきたいと思っているところでございます。
それから、中西先生から、グローバルCOEに関連致しまして、特に施策目標4-1の4ページ・5ページのところで博士課程修了者の就職率の問題を取り上げていただいています。特に3つのデータを挙げておりますけれども、これはそれぞれグローバルCOEの採択した拠点、5ページの上の方につきましては組織的な大学院教育改革推進プログラム、大学院GPと言っていますけれども、それを採択した拠点、参考指標としては全大学院について取り上げているところでございます。
確かにこれだけではなかなか実態が分かりにくいという点がございますし、また、今、中教審の大学院の分科会におきましても、いわゆるキャリアパスの問題とか、博士の就職をどう考えていくかについて議論しているところでございまして、その指標のあり方、これはおそらく全大学院につきましても分野によっても違いますし、その状況も異なりますので、きめ細かい把握や分析が何かできるかどうかも含めて、今後検討、研究していきたいと思っております。
以上でございます。
【高祖座長】
ありがとうございます。指標のとり方は確かに時代に応じて変えていかなければならないことはたくさんあろうかと思います。例えば施策目標6-1、特色ある教育研究を展開する私立学校の振興のところでございますが、この中に指標のとり方として私立大学の図書館の蔵書数が出ていますね。図書館で本が増えているということ自体は非常に喜ぶべきことで、良いことだと思います。ただ、数が増えているのは大学の数が増えたからかどうなのかという問題もあるでしょうし、それから本というものが電子化されてきています。そうすると、活字の本の数を見るというだけでは足りない時代に入ってきているだろうと思います。指標のとり方そのものも、かなり考えていかなければならない時代になっているということも、この中で言えることだと思います。
それから、私学のことでもう1つ申し上げれば、施策目標6-1では私立学校の学生・生徒納付金のデータが出ていますけれども、例えば国立や公立に出されている補助金と私学で学んでいる学生たちの1人当たりの補助金が年度間でどのように変化してきているかというようなことも、大事な指標になるだろうと思います。例えば今、高校の無償化ということが行われています。それに対応して、公立と国立と私立に行っている子供たちで高校レベルでの納入金が一体どのように変化しているのかいうところをきちんと見ることが必要であると思いますので、そのあたりもご検討をひとつお願い致します。
それでは、科学技術のほうに移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。3つ目のグループが、政策目標7から10、科学技術に関係するところでございます。ここに関連してのご意見、では、まず中西委員、どうぞお願い致します。
【中西委員】
どうもありがとうございます。幾つか気がついたところを内容に沿って質問させていただければと思います。
まず、施策目標7-2の1ページ目、倫理的・法的・社会的課題でございますが、ここではヒトES細胞とクローン技術のことだけが書かれています。順番にやっているのかも知れないのですが、倫理的・法的・社会的問題というのはこの2つだけではないと思います。GMO(遺伝子組み換え生物)の問題をはじめ色々な問題があるので、もう少し範囲を広げていって欲しいと思います。
それから、施策目標7-3の2ページ目の知的クラスターの指標の表についてです。上段が平成20年度の知的クラスター創成事業終了評価、その下が21年度の知的クラスター創成事業中間評価ですが、この21年度だけbとcがついています。そこで、どういう問題があったかということを書いていただきたいと思いました。
あと、施策目標8-1の原子力のところですが、4ページ目にホームページのアクセス件数があります。かなり上下があり、どうしてだろうということで読ませていただきますと、トラブルの発生有無によってアクセス件数が違うということが書いてあります。これだけ数字が異なってくるようでしたら、これを指標にすること自体、少し問題があるのではないかと思います。もう少し別の指標を考えてもいいのではないかと思いました。
施策目標9-2ですが、3ページ目に大学と企業の共同研究の実績の表があって、21年度は速報値とあります。これはもう少し増えるものでしょうか。この数字だけを見ますと、すべて下がっています。マル1からマル4まで、企業とどのように共同研究しているかというものですが、全部下がっているけれども、B評価となっているのでどういう判断なのか教えて欲しいと思いました。ただ速報値ということなので、これからもう少し増えると考えてよいのでしょうか。
それから、施策目標10-4のナノテクノロジーですが、これは非常によく進んだということで、随分成果が上がったとあります。特に2ページ目では元素戦略がうまくいったと書かれています。元素戦略は、特に、基礎研究と応用研究が比較的近い分野です。そこでここに経済産業省とも非常によく連携できていると書いてありますが、もう一歩進んで、一緒のプロジェクトとして運用していっても良いのではないかと思います。実用化に向けて、もっと経済産業省を巻き込んでいっていただきたいということが率直な感想です。
4ページ目にもナノテクノロジーは非常にうまくいっており、10から15年後の実用化が期待されると書かれています。事業アウトプット欄の下の方にも既に成果が幾つか書かれていて、非常にうまくいっているということです。そこで、こういうところも、ぜひ素早く進めてほしいと思います。10年、15年と言わず、うまくいっているところは経済産業省と組んで一緒にどんどん進めていっていただければと思いました。
これは教えていただきたいのですけれども、施策目標10-5の3ページ目、放射線医学総合研究所(放医研)の重粒子がん治療ですが、ここは治療患者数がだんだん増えてきて、成果が上がってきていると思われます。指標のところで、治療患者数と書いてありますが、実際に希望した人の中の何人ぐらいが治療できているのかということを知りたいと思いました。希望者の手が届かないのか、それとも十分これからも希望する患者さんに貢献していけるのかということです。
最後に施策目標10-7の新興・融合領域の研究開発の推進のところですが、単に今までにある、一緒でなかった科学技術を融合するということではなく、もっと文系の分野を入れ込んでいって欲しいと思います。とかく自然科学の分野の中における融合が注目されがちなのですが、これからの社会を見据えていくと、心の問題からどのように暮らしていくか、安全・安心、サスティナビリティなどが大切な課題となってくると思います。さらに脳の研究についても文系の人を中心に据えたようなプロジェクトが新しいことを生み出すのではないかと思われますので、ぜひ文系との融合も考えていっていただければと思いました。
以上でございます。
【高祖座長】
ありがとうございました。
ほかに科学技術に関連して。どうぞ、江川委員。
【江川委員】
大きな一般的な問題意識なのですけれども、科学技術の分野、それから、前のところになってしまいますけれども高等教育の教育研究というのは、地道な努力を着実に継続的に積み重ねるというところが非常に重要でございます。学内の色々な研究者の方と話をしていると、教育研究というのは日常的に色々積み上げていかなければいけないのに、最近は経常的な交付金が減ってきて、一方で、プロジェクト型の予算が増えてきているので、打ち上げ花火的な何かをやらないと予算がつかないという傾向があって、それが全体の体力を弱めているのではないかという問題意識を持っているようです。
ここはバランスのとり方が非常に難しいと思いますので、一般論でしか申し上げられないところはあるのですけれども、こういった評価のペーパーを拝見しておりましても、どうしてもこういうプロジェクトをやりました、こんなプロジェクトをやりましたという感じの列挙になりがちです。逆に、そうは言っても、研究とか基盤整備とか、教育とかというものは、そういうものになじまない面もあるので、その辺りのバランスをとっていただきたいと思います。
具体的には、教育の強化という部分ですとか、今議論している科学技術の基盤とかも、どうしてもそういったものを列挙することで終わってしまいがちなので、そのバランスをとっていただきたいと思います。
もう過ぎてしまったのですが、先ほどダブル・ディグリーの話が出たので、1点だけ申し上げたいのです。英語だけが全てではないということは私も全く同意見なのですが、同じような理由で、ダブル・ディグリーということだけを指標化するのはいかがかと思います。最近、私どもの東京大学でも、公共政策大学院というところでダブル・ディグリー・プログラムを作ったのですが、色々聞いていると、論文審査を伴う研究科でダブル・ディグリーをやるのは非常に難しいと言っております。ダブル・ディグリーというのは学位の国際的通用性を補うものだという認識なのです。大学自体が国際化していくことによって、別にダブル・ディグリーでなくても、国際的に通用する学位を出せるようになるなど色々な形での国際化のあり方がありますので、国際化の指標をこれだけとしないでいただけるとありがたいです。
【高祖座長】
どうもありがとうございました。議題が済んだといっても、関連することはどうぞご遠慮なくご発言ください。
それでは、要点をかいつまんでご回答をお願い致します。
【研究振興局】
研究振興局でございます。最初に中西先生からご指摘いただきました数点のご質問についてお答えさせていただきたいと思います。
施策目標7-2、生命倫理の関係でございますけれども、iPSなり、ESなり、そういった部分だけでは足りないのではないかというご指摘だったと思います。研究分野の生命倫理につきましては文部科学省として取り扱うべきものとして、現在iPS、ESの関係の指針を策定しているところですけれども、当然今後研究開発の進展で、新しい分野で文部科学省が取り扱うべきものが出てくれば、文部科学省においてもそういう分野の倫理の策定等を行っていくことになるかと考えております。
それから施策目標10-4、ナノテク関係の評価でございます。先生のご指摘で、基礎と応用、出口が非常に近い分野であると。ご指摘の通りでございまして、現在も、例えばつくばイノベーションアリーナといった取組で、経済産業省の産業技術総合研究所、筑波大学、そして、文部科学省の物質・材料研究機構ですね。そういったところが一緒になってナノテク分野の振興をやっているという取組をしております。
それから、施策目標10-5で、放医研の重粒子線がん治療の治療をした患者さんの数でございますが、ご質問はどのくらい要望があったかという点だと思いますけれども、まことに恐縮でございますが、その点についてはデータを持ち合わせてございません。ちなみに、最近3年間で、大体患者さんの数が700人近くで頭打ちとなっているところですけれども、これは放医研の治療、ベッドの数とか、治療にかかる時間で、ほとんど満杯の状態で、重粒子線のがん治療をやって、年間700人程度を達成しているという状況でございます。
あと施策目標10-7、融合領域の研究で、そこに文系の分野も入れ込むべきではないかというご指摘をいただきました。今こちらの評価書では確かに自然科学系の分野の融合のプロジェクトについて書かせていただいているところですけれども、当然今後そういう文系等も含めて、融合領域の研究というものを進展させていくことも考えられると思っております。
【科学技術・学術政策局】
科学技術・学術政策局でございます。中西先生からご指摘いただきました2点についてお答え申し上げます。
まず1点目は、地域科学技術振興における知的クラスター創成事業のb・c評価に関してでございますが、大変申し訳ございませんが細かいデータが今手元にないもので、具体的になぜこれがb・cかということはすぐにお答えできません。地域科学技術政策全体に関しましては、政権交代前から、また政権交代後も事業仕分けの中で、地域科学技術政策というものの国と地域の役割について様々な指摘がなされているところです。全体としましては、国の役割としてしっかり精査するべきという全体の方針の中で評価が行われた傾向もややあるのではないだろうかと考えております。
もう1点、原子力安全のホームページのアクセス数を評価の指標にするのはいかがかというご指摘については、その通りと思っております。実際、事故が多く発生するとアクセス数が上がり、またプレス発表数も上がるということで、必ずしも外部に情報提供するという我々の姿勢と、アクセス数やプレス発表の件数がリンクする形とはなっていない面があるかと思います。事故の件数に依存してしまっている面もあるかと思いますので、ご指摘を踏まえまして、ほかの適切な指標がないかということも踏まえ検討させていただきたいと思います。
【高祖座長】
ありがとうございました。高等教育局、どうぞ。
【高等教育局】
まず中西先生のご指摘でございますけれども、おっしゃる通り、基盤経費があり、また一方では、教育で言えばGPなど国公私を通じたような教育改革を進めるための資金があり、それらのデュアルサポートと言うべきものが基本となるのは議論をまたないところでございます。そうした趣旨は、例えば施策目標4-1の概要部分でも若干書かせていただいておりますが、なかなか現在の表現ではその趣旨の表現が十分ではないので、今後はそういった部分の工夫も考えていきたいと思っているところでございます。
それから、江川先生からダブル・ディグリーに関するご指摘がございましたが、先ほど申し上げましたように、これらに関する指標は未整備と思っております。新しい指標や、あるいは大学の姿全体をとらえる上においてどういう形が適切なのかについて、今後検討していきたいと思います。例えば英語にしましても、授業のコースを選ぶというだけではなく、例えば新成長戦略でも若干記載があるように大学ごとに英語のスタンダードを決めることや、短期的な双方向の交流を進めるということもございます。そうした総体をとらえるような指標のあり方について今後工夫、研究していきたいと思います。
【高祖座長】
ありがとうございました。
それでは、4つ目のグループでございますが、政策目標11から13のスポーツ、文化、国際関係につきましてご意見を頂戴したいと思います。では美山委員、鈴木委員、どうぞ。
【美山委員】
この領域では毎回、評価の指標を数で表現するのか、あるいは数では表せないものをどのように取り扱うのかが悩みの種でして、今回、評価を文章化することによってその部分がかなり解決できたと思います。しかし一方で、文章化すると主観的な評価であるようにも感じる、質の問題があります。何か解決策がないかと考えているのですが、今回、この政策目標12の部分を見まして、幾つか評価の手法に関するご提案ができるのではないかと思い、3点のことを申し上げます。
1つ目の点は、例えば施策目標12-1の2ページ目では、芸術文化創造活動の活性化を測る指標として主要芸術団体の自主公演数を挙げています。確かに公演数自体は概ね増えており、結構なことですが、一方でその中身に関して言うと、大衆迎合的なプログラムばかりが増えてもそれでは十分でなく、公演の中にどのような形で創造的な要素が組み込まれているのかが大切です。例えば初演の公演がどの程度あるかとか、オーケストラの演奏会の回数ですとか、細分化を行うことによって、それが創造的な活動であるかどうか、また、この予算の執行趣旨に合うものかどうかということを浮かび上がらせることができるのではないでしょうか。
また、このようなものは都会で行われることが非常に多いものですから、この事業においては敢えて各地域において行われる回数を見て、伸びを見ていくようにすれば、文化の一極集中を排除することにも役立つことが表れ出てくるのではないでしょうか。
少し手間がかかりますけれども、この予算にはこうした意味があるということを説得する材料を得ることにつながると思っています。例えばオーケストラに関しては、この類のデータは比較的簡単に手に入ると思います。
2つ目の点は、これも数をメインにして評価を行っている、子どもに対して優れた芸術を体験させる幾つかの事業についてです。体験の質をどのように測るのかについて、前にも申し上げたことがございますが、体験をした側、とりわけ子どもの評価を本当は聞きたいところですが、それはなかなか難しい。そこで事業の実施主体の側の工夫状況を見ることになりますが、とりわけ最近話題なのがTAについてです。ここで言うTAとはティーチング・アシスタントではなく、ティーチング・アーティストでして、役者でも演奏家でもダンサーでも、大変上手な人がいるのです。TAの活用はニューヨーク・フィルハーモニックなどでは当然のことになっているのですが、そうしたものを取り込んだプログラムがどの程度あるのか、もし数値化させることができれば、それは子どもに対する教育的な体験の一層の質向上に役立つのではないかと思います。
このことは、実は施策目標12-1の4ページ目、一番下の行に文章として書いてあります。しかしそれをどのように数値化するかというところへもう一歩進んでほしいという気が致しております。
最後に3つ目の点、これは各項目に関係したことですけれども、一体、こうした事業がアセット(資産)を形成していくサイクルにどのように組み込まれているかについてです。アセットには地域アセットですとか、文化的なアセット、あるいは学術的なアセットなど様々ですが、例えば、独立行政法人の事業ですから少し違うとは思いますが、昨年行われた「国宝阿修羅展」の例を挙げます。阿修羅展は九州国立博物館へ巡回した際、そこでの設備を利用して興福寺の様々な仏像のエックス線写真を撮ったのです。それは非常に学術的な優れた成果であって、そのことはあまり一般に知られていることではありませんが、展覧会が学術的なアセットの形成につながっているのです。そういったアセット形成の成果を全体としてどのように評価に盛り込むかということが、もう少し見えると良いのではないかと思いました。
今、成長分野として観光が注目されていますが、観光客の訪問先としてミュージアムは非常に重要な位置にあります。世界文化遺産も同様ですが、今後、評価軸の中に、観光に対してそれぞれの事業がどのような関わりを持ってきたかということについての評価指標の開発がなされれば良いのではないかと思った次第です。
世界遺産の国際機関として、ICOMOS(国際記念物遺跡会議)というものがございます。このICOMOSが定めた国際文化観光憲章(1999年)において、観光と文化遺産のあり方は利害対立的な関係ではなく、協調する関係にあるとうたわれています。その部分に、何が大事かという評価のポイントも示されているわけでして、そうした評価のポイントを組み込んだ評価軸を作れば、来年度以降の事業評価にも役立つのではないかと思った次第です。
【高祖座長】
ありがとうございました。では鈴木委員、どうぞ。
【鈴木委員】
私はこの会議に参画して4年目になりますけれども、先ほど高祖座長がご指摘されたように、非常に数値化しづらい目標が多い中で、大幅な数値化を達成されたということ、そして、特に文化芸術にかかわる点におきましては、美山先生がおっしゃるように、数値化できないところにおいては定性的な目標評価もされているということで、大幅に改善されているということを、評価室を中心によくやられていると思っています。
ただし、私ども民間から見ると、まだまだ目標管理、あるいはPDCAのサイクルを回しているということにおいては、改善の余地があるのではないかという視点で、意見を申し上げたいと思います。
昨年のこの会議でも申し上げた点ですが、施策目標12-1の3ページ目、新進芸術家海外研修制度についてです。判断基準として、過去5年間の派遣者数の推移が挙げられており、今回の実績評価ではこの部分がC評価になっています。それなりの理由があるとは思いますが、それまで大体150から160名派遣していたものが昨年は109名になってしまったので、C評価ということですけれども、果たして過去5年間を平均したものを基準にするということがいかがなのでしょうか。昨年は、合理性がないこと・主体性がないこと、この2点について申し上げました。今回改めて、合理性がないことに関してはC評価になってしまったことによってご理解いただけるのかなと思います。過去5年間の実績の平均をとるのであれば、昨年のような異常値を除いて平均値をとるといった工夫もあるでしょう。
主体性がないことについてお話ししたいと思います。主体性がないと言うと漠然としていますが、環境変化に対してこの事業の位置づけは年々変化しており、それに対応できていないのです。私が理事長をやっておりますポーラ美術振興財団では、10年以上にわたって年間20から30名の若手のアーティストを在外研修させていますが、これがリーマン・ショック以降の2年間で年々20パーセント程度応募が増えているのです。つまり、それ以前にサポートを担ってきたところ、民間か国かは分かりませんが、その予算が減っているので、こちらへ応募が集まってしまっていることがあるのです。そういう環境変化があるのであれば、この事業は1人年間600万円程度をかけていると思いますが、例えばこれを20パーセント減らし480万円にすれば、20パーセント以上多くの人たちが海外に研修へ行けるわけですね。この事業の意味づけを高めていくためには、環境変化の分析を踏まえ、そうした同じ予算総額でも人数を増やすような目標設定を行うことがあってもいいと思います。裏を返せば過去の実績を平均化するのではなく、年々変化する環境に応じて目標を設定し、評価をされたらいかがだろうと思いました。
【高祖座長】
ありがとうございました。では渡辺委員、どうぞ。
【渡辺委員】
質問ではなくお願いに近いことなのですが。政策目標13の1ページ目、22年度以降の政策への反映方針の欄に書かれており、これは今年度からつながってくることだと思いますが、ESDのことが取り上げられています。これは大変重要な課題で、国際交流協力以上にもっと重要な意味があるものだと思いますので、ぜひ体系的に進めていただきたいと思います。
ESDは「持続発展教育」と日本語で訳されていますが、ESDというのは環境にも、社会現象にも、また実は個人にも関わる非常に幅の広い、深いものであると思います。ある意味で学際的な要素を持っているものですので、ESDそのものについての理念構築や研究といった分野の専門家をきちんと育てることも検討いただきたいと思います。評価書には「専門的な調査・分析を行う専門職の定員を要求する」と書かれていますが、もちろんこれもさることながら、専門家を育てるということも加えていただきたいと考えております。
【高祖座長】
ありがとうございます。
環境変化については、私からも1点だけ申し上げたいと思います。国際交流について、総体的な評価が概ね順調であると書いてありますが、今、日本の大学生が海外に対して内向きであるという批判が多くあります。つまり、大学生が海外に出たがらない。そうしたことが社会に蔓延し、マスコミ等様々ところでも言われています。ところが、政策評価を見る限りでは、概ね順調に行っているという評価です。掲げた目標からは順調なのかもしれませんが、環境全体として見ると、この評価全体を、もう少し大きな枠組みで見る必要があるのではないでしょうか。そして、そうした内向きになっている状況に対して、文部科学行政としてはどのような政策でそこへ切り込んでいこうとするのかということを、同時に打ち出していかないと、国際化という旗を振っても実態を伴っていないのではないかという批判を受けかねません。ぜひ、少しご検討いただければと思います。
では、事務局からどうぞお願いします。
【渡邉評価室長】
本日ご欠席の浅井彰二郎委員から、国際分野についてご指摘がありましたので、紹介致します。ただ今の高祖座長のお話ともかなり近いのですが、施策目標13-1の国際交流の推進につきまして、留学生交流、教職員、学者、専門家交流については十分な進捗が得られているとなっていますが、果たしてそうであろうかと。
近年、大学、特にアメリカで学ぶ日本人研究者の数が少なくなり、アメリカに滞在中の人間についても、中国、インドなどの学生と比べると、勉強しない、熱意がないという声も聞かれる。ただ、きっと日本人の中にも熱意のある人間がいるはずなので、若いときに機会を与えるようなことを考える必要があるのではないか。そういう意味で、欧米のみならず中国、インド、南アメリカ、アフリカ、その他に留学生を送ることは、日本の今後の国策として非常に重要であるので、18歳の大学入学時期を中心として、文理のバランス、また、行き先のバランスをとって、国として奨学金を出すということも考えるべきではないか、というご指摘がございました。あわせてここで回答できればと思っております。
【高祖座長】
ありがとうございました。
それでは文化庁より、関係することについて、要点を絞ってお願い致します。
【文化庁】
文化庁です。全体的にすべて評価指標の問題をご指摘いただきましたので、それぞれについてお答えしたいと思います。
美山委員からは、まず1点目として、芸術文化創造活動の評価指標として公演数を単純に出していることについて、例えば創造的な活動とか、あるいは公演場所の問題とかということについて検討してはどうかというお話でした。これはそのような方向で、今回は書いておりませんが、文章化するかあるいは数値という形で出すのかということについて、改めて検討したいと思っております。
2点目に、子どもに対する舞台芸術体験活動について、事後評価的な取組のご提案をいただきました。実は事後評価的なことについて、学校や子どもを対象に聞いたこともあったのですが、ただ、どうも非常に良かったとか、楽しかったとか、そういう意見が多く、あるいはその学校の先生についても、その学校に来た事業でしか見ていないというところがどうしてもございました。この事業については実施する前に、どのような団体にやってもらうのかということについての検討をしておりますので、その検討の中で、事前の評価・事後の評価をどうバランスよくやっていくのかについて、また改めて考えていきたいと思っております。
3点目に、国宝阿修羅展を例にお話いただきましたが、ミュージアムの問題については独立行政法人に関して別途評価がございまして、それとの重複なども考え合わせて、この評価書にうまく表現できていない部分がございます。ミュージアムについては5年間に1度、中期目標、中期計画という形で国からやって欲しいことを示していく局面がございますので、そうした中で、きちんと文化庁の政策全体としてうまく形成して行ければと考えております。
鈴木委員からは、新進芸術家の海外派遣事業についてお話がありました。合理的・主体的でないというご指摘には、結局、今回も思い切って直すことができず、一方でこの評価をやめてしまうのかということにはまだ迷った部分がありましたので、このような評価になっております。しかし一方で、新進芸術家の海外派遣事業については、実は派遣が終わった後に、公演事業や、あるいは「DOMANI(ドマーニ)・明日展」という展覧会をやっており、それらがセットになっております。また、終わった後にどういう活動をするのかについて、現在追跡調査を行っているところでございまして、そうした中で、新たな指標等について、さらに考えていきたいと思っております。
【高祖座長】
ありがとうございました。では国際課から、どうぞ。
【国際課】
国際交流の推進につきまして、委員の先生から幾つかご質問がございましたので、回答させていただきます。
浅井先生や高祖先生からございましたように、確かに学生が非常に内向きになり、海外へ行かないという状況がございます。OECDの統計では、日本人学生等の海外留学者数は減少する傾向にあり、その理由としては、就職活動の早期化や、若者の内向きな志向など様々な要因が指摘されているところでございます。文部科学省と致しましては、我が国の国際協力の強化やグローバル化した社会で活躍できる人材の育成などの観点から、より日本人学生が海外に留学することが望ましいと考えております。そのため、施策目標13-1の1ページ目ございますように、留学生の短期受入れと日本人学生の海外派遣を一体とした留学生交流支援制度を、支援拡充しているとともに、日本学生支援機構による留学生情報提供・相談事業等を実施しておりまして、大学間協定に基づく日本人学生の海外派遣人数は年々増加しているという事実はございます。
ただ、非常に難しい問題でございますので、様々な機会をとらえて知見のある方々に議論していただきながら、どのような形であれば、より海外に若者が目を向けるような事業が行えるか、システムができるかということを考えていきたいと思っております。
渡辺先生からは、ESDは良い取組なので、ぜひ推進をというご発言がありました。それにつきましては大変ありがたく思っておりまして、今、ユネスコと連携致しまして、ユネスコスクールを活用したESDの普及ということも考えております。今後ともESDを広く普及するため、そうした形で事業を推進していければと思っております。
【高祖座長】
ありがとうございました。どうぞ、ご検討をよろしくお願い致します。
時間が迫っておりますが、少々会議を延長させていただきまして、全体に関わることのご意見を頂戴したいと思います。では田中委員、浅井委員、お願い致します。
【田中委員】
それでは全体的な観点ということで申し上げます。評価の活動を分類する際、3つの類型があると思います。1つがモニタリング、もう1つがポリシーアナリシスというもの、それからもう1つがエバリュエーションというものです。やや乱暴ですが、今、政策評価制度のもとでやられている類型に当てはめると、モニタリングが実績評価、ポリシーアナリシスが事業評価、エバリュエーションが総合評価だと、私は大まかに理解しております。一方、最初にご紹介があった事業仕分け、あるいは行政事業レビューといった、政治側からの要請で行っているものは、私はリフォームだと思うのです。
この整理を前提として、3点コメント致します。
まず1点目ですが、リフォーム、先ほど政策評価審議官は棚卸しという言い方もされていたと思いますが、棚卸しなりリフォームなりをいつもやっているというのはおかしいと思います。やるならやるで、2、3年でけりをつける、メリハリをつけてやるということをまず強くご提案したいと思います。
2点目ですが、やはり政策評価審議官が先ほどおっしゃったように、様々な取組が錯綜しているということは非常に問題だと思うのです。やはり重複した取組はなるべく整理し、あるいは優先順位をつけて行うということも強くお願いしたいと思います。様々なことを手がけていますと、対応能力が十分であれば結構なのですが、やはり皆さんお忙しいと思いますので、評価の質が落ちるということを一番心配するのです。そうすると、あれこれやってもあまり意味がないということになります。
最後に3点目、これは前回も申し上げたのですが、先ほどエバリュエーションは総合評価であるという整理をしたように、私は評価の基本は総合評価だと思うのです。特に文部科学省はその所管の領域が非常に多岐にわたり、あるいは数量的な評価になじまないという分野をたくさん含んでいますから、文部科学省こそ総合評価をきちんとやるべきであると。そういう立場、多分共有していらっしゃるかと思うのですが、ぜひ政務三役にも伝えていただければと思います。
【高祖座長】
ありがとうございました。では、浅井委員、どうぞ。
【浅井(経)委員】
3点、申し上げたいと思います。
まず1点目です。先ほど政策間のプライオリティーについて、政務三役がお決めになるというお話がありました。そのような中で、教育の中立性や行政の継続性をどうするのかという問題は、大変気になっております。
2番目ですけれども、これもかなりの方が批判的である、高校の授業料無償化についてです。子ども手当と同じですが、国会でも裕福な家庭にまでバラマキをする必要があったのかという議論がありました。無償化を実施する財源としてどれだけの事業が切られたかということがありますので、その評価をやっていただきたいと思います。どういう評価をするのか分かりませんが、意図がどういうことでその目標に対してどれだけ効果があったのかという評価について、その評価をやるべきだろうと思っています。
3番目ですが、アウトカムに関わる決定的な評価がまだ足りないだろうと思います。事業にお金を投入した場合と投入しなかった場合の差を検証することが良いのか、あるいは先ほどお話がありましたように、定性的な、国民が納得できるような事例を交えて出していくのが良いのか。具体的な方法は分かりませんが、その辺りを検討する必要があるのではないかという気が致しました。
【高祖座長】
ありがとうございました。では江川委員、どうぞ。
【江川委員】
今のプライオリティーのお話について、先ほど政策評価審議官からもコメントをいただきましたので、それに関して一言申し述べさせていただければと思います。
私がプライオリティーについてご質問したのは、まさに今色々なことが重複して行われており、政治自体も混乱状況にあるので、その中で現場、あるいは文部科学省の方が翻弄されたり、様々な作業が出てきたりして、結局それが無駄になってしまうようなことが出てくるのではないかということがあって、申し上げました。例えば今後、評価を整理していく際に、この評価とこの評価はやめましょうなどという枠組み自体の整理が起こると思うのですが、私自身はそういったものに全部横串を通して、今、文部科学省としてどの政策が非常に重要だと考えているのかということを、できるだけ早い段階で整理していただいて、それを政治家と議論していただくのが重要ではないかと思います。
政務三役が最後決めると言っても、色々なところで決まったことを最後にひっくり返すということになると、結局混乱するだけですし、様々な形で意思疎通を図りながら大きな方向性を出していくということは、今のような混乱期に逆に重要なのではないかと考え、申し上げました。
【高祖座長】
ありがとうございました。
事務局から何かございますか。では、審議官、お願い致します。
【辰野政策評価審議官】
ありがとうございました。色々なご示唆もいただきましたが、先ほど星雲状態という言い方をしました状況をどうやって整理していくのか。様々な場所で同時多発的に行っている評価について、どう見ても重複がある等について整理する中で、今のご意見についても十分に吟味をして、伝えていきたいと思っています。
先ほどは政務三役を強調し過ぎたかなとも思ったのですが、割と文部科学省の場合は、政務三役との意思疎通はできていまして、例えば事業仕分けで廃止という結論を受けたとしても、本当にそうだろうかと立ち止まって一緒に考えるということをやっています。
我々の反省として確かに言えますことは、様々な施策について、どれもが必要だと主張してきたことです。当然のことではありますし、必要だと主張することに諸々意を用いてきたのですが、それが本当に国民にとって納得できるのか。なぜ国がやるのかとか、なぜ補助金の形なのかとか、様々な観点が存在するわけですから、それに対してしっかり説明していかなければいけない、大事だからやるというだけでは通らないということについて、ある種の学習によって我々も少し階段を上がったような部分が若干ございます。そういう意味で、我々も原点に立ち返って、いろいろなものを吟味しながら、対外的な説明もきちんとして、そして主張を通していくと。
特に文部科学省の仕事というのは、目先の成果では語れないものが非常に多くあるものですから、主張の仕方、プレゼンの仕方も様々あるかと思いますが、その際に今まで積み重ねてきた、この評価のあり方というものは我々にとって参考になりますし、これを足がかりに、さらに磨きながら対外的な説明やアピールをしていくことができます。そういう時代に入ったことを思いつつ、今のいろいろな貴重なご指摘についてよく我々も検討して、誤りのないようにこれを政府部内で生かしていきたいと思っております。
【高祖座長】
ありがとうございました。時間を超えていますので、もし委員の皆様で他にご意見がございましたら、書面でも口頭でも結構でございますので、事務局までご提示ください。8月までかけて実績報告書(案)には手を加えていくということで、ご意見はできる限りそこに反映できると思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
それでは、次回の開催について、事務局からお願い致します。
【渡邉評価室長】
次回は大体8月の後半に、今回の実績評価の変更点などや新規事業の事業評価についてご議論いただきたいと思っております。また、税制改正について今年度から評価することになりましたので、もし該当事項があれば、そちらについてもご覧いただく予定でございます。今のところ、開催は8月20日ごろになろうかと思いますが、改めて日程についてはお知らせしたいと思います。
【高祖座長】
ありがとうございました。
本日の議事では様々な意見の交換、また提案がございました。各事務局におかれましては、いろいろと検討課題が残ったかと思いますが、それらについてなるべく目に見える形での成果を出していただきたいと思いますので、よろしくお願い致します。
それから、私ども委員におきましても、政策評価がさらに質として向上しますように、様々な形でのご意見を申し上げたいと思っております。委員の皆様、引き続きよろしくお願い致します。
それでは、これをもちまして本日の会議を終了させていただきます。ご協力ありがとうございました。
―― 了 ――
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