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政策評価に関する有識者会議

2004年3月11日 議事録
第9回政策評価に関する有識者会議議事録


1.日時 平成16年3月11日(木曜日) 14時〜16時

2.場所 霞ヶ関東京會舘 「シルバースタールーム」 35F

3.議題
(1)  平成16年度文部科学省政策評価実施計画(案)について
(2)  政策評価の結果の政策への反映状況報告−平成15年度−(案)について

4.配付資料
 資料1   平成16年度文部科学省政策評価実施計画(案)等の概要
 資料2   平成16年度文部科学省政策評価実施計画(案)
 資料3   文部科学省の使命と政策目標
 資料4   文部科学省政策評価に対する主な指摘事項と対応方針
 資料5   政策評価の結果の政策への反映状況報告−平成15年度− (案)
 資料6   政策評価に係る今後の予定

5. 出席者
(委員) 伊藤座長、浅井委員、麻生委員、天笠委員、天野委員、池上委員、大窪委員、
川邊委員、小出委員、古賀委員、杉山委員、竹内委員、舘委員、中西委員、
平澤委員、星野委員、ゼッターランド委員、横山委員

(事務局) 矢野文部科学審議官、白川大臣官房長、瀬山大臣官房審議官、和田大臣官房政策課長、佐野大臣官房政策課評価室長
泉大臣官房会計課長、末広大臣官房政策課評価室室長補佐、和田大臣官房国際課長補佐、板倉大臣官房文教施設部計画課整備計画室長、布村生涯学習政策局政策課長、加藤初等中等教育局初等中等教育企画課長補佐、清木高等教育局大学課長、片岡科学技術・学術政策局政策課長補佐、堀内研究振興局振興企画課長補佐、土屋研究開発局開発企画課長、高橋スポーツ・青少年局企画体育課長補佐、尾山文化庁長官官房政策課長、内丸科学技術・学術政策局計画官付評 価推進室長

6. 会議の概要
(1)  平成16年度文部科学省政策評価実施計画(案)について
 事務局より、「平成16年度文部科学省政策評価実施計画(案)」について説明が行われ、続いて質疑・意見交換が行われた。

【伊藤座長】
 それでは、ただいまご説明いただいた平成16年度の実施計画(案)について、ご質問、ご意見等があったら、ご自由にお出しいただきたい。

【星野委員】
 質問というよりもアドバイスとして聞いていただきたい。今回の一番の目玉は規制だと思うが、これを事業評価の一つとして取り上げるということで、資料2の10ページを今拝見していたが、要はもう少し規制の評価ができるような項目にしたほうがいいと言うことです。
 特に5の規制の必要性、これはこれから新しく規制をやろうという事前評価と、今まで文科省がやってきた規制の事後評価の2つがあるが、まずやっぱり事後評価をやるべきです。
 事後評価となると、その規制の必要性ということよりも、3つの要素を明記することが重要と考えます。まずその1つはその規制がいつから始まったのかという開始年度、2つめはその規制が制定された時代背景、3つめはそれを受けて当初に設定した規制の目的です。特に、規制の目的は、規制の対象となっている、誰のどのような活動を規制するのか、さらにそれがどのような状態を維持するのか、実現するのか、と言うことまで明らかにしないといけません。例えば、事務所の禁煙というのは、たばこを吸わないことによって他の人の不快感を与えないとか、健康を害さないということです。つまり、なぜそれを規制しなければならないのかと言う意図を明確に規制の目的の要素として明記することが重要なのでそれを考慮した様式にすべきと考えます。
 ちょうど事業評価書の219ページ目に放射線障害防止対策が継続事業の評価としてあるが、規制のことを言っていると思われます。だから実際に今までやってきた規制についてまず振り返ってみて、評価をすることが、規制評価の具体的なやり方を決める近道ではないでしょうか。

【横山委員】
 1点目は今のと同じことだけど、突然、この規制の話が出てきてもなかなか理解しにくいので、例えば文科省の場合、こういうものだという1、2例、例を挙げていただけないだろうか。ここには科学技術・スポーツの各分野から1件程度選定してやると書いてあるけれども、これまでの例で結構なので、どういうものが一番代表的な文科省絡みの規制なのかということを教えていただきたい。
 それから2点目は、資料4の2ページ目の別紙の達成度合いのパターン分け案だが、この4つに分けるということは議論の結果で結構なことだと思うが、どちらも「想定したどおりには達成できなかった」、あるいは「想定したどおりには進捗していない」を2段階に分けると書いてあるが、これをよく見てみると、3番目のやつを2つに分けたんじゃなくて、真ん中の「想定したどおり達成」か、あるいは「概ね順調に進捗」を2つに分けたと解釈したほうが素直なのではないかと思う。
 それから、現実に各部局にとってみても、「想定したどおりには達成できなかった」を2つに分けるとすると、言葉が適当かどうかはともかくとして、言いわけになりかねないわけである。これまでは「想定したどおりには達成できなかった」のが、「一定の成果が上がっているが、一部については想定どおりには達成できなかった」というと、まあ、よくやっているんだなというような印象にとられると思うので、せっかく4つに分けるなら真ん中の「想定どおり達成」、あるいは「概ね順調に進捗」を2つに分けるという解釈のほうが素直だし、今後の達成度合いを見ていく上でもいいのではないかと思う。

【伊藤座長】
 2つご質問が出たけれども、いかがか。

【佐野評価室長】
 まず、横山先生からのご質問です。対象となる規制の例ですが、来年度の対象にならないが、すでに提出している法律案では、例えば私立学校法の一部を改正する法律案というのがあるが、これは私立の学校法人に財務情報の公開を義務づけるという法律です。これはまさに規制の対象となるような法律かとも思っている。また、放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律(RI法)の一部を改正する法律案というのを今年度準備しているわけですが、IAEAで定めた国際標準に準拠する放射性同位元素の規制対象下限値の変更というのを法律に取り入れるというもので、数量とか濃度の小さい放射性同位元素の使用に関する規制の合理化を図るという、いわゆるすそ切り的な話の規制も対象に考えられる。
 教育、文化、あるいは科学技術、対象はかなり広いかと思うが、そのうち特に16年度については試行的に実施ということから、典型的なものを取り上げて、16年度は評価していきたいと思っている。
 2点目であるが、これはまさに先生方のこれまでのご意見を踏まえ、ここに示す4段階に分けていきたいと思っている。先ほど私の説明がちょっと悪かったかもしれないが、今までかなりの場合、「想定どおり達成」ということになっていた。少しでも「想定どおり達成できなかった」部分を浮き彫りにすることによって、次の目標に向かって何をやっていかなきゃいけないかということを次の目標にあぶり出していくというようなことをしたいがゆえに、少しでも達成できなかった部分を明示していくことが重要と思い、こういう案にしました。「一部成果が上がっているが」ということを強調しているわけではなくて、「一部については想定どおり達成できなかった」というほうをむしろ強調していきたいがために、また、この3番目の評価結果がかなり個数が増えるようにするために工夫したつもりである。
 ちょっと前後しますが、星野先生のほうから資料2の10ページ目の評価票についてご意見をいただいた。10ページ目のものは星野先生がおっしゃるような事後評価は今想定してなくて、規制を改正あるいは新設する場合のフォーマットとして、今、用意させていただいたところである。先生のほうからご意見がございましたように、時代的背景であるとか、なぜ必要かといったところは、この書き方、規制の必要性、期待される効果というところの中で、事前評価として記載できるのではないかなと思っている。

【天野委員】
 規制評価の問題だが、これから規制しようとするものについての評価ということのようだが、文部行政をこの何年か見ていると、やっていることは規制するよりも、規制を緩和したり廃止する方向でどんどん努力をしているわけである。
 ところが、規制緩和や規制廃止自体が自己目的化しているようなところもあり、どういう2次効果がその結果及ぶのかについて、ほとんど検討がないままに廃止され、緩和された規制もたくさんあると思う。むしろ評価すべきなのはそちらのほうで、こんなめったやたらにやめてもいいのかという思いが非常に強くあって、特に私は高等教育の領域の仕事をしているけれども、さまざまなマイナスの効果が生じているわけで、そちらのほうは評価の対象にしないのかどうかということを伺いたい。

【浅井委員】
 臨時提案だが、今、議論がレギュレーション(規制)のほうと評価のほうと錯綜しているので、錯綜すると、文科省のほうと発言者の一問一答みたいになって、これはあまりプロダクティブじゃないので、まず規制の話だけにしないかという提案です。座長にお決めただければいいのだけれども、まずとりあえず規制の話をしませんかと。
 それから、規制について、今、天野委員のご発言を聞き取ると確かにディレギュレーション(規制緩和)が多くて、大変いい政策が多いのだが、半面、ネガティブな効果もあると思うし、政策のアセスメントとしてはレギュレーション(規制)もディレギュレーション(規制緩和)も取り上げるべきだと思う。そういう意味ではこのフォームだけ見ると、新しくできた規制だけみたいになっているのだが、ルールが変われば全部評価するというように解釈していいんじゃないかなと思うし、そうあってほしいと思う。

【伊藤座長】
 それでは今、議事進行に関係するようなご発言があったけれども、もう一方、古賀委員から既に事前にご意見もちょうだいしているので、ちょっと規制の問題を中心にご発言いただきたいと思う。

【古賀委員】
 じゃ、規制の問題だけに。
 これは質問ですけれども、規制、あるいは廃止もそうだが、これは規制が決まって、法令が決まって、そしてそれを施行する前に評価するということというふうに解釈して良いか。またこの会議での問題ではないと思うが、規制をやるかやらないか、あるいは規制を廃止するかどうかという、それを決める前の段階、そこで評価をするというのが非常に大事なのではないかと思う。もう決まっちゃったものを正当化するというのももちろん大事だし、レビューしておいて、その後にその規制に対してのフォローをしていくことも大事なので、法令面、特に規制が決まって、その法令ができつつある段階で、それを事前評価するというように考えてよいか。廃止の場合もこれは同じだと思うが。そういうふうに解釈していいのか。それが1つ。
 もう一つは、先ほど天野委員からもあったが、規制をやるかやらないか、あるいは規制を廃止するといった、規制をスタートする前の評価だけれども、これは例えば教育でいえば、中教審やなんかでいろいろ検討されるときに、その材料として評価をバックデータとして使い、規制のメリット、デメリットを示すというのが大事なのだと思う。これは私の理解が間違っているのかどうかお願いしたい。

【伊藤座長】
 この現行制度の一つの制度の趣旨だと思うが。ここで新設する場合に限るのか。

【佐野評価室長】
 先ほどの概要のペーパーの3枚目、あるいは実施計画(案)の1ページ目をごらんいただけたらと思うが、「規制に関する評価(試行的実施)」というところに「新設又は改廃」ということになっており、新設されたものも改廃も含めて、まさにディレギュレーション(規制緩和)の観点も含めて、ここでは重要なものは評価していこうというものです。
 さらに、古賀先生からいただいた時期の問題についてのご質問ですが、まさに古賀先生がおっしゃるとおりであり、実施計画案の3ページ目で、時期について四角で囲って示してある。規制評価はいずれにしても事前評価であり、いつその評価書を作成するかというと、規制の法令案を作成するときと思っている。
 作成するときというのはどういうことかというと、法律であれば国会に提出するときであり、法律の下の政令であれば閣議に提出するときであり、その下になればまたそれぞれ役所の外に提出する時期があり、その時期にはきちっとこういうものを取りまとめていきたいというものである。
 したがって、当然、事前評価なので、実施されるころじゃなくて、案を作成して審議に入る前にやるというのが基本的考え方である。

【古賀委員】
 大綱はもちろん決まっているけれども、大綱を法令にする場合に規制については評価をして、それによっては文言を変える場合もあるだろうと。

【佐野評価室長】
 そうである。実際問題、法律を作成する場合にはいろんな議論がなされて、実際にその法律に落としていく過程で、法律案ができるときに物事が1個1個決まってくるので、そこの法律案ができるときに評価票で取りまとめていくという考え方でいる。

【古賀委員】
 もう一つ私が申し上げたのは、ここでのマターとは違うのだろうけれども、規制をやろうというときに違う場で、規制をやったらどういう影響が出るか、あるいはメリット、デメリット、それを提案していくときに、アセスメントをし、比較しておくことが必要なんじゃないか。もう決まっちゃったものは相当ディテールのことになるから。

【佐野評価室長】
 規制のみならずいろんな政策は、今、仕組みとして、役人だけがやるような仕組みにはなっていない。かなり多くの審議会等があり、評価という言葉ではないが、事前に議論する場が幾つもある。
 そういう仕組みの中で、我々役所側で今のような視点を最終的には評価することということを明示しておくと、前のところの審議の場にフィードバックされていくのではないかということで、こういうところで最終的にこういう評価票をまとめる、あるいは評価がなされるということを提示しておくということが非常に重要なことと思っています。ここで評価のフォーマットをご議論いただいて、仮に年度末に公表して、これが省内全体に渡ると、こういうことが議論されなければいけないというのをほかの事前の審議会なり、審議する過程にフィードバックされていくと思っております。これが評価の一番重要な点かなというふうに思ってもいます。

【伊藤座長】
 今の答えから大分はっきりしてきたけれども、「新設又は改廃」ということになっており、この改廃という言葉を広く解釈いたしますと、例えば先ほど天野委員が提起されました問題についても、ある程度こたえることができるのではないか。緩和する場合にもなぜ緩和するのかということをちゃんと調べる。それは星野委員がおっしゃいましたことにも、事後評価をまずやるべきじゃないかということにもある程度こたえていけるのではないかなという感じがする。

【星野委員】
 今の話を聞いていて気づいたのですがそもそも、規制の全体像、形成過程が見えない。まず、最初の規制の必要性、法律との兼ね合いで、事前評価とまとめて言っているけれども、規制の基本設計部分と詳細設計部分とがあるような気がする。その全体像をきちんと整理した上で、基本設計段階での事前評価なのか、詳細設計段階での事前評価なのかを明確にして議論すべきと考えます。事務局の説明では、規制をやると決まっていて、詳細の部分で行う事前評価なのか、やること自体の政策判断の事前評価なのかがはっきりしてないから、それの全体像をフロー図で明らかにしていただかないと、具体的な議論にならないのではないでしょうか。

【佐野評価室長】
 それは都道府県とか市町村とは違い、審議会などで十分な議論があって、それをさらに今度は役所のほうで議論し、中身を法令に落としていくという、簡単に言えばそういう過程があり、その審議会の議論というのが評価といえば評価なのかもしれないし、そこのところの取り扱いをどういうふうに規定するかは別にして、いずれにしても法令案を策定する時点を一つの区切りとして評価してみるということが今の考え方である。それ以前にはいろんな議論があって、それで法令のところまで長い過程を経てたどり着くわけだが、今、星野先生がおっしゃった長い過程の前段の部分がどうなっているかを明示すべきというところは、示し始めれば山のようにあるかと思いますが、そこまで必要が今あるかどうかということかと思う。

【星野委員】
 要は、どの段階での評価なのかがわかるような説明が要るのです。

【佐野評価室長】
 すでに何度も申し上げている通り、規制の法令案を閣議などに提出する段階の評価です。

【星野委員】
 16年度に規制評価のモデルとして3つが出てくるが、もともとどの段階から発生して、どういう審議を経て、事前評価をするのかという説明が、規制の事前評価表に明記されてないといけないのです。指標の内容以前にそうした説明が必要と考えます。

【佐野評価室長】
 法令を作る前の長い審議の課程の内容については、必要不可欠なものを、必要性のところにきちっと書いていくということではないでしょうか。

【星野委員】
 ということは、その事前評価によっては、規制そのものは必要ではない、規制制定として採択しないという言う結論が出るわけですね。

【佐野評価室長】
 法律案に落とす時点の評価だから、それまでの議論を全部入れるわけじゃない。必要不可欠な部分を法律案にし、その部分を評価していくわけである。

【星野委員】
 そうすると、評価表の結論の欄にも、規制制定を採択するか、あるいは無効にするかというような項目が必要となるのではないですか。

【佐野評価室長】
 法律案を出すときですから、当然採択しているものは落としているわけである。

【舘委員】
 このRIAと略されるものの提起で起こっている規制評価だが、まず資料1で閣議決定されたものがあって、これのもとにこれが行われるわけである。なので、閣議決定の内容を吟味する必要があると思うが、残念ながら閣議決定のものというのは、多分、評価の専門家が見ると、ちょっと「あれっ」というところがあるものである。こういう文章だから、そういう厳密性は問わないということはあると思うけれども、注意しなきゃいけないことが2点あると思う。
 1点は、資料1の別添だけれども、閣議決定となっており2ページにわたっているが、RIAが米国、英国等で導入が進んでいるとあるけれども、ご存じのように、状況は大分違って、英国の場合はこの閣議決定のいうRIAに近く、まさにここで略称が用いられているRegulatory Impact Assessmentと呼ばれている。アセスメントというのはご存じのように、主に事前評価に使う言葉なので、RIAの略語がここから来ていると思う。したがって、これはブレア政権で確立したものだと思うけれども、むしろ法律を提案するときに事前にやるものとして出てきたと思う。
 アメリカの場合は、ほんとうの専門家がいたら、間違っていたら指摘していただきたいと思うけれども、あまりこの言葉は使っていなくて、法律のもとで実施する際に確かにこういうアナリシスをやっているということで、大分状況が違う。
 今、レベルの問題というのが出たけれども、法律をつくるときの話なのか、法律をつくった、それを実施するところでこのアナリシスをやるのかという階層の問題は確かにあるということである。これが一緒くたに閣議決定されているので、各省で受けとめる場合はこれはどこの部分で実施するのかということで、試行なので、両方のものを選ぶということが必要。内容的な選び方もあると思うけれども、レベルとしての選び方があるのではないか。
 それから、2ページ目であるが、RIAがといって項目が挙げられているけれども、規制の内容、目的、必要性に始まって、項目が挙がっています。ちょっと意外な感じがするのは、コストの分析が便益分析より先になっているというのは心配であるが、ただ、文科省のほうで今整理されている資料2のほうの10ページ、規制評価票では期待される効果のほうがコストより前になったので、安心した。基本的にコストの問題というのは、規制の内容を考えた上でしか考えられないので、順番が逆じゃないかなと思ったけれども、文部科学省案はその点はよくできているんじゃないか。
 ただ、規制なので、多くの規制はリスクに対して規制するわけで、例えば放射性同位元素の取扱いにおけるリスクは何かが問題になる。なので、多分、多くの場合、特にイギリスの場合はリスクが先にあって、リスク、便益、コストという関係で分析しているんじゃないかと思う。
 だから、日本の場合だと、ウのところに「便益」という言葉が出てきているんだけれども、便益の内容がリスクなのか、プラスの便益なのか。規制することによってプラスの便益が働くというのもあるけれども、まずリスクの分析があるんじゃないかということで、リスクという言葉が欠けているのが気になるところである。その点を注意しながら実施に移していただく。ちょっと生意気な言い方になって申しわけないけれども、勉強ふうにいうと、そういう点が気になるところだと思う。

【平澤委員】
 私も星野委員や舘委員と同じような意見だが、今、舘委員が引用された閣議決定の文言の一番最初のところ、別添の上、「規制の導入や修正に際して」とある。導入というのはまさに事前そのもの、規制そのものを導入するかどうかということで、それと既に実施しているものを修正するというのとでは評価するときの確からしさというか、コストというか、それは全然違うわけである。予測的に評価をしようということと、それから既に実施されていて、事実を分析すれば、曲がりなりにもとらえられるという場合とでは全然違うわけである。
 どちらかというと私は星野委員と同じで、まずは実施しているものについて、それの効果をどういうふうに分析したらいいかとか、こういうことを積み重ねないと、事前の規制ということはほとんど信頼性のあるデータは出てこないだろうと思う。これは多くの政策だけではなくて、通常の政策全般について言えることである。
 ただし、もう1点言うならば、政策を運用するという立場から言うと、新たに展開しようとする政策を事前に評価するということのほうが、効果が大きいと言えるわけである。
 そこで、通常、研究開発の中の政策評価では、事前に展開しようとする政策を評価するのは難しいので、既に展開しているプログラムレベルの政策の実施状況を細かく分析して、その結果を新たな政策展開へフィードバックするというやり方をとっているわけである。
 だから、私は規制政策を今度新たに対象にするというときに、今、舘委員がおっしゃったように、リスクなり政策を規制によって存在させようとするある実態というか、こういうものを評価の対象にするというのは新しい取り組みなわけで、それはそれなりに意味があるわけだけれども、それを円滑に進めていく方法をここでよく考えておかないと、やってみたけれども、結局はうまくできなかったという今までと同じようなことになってしまうだろうと。

【浅井委員】
 さきほど例として挙げられたのは、放射性同位元素の取り扱いに関する事項でした。これについては、遵守すべき規則として提起されるものと考える。一方、規制全般について、社会的なインパクトの点から、もっと大きなスコープで見るべきである。
 問題にすべき規制はどんなものかというと、国立大学を法人化するとか、そのときの先生方の身分をどうするとか、兼業をどうするとか、知的財産権をどう扱うことにするとかの事である。これらは大きな規制ないし規制の変化である。今、この種の規制の変化を受けて大学は大きく変わりつつある。
 大学や学校法人のあり方についても、今現に法律があって、例えばあるものが大学として認められるか、現実にルールが決まっている。文科省に関係するこれらの規制について、マクロな視点から議論すべきではないか。先ほど挙がった例がちょっと小さかったんじゃないかなというふうに思っている。
 議論する問題はいっぱいあるが、私も星野さんがおっしゃったように、まず今ある規制で重要な規制になっていると考えられるものを一括して、テーブルの上に上げて、議論していくというのが大事なことと思う。こうした議論が、法を変えていくときの準備の段階に必要である。規制について、実際に議論していく段階で評価が下されるが、新たな法や資金の配布方法などを決めていく寸前の段階でさらに意見を反映する場面として、この、政策評価のメカニズムをお使いになっていただくというのが大変有効ではないかと思う。また舘委員が強調されたように、実際に法が決まっても、実施していく際にこういう注意が必要じゃないかといった議論をする必要もあると思う。
 今までの議論を聞きながら思ったが、現行法のアセスメント的な側面と、規制が行われる前の段階のプリアセスメント、それから立法された直後の施行直前のアセスメントが3つぐらいあるのではと思う。それは全部性質が違うという感じがする。
 このフォームについて先ほど星野委員がおっしゃったことは非常に適切である。開始年度や時代の背景、目的を書いておこうというのは非常に大事なことである。目標というのは目的に従属する属性的な事柄であって、まず目的を書いておかないといけないと思う。
 それから、「期待される効果」には、ポジティブな事項ばかりを書かないといけないように見えるが、ネガティブな側面も予想されるわけで、それもきちっと挙げていくことが大事であると思う。

【伊藤座長】
 いろんな貴重なご指摘をいただいたけれども、初めにおっしゃいました規制の種類は非常に重要だと思う。閣議決定された中に、イギリスやアメリカの例も出ているけれども、アメリカやイギリスで普通、規制インパクト分析というは、現在では2つの分野にほとんど集中しており、1つは都市計画規制であり、もう一つは環境規制である。教育というのは入っていない。ただ、私は教育も入れるべきだろうと思うので、教育サービスというのは公共財に分類されるけれども、公共財の中で非常に特殊であり、ほかの公共財のように、要らなければ断れるというものじゃないわけである。それこそ義務教育だから、これも価値財なんていうふうに区別している人もいるけれども、その限りで規制的な要素がどうしても入ってくる。ただ、その規制は都市計画規制とか環境規制とは違いまして、ちょっと基準設定的な意味を持っていると思う。先ほどおっしゃった大学の例なんかもそうだと思うんだけれども、私はそれをもう一つの規制の種類だというふうに考えて、少し広いスタンスで規制というものを考えていく。これは特に文部科学政策の場合には非常に重要なことだと思うので、規制の内容をもう1度検討して、少し幅広く考えるということをお願いしたいと思う。
 ほかにもいろいろご議論がたくさんあるかと思うけれども、川邉委員から最後に。

【川邉委員】
 せっかく委員長さんが取りまとめられたのに、混乱を招き入れるような言い方になるかもしれないが、規則に関する評価について発言したい。まず、はじめに教育施策の評価は、短期的な評価とともに長期的な視点からの評価が求められる分野であると思う。本市では、農村に長期宿泊体験教育(セカンドスクール)を実施しているが、実施前と実施直後及び3年後、さらに20歳(成人式)時点で、その教育効果の調査を行って、事業施策の評価とすることを検討し、進めている。
 私は市の教育行政に携わっているが、市町村にとって教育行政の中心的課題は義務教育であり、市町村立小中学校をどうするかという問題である。
 規制改革についての議論をいろいろ伺っていると、文科省所管では義務教育の規制に関するものである。国は関与するなという議論であり、地方分権化を促進するためにも、学校の設置者である市町村など地方に任せればいいという議論である。例えば、義務教育費国庫負担、これは教職員の給与額に関するものだが、これは国の関与であり、文科省はこのような仕組みをつくって、がんじがらめにして義務教育を画一化しているとの指摘である。これを国の関与、規制ととらえるのか、あるいは国民に一定水準の教育を受ける機会をきちっと保障する国の責務ととらえるのかが問題である。
 日本国民として僻地に生まれようが、離島であろうが、都会に生まれようが、一定の教育条件のもとで国民としての教養の基礎を身につけていくことができるようにすること、これは国の義務だろうと私は思っているわけである。日本国に生まれたら安全が保障されると同時に、一定水準の教育が受けられるという義務教育制度は国の義務だろうと思うんだが、規制改革会議ではそれは規制であって、だから、国の関与を減らせという言い方であるから、教育で規制問題についていろいろ評価をするといったときに、それを関与ととらえるのか、その辺の評価が根本的に分かれる問題だろうというふうに思っている。評価室長さんのお話にあったように、制度論にかかわった本質的な問題は中教審等の審議会で検討したものを踏まえて、現状の体制がでつくられ、法令に基づいて事業を実施している。今回の規制評価は、その中身について、分析的に評価をしていくんだというお話だったかなというふうに理解した。私の理解が不足しているかもしれないが、委員長さんがおっしゃったように、規制影響分析といったときに、規制の範囲というのはそういう義務教育費国庫負担制度といった義務教育制度の根幹にかかわるようなところまで立ち入ると大変な、それこそ審議会でもつくって議論しなきゃいけないということであるが、それは中教審でやっているから、これまで教育改革に関連して改定されてきた一連の現行法令等に基づいて行われてきた行政に関して、その効果はどうなのか、影響はどうなのか、もう少し緩和したほうがいいかという現実的な問題として評価し検討するということではないか。根本的な義務教育制度のありように立ってしまうと、体系的にそれを示せといってもなかなか難しいのではないかというふうに思っている。その辺はぜひ区分けをしながら考えていく必要があるのではないかという意見である。

【伊藤座長】
 大変根本的な議論になった。

【天笠委員】
 今までの話とちょっと違うんだけれども、資料2の6.の職員の評価能力の向上についてということがあったけれども、外部の評価もさることながら、内部的な評価の能力を高めていくということが極めて大切なんじゃないかと思うわけで、そうするとこの資料のところには、職員の評価能力の向上という研修プログラムとか、取り組みがここで示されているわけだけれども、これについて質問させていただきたいのは、具体的にどんなことを進めようとしているのか、あるいはこのための手法とか、手だてというのがある程度培われて、そしてそれを実施に移すのか、そのこと自体にこれから取り組んでいこうとされるのかどうなのか、このあたりのところについて少しご説明いただけるとありがたいと思う。

【佐野評価室長】
 2つあり、1つは新規採用の職員研修ではそもそも評価とは何かという、ほんとうに初歩的なことを説明すると同時に、役所に入ってくる場合は政策の企画立案、推進、評価というPlan(企画立案)、Do(実施)、See(評価)が全体で流れていくんだと、常に実際に仕事をする際には、そのPlan、Do、Seeの中で自分が今どこに置かれているかという基本的な話を研修する予定にしている。
 もう一つ政策手法研修のほうは、もうちょっと上級者というか、もう既に役所に入って課長補佐なり係長クラスになった人間で、幾つか諸外国の調査の評価、あるいはこれまでの評価の中身について行う。例えばプログラム評価であるとか、インパクト評価であるとか、そういった幾つか手法そのものの中身なんかを紹介しながら、評価についての知識を得ていって、実際の自分の職務に役立てていくということにしている。
 最後に先生がおっしゃった研修の手法自身も、まだ定まったものはない。その研修をどうやったらいいかという手法も、どのようにやっていこうかというのを別の形で今研究しているところである。

【天笠委員】
 各都道府県の教育委員会の影響が非常に大きいので、この取り組み自体が非常に影響を与えていくと部分というのがあるんじゃないかと思うので、よろしくお願いしたい。

【古賀委員】
 それに関連して1つ。
 天笠委員のご指摘は非常に大事なところだと思う。私はこの評価書、評価システム全体を見ていて、毎回毎回進化されていると思う。これは大変な作業だと思う。従って、この評価システムを文部科学省全体のいろんな改革とかあるいは風土改革、そういうものの原動力にしていただきたい。そういう意味からいくと、この研修というのは新入生だけではなくて、文科省の中核の方の評価意識、政策評価意識が醸成されてくる、そういう教育の期待をしている。単なるこの評価システムが一つのペーパーワークをシステム化したというだけではなくて、これがむしろ行政改革の原動力になってもらえるんじゃないかというふうに期待している。
 企業でもTQCとか、6シグマ運動等というのが手法で改革をしているけれども、教育を徹底してやっている。お願いはぜひ一番上位の方が率先して学んでいただきたい。トップはいつも評価システムを見ているよとか、評価にもいろいろ言葉があると思うが、この評価の言葉がともかく共通語として文部科学省全体に行き渡っているとか、ぜひそういうふうにお願いしたいと思う。

【星野委員】
 政策評価のような新しい仕組みを導入して定着化をはかるためにはまず、トップが自ら研修を受けるのは民間企業では当たり前だし、最近の地方自治体でも首長以下、幹部全員が政策評価の研修を受けて、それに基づき方針を示すということが1年間のスケジュールの中に埋め込まれている。
 だから文部科学省でもぜひ、大臣がかわるたびに大臣にも研修を受けてもらうということをしていただきたい。できれば就任した際の所信表明演説に実績評価票に基づいて自分の考えを表明してほしい。そのぐらいやれば課長層以下はみんな本気になって評価をやる。

【伊藤座長】
 実は委嘱事業として私どものほうで、現在、研修のテキストの作成をしており、大体今月の末にでき上がると思う。ほんとうは今日、お見せしたかったんだけれども、ちょっと間に合わなかったので、次回の有識者会議にはその研修のテキストをごらんいただけると思うけれども、それを作成しているが、そのときに常に大臣のことがちらちら頭に浮かび、大臣にもぜひ読んでいただきたいなと。そういったようなテキストをつくりたいということで励んでいる。次回にはお目にかけることができると思うが、内容は、今、室長のほうからあったように、プログラム評価を中心にしたものである。今の業績測定というのは手法としてちょっと邪道であると思うので、もううちょっと本道であるプログラム評価について、解説したものを編集している。

【星野委員】
 この1枚(文部科学省の使命と政策目標)を国民に対してどれだけ説明しているか。さまざまな場面で大臣なり、幹部層が文部科学省の使命と政策問題はこれですと説明すべきである。そもそも政策評価制度がどれだけ定着しているかどうかがわかる指標は、大臣や幹部がどれだけそれを活用して政策課題を関係者間で議論しているか、その幅と深さで表されるのです。それを期待したい。

【伊藤座長】
 ただいま大変重要な有意義なご意見をたくさんちょうだいしたので、このご意見等については今後、平成16年度の実施計画(案)の取りまとめ作業の中でぜひ活用していっていただきたいと考える。さらに、来年度の政策評価の実施の中にも適宜反映していっていただけたらと思う。

(2)  政策評価の結果の政策への反映状況報告−平成15年度−(案)について
 事務局より、「政策評価結果の政策への反映状況報告−平成15年度−(案)」について説明が行われ、続いて質疑・意見交換が行われた。

【浅井委員】
 こういうふうに大変よくまとめていただいていて、政策評価が政策に実際に反映していくさまが、明らかになってくるのは大変いいことだと思う。先ほど資料4に、「政策目標・施策目標・達成目標と予算項目を一致させるべき」という記述があった。資料5の「反映状況」にも一部概算要求の金額と、今の政府予算の金額が対応して記入されている行があった。全部は入ってないが、今後は全部入れて行くことになろうと思う。ぜひ継続してやっていただきたい。
 このようにして始めて政策目標が予算の裏づけをもっているかクリアになると思う。この辺は政策のアカウンタビリティにとってとても大事な事柄であると思う。
 さらに、お願いしたいことがある。私は文科省のいろんな研究グラントの審査に従事させていただいている。COE、科学技術振興調整費、比較的小さいものだが、独創的革新技術推進事業などの審査に携わっている。
 こういうファンドの審査、評価、フォローアップのプロセスに関与すると、これらの制度のいいところ、悪いところ、非常によく裏から表までわかる。実際にファンドを受けて、どんなふうに研究が進捗したかという好例とか、あまりよくないテーマだなと思いながら認可した結果は、やっぱりよくなかったとか、そういう経験をたくさん蓄積している。
 このように、実際に政策の運営に当たった人間の言い分をうまく吸い上げる仕掛けをつくっていただきたい。私もその1人のつもりでいるのだが、現場の人間の意見を吸い上げる政策の下に制度があり、制度の下に課題だとか、テーマがあり、ある種のヒエラルキーをなしていると思うが、そのヒエラルキーの各層における評価結果の総括を下から上までフィードバックしていって、政策に戻していく仕掛けをうまく取り入れて、つくっていただけないか。
 教育の現場でもそういうことがあると思う。現場で実際にお金を使って教育をしていらっしゃる方々、それを評価する方々からのフィードバックをやっていかないといけないなと考えている。
 つまり、実施者と評価者という立場がある。実施者のほうはラインだから、ある意味で政策の運営を日常なされている。これに対し、評価者は横から見ている。その評価者の立場の評価を上のほうに上げていく仕掛けをぜひ考えていただきたいなということである。

【伊藤座長】
 今、ご指摘にあったけれども、非常に重要な点である。当事者の言い分を吸い上げるようなメカニズムを考えるべきだと。
 これは先ほど初めに室長のほうから全体のご報告があったときに、これまでインプットもしくはアウトプットが中心だったけれども、今後はアウトカム中心に持っていきたい、そういう指標を設定したいというお話があったけれども、アウトカム指標を設定するということになると、どうしてもそういうような当事者の言い分、判断というものを吸い上げていく必要があるのではないかということであり、ぜひ今の点も評価室のほうで真剣に取り上げていただければと思う。

【佐野評価室長】
 今、浅井先生からいただいた意見というのはまさにそのとおりで、非常に重要な意見をいただいたかと思っている。審査等に携わった先生は、その場で審査で結果を出さなきゃいけないので、非常に苦しい立場でいろいろご判断されているので、長期にわたってその問題に責任を持っていただいているがゆえに、非常に貴重な経験をお持ちかと我々は思っている。
 我々役所のほうも、そういう意見をきちっと取り入れて政策していくというのは当然のことであるが、特に、現場の課長がその任を担っているのかなというふうに、役所の組織としてはそういうことかなと思っている。
 きょうの意見は、当然、ここにかなり多くの課長が来ておりますが、来てない課長にもきちっと伝わるようにして、審査等に携わった貴重な皆さんの意見は政策のほうに役立てるという形にしていきたいと思っている。現場なくして我々の行政はなり得ないというのは十分承知しているので、反省も含めて今後努力していきたいと思っている。

【小出委員】
 政策評価の結果の反映状況について今説明を聞き、大変よくいっていて、結構だと思う。
 ただ、1つ聞きたいんですが、63ページ目に例として挙げられたスクールカウンセラーの活用補助事業ということです。スクールカウンセラーで心の専門家が必要だというので、臨床心理士を養成する必要があるということで、文科省のほうでは規制緩和して、心理学科をどんどんつくるようになった。私は長年、大学設置審のほうを担当してきたのですが、どんどん心理学科をつくり、今あっちを見てもこっちを見ても心理学科ばかりという状況になってきている。
 ただ、それは非常にいいのですが、その次の65ページ目を見ると、公立小学校、中学校で心の相談員をつくったり、スクールカウンセラーを配置するように準備中と書いてあります。予算もかなりたくさんついているんだが、卒業生がなかなかスクールカウンセラーになれず、現実において就職先がないという状況です。心理学科は出たけれども、就職先がないという現実の姿もあり、早急にこれは早く小中学校にスクールカウンセラーの配置をこの予算どおり実施していただいて、就職できるようにしていただきたいと思う。

【川邉委員】
 スクールカウンセラーのお話があった。本市は既に全中学校に配置をさせていただいているのであるが、残念ながら勤務する時数が大変少ない。しかも学校規模によって生徒数も違うという、そういう学校の実態に応じて配置するというあたりがなかなか難しいと思う。
 しかし、ここに評価が書いてあるとおりの成果を上げているというように思っている。特に直接、保護者や生徒のカウンセラーを行うだけではなくて、カウンセリングマインドを持って児童・生徒に接していくという教師の資質の向上という点でも大変、力を発揮していただいて、そういう意味では短い時間だけれども、教員に対する影響も大きいと思っている。
 来年度からその次のページにあるように、スクリーング・サポート・ネットワーク整備事業(SSN)、これも本市では手を挙げさせていただいているわけで、いろいろ機関の連携に立って子どもたちをサポートしていく。特に家庭の教育力の低下が心配されているだけに、どのように支援していくかが大きな課題となっている。それから諸機関との連携に立って、学校だけが抱え込まない、こういう体制の充実を図る施策が進められていくことはありがたいと思っている。
 現場の証言である。

【麻生委員】
 これを見るたびに、私は放送大学をやっており、生涯学習局が筆頭局になっているので、一番最初にこれが出てくるので、半分ありがたいなと思いながら、ちょっと内ゲバ的になるといけないのだが、放送大学は確かに10万人に向けて着実に増加してきているが、その10万人の中身が最近非常に変わってきているので、政策の評価の言葉の表現が現実に非常にフィットした、それを反映した言葉で書かないと、必ずしも結果というものがそのまま素直に読めないと思う。
 これは例えば10万人に増えても、今、大体、どっちかというと高学歴志向が非常に強くなっており、放送大学も大学院をつくり、むしろ放送大学の一つの目的である低学年期の人々への機会の拡大というのがとまっている。エデュケーション・オブ・エデュケーションとよく言われている現象が広がってきている。だから、簡単でもいいのだけれども、性別とか、学歴とか、そういうものを入れていただいて、実際はどういうふうにいっているのか、10万人がどういう流れをしているのかということが出てこないと政策評価にならないと思う。
 だから、それは非常に短い言葉でいいけれども、さっきのレギュラシオン(規制)の問題でも、あれは法社会学なんかで見てみると、レギュラシオン(規制)だけでもものすごい定義があるわけで、法による規制、何とかによる規制、慣行による規制と。だから、そういう点で言葉というものの持っている政策評価における重要性、それからコンセプトの明快性、そんなものが大事だなということを感じた。一番最初に書いていただき、大変うれしいけれど。
 今、一番問題になっているのは、55歳ぐらいで、戦後のすぐのベビーブーム世代というのは学歴があまり高くない。非常に低い。それがずうっと出てくるときに、それに対応しなきゃいけないけれども、その対応する仕方みたいなものがまだちょっと見えないので、そういう点でこの言葉というものは、特に教育の場合には非常に魔術的に響くので、その辺が大事だなということを感じている。

【古賀委員】
 政策評価の結果が政策へ反映されているということは、毎回のご努力に感謝したいと思うのだが、これと関連して、資料4にも予算との整合性というものをこれから図っていく、それから、資料5にも概要予算と実際の今の見込みのところが両方出ている。それから拡充事業、新規事業以外に廃止・見直しも明確化していくということが書かれており、改善されている。
 これからは当然ながら予算は増大していくわけではなくて、非常に行財政は厳しいわけだから、トータルサムは一定だと思う。スクラップ・アンド・ビルドの世界になってくるのだと思う。
 そういう中で、拡充していく事業、新規の事業と廃止・見直していくような事業、継続事業もいろいろコントロールしていく事業、そういったような配分はこういう評価の中にも見えていくといいなという感じがしている。個別評価とはちょっと別であるが、評価の中で長年やっているので、継続しているというものをスクラップしていくようなことがマクロに見れるような指標が欲しいという感じがする。個別評価以外に全体像、全体の予算とのリンクのとき必要だと思う。これは前にもちょっと申し上げたような感じがするので、よろしくお願いしたい。

【横山委員】
 反映状況の報告ということで、厳しいというか、客観的に評価するということが一番大事だと思う。
 それで、事前に配られなかったので、あまり子細に見たわけではないが、関心を持っている原子力分野のことをちょっと見てみると、25ページ目の原子力分野の研究開発利用の推進ということなんだが、今、原子力分野の研究開発が非常に厳しい状況に置かれているというようなくだりがほとんど出てこない。ひょっとすると高速増殖炉サイクルなんかもやめようというような状況に陥っているわけで、そのときに引き続き調査研究実施とか、予定どおり進捗しているという評価だけだと、文科省の評価というのはそういう社会の状況がどうなっているかというのをきちんと見た上で言っているんだろうかとか、そういう意味で少し誤解を招くようなところも出てくるのではないかと思うので、現実の状況がどうなっているかということも考えた上での書き方にしていただけるとありがたいなと思う。

【伊藤座長】
 今、ご指摘のありましたのは非常に重要なポイントであるので、どなたかご回答いただけるだろうか。あるいは原課の方でも結構なのだが。

【佐野評価室長】
 原子力については、置かれている状況は非常に厳しいと当然認識しており、全体、科学技術を含めて厳しい状況に置かれているものも多いと思っている。
 今の先生のご意見は当然の意見なので、今度、評価をするに当たってきちっとそういう観点を明示していくようにやっていきたいと思っている。
 そういうものをこういうところにどれだけ出していくかというのは非常に重要な話なので、評価をする際に記載方法も含めてきちっと検討したい。

【伊藤座長】
 先ほど古賀委員からご指摘があったけれども、予算との連携が重要であるというというご指摘であり、全くそのとおりだと思うけれども、実は15年度は文部科学省のほうで評価部局と会計部局が連携され、概算要求に際して評価票を概算要求資料としてそのままお使いになるという形で、いわば合同のヒアリングを実施されたわけである。これはかなりの進歩だと思うけれども、その点で私は非常に高く評価されていいと思っている。今後とも政策評価が評価のための評価にならない、むしろ適切に予算等に反映されていくような体制を整備されていかれることが一番大事だろうと思う。
 16年度においてもこの方向を引き続き強化していっていただいて、例えば内容はどうあれとにかく評価したから、それで概算要求の資格があるんだということではなくて、評価の内容によってはきちんとした評価をしていなければ、概算要求も認めないといったくらい厳しい内容にまで踏み込んだご審査をいただき、そしてそれを概算要求につなげていくといったようなことも今後お考えいただけると大変よろしいのではないか。これは大変仕事が増えてしまうかと思うけれども、そういう形でインセンティブをつけていくということが非常に大事だと思う。
 それからもう一つ、インセンティブに関連してちょっと気になっていることは規制インパクト評価、これは予算と関係なくはないけれども、直接その成果が結びつくというものではないものだから、どうしてもインセンティブが弱くなってしまうわけである。アメリカのように規制インパクト評価分析をパスしなければ、新しい規制は認めないといったことが法律でそういう枠ができていると、これはどうしても通さざるを得ないということになるし、それが一つのインセンティブになると思うけれども、日本の場合にはまだそこまでいってないので、そういう場合に一体何が規制インパクト評価をやる、規制インパクト分析をやるインセンティブになり得るのかなということがちょっと心配である。
 これは規制改革会議のほうでどういうことを考えておられるのかわからないけれども、文科省は文科省として、その辺のインセンティブについてもひとつ工夫を凝らしていかれるのがよろしいのではないかという感じがするが、とりあえず予算との関係は非常に重要で、その点でかなりの進歩があったことを私は多としたいと思う。

【中西委員】
 あと2週間ぐらいで法人化になるため、今、大学では盛んに、かつてないぐらい議論がされている。私は今、たまたまいろいろな学部長の話などを聞ける立場にあり、これらの議論について少しご紹介したいと思う。大学における評価については、どういうふうに評価するのか、またはどうすれば有効に評価できるのかという点が非常に難しい問題であり、また大きな議論になっている。例えばCOEとか、産学連携など、これらはもちろんこれから進めるべき分野だと理解されているが、評価が単なる機械的な評価として流れていくと、例えば今までの教育のシステムの中で、どうしても変われないところはどうするのかという問題が出てくる。それから、儲けにつながるところはそれを推奨すると儲ける技術に走るのではないかという危険な面もあるので、評価になじむことのできない点がどうしても出てくる。そこでこれらをもっと議論してほしいということがあちこちから出てきている状態である。本日の議論を伺いながら、また文部科学省の作成されたまとめの表や方針などは、今までにない、とても前向きな良い点がみられるものと理解されるのですが、一律の評価基準が困難である部門があるというところをもっと認識していただければと思う。
 また、あまりにも評価、評価できちきちっとしてまいりますと、プロジェクト研究は良いかもしれませんが、教育と研究を現場にしている人はちょっとやりにくい点が出てくる。例えば文科系のある研究室などは学生の数は非常に少なくて評価をすることが困難であるが、その学問は学問として継承されることが非常に大切であり、研究もきちっとしていきたいと思われている。ただ、それにはどういう評価がなされるべきかということの解を得ることは非常に難しく、試行錯誤でしかない。
 今回、大学の法人化のためいろいろな学部長等々が文科系、理科系を問わず集まってかなり議論された。その結果、有益だったことは、私はたまたま理科系にいることもあり、理科系での指標、こういうことが大切だということは非常によく判るけれども、例えば文科系では何が評価対象かということはあまり認識されていなかった点である。例えば法学部ではレフリーつきのペーパーを出した人はあまり評価される仕事ではないなど、学部によっていろいろ評価基準も違う。だから、どちらかというと理科系寄りの、しかもきちっとパーセントでわかるような評価できちきちっと全部動いていかないところがあるので、少しのりしろというか、こういうところもあるということも考慮に入れておいていただけるとありがたいと思う。

【伊藤座長】
 これはどういうふうに考えたらよろしいのだろうか。実社会と結びついている、例えば工学部的なところと、そうではなくて、今ちょっと例に出されたけれども、ほんとうに基礎研究的な部分と、これについてはどういう評価をしたらいいのだろうか。

【中西委員】
 そこは非常に難しいと思うので、これからの課題だと思うが、継続的にどのように評価できるかということを考えていただければと思う。あと評価になじまないと思われている分野も合わせて考えていくべきである。

【竹内委員】
 今の大学のお話だが、私は直接ではなくて、自治体のほうの博物館の関係者だが、おそらく国立博物館等の国の独立行政法人は現実に実績を持って、いろんな評価も皆さんおやりになっていると思うが、現場の声をお聞きするとなかなか大変なことで、しかもそれをどう客観的に評価するか。つまり博物館というものがどういうあれをするかというときに、結果的にはより多く入ってもらいたいという、大勢の人に見てもらいたいという数字というのが非常にわかりやすいわけである。
 しかし、本来、それだけなのかとなれば、そこの展示の質の問題等もある。それから、今のように、ただ外からまとまった展示品をひゅっと、完全パケッジというんだけれども、それをいただいて企画展をするというような博物館、別に具体的には言わないが、いろんなところである。それよりも中の学芸員がしっかりとつくっていって、質の高いものを出していく方法もあるが、しかし、それは観客の動員数からいうと、いろんな問題があるわけである。
 だから、研究と同じように、そういう文化施設での量的な問題と質的な問題の評価というのは大変苦労するところで、これはこちらにあるんだが、文科省としてはおそらく国の関係のはしっかりとそういうふうにやっていらっしゃる。でも、いろんな問題が多分あるというふうに思っている。
 それからもう1点、これはここで発言すべきではないのかもしれないが、具体的に芦屋の市立美術館の問題や、それから私の江戸東京博物館の問題を言うと、芦屋の問題ははっきりして、新聞で報道されたように、全体的に地方自治法の改正により、いわゆる管理者の指定管理者制度というものがこの間学校の現場にまで及んで、しかし教育審議会のは抑制的にというか、この間の方向を見て私は若干安心したんだけれども、そのように学校についてまで議論するんだから、図書館や博物館、公民館は当たり前だろう、民間に任せろと。これで今どんどん来ており、具体的に再来年、入札が行われるということである。
 ほんとうにどうなるんだろうと、先行き全く不安であり、だからそのときに実際に移ったときに、各自治体あるいは地域、地域で多分評価というものをつくると思う。それで、やめさせるときはやめさせる。しかし、参入者がもうけの論理できたときに、日本の文化政策である、しかも生涯学習という非常に重要なことを担っているいわゆる公共施設である図書館・博物館・公民館に指定管理者を導入する場合には、決して私は官から民への流れを否定するものではないけれども、渡すというか、流すにしてもさまざまな条件というか、しっかりつけない、丸投げというのは絶対だめだろうと思う。
 そうすると、そこで地域、地域に任す面もあるが、文科省として、つまり国として大きく今後そういう施設をどういうふうに位置づけるかという、いわば全体への国家としての見通しを示せないといけない。地域、地域で勝手にばらばらにこれからやったら、おそらく公共施設は全部破産し、しかも民間と同じだから、はい、これで再生法だとかなんか、そんなばかなことは学校とか、ああいうのにあってはならないことなので、それは随分先のことで、ここで言っていいのかどうか私はわからないけれども、申し上げさせていただいた。

【伊藤座長】
 おっしゃりたいことはよくわかるような気がする。ほんとうに大事な点だと思うんだけれども、これについて何か。文化庁のほうからお見えになっておられるが、何か戦略的でもお持ちでいらっしゃるか。

【布村生涯学習政策局政策課長】
 生涯学習政策局だが、指定管理者制度については、今、竹内館長さんからおっしゃられたとおり、いわゆるハード、箱ものについては適用になるが、学校教育などの、あるいは社会教育などのソフトの面は適用にならないのではないか。そういう方向で整理されつつある。一方、今、生涯学習分科会のほうで、中央教育審議会の中では社会教育にとってどういう形で外部に委託するのがいいのか、今後、議論を文部科学省独自に詰めさせていただきたいと考えているところである。

【伊藤座長】
 博物館等については、どういうような戦略で臨んだらいいのだろうか。

【布村生涯学習政策局政策課長】
 今、中央教育審議会で、同じ場所になるけれども、21世紀の生涯学習、社会教育というものの方向性をご議論いただいているところであり、その中で例えば生涯学習の今後のテーマとしてはキャリアアップ、職業能力を高めるだとか、高齢者の方々の健康、生きがいづくり、そういったところに焦点を当てていくべきではないか。そういったことを踏まえて博物館、公民館、図書館の機能も焦点化していく。そのような方向で議論を今詰めさせていただいているところである。

【伊藤座長】
 了解した。私が間違っていた。生涯学習局のほうのご担当だそうで、今、ご回答があったけれども、よろしいだろうか。

【竹内委員】
 だから、大学の独立行政法人化と同じように、博物館もそういうことで、それと関連して全く同じ悩みということだと。

【中西委員】
 ちょっと関連して言いたいのですが、評価というのは受けるほうもするほうも真剣勝負だということである。
 自分の反省も含めて言うと、申請書に際して、自分の専門外のところでも無理して評価してしまうことが多々ある。評価をするためには本当にその分野を理解できる人が真剣勝負で何カ月間か閉じこもってでも議論をして、それで初めて適切な評価ができると思う。評価は決して片手間にできないものである。しかし、今のままだと、大学ではものすごいエネルギーを使って、これからの評価のための用意をしなくてはならないこととなる。評価はするのなら徹底的にする。中途半端な評価ならばむしろしないほうがいいかもしれないと思っている。つまり評価についてはもっと議論が必要だと思う。

【伊藤座長】
 今、竹内委員からご指摘いただき、実は私どもの卒業生で修士論文を書いたのがおり、これは文化施設の効果をどうやって測定するかということであり、これは普通は入館者数などではかるということが行われているのだが、これは大変大ざっぱなはかり方である。もうちょっと入館した方がどういうような印象を持たれたか、評価されたかどうかということまで立ち入って聞く必要がある。
 それからもう一つ、さらに言えば、どういう方がどういう評価をしてくださったか。ただ一見で来られた方と、しょっちゅうそういう博物館を回っておられる方がどういう評価をされたか。そのぐらい細かく仕分けして、しかも主観的な評価を加えながらやっていく。
 そうしないと評価できないだろうと思うけれども、これはかなりの労力が必要だけれども、文化施設等についてはこれまであまりそういう評価の手法が発達していなかったので、今後はぜひ文科省においても大事な点であるから、そういう手法の開発もお進めいただきたいと思っている。

【舘委員】
 この評価委員会は当然、文部科学省の政策の評価の仕方についての意見を言うところだと思うのだけれども、直接に国立大学の評価に当たるのは大学法人評価委員会で、独立行政法人の委員会は別にあるわけだけれども、そこのかなめはいろいろあるが、中期目標という、要するに中期がつこうがつくまいが目標の立て方だと思う。要するに評価の前に今何をしようとしているのかというのが求められているわけである。だから、インド哲学の例が挙げられたけれども、それが成立するような目標を立てなければいけないと思う。だから、目標の立て方が重要だということでやってきたわけだけれども、そこのところをクリアにしないと社会のほうは何で必要だということを認めようがないわけである。
 それから、博物館の場合もそうであって、一方で何のために博物館があるかというのがないといけない。数だけじゃないと言われても、目標がもともと非常に多くの人に開くんだという目標なら数が重要になるし、ある一定の質の来館者を求めるという目標がはっきりしていれば、それにしてもある程度の数は必要だと思うけれども、それで決まってくる。それに関連するご発言は麻生先生が放送大学を例にしてされたけれども、学生数だけじゃないんじゃないかということ。
 それで、この評価法の関連でお願いしたいというか、提案したいのは今ちょうど麻生先生が言われたようなことで、資料5の3ページで、当然、反映とかいうことで指標が非常に重要になってくるわけである。それで、私のフィールドが大学教育なので、そこで申し上げるけれども、ほかでも共通だと思うけれども、例えば専門家が見ると、私のようにフィールドが高等教育の人間が見ると、生涯学習ということで大学の提供する体系的な云々ということだと、放送大学だけじゃなくて、放送大学の前提になっている大学における通信教育という制度の中に放送大学もあるわけである。
 そうすると、放送大学の学生数だけにしても、私立大学通信の学生というのがこれに関連してくると思う。もしかすると主管部局のテーマじゃなくて、私学助成かなんかのほうのテーマだということで載ってないのかもしれないけれども、基本目標からいけば当然入ってくるべき指標に思える。だから、ほかにあるのかもしれないけれども、関連づける必要があるだろうし、そうすると私大通信を目標にしている学生と放送大学の学生は同じなのか違うのか。確かに学校法人になられたけれども、国が全面的に支持している、一番ここに出てくるものと、私学がボランティアで頑張っている通信の役割がどうなのかということが問われているわけだから、そういう意味ではこの指標の立て方ということを通じて、その辺を整理していただく必要があるんじゃないか。
 逆に言うと、方法論としては、主管部局で指標をおつくりいただいているけれども、これをどういう手続でほんとうの基本目標なり、もともとの施策の目標に合ったものにしていけるのか、そういう開発のメカニズムを前提にされていると思うけれども、もう少し明確にしていただければと思う。

【星野委員】
 資料4の(2)アウトカムの観点から明確な目標を設定するよう改善に努めるという記述がある。これだけではだめだ。今までの各委員の話をまとめると、要は今回の資料5の3ページ、基本目標から達成目標に対しての結びつきのところがまだきちんとできてない。生涯学習の議論もそうだし、25ページの原子力分野の研究開発もまさにそうで、「損なわれた国民の信頼を回復し、原子力を社会が受容できるよう安全に制御」と言っておきながら、一方で達成目標がいきなり高速増殖炉サイクルの何とかという話になっており、論理的に結びついてない。そもそもこうした基本目標から達成目標への展開や連鎖の検討は個別の議論をしたら、絶対2時間ではおさまらない。
 ですから、私は前から言っているように、政策目標や施策ごとに分科会をつくって、施策目標の基本目標から達成目標の展開を文科省だけで考えるだけじゃなくて、関係者で議論すれば、例えば今日の話題に出てきた生涯学習の推進と放送大学の役割・使命も見えてくる。分科会による具体的な議論をする時期に来ている。そこをやらない限りは政策評価の次のステージにいかない。この有識者会議を政策目標や施策別の分科会にしてより具体的な議論をすべきである。まとめみたいなことを申し上げたけれども、以上である。

【伊藤座長】
 プログラムの評価で申すと、セオリー評価の部分に当たるんだけれども、それはぜひ今後進めていきたいと思っている。
 この議題について、きょう大変貴重なご意見をちょうだいした。ちょうだいしたご意見等については、まだ作業中なので、必要に応じて修正等を含めて、この評価結果の政策への反映状況(案)の取りまとめ作業に適宜反映させていただきたいと思う。
 それでは、今後の日程について、事務局のほうからご説明をお願いする。

【佐野評価室長】
 資料6に今後の日程について書いてある。きょう有識者会議をやっていただいたので、3月22日に事務次官をヘッドとする政策評価会議を開催させていただきたいと思っている。本日特に規制の関係の評価項目の取り扱い、あるいは先ほど特にスクールカウンセラーだとか、非常に重要な政策の中身についてもご意見をいただいた。スクールカウンセラーについては予算の資料を見ていただければおわかりのとおり、我が省としても今、非常に力を入れているところで、引き続き力を入れてやっていきたいと思っている。ここで出た意見は、今ここに来ている者以外にも、きちっと伝わるような形で反映に努めていきたいと思っている。
 6月には、今日出させていただいた反映状況報告を総務省が取りまとめて、国会へ提出されることになっている。国会へ提出された後は、国会のほうで審議がなされる予定になっている。
 7月にはまた有識者会議を開かさせていただき、今日いただいた意見も踏まえて、実績評価書を取りまとめたいと思っている。
 9月には事業評価の関係で有識者会議を開いていただきたいと思っている。
 来年の3月に同じく反映状況報告であるとか、規制の評価書を3月に上げさせていただくのと同時に、3つ目に文部科学省政策評価基本計画というのがある。現行の基本計画については3年度計画で、16年度までになっているので、17年度からの3カ年計画というものを、また来年の3月までに議論させていただけたらと思う。

【伊藤座長】
 それでは、本日の議事はこれで終了する。今後とも文部科学省の政策評価の実施に際しては、その客観性や厳密性を高めるために、有識者会議としても積極的に助言を行ってまいりたいと思う。引き続き委員の皆様方のご協力をお願いしたい。

──了──


(大臣官房政策課評価室)

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