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政策評価に関する有識者会議

2003年7月24日 議事録
第7回政策評価に関する有識者会議議事録


第7回政策評価に関する有識者会議議事録


1.日  時     平成15年7月24日(木)   10:00〜11:30

2.場  所     文部科学省別館「第5、第6会議室」

3.議  題    
(1) 文部科学省実績評価書−平成14年度実績−(案)について
(2) その他

4.配付資料
資料1  文部科学省実績評価書−平成14年度実績−(概要)(案)
資料2     文部科学省実績評価書−平成14年度実績−(案)

5.出席者
(委員) 伊藤座長、浅井委員、麻生委員、天笠委員、天野委員、大窪委員、小出委員、古賀委員、杉山委員、竹内委員、舘委員、中西委員、長谷川委員、平澤委員、横山委員

(事務局) 間宮文部科学審議官、坂田大臣官房審議官、小田大臣官房政策課長、佐野大臣官房政策課評価室長

(オブザーバー) 舌津大臣官房文教施設部計画課長、布村生涯学習政策局政策課長、合田高等教育局高等教育企画課長、尾山科学技術・学術政策局政策課長、川原田研究振興局振興企画課長、藤木研究開発局開発企画課長、渡邊スポーツ・青少年局競技スポーツ課長、齋藤大臣官房国際課課長補佐、加藤初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐、仲庭科学技術・学術政策局計画官付評価推進室室長補佐、堀野文化庁長官官房政策課課長補佐、末広大臣官房政策課評価室室長補佐

6.会議の概要
(1)文部科学省実績評価書−平成14年度実績−(案)について
   事務局より「文部科学省実績評価書−平成14年度実績−(案)」について説明が行われ、続いて質疑・意見交換が行われた。

【伊藤座長】
   それでは、この評価書(案)に対するご意見等があれば、どうぞご自由にお出しいただきたい。

【古賀委員】
   せっかくなので、事前に意見を出させていただいたので、そのご説明を含めて意見を述べさせていただきたい。
   別紙に何人かの委員の先生方と一緒に出させていただいているが、今、評価室長さんからお話があったように、私も、これを拝見して、大変ご努力のあとがあるんじゃないかという感じがしている。先ほどのご説明の内容や、達成目標、計数的な目標、あるいは達成年度がはっきり出ているということで、従前のものと大分違うんだと感じている。
   それから、達成目標の出ている6ページぐらいからのところであるが、これは非常にわかりやすくて、私ども民間でいうとエグゼクティブサマリー(トップ向要約)とでも申す総覧で、ここに大体おさまっているというふうな感じがする。
   そういうすばらしいという前提で、若干幾つか申し上げたいが、この総覧の中に、今年度の評価の数値というか、「概ね良好」とか、そういう評価が入ると、なおわかりいいかなという感じがする。
   もうちょっと実績評価全体の件であるが、さっき評価は6段階というお話があったが、「想定以上の達成」「想定どおり達成」「概ね順調」「想定したとおり進捗していない」と、結局、A、B、C、D、4つではないかと、感じている。あと「分析中」というのがあるが、幾つかご紹介があったように、ほとんどが「概ね順調」といことで、詳細に拝見すると、「概ね順調」の中でも、かなり達成しているというか、順調に近いというのと、やっぱりちょっと不十分、あるいは要フォローとか、あるいは課題があるので、もう少し次年度の施策に生かしたらどうだろうかと思うものがある。そういう分類をして、「概ね順調」というのは、表現としてもちょっとはっきりしないなと思う。むしろ、A、B、C、D、Eの5段階とし、仮にEであっても、むしろ施策を強化すべきだということにしたい。そこのところは次年度ぐらいから少しお考えになったほうがいいんじゃないかなという感じがするが、これについては、むしろご意見を承りたいと思う。
   それから、もう少し全般的に申せば、さっきの事例でいくと、「確かな学力の育成」、2−1、31ページあたりでいいと思うが、これはよくできた、今、一番大事な問題の一つだと思うけれども、4番に書いた「概ね順調に推移」というのと、全体としてどうだというのは、基本目標2−1に挙がっているけれども、若干、これが一致しないような気がする。かなり「概ね順調」が多くても、最後の基本目標のところで「十分だ」というような評価をしているようなところが見受けられる。例えば2−2。これも非常に大事なテーマだと思うけれども、P36の「豊かな心の育成と児童・生徒の問題行動への適切な対応」、この辺のところは、もうちょっと厳しくあらわれてもいいんじゃないかなと。これは昨今の一番の問題で、むしろ、公開したときに「概ね順調」とか「順調」と言うと、問題がないように見えるので、むしろ課題はあると、今後推進すべきテーマ、私の分類(5段階)でいくとDあたりに置いておいたほうがわかりやすいのではないかと思う。
   こんなようなことが全般的なことで、若干、各論を幾つか入れているけれども、これは省略させていただく。

【伊藤座長】
   大変重要な点をご指摘いただいたが、最初に、古賀委員がおっしゃいたように、昨年の実績評価書に比べ、大変よくなっている、改善されている。私は全く同じ印象で、随分努力をなさったなということを、強く印象づけられた。
   その上で、古賀さんからのご指摘のあった点について、最初の、特に評定のところ、A、B、C、D、Eという、これについて、何か評価室のほうからご説明をお願いしたい。

【佐野評価室長】
   今回、評定というか、達成度合い、進捗状況をわかりやすく説明するということについて、かなり検討したところである。ただ、これは我々の意識としては、機関評価ではなく、政策評価ということもあり、ランク付けをしたというつもりはなく、質的な判断ということで、例えば、同じ「概ね順調」でも、このフォーマットの中で、どういう点が順調で、どういう課題があるんだということを、一緒にフォーマットを見てわかるような形にしたつもりである。
   したがって、例えば、政策目標のそれぞれの項目ごとの「概ね順調」が全く同じ意味合いを持っているかというと、それぞれのところに反省点と今後の課題が書いてあるように、質的な判断で、上とか下とかでないというような、そういう意識で今回はつくった。
   先ほど、先生がおっしゃった、エグゼクティブサマリーのところに、A、B、C、Dというような評定も入れておくべきだというようなお話もあったが、我々としては、これは書き加えればそこに入れることもできるけれども、そこから出る誤解というのを恐れており、要は、その評定の意味合いを中のほうできちんと見ていただけたらなという思いもあり、全体のサマリー、エグゼクティブサマリーのほうには、達成度合いというのは入れるのを避けたところである。
   それと、223について、このような達成度合い、進捗状況を、これほど細かく書いたのは、他省庁の政策評価を見ても、どこもない。そういう意味だと、かなり挑戦的に政策評価の中ではやったつもりであるけれども、また先生方からいろいろ意見をもらいながら、どうしていくかということを考えていかなければいけないと思っている。繰り返しになって恐縮だが、ランクづけではなくて、質的な判断を全体で見てほしいということが、我々からのお願いである。
   もう一つ、先ほど、個々のところで、初等教育のところの話であるとか、先ほど言及されなかったけれども、私学の振興のところとか、担当局の課長が来ているので、ちょっとご発言させていただきたいと思う。

【加藤初等中等教育企画課課長補佐】
   古賀先生のほうから政策目標の2−2、「豊かな心の育成と児童・生徒の問題行動等への適切な対応」について、大変重要なご指摘をいただいたと思っているところである。
   評価自体は「概ね順調に進捗」と、これは決して安易にこのように評価したわけではないところであるが、少年によります非常に深刻な事件等も続いて起こっているような状況もあり、局の担当も含めて、非常に複雑な思いをしている。評価のほうでは、こういう全般的な評価をさせていただいたところであるが、非常に重大な、深刻な事件も起こっており、大変複雑な思いをしておる次第である。
   この「豊かな心」の評価については、子どもの心の問題でもあるので、その評価に当たって、評価の基礎となる事実や、実態をどのようにとらえるか、また評価指標をできるだけ客観的に、どういうものにしていくか、これは大変難しいのであるが、引き続きしっかりとやりたいと思っている。先生からご指摘の点については、引き続き検討課題ということで受けとめさせていただきたいと思う。よろしくお願いしたい。

【伊藤座長】
   今、古賀委員からのご指摘があった。確かにご指摘どおりなのだけれども、ただ、この評価書のほうを拝見すると、36ページから37ページに児童生徒課のほうでは、いろいろな事業をやっておられる。ただ、ここに書いてあることは、言ってみればアウトプットのレベルであると思うので、アウトカムではないと思う。古賀委員が問題にしておられたのは、むしろアウトカムのほうであろうと。例えば、問題行動がどうなったかというような。ここのところにちょっとずれがあるから、アウトプットで見れば、ある程度順調ということになると思うが、アウトカムを重視すると、必ずしもそうではないということになってしまうと思う。
   私は、将来の方向としては、もう少しアウトカムのほうにシフトしていくべきだろうと思うのだけれども、今のところは、まだそれを裏付けるような情報が十分ではないと思う。だから、担当課のほうでも、今後、アウトカムをあらわすような情報の収集、あるいは作成にご努力いただくということが大事だろうと思う。

【佐野評価室長】
   そのとおりだと思っており、例えば、達成目標でも、サプライサイドの達成目標というか、目標として何件行うというサプライサイドが達成目標になっているケースが、見ていただくと多くて、受益者サイドの、つまり一般国民がどういうふうなアウトカムを得るかというところの達成目標になっていないところ、そもそも達成目標の立て方がこれで十分かどうかというのがある。
   まさに、今、座長が言われたように、教育とか基礎研究、科学技術とか文化というのは、なかなかアウトカムをはかりにくい。科学技術だとピュアレビューということでしかはかれないとか、教育についてももちろんはかりにくいということがあって、今の段階では、そういうこともあって、目標としてサプライサイドの目標が多くなってしまっているということは否めない。
   これは、今、幾つか評価手法の研究をしており、そういった問題意識は我々も全くそう思っているので、少しずつ直せるところから直していきたいと思っている。

【古賀委員】
   さっきの前段階の評価指標の評価で、AとかBとかCとかDとかEとかいうことだけを問題にするのではないと。私も全くそうである。達成目標がアウトカム、アウトプットの問題もあるし、サプライサイド、ディマンドサイドの問題もあると思うが、目標に対して、今、順調に走っているのかどうかという中間地点の進捗状況だから、例えば、これを省内で議論するときに、全部をなめられるということもあると思う。やっぱり、その時若干施策としてはおくれているとか、予算をもう少し加速しなければいけないとか、そういうためにこれを使うのだろうと思うので、外へ出すときの表現をどうするかは別として、省内あたりでは、5段階で、はっきり言うと、順調にいっているところはそのまま加速していくと。やっぱり、不十分なのも、新しい課題が出てきたとか、新しい目標が出てきたとか、あるいは予算との関係があるとか、それから、不十分も、例えば、この施策はここでとめたほうがいいとか色々ある。言ってみれば、政策のために将来これを使うわけであろうから、そういう形でいくと、全部読むとかなり書いてあると思うのだけれども、もうちょっと政策を評価する意味でも、ある程度クラスファイしたほうがわかりいいんじゃないかという意味で申し上げた。絶対評価をして、ここは少しさぼっているとか、そういう意味じゃないと思う。ちょっとそこだけ付言する。

【佐野評価室長】
   我々も、今回、評価結果を15年度については実行、16年度については概算要求に反映することとしており、今、概算要求のヒアリングしているときもこれを使いながらヒアリングしており、今回、15年度以降の政策への反映の方針というところも、来年度向けの、そういうところを充実し、各局にかなり努力して記述してもらったと思っている。
   今、先生からいただいたご助言も踏まえ、来年度、どういうふうにここを強化していくかということを、また半年ぐらいかけてきちんと検討していきたいと思っている。

【舌津計画課長】
   個別の説明するのがいいのか、よくわからないが、古賀委員のご指摘の中に、2ページ目の3つ目だけれども、評価票3−2、大学の関係、50ページ。ここで大学の教育研究基盤、基本目標は概ね順調ではなくて、十分達成でよいのではないかというご指摘をちょうだいしているのだが、実は、これ、読み方の問題になると思うけれども、これは国立大学の施設の老朽化、狭隘化を解消しようということで、17年度までに600万平方メートルで整備ということなんだけれども、古賀先生のご指摘だと「十分達成」ということになると、相当数のパーセンテージであがっていなければいけないわけである。今、3年目であり、14年度で45.1%なので、十分達成というのはとても言えないということである。その点、ちょっとご訂正いただければと思っている。

【横山委員】
   私も、「概ね順調」とか、そういうことが出てきて、非常にわかりやすくなったとは思うんだけれども、やっぱり、この表現でいくと、相当甘いのではないかという印象を与える。それで、やはり「概ね順調」とか、そういうものの説明をつけておかないと、一般の人にこれをホームページでやっても、誤解を生むのではないかという気がする。
   先ほどの評価室長の説明で、よく6段階に分かれているとか、経緯がどうだったというもの、それをコンパクトにまとめて書かないと、意図があまり伝わらないのではないかというように感じるので、ぜひ説明をつけていただきたいと思う。
   それから、もう一つは、もう少し情報公開がないと、やっぱり甘い評価ではないかという印象を与えると思う。例えば、気がついたものでは、たんぱく質の3,000種を読み取るというようなものが「概ね順調」になっているのだが、それも、今の予定では、どうなっているんだということを書かないで、平成14年度はこれだけ解明されたと。達成目標が平成何年とかになっているわけだけれども、そこまでの予定ではどれぐらいの達成度合いを実現していくのかというようなことがないと、なかなか読み取れない。項目が多いから、全部書くわけにはいかないだろうが、例えば、ホームページなんかに出すときは、1つ1つの、222あるものを、もう少し細かいデータを入れて、なるほど、こういう経過でこういう判断を下したのかというものをやっていただけないかと思った。

【佐野評価室長】
   冒頭、先生から、甘い評価という印象に受け取られるので、きちんと意図がわかるように説明をつけるべきというお話があった。前書きのところ、「はじめに」のところに少し文章をつけ加えさせていただき、その意図がわかるようにさせていただきたいと思っている。

【平澤委員】
   私も、去年までの形式から見ると、はるかに進歩したと見ており、形式的には、ほぼ、あるレベルに達したのではないかと思うが、ただ、内容の面ではまだまだ勉強しないといけない点が多々あると思う。
   ただ、形式的な面でも、今、古賀委員や横山委員からもご指摘があったように、もう少し政策をブラッシュアップしていくという、そういう目的に合わせて考えるならば、この種のものは、私は3点セットというふうに言うんだけれども、政策の対象の体系がどうなっているか。これは今回、非常にきれいに整備されて、また、強化されたと思うが、その対象系と、それから、評価体系がどのようになっているか。今、ご説明でわかったのだが、3段階2セットというようなことになるかと思うのだが、その中身がどのようになっているか。つまり、評価したときの表現はわかったわけだけれども、その評定区分についてご説明というのが必要になるかと思う。これが評価体系、2番目である。もう一つは、古賀委員が懸念されておられたように、評価の総括票というのがもう一つ。それと、あと、個別の個票に相当するものが続いている。これは形式的には通常あるべきものではないかと思っている。そういう意味で、2番目と3番目の部分について、形式的な面の工夫があっていいのではないかと思う。
   これは、しかしながら、内容的な面に比べると、それほどではないというか、内容的な面では、これは各担当課のほうで随分ご苦労され、あるいはまた惑われたのではないかと思う。目標のつくり方、それ自身が、単に強化するとか、こういう表現が多かったり、それから、政策としては質が問われているのではないかと思うようなところで、これらを数量的に表現するというようなところが、別なところから言われているがゆえかもしれないけれども、あって、数量で示されていて、本来ならば、質的に目標を設定しなければいけないところが、かなり抜けているのではないかと思う。
   それから、大型のプロジェクトを並べて、それが目標、そのプロジェクトの達成というのだろうか、それが政策それ自身の達成に置きかえられているように思うんだが、その担当課は大型のプロジェクトしかやっていないかというと、そうじゃないだろうと思う。それが達成目標の中に表現されないといけないだろうと思う。
   1つ思うのは、目標のつくり方についてというのが、次の大きな課題であって、これは結局、評価というより、評価の前提になる政策をどのようにブラッシュアップしていくかというときの姿勢そのものにかかわってくる話で、根が深いわけなので、これを改善していくというのはかなり大変なことだろうと思う。
   それから、もう一つは、達成年度に到達した課題について特に取り上げて、それを総括するという項目があって、これも非常にいいわけだけれども、その総括をするときに、全部というわけではないが、むしろ、かなり予算を配当した政策課題であるというか、あるいは、その成果に関して議論が分かれているような政策課題とか、そういうものについては、調査、分析を別途行うような仕掛けを用意しておいて、担当課だけでは情報収集が限定されているというような場合、それを支援するような、そういう仕掛けもつくられたほうがいいのではないか。政策レベルでも、そういう大きなものについては見直しをもう少し、透明な形でできるような情報分析をするという、こういうものがあったほうがいいのではないかと思う。
   あと、一つ、今、言い忘れたのだが、内容の面で実績ということと、先ほど室長がおっしゃったように、サプライサイドではなくディマンドサイドというのか、施策を受け取るほう、成果を受け取るほうの側の目標というのが書かれるというのは、国民にとっては非常にわかりやすいわけである。例えば、スポーツの中で、非常にナチュラルな表現なんだけれども、体力の低下傾向というのがずっと続いているわけで、その低下傾向を来年度には増加傾向に転じるというような表現があったのだけれども、これなんかは、質も含んでいて、非常にわかりやすいのではないかと思う。それを、例えば、そのために体育の教官を何名増やすとか、こういうふうなことを書かれていると、何かわからなくなるのだろうと思う。それは、施策の中身として別途把握しておられればいいことと思う。

【佐野評価室長】
   いただいた意見、全部ごもっともだと思っている。評価の総括票という意味では、今回、お手元に配付させていただいている概要版というのがある。これは、ご説明していませんが、それに相当するのかなと、我々は思っており、法律でこの概要版もつくることになっており、概要版と本体とセットで公表していくつもりである。
   そのほか、先生からのご指摘は、今後の評価の改善に向けて、また頑張っていきたいと思う。

【中西委員】
   私もメモを書かせていただいたこともあり、全体的なところをご説明したいのだが。

【伊藤座長】
   お手元の資料、中西委員のご意見が載っているので、ごらんになっていただきたい。

【中西委員】
   古賀委員と横山委員が既に指摘されたことだが、進捗状況の評価が一律、「概ね順調」と書かれていることは、どこか足りないので「概ね」となっているのだと思う。だから、その足りない面を書くべきだと思う。将来、どうしていくかということを検討する上で、現在の反省点や課題、つまり足りない面を明示すべきだと思う。
   それから、もう一つ。せっかく計画全体像の図があるので、この図の中で、今年度はどこまでいったかという、進捗状況の表示があってもいいのではないかと思う。
   全体的には非常にわかりやすく、とても良いと思った。それから、各論について書いた説明は省略するが、ご検討いただければと思う。

【伊藤座長】
   これは「概ね順調」のことがまた問題になってきたけれども、難しいと思う。私、ちょっと拝見して、これはなかなか苦労して、わかりやすい説明を試みておられるなと感じたものがある。
   例えば、施策目標の4−9である。これは科学技術の戦略、社会基盤等の重要分野の推進や急速に発展しうる領域への対応というところである。施策目標の4−9−5で、「想定したとおりには進捗していない」と出ている。これは、言いようによっては「概ね順調」と言えなくもないのかもしれないが、ここのところは非常に正直に書いていただいており、これをお書きになるのに、担当課としては随分勇気がおありになっただろうと思うが、敬意を表す。こういうような表現が、今後、もっと出てくるといいと思うのだが。
   もう一つ、施策目標の7−3、スポーツの振興に関係するところである。学校体育・スポーツの充実のところで、施策目標の7−3−4である。これが「想定したとおりには進捗していない」ということを、やはり正直に書いていただいている。これは、恐らく、予算措置か何かの関係かなと、もう少しお金を増やせば、インセンティブがついて参加していただけるのかなという気もしないでもないが、こういう表現が出てきたということは、私は大変歓迎すべきことだと思う。これから先も、こういうことを正直に書いてくださると、担当課の方は大変勇気が要ることだと思うけれども、ぜひ、こういうような評価もしていただければと思う。これは私としては大変敬意を表したいと思う。

【麻生委員】
   私、これを読んで、視点として抜けているのが、効率という概念だと思う。それはやはり、政策手段は使うと思う。お金だと思う。そうすると、やっぱり、効率よくこれを達成したのか、非常に効率悪くやったのかというようなことが、やっぱり政策評価の場合、出てきたほうがいいと思う。
   私たち、昔から総務省にやらせられたのは、特殊法人の業績評価ということがあり、そこで効率というのを書かされたのを覚えている。それも非常に難しいんだけれども、コストパフォーマンスって、少ないコストでいい効果を上げれば、非常に政策的にはプラスだと。うんと上げても、すごくコストパフォーマンスが悪ければ悪いと。効率というコンセプトをどこかに入れられないかなと思った。難しいと思うけれども、やっぱり政策手段というと、金が一番ジェネラルなものだと思うので、何か考えられないだろうか。
   特殊法人評価のときには、たしか、書かせられたんだけれども、あれは一つの事業だから、文部省みたいな立派な政策をやるのではないから、割と書きやすいんだけれども、だけど、書けないことはないと。例えば、放送大学で、これだけの10万人の計画をやるのに対して、これは効率から見たらよいほうだとか、悪いほうだとか、いろいろあると思うんだけれども、それを数字であらわすというのは面倒くさいけれども、だけど、それが入るか入らないかだけでもすごく違うのではないかという気がする。

【佐野評価室長】
   独立行政法人の評価も、別途、担当させていただいている。効率性というのは、事後評価で重要な事項としてやらせていただいている。政策評価のほうでも、個別の事業の評価には、効率性というのをきちんと入れてやっているところである。
   これの行政評価、政策評価のこの実績評価にあまり効率性を入れていないのは、そもそも、全体を相当大きい政策をやっているというところで、効率性がはかりにくいということもあるんだけれども、行政に要しているお金というのは、ご案内のとおり、ものすごく少なくて、効率的に使わないとやっていけない状況であり、実際は基礎研究であるとか、大学の研究であるとか、あるいはそういうものに相当お金を投じているところであり、個々のお金を投じて、独法であるとか、大学というのは、実績評価、機関評価のほうで、効率性というのをきちんと見ていっていただいて、もちろん、行政に効率化が要求されているのは当たり前であるけれども、そこのところは今後、どういうふうにやっていくかは検討していきたいと思っている。
   事業評価のほうでは、そこは重要なアイテムとして、また9月にお示ししたいと思っているが、そこは効率性というのをきちんと示してていきたいと思っている。

【浅井委員】
   今回、政策目標、それから施策目標のことについて、具体的に項目別にクリアな評価がなされていて、まとめられるのも大変だったと思うし、先ほどあったような、結構、勇敢な評価といいますか、まずいということを言い切ることは非常に勇気を要するので、そういうふうに評価がはっきりされたことに対して、敬意を表したいと思う。
   4段階の評価について、これは4段階だと思うが、想定以上に順調にできたもの、想定どおりできたもの、概ね順調、想定したとおりには進捗していないとあるが、だから4段階評価だが、いいか悪いかの判断というのは、最初に3つと最後の1つの間に線が入っている。もう少し1か0かというか、いいか悪いかということで、一番白黒はっきりさせるというのは2段階評価。大変いい、いい、悪いと、そういうふうに分けるほうがもっとクリアになると思う。そこまで進歩できないかなというのを、この際、もう少し検討してみたらいいんじゃないかと思う。
   概ね順調ということも、どっちかというと、まあ、いいんだということになると思うんだが、しかし、これ、割と問題含みな表現になっているということがあり得るわけで、若干問題があるということを認めたほうが、改善につながると思う。うんと問題が大きいというのを、想定どおりには進捗していないと言い切るとして、問題が幾らかあるというふうに認めるほうが改善につながるのではないか。
   私も、いろいろな研究機関の評価とか、自分のところの事業所の評価とか、いろいろやってきたけれども、問題あると言ってやるほうが、必ずよくなる。そういう経験も実際の経験としてあるし、4段階評価というのは実は大変つらい。必ず真ん中にもっこりと集中する。どうしてもそこにつけてしまう。そういうふうになるのは、やはり結局は問題を先送りしてしまうことにつながりかねないので、やはり問題があるということをクリアにしたほうがいいし、せっかく4段階評価なのだから、真ん中に線を引くということを提案してみたいと思う。
   それから、ちょっと論点を変えて、別のことを言わせていただきたいと思うが、政策目標と設定目標ということで、評価をこうやって細分化して、大変、項目別に問題点を掘り起こした評価ができると思う。一方で、実は、藤垣委員が指摘されているように、設定目標の見直しとか、より高次の目標の立て直しといったようなメタなほうへ向く努力の目がいってしまうというところが実は非常に大きな問題だろうと思う。だから、こういった評価の大きな目的は、そもそも目標の設定がよかったか、政策がよかったか、そういうところに向けていく側面もないといけないと思う。
   そこが非常に難しいんだけれども、必ずそこのフィードバックまでいかないと、やはりほんとうの評価にはならないと思っており、そういう点で幾つかポイントを挙げてみたいと思う。
   先ほどの古賀委員のご指摘の詳細を見ると、リーダーシップという言葉をよく使われるが、最近の、例えば独法化だとか、そういうことに関係しても、組織のリーダーシップということが大変問題になっている。それから、会社なんかでもリーダーシップは問題になる。カルロス・ゴーンさんの例を引くまでもなく、リーダーシップの人材は世界じゅうに求められているわけだし、それは初等・中等教育の先生方のリーダーシップであったり、独法のリーダーシップであったり、産業のリーダーシップであったりするんだが、もう少し上げていくことはできないかみたいなことを、私は政策目標とか、そういったところに感じる。
   私どもも、会社でふだんから議論することは、変化である。この変化の時代にどうやっていくか。あるいは、お客様のために新しい価値観をつくり出そうと、そういうことを言っているわけである。日本にとって新しい価値観って何だろうな、学校教育の新しい価値観って何だろうな、こういうことをつくり出していくわけである。これは文科省など、省庁から見れば、新しい価値観を一緒につくろうというのは、何か自己矛盾みたいなことがあるのかもしれないけれども、やはりそうじゃない。そういう変化を飲み込んで、クリエートすること。そういうリーダーシップなり努力が必要である。どうやってうまく内包していくかということが、これからの大きな課題ではないかと思うわけである。
   そのリーダーシップ、あるいは変化の創造というのか、そういったようなことをどうやって目標の中に入れていくか。これは私は、大変な大きな課題ではないかと思っている。
   最後にもう一つ、それに関係した視点なんだけれども、この文部科学省の年度評価というものを、もう少し外側の視点から見てみたら、文部科学省の力というものを、世界の他の国々の教育力というものと比較する。うんとマクロに比較するといったような視点も大事なのではないかと思います。
   そういったような意味から、政策評価というものを、もう少し、また、そこに全体に政策そのもの、それから施策そのものにフィードバックしていくような、そういったような動きを何とか入れていかなければならないということを感じている。

【伊藤座長】
   大変重要なご指摘をいただいたが、例えば、先ほどの天野委員のご指摘にあった効率ということ。費用便益分析的な考え方、これは実際にはそういう行為を働いているのだろうと思うけれども、ただ、今の政策評価の仕組み、これは総務省主導でつくられたものだけれども、これはそもそも、大体が業績測定という仕組みである。あらかじめ目標を設定して、それがどれだけ達成されたかという、そういう方法で評価をしろということになっているものだから、そこの効率までは踏み込めないと。
   しかし、今後は業績測定の方法がもう1歩進み、プログラム評価と言われているような、もうちょっと手の込んだ、あるいは高次の方法を取り入れていくべきではないかと。総務省のほうはどうお考えか知らないけれども、文部科学省としては、少なくともそういう方法の高次化を進めていくべきではないかということを今、議論しており、プログラム評価のほうに入ると、これはプログラム評価の一つの重要な項目として、効率の問題、費用便益的な問題が入ってくる。それから、もう一つ、プログラム評価になると、入ってくる新しい視点というのは、今の浅井委員がご指摘になった目標の見直しである。今は、業績測定だと、目標は一応所与となっているわけだが、評価をやっていく過程で、より賢明な目標があるのではないかということがわかってくると、こういうような活動も含めて、プログラム評価という評価方法を今後取り入れていきたいということを、評価室のほうとも折に触れてお話をしており、今年度は少しそういうような研究もしてみようかと考えている。
   それから、もう一つ、プログラム評価になると入ってくる問題は、アウトプットではなくて、アウトカム、それからその先にある、インパクトの評価である。社会に対して、先ほど室長がおっしゃった、まさにディマンドサイドの問題、ディマンドの面でとらえるという、これもプログラム評価の場合、非常に重要な項目になってくるので、これについてもぜひやってみたいと考えているわけである。
   それについて1つ、私のほうからも、ご出席の方が何人かおられますのでお尋ねしたいと思うことがあるのだけれども、例えば、施策目標の3−1、これは大学である。高等教育のほうからも担当課長がご出席だが、これについて、私は、この3−1の評価書は大変よくできていると思う。さっき、おっしゃったけれども、達成目標が1から7まであり、これに対応させて達成の度合いを調べ、分析している。それから、今後の課題も、それぞれ7つの項目ごとに分けて論じており、これは大変優れた評価書だと思う。私は、これは立派だなと思っているけれども、その立派であるということを前提にして、ちょっと一、二、補足的なことをお伺いしたいんだけれども、1つは、先ほど、合田課長のほうからもお話があったけれども、COEが入ったことで、大変、大学の研究・教育環境が変わってきたと。これは全くそのとおりである。私の実感としても、大学の中に緊張感が走るようになったということである。引き締まってきたと。それから、もう一つは、学長のリーダーシップがかなり強くなっているわけである。COEというのは学長が中心になってお受けするということであるので、そういうことで、私どもの大学でもかなり変わってきたなという感じがする。
   それについて1つ感じることは、COEが増えた、これは大変いいことなんだけれども、今後はその成果を見ていく必要があるのだということがどこかに書いてあった。COEが増えたことはいいんだけれども、今後の課題のところの3−1−6のところで、採択拠点の事業の進捗に伴う適切な評価の実現が重要であると、まさにそうだと思う。COEの評価というのが今後大事になると。そのとき、その評価の仕方なんだけれども、例えば、どれだけ新しい知的特許権が取れたかとか、そういうようなストレートな形での評価が一つあると思うんだけど、それよりももっと大事なのは、COEという制度が始まったことによって、大学全体に非常に緊張感が走ってきたと。また、同時に、学長のリーダーシップがいやおうなしに強まってきたと。そういうことを通して、幾つ特許が取れたかということとは別に、もうちょっと大きな変化が大学に起こりつつあるのではないかと。それをとらえるような指標といおうか、観点が必要になってくる。それをとらえないと、非常にもったいないと思う。COEが果たしている役割というのがわからなくなってしまうので、これは今、申し上げた、プログラム評価ではインパクト評価ということになると思うんだけれども、インパクト評価の方法等もぜひ開発され、COEが及ぼした、直接、間接の効果をいろいろ拾いあげていかれると、大変、評価としても優れた評価になるし、将来の施策にもつなげていけるのではないかという感じがする。

【合田高等教育企画課長】
   大変評価をいただき、感謝したい。
   特にCOEに関しては、確かにご指摘のように、この評価シートの中の達成目標の技術自体に、若干広がりが欠けるかなと。と申すのは、本来、この21世紀COEが目指したものは、個々の世界的な研究形態の形成ということもさることながら、ご指摘のような、大学全体に競争的な環境を醸成をするということを非常に大きな目標としており、それが基本目標の3−1のところには、若干表現をされているわけである。3−1の総論のところであるが、活力に富み、国際競争力のある大学づくりを目指すと。そのためにいろいろなことをやっていくという観点で記載をさせていただいているわけだが、達成目標の3−1−6のところには、むしろ、世界的な研究形態の形成ということに焦点を絞った書き方になっているというところが問題かなというような感じもしている。
   ご指摘の点を踏まえて、今後、工夫をさせていただきたいと思う。

【伊藤座長】
   それから、もう一つ、ちょっとお尋ねしたいと思うことは、2−1なのだけれども、これは初中局の関係だが、これも、2−1の確かな学力の育成、この評価書も大変よくできていると思う。昨年と違い、達成目標が1から6まで分けてお書きになっておられると。そして、この達成目標の、特に2−1−1については、分析までしておられる。これはOECD、IEA等の調査結果等も踏まえて、どういうような課題があるかということについても分析をしておられるということである。これは私は、大変優れた評価書だと思い、大変感銘を受けた。
   それからもう一つ、その次の平成13年度教育課程実施状況調査、これを使った分析もさらにやっておられると。これも私は、大変優れた評価書だと思いますが、この中で1つ、わからないことがあるのは、設定通過率という専門用語が出ており、この設定通過率というのはどういうものであって、これは一体何がわかるのかということがちょっとわかりかねるのだが、どなたか、初中局の方、おられるだろうか。

【加藤初等中等企画課長補佐】
   初中局であるが、直接、この調査等に当たる担当でないもので、大変不調法で恐縮であるけれども、今、即座にお答えができない。申しわけない。

【佐野評価室長】
   34ページの備考欄を見ていただきたい。こういう難しい言葉は書いていただくようにしている。「設定通過率とは」というところがある。

【伊藤座長】
   1つわかったのは、ここの中で、この指標のところで、特に一番上の段で、設定通過率というのがあり、その次に授業の理解度というのがある。よくわかるか、わからないかというふうな、これは一体、どういうような関係になっているのかと。わかれば、設定通過率も当然上がるのかどうかという、その辺のことがちょっとわからないものだから、もしご専門の方がおられたらと思った。
   1つ、この2−1についてお尋ねしたいことは、政策への反映方針の最初のところで、今後、いろいろなモデル事業をなさるということが書いてある。学力向上フロンティア事業。このフロンティア事業の中に、いろいろな事業が含まれているようであるけれども、こういうモデル事業を今後、精力的にやっていくと。私は、これは大変いいことだと思うんだけれども、その場合に、モデル事業をなさった以上は、ぜひ、その効果の測定を、検証をやっていただきたいと。しかも、その効果というのは、アウトプットではなく、アウトカム、もしくはインパクトのレベルで効果を検証していただくと。
   特に、モデル事業の場合、大事なことは、いろいろな事業の実施の仕方があると思うんだけれども、こういう仕方でやるとこういうような効果がある、こういう仕方でやるとこういうような効果があるといったようなことを、選択肢を含めてそういう分析をしていただけると、非常に意味があるのではないかという感じを持ったわけである。
   ちょっと私のほうからしゃべり過ぎてしまったかもしれないけれども、ほかにどなたか、この評価書についてご意見があれば。

【古賀委員】
   個別の3−4であるが、「個性が輝く高等教育の推進と私学の振興」の中の「特色ある教育研究を展開する私立学校の振興」、これは目標はかなり予算と関係しているが、ほとんどが、想定したとおり進捗していない。想定どおり達成というのは、公開の問題のところだけであるが、この辺は全体的な評価では甘いのではないか。下のほうに、15年度とか16年度に概算要求で増額に努めるというご意思が入っているのでいいと思うのだが、全体的なサマリーでは、概ね順調なのか。あるいは基本目標のところで、確実に進捗していると書かれている。ずっと全部読めばわかるが、いかがなものか。私学振興というのは、文部科学省としては、この評価で、やっぱり足りないという感じでいるのか。今のところ、十分と書いてあるものだから気になる。

【合田高等教育企画課長】
   大変ごもっともなご指摘であり、確かに、「概ね順調に推移」というところの、とらまえ方の問題もあろうかと思う。56ページの基本目標達成に向けての進捗状況、下から3つ目の欄であるけれども、そこにあるように、厳しい経済財政状況の中にあっても、なお、現状維持できているという評価もできるのではないかという意味合いを込めて、そういう、「概ね順調に進捗」という選択をしているということなんだろうと思う。けれども、そこのところの、そういう考え方がいいのかどうか、もう少し財政状況ということとはかかわりなしに、絶対的な進捗状況という観点から評価をすべきなのかどうなのか、その辺、またいろいろとご指導いただければ大変ありがたいと思っている。

【小出委員】
   今の私学助成関係で、文科省の今回の評価では、「概ね順調に進捗」というのが多いわけだが、私はある意味で、まあまあいいんじゃないかと思っている。私、昨年申し上げたのだが、目的がほぼ達成されて、80%、90%、100%というものは、今年の目標から外してほしいと。十分達成していないものに対していかにやっていくかということで評価をしてほしいと申し上げた。100%近く達成したものを外してしまうと、かなり難しくなってきて、「概ね順調」という表現のところが多いのではないかと思うし、もう一つは、他省庁との関係もあって、文科省だけが非常に厳しく、達成していないでは、政策管庁としては何をやっているかということもあると思うので、今年度、「概ね順調に進捗」というのは、私は、まあまあの評価だと思う。
   その中で、最初に座長が言われたように、この私学助成に関する3−4のところだけは「想定したとおりには進捗していない」と、ずっと書いてある。他と比べて非常に珍しいところである。これは国の予算との関係があり、私ども私学としては、国のほうに対し、文科省がついているが、もっと私学に対する助成を増やしてほしいと、盛んに運動しておるんですが、なかなか難しい。57ページに書いてあるように、私立大学の経常経費の中の、今、12%か11%ぐらいというところだが、私学助成を法律では50%まで補助してよろしいということになっている。一時、30数%まで増加したことがあるのだが、今、財政情勢が厳しいということで、ここまで減少してきている。
   しかし、これは見方によって、こういう厳しい中で12%維持しているということは、よく頑張ったという見方でいけば、概ねよろしいということになるわけだが、全体から言えば、「予定どおり進捗していない」と見るべきだと思う。
   一方で、国立大学のほうだが、この5年間で国立大学の建物の改善をしようとしている。これは大変結構なことだと思うんだが、高等教育の70%は私学が担当しているわけだから、その辺のところ、もう少し公私のバランスを考えて、国立大学を重点的にやっていただくのもいかんとは言わないが、国立大をやりつつ、私学のほうにも配慮していただきたいと。そういう意味で、「進捗していない」というところに重点を置いて、文科省内でもう少し考えていただきたいと、目標に向かうように努力していただきたいと思う。

【伊藤座長】
   これは個別の事業とより、もっと高いレベルの政策、もしくは政策レベルの問題である。そういう点についても、どこかできちんと議論をしていただくということが大事だろうと思う。現実はどうなっているという認識が必要だろうと思う。

【横山委員】
   今、起こっていることとか、あるいは、社会情勢の変化とか、そういうものを入れて内容をビビッドにするという観点から1点、申し上げたいが、例えば、宇宙ステーションのところなんかを見ても、「概ね順調に進捗している」ということになっているんだが、それも、ずっとおくれにおくれて、今度はコロンビアの事故なんかも起こっている。それでも一言も入らないで、「概ね順調に進捗」ではやっぱりだめなわけで、そういうところも入れた上で、それでもこうなんだということを言っていただきたいと思う。
   それから、もう一つは、原子力についても、73ページだが、ほとんどが「概ね順調に進捗」なんだが、一般の人は、やっぱり原子力というのは非常に厳しい状況というものがある。確かに表現としては、一言だけ、「原子力をめぐる状況は非常に厳しい」と出てくるんだが、もう少し、原子力の状況がどうなっているのかという、現在の状況を書いた上で、概ね順調なんだということをしていただければ、よりビビッドになるのではないかと思っている。

【舘委員】
   全般的なことで、もう既に先生方がおっしゃっているように、前回と比べて、非常に整理されてきて、わかりやすくなってきたわけだが、ご指摘のいろいろな点で、例えば今のような、全体を見通しながら具体的な議論ができるというようなこともある。要するに、文科省がどういうことをやっているかということが、全体を見渡しながら議論できるというようなことができているわけである。
   今、議論にもあるように、実際上は、達成目標の設定と書いるけれども、形式論で言うと、それはすべて法律に基づいていたり、法律に基づいて文科省が主体的にやれるように、そういう意味では法律に基づいて行われている。私学助成の問題とか、法的にどう定められているかということと関係はしているわけである。そういうことを考えると、これを通じて、議論がすごく出てくるということ。それから、これが評価ということで、先ほどの進捗とかいうやつを、ランクとして読むのか、質的なものとして読むのかとか、そういうことが非常にシリアスに話し出されると思う。これだけしっかりしたものが出てくると。
   いろいろ気になる点は、さらに続くけれども、これは多分、国の行政の政策とか、そういう意味では、他省庁のレベルで出てきているので、そういう意味で、実はすごく重要なのが、「はじめに」ではないかと。既に、先ほどの進捗状況とか、そういう表現について、もう少しあらかじめ説明をちゃんとしておいたほうがいいということでは出てきているのだけれども、この報告書につながる表現だけで、この法律に基づいて実績評価をやったんだと書いてあるんだけれども、それで、よく読むと、今回の実績評価ではというのと、昨年の実績評価の経験を踏まえてというのがあるので、昨年があるのだなということはわかるんだけれども、そもそも、これが二度目の評価だということがわからないと、いろいろな議論が出てきてしまうと思う。二度目でここまで来ているということ。
   それから、もう一つ、我々が関与している政策評価というのか、さっきも出てきたんだけれども、これは実績評価だけで文科省の評価がなっているのではないということ。それから、位置づけとして、そういう表現が正確かは分からないけれども、基本的に、文科省側の自己評価的なものだということである。そういう評価の性質がわかると。2ページのほうで、有識者、我々のこの会議の位置づけなども書いているので、読めばわかるんだけれども、もう少し、この評価の性格、それから、現段階の位置づけというものをここにはっきり示していただいたほうが、これは非常に議論になると思うので、読む側の認識の確実性を期するという意味で、その辺を加えた書きぶりにしていただければと思う。

【天野委員】
   多分、一番普通の人が理解しやすいのは、資料1の概要だろうと思うんだけれども、もう少しこれは、こういうスタイルがいいのかどうかわからないが、一体どうなっているんだということを、わかりやすい表現が必要ではないかという気がする。何をねらいとしてやって、どういう実績評価の結果になっているのかが、これだけではちょっと見にくいということと、概ね順調云々というような表現は、こちらのほうには全くないんで、現状分析、これまでの成果でどういうことをやったかということが箇条書きであり、今後の主な課題というのは、なぜこれが課題なのかよくわからないし、見直しはやるんだと言っているけど、この中には、ある意味で評価が何も入っていないような感じがする。だから、実績はこうで、残った課題はこうだというのはわかるんだが、評価という作業をやった結果どうなのかという話がここにはないということが一つ。どこかでこれは示すような工夫が必要ではないのかということ。
   もう一つは、資料2のほうの評価書もそうなんだが、今、舘委員からご指摘があったが、評価の方法等と評価結果の活用等というのがあり、ここも評価にした結果についての総括的なコメントが全くないんだけれども、この辺も必要なのではないかと思うんだけれども、これは必要ないというご判断でこういうふうになっているのか、難しいから書かないのか、よく分からないが、普通の人が読んだときに、個々の目標よりは、全体としてどういうことなんだということのほうに目が行くんだと思う。それがどうもよく分からないように思うんだが。

【伊藤座長】
   今のご指摘の点、評価室のほうで、またご検討いただいて、改善すべき点があれば取り入れていきたいと考えている。
   だんだん時間も迫ってきたので、ただいま、さまざまなご意見をちょうだいしたけれども、このようなご意見等を踏まえて、引き続き実績評価書のとりまとめを進めていただきたいと思う。


(2)政策評価の今後の日程について
   事務局より、政策評価の今後の日程について説明が行われた。

【伊藤座長】
   それでは、これで本日の議事を終了させていただきたいと思うが、本日の会議では実績評価書(案)を中心に議論をした。今後とも、文部科学省の政策評価の客観性、あるいは実効性を高めるために、有識者会議としても積極的に助言を行ってまいりたいと思う。ついては、引き続き委員の皆様方のご協力をよろしくお願いしたい。
   本日の会議はこれにて閉会する。


──  了  ──


(大臣官房政策課評価室)

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