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政策評価に関する有識者会議

2002/09/19 議事録
政策評価に関する有識者会議(第5回)議事録


第5回政策評価に関する有識者会議議事録


1.日  時     平成14年9月19日(木)  15:00〜17:00

2.場  所     霞が関東京會舘「シルバースタールーム」

3.議  題    
(1)文部科学省事業評価書について
(2)文部科学省総合評価に関する調査結果について
(3)文部科学省評価方法の調査研究について
(4)今後の予定及びその他について

4.配付資料
資料1-1    文部科学省事業評価書  要旨−平成15年度要求新規・継続事業−
資料1-2    文部科学省事業評価書  −平成15年度要求新規・継続事業−
資料2-1-1「地域社会の期待に応える人材育成に関する調査」について
資料2-1-2  地域社会の期待に応える人材育成に関する調査  第一次報告書
資料2-2-1  「優れた成果を創出する競争的かつ流動的な研究開発システムの構築」について
資料2-2-2  優れた成果を創出する競争的かつ流動的な研究開発システムの構築の総合評価に関する基礎調査
資料3-1  「教育行政における評価手法の在り方に関する調査研究」  要旨
資料3-2-1  研究開発の評価者の育成方法等に関する調査について
資料3-2-2  研究開発の評価者の育成方策等に関する調査
資料4      政策評価に関する有識者会議(第4回)議事録(案)
参考1      文部科学省政策評価基本計画
参考2      平成14年度文部科学省政策評価実施計画
参考3      文部科学省における研究及び開発に関する評価指針
参考4       平成15年度概算要求のポイント

5.出席者
(委員) 伊藤座長、麻生委員、天笠委員、池上委員、石原委員、大窪委員、小出委員、古賀委員、杉山委員、田吉委員、中西委員、長谷川委員、星野委員、横山委員

(事務局) 結城官房長、田中総括審議官、林官房審議官、小田官房政策課長、板倉評価室長

(オブザーバー) 森口官房会計課長、村田官房国際課長、大島官房文教施設部施設企画課長、板東高等教育局高等教育企画課長、泉研究振興局振興企画課長、藤木研究開発局開発企画課長  他

6.会議の概要
(1)文部科学省事業評価書について
  事務局より文部科学省事業評価書について説明が行われ、続いて質疑・意見交換が行われた。

【伊藤座長】
  資料1−2の10ページに、学力向上アクションプランという、今、大変注目を集めている施策があるが、これを見ると、14か15ぐらいの事業を一まとめにして、一体的に推進するというふうに書いてある。大変いいことだと思うが、一体的に推進するというのは、具体的にどういうことなのかお聞きしたい。

【森企画官】
  今回、学力向上アクションプランとしてこのような形で提示したのは、本年度から始めた事業もあるし、個別に実施していた事業もあるが、これらの事業を総合的に関連させ、全体として学力向上を進めるための施策を提示した。施策の効果を図っていく上で、これらをまとめ、政策のパッケージとして提示をしている。

【伊藤座長】  
  概算要求額が77億2,400万円だが、これは十幾つかの事業に割り振られるけれども、進捗状況を見て変更もあり得ると理解してよいか。

【森企画官】    
  それぞれの事業ごとに予算要求額があり、今後の査定により予算額が決定するが、それらを足し合わせると、現在要求額が77億2,400万円になるということである。

【小出委員】    
  学力向上アクションプランの推進は非常に結構だ。土曜日が休みになり、しかも教育内容が削減されるということで、学力が低下するのではないかという心配が一般的に出ている。学力向上アクションプランで、伸びる学生や生徒を伸ばしていこうというのは非常に結構だと思う。
  ただ、この達成効果及び達成時期の目標を決めるということは非常によいと思うが、教育成果というのは単純にすぐ出てこないということもあり、中間評価のときによく考えて実施しないと、すぐには成果が出てこないとものもあるのではないかと思う。
  それからもう1つ、次の23ページの高等教育についてだが、特色ある教育を行っている大学に対して重点的に支援するものであるが、これも非常に結構である。その次のページにあるように、従来、研究支援でCOEというのが出ていたわけだが、これでは非常に高度な研究をやっている旧7帝大を中心とした特別な大学だけで、あとは支援を受けられないことになってしまう。しかし、国立大学を含めて、特に私学の場合、教育に非常に熱心にやっている学校もあり、そういったところに対して支援プログラムをやろうということは、私学にとって非常に励みになるわけであり、これもぜひ進めていただきたいと思う。140億円とわりあい大型予算がつくわけだが、100校とすると1億4,000万円ぐらいずつ、そんなつかないかもしれないが、非常に結構なことではないかと思う。
  ただし、これも先程も述べたように、達成効果及び達成時期を決めて、その成果を見る中間評価をするのは非常に結構だと思うが、これも直ちにすぐ成果が出ないこともあり得るので、その辺のところをよく中間評価のときに御勘案していただきたい。

【麻生委員】
  3点お伺いしたい。1つは、中間評価というのはやはり評価としてみると、達成評価やいろいろな評価とは違うので、私の考えだと、よく学校教育とかそういうところでフォーマティブ・エバリエーションという言葉を使うのだが、それは形成的評価であるが、そのときの中間評価というのは達成評価とは少し違った意味の枠組で行い、かつ今までの政策のストラクチャーというものをむしろ変えてやっていく。つまり施策の改善というものを同時に含むという、そういう考えでよいのか。つまり、フォーマティブ・エバリエーションの考え方に立っているというふうに考えてよいかということが1つ。
  2つ目は、概算要求で項目が並べられる際に、概算要求作成段階で消えていった事業等があるはずだ。何十%ぐらいか残っているのか、また、そういうところの評価というのは相当シビアに行われているのか。大概の大学などでは概算要求を行う場合には、最初から一本化するようにつくるが。概算要求に当たって、日の目を見る政策と見ない政策というものの評価というのは、何か一つの方法論があるのか、それともそういうものはなく、担当課等で最初から絞って出すのか、そういう段階の評価というのは一体行われているのか、行われているとしたら、どのくらいの率で概算要求に出るのかということがわかっていれば、教えていただきたい。
  それから、学力の問題は、大体何年ごとに調査をするつもりなのか。また、学力に絞るのもいいのだが、教育というのは知・徳・体なので、特に私、一番今心配しているのは、本当は子どもの身体である。しかし、学力についてでよいので、その評価というのはどのくらいの定点観測を設けて実施するのか、それとも網羅的に実施するのか、教えていただきたい。

【板倉評価室長】
  最初の中間評価の考え方だが、今回、この事業評価で取り入れたのは、中間評価というよりはむしろ事後検証が主体である。この達成効果及び達成時期に対応して評価するのは、まさに事前に目標を決めておいて、それが達成できたかどうかというのを事後に見ようというのが主眼であり、そういう意味では、中間というよりはむしろ事後評価になろうかと思う。
  他方継続事業については、むしろ現状を見て、この事業は本当に継続すべきかどうかという意味で判断をする、もしくは改善すべきなのかを判断する、そういう意味合いにおいて中間評価であると思っている。
  科学技術に関しては、総合科学技術会議の考え方もあり、プロジェクトの中間評価を取り入れるということが言われているため、そういったものは、麻生委員が述べられたように、今後さらに進め方を考える上での形成的な評価になると思う。科学技術のプロジェクトの中間評価については、適宜この事業評価書の中にも取り込んでいくことも内部で検討している。
  2点目の概算要求を出すに当たって、ここに出てこなかったようなものはどうなっているかということだが、具体的な概算要求作業の中で、プロジェクトとして成立しなかったようなものについては特に評価書をつくるようなことはしていないし、その割合が幾らかということは集計をとっていない。プロジェクトを考える各担当課が、この評価シートをつくるのと同じような考え方で、同じように必要性とか適正性、国が行うような理由とかを考えながら、取りやめたプロジェクトについてもいろいろ考えた上で、最終的には限られたリソースの中での優先度を考えて、予算要求をしたと考えていただければと思う。
  3点目の学力については、担当局のほうから具体的なお答えをさせていただきたいと思う。

【森企画官】
  学力については多面的な評価ということが重要である。1つ全国的な学力調査ということで、例えば昨年度には、今年の2月に小学生、中学生を対象として、全国的な学力調査というものを実施している。これは大体小学生、中学生の1割弱ぐらいの数を対象とした学力調査であり、その結果がこの秋ぐらいにはまとまる予定である。
  そして、今年は高等学校について実施をすることを考えており、こういった調査を来年度以降もできるだけ継続的に実施し、全国的な学力状況の把握に努めて、その上で教育課程の改善につなげていきたいと考えている。

【古賀委員】
  今回の評価書を拝見したが、14年度の評価書と比べて、様々な御努力が政策評価部門であったのではないかと思い、敬意を表したい。
  個別についてはなかなか意見を申しにくいが、全体的な評価の手法や、評価書の使い方ということについて御意見申し上げたい。先ほど室長から、この評価書の使い方、すなわち一番は事後評価を意識しながら政策をすれば、政策の質を高められるというお話があった。
  確かにそのとおりであり、非常によいと思うが、より本質的には中間評価等を行うことによって、スクラップ&ビルドを闊達にするとか、新しいテーマをたくさん出すだけでなく、実施中のものを、強化してやっていくようなことや、あるいは極端に言えば簡単にやめるものもあると思うので、そういう評価にもこれは使えるのではないかと思う。
  この評価書は毎年よくなってくると思うが、これをいかに使っていくかということが大事だと思う。単年度予算であることはわかるが、その事業全体としての予算総額がどれぐらいかということ、科学技術分野ではかなりはっきりと出ているが、要するにこのプロジェクトの規模がわかるような数字を入れておく必要があるのではないかということが一点。
  もう一点は、他省庁との様々な連携みたいなもの、あるいは同じ文部科学省の中でも部門間の連携プロジェクトがあると思う。そういうことを意識する必要があるのではないかと思う。
  次に、達成時期のない事業や、継続事業があるが、これは先程の芸術祭のような固定的なものもあるけれども、そういうものは別として、中間的な評価や、区切りが必要ではないかと感じる。
  最後に、14年度には重要なテーマとして出ているが、その継続事業みたいなものは15年度には載ってこない。省内の集中と選択、あるいは事業の選択のときには俎上に上るのか。例えばカウンセリング事業は、心の教育に非常に大事なものであるが、これは1回予算がつくと、15年度以降も全部つくような性質のものなのか、ちょっとその辺を伺いたいと思う。

【板倉評価室長】
  プロジェクトの全体の規模がわかるようにという御指摘については、今後何らかの形で工夫してまいりたい。現時点ではまだ概算要求の段階であり、なかなか全体規模が見えてこないものもあるが、予算が確定した段階で、ある程度見えれば、先ほど述べたように、来年の春にこれを差しかえるときに書き込むこともあり得るかと思う。そこは可能な範囲で工夫したい。
  他省庁との連携については、連携が既に今の段階から明らかになっているようなものについてはなるべく明記するような形で進めている。今後年末の政府原案決定までの間にさらにいろいろ動きがあろうかと思うので、そういったものも踏まえて、書ける範囲で記入してまいりたい。
  それから、達成時期のないものを中間的な区切りを入れるべきという点については、我々もこの評価書を作成する際に、各局といろいろ議論しながら、書ける範囲のものはなるべく書くようにということで指導してきた。まだ十分ではないため、来年以降の課題として、とにかく何らかの時期を明記するようにして、その段階できちんと事後なり中間評価なりをできるような足がかりをつくっていきたいと思う。
  平成14年度に既に着手したもので重要なものはその後どうなるのかについて。1つはこの事業評価の中間評価のようなものとして、継続課題の評価の中で網がかかるようなものであれば、その中で評価するし、この政策評価の枠組に入らなくても、当然予算の議論の中では、既存の事業も含めて優先度を比較しながら、新しい事業を入れるかどうかという議論をしていくわけであり、そういう中で自ずとレビューはすることになる。
  ただ、目に見えるような形では実施していないので、そこは繰り返しになるが、継続課題の評価をどのようにやっていくかという中で解決していきたい。

【横山委員】
  継続事業についてお尋ねしたいと思う。事業の改善とか見直し等に活用することとしているということを単純に読むと、かなり予算も削って、これまで10年ぐらい続けてきたものでそろそろやめてもいいものが出てきたように感じるが、これを見ていると概算要求ではむしろ増えているところがほとんどであるし、特に例として挙げられた放射能調査研究費は、そういえばそういうものがあったなと思い、多分随分削っているのかと思うと、これも2,500万円ぐらい概算要求では出ている。多分見直したらやらなければいけないというところがあることはよくわかるが、そもそも10年以上継続しているのを、改善、見直ししたら、かなりの削減があり、メリハリのついた予算になるんじゃないかと思われるのに、今回そうなっていない理由は何なのか。それから、この中間的に評価を行って、かなり削った例はあるのか。

【板倉評価室長】
  確かに予算的には増えているが、これはまだ概算要求の段階ということもあり、全体には予算額の規模が昨年度と比べると要求額は膨らんでいる。ただ、それは年末の段階でどんどん削り込んでいくということになっているので、そういう意味では、現時点で予算が増えた、減ったということだけに着目するのではなく、むしろ年度末の段階でどうなったかを見ていただくべきなのかと思う。
  あとは評価の結果予算が減ったものはあるかという御指摘については、継続課題の147ページの原子力試験研究費や芸術祭等も減らしている。ケース・バイ・ケースで増やしたり減らしたりということになる。

【森口大臣官房会計課長】
  教育関係でいうと、様々な委嘱事業を各局で実施しており、今年度の要求ではそれをかなり整理している。金額で言うと、大体100億円ぐらい。
  もちろんそれにかわって新規でいろいろ出してはいるが、継続についてはそういう形で整理はしている。ただ、一件一件が小さいため、こういう形で表には出てこない。また研究開発関係でも、いろいろプロジェクトの整理を行っており、一応今後5年間で2,000億円程度のものを整理をすることにしている。

【横山委員】
  発想としては削り込めるところは削ると、当然のことですが、それはあるということか。

【森口大臣官房会計課長】
  そういうことである。

【小田大臣官房政策課長】
  今の件に関して、当初、この3月の時点で継続事業についての評価について定めたときに、昨年は相当数多くあったため、今年は継続して10年以上というような形で対象をある程度少し絞ったということもあり、この絞った中にはさほど大きく削減したものが結果としてはなかったということである。科学技術の関係では、5年間で2,000億円ぐらいの整理する予定。宇宙ステーションのように、10年以上経っていないが、この対象に入っていない中で、そういった点での削減等をしている事業がかなりあった。今回の評価書には出てこない面でかなりあったというふうに御了解いただきたい。

【星野委員】
  以前から気になっていたことだが、事業の評価というのは、当然継続事業の場合は事後評価になり、新規事業の場合には事前評価になるわけだが、その実施により、全体のトータルの費用対効果を高めるというのがもともとの政策評価の目的である。そうすると、今の横山委員の質問にもあったが、外部に公表するときに必要なこととして、もともと文部科学省に事業が何本あるのかということである。従来からの継続事業は何本で、来年度から新たに何本の新規事業を考えているかということ。
  自治体では事業は複数年度事業と単年度事業と分けて管理している。複数年度事業は研究開発プロジェクトが典型であるが、その事前評価であれば15年度の予算だけではなく、10年間で取り組む事業であれば10年間のトータル予算として見ることが基本である。
  継続事業であってかつ、複数年度事業の場合、まだ準備段階で成果が出ていなければ、それは途中評価になるし、継続事業であっても、毎年の繰り返しの単年度で成果が出るものは、そこで成果が把握できる。そのあたりの事業の整理が、もう少し全体像が見えるような形で整理する必要がある。要するに文部科学省として継続事業の数は何本なのか。あえて言うと14年度実施した事業。中には14年度で終わりというものもあるから、14年度から15年度にそのまま継続する事業が何本になるのか。また、その継続事業の中で、この政策評価で対象とした事業は何本で、政策評価をやることによってどのくらい廃止、休止、もしくは有効性や効率性を向上させたか。基本的には予算を増やしたものは有効性が上がっているはずであるし、予算を減らしたものは効率性が上がっているはずであり、その辺の総括が、特に納税者の観点から見ると求められるのではないかと思う。是非そうした総括をやっていただきたい。

【天笠委員】
  その学力向上アクションプランの推進ということについてだが、この政策が効果を上げるには、おそらく児童・生徒の問題行動への適切な対応や、あるいは先程あった家庭教育の支援等が連動し、つながりながら、相乗的に成果が上がっていくものではないかと思う。そういう点では非常に個別の独立性の強い政策と、それから、他の関連政策とかかわらないとそれ自体の成果が上がらないものとが、この中には混在しているのではないか。もう少しそのあたりのところの認識を明示するという意味において、例えば手段の適切性といったところには、他の課や、他の政策との関連性やあるいは関係性をもっと積極的に明示して、その関係の中でこの政策の独自性や位置づけを明示していくという方法があるのではないか。丁寧に読んでいくとそういうあたりのことが書かれているのかもしれないが、少なくとも今日少し見た中では、比較的にそれぞれの所管の中での明示にとどまった書き方をしているように感じた。そのほうが独自性がわかるので、それも重要だと思うが、関係性をどのように工夫していくのか。
  それからもう1つは、例えば生涯学習社会の実現という政策目標1に挙げられているが、これが臨時教育審議会等から打ち出されてから既に10年以上の歳月が流れており、この間様々な施策が展開されているんじゃないかと思う。一体それが現在どういう位置づけ、どういう状況の中にあり、どうなっているのか、そういうことをある程度の段階で大枠でとらえていかなければいけないのではないか。それがなければ、個別の政策が達成されたかされないかというところ自体が十分判断できないような、そういうものもこの中には含まれているような感じがしており、とりわけ私は生涯学習社会のあたりが掲げられてかなりの時間が経つので、大枠の政策の評価もあわせて必要なのではないかと思う。

【杉山委員】
  108ページのことでちょっとお聞きしたいと思う。少々スポーツローカル的な小さなことで恐縮だが、108ページの事業の概要の中の5番目に、実業団リーグ支援事業というのがある。これはどういうニュアンスなのか。実業団リーグというのは、文部科学省のプロジェクトに参加しているので見当はつくので、これはいわゆる日本リーグであるとか、国内のトップリーグというような意味と受け取っているがそれでよいか。実業団だけの大会を支援する意味というのはあまりないように思う。
  ここは国内リーグ、国内トップリーグの支援事業であれば、ここに書いているいろいろなこととの整合性、例えば競技力向上だとか、そういうことにつながっていくような気がするが、これは改めて実業団という言葉を使うと、少しニュアンスが違うように思う。もしかすると、企業とスポーツの関係をより深くするための支援事業だというふうに考えているかもしれないが、スポーツ的には実業団リーグというものを支援するのは、少し違うのではないかと思うが。

【山下評価室室長補佐】
  以前この実業団リーグに関する事業について、担当課のほうからヒヤリングの中では、この事業を行う必要性として、実業団リーグに代表される企業スポーツが、企業のほうの経営状況等々の悪化の問題もあり、非常に縮小傾向にあるという説明があった。その実業団スポーツがアマチュアスポーツのかなり重要な部分を支えているということもあり、それを支援すると、そういう意味合いの事業であるというような説明を聞いている。

【杉山委員】
  ここは実業団リーグではなく日本リーグというふうにしないと本当は違うのではないかと思う。今お聞きした上で、日本リーグだとすると、通りはいいし、トップレベル、競技力向上というここの提案の整合性が出てくると思う。

【伊藤座長】
  先ほど古賀委員も述べられたが、複数年度にまたがる事業についての総額の問題は、重要だと思う。この点に関して、数日前に予算制度についての透明性について財務省の研究所で1つ報告書を出していることを紹介したい。これはすばらしい報告書だと思うが、IMF等の基準に合わせて、今、日本の予算運営を調べてみると、かなり遅れているところがあると。その中の1つとして、長期的に施策の効果を評価するような試みがあってもいいのではないかということを財務省自身が言い出している。

(2)文部科学省総合評価に関する調査結果について    
  事務局及び科学技術・学術政策局須藤評価推進室長より文部科学省総合評価に関する調査結果(「地域社会の期待に応える人材育成に関する調査  第一次報告書」及び「優れた成果を創出する競争的かつ流動的な研究開発システムの構築の総合評価に関する基礎調査」)について説明が行われ、続いて質疑・意見交換が行われた。

【星野委員】
  2つの総合評価に共通することだが、この調査結果をどうやってどこに反映するかというところがよく見えない。当然総合評価をやるときの目的設計の中で、文部科学省の政策目標、施策目標のどこにそれが反映するのかについて、研究開発のほうは比較的施策目標で固まっているのではっきりしているが、最初の人材育成については、施策のどこに反映するのかわからない。実績評価書を見たが、どうも結びつきがよく見えない。
  おそらく施策目標の幾つかに人材育成というキーワードがあり、スポーツ人材育成とか文化人材育成とか、それから国際人材育成等を対象としていると思うが、地域社会の期待に応える人材育成という部分が、どの施策と結びついているかがはっきりしていないし、それから、調査全体が需要調査になっている感じがする。リサーチと評価は違うわけであり、評価というのはやはり施策の結果、事業の結果を対象とするものである。現状水準、それから、今までこの10年なり20年なりやってきた国や、場合によっては国ではなく、自治体が行ってきた施策、事業が果たして本当に当初の目的を達成できたのかどうかという観点であるため、そのあたりについて直接答えられるような総合評価をこれから工夫していただきたいと思う。
  研究開発についても、結局初めからもう施策の成果となっている。14年度中に「施策の目的が現在でも妥当性を有しているか」検討すると書いてあるが、初めからこれをやっていただいたほうが早く結果が出るのではないかと思う。海外の文献調査もいいと思うが、やはり調査と評価は違うということを、発注される文部科学省としては明確に設定していただいたほうがいいのではないか。

【田吉委員】
  細かいことで申しわけないが、この地域社会の期待に応える人材育成に関する調査の中の初等中等教育分野で、特に学校現場で一番今必要としている図書館の司書、図書室の司書といった分野がないが、何か理由があるのか。来年度からもちろん司書教諭が入るが、時間的な軽減も何もない中で、やはり司書の配置が現場では切実な願いである。これが入らない理由は何かあるのか。

【山下評価室室長補佐】
  調査事項についてはある程度網羅的に、今、いろいろ政策上の課題になっているような人材についてピックアップして、担当局とも相談の上決めたわけであり、地域の人材についても様々な人材が学校現場でも必要になってくるわけではあるが、その中で確かに司書等についても大変重要であるとは思っているものの、選定していく中で、すべてを網羅的にというわけにもいかないため項目についてはこういう形でおさまったところである。

【板倉評価室長】
  今の話に関連して、実際自治体からこの55の人材以外にも必要なニーズを聞く自由記述の項目を設けており、現在それについて分析をしているところ。おそらくその中に入ってくるのではないかと思うが、仮に入ってこない場合には、今の御指摘を踏まえて、分析の観点の中に取り入れたいと思う。

【伊藤座長】
  現在、事務局において作業を進めていただいているところであるが、ただいまの御意見等を踏まえて、事務局で今後さらによりよい総合評価をつくり出すために御努力いただきたいと思う。
  この2つのテーマのそれぞれに則して、有識者会議の委員の方々のうち、御専門の分野を考慮して、数名の方に御協力をいただき、事務局の案に対していろいろ建設的な御意見を頂戴したいという申し出が事務局から出ている。総合評価に外部の有識者の意見を反映するという観点からも、そのような場を設定することは大変適切であろうと思う。
  そこで、もし皆様方の御了解がいただければ、そのように今後取り運んでいきたいと考えているが、いかがか。有識者の方の中で数名の方に特に総合評価の取りまとめに当たって御協力をいただくということである。もし皆様方の御了解がいただけるようであれば、御協力いただく委員の選任については、私に御一任いただきたい。後日事務局から個別にお願いするようにしたいと考えているが、そのように取り運んでよいか。
―「賛成」の声あり―
  それでは、御協力をお願いする。

(3)文部科学省評価方法の調査研究について
  国立教育政策研究所の塚原総括研究官及び科学技術・学術政策局須藤評価推進室長より、文部科学省評価方法の調査研究(「教育行政における評価手法の在り方に関する調査研究」及び「研究開発の評価者の育成方策等に関する調査」)について説明が行われ、続いて質疑・意見交換が行われた。

【麻生委員】
  教員も大事だが、教育評価ということに関連して、つまり中央や、都道府県や市町村の教育行政者に対する調査というものが大事であり、そういう人々がどれだけ政策の合理化、その評価というものの力を持つか、なじめるかといった点について、教育行政官に対する調査が必要ではないか。でなければ、スペシャリストだけ養成していても、実際、行政者のマインドが変わらなければ何も変わらないという気がする。やはり教育行政者、加えて、地方では教育委員会、中央でいったら中教審とか、そういうメンバーも非常に大事であり、そういう様々な立案等を行う行政者というもののマインドというものがどれだけ変わっていくか、また、研修の問題や、新しく採用される人等についても調べる必要があると思う。
  やはり地方へ行っても、高等学校の先生を中央教育の行政のリクルートにしているところがわりに多い。それがいいかどうかは別にして、いろいろな基盤を持っているので、その辺の研究というのも、特に国立教育政策研究所で少し勇気を持ってやっていただきたいと思う。

【伊藤座長】
  私も全く同感である。非常にやりにくいとは思うが、大事な研究課題だと思う。

【横山委員】
  研究開発の評価者の育成方法の調査について、大学評価では学位授与機構があるがそことの関係はどうなっているのか。どのように位置づけているのか。れっきとした評価機関が1つあることになるが。

【須藤評価推進室長】
  報告書本体の21ページにあるように、学位授与機構についても、対象として現状について聞かせていただいている。

【星野委員】
  まず、教育施策のほうで、6ページのサマリーを読んでの感想だが、一番のポイントは、やはり教育内容に関する政策評価の方法と、教育環境の中で特に、学級規模研究ということで、いずれにしても教育システムや教育の方法についての効果測定なので、どこまで研究されているかわからないが、学力、体力は比較的測定でき、また国際比較もできる。
  問題は徳力、つまり文部科学省の政策目標でいくと「豊かな心の育成」のあたりをどのように測定するかについて、もし未解明であれば、ぜひ予算をつけて研究してほしい。例えば民間企業的な発想でいくと、悪い事象からさかのぼって原因行動から見ていくこともある。他には子どもたちに絵をかかせて、その情緒だとか感受性みたいなものを測定するといったように、単に到達すべき、到達度の目標をあらかじめ規定すべきである。具体的に施策目標のこの部分はこういう形で測定できるのではないかというところまで、ぜひ研究していただきたい。
  もう一点、教員に関する政策評価と言っているが、これは簡単に言ったら教員の人事評価であろう。人事評価はどこの世界でも当たり前の話で、ここに書いてある自己研鑽に取り組むということであろう。単に教員の優劣をつけるだけではなく人材開発、特に今、企業の場合は財開発、ヒューマン・リソース・デベロプメントの一環としての人事評価が当たり前だから、そういう観点でとらえていただきたい。  だから単に教員の人事評価、人材開発という観点で別個、政策評価制度と切り分けて考えられるべきではないか。ただ、教員の業績を見るときには、教えた児童・生徒の能力向上の度合いもあるので、その辺は教育内容等の学習到達度調査との関連も出てくると思う。
  ついでに研究所、研究者に関する調査については、2ページ、3ページを聞いていると、別に研究開発に限らず、極めて真っ当なことが指摘されている。やはりポイントは研究開発の持っている特性というのがあり、基礎研究と応用研究、特に国の場合にはかなり基礎研究的なものの特性が大きいわけだから、それを踏まえた評価の在り方について、もう少し突っ込んだほうがいいのではないか、それから、重要なのは評価者についてである。これは政策評価全体にも言えることだが、評価者のレベルアップについて、管理者の役割責任に明確に定義するということが必要ではないかと思う。
  したがって、単に理解を深めるだけではなく、評価者の責任体制を明確にするというところがポイントで、責任とか職責をはっきりさせれば、当然人事評価とも連動して、評価能力がない人は課長にはさせないということにも関連してくるため、ぜひ役職者の人事評価と連動してほしいと思っている。自治体では行政評価と人事評価は連動して実施しており、国と自治体に共通する課題ではないかなという印象を持った。

【中西委員】
  最初の教育行政に関する評価手法の調査研究については、心の問題は非常に大切なこととは思うが、例えば研究開発では競争的原理が導入され随分競争的資金が流れる仕組みができたように、この分野でも何分の1かは競争的な原理を持ち込んでもよいのではないかと思う。子供たちにゆとりだけを追求するのではなく、もっと活性化するような競争的面、例えばだれよりも速く走れた等という能力のある者について、もっと評価の対象にしてもよいのではないかと思う。
  それからもう1点、研究開発のほうの資料は非常に力作で、いろいろ考えられており大変新鮮に思える。様々な調査もされており、しっかり取り組まれているという気がした。ただ、研究開発ではよい研究者がよい評価者とは限らない。したがって、その点を踏まえて、基礎研究をしっかり評価してほしい。また評価法の評価というのもあってよいと思う。ある程度固まった段階でもう一度評価法を見直すようなこともぜひお願いしたい。

(4)今後の予定及びその他について
  事務局から今後の予定等について説明があった。

【板倉評価室長】
  来年3月に次回会議を開催することを予定している。具体的な日程等については、追って連絡させていただきたい。

【星野委員】
  最後に一点。来年度の実績評価と事業評価と、それからこの総合評価、どうやってレベルアップしていくかといった意見は、いつ申し上げればいいのか。3月で間に合うのか。

【板倉評価室長】
  まず実績評価については、3月に何らかの改善案が出せればと思っているが、その際に御意見いただき、どういう枠組で行うかを決定したい。中身は6月に作成するので、その間にまた御議論いただきたいと思うが、3月の段階で1回お示しできるかと思う。

【星野委員】
  また小委員会という形で、評価の仕組みという部分について、議論してはどうか。評価室の来年度の仕事を考える上でも大事であり、できるだけ早いほうがいいと思う。

【板倉評価室長】
  御提案感謝する。

【伊藤座長】
  本日の会議をこれをもって終了する。

──  了  ──


(大臣官房政策課評価室)

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