大学における実践的な技術者教育のあり方に関する協力者会議(第4回) 議事要旨
1.日時
平成22年3月19日(金曜日)17時~19時
2.場所
文部科学省東館5階第3会議室
3.議題
- 「大学における実践的な技術者教育のあり方」(案)とりまとめ
- その他
4.出席者
委員
谷口委員(座長)、有信委員(座長代理)、内海委員、大場委員、岡本委員、谷口委員、柘植委員、野口委員、古田委員
文部科学省
加藤高等教育担当審議官、澤川専門教育課長、神田専門教育課企画官、神田専門教育課課長補佐
5.議事要旨
(1)開会
(2)事務局から配布資料の説明
(3)野口 WG主査より資料説明の補足
- 医学教育モデルコアカリキュラムは、今回策定していこうとしているコアカリとかなり重なるところがある。
- 技術の視点が断片的、体系だてられてない、実践的でない面があるので、これらを加味して工学の知識等を整理して、社会の多様なニーズに対応していくことが目的。
- 今まで若干教員や大学任せの工学教育内容だったが、今までの必要最小限ではなく、これからふさわしい技術者を考えての必要最低限(コア)の教育を整理して、必要不可欠なものを有機的に盛り込んでいくのがモデルコアカリキュラム。
- 医学では 3分の 2がコアカリ、
3分の 1は特色ある大学固有の選択カリキュラムが望ましいとしているが、医学と工学ではそのバランスが違うと思う。
- 医学でも、患者への対応すなわち人間的資質、道徳的能力は盛り込まれている。
- 大学のカリキュラムに盛り込まれてもすぐにはコアカリの成果がわからない。医学の方でも
2~ 3回卒業生を待ってこのコアカリを見直すということを視野に入れている。
- 参考資料 3( P31)を補足。表示上、創成能力や汎用的技能(紫色部分)は手前の次元に広げているが、本当は基礎的・分野横断的な科目(黄色)と分野での専門科目(水色)の上に三次元的にちりばめられるイメージ。このそれぞれががどうつながってどう役立つかということが分かるように体系立てていかないといけない。つまり、あらゆる点で動機付けが大事であり、それを大事にしないと
4年間意欲を持ち続けるのは難しい。
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朝日新聞の記事を紹介。専門高校生の方が、普通高校生よりも意欲的である。高専や商業の専門高校は、基礎は弱いが、専門教育はきっちりと教えられている。学生も、勉強が自分の将来にどう役立つかということが分かっている。
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資料 2-1( P6)モデルコアカリ策定方法について。
Webサイトにモデルコアカリの情報交換サイトを作って、このコアカリを作っていく 2年間の審議経過や中間の成果を載せて、できるだけ日本の幅広い大学に意見を求めて、それを基に作っていくとみんなが使いやすいコアカリにできるのではないかと思う。
(4)「背景」への議論
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「複合的に絡む」とあるが、技術者自体が専門、会社、役職によって変わってくる変化に適応できる技術者が求められる、という記述を入れた方がいいのではないか。
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そういう意味でも「即戦力」は危ない。基礎力が大事。
(5)「技術者について」への議論
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ビル・ゲイツでも昔は「パソコンメモリーは 64キロバイトもあれば十分だ」というような間違ったことを行っていた。技術者は、進化していく人種でないといけない。
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第 4期科学技術基本計画の検討において、科学・技術とイノベーションが言及されている。技術者の定義に「イノベーション」という言葉を入れてはどうか。「イノベーション」という言葉が必要。
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ハードからソフトへという記述が疑問。
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メカトロニクスも実はハード。ソフトも第二次産業をベースにしている。ハードからソフトへのシフトというのは、ハードの工数とソフトの工数(=労働力)比率が、ソフトの方が増加になっていることを指す。ソフトの重要性が産業の中で増してきている。第二次産業の第三次産業化。これがシフトの本質。
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グローバリゼーションという言葉はここでは不要。
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ハードもソフトも融合してしまって複雑な話になっている。ソフトが大事なのはそうだが、ソフトをちゃんとしようと思ったら、そのベースのハード(分解された部分に対する理解)が無いと、融合ができない。
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「ハードとソフトとの融合」というような表現がいいかもしれない。
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第 3回本会議資料
4の P16 を紹介。社会が求めている科学技術のスペクトルが広がっている。
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変化が早い中で対応していくためにはやはり基礎力が重要。
(6)「これからの技術者教育のありかた」への議論
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「技術業プロジェクトリーダーレベル」という言葉が切り出されているのに違和感がある。
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まず学士課程が重要である。
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「達成度」も、ミニマム・リクワイアメントという部分での達成度と、各大学が独自に設定した達成度とがある。ミニマム・リクワイアメントとして最低限これだけのことはやるべきだというような流れにした方がいいと思う。
AHELOでも試験問題の検討をやっていくと思うが、世界共通の基準に将来的にはなっていくだろうから、そのあたりと最終的に折り合っていくことを考えるべき。ミニマム・リクワイアメントの後のプラスアルファは各大学独自の達成度。我々の問題意識は、今の教育は我々が要求するミニマム・リクワイアメントを大学が満たしていないこと。
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3
分の 1を共通カリキュラムに入れると、それだけでも元のカリキュラムを切り出すことになる。現実問題、各大学は工学教育においてすでにこういう形で毎年工夫している。そこへこういう形でコアカリ等を出されると、入れる入れないの温度差が出てくる。認証評価を受けて淘汰されていくことになるのだろう。
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今までにあるような科目をそのまま組み込んでいっていいのか。物理的な時間は増やせないので、中身を工夫して変えていくことになるのだろう。
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企業の人と組むと「モデリング」が重視される。
- 今、教育がゆがんでいるのは、アドバンスの部分をあまりにも入れすぎていて、研究者的な要素が大きくなり、企業が求める能力ではなくて、基礎力が落ちているということ。アドバンスをもう少し削って、大学院でも基礎の延長のような教育をしてもいい。かなりいい教育になると思う。
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昔は 160単位ぐらい取ったものである。
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今は 124単位以上となっており、
130単位以上取る学生もいるが、予習復習もきっちりやらせるよう、たいていの場合キャップ制があるので、昔のようにはいかない。
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高校で物理を取らない学生も工学系に進む例もあるが、そういうのを前提にモデル・コア・カリキュラムを作ってはいけない。高校でやるべきこと、大学でやるべきことを分けて、高校で数学や理科を通らないと工学系に進めないようにしないといけないのではないか。そうすると工学に進む人がまた減るかもしれないが。企業でも、大学で工学基礎ができていないと教えなおしているようでは、外国に勝てない。
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アメリカでも、物理を受ける人が急速に減っていた時期があり、物理学会といろんな人が協力しあって、また上がり
60%ぐらいに戻した。
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分野によって給料が違うが、米国では今エンジニアは法律家よりも給料が高い。
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産業界ももっと協力しなければいけない。
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技術者以外は、就業は難しくなるだろう。
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モデル・コア・カリキュラムが普及しないと、早くやらないと、日本の力がどんどん落ちていく。留学生も来なくなる。
(7)「各論」への議論
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認証評価をきちんとやるべきである。
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大学教員になるときに、何の訓練も受けずに大学教員をやってはいけない。
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そろそろ大学院の授業は全面英語でもいいぐらいになってきているかもしれない。フランスでも英語の授業が増えた。韓国のソウル大学や
KAIST(韓国科学技術院)でも、英語でやる教員は給料が2割あがる。
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4.
( 2)のタイトルは「教育」を先にしてほしい。教育・研究・イノベーションの3つの組み合わせの割合は、学部と大学院で変わってくるだろう。大事なことだが、誤解を与えないよう記述の位置を工夫して欲しい。
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基礎も組み合わせ方しだいでは最先端になるという面白い記述も入れればどうか。
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モデル・コア・カリキュラムは経団連にもレビューしてもらい、意見交換したらどうだろうか。