大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会(第6回) 議事録

1.日時

平成21年10月16日(金曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省 東館3F 3F1特別会議室

3.議題

  1. 第一次報告書に関する報告
  2. 今後の進め方について
  3. その他

4.出席者

委員

中山座長、菱沼副座長、秋山委員、坂本委員、富野委員、西澤委員、前野委員、宮﨑委員、村嶋委員

文部科学省

新木医学教育課長、樋口課長補佐、小山田看護教育専門官

オブザーバー

野村看護課長(厚生労働省医政局)

野嶋佐由美意見発表者(高知女子大学看護学部長)

5.議事録

 【小山田看護教育専門官】それでは、時間になりましたので、早速ただいまより第6回大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところまたお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

初めに本日の事務局についてご紹介をさせていただきます。まず、これまで当検討会を担当させていただきました審議官の戸谷が異動となりまして、現在、加藤が審議官として担当させていただいておりますが、本日他用のために欠席をさせていただいております。事務局としては課長の新木と課長補佐の樋口が本日列席しております。私が看護教育専門官の小山田でございます。本日は、課長の新木よりご挨拶をさせていただきます。

【新木医学教育課長】委員の皆様方にはご多用のところ、本日はお集まりいただきましてありがとうございます。また、第一次報告の策定に当たりまして、今、先生方のお手元に届けております黄色いものですが、8月にこういう形でまとめていただきました。本当にこの一次報告の作成に当たりましてはありがとうございました。

さて、本日はこの一次報告でもご指摘を受けております看護教育の内容、またその質の保証の在り方、さらに最近の状況で申し上げますと、特に保助看法の改正など、看護教育をめぐって幾つかの動きもございました。こういうことを含めまして、今後、より高い看護教育を行うにはどうしたらいいのか、その質の保証方策はどうしたらいいのか、こういうことをご検討いただければと思いまして、また新たにといいますか、一次報告以降、最初の会として今日お願いした次第でございます。看護につきましては大変国民の方の期待も高い分野でございますし、また何かと教育については変革、見直しの時期ではあります。そういう意味で、先生方の忌憚のないご意見を伺いながら、より高い看護学教育、大学における大学らしい看護学教育ができるように、我々としても努力してまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】それでは、早速座長に議事の進行をお願いしたいのですが、本日はまたマイクシステムがいつもと違いまして、お話しいただくときに前のボタンを押していただき、終わったら切っていただくということでよろしくお願いいたします。

【中山座長】それでは、早速今日の議題に入りたいと思います。夏を挟みまして、夏前にはたくさん議論していただいたことを、小冊子に第一次報告としてまとめることができたのですが、第二、第三のまだ課題がございまして、皆様とともにこれに取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、今日は第一次報告の中で述べた今後の検討課題についてご検討いただいて、方向性を決めていきたいと思います。その前に事務局のほうから、今日の委員の出席状況の報告と配付資料の確認をお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】初めに委員の出欠状況ですが、ちょっとご覧のとおり、今回、もともと倉田委員、松尾委員、高田委員、佐藤委員、羽生田委員、横尾委員からご欠席というご連絡を頂戴しておりましたが、本日、急遽、小山委員、平澤委員のほうからも欠席とのご連絡を頂戴しております。また、本日は有識者として高知女子大学看護学部長の野嶋佐由美先生にご出席をいただいております。

【野嶋発表者】よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】先生には後ほど資料のご説明及び皆様との意見交換にご参加をいただくということになっております。続いて、配付資料の確認をさせていただきます。まず座席表がございまして、続いて会議次第が1枚あります。資料1として「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会第一次報告の概要」があります。資料2は「保健師助産師看護師法等の改正について」という1枚物です。資料3が「保健師教育に関する看護系大学意向調査について」ということで、これも1枚の資料になっています。資料4が「今後の検討課題について」という1枚物になります。資料5として「看護系大学におけるモデル・コア・カリキュラム導入に関する調査研究について」という資料がありまして、参考資料1で「中央教育審議会大学分科会大学院部会ワーキンググループの設置について」という題の資料があります。参考2として「厚生労働省における看護教育についての検討状況」という、これも1枚物での資料があります。そして、参考3として第5回の検討会の議事録がついております。一番下に、先ほど課長からも説明がありましたように、第一次報告の冊子を机上配布しております。落丁等ございましたらご連絡くださいませ。

【中山座長】ありがとうございました。資料、皆さんありましたか。

それでは、今日は最初の議題になっております第一次報告書に関する報告をお願いいたしまして、検討に入りたいと思います。小山田専門官のほうから資料1・2・3について説明をお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】では、第一次報告書に関する報告ということで、報告事項を資料3まで使いましてご報告をいたします。まず、第一次報告の概要というものを資料1としておつけしました。内容については先生方に何度もお目通しをいただきまして、ご了解いただいているとは思いますが、一応骨組みをもう一回確認をさせていただきます。まず検討の背景があり、看護学教育の課題、それから、今後の大学における看護系人材養成の在り方についてまとめまして、今後の検討課題ということで、本日の議題にかかわる3点をお出しいただくという形で、報告書をおまとめいただいております。内容については割愛いたしますが、この報告については8月24日に4年制の全看護系大学、それから、短大を対象にいたしまして、文部科学省において内容に関する説明会を開催いたしました。この報告書に関してはホームページ上でも掲載して、一般にも公開をしているという状況になっております。

続いて、資料2に参りますが、こちらももうご存じの方多いかと思いますが、前回、第5回の検討会が6月25日にありまして、そのすぐ後の7月15日に保健師助産師看護師法等が改正されました。これについては今後の看護系大学、ここでの検討にも大きな影響があるかと思いますので、改めてご説明を申し上げます。どのような改正があったかといいますと、1つは受験資格の改正ということで、保健師国家試験の受験資格が、これまで修業年限6カ月以上とされていたものが1年以上に延長になります。助産師の国家試験受験資格についても同様に、6カ月から1年に延長になります。看護師の国家試験の受験資格については、変更があるということではないのですが、これまで文部科学省において3年以上必要な学習を修めた者という中に、大学・短大・専修学校がみんな含まれておりましたが、その中の大学について新たに1号設けまして、保助看法の中に書かれたという改正がございました。そして、2番目にもう一つ、保健師、助産師、看護師及び准看護師の研修等ということで、保健師助産師看護師法と看護師等の人材確保の促進に関する法律の中に、卒後の研修の努力義務というものが規定されまして、看護職本人だけではなく、国、病院等の開設者等々の努力義務が加わったという改正がございました。これらの改正法は平成22年4月1日から、施行することになっております。

続いて、資料3の説明に移りますが、資料3は保健師教育に関する看護系大学(4年制)の意向調査についてということで、目的を書いてありますが、本調査は大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会第一次報告において、保健師教育の在り方を大学の選択により柔軟に設計できることが提示されたことを踏まえ、今後の大学の対応に関する現在の意向を把握し、学士課程における看護学教育の在り方の検討の基礎資料とすることを目的として実施をいたしました。調査は文部科学大臣が指定している看護師を養成する大学、178大学180課程を対象といたしまして、大学に対する説明会の日に、つまり8月24日にお配りして、9月30日を締め切りとしてご回答をいただいたものです。あいにくまだ全数集まっておりませんで、昨日までの時点で回収数が175、回収率が97.2%という形の結果をお出ししております。質問は、まず大きくは問1の「今後の学士課程における保健師養成課程の在り方について」ということで、1番~5番までの選択肢の中から選んでいただく形でご回答をいただきました。引き続き学士課程で全員保健師は必修とするとご回答になった大学が28、希望学生による選択で保健師の教育を行うという大学が23、学士課程での養成を中止するとお答えになった大学は3、今後検討予定であるという大学が108、その他この1番~4番を複数選択している大学が13あったという結果になりました。選択による保健師教育課程を実施するという大学に対して、どれだけの人数が選択できるような仕組みにするのかということを聞いた結果が、隣の選択可能人数というところで示してありますが、未定が18で全体の学生数の3分の1程度の大学が4、全体の半数程度というところが5という形になっております。この数につきましては、2番を選択したところ、それから、5番を選択したところが回答しておりますので、若干数の整合性が合ってないように見えますが、全回答を集計した結果になっています。問2は問1で「学士課程での養成を中止する」と答えた大学に対して、学士課程をやめた場合に、今後どのような計画をお持ちですかということを尋ねました。そうしたところ、平成26年度より修士課程で保健師の養成を開始するとお答えになった大学が2、未定であるという大学が1ありました。問3として、自由記載の形で「保健師、助産師教育に関する検討状況について」教えてくださいというふうにして伺いまして、かなり大まかなまとめ方ですが、下記のようなまとまりになりました。まず方針が未定で現在とにかく検討を始めたところであるというところが34大学、それから、まだこれからいろいろ保助看法も変わって、いろんなところで検討がなされていますので、そういう状況も踏まえてこれから検討するというところが60大学、学部継続の方向で検討を行っているというところが11大学ありました。保健師教育については、選択性で検討しているというところが14、専攻科で検討中が3、大学院で検討中が4という回答でした。助産師については、現在既に大学院に移っているという回答はありましたが、そこはちょっと割愛しまして、助産師教育を学部継続の方針で検討中が6、学部教育修了後に何らかの形で教育を行いたいというところが2、専攻科で検討しているところが6、大学院で検討中が7、これから学部で助産師教育を開始予定であるというところが1ありました。また、検討を行っていない、もしくは今回の報告を受けて検討を中断しているというご回答が3ありました。また、学生確保の観点から1大学だけで導入するとかいう判断が難しいということで、行政として方針を示していただきたいというようなご意見が2つあったというところです。これは1つの大学で複数の回答をされたものも入っております。また、別途、全数回収できましたら、次回にもう一度ご説明をしたいと思っております。一応、議題1の報告に関しては以上です。

【中山座長】ありがとうございました。資料1~資料3につきまして説明をいただいたところですが、何かご質問ございますか。資料3は当然180課程も対象にしていますので、まだ完成年度を迎えてないところも、対象になって答えをいただいていると考えてよろしいですね。

【小山田看護教育専門官】はい。

【菱沼副座長】済みません、教えていただきたいのですが、完成年度を迎えてていないところも、これによってカリキュラムを変えるということは、4年経ってなくてもあり得るということでよろしいのですか。

【小山田看護教育専門官】はい、そこについては制度が大きく変わりましたので、それを踏まえて検討するということで、可能性はあると認識しております。

【中山座長】どうぞ。

【村嶋委員】いえいえ。

【中山座長】違いますか、はい。他に質問ございますか。よろしいですか。もし何かありましたら、戻っても構いませんので、進めていきたいと思います。終わりのほうになりますと、いつも時間が足りなくなりますので、先に進めていきたいと思います。それでは、続いて議題2になりますが、議題2のほうは「今後の進め方について」という形になっております。このことにつきましても事務局のほうから説明いただきまして、皆さんに検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】それでは、今後の進め方についてということで、これについては資料4・5、それから、参考資料1・2を使ってご説明をさせていただきます。まず資料4から入らせていただきますが、先ほど1枚目の第一次報告の概要のところにもありましたように、第一次報告の中で今後の検討課題というものが示されておりまして、また、昨今の大学教育に関する議論も踏まえまして、今後、この検討会で以下のような検討課題について、議論をいただけないものかということで、案を作ってお出ししております。1つが「「新たな看護学基礎カリキュラム」の在り方について」ということで、これまで看護師・保健師が必修であった大学のカリキュラムが、保健師が必修では必ずしもなくなった中で、大学教育として共通で持っていくべき内容について、再度検討いただきたいという課題が残っておりました。それから、2番として「看護学教育の質を保証する分野別評価について」ということで、これは大学教育の全体の検討の中で、今、課題となっておりますので、これについてもこちらの検討会でも取り上げていただきたいということで挙げております。そして、3番目が「今後の保健師教育・助産師教育の内容やその質の保証の在り方について」ということと、4番目に「看護系大学院における高度専門職業人養成の具体的な在り方について」これも検討会の報告の中で課題として明示されていたものです。その進め方についてなのですが、1番・2番については、これから資料5でご説明いただきます文部科学省の委託事業で調査研究を始めておりますので、それを参考にしながらご検討いただけたらと考えております。また、3及び4については、1及び2、コアとなる看護学基礎カリキュラムの在り方というものが決まった段階で、それから、今、同時に動いております中央教育審議会大学分科会大学院部会医療系ワーキングにおける検討ですとか、厚生労働省における保健師助産師看護師それぞれの個別具体的な教育内容の検討といったものが、今、同時に動いておりますので、そうした状況も踏まえながら検討を行っていただけたらと考えております。その中で、中央教育審議会大学分科会大学院部会医療系ワーキングにおける検討というものについては、参考1としてまとめておりますので、私どもの樋口から補足の説明をさせていただきたいと思います。

【中山座長】はい、分かりました。それでは、よろしくお願いいたします。

【樋口課長補佐】参考資料1、「参考1」と書いておりますものをご説明申し上げます。先ほどご説明ありましたが、関連で、現在、中央教育審議会においては昨年9月来「中長期的な大学教育の在り方」という議論を、中央教育審議会の大学に係る議論の中核として検討してまいりました。これまで全体として二度にわたる報告をしておるわけでございますが、この申し上げました大学院のワーキンググループといいますのは、去る8月にまとまりましたこの2枚目以降、別紙として掲げております第2回目の報告、去る8月26日の中央教育審議会大学分科会と書いてありますが、その報告に基づいて設置されているものでございます。少しその中身についてご説明申し上げます。その前に実はこの大学院教育、この別紙を見ていただきますと大学院教育におけるこれまでの経緯というものから書き出してあるわけでございまして、この1ページの真ん中辺りの「こうした状況下で、平成17年9月には、大学院教育の実質化、国際的通用性の確保や信頼性の向上を目指して、「新時代の大学院教育(答申)」を取りまとめた」というところがございます。少しこの中身に立ち入ってご説明しなければいけません関係上、今日お配りのファイルに綴っている机上資料の8にその答申がございます。その詳細をご説明するものではございませんが、そこの目次をあけていただきたいと思いますが、大学院教育というものに関しましては、これまで例えば平成3年以来、大学院重点化という方針もございまして、大学院に関しては量的拡大が進み、また社会における大学院に係るニーズというものも非常に多様、あるいはかなり求められるようになってきている。21世紀に入って知識基盤社会と言われる社会が到来する中で、大学院教育というものの役割というものが、より一層求められるということがあるわけでございますが、他方で今の大学院の教育目的あるいは教育体制というものが、必ずしもそれに明確ではないというところから、そうしたニーズに対応し切れてないのではないかという声もございまして、そうしたことから、平成17年9月までかけましてこの答申をまとめたものです。項目といたしましては、この目次に掲げています大きな柱は大学院教育の実質化と、その大学院の国際的な通用性の確保向上ということでございました。特に大学院教育の実質化ということに関しましては、様々な課題というものをコースワークという形で、教育を体系的に実施していくこと、あるいは博士というものの質も確保しつつ、その円滑な博士という学位の授与を進めること、あるいは産業界等との連携を深めること、若手教員の研究環境等を整備すること、それから、様々な多様性・流動性というものに対応すること、このようなことを目的としておるわけでございます。なお、大学院教育のこの答申に当たりましては、実は専門分野別に3つのワーキンググループを作っておりまして、医療系のワーキングにおける議論というものがその当時なされました。大きなそのときの議論というものは、今の医療系大学院というものを、研究者養成というものを主たる目的とするものと、高度な研究能力を持ちつつも、その高度な医療系人材というものを目的とするもの、この主たる目的によってその目的と教育内容というものを明確化しつつ、その専攻の中で複数の教育課題というものが、双方リンクしながら進めていく必要があるというような記載でございました。実はこうした答申に基づいて文部科学省といたしましては、様々な大学院に関する施策をまとめた「大学院教育振興施策要綱」というものをまとめております。それは実は平成22年までの計画ではございましたが、その間、大学院の答申、あるいは大学院の振興施策要綱策定から3年あまりが経過しまして、様々な実質化の取組というものが着実に進む一方で、例えば志願者の減少、あるいは修了者の就職問題、そんな様々な課題が顕在化していて、そうしたものの進捗状況というものを検証しつつ、その先の振興の在り方というものを考える必要があるということから、大学院の議論というものがなされることになりまして、その際、様々な専攻の違いがありますので、実は人社系、それから、理工農系、医療系、あるいは専門職業人養成、この4つのワーキンググループを作って、その議論を行うこととしたところでございます。資料の参考1のほうに帰っていただきますと、それぞれのワーキンググループの構成が出ております。このうちの医療系ワーキングにつきましては、去る10月1日に第1回目の開催を行いまして、国際医療センターの桐野高明先生を座長とし、菱沼先生にもこの会にご参画をいただいて、会をスタートしたところです。主たる議論といたしましては大学院振興、これまで進めてきた大学院教育の実質化の取組、各大学の取組というものを検証しつつ、しかるべきこの振興の在り方というものを検討するということ、それから、大学院というものの質を踏まえた量的規模も含めた今後の大学院の在り方というものを、検討するということが検討課題でございまして、このワーキンググループは本年度いっぱい、月1回のペースで議論をしていくということになってございます。このワーキンググループまだ始まったばかりではございますが、このような経緯で始められたということを経過報告いたします。以上です。

【中山座長】ありがとうございました。何か今のご説明で何かもう少しこの辺は詳しくということがありますか。特にないようでしたら先に進みたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

【小山田看護教育専門官】では、引き続きましてもう一つ、私どもの検討会と並行して私どもが参考にしていきたいと考えております、厚生労働省における保健師・助産師・看護師の教育に関する検討状況につきまして、参考資料2を野村看護課長よりご説明いただきたいと思います。お願いいたします。

【野村看護課長】それでは、参考2の資料でご説明をいたします。厚生労働省におきましても看護教育について検討会を設けて、この4月28日から検討を行っております。その検討会の名称は「看護教育の内容と方法に関する検討会」ということで、現在までに3回開催しております。3回目が7月23日でしたが、この検討会での主な検討課題はここに書いてあります1)~4)まででございます。今まで開催した検討の3回の中で行ったことは、この1)に関することが殆どでございます。1)は「免許取得前に学ぶべき事項の整理と具体的な教育内容の見直し」ということで、どのような能力を習得すべきかということや、もう一つ、厚生労働省で並行して行っております、新人看護職員の研修の検討会も並行して行っておりますもので、新人看護職員研修と基礎教育での整合性、役割分担、そういったものについても意識をして、基礎教育ではどこまで教育をすべきなのかといった議論も出てまいっております。そういったところの議論が3回行われたわけですが、具体的な詰めをしていこうということで、それ以降は下にありますが、平成21年10月からワーキンググループを設置いたしまして、ワーキンググループのほうで詳細な具体的議論を進めておるところでございます。このワーキンググループは非公開でやっております。それから、もう一つが上の段にありますが、本体の検討会の4)「保健師・助産師教育のあり方」という点につきましては、本来ですと4番目に検討していく予定でしたが、法律改正、保助看法の改正がありまして、受験資格の教育期間の変更がございましたので、保健師・助産師の教育のあり方については、それを受けた検討ということで、ワーキンググループを同じく10月から設置しております。保健師ワーキングと助産師ワーキングとそれぞれ別に設置をして、それぞれの専門家による議論を開始したところです。ワーキンググループについてまだ第1回しか開催をしておりませんので、進んではおりませんが、検討課題としては保健師・助産師の課題として、それぞれの免許取得前に学ぶべき教育の内容をどう充実させていくかということと、それから、実習については必要な実習内容について検討を行うという課題を設けて具体的な検討に入っていこうとしているところでございます。私からの説明は以上でございます。

【中山座長】ありがとうございました。ここで質問何かありますか、いいですか。それでは、小山田専門官、次へ行きますのでお願いします。

【小山田看護教育専門官】今、資料参考1・2を使って、私どもがご提案しております課題の3と4に関連する事項のご説明をいただきました。そういうことで、私どもの案としては検討課題の3番・4番につきましては、これらの検討状況を見ながら随時検討していくというところで、当面は検討課題の1・2についてご検討をいただけないものかということで考えておりまして、その1・2に関連するところで、先ほども申し上げたように、看護系大学におけるモデル・コア・カリキュラム導入に関する調査研究というものを、委託事業としてやっておりますので、その委託事業の代表者でいらっしゃいます、野嶋先生に今日はお越しいただきまして、その委託事業の調査研究計画についてご説明を頂戴したいと思います。

【野嶋発表者】ご紹介にあずかりました高知女子大学の野嶋です。

「看護系大学におけるモデル・コア・カリキュラム導入に関する調査研究」をお引き受けしております。この本調査は日本看護系大学協議会高等教育行政対策委員会、看護学教育評価委員会との連携で行っておりますし、また、日本看護系大学協議会の会員校との協力の中で実施するものです。つまりこれは日本の中での教育者あるいは様々な方たち、この中では臨床の方たちにも参加していただき、評価をしていただきながら、作成していくということを意図しております。モデル・コア・カリキュラム、この委員会の前提となる考え方といたしましては3つ挙げておりまして学士課程における看護職者に共通する看護学の基礎を教授するモデル・コア・カリキュラムを構築し、その上で選択制として保健師・助産師教育も展開可能な教育課程を編成するということをまず大きな前提としております。その上で各大学がそれぞれの大学の理念、教育目標によって学士課程で保健師や助産師の受験資格を得る教育課程を、選択できるモデル・コア・カリキュラムを構築することを考えております。また「学士課程における保健師教育」「学士課程における助産師教育」を選択しなかった学生さんたちが、将来どのようなキャリア発達をするかということも、考えていくようなことを前提としております。学士課程における看護の中でコア・カリキュラムについて検討するのは、実はこれは第2回目でございまして、平成14年・平成16年の時点でモデル・コア・カリキュラムについて検討を行いました。その結果が資料、別紙「学士課程で養成される看護実践能力の大項目・細項目」、これは平成14年から平成16年にかけて看護系大学協議会の関連している者たちが考えた、日本の中での第一回目のモデル・コア・カリキュラムと考えております。これを受けてそれぞれの大学が必修科目から選択科目を設置するなど、多様な教育課程ができるような形での改革をしてまいりました。そして、現在、またコア・カリキュラムを考えるという時期になっております。私たちといたしましては、モデル・コア・カリキュラムの目標のところなのですが、モデル・コア・カリキュラムを開発する、そして、コア・カリキュラムの導入に向けた教育環境の検討をする、モデル・コア・カリキュラムの検証方法の開発をするという、3つの目的を置いております。今期はコア・カリキュラムに関しましては、第2期の改革ということですので、まずは平成16年に構築いたしましたコア・カリキュラム、学士課程で育成する19の看護実践能力と卒業達成目標を土台としながら、アメリカの看護系大学協議会の「The Essentials of Baccalaureate Education for Professional Nursing Practice」、これとICN(国際看護師協会)で出されているものを参考にしながら、モデル・コア・カリキュラムの開発をしていきたいと思っております。2年間ですが、私たちとしては何回かフォーカスグループを作りながら、各臨床のそれぞれの臨床の教員、あるいは臨床の中での管理者、あるいは教育者などを交えて、検討していきたいと思っております。以上のような形で、目標1、目標2、目標3という形を達成していければということを願っております。以上です。

【中山座長】いいでしょうか。

【小山田看護教育専門官】ありがとうございました。計画については資料5に表裏で2枚詳述されておりますので、お目通しいただきたいのですが、このような委託の研究をしていただくということで、この進行状況に合わせて、それを素材にしながらこの検討会で新たな看護学基礎カリキュラムというものについて、またその在り方についてであるとか評価の仕方についてということを、ご検討を随時進めていっていただいてはいかがかということで、「今後の検討スケジュール」というものを、ご提案しております。いずれにしろ、カリキュラムの改正等も目指さなくてはいけないかと思いますので、一応目処としては平成22年度中には「新たな看護学基礎カリキュラムの在り方について」ということについては、結果をまとめるという目標を立てまして、今後、この調査研究の進捗状況に合わせて二、三カ月に1回程度、検討会を開催して検討をいただきたいと考えております。先ほどの野嶋先生の調査のご予定の中で、まず学士課程教育においてそのコアとなる能力の明確化というものが、ご予定では22年3月ごろまでに出るということになっております。そして、続いてそれに基づいてモデル・コア・カリキュラムの開発というものが、8月ごろまでに行われる予定だということ。それから、そのモデル・コア・カリキュラム導入における課題や質保証システムの検討ということを、9月~3月までの間になさるという調査計画を、お出しいただいておりますので、これに合わせて随時検討をお進めいただけないかと考えております。説明は以上でございます。

【中山座長】ありがとうございました。幾つかの質問もあるかと思いますが、一応これで今後の進め方で、皆様のほうにお出しした資料、それから、参考資料、全体の計画につきましてご説明をいただいたのですが、他に質問ありますか。ないようでしたら、今日の一番の時間を使って検討しなければならないことになりますが、(2)の「今後の進め方」ということです。資料4に出させていただいています今後の検討課題も含めまして、討論していきたいと思いますが、何か全体的に感想その他、ありますでしょうか。今日は最初に一言ずつ言っていただかないと、ウォーミングアップができてないような感じもいたしますので、先生方、何かありましたらどうぞご発言ください。

【坂本委員】調査のことでちょっとお聞きしたいのですが、モデル・コア・カリキュラムというのは、例えばこの黄色の中間まとめがございますよね。これですけど、中間まとめの一番最後に「大学における「看護学基礎カリキュラム」の見直しについて」というところの中で、モデル・コア・カリキュラムというのはどの部分を指すのでしょうか。例えば下の(報告書に基づく保健師養成見直しイメージ)の中の「看護学基礎カリキュラム」のことを指すのでしょうか。それとも「看護師教育」は外して「保健師・助産師・看護師に共通する看護学の基礎」のところを指すのでしょうか。

【野嶋発表者】モデル・コア・カリキュラムに関しましては、私たち自身は3職に共通するコアとなるものを構築したものが、モデル・コア・カリキュラムだと思っております。したがって、多分、この図を作成された方と話し合っているわけではないのですが、保健師・助産師・看護師に共通する看護学の基盤と、多分それだけではなくて、この図での看護師教育というのもこの中に入っているのだと思っています。

【中山座長】はい、どうぞ。

【坂本委員】ということは、「看護学基礎カリキュラム」という点線で囲われたところというふうに理解させていただいてよろしいのですね。

【野嶋発表者】その中のコアになるものということで、全部全く一緒かどうかということは別だと思いますけど。

【中山座長】坂本委員、いいですか。

【坂本委員】はい。

【中山座長】今の説明だと下の図面(報告書に基づく保健師養成見直しイメージ)のほうの下のところの「看護基礎カリキュラム」の点線のところが中心になるのですが、看護師教育がどうなるかというのは、未定だというふうに考えていいんですかね。こっち方の「保健師・助産師・看護師に共通する看護学の基礎」というところは確実にそのコアと考えますが、看護師教育のところについてはどのぐらい踏み込むのかというのは、未定ということで、野嶋先生、いいのでしょうか。

【野嶋発表者】はい。

【中山座長】坂本委員、それでいいですか。

【坂本委員】そうですが、そうすると、看護師教育はモデル・コア・カリキュラムの中には含まれないということですね。

【野嶋発表者】看護師教育は看護学基礎教育の中の中心的な部分ですので、当然入っているとは思います。すべて入るかどうかということに関しましては、今後の課題だと思っております。

【坂本委員】すべて入るかどうかというのは、どこでどういうふうに決めていくのかちょっと分かりませんが、考え方は分かりました。もう一点よろしいですか。

【中山座長】どうぞお願いします。

【坂本委員】看護大学の中で教育をしていくときには、やはり教養的なものをベースに入れていくべきということをこれまで強く言われていた先生方もいて、私も看護大学に籍を置く者として賛同してきたところです。今回の事業の実施体制は野嶋先生をリーダーとし、ここに示されている先生方がメンバーとなっており、このメンバー以外にも看護管理者や医学教育のモデル・コア・カリキュラムの専門家からのヒアリングもされていると書かれていますが、少し純粋な教育的なことの分野で活躍されている方たちを入れていただくと、少し看護という視点だけではなくて、もう少し大学人としての要素が入るんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

【野嶋発表者】ありがとうございました。16年度の中に、前提の中には学士課程の中での教養教育の重要さというのは出ておりますが、この表の中には明確な形では出ておりません。そして、エッセンシャルの中での第1エッセンシャルでは最も重要な根幹になるものとして教養教育を位置づけております。そして、日本の中でも現時点では学士力というものを重視しておりますので、当然、坂本先生のご指摘はとても重要なご指摘だと思っております。また、その方たちにもヒアリングをしながら、進めさせていただきたいと思います。

【中山座長】よろしいですか。

【坂本委員】ヒアリングではなくて、メインのメンバーの中に入れていただいたらどうでしょうかということです。

【野嶋発表者】メインの中に関しましては、一応、今の段階では申請して終わっておりますので、そういう一定の縛りもありますので、また、様々な意見をお伺いしながら進めさせていただきたいと思います。

【坂本委員】分かりました。

【中山座長】多分、坂本委員の議論の中の問題は、この前半でずっとやってきた学士課程がすべて看護学の教育、あるいは看護専門職の養成となるのか、学士課程のかなりの時間を各大学のユニークさも残して、大学の学士課程の教育という形になり、その中のある部分を看護学の教育、あるいは専門職業人の育成ということにするのかと、その辺の議論の問題ではないかと思いますが、野嶋先生たちのこのプロジェクトに託されているのは、看護学あるいは看護専門職育成のコアになるものを作るということに、限局していると考えていいのですね。

【野嶋発表者】はい、そのように思っております。ただ、本当にこれから先のことを考えますと、教養教育というのは十分大事だし、学士力というのも反映させる形で、能力として培うような形のものは、考えていかないといけないと思っております。

【中山座長】はい、どうぞ。

【村嶋委員】やっぱり分からないので、もうちょっと明確にしていただきたいのですが、私は前の会議のときに「保助看の最大公約数ですね」っと聞いたのです。最小公倍数じゃなくて。ですから、最大公約数ということは、この看護学基礎カリキュラムの、この3つの中の点線の、そこに共通する看護学の基礎か、プラス看護師教育か、少なくともこの点線の中ですねということをお伺いしたい。もう一度確認をしたい。

【中山座長】点線の中ですねということを確認したいというのですけど、野嶋先生、いかがでしょうか。

【野嶋発表者】そうですね、ごめんなさい、私は初めて参加しているので、点線の中というのと外というのはよく分からないところもあります。ただ、モデル・コア・カリキュラムを履修することによって、具体的に言えば、それがそのまま国家試験に繋がるかということの質問でしょうか。

【村嶋委員】というか、これから各大学が文部科学省に、こういう専門職を教育をするという指定を受けなければいけませんね。

【野嶋発表者】指定。

【村嶋委員】指定です。例えば看護師教育を行いますという指定を受けるときに、少なくともそのときにカリキュラムの中身、こういう科目を教えていますと言うわけですが、そのときにそのコア・カリキュラムでカバーできる範囲は、この点線の中の左の四角のみなのか、それとも右のプラス「看護師教育」のところに入っていますねという、その点線の中ですねということをもう一度確認をしたい。要するにここの赤で囲ってあるような保健師教育や助産師教育のところまでは、含まれませんねということを確認をしたい。もちろんベースであることは私ももちろん分かりますが、ただ、それだけで指定がとれるような、そんなことにはなりませんねということです。

【中山座長】野嶋先生がお答え……。これまだ少し議論を詰めるところだと思うのですが、皆さんご存じのように、この平成16年のつけていただいた資料ですが、これを作るときにも、看護学の教育そのものが養成所指定規則との整合性の問題でかなり縛りがあるから、コア・カリキュラムといってもどういう内容を教えるかということで縛らないで、到達目標にし、平成16年のができたと私は認識しています。ですから、このモデル・コア・カリキュラムというのは、どういう形で出るのかということも、まだそんなに明確でないと考えていいのではないかと思うのですが、野嶋先生、その辺はいかがでしょうか。

【野嶋発表者】申しわけないのですが、もう少しお時間をいただければと思います。

【村嶋委員】ただ、やっぱりそれは最初に明確にしていただかないといけないと思います。平成16年の文科省の報告書も、最初はそうやって始まりました。ある時、これが保助看全部を縛り始めました。大学では、保健師は全員必修だということを、この平成16年の報告書1本がずっと縛ってきたのです。そのことが保健師の質の保証に対して、問題起こしてきておりますので、この点線の範囲内であるということを、やっぱり明確に再度確認をしていただきたいと思います。でなければ、同じ誤謬を犯すと危惧します。

【中山座長】どうぞ。

【富野委員】結局、今後、我々の検討は資料4の1、(1)・(2)・(3)・(4)の(1)番・(2)番を最初にやって、その後、(3)番・(4)番のほうへいこうというのが基本線ですよね。そうすると、先ほど樋口課長補佐も言われたのですが、(1)番・(2)番の中のコア・カリキュラムのことについて、我々が検討するというときには、今、先生が行っている委託ですか、この資料5の調査研究をこの委員会は評価するための動きをする委員会なのか、あるいは一緒に合同でコア・カリキュラムを実際に作るために、我々の意見も聞きたいというふうな方向へ持っていくのでしょうか。つまりでき上がってきたコア・カリキュラムについて、今、村嶋先生言われたようにここだけの範囲にするかとか、もっと広いところまで持っていくのかというのをみんなで評価して、それを変えていただくための委員会なのか、そういう方向づけが非常に大事だと思います。

【中山座長】分かりました。コア・カリキュラムのこのプロジェクト、調査研究とこの……。

【富野委員】そうです、そうです。

【中山座長】検討会との関係ですね。

【富野委員】関係です、はい。

【中山座長】これがもう一つ課題として残っている。

【富野委員】はい。

【中山座長】菱沼委員、何かありそうですね、どうぞ。違うことですか。

【菱沼副座長】はい、私の理解では今般大学教育で看護師育成をするという1条項が独立したということで、今までは1本だったんですね、看護師教育の。でも、それで保助看法の指定規則というのでみんなが縛られていた。縛られてという表現悪いのですが、それによってみんなが一緒にやってきたと。それが今回1項別にできたので、その1条に関してはこういうもので考えるということが可能になったのだと思うんですね。その可能になったものを大学教育では作るということの理解でよろしいのでしょうか。

【中山座長】今までの看護系大学協議会も出していましたが、要するに養成所指定規則から大学のカリキュラムは、外してもらいたいということの問題ですね。

【菱沼副座長】はい。

【中山座長】はい、そのことの位置づけになるのかということの疑問も出てきていますが、新木課長、何かありますか。

【新木医学教育課長】前半のほうのご意見のこの会議と野嶋先生の会議の関係ですが、形式的には全く別の組織体です。ただ、我々といたしましては、野嶋先生の調査研究が実質的なこの検討のワーキンググループというと失礼ですが、そのぐらいここに貢献していただければというような期待は持っておりますが、また、その関係含めてこれから野嶋先生とご相談をさせていただければと思います。ここでのご意見をおそらく野嶋先生も十分ご勘案の上、また進めていただけるのではないかなと期待しております。それから、後半のほうのご質問ですが、制度的には大学についての国家試験資格要件として、どういう基準にするのかというのは、まさにこれから検討していく分野であります。大学がこれだけ増えてきている中で、いろんな大学がいいところから非常にいろんな大学、バリエーションある中で、それを全部どうやったら一定水準以上にできるのか、その一番合理的な方法をどうするのかというのが、まさにここでご議論をいただきたいものですし、そのときには、もちろん今までの指定要件方式で、行くのかどうかということも含めてでありますが、制度全体を、180大学が関係する話ですので、少しやはり詰めた議論というか、慎重なご議論もいただく必要があろうと思っておりますが、いずれにしろ今後本当に大学らしい看護学教育の質の担保と、何で保証していくのかということをご議論いただきたいなと、我々、事務局としては思ってございます。

【中山座長】富野先生、よろしいですか。

【富野委員】はい。

【中山座長】はい、秋山さん、どうぞ。

【秋山委員】先ほど平成16年のときに、養成所の指定規則から離れて大学として独自に考えを進めた結果、これが出てきたということが先ほどちょっとありましたか。

【中山座長】そこのときには、大学のほうで外したいというのはあったのですが、その議論はしていなくて、要するにこれを科目にまでしますと、養成所指定規則との関係とか様々なことが出てくるので、むしろ到達目標と能力ということにすれば、具体的なカリキュラムとの問題がもう少し自由になれるのではないかと、そういう意味では、カリキュラムの中で、あまり大学が縛られたくないということで、こういう形になったということを、私はワーキンググループの1メンバーで入っているのですが、そのプロセスの中ではそんな議論があったことを、すごく印象深く残っています。

【秋山委員】非常に単純な疑問なのですが、やはり指定規則があることは厳然とあるわけですよね。

【中山座長】あります。

【秋山委員】そことの兼ね合いも含めながら、看護系大学としてのモデル・コア・カリキュラムについて、やはりきちんとここで示すために、この調査が行われるわけですよね。

【中山座長】小山田専門官、どうぞ。

【小山田看護教育専門官】この調査研究はあくまでは指定規則とは一旦離れたところでの、大学としての看護学教育のコアとはどんなものかという議論をしますので、これができ上がって、それから、その実現可能性であったり、質の評価であったり、そういうことも含めて調査研究していただきます。そうしたものが出揃った段階では、大学教育の質の担保の仕方は何が望ましいのか、ということで、改めて指定規則との関係なども、議論していくことになるのではないかと思っております。

【秋山委員】今その関係は分かりました。それで先ほどからこの報告書の一番後ろのページの四角の中か、点線の中か、吹き出しをどうするのかという話になっていますけど、私としては「保健師・助産師・看護師に共通する看護学の基礎」プラス「看護師教育」の、そこの吹き出しの一番上の「医療の高度化や看護ニーズの多様化等に対応するため」に、やはり質の高い大学教育としての看護教育が、検討されていくべきであるというのが、かなり議論されてここの文章が出てきているので、そこの辺はどのぐらい意識をされて調査になるのかなと、そこがもう少し伺いたいなと。この図式に関しては今日急に聞かれて、どうなのかというのはとても難しいと思いますが、この一番上の「医療の高度化や看護ニーズの多様化に対応する」ということは、最初の、今までの会議の大前提の中で来ていますので、その辺をかなり意識されているのかどうかというのは、ちょっとやっぱり気になるところです。

【野嶋発表者】ありがとうございます。そもそも平成16年のコア・カリができた時点でも、国民に対して何を担保できるのか、この医療の状況の中で何が担保できるのかということを随分検討いたした結果です。そして、最も第1に挙げているのはヒューマンケアの基盤ということで、そこでは倫理的実践とかいうことも考えております。そういう意味では、そもそも平成16年にできた時点でも、社会に対してどういうことで、必ずしもあまりライセンスということにはこだわらずに、コアを考えるということでやってきました。そして、その結果としてライセンスにも繋がっていくという考え方で、今回、平成16年から今回に至って、もちろん様々な社会的状況も変わっております。諸外国でも変化をし、エッセンシャルも変えておりますし、私たち自身も国民に対しての説明責任だとか、あるいは高度医療でチーム医療の中での役割だとかいうあたりも、非常にこれから先、意識をしていかないといけないし、また、もちろん平成16年のときもそうなのですが、エビデンス・ベースト・プラクティスという考え方も当然入ってはいますが、まだそれが明確な形では具現化されていないというところもあります。大学の学士課程の中での看護職の養成といたしましては、非常にエビデンス・ベースト・プラクティスだとか、あるいは説明責任だとか、チーム医療だとか、学士力だとかを、重視していきたいと思っております。まだ最後まで行っておりませんので、具体的なところまではお話しできないのですが、姿勢としてはそのようなことを考えております。

【中山座長】よろしいでしょうか、秋山委員。はい、どうぞ。

【坂本委員】この前のチーム医療の推進に関する検討会で、あるドクターから毎年一万数千人の看護の大学生がもう卒業しているので、大変期待しているという内容のお話がありました。だから、モデル・コア・カリキュラムは、単に指定規則に定められている看護師の免許をとるための科目だけではなく、やはり学士課程として教養や学問的なものをベースにして、大学での看護師教育ということで今求められているものを作っていただきたいなと思います。そういう意味では、先ほどお願いしたとおり、看護管理者においてのヒアリングとか、それから、医師等の仲間、医療職の関係者に対してのヒアリングとか、それから、根幹になる教育者に対するヒアリングは、やはり大切にしていただきたいと思います。

【野嶋発表者】ありがとうございます。

【中山座長】ありがとうございました。他に何かご意見ございますか。はい、村嶋委員、どうぞ。

【村嶋委員】1つはスピードですが、モデル・コア・カリキュラムができた段階で、一度発表にはなるのだと思うのですが、この大きな変革の時代に、そして、平成16年のベースもあるのに、22年度いっぱいかかるというのはちょっと遅いと思います。というのは、資料1・2にもありますように、いろんな大学がかなり迷っている最中です。ですから、早く出していただければ、その大学の迷いとか悩みも軽減されると思います。早く方針を出していただきたいと思います。

【中山座長】という希望だそうですが・・・。

【村嶋委員】この資料5のほうに目標2と目標3があるということなのですが、目標1のほうを早めに済ませるとか、これだけ人数がいらっしゃいますので、もうちょっと手分けをしてやることもできるのではないでしょうか。目標2と目標3は同時並行でできると思います。看護系大学協議会には看護学教育評価機関検討委員会の蓄積もあり、米国に行った蓄積もありますので、ゼロからではないということを踏まえられて、目標1と目標2・3は同時並行でできるのではないかと思います。大変大事な事項ですので、お忙しいと思いますが、ぜひ早くに結果をいただきたいと思っております。

【中山座長】大学全体の問題にはなりますので、スピードだけではなくて、質の高いものということも狙われていくと思いますが、180課程の質をどういうふうに保証していくのかということの1つの在り方として、このモデル・コア・カリキュラム、もう一つとしては質保証の認証評価の問題とこの2つが多分両車輪になってこの検討会でも、検討していただくことになるのだと思います。村嶋委員としてはモデル・コアのほうもできるだけスピードアップして、やってもらいたいというご要望ですので、野嶋先生、聞いておいていただければと思いますが。

【野嶋発表者】はい。

【村嶋委員】目標2・3は同時並行でできるしょうということを言いたいのです。看大協には、以前はやっていましたので、その蓄積を活用して頂きたいということです。

【中山座長】他に何かご意見ございますでしょうか。

【坂本委員】よろしいですか。

【中山座長】はい、どうぞ。

【坂本委員】この資料4の1の(4)ですが、「看護系大学院における高度専門職業人養成の具体的な在り方について」ということですが、この「高度専門職業人」というのは、どういう意味、どういう方を指すのでしょうかね。

【中山座長】これはちょっと説明していただけますか、(4)になります。

【小山田看護教育専門官】済みません、ちょっと今ぱっと出ないのですが、第一次報告の中でもこの言葉を使わせていただいておりまして、それを踏襲しています。もともとは中教審等の報告で使われていたように、理論と実践を架橋できる高度な職業能力を有する人材というようなことで使っておりまして、その明確な定義が第一次報告の中にはなかったのですが、使われ方としては第一次報告の6ページのところに、大学院において「特定領域の高度専門職業人」等ということで使われておりますので、こういう人たちを指すというふうに現在はお答えします。

【坂本委員】CNSという方たちをある程度具体的なものとして、イメージされているわけですか。

【小山田看護教育専門官】そうですね、具体的にはそういう方々です。

【坂本委員】分かりました。それではCNSをイメージしながらお話しさせていただきますと、今、304名しかいないんですね。CNSは現場で非常に活躍されていますし、期待されていますが、数がまだ十分ではないという現状がありますので、ぜひCNSなどの高度専門職業人の養成の在り方について、できるだけ早く具体的に出していくという話し合いをしていただきたいなと思います。

【中山座長】そうですね。

【坂本委員】だから、高度専門職業人の養成に関する問題も、看護系人材養成の在り方に関するマターだと思いますので、ぜひ早めに検討していただきたいなと思います。

【中山座長】これは私たちのほうの課題になっています(4)になります。具体的には今回の一次報告書の中では、ほんのさらっと3行ぐらいしか触れておりませんが、この問題についてはもう少し深めて、次のステップに進めるような形にしていくほうが、いいのではないかというご意見だったかと思います。はい、村嶋委員、どうぞ。

【村嶋委員】今のに関しては大学院設置基準の第3条に、「修士課程は広い視野に立って精深な学識を授け、専攻分野における研究能力またはこれに加えて高度の専門性が求められる職業を担うための卓越した能力を培うことを目的とする」という規定がございまして、私は高度専門職業人というのは、ここから来ていると理解をしているのですが、それで修士課程で教育をする人ということでよろしいんですよね。

【小山田看護教育専門官】もちろんそちらを含意しております。

【中山座長】はい、西澤委員、どうぞ。

【西澤委員】済みません、なかなかいろんな事が絡み合っていて理解するのに時間が必要だったのですが、大体分かりました。特に今回のこの委員会と、委託事業との関係はよく分かりましたので、今いろんな皆さん方の意見どおりでいいと思います。ただ、それ以外に片方でやはり厚労省での検討というものも参考になりますし、それから、看護学教育を含めた医学教育と離れたもっと一般的な大学教育、あるいは大学院教育というのも片方で考えると。それを、できれば全体図みたいなものがあり、常に見ながら私たちが判断できるような、関係図みたいなものを作っていただけるとありがたいと思っています。それと、非常に皆さん方急いでいるのもよく分かります。お気持ちは分かりますが、委員の先生方の大学というのは、日本の中においてもトップクラスの大学ばかりなので、大丈夫と思っているかもしれませんが、日本全国の180の大学にはいろんな大学がございますので、その現状というものも同時に調査したり、見ながら行かないと、やはり日本全体の教育現状を見たときにはおかしいものになりかねない。だから、そのあたりは一方ではスピードアップも必要ですけど、片方ではそういう現状も見ながら、やはりバランスのいい検討というものが必要だと思います。ぜひそういうふうないろんな大学の現状というか、時々調査とかアンケートとかしながら、そういうものも入れながらぜひやっていただきたいなと思っております。以上です。

【中山座長】新しくできている大学の抱えている課題については、ここのメンバーはそういう方じゃないのでなかなか上がってこないのですが、時々佐藤委員のほうからは、出していただいていたかと思いますが、そういったことも含めてということで、課題は大きいので1個1個やっていかなければいけないと思いますが、今のことで、野村課長、厚生労働省のほうの看護教育についての検討の状況との兼ね合いは、何かご意見ございますか。

【野村看護課長】総論的になりますが、厚生労働省では大学教育も含めもう少し広く養成所まで含めた看護師、保健師・助産師教育を考えているわけでございます。当然のことながら、共通する部分が非常にたくさんありますので、厚生労働省での検討状況、そして、こちらの文科省での検討状況について定期的にでもその情報を出し合って、やっていったほうがよろしいのではないかと考えております。

【中山座長】厚生労働省のほうの検討会というか、ワーキンググループのほうにも、私たち委員も組み入れていただいていますので、多分、離れずにいくことはできるのではないかなと思っております。他に何かご意見ございますでしょうか。はい、どうぞ。

【秋山委員】資料3の意向調査の実態が、やはり急ぐ急がないは別として、8月の説明会の後の調査の結果が、やっぱり戸惑っている様子が非常に見えるので、特に例えば引き続き学士課程で全員が必修として、もう決めている28大学はどのようにするのかとか、迷ってこれから決めていくところは、どういうふうな要素で決めていくのかというのはかなりの未知数の数、助産師教育のほうはわりと決めている、検討中もありますが、結構決めているのですが、保健師教育のところ結構やっぱり揺れている状態というのが見えるので、その辺はこれからの回答をひたすら待ち、コア・カリキュラムプラスで4年間でやる保健師教育の課程を、プラスでやるときに一体どうなるのかなと。逆に統合カリキュラムじゃなくてプラスでするときに、どうなるのかなというのもちょっと懸念をしながら、この回答を見たのですが、その辺についてはここで議論するものではないのかもしれませんが、この結果を見せてもらうとちょっと心配になっているのです。

【中山座長】はい、どうぞ。

【村嶋委員】それと、前期のほうで6月までの検討会の中で、大学における保健師教育と看護師教育の読み替え、同じ科目を二重三重に読んでいるような実態が随分言われました。そういう意味では、資料4の(3)の今後の保健師教育の内容やその質の保証の在り方に関して、これから引き続き学士課程で全員必修という大学は、本当にそれで問題がないのかというところを、もっと突っ込んで検討していただきたいと思います。

【中山座長】分かりました。それは今後の(3)のときの検討課題として、そこのところも踏み込んで検討するということだと思いますが。

【村嶋委員】迷っているということと、揺れ動いているということがありますから。これは免許を出しているわけでございますので、国民に対しての責任もありますので、早く検討していただきたいと思います。

【中山座長】何と私は返事していいか、一応、村嶋委員のご意見として、記録に残しておいていただきたいと思います。はい、どうぞ。

【菱沼副座長】各大学がこれは決めることでいいのだと思うのですが、各大学は一体いつまでにこれを決めなければならないことになりますか。

【小山田看護教育専門官】今、現在はいつまでに決めなければいけないという状況にはありません。来年申請をしてカリキュラムを選択性に移したいという大学があれば、それはそのようにできます。今、現にご相談も受けておりますが、現時点では規定というものはないと考えております。

【菱沼副座長】そうしますと、むしろ厚労省の検討会での指定規則の変更があるかどうかというところですよね、と考えてよろしいわけですよね。指定規則で今の科目の内容に変更があるかどうかというところで、カリキュラムの変更をしなければならないということになるわけでよろしいんですよね。

【小山田看護教育専門官】全大学が強制的に何かをしなければいけないというのは、当然、そういうルールが変わったときになります。

【中山座長】それでよろしいですか。指定規則がまだ外れてないので、指定規則が変われば当然大学のほうも、それに合わせていかなければならないというのが、現時点での見解だということでよろしいのだと思います。ですから、コア・カリキュラムだけではなくて、厚生労働省のほうの指定規則がどうなるのかということの兼ね合いも、出てくるというのが現実かなと思っておりますが。

【村嶋委員】お伺いしたいのですが、それはむしろ野村課長さんに聞くべきなのかもしれないのですが、平成22年4月から施行でございますね、1年というのが。そうすると、やっぱり普通は速やかに指定規則も変えるのだと思うのですが、いつごろの予定でしょうか?先ほど聞いたのかもしれないのですが。

【中山座長】野村課長いいですか、お願いします。

【野村看護課長】保健師・助産師の教育は10月から、ワーキンググループで議論をし出しておりますので、今のスケジュール観で行きますと、半年以上をかけた議論になるのではないかと思います。まだ第1回しか開いていないので、実際に議論を始めてみてどの程度になるかというのは、やや動くかと思いますが、そんなに一、二カ月のような短期間で何か出るというような状況ではないと思っております。

【中山座長】よろしいですか。

【村嶋委員】ちょっとコメントさせていただいていいですか。私は平成19年の指定規則の改正に携わらせていただきまして、そのときは半年という枠から出ないということを前提にいたしました。今回は1年というふうに期間が変わるので、そういう意味では大変大きな変革だと察しますが、一方で保健師に必要な科目を、例えば公衆衛生学会はもうコア・カリキュラムを、パブリックコメントを求めて出しておりますし、幾つかの団体がもう出しております。そういう意味では、たたき台があるものですから、なるべく早く結論を出していただきたいと要望いたします。毎年、学校が設置について文科省に届けを出すのが8月でございますね、ですよね、変更するのが。

【小山田看護教育専門官】設置は5月です。

【村嶋委員】5月ですか。

【小山田看護教育専門官】8月は、カリキュラムの変更をするための期限です。

【村嶋委員】じゃ、指定だと5月までですね。

【小山田看護教育専門官】指定が7月までですね。

【村嶋委員】ですから、例えば大学で指定を受けている学校が、修士課程で指定を受けようとすると、それはいつがデッドラインですか。

【小山田看護教育専門官】7月になります。

【村嶋委員】7月ですか。そうすると、やっぱりそういうのにもう10月から始めていて、4月から法律が改正になるわけですから、そういう時期に間に合うように、微妙にそれができないということにならないように、ご配慮をぜひお願いしたいと思います。

【中山座長】はい、どうぞ。

【野村看護課長】 この平成21年度のカリキュラム改正のスケジュール観で行きますと、厚生労働省でカリキュラムの中身の検討はいたしますが、その後、大学関係者で検討が行われ、また、その後の周知期間、それから、パブリックコメントをかけなければならないとか、周知期間もかなり必要だというようなことがありますので、来年の7月に間に合わせるということには、前回のスケジュール観からするととてもならないだろうと思います。指定規則改正にはそういった意味で時間がかかる、実際に運用するのに時間がかかると思います。改正自体は別ですが、運用にはかなり時間かかるのではないかと思っております。

【中山座長】ありがとうございました。

【小山田看護教育専門官】補足いいですか。

【中山座長】はい、お願いいたします。

【小山田看護教育専門官】済みません、先ほど7月と申しましたが、指定のタイミングは5月、7月、10月と3回あります。あとは、その指定に関しては指定規則が変わらなくても、今回、学部から大学院に教育課程を移したいというところは、来年、指定規則が変わっていない段階でもそれは申請していただいて、今の指定規則の内容でご申請いただけます。万が一その後に指定規則が変われば、またそれに従って教育課程を変えていただく必要はございますが、指定規則が変わらないと大学院教育が開始できないという状況ではありませんので、そこも1つご承知おきください。

【中山座長】この検討会で検討できることと、そうでないこととが少し入り混じった議論になっているかと思います。今回、(1)~(4)の中の非常に大きなことは、どうやって看護学教育の質の保証をするのかということが、この検討会の中では出していかければならない問題で、その質の保証の1つの在り方として、モデル・コア・カリキュラムの問題があり、また質の保証の1つの問題として、これまでのような保健師教育あるいは助産師教育でいいのかという、これまで議論してきた問題が残っているし、保健師教育・助産師教育を大学院の中に持っていくとなれば、今度は看護系大学院における高度専門職業人の養成というような目的というか、大学院そのもののあり方、村嶋委員が読み上げてくださったのですが、そういった内容のこともあると。こういう様々な問題が、検討会の検討課題の中に入るんだろうと思います、他に何か違った角度から、こんなことも検討課題にあるのではないかというご意見がありましたら、ご発言いただければと思いますが。前野委員、何か聞いていて感想でもいいのでありますか。

【前野委員】あまりにも専門的なことで、私の入る余地はないと思ったのですが、そもそも論を言わせていただければ、高齢社会と高度医療の進展という時代的な背景があって今の看護教育が非常に多岐、多様化しているという点がある。もう一つは、看護教育に当たる学校が非常に拡大・膨張している。この2点が根本にあって、先の第1次報告書がまとめられたと思います。コア・カリキュラムのお話を聞いていると、今後どこに焦点を当てていくのかなと感じます。もし180大学をすべて掬う形でやっていくならば、コア・カリキュラムは、必要最小限の部分もできるだけ狭いものになるでしょうし、質の担保という面を重視するなら、また内容も違ってくるのではないか。どこに焦点を当てるか、見えてないように思います。西澤委員が言われるように、確かに委員の大学はレベルの高いところでしょうが、もっと広い現状を見渡すとどうなのでしょうか。ちょっと不安感を覚えました。そこには、なかなか議論しにくい面もあるのでしょうが、そこにこそ、看護教育が抱えている問題の根本なのかなと思います。当初の議論では非常に窮屈になってきた部分を、コアの部分だけにして、あとは大学の裁量に任せるという合意ができたと認識しています。その方向を生かしていくのか、それともより厳格化を求めるのか。コア・カリキュラムの在り方によって、大きく異なってくるのかなと、感じました。

【中山座長】分かりました。コア・カリキュラムはどの部分を占めるのかということによって、相当違ってくるのではないかというお話だったのですが、何かその辺のところで野嶋先生のほうからコメントありますか。

【野嶋発表者】そうですね、医学教育のコア・カリは、大体カリキュラムの中の70%がコア・カリだと言われております。そして、医学教育のコア・カリは1つはもうその出口ということで、国家試験ということも配慮しながら作られているということで、私たちは確かに本当に先生がおっしゃるように、エッセンスをとっていくということと質の保証。ただ、教育方法とか、あるいは新しいことに対応しようとするために何かを増やすということでなく、いつもそれは再調整、再構築して、統合力・応用力をつけていくという形で看護教育は行かないと、多分、膨張するだけだと思っておりますので、本当に難しい課題、看護界がどういうふうな形を選ぶかというのは課題だと思っています。

【中山座長】西澤委員が懸念していることの中に、カリキュラムの問題だけではなくて、教員の教育力の問題もかなりあって、そのことを抜きにどんなにカリキュラム作っても、仕方がないよということをおっしゃってくださったのかなというのを、ちらっと心の中で思ったのですが、西澤委員、その辺のところで何かもう少し発言ありましたらどうぞ。

【西澤委員】それも1つですが、それだけはないと思います。要するにもうちょっといろんな周りを見ながらというだけのことです。それと、医学教育との違いも今言ったとおりあるのですが、医学教育の場合はもう医師の資格とるためには、6年制の大学しかないわけですよね。ですから、それがイコール国家試験を受ける教育でいいのですが、看護師さんの場合は違いますよね。大学だけじゃないですね、養成所もありますよね。ですから、ある程度資格とるために教育というのはまずあると。プラス看護大学というのをそこにどうあるのかと、プラスそれ以外の大きい意味での大学という教育はどうなのか、その三重構造なのかなと。そのうちの2つの構造をここでやるのかなと。1つ目のところは厚労省である程度作るから、それをそのまま入れればいいのかなと。その2つ目の枠が中心の議論なのかなというイメージで思っていました。だから、そういうふうなことを少し整理しながらしていければなと思っております。

【中山座長】ありがとうございました。宮﨑委員、遅れて来たので議論についていけているかどうか分かりませんが、何かありましたらここまでのところでご発言をお願いします。

【宮﨑委員】済みません、ちょっと議論に遅れまして申しわけございませんでした。ちょっともう既に検討、意見交換済みのことを申し上げるかもしれません。私もこの(3)の「今後の保健師教育・助産師教育の内容」という、この保健師教育・助産師教育なのですが、いわゆる職業人教育としての職業人教育ではなくて、大学における保健師教育・助産師教育、もしくは今後は大学院における保健師教育・助産師教育なので、あくまでも大学もしくは大学院教育ということは、意識して議論しなければいけないのではないかと思います。だから、質の保証といっても大学課程としての質の保証であり、大学院課程としての質の保証であるということは、常に念頭に置いていかなければいけないし、あと、私自身が今後これらの議論、この(1)~(4)の議論を進めていく上で1つ感じていることは、これからコア・カリも含めて課程というものを、大学課程、学士課程、それから、大学院ということで考えていくときに、その到達点というものをどういうふうにイメージしたらいいかというのが、この委員会の中でもどれだけ共有できているかというのは、ちょっと私も分からないんですね。やはり職業人教育ではない学士教育、あるいは大学院における課程教育の育成しようとする到達点、人材像というもののイメージというのが、もう少し議論する前提としてクリアになっていたほうがいいのかなと思います。

【中山座長】ありがとうございました。ずっと議論されている実践能力の問題も含めてということになりますか。卒業したらすぐ実践能力が求められるという現状に対して、どう対応するのかというのは前半相当議論してきたと思うのですが、そのことも含めてどの辺のところで大学卒業、あるいは大学院卒業時は到達していればいいかということも、もう少し明確にということでしょうか。

【宮﨑委員】はい、技術のこともさることながら、もちろん技術のコアとなるところは習得しなければいけませんが、やはり生涯にわたってといいますか、専門職として成長し続ける可能性を秘めているわけですから、大学あるいは大学院としてどこまで養成していくかという、長いスパンの中での大学課程、大学院課程の人材養成の在り方という話ですよね。だから、そこら辺の前提をやはりもう少しクリアに、共有できないのかなというイメージができればいいのかなと思います。

【中山座長】ありがとうございました。はい、菱沼委員、どうぞ。

【菱沼副座長】今のご意見に賛成なのですが、私たちがついつい看護師の教育とか、保健師の教育とかいうふうに言ってしまうのですが、我々は大学において看護学の教育をして、看護学という素材を使って論理性とか、自分で学習していく能力だとかという、大学人といいますか、学習力といいますか、そういったものをつけるその1つの素材に、看護学を使うというのがある見方であると思うんですね。それで、その結果、看護職につく準備が整うという方向性で物を考えるのを忘れると、時々まずいかなと思うことがありますので、そこは今おっしゃったような方向で、大学教育を考えるというのは大事じゃないかなと思っております。特にコア・カリキュラムのところで、その視点をぜひお願いしたいと思っております。

【野嶋発表者】おっしゃるとおりで、その視点を持ちながらコア・カリを考えていきたいと思っておりますが、本当にややもすると看護師教育とか、保健師教育というふうに言ってしまっていますので、でも、学士課程における保健師教育とか、どういうふうに概念化するかというのが、とても微妙なところかなと思っています。私たちといたしましては、将来にわたって専門職として生きていける力をつけていくということを、重視していきたいなと思っています。

【中山座長】ありがとうございました。他に何かご意見ございますか。はい、どうぞ。

【菱沼副座長】ちょっと内容に踏み込むのかもしれないのですが、私、看護学の物の見方というのが、大学4年間学んだ先に身につくというときに、看護学の中身としてどういうことを考えるかといいますと、決して病気になった人だけを対象にするのではなく、生まれてから死ぬまでで、予防から病気になったときから、そっちまでが全部含まったという概念で、看護学というのは考えられていると思うんですね。その概念で教育を組み立てるという形を、既に今まで看護系大学協議会がやってきているのは、みんなそういう考え方だと思うのですが、ぜひそこをお願いしたいなと思っております。

【中山座長】はい、ありがとうございます。他に何かご意見ありますか。この(1)~(4)ということ以外のことで、加えたほうがいいことは特にございませんか。多分、これはまた具体的になっていくと、いろんな問題点とか、解決していかなければならないことが出てくるのだとは思います。、託されていることがこの(1)~(4)ですので、これに沿って進めていきたいと思っておりますが、今日の議論を少しまとめていただきまして、少し肉づけをしていければと思っておりますが。はい、どうぞ。

【坂本委員】このモデル・コア・カリキュラムや学士というものの意味について、今様々な意見が出されましたが、教育は時代とともに変わっていくものであるということを、ぜひ押えていただきたいと思います。学士教育も医学教育も薬学の教育も変わってきています。そういう意味で、モデル・コア・カリキュラムが以前作られたものと、現在社会のニーズとマッチしているのかということも考えていただきたいと思います。

【中山座長】注文がいっぱい出ていますが、野嶋先生、よろしくお願いいたします。

【菱沼副座長】私たちが働かなくてはいけないかしら。

【中山座長】今、菱沼委員のほうから、私たちが働かなければならない部分もあるので、「全部お願いします」にはならないようにしましょうというようなこともありましたので。

【野嶋発表者】ぜひよろしくお願いします。

【中山座長】他に何か、もう少しフリートーキングでも構いません。今日は珍しく時間がありますので、何かもう少し言っておかなければならないこと、あるいは第一次の報告案を作成した以降、何かもう少しこの点を次のステップでは、盛り込むということのご意見がありましたら、言っておいていただければと思います。よろしいですか。小山田専門官のほうから、何かもしこの辺のところというのがありましたら、発言していただきたいのですが、なければちょっと早めになりますが、はい。

【小山田看護教育専門官】特にございませんが、やはり確認で、委託でやっていただいたアウトカムをもってして、改めてこちらで新たな看護学基礎カリキュラムの在り方ということのご検討をいただきますので、ぜひこれまでの意見については先生方にもご検討いただけますように、よろしくお願いいたします。私どもからは特段補足はございません。

【中山座長】これはこっちにも関係しますか。日本看護系大学協議会のほうに託されている認証評価のことも。村嶋委員もずっと携わってきてくださってどうするかというところまでは来ているんだと思いますが、それもまた随時ご報告をいただくような形をとりますか。

【小山田看護教育専門官】そうですね、はい、分野別評価についても野嶋先生の委託事業の中でも、評価の在り方というのもありますので、そういった調査の進展とあわせて、看護系大学協議会の事業についても、情報をいただきたいと思っております。

【中山座長】今様々な形で、こういう検討会のバックアップになるような資料作りもしていただいたりしていますし、またいろんな試みもしていただいていますので、それも時間が許す限りプレゼンテーションをしていただきながら、検討を進めていきたいと思っております。皆さんのほうから他にご注文ありますでしょうか。今日は注文は承っておきたいと思いますが、秋山委員、何か注文ありますか。

【秋山委員】注文というよりも、先ほどの看護学基礎カリキュラムのベースになるところの、資料1の第一次報告の概要のところの「今後の大学における看護系人材養成の在り方」の1)「大学における看護系人材養成の基本方針」の「教育内容の見直しの方向性」の1番、「看護系人材は人の支援に関わる専門職であることから教養教育を充実」ということと、その次、先ほどから何度も出ている「専門職として自発的な能力開発が継続できる素養や研究能力の基礎を涵養」というか、そこの部分が土台にあった上にこれが乗っかっているというような、その辺の図式がもうちょっとはっきりとしたほうがいいのではないか。そういうことを少し提示をして欲しいというような、先生方のご意見がありましたので、その辺がうまく図になったような形のが、次に出てくるとすごくうれしい感じがしているのですが。

【中山座長】分かりました。できるかどうか分からないですけど、第一次報告の中で残されている課題みたいな、あるいは、第一次報告のほうでこの辺のところをすごく強調されているのですが、どういう課題がこの一次報告の中で明確になっているのかということが、もう少し見えるような形の関連図みたいなものがあると、今の秋山委員が言われたことが、明確になるかなと思います。読みながらみんなでその辺のいいアイデアがあったら、小山田専門官のほうまで持っていっていただければいいかなと思います。かなり、この上に立つんだということは強調して、この報告書を書く中でも行ったり来たり、委員間でもやっておりましたので、それは大事にしたいなと思っています。そこの部分は忘れないような形で、見えるような形にしておければいいかなと思います。あと、小山田専門官、これを作る上での、何か委員の中から相当議論になったことで、落とさざるを得なかったこととか何とかありますか、それはなかったですか。

【小山田看護教育専門官】はい、落とさざるを得なかったものはなかったと思いますが。

【中山座長】国際性の問題だとか、教養部分の問題とかは、議論していたものをどうやって組み入れるのかということでは、苦労していただいたと思います。そこのところは委員間でも、相当この部分はこういう形で入れて欲しいという希望が出されていますので、それを踏まえての報告書になったかと思います。そこは前半の議論の重要な点でしたので、ぜひ落とさないで後半も持っていければと思っております。はい、どうぞ。

【村嶋委員】多分盛り込まれると思うのですが、今回、保健師に関して特に出てきたのは、実習場が不足しているという問題が大変多うございました。実習とは何ぞやといったときに、こうやって見学するとか、例えば4週間地域やっているといっても、グループホームへ行って、保健センター行って、どこへ行ってと4週間を見学だけして歩いているというのは、それは実習ではないと思います。看護学が他の学問と何が違うか、やっぱり働きかけの方法論を開発しているところが、違いとして大きいと思うのですが、自分がやった働きかけを、再度評価しながら次に進んで、自分の技術を改善していく、それを実習というんだというところを踏まえてください。野嶋先生たちもなさると思うのですが、もう一度そこら辺をぜひお願いしたいと思います。今の実習の在り方が、やっぱり見学だけに終わっているあたりを、質の保証といったときにそこを含めていくということをぜひお願いしたいと思います。

【中山座長】厚労省のほうの看護教育についての検討の課題の中にも、必要な実習内容についての検討ということですので、議論されるところではないかなと思います。他に何かございますか。なければ終わっていいですか。言い残していることございませんね。それでは、初めて予定の時間よりも早く終わることになりますが、皆さんのご意見もいただきましたので、これで今日の議論は終わりにしたいと思います。何か事務局のほうから、連絡事項があるようですので、よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】次回はこちらの資料4にありますように、今後は二、三カ月に1回程度ということで、今、現在予定しておりますが、いろいろな検討会の状況、また調査委託研究の状況を見ながら、適宜開催を打診させていただきますので、日程調整については改めてご連絡をさせていただきます。以上です。

【中山座長】どうもありがとうございました。本当にお忙しい中、ご参加いただいてありがとうございました。まだ続きますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。全体を見ながらこの検討内容を深めていければと思っておりますので、皆様のご協力をどうぞよろしくお願いします。それでは、今日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。

 

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看護教育専門官 小山田

看護教育係 中村 坂本 山口
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