大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会(第5回) 議事録

1.日時

平成21年6月25日(木曜日)15時30分~17時30分

2.場所

旧文部省庁舎 6F  講堂

3.議題

  1. 大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会 第一次報告(案)の検討
  2. その他

4.出席者

委員

中山座長、菱沼副座長、秋山委員、倉田委員、小山委員、坂本委員、佐藤委員、高田委員、富野委員、西澤委員、羽生田委員、平澤委員、前野委員、松尾委員、宮﨑委員、村嶋委員、横尾委員

文部科学省

戸谷大臣官房審議官(高等教育局担当)、新木医学教育課長、小山田看護教育専門官

オブザーバー

野村看護課長(厚生労働省医政局)

5.議事録

  【小山田看護教育専門官】それでは、定刻となりましたので、ただいまより第5回大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会を開会させていただきます。委員の皆様におかれましては、ご多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。早速、座長に議事進行をお願いしたいと存じます。

【中山座長】皆様、こんにちは。聞こえますでしょうか、今、小山田専門官の声がちょっと遠かったのですが、大丈夫でしょうか。今日は、こんなに大きな会場にしていただきましたので、皆様の顔が十分に見えず、双眼鏡か何かで見たい心境でございますが、一番大事な会議になりますので始めたいと思います。

 今日は第一次報告骨子案に対する議論を踏まえまして、第一次報告案を取りまとめましたので、そのことを中心にご検討いただきたいと思っております。その前に事務局から本日の委員の出欠状況の報告と配付資料の確認をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。

【小山田看護教育専門官】すいません、先ほどマイクが十分に入っていなかったかもしれませんが、本日、会場も広くて通りにくいですので、マイクをお使いの際はしっかりトークのところを押していただくようにお願いします。出欠状況ですが、本日は松尾委員からご欠席のご連絡をいただいております。あとは皆様お集まりいただいている状況でございます。配付資料についてですが、資料として3つございまして、1枚目に会議次第、2枚目に資料1として、大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会第一次報告案の概要というものを1枚でおつけしております。資料2が報告の本体でございます。資料3で前回の検討会で横尾委員から提出された資料を再度おつけしております。前回ご欠席ということで、今回改めてご説明いただくということになっておりましたので、そちらをおつけしていただき、その際に補足資料を後で提出されるということでしたので、本日、その補足資料を机上の先生方だけの配付になっておりますが、冊子体で2つおつけしております。最後に参考資料として前回の議事録をおつけしております。以上です。

【中山座長】ありがとうございました。足りない方はございますか。ないようでしたら、議事に入る前に委員から提出されました資料について簡単にご説明いただきたいと思いますので、横尾委員、よろしくお願いいたします。

【横尾委員】それでは、お時間をいただきまして、4年生大学の学士課程での助産師教育について、少し説明させていただきたいと思います。

【新木医学教育課長】すいません、マイクが遠いので、マイクに顔を近づけていただいて。大きい声で、できれば傍聴の方にも聞こえるように。すいません、セットが悪くて大変すいません。

【横尾委員】それでは、説明をさせていただきます。聞こえますでしょうか、大丈夫ですか。まず、大学院での助産師の免許を取ることの意味と第1点目で書きましたが、高度の実践能力を有した看護者が今、求められていると思いますが、それには基礎教育――免許を取得ということ――と臨地での実践に加えて大学院での教育が必要と考えます。現在、大学院でも助産師の教育が行われておりますが、大学院で助産師養成所の指定を受けるということは、プロフェッショナルの基礎教育、すなわち言いかえますと専門職業人の基礎教育を大学院で行うということになります。したがいまして、そのためかも分かりませんが、「助産分野における就職3年未満の実践能力評価」ということで、既にご報告がなされています。特に学部卒業生よりも大学院修了生に特徴的なことが挙げられていますが、この比較をする場合には、できましたらば現に大学院での修士課程でCNSコースがありまして、母性看護専門看護師の養成も既に行われていますので、その点との違いも今後明らかにしていく必要があるのではないかと考えます。

 2点目に学部教育における教育成果はどうなのだろうかというところで、新道先生が文部科研のBをもらわれまして、その研究をずっとされておられます。学生の卒業後のキャリア発達の認識の特徴として8点挙げられていること、あるいは学士課程での助産師教育についての特徴的なことも既に調査をされています。さらに新道先生たちのグループは、今後3年間におきます基盤研究Aで学士課程での助産教育に関しての評価も続けるということになっておりますので、今後、学士課程での助産師教育の是非ということについて、あるいは効果ということについては今後の検討もさらに加わっていくのではないかと思います。裏面をお願いいたします。この調査結果は私どもが行いました研究でございますが、実際に学部で教育をする場合に卒業生に対してどのように出産経験の女性でありますとか、病棟の責任者あるいは4大卒業生自身がどのようにとらえているかというのを調査いたしました。出産経験がある女性は、出産に対する自己の信念や助産師像を持つこと、女性や家族の価値観を尊重すること、寄り添い・励まし・手を尽くすこと、異常な判断と相談・報告、大きな判断ミスをせず見通しを立てることを新人助産師、学部卒の助産師に求めておられました。そして、三者とも共通なことは基本的に態度でありますとか知識、そういうことは十分に学習して欲しい。技術的なことは限られた年限ですることは非常に難しい。そこで卒業後、指導者のもとで実施できるようになればよいという認識をされておられました。ということで、私どもは学部を卒業した後の臨地での研修体制の充実ということを考えております。

 3点目に学部教育の利点ということで、教育・教員にとっての利点、学生にとっての利点ということを挙げさせていただきました。このように考えていきますと、私ども学士課程で助産師教育を行っておりますが、言われていますような決して手抜きの教育でありますとか不十分な教育ということはしていないと考えているのですが、この段階では助産師教育につきましては大学の裁量におきまして学士課程でありますとか大学の専攻科に1年、あるいは大学院の修士課程に2年、あるいは専門職大学院での様々な教育課程があると思いますが、それを大学の裁量で決定するのが望ましいのではないかと考えております。

 以上でございます。

【中山座長】ありがとうございました。今、ご説明いただいた資料につきまして、質問とか補足とかあるかもしれませんが、それは後ほど議論の中でしていただくことにしまして、今日の本題、資料1、資料2の第一次報告案について、事務局からご説明をお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】それでは、資料2の報告書の本体に基づいてご説明をさせていただきます。委員の先生方には事前にお目通し願っているかとは思いますが、改めて概略的なところで中身を読ませていただきます。

 まず、目次としては「はじめに」、大学における看護学教育の現状認識、その中で看護学基礎カリキュラムの現状と課題をまとめました。続いて今後の大学における看護系人材養成の在り方として基本方針、保健師教育及び助産師教育の充実方策についてということで内容をまとめました。最後に今後の検討課題というまとめになっております。

 では、「はじめに」のところから読ませていただきますが、大体、8行目ぐらいからですが、看護系大学においては、看護師等に共通する看護学の基礎とそれぞれが免許取得に必要となる教育内容を効率的に教授するための体系化したカリキュラム――この検討会では看護学基礎カリキュラムと呼んでいますが――によって教育を行ってきております。近年、急激に大学が増える一方で、実習内容の希薄化や学生の学習能力に合わせた教育内容の工夫の必要性等の課題が指摘されておりまして、このような背景のもとに本検討会がこれからの大学における看護系人材養成の在り方について、改めて検討することを目的に設置されました。検討会の審議事項としては、第一に学士課程における看護学基礎カリキュラムによる看護学教育の在り方。第二に新たな看護学教育の在り方とその質の保証の在り方。第三に大学院における高度専門職業人養成の在り方となっておりまして、こちらの第一次報告では、学士課程における看護学基礎カリキュラムの今後の在り方を中心に検討した結果を提示するとしております。なお、脚注の高度専門職業人というところで幾分か誤解があるかと思うので、ここでちょっと読ませていただきますが、ここで使っている高度専門職業人というのは、私どもの中央教育審議会の答申等で使っている言葉をそのまま使っておりまして、理論と実務の架橋を重視し、深い知的学識に裏打ちされた国際的に通用する高度な専門的知識・能力を必要とする職業につく者と、この意図でずっと本報告書では高度専門職業人という言葉を使っております。

 続いて2枚目ですが、大学における看護学教育の現状認識として、1つ目に看護学基礎カリキュラムの現状をまとめました。その中では、看護師等の免許を取得するために必要な教育内容は、現在、指定規則というもので規定されております。大学の中では、4年間の学士課程教育の中で保健師と看護師、教育体制が整備されている場合は助産師の養成も行ってきた。このような教育を実施してきたのは、看護専門職が人々の生活が営まれるあらゆる場で、あらゆる利用者のニーズに対し、責任を持って問題解決していく能力を有する必要があるという認識に基づいていたからであるとまとめました。その後の言葉の定義のところがありますので、そこは飛ばしていただいて、3枚目に移らせていただきます。そうした教育を行っていった結果として、幅広い専門知識と研究能力を備えた看護の実践者、研究者、教育者が養成され、医療・看護の発展に様々に貢献してきました。例えばということで何点か挙げておりますが、看護行為が研究者の科学的検証を通じて根拠に基づく看護実践に発展していった。また、複数の資格取得することを生かして多様なキャリアパスを選択しながら、看護師、保健師、助産師、あるいは養護教諭等様々な形で保健、医療、福祉など様々な分野で貢献してきたとまとめております。

 こうした中、次に看護学基礎カリキュラムの課題ということをまとめてあります。社会の変化に伴い、看護学基礎カリキュラムは様々な課題に直面している。まず、大学教育全体の大きな課題として、学士課程で学生が身につけるべき学習成果を明確にしていくことが今求められております。看護系大学においても学士力の参考指針という中教審で示されたものを参考にして、当該大学の学生の実態に即した学士力の具体的な達成水準を主体的に考えていくことが求められていると述べています。続いて、看護学基礎カリキュラムに関しては、文部科学省の検討会ですとか厚生労働省の有識者懇談会等の報告において、今後すべての看護師が自ら主体的に考え、行動することができ、急性期医療から地域医療、保健まであらゆる場において看護を提供できる能力を、生涯を通じて獲得していくことが求められている。また、チーム医療の調整役としてこれまで以上に高度なコミュニケーション能力も要請されている。このような実践能力への期待に応えるため、大学によっては看護学基礎カリキュラムによる教育が過密になっているとの指摘もある。加えて医療の高度化や地域看護の対象の複雑化等、さらには大学の急増に伴う実習施設確保の困難等は、臨地実習における実習内容が制限される傾向を生み、卒業時の看護実践能力の強化が課題となっている。このような課題を受けて、大学における看護系人材養成の在り方については、全体的な見直しが迫られていると課題をまとめました。

 続いて、今後の大学における看護系人材養成の在り方ですが、まずその基本方針としては次のようにまとめました。今後の学士課程における看護系人材養成においては、20年後、あるいは30年後においてもあらゆる場であらゆる利用者のニーズに対応し、保健、医療、福祉等に貢献していくことのできる応用力のある人材養成を目指す。この基本方針は従前看護系大学が目指してきたものと同様に、看護の高度専門職業人になるために共通して必要な基礎を教授することを意味している。したがって、学士課程では教養教育を前提に健康保持増進・疾病予防を含めた看護専門職の基礎となる教育と医療の高度化や看護ニーズの多様化に対応していくための教育を充実する。あわせて看護専門職としての自発的な能力開発を継続するための素養や研究能力の基礎を涵養する。看護師教育の充実にあわせて、看護師等の基礎となる教育内容については今後改めて検討する必要があるが、看護師等のいずれの職種にも必要とされる内容を含むものとする。また、就労後の新人研修へと効果的に接続が図れる学習内容を考慮する。大学院においては、研究者や教育者の養成、特定領域の高度専門職業人や専門職の協働においてマネジメント能力を発揮できる人材の養成を目指す。さらに、今後の看護ニーズの一層の拡大に対応するため、それぞれの大学は社会人等の受け入れ体制を整備しておくことが望ましい。また、既に働いている看護師等がより高い水準の知識・技術を身につけることができる学習機会の提供の充実を目指すべきであるとまとめました。

 2番として、大学における保健師教育及び助産師教育の充実方策についてということで次のようにまとめました。これまで保健師教育は学士課程に学ぶすべての学生が当然履修するものとされてきた。しかしながら、今日、保健師が対応している健康に関する諸課題も複雑化し、ちょっと飛ばしますが、活動領域等も拡大しております。また、施策化能力や企画調整力は活動領域を問わずに求められ、組織のリスクマネジメントや経営にかかわる力量も求められている。したがって、看護師等の基礎となる教育内容が確保されることを前提として、今後は学士課程を看護師教育のみの教育課程とするか、保健師教育を含めた教育課程とするかは各大学が選択するものとする。なお、学士課程における保健師教育に選択制を導入すること、専攻科における保健師教育の実施、あるいは大学院において高度専門職業人に相応しい保健師教育を実施することなどの方策を通じて、保健師教育を充実していくことも望ましい。助産師教育については、学士課程で選択制による養成が現在実施されている一方、専攻科ですとか修士課程、専門職学位課程において、高度専門職業人に相応しい助産師教育を試みる大学が徐々に増加している。今後、助産所や病院、診療所における助産師外来・院内助産所等で自律的に出産にかかわる助産師へのニーズに対応するため、それぞれの大学は大学院や専攻科を充実していくことが望ましい。一方で、現在の助産師不足や学生のニーズに対応するためには、学士課程における助産師教育についても引き続き選択制で行うことができるものとする。なお、保健師や助産師教育を含めた教育を学士課程において実施する場合は、学生の高い学習ニーズがあり、適切な教育課程や教員数、実習施設の確保により質の高い保健師教育や助産師教育を実施できる体制が整備されているべきであるとまとめました。

 最後に今後の検討課題として、大学の選択により保健師・助産師教育の在り方を柔軟に設計できることを提示しました。なお、どのような人材を養成すべきかについては、第三者評価や自己点検・自己評価を踏まえて一義的にはそれぞれの大学が責任を持って判断すべきである。しかし、教育の質保証の観点からは分野別評価等を通じた大学の教育体制の評価が不可欠であり、今後、看護系大学の団体等による自主的な質保証の取組が求められる。そうした取組を促進するためにも、本検討会では「新たな看護学基礎カリキュラム」の具体的な内容並びに保健師教育及び助産師教育の内容について、その質の担保の在り方とともに引き続き検討を行う。

 また、看護学基礎カリキュラムの見直しとともに、大学院における高度専門職業人養成の在り方についても検討を行う。さらに看護学基礎カリキュラムの内容を見直した場合には、現在の教員数のままでは限界があるとの指摘や実習指導者等を実務家教員として教員組織の構成員とすべきであるとの意見もある。今後、教育内容の見直しにあわせて、その内容を教授できる教育体制の見直しについても別途検討すべきである。

 なお、指定規則が、学士課程における看護学教育の効果的・効率的なカリキュラム構築を阻害するおそれがあるとの指摘もある。今後、看護職の質を底上げしていくためには、このような指摘の根拠となる問題点を明確にした上で、新たな質の担保の仕組みを検討することが望まれる。

 最後に学士課程教育では、看護師等の基礎となる教育内容を体系的に教授できるような教育課程が構築されていることから、看護師等の実践能力向上のためには、就労後の研修が重要である。この研修を効果的に実施するため、看護系大学においては新人研修へ貢献していくことが望ましく、今後、文部科学省としても大学関係者や関係省庁と連絡しながら、具体的な貢献策を検討する必要があるとまとめました。

 以上でございます。

【中山座長】ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。あまりぶつ切りにしてもとは思いましたが、少しずつ切って検討して、その後、全体的なことに入っていきたいと思っております。それでは、第一次報告案について項目ごとに検討しますので、「はじめに」という最初のページです。ここのところにつきましてご意見、あるいはご発言、その他ございましたら、どうぞお願いいたします。1ページ目はよろしいですか。どうぞ、小山委員。

【小山委員】4点ありまして、少し違和感がありましたのは、1頁の中ぐらいまではずっと、社会のニーズとしてのポジティブなことを書いてあるのですが、「しかしながら」のところから何も説明もなく、「近年、実習内容の希薄化や学生の学習能力に合わせた」とあり、これは人が読むと、学習内容の希薄化が急にどうして起きたのか分からないのではないかと思いまして、ギャップがあるように思いました。どういう言葉を入れればいいかはまだ考えつきませんが、ちょっとここの段落が、ギャップがあるように思えたのですが、いかがでしょうか。

【中山座長】ありがとうございました。これにつきまして何か他にご意見ございますか。西澤委員、どうぞ。

【西澤委員】今の場所なのですが、同じように感じていまして、下のほうは今、小山委員が言ったとおりなのですが、上のほうも否定するわけではないのですが、大学において養成する看護系人材を社会が求めていることを示すと、理由はこれだけに限定してしまっているというのはちょっと違うのかなと。これが一番大きな要因であるのは間違いないのですが、もっといろいろな理由があるのではないかと思っております。例えば、養成校の都合でということも聞いております。そういうことでは、急激な増加の背景にはいろいろな要因があると思っています。そういう要因があるからこそ、この「しかしながら」に繋がっていくのだとすれば、ここは社会が求めていることを示すと断定的に言わないで、ここはもう少し広く表現していただいたほうが、繋がりがいいと思います。

【中山座長】今、皆さんのほうから10行目から15行目ぐらいにかけてのことが、「はじめに」ですのであまり長く言わないようにということで切ったところが、少し短絡的になっているというご指摘でよろしいのでしょうか。そこのところがこれでは誤解を招く感じがあるので、もう少し社会的な背景も含めて加えたらどうかというご意見だったと思います。他にご意見ございますでしょうか。今日は代案がある場合は、出していただきたいと思いますが、すぐ代案がどういうふうに書いたらいいか出ない場合もあるかと思いますので、皆さんのご意見を受けとめておきたいと思います。他にございますか。小山委員、どうぞ。

【小山委員】これは「はじめに」だけではなく全体を通してですが、1ページにもありますので、意見を述べさせていただきます。私が最初にこれを読みましたときに、大学における看護系人材の養成の在り方とありますが、この「養成」という言葉に大変ひっかかりました。大学では人材を育成しているとずっと使ってきたものですから。後ろもずっと「養成」と書いてあるのですが、広辞苑では「養成」も「育成」も「養い、育てること」とありますが、日本語的には「人材を育成する」と言われ、いろいろなものを調べてみますと、教員や看護師とか職種ですと養成というようです。大学ということを考えますと、何もかも与えて養成するというのではなく、自ら育っていくようにというイメージでもおりますので、育成と養成という用語について、人材というときには育成のほうがいいのではないかとちょっと気になりました。これは別に議論していただかなくてもいいのですが、全体的にはそのようなことが気になりました。

 それともう一つ、1ページに「以下『看護師等』という」と書いてあるのですが、保健師、助産師、看護師を「看護師等」と括っていいのかというのは、後ろのほうでは同じ意味を示すのに看護専門職という言葉を使ったり、あとは看護職という言葉を一番最後の7ページでは使ったり、その用語の使い方が、同じことを言うのに3種類の言葉を使っているかと思いますので、これを最終的には統一したほうがいいのではないかと思いました。以上です。

【中山座長】使い分けに多少のルールがあるのだと思いますが、後半のほうはそのルールが明確ではない。さっきの「看護師等」と使う場合と「看護専門職」と使う場合と、その辺のルールは明確にしたほうがいいということですね。前半のほうは、育成か養成かということですが、大学としては比較的養成という言葉よりも育成という言葉を使ってまいりましたので、そういう意味ではできるだけ育成ということで統一できるところはしたいと。養成でないと前後の脈絡が悪いところは養成という形にするが、基本的には育成のほうがよいという意見で、これはよろしいでしょうか。そこは審議官のほうから意見がありそうですね。どうぞ。

【戸谷審議官】すいません、私は必ずしも専門ではないのですが、例えば中教審の答申の資料が、これまでこのファイルの中に綴じてありまして、私は慌てて言葉を見ていたのですが、例えば平成17年の「我が国の高等教育の将来像」という答申が載っていまして、ここの中で使っている言葉は、「今後の人材養成の分野別構成等に対する考え方」ということでやっておりまして、私どものこれまでの言葉の使い方の例からいきますと、どちらかというと養成ということで整理させてきていただいているのではないかと思います。ただ、私もなぜ養成なのかということについてまでは直ちにご説明しかねるところがございますが、ここは少しこれまでの使用例もございますから、ちょっと整理させていただきたいと思います。

【中山座長】分かりました。ありがとうございます。審議官、さっきの看護師等と看護専門職とその用語のことについて何かコメントありますか。そちらはこのままでいいですか。

【新木医学教育課長】そこにつきましては少し統一が悪いところがありますので、他の使い方、これまでの報告書の使い方を参考にもう一度事務的に整理をしてみたいと思います。

【中山座長】分かりました。ありがとうございます。小山委員、これは整合性がとれていればいいということですね。よく見てみると意外とばらばらではないかということですので、ここは整合性をとるということで置いておきたいと思います。他にございますか、羽生田委員、どうぞ。

【羽生田委員】通常、看護師等というのは保健師、助産師、看護師、准看護師まで入ったものを厚労省関係ではすべて看護師等ということで使っていますので、その辺はきちんと分けられたほうがいいと思います。中教審の綴じ込みの資料10のところには養成でなく「人材の育成」と書いてあります。

【中山座長】どうぞ。

【戸谷審議官】例えば、人材養成機能とかそういった用語が多いということで、その辺はもう一回整理させていただきます

【中山座長】分かりました。今、副座長からもこの検討会が大学における看護系人材養成の在り方、養成になっておりますので、それを急に育成に変えるのは無理なのかもしれないと考えたのですが、これは事務局のほうと相談しまして、どちらかに調整がとれるような形にさせていただきたいと思います。検討会そのものが養成になっておりますので、急に文面だけ育成とするわけにもいかない面もあるし、いろいろな書類の中でも言葉の使い分け、必ずしも全部同じではないようですので、事務局と一緒に統一をさせていただきたいと思いますが、これはよろしいでしょうか。別なことで、どうぞ。

【羽生田委員】3ページ目の上から6行目の後ろのほうに養護教諭という言葉が入ってくるのですが、大学の場合に養護教諭というのは、資格を取る上でも非常に大切な部分であって、現状の大学を出て、看護師の資格を持った養護教諭は多分15%ぐらいしかいない。非常にレベルが低くなっているのです。この辺も大学できちんと養護教諭を育てていただきたいという希望もありますので、看護系大学というとらえ方からすると、その辺ももう少し書き込んでいただければということと、それからあと、教育する教員といった人材も大学がどんどん増えたときに、養成所への教員が大学出身者から増えるのではないかということも随分言われながら大学が増えてきたのですが、殆ど増えないということで、教育の方面には行けることを大学の方がきちんととらえていただいているような書き方をして、どこにどう書いていくかはお任せするとしても、その辺もぜひ大学という中に一つの重要な要素と書き込んでいただければと思います。

【中山座長】今、羽生田委員の意見は今までこの看護系人材の養成と言いながら取り上げてこなかった養護教諭とかあるいは教員の育成、養成についてもどこかできちんと触れておいたほうがいいのではないかというご意見と承ってよろしいでしょうか。これまでの4回の間には議論が殆どされてこなかったことですが、落としてはいけない側面ではないかというご指摘かと思います。村嶋委員、先ほど目が合いましたのできっと意見があるんだと思います。

【村嶋委員】今、羽生田委員がおっしゃったこと以外に、看護師、助産師、保健師を看護師等で括ったときに、大部分はそれでいいと思うのですが、最後のほうで看護の学士課程で保健師を選択制にするというときに、看護師等の中に保健師、看護師、助産師が入るのだと一つ一つ読むとちょっと矛盾が生じるところがあったと思います。今すぐにどことは言えないのですが、看護師等という言葉は気をつけて使わないといけないなと思いました。

【中山座長】村嶋委員、必要ならば全部の3つをきちんと書いたほうがいいということでしょうか。「等」でもいいがということでしょうか。

【村嶋委員】私は「等」でもいいとは思ったのですが。

【中山座長】分かりました。使い方には慎重にということですね。これは先ほどから出ている用語のことですので、そこは慎重に使っていきたいと思います。他にありますか。今、羽生田委員から3ページにいってしまいましたので、少し1ページ目から2ページ、大学における看護学教育の現状認識、看護学基礎カリキュラムの現状のほうに移っていきたいと思いますが、そこまで広げて何か発言はございますか。どうぞ。

【佐藤委員】座長、「はじめに」だけではなくて、大きな1ポツに触れてよろしいですか。

【中山座長】現状と課題と少し違うところもあるのですが、大体3ページぐらいまで進んでも構いません。きちんと分けられないと思いますのでどうぞ。

【佐藤委員】1ポツのところで中教審の言っている学士課程教育に何カ所か触れております。そのことについてご配慮いただきたいことと、もう一つは純然たる非専門家の質問が1つございます。前者ですが、これはいずれも脚注ですからそう目くじら立てることではないかもしれません。ただ、このドキュメント全体が大学における、とりわけ学士課程教育における人材養成ということですので、あえて脚注のことについてもちょっと述べたいと思います。

 まず2ページです。学部学科等の組織に着目した大学教育の整理ではなくて、学位プログラムに着目した整理にしようではないかということを17年の将来像答申では確かに述べております。そのことを脚注で書いており、全体的にその思想がこのドキュメントの後段に引き継がれている。これはこれで結構だと思います。とすると全体はよろしいのですが、2ページの脚注4の3行目の後段「そのためには『○○学部所属』ではなく」とあります。この文章のとめが「知識・能力を習得したことが重要な意味を帯びる」とくるのです。確かに従来、教員もそうなのですが、学生が何々学部何々学科所属というすべて組織によって論じてきた。これを学位プログラムによって論じようという1つの提案でありまして、現状は引き続き組織なんですね。したがって、もしこのことをどうしても言いたいならば、何々学部所属というよりも、何々学部を卒業した、つまりどんな学部学科を卒業したということよりも、どういう学位プログラムでどのような知識・能力を習得したかということがポイントになるという意味ですので、ちょっと文章を捻っていただいたほうが正確に中教審の示していることが伝わると思いました。

 その次に、3ページ目のこれまた脚注で恐縮ですが、6です。学士力のことを言っております。これは学士課程教育についての答申を受けて、学士力という参考指針について解説したところです。大部分はよろしいのですが、ちょっと最初のポイントを外しているような気がいたします。ここに書いてあるのをそのままストレートに言いますと、専門分野の知識・技能だけではなくて以下いろいろ出てきます。汎用的技能、態度・志向性、総合的な学習経験等と、それはそのとおりなのですが、まず冒頭に大学で学ぶについては専門の学問分野における基本的な知識、体系的に理解するのはもちろんだが、それだけではなくてその体系そのものが様々な諸科学、例えば、自己の存在を歴史や社会や文化との関連づけで理解することだとか異文化とか他文化に対する理解であるとか、人類の文化や社会と自然に関する知識の理解、それら総合的な知識の体系に関連づけて専門的な知識を理解せよということが冒頭なんです。それこそ学士課程教育の真髄だと思いますので、そのことをもし汎用能力等々を記述するならば、冒頭にそのこともきっちり書いておくのが学士課程教育の趣旨に合致しているのだと思いました。

 細かいことですが、最後に一つだけ、これは非専門家としての質問です。4ページ目の3つ目のパラグラフの途中から、「加えて、医療の高度化」、その次、「在院日数の短縮に伴う患者の重症化」、これは素人が単純に見ますと、在院日数が短縮してきて患者が重症に陥る率が多くなってきたというふうに読めるのですが、それでいいのでしょうか。それとも違う意味があるのでしょうか、教えてください。

【中山座長】西澤委員や高田委員が答えていただいたほうがいいかもしれませんが、最後のは意味が違いますので、これはもう少し正確に書かなければいけないと思います。在院日数が短くなったので急性期で重症の患者さんが多くなってしまった、割合が高くなっているということの意味ですので、これは書き直さなければいけないと思います。

 先ほどの脚注の問題が指摘されましたが、これは事務局のほうと相談しまして、それでまた佐藤委員に見ていただいた形で直したいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

【佐藤委員】結構です。

【中山座長】今、4ページ目のところは重要な指摘かと思いますので、これは誤解がないような形で修正していきたいと思います。他にございますか。1のところは(1)、(2)までいってしまっても構いませんが。横尾委員、どうぞ。

【横尾委員】2ページから3ページにかけてのところで、括弧書きのところなのですが、これ以後、「それぞれ『看護師教育』、『保健師教育』、『助産師教育』という。」と書かれていますが、これは確認ですが、免許を取るための教育という理解なのか免許を取った助産師、看護師、保健師等の教育も含むということなのか、そこの確認だけさせてください。

【中山座長】事務局に答えていただいてよろしいですか。小山田さんのほうからよろしくお願いいたします。この2ページ目の「これ以降」というところですね。

【小山田看護教育専門官】ここは免許に繋がる教育ということで、免許を取る前の教育という趣旨で使っております。あと申し忘れましたが、今日はマイクの調子が悪いので、お二方に一つぐらいのハンドマイクをお手元の近くにあるはずですので、今日はそちらをお使いいただきますようよろしくお願いいたします。

【中山座長】横尾委員、この答えでよろしいでしょうか。

【横尾委員】この後でたくさんこういう言葉が出てきまして、高度専門職の教育というところで少し紛らわしいような文脈がありましたので確認をさせていただきました。

 それから、もう1点あるのですが、2ページの下から3行目の「この経過の中で、看護系大学では、看護学基礎カリキュラムにおいて、看護師養成及び保健師養成それぞれに特化した教育内容」、これは助産師課程を持っていないところの大学の状況の説明であって、例えば、助産師課程がある場合にはこれだけでは限らないのですが、その理解はどのようにすればよろしいでしょうか。基本的に保健師、助産師がかなり必須になっているからという前提の記述でしょうか。

【中山座長】これはどうしますか。お答えになりますか。今の設置審の設置基準からいくと看護師の養成と保健師養成の2つの課程は必ず入ってでしか設置認可されていなかったということからきているのだろうと思いますが、専門官、もしありましたらどうぞ。

【小山田看護教育専門官】先生のおっしゃるとおり助産師課程を持っておられるところに関しては、当然、助産師養成に特化したものが幾分入ってきてはいるのですが、全大学に網羅的に使うにはこの表記でいかがかということで今回使わせていただいております。

【中山座長】どうぞ。

【横尾委員】でも、そのように理解しにくいかなと思います。

【中山座長】ということはむしろ保健師教育もきちんと入れて欲しいということでしょうか。

【横尾委員】助産師教育。

【中山座長】ごめんなさい、助産師教育もちゃんと入れたほうがいいと。

【横尾委員】それをオープンにしていただければと思います。

【中山座長】分かりました。小山委員、どうぞ。

【小山委員】2ページ目の一番上の「看護師等の免許を取得するために必要な教育内容は」となっておりますが、このような教育内容を勉強したからといって免許は取れませんので、「看護師等の国家試験受験資格を取得するために必要な教育内容」ではないかと思うのですが。

【中山座長】これはいいですね。確かに免許は国家試験が受からなければもらえませんので。他に何か。坂本委員、どうぞ。

【坂本委員】2ページの「教育体制が整備されている場合は助産師の養成も行ってきた」と書かれていますが、どのような教育体制が整備されていれば助産師の養成を4年間の中で行ってきたのか。それから、4年間の中で行えない大学はどのように整備されていないのか、ここを教えていただければと思うのです。なぜそれを聞くかと申しますと、今、課題を抱えていて、できれば保健師・助産師教育を切り離していこうという方向にいっている中で教育体制が整備されている場合ということがどのように定義されるのかというのを教えていただければと思います。

【小山田看護教育専門官】こちらは大学を作るときに助産師学校も置くということであれば、当然、指定規則に定める助産師免許を持つ大学教員3名以上がいるということですとか、あとは正常分娩10例をとれるだけの実習施設の確保があるとか、あとは単位数がどうしても上積みになりますので、そういうカリキュラムを行わせるような4年間全体のカリキュラムが整っているかというようなことを大学の設置審査のときに審査しておりますので、そういうところをクリアしたところが大学において助産師教育を行っているという趣旨で書いております。

【中山座長】坂本委員、もっと詳しく入れろということになりますでしょうか。

【坂本委員】では、選択制で大学院や専攻科としてきたところは、さらにもっと例えば教員の数とか、実習で分娩がたくさんとれるとか、カリキュラムが少し緩やかになるということになってきているわけですよね。それは、それ以上によくなっているところもあるということで、ここが整備されているということではなくて、もっと整備されている状況ということで読み取ってよろしいでしょうか。

【小山田看護教育専門官】そういう実態はあるということです。

【中山座長】よろしいですか。どうぞ、新木課長。

【新木医学教育課長】いずれにしましても、これは指定要件を満たしているという趣旨でありますので、専攻科でも4年制の中での選択でもそれを満たしているということをこういう言葉で表現しているということであります。内容はいろいろ今、専門官が申し上げたとおりであります。

【中山座長】多分、この看護学基礎カリキュラムの現状で、その後が看護学基礎カリキュラムの課題という流れの中では、現状はうまくいっているところはあまりクローズアップされていなくて、問題点になりそうなところをクローズアップし、次の課題に持っていくという流れで書かれているので、十分にいっているところの強調点はちょっと弱まっているかなという感じはいたします。次の課題のところに持っていく背景を少し浮き彫りにするということもあるのではないかと思っておりますが、他に何かございますか。村嶋委員、どうぞ。

【村嶋委員】4ページの先ほど課題になっていた「在院日数の短縮に伴う」の前ですが、2つ目のパラグラフの「このような実践能力への期待に応えるため、大学によっては看護学基礎カリキュラムによる教育が過密になっているとの指摘もある」。これは実践能力への期待に応えるためといえばそうなのですが、特に2つないし3つの免許教育を盛り込んだから満杯になっているという側面がどういうふうにここに入っているのかなと思いながら読みました。

【中山座長】カリキュラムの過密の問題です。

【村嶋委員】はい。

【中山座長】過密ということは、3つの免許で過密になっているということのほうが強いのではないかというご指摘ですね。他に1のところまでで何かございますか。それでは、また戻っても構いませんので、4ページの下のほうにあります2の今後の大学における看護系人材養成の在り方、これまでずっと議論してきたところではありますが、このことに移っていきたいと思います。 (1)大学における看護系人材養成の基本方針というところで何かございますでしょうか。保健師、助産師教育の充実の方策に入る前に、この基本方針のところでもしご指摘がありましたらよろしくお願いいたします。どうぞ、村嶋委員。

【村嶋委員】確認をしたいのですが、5ページの3つ目のパラグラフの「看護師教育の充実にあわせて」の次の行です。「看護師等のいずれの職種にも必要とされる内容を含むものとする」。これは必要とする範囲が問題なのだと思うのですが、必要にして十分という意味ではなくて、共通して必要とされるということで最小公倍数ではなくて最大公約数ですね。

【中山座長】多分、コアになる部分のことを言っていて、どの職種であってもこれまでの検討の中でありましたように、看護師の教育をベースにした形でコアが作られているのですが、その部分として保健師になるにしても助産師になるにしても、このコアの部分を踏まえてなるわけですから、その共通するコアの部分のことを指しているのだと思います。私はその認識だとここは思います。このことはこれでよろしいですか。もう少し表現を共通とか何とか違う言葉にしたほうがいいというご意見なのでしょうか。

【村嶋委員】そうですね。共通して必要とされるとか。

【中山座長】分かりました。他に。どうぞ、高田委員。

【高田委員】この(1)の一番最後のパラグラフで、2番目の文章です。「また、すでに働いている看護師等がより高い水準の」というところなのですが、これだけ単純に読むと、看護師等がある資格を持っていて、その資格をさらに高度化する機会を提供するということに限定されているように読めます。終わりの後で審議していただくのだと思うのですが、読み進んでいくと「選択制」とか何とかということが出てきてそことの整合性でいくと、高いというのは確かに高いんだけれども、例えば高さだけではなくて幅も少し持たせるような技術を身につける機会を提供するというほうが現実的ではないか。例えば、高度かつ多様性があるとかそんなような形にしたほうが、整合性が出てくるかなという気がいたしました。

【中山座長】ありがとうございます。いろいろな免許を持ち、違う職種として働きたいときのための教育の機会はたくさんあったほうがいいというご意見が前回も出たと思います。その部分ももう少し盛り込んだほうがいいということですね。

【高田委員】この4ページの2の(1)の最初のところに書いてあることはすごく大事なことだと思うのです。人材の育成は本当に短い時間ではなくてその方の一生のキャリアパスと考えながらやる、その基礎を作るということです。ですから、「20年後、あるいは30年後においてもあらゆる場であらゆる利用者のニーズに対応し」とは、どういうことが20年後、30年後に起こるかというのはすぐには分からないのですが、その基礎となり社会のニーズに対応できるような人材をここでつくっておく。ニーズが起こったときには改めてその方が、また学習の機会を提供したところへ戻ってきてやればできて、すぐにニーズに対応できる。そのような基礎をつくっておくということが必要なのではないかと考えたところです。

【中山座長】ありがとうございました。他に。倉田委員、どうぞ、お願いします。

【倉田委員】今の社会的ニーズのところになるのだと思うのですが、5ページの社会人等という中に、これは確認というか伺いたいのですが、例えば行政処分を受けたような方の再教育の場として、この学校法人や教育法人など卒後研修に実績のある施設などが想定されるということが、これは薬剤師の行政処分の検討会のときに出ているのですが、看護師さんたちの場合もこういうのはあるのでしょうか。

【中山座長】これは野村課長、お願いします。

【野村看護課長】看護師等の行政処分後の再教育についても昨年度から実施しております。再教育研修を受ける場にも病院は含まれますが、大学、養成所等も想定しているところでございます。

【中山座長】どうぞ、倉田委員。

【倉田委員】でしたら、この「等」の中にもそういうのは入っていいのではないかと思うので、もし書き加えていただけるのでしたら、書き加えたらいかがでしょうと思ったのですが。

【中山座長】これは新木課長のほうから少し補足していただけますか。

【新木医学教育課長】ニーズの多さとしては社会人だと思いますが、またそういういろいろな処分、行政措置に伴う部分もあろうかと思います。少しその辺はどの程度のニーズがあるかということにもよると思いますので、代表例としては社会人ということになるのだと思いますが、そういうことがあって、かつそれに対応できるところ、各大学は病院と大学との役割分担もあろうかと思いますが、できるだけいろいろな社会に多様なニーズに応えられるようにというご趣旨だと思いますので、ここのところは今ご指摘のようないろいろな社会のニーズに対応できて、再教育なり社会人教育なりができるようにという趣旨で書いていきたいと思います。具体的な書きぶりは厚生労働省の今の処分、再教育体系をもう少し研究しながら、この書きぶりを考えてみたいと思います。

【中山座長】ありがとうございました。どうぞ、富野委員。

【富野委員】今の点と違うのですが、4ページのところに今後20年後、30年後にどういった利用者のニーズに対応できるかということが書かれています。20年後、30年後どうなるか私は全く予測がつきませんが、おそらく世界はボーダーレスになって、かなりの国際性豊かな時代がやってくるだろうと思います。今も、いろいろな国から看護師さんが我が国にやってきている時代ですので、応用力がある人材養成のなかに、何か国際性豊かな人材養成というのも一言入っていてもいいのではないかという気がいたしました。

【中山座長】ここの基本方針のところに国際性ということが全然出てこないので、応用力のこの辺のところで、単に応用力だけでなくて国際性の問題も入れたらどうかということかと思います。

他に何かご意見ございますか。どうぞ。

【宮﨑委員】今の20年後、30年後のところなのですが、ちょっとスパンが長いのかなと思ったのです。大学を卒業して、例えば20前半と考えたときに、その人たちは中堅層になっていく。それぐらいの10年後、それから中堅後期もしくは管理職になっていく20年後ぐらいを視野に入れた基本指針のほうが現実味を帯びるのかなと個人的には思ったのですが、いかがでしょうか。

【中山座長】宮﨑委員、30年はちょっと長いと。20年ぐらいまでは分かるから、どちらかというと10年後、20年後ぐらいでいいのではないかというご意見ですね。どうでしょうか。ちょっと30年後の医療はどうなっているかもわからないので、20年ぐらいでいいのではないかということです。ただ、少し長いスパンということは確かだと思いますが。西澤委員、何かありますか。

【西澤委員】おっしゃったとおりで10から20年ぐらいが妥当だと思います。

【中山座長】10から20ぐらいで。ありがとうございます。これは事務局、問題ないですね。

【新木医学教育課長】40を大幅に超えた私としては50ぐらいまでやったほうがいいのではないかと、自分の経験からいいますとあまり40ぐらいというのもどうかなと思っているのですが、委員の先生方が20年程度というご意見でしたらばそういうふうにと思っております。

【中山座長】ありがとうございます。そんなに皆さんはこだわりはないと。とにかく20年ぐらいはどうやっても睨んでおかなければならないというところでは一致しているかなと思いますが。他に何かございますか。それでは、一番私たちが議論をしてきました(2)大学における保健師教育及び助産師教育の充実方策についてというところに移りたいと思います。5、6ページですが、ここはいかがでしょうか。高田委員、どうぞ。

【高田委員】これはざっと読んでみると肝になるところは6ページの真ん中のちょっと上のところですが、「したがって」というところからで、ここをそのまま読むと、「今後は学士課程を看護師教育のみの教育課程とするか、保健師教育を含めた教育課程とするかは、各大学が選択するものとする」となっていて、ここだけ読むと大学レベルで、うちの大学は従来と同じような今までの統合カリキュラムと言われていた看護師と保健師をすべて一緒にやるというのをやるんですと、あるいはそうではないのですということをここで選択できるということがここに書いてあります。それでその次のパラグラフで、なお書きで学士課程の中では選択制をすることもできるし、専攻科もあるし大学院もあるという書き方になっていて、基本的な考え方としては、各大学が選択すればいいんですという形になっているかと思います。私はいろいろな地域的な状況というのがよく把握できていないのですが、この問題がそもそも起こってきた大きな要因として、最初のバックグラウンドのところにあったように臨地実習の問題があったかと思います。臨地実習がパンクしている状態になってきているということで、やはり何とかしなければいけないという、それはこれで解決するのですか。例えば、今の助産師の教育のような形でいけばおそらく何とかなるかなという気はするのですが、大学レベルで選択するのが基本であるという形を持っていくのか、あるいは大学の中で、例えば保健師教育を含めた教育課程を持つかどうかというのを決めると。その辺はここは曖昧かなという気がして。

【中山座長】課長、どうぞ。

【新木医学教育課長】ここは表現がうまくなかったのかもしれません。反省しておりますが、助産師と同様に各大学が全部という大学もあるかもしれませんが、例えば看護学部の1学年が100人いて、30人を保健師にするという大学ごとにそれを適宜設定していただく。ゼロというところがあるかもしれませんし、50というところがあるかもしれない。それは各大学が選択で設定してくださいという趣旨でありまして、助産師と同様の内容にするという趣旨であります。

【中山座長】どうぞ、高田委員。

【高田委員】そうするとここは少し表現を変えないと曖昧で何だかよく分からないという感じになるかと思うのです。そういう形で論議が進んできていたように私は理解しているので、ここのところを工夫していただかないと正しい意味が伝わらないかなと思うのです。

【中山座長】どうぞ。

【富野委員】そこよりももっと大事なことは、その上で「看護師等の基礎となる教育内容が確保されることを前提として」というのは、ここを提示してこの大学は確かに教育内容が確保されているからこの選択制を認めますというハードルだと思います。ここも非常に大事な点だろうと思います。

【中山座長】ここは一番の議論のところだと思います。どうしましょうか。坂本委員、先に発言していただいて、まとめて後で。

【坂本委員】今のお二人の委員の方がお話しされたことと関係すると思うのですが、10と書いてあるところの横に学士課程における保健師教育の選択制のことが書いてありますが、「保健師教育を充実していくことも望ましい」と書かれています。そして、15の横の下の3行目は、今度は助産師のことについて書かれているのですが、助産師については「それぞれの大学は、大学院や専攻科を充実していくことが望ましい」。この「も」と「が」が大変どういう方向に保健師のほうはいきたいのですかということがここにあらわれているような気がしています。できれば助産師と同じような方向に行くとおっしゃられると、この会の方向がそういっていると考えておりますが、そうするならば、保健師教育を充実していくことが望ましいと変えていただければと思います。だから、どっちにいくのですかということがはっきりされていない。「したがって」以降が大変論理的に分からなくなってくるような文章であるような気がします。

【中山座長】先に平澤委員でいいですか。どうぞ。

【平澤委員】私もここを読ませていただいて、これから各大学が保健師教育を選択するとします。そして、保健師教育の選択制を導入するときに人数のことは一切うたっていないのです。そうすると各大学が例えば100名を養成し、その教育機関が100名を選択制にしたいといったときの教育の保証が全然ここには何もなく、あくまでもその大学が責任を負って実習場所を開拓するという解釈になっていくのでしょうか。そのようなニュアンスで表現されているのでしょうか。

【中山座長】どうしましょうか。先に菱沼副座長、もしあったら発言していただいて、全体的なことはまた事務局のほうに振りたいと思います。

【菱沼副座長】平澤委員と同じ質問ですが、この解釈なのですが、「保健師教育を含めた教育課程とするかは、各大学が選択する」という意味は、看護師教育だけの教育課程でもいいし、看護師プラス保健師の教育課程を全員に取らせても構わないと私は理解しています。それでなお書きで部分選択も可能と言っていると解釈していたのですが、それでよろしいでしょうか。

【中山座長】どうぞ。

【新木医学教育課長】まず教育、選択制のところでありますが、選択制は助産師と同様にその人数、規模に関しては大学ごとに今、100%やっておりますので、引き続きそれでやっていくところも中には出てくると思いますが、少し減らして、もしくは新規の場合には30とか10%、もしくはゼロというのもあるかもしれません。そこのところは大学側の選択に任せるということで、原則として大学はゼロか100か、例外的に部分的な数値でいいというふうに考えて記載しているわけでは、事務局としてはそういうつもりではなく、そのゼロから100の間の数値は大学ごとに設定していただくと考えておりました。それから、教育内容を確保されるということは現時点で認可を受けているところはもちろん全員についてされるということですが、これは実習場所の確保とあわせて、各大学で実習場所の確保はしていただく必要があろうかと思っております。

 なお、新しくできるところが典型だと思いますが、それで十分な実習体制が本当に確保できるかということについては、設置認可等で議論していくことだと思っております。

 それから、保健師教育、「も」と「が」の話がありましたが、結論的には保健師教育を充実していくことが望ましいという趣旨だと、これは「も」というのは言葉の使い方が不適切かと思っております。

【小山田看護教育専門官】あと追加で富野先生のご質問の看護師等の基礎となる教育内容が確保されることを前提としてというところなのですが、こちらは今までの議論の中では看護師と保健師の両方の免許を取ってきたというのは、それぐらい必要な幅広い知識や技術を身につけるためにやってきたという考え方を踏襲するということは、その前の基本方針にもうたっておりますので、保健師免許がなくなったとしても一定部分の保健師に必要とされる知識も残るといったような趣旨で、ハードルと言われてしまいますとハードルになるのかもしれませんが、そういった趣旨でございます。

【中山座長】たくさん手が挙がっていました。どうぞ、村嶋委員のほうから。

【村嶋委員】この場合のハードルは、もちろん大学でございますので、学習は各大学の自由裁量に応じて学べばいいのですが、しかし、国家試験の受験資格を与えるためには一定の実習をきちんと実施しなければならない。そういう意味では、免許を取るためにはちゃんと大学自身がハードルを設けなければいけないと思います。そういう意味では、この6ページの最後に「実施できる体制が整備されている必要があると同時に、学生の選抜の仕組も実習場の確保との関係で明示すべきである」というのを、この6ページのなお書きのところにつけていただきたいと思います。

 それから、選択制の導入に関してですが、この問題の裏にありますのは、少子化で各大学が生き残りをかけて看護の学科を開いていることです。各大学が自分のところはできれば100%保健師を取らせる、それを宣伝文句にして学生を集めたいという大変な事情がございます。そういう意味では100%の大学を認める、そのまま既得権を認めるというのは、これだけ卒業した保健師たちの質も問題になっておりますので、100%選択する大学を認めるということはできないと思います。そこのところをきちんと明確にしていただきたい。そこが分かるような形で表現していただきたいと思います。

【中山座長】そこは議論が分かれるところではないでしょうか。今の学生の選択の仕組までここに込めるのか、あるいは100%の大学はあり得ないという形のことまで書くのかということについては、いろいろな議論があるのではないかと思います。この報告書案、今日のところでは、非常に大学にとっては厳しい。あらゆることで大学がどうするかを決めていくという書き方です。ですから、村嶋委員がおっしゃったように、生き残りをかけて、大学の理念に基づいて、どういう形で自分たちの大学は特徴を出していくのかということの兼ね合いで、どういう選択があるかということの問題なのです。確かに実習場の確保の問題で、制限されるところが地域によっていろいろ違うという実情をどのようにするのかという問題もあると思います。その辺のところをここに書き込むとなると議論の余地を残すところではないかと思いますが、最終的な結論は待つにしまして、横尾委員から発言をどうぞお願いします。

【横尾委員】上のなお書きのところですが、これは助産師のところも同じような表現ですが、「大学院において高度専門職業人に相応しい保健師教育を実施すること等」ありますが、この相応しいというのは、高度専門職業人を養成していることではないという理解でよろしいですね。目指すでよろしいのですね。あとの大学院でどのような教育をするかといったところでかかわってくると思うのですが、先ほど免許を取る前の教育ということを言われましたが、その理解でよろしいんでしょうか。

【中山座長】これは相応しいというよりも目指すということではないかと。相応しいというのは相応しいかどうかの問題になるけれども、とにかく高度専門職業人を目指す助産師教育という・・・。

【横尾委員】ということでそこを出たからという、高度専門職業人をどう養成するかというところが非常に論議されると思うのですが、何か大学院の修士課程を出れば高度だという周辺の認知があるものですから、大学院を出たとしてもなかなかその能力はつかないと思うのです。ですので、このところの表現を少し慎重に書いていただくといいのかなと思いました。

【中山座長】他に何かございますか。宮﨑委員、どうぞ。

【宮﨑委員】先ほどの上から6行目の「各大学が選択するものとする」のところですが、ここの文面では何かを加筆するという意見ではないのですが、もう一度この各大学が選択するということの意味を少し意見として述べさせていただきたいのですが、やはりこの各大学が選択するというのはそれだけの責任を選択するという大学としての責任の自覚と、選択したからにはそれをきちんと保証していくという先ほどの質の保証という問題が伴ってくると思います。だから、これまではあまりそこら辺はどちらかというと、もしかしたらあまり自覚がなく教育してきたかもしれませんが、各大学が選択するということの責任とか重みとか、そういうことをもう少しこれからは考えていかなければならない、それぐらいの意味合いがここにはあるのかなと思いますし、先ほどの実習施設が足りないということは、ここの議論では本当につきまとっている課題なのですが、それに関してここから先の発言はこの指針の文言よりも外れてしまうのですが、私自身が思っていることは、既存の実習施設を取り合っていても確かに足りないのです。だけれども、これからの実習は、先ほどの10年先、20年先の人材養成、育成を目指していくのですから、どんなところで活躍できるのかという新たな実習地の開拓という教員としての教育の創造力が非常に必要で、これまでの既存の実習施設で実習をするという発想では確かに足りないということになるのですが、そうではない方策をこれからは考えていく。それが今後の課題という現実的な教育体制とか教育内容の検討というところに私は繋がっていけばいいのかなと思っています。

【中山座長】ありがとうございました。今、課題のほうに少し踏み込んでいただきましたので、7ページまで含め広げていきたいと思いますが、どうぞ。

【横尾委員】今、保健師教育のほうが中心ですが、少し助産師教育のほうを構いませんか。助産師教育については、最初の「選択制による養成が実施され、一割程度の学生が選択している一方」という書き方がされていますが、現在では79.8%ぐらいの助産師が大学で教育されているということと、大卒の合格者が約40%はいるということで、これですと何か少ないネガティブ表現かなと思いますので、現状をもう少しこの表現を用いるのでしたら、そういう含みで書いていただきたいということと、一方というふうに書いていますので、余計に前半部がネガティブな表現になっていると思いますので、率直に書いていただきたいと思います。

 それから、次の今後というところにつきましては、確かに助産師外来とか院内助産所が話題になっておりますが、「等」ということがありますが、現在の周産期医療全般を見ますと、最新の先端医療での総合周産期医療センターでの助産師の活躍等々も含まれていると思いますし、現行の母性看護のCNSのコースではそういうことも内容に含まれていますので、専攻科というのがひっかかるのですが、より高度の教育をするのであればそういうこともむしろ明快に入れていただきたいということがあります。おそらく専攻科がここに並列して入っているためにこういうことがあるのだと思いますが、専攻科と果たして大学院の教育が並列していいのかどうかというところも一つ考えます。

【中山座長】今のご意見を調整しますと、大学院と専攻科が同じレベルにするのはむしろ無理ではないかと。大学院のほうは実践能力、高度職業人というか、そういう形をしているけれども、専攻科のほうは免許資格を得るという形になっているという意味で質が違うのではないかというご指摘でしょうか。

【横尾委員】そうです。

【菱沼副座長】大学院での助産師教育の目的には、免許取得のレベルのものとCNSレベルのものと2種類あるということなので、ここの文章では基礎教育の話に絞るのか、それとも高度実践家のレベルも含めるのかという整理をしていただければよろしいと思いました。

【横尾委員】少しそういうふうなところは混在があるかなと思いましたので、それから次、よろしいですか。

【中山座長】どうぞ。

【横尾委員】それで一方でという書き出しになっていますので、助産師不足とか学生のニーズに対応するために助産師教育についても引き続き選択制で行うことができるものとするという微妙な書き方で、学士課程でいろいろ工夫しながら、私どもの大学ではより充実させるために大学全体が教員を増員してくれましたりいろいろ対応してくれていますので、どれだけ私ども学士課程で助産師教育がいろいろ果たしているかということで、できるものとするという表現を上の望ましいとできるものとするとが連続してあるとちょっと被害妄想が強いのでしょうか、表現をご配慮いただければと思います。

【中山座長】ここもかなり大学がどうするかによって選択の幅があると。けれども、今の書き方ではどうも学士課程での助産師教育というのは、できるものとするというのはあまりにも弱いと。やるなら質を担保してきちんとやれという形のほうがいいということですね。

【坂本委員】先ほど学士教育での保健師教育、助産師教育と大学院における高度専門職業人とそんなに質は違わないというお話が少しありました。しかし、なぜ大学院や選択制や専攻科等の保健師を学士教育の中から少し外していこうかという話が出たかというと充実させるため、レベルアップするためであるならば、大学院における教育が学士とそう変わらないという発言は、私はおかしいと思います。この方向性で動いたということは全部の質を上げようということから動いているのであり、今やっている大学院の質が悪いのかということになれば、大学院というのは学習の中において質を高度に上げていこうというところから設置されているものであるので、大学院教育の質が悪いという考え方はおかしいと思います。だから、副座長がおっしゃったように、少しそこは免許のことと基礎的な教育とちゃんと分けていくのだという考え方においては賛成です。

 それから、6ページの下から、先ほどから「質の高い保健師教育や助産師教育を実施できる体制が整備されるべきである」ということは、ここが大変重要であり、何で評価をしていくのか、具体的に方策を少し何らかの形で出していくべきだと思います。これを言っただけで形骸化しないように、この検討会はきちんと教育の質を上げていこうということですので、その付近の評価をきちんと明確にしていっていただきたいと思います。

【中山座長】平澤委員、どうぞ。

【平澤委員】助産師教育の立場から、私も助産師教育を学部の中で20年間やっておりまして、学部での助産師教育を否定するものではありません。需給関係からいって学士課程における助産師教育も工夫しながら免許取得に向けての教育は可能です。ただ、今日の社会の中で助産師に求められている業務内容を15行に書いてあるように詳細に記述する必要があるか否かは、私も疑義があります。高度周産期医療全体に対応する助産師の役割と責務を記述したら記述したなりに多様な内容を記述したくなるので、このあたりの記述法はまたご検討いただくとして、高度専門職業人が求められている現在、2年間かけて人づくりということは、今日の社会の要請の中で必要です。また、それらの教育の実績を定期的に評価していく必要があると思います。ですから、その件に関しては、学士課程での教育は否定しておりません。各大学が行える方法で助産師教育を行っていくということが今、必要なのではないかと思っております。

 恐縮ですが、7ページのところに入ってよろしいでしょうか。5行目の「しかし」というところから教育の質保証の観点ということでは、これは従来のことをここに書かれております。それで「分野別評価等を通じた大学の教授体制の評価が不可欠であり、今後看護系大学の団体等」というこの団体等の中には分野別評価を既に行っている領域も含めて考えてよろしいかということをお伺いしたいと思います。

【中山座長】先ほど坂本委員のほうからどういうふうに質の担保をするのかというところは、今後の課題として、質保証の観点ということで分野別評価の問題が出ているのですが、これについて事務局のコメントはありますか。先ほど看護系大学の団体等の中に助産師のほうは既に認証評価を持っているというところで、これに入りますかということです。

【小山田看護教育専門官】おっしゃるとおり専門職大学院に相当する分野別評価も行っている団体もありますので、そちらを含有した表現になっております。こちらで質の担保を図っていくということで今後の課題として書かせていただいております。

【中山座長】平澤委員、それでよろしいですか。どうぞ、村嶋委員。

【村嶋委員】助産師のほうはそういう認証評価機関も持っていらっしゃいますね。全国助産師教育協議会のような専門性に基づく団体がございます。保健師のほうも全国保健師教育機関協議会がございまして、質の保証や教育の向上、国家試験のありように対して問題の分析や試験の在り方について提言をしておりますので、そういう団体もここに入るということをぜひ明確にしていただきたいと思います。それが1点です。

 もう1つはその後なのですが、「自主的な質保証の取組が求められる」、ここですが、私は看護系大学協議会で教育評価機関検討委員会の委員長を4年間して、この看護学の分野別評価の仕組みを作ることに尽力してまいりました。しかし、自己点検評価や相互評価だけですと、大変限界を感じております。そういう意味では、その学生たちが卒業した就職先、受け入れ側を含めた質保証の取組が必要だと思います。社会に開かれた、受け入れ側も含めた質保証の取組やそういう機関を持った取組でなければ、実効性は少ないと思います。自己点検評価や相互評価だときちんとしたことができないという限界を感じております。

【中山座長】評価のほうは第三者も含めたものでないとだめではないか、ここのところはまだ表現をどうするかにしても、検討の余地はたくさんあるけれどもということですね。佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】6ページの肝という部分と7ページのことと両方申し上げると、6ページの本当に悩ましく申し上げるべきかどうか、マイクをとった今も悩んでいるのですが、保健師教育を選択制、大学が選択するという趣旨はずっと今までの流れの中で、4年間の基礎を充実させるためにも集中的に基礎教育を行うという意味と、保健師教育の質の向上と、いろいろな目的があって、議論がここに帰結しようとしているということは理解できます。ここにありますように、それでは学士課程から外した場合、もしくは選択制にしてなおかつ専攻科、大学院となったとき、専攻科についてはわりとすっとついていける気がするのです。専攻科というのは大学の学部の段階の専攻科ですから、例えば高等学校の専攻科は高等学校卒業後だってやっぱり高等学校の教育なのです。短期大学の専攻科というのは、短大2年が終わってもまだ短期大学の教育なのです。ですから、大学の専攻科というのは、そういう意味で学士課程の上に精緻な程度において特定の研究云々という規定どおり、学士課程の延長線にあって、旧来の言葉で言えば学部レベルなのです。

その先が問題で大学院となると、その大学院は例えば仮に名前を作ると保健師専攻、保健学専攻、どうなんでしょうか。要するに保健師という特定の職業資格を得るための、あるいはもっと極論すれば保健師国資を通過するためのというふうに流れていったらとても大学院としては困るわけです。そんなことがないことをすごく期待したいところなのですが、ちょっと角度を変えて中教審の質保証部会でずっと質保証のありようを言っています。第1関門が設置基準、第2関門が設置認可審査、第3関門が認証評価となっています。その第2段階の中で具体的にそれを担当しているのが大学設置学校法人審議会ですが、この審議会は過去数年間すごく苦渋をなめてきています。例の平成15年度の一連の規制改革以来、とても信じられないような大学教育の質を落とすような案件が続発していて、ついに最終的には文科大臣の改善勧告まで結びついた事例があります。今もその後処理に苦労しているところです。その改善勧告に結びついた最大の理由というのは、本来、学士課程の教育というのは言うまでもなく総合的な人間教育のはずですが、資格取得に特化したようなプログラムは紛らわしい。それは大学教育と言えない、学士教育とは言えない、そこを守り抜きたかったわけです。このことを大学院に今当て嵌めてみると、もちろん保健師教育の充実、向上を真から願う専門家の皆さんはこんなばかなことを考えないとは思いますが、その大学院、修士課程が保健師という資格を取得するために特化したり、あるいは保健師の国試を通過するための指導に流れていくようなことになったら、これは大学院教育の破壊に繋がるわけです。そんなことを今の段階で憂慮しても仕方ないのかもしれませんが、この例の肝の部分、これから先、専攻科でもいい、修士課程でもいいという中に何らかの配慮、あるいは留意すべきことを書き加えておくべきかなと思ったのが1つです。

 すいません、今度は7ページです。ここの下から2つ目のパラグラフです。「さらに、看護学基礎カリキュラムの内容を見直した場合には、現在の教員数のままでは限界があるとの指摘がある」。こういう指摘があるということは、個人的には承知しております。ただ、こういう公的な文書でこのことを記述するということは、そういう指摘が個々に出されたという報告だけでなく、この検討会がそういう意見に対して一定の理解またはシンパシーを示して記述したと受け取られることだと思います。そういうことで注意深く読んでみると2つ気になります。看護学基礎カリキュラムの内容を見直した場合には云々と。しかし、これは見直しというのが充実強化という色合いの見直しなのか、そうすると授業科目も増え、あるいは単位数が増え、そうすると後段に繋がっていって教員数が非常に問題になるという話にもしかしたら繋がるかもしれません。あるいはこの見直しというのが精選であるとか保健師教育の言葉は悪いですが切り離しということであるならば、逆にこれは教員数が足りませんという話にはなかなか繋がりにくいような気がいたします。ですから、それをどちらのほうに力点を置いて言っているのか、読み手によって随分勝手なアプローチができると思います。そして、後段の部分。現在の教員数とは何を指しているのか。厚労省の指定規則に示している数がとても話にならないよということを言っているのか、文科省の設置基準に言っている最低基準はこれではだめだよと言っているのか、それとも現状の多くの大学の実数では足りませんよと言っているのか、この辺も読み手によって随分と受けとめ方が違うと思います。学長という管理者からするとこれが安易に我田引水的に使われることを非常に気になるところであります。

 最後にもう1点。これはこの書きぶりの話ではなくて、その上のパラグラフ。要するに本検討会では、一定の見解を出す、保健師を切り離すということでしょうか。その後、新たな看護学基礎カリキュラムの具体的内容等々について引き続き検討を行うと書いてあるからいいようなものですが、私はこれだけのことを第一次報告で世に出したらば、現場としては相当深刻にこれを受けとめて、喧々諤々になるのではないかと思います。さっきの大学ごとに選択するというこの重み。したがって、こういう見解を出したらば、その中に含まれている課題について引き続き検討を行っていく。非常に速やかにこれを検討し、一定の見解を示してやらなければ、大学が大変な混乱に陥る。とりわけこの中で触れている保健師を切り離した場合の教育課程やモデルカリキュラム等について、一定の見解の提示を速やかにできるようなプランも事務方のほうにぜひお願いしておきたいなと思いました。

 以上です。

【中山座長】ありがとうございました。重要なことをたくさん含んでいるのですが、富野委員が15分ぐらいで退席したいということで、出る前に何かありましたら。先生、大丈夫ですか。

 今、大学の根幹にかかわるようなことのご発言があったのですが、事務局のほう、何かコメントはありますか。

【小山田看護教育専門官】1点だけ、大学院教育の中でこの免許取得のところを行うに当たっての質の担保という点に関してなのですが、既に助産師系の免許取得の教育を大学院で今行っているところでございまして、そこの中では免許取得、国家試験の受験資格に必要な単位数というものと、大学院の最低の必修単位というものを切り分けて、両方を満たすということで設置をしていただいておりますので、免許取得の勉強をしながら大学院に相応しい教育研究もちゃんと行っていただくという形になっておりますので、おそらく同じようなスキームで保健師の大学院教育も始まるのではないかと思っておりますが、これからまた少し検討の余地はあるかと思います。免許教育に関しては、今は22単位、今年から23単位ということで、それが合わさって今50単位以上の教育を行っています。

【佐藤委員】プラスですか。

【小山田専門官】はい。

【佐藤委員】プラスですか。それなら明確ですね。

【中山座長】免許の資格でいったらかなり単位数が増える形になっているということですよね。だから、免許を持った人も入っているのが現状ですね。両方をやっているので。持たない人はたくさんの単位を取らなければいけないという形の大学院になっているのではないかと思いますが、それは今後もそういう形で平澤委員、いきますね、助産師の場合は。

【平澤委員】助産師教育のほうで今、先生方がおっしゃったように、各大学院によって多少違うと思うのですが、修士課程では最低30単位プラス、助産師教育は23単位になりましたから、私どものところでは最低、国家試験受験資格取得コースは53単位を学生は修得することになります。2年間の教育といいましても非常に忙しいです。それで、専門職業人の育成になりますと、一大学院の教育課程としてお聞きいただきたいのですが、実習を20週ぐらい行います。それらの実習を通して実践能力を高めるということ目標にしておりますので、2年間の教育は非常に忙しいということを学生は感じております。

【中山座長】手が挙がりましたが、佐藤委員の問題がまだ残ってはいますが、それに関連することですね。お願いします。

【村嶋委員】佐藤委員のご懸念はよく分かります。一つだけ申し上げます。保健師は社会のいろいろなひずみが起こってくる新しい健康問題に常に対応することを求められます。そういう意味では、枠がないところで、自分で探索しながら、その健康問題をその人に対して解決します。同時に、他の同じような問題を持っている人がいないかを探索し、その問題を起こしている原因を見いだしてその原因に対して働きかけています。そのような、ポピュレーションに対するアプローチを行うというのが保健師の専門性です。そういう意味では、修士課程の教育、特に修士論文などは、いろいろな現象の関連性を自分なりに予測をして、データをとってそれを検証していくのですが、そういう研究の過程が保健師としてのトレーニングにもそのまま生きていくものであるといえます。ですから、保健師の免許のための教育といっても、ガリガリに知識を与えればできるものでなくて、その考え方やそのいろいろなトレーニングを行う過程の中で、修士としてのトレーニングも相矛盾するものではなく補い合うものとして入ると考えられると申し上げます。

【中山座長】どうぞ、横尾委員。

【横尾委員】6ページの下の欄のところですが、保健師、助産師教育を含めた教育を学士課程で実施する場合にはと限定されていますが、先ほど大学院での教育の単位数も出ました。というところで大学院で助産師の養成をするとしても大変なことで、教員、カリキュラムを考えないと、同じような問題が出ています。ですので、ここのところはいかにも学士課程がぎゅうぎゅうで足りないという印象を与えますので、専攻科、大学院につきましても、きちんとした教育をできるようにということを書き加えていただきたいというふうに思います。

 53単位の教育、相当大変だと思います。私どものほうで専門看護師の既に助産師の資格を取って4、5年臨床を取った方が上級のことをやりたいというために入ってきますが、この2年の教育は本当に大変なのです。現場で経験があるから楽でしょうというわけにはいきません。そういう意味では現場の実践の在り方とか、現場での卒後教育というのでしょうか、その辺のトレーニングを適切に行っていないと、逆にマイナスになっていくということも考えられます。ということで大学院でやれば、あるいは学士課程はというレッテルを張って見るのではなくて、それぞれのいいところ、悪いところはきっとあると思うのですが、そこでどういうふうに対応すればいいのかというところを素直に書いていただきたいなと思います。

【中山座長】そういう意味では、ここが横並びに幾つかにしているのですが、大学院の場合と専攻科の場合と学部でやる場合とか違う場合があるので、そこはもう少し明確にしたほうがいいということです。あまり全部を一緒にしないほうがよい。それぞれの問題はあるのではないかと。でも、どちらにしてもすべて質の高いきちんとした教育を行うということを明記したほうがいいということなんですね。他に。高田委員のほうにいきます。

【高田委員】2点ばかりありまして、一つは先ほど佐藤委員がご指摘になった7ページの下のところです。カリキュラムの見直しの場合の教員数のこととか実務家教員ということが書いてあるところがあるわけですが、ここら辺のところは、私、大学でのご事情はあるかと思うのですが、指導者の方、教員の方が実習をやる病院の方と、例えば医学部があるところでいえば、大学病院の方の臨床と必ずしも密接に結びついていないという現状があります。それがだんだんと今見ていると医学部の医学科と近いような形で臨床と接近してきていて、そして、看護の教育と看護の実践というのが教員レベルでも一体化してきているという現状があります。ここに実務家教員と分けるような形で書いてありますが、ここら辺は今、進行している状況とはちょっと違うのかなというような気がいたしました。ですから、ここは必ずしも人数だけの問題ではなくて、その方が何をしているかというようなこともちょっと関係してくるのかなというような気がいたしました。

 それから、もう1点は、先ほどから大学院でやるのか、あるいは学部でやるのかという色々な中での内容がどうのこうのというお話がずっとあるわけですが、まず私が思いますのに、資格を取るための基本的な教育というのはもちろんあるわけですが、それはコアなのです。大学とか大学院というのはそれだけではもちろんないわけであって、それぞれの大学、あるいは大学院の理念に応じてどういうものをつけ加えていくかという、そこでこれから競争していく時代ではないかと思います。ですから、そこはあまり資格のことだけに限ってこれを論議していくと何かおかしな方向になってしまって、資格というのはあくまで基本的なものであるということでまとめていかないといけないのではないかなと。佐藤先生がおっしゃったのと同じような話になりますが、感想でございます。

【中山座長】宮﨑委員、どうぞ。

【宮﨑委員】私も佐藤委員がおっしゃったこの大学院教育についてなのですが、大学院の中で免許取得と同時に大学院教育もやっていくことになった場合、そこでの保健師教育の充実という一言でまとめられているのですが、そこで到達する学生のレベルというのは学士のレベルとは違うのだろうと思うのです。大学院の中で保健師教育を充実していく、その充実のレベルというのは大学院としてのレベルだろうと思います。ですから、もし文言を足すとしたら、各課程の教育目標や到達度を踏まえながら保健師教育を充実していくことが望ましいというような、一律じゃない、充実といってもそのレベルが一律ではないということを踏まえたほうがいいのかなと思います。特に、大学院教育に関しては大学院としての目的ということを忘れることなく、だから、教育の質の担保といったときに、むしろ大学院教育の中で保健師の免許を取らせるということが加味されてくるとしたら、そこでの質の担保というものは厳しく問われるのではないかなというふうに私は思います。

【中山座長】ありがとうございました。今日はこのまとめについては最後ですので、あまり時間を切ってということではないのですが、予定の時間が近づいてきました。あと落ちているところ、あるいは一番最後の8ページには誰も触れていないのですが、最後の8ページのところ、この辺のところでもしご発言があったらしていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。坂本委員、どうぞ。

【坂本委員】もう一度確認なのですが、8ページにいく前に、佐藤委員の言われた「看護学基礎カリキュラムの内容を見直した場合には」という、それからすぐ教員の数と言っているのですが、教員の数を充実するというのはカリキュラムの内容がどんどん増えていくのかという件です。私は看護学基礎カリキュラムはこの3ページの注釈の6のところに先ほど佐藤委員から言われたように、学士力としてのいろいろな科目が統合されて、それで専門職教育というふうになっていくのだということをどこかにきちんと明記していただきたいと思います。今後に繋がっていく基礎カリキュラムに関して、先に専門教育というところではなくて、きちんと学士教育のところも再度見直して、ゆとりをもたせ、考える力をきたえていく。統合させていくと称して専門的なものがすごく増えてくると、学生が忙しくなっていきます。そういう意味で、基礎カリキュラムのところの内容に展開していただければと思います。

【中山座長】小山委員、どうぞ。それで、佐藤委員のほうにいきます。

【小山委員】最初これを見ましたときに、「職業教育に焦点を置いて」というサブタイトルをつけるほうがいいのではないかと思うぐらいに、職業教育についてばかり書いてあったものですから、大学教育というのはそれだけではないという印象が強くありました。ただし、本検討会のテーマが大学における看護系人材養成なのでこれでいいのだろうかと思いながらも、大学教育の大事なところが、後ろには少し出ているのですが、「本来、大学教育とは」というのは一番最初の「はじめに」のところかどこかに少しでも入れる必要があると思います。

【中山座長】ありがとうございました。どうぞ、佐藤委員。

【佐藤委員】私、よろしいのですか。

【中山座長】はい。

【佐藤委員】先ほど火をつけたことですが、7ページの「さらに」のところは結局、今申し上げたいのは、この段階ではあまり具体的なことを書かないほうがよかろうという話です。基礎カリキュラムの内容を見直す場合には、教員の在り方だとか実習指導者の在り方等々、教育体制の見直しについてもあわせて検討すべきであるという程度に抑えたほうが、一次報告としては穏当かなと思いました。

 それで最後に座長の言われた8ページです。この8ページの最初の文章、意味不明であります。「教育内容を体系的に教授できるような教育課程が構築されていることから」という前段と、「就労後の研修が重要である」というのはどういう関係で結びついている文章なのか意味不明であります。もう少し丁寧にお書きいただいたらよろしいかなと思いました。

【中山座長】ここは佐藤委員の目から見ると繋がらないのですね。分かりました。ここは繋がっていないということです。他にご意見。村嶋委員、どうぞ。

【村嶋委員】この佐藤委員のご指摘の8ページの「看護師等」に何が含まれるのだろうかというのはちょっと気になるところです。

それから、7ページの下です。「指定規則がこの効果的なカリキュラム構築を阻害する恐れがあるという指摘もある」と書いてあります。その下の2行目には「このような指摘の根拠となる問題点を明確した上で」と書いてあるのですが、私は、指定規則は問題点だけでなく、指定規則があったからこそ担保できたことも随分あると思うのです。指定規則をネガティブにだけとらえないで、そのために担保できた内容があるということをぜひ入れていただきたいと思います。

 それから、もう一つ、資料1のこれが多分、世の中に出回っていくのだと思いますが、黒い枠の下のすぐ上の2)大学における保健師及び助産師教育の在り方のところに、「保健師教育について選択制の導入を可能とする」という文章がございます。ただしその場合には、この第一次報告案6ページの下にありますような3行、選択制の導入を可能として、学士課程の中で実施する場合には、このいろいろな条件が整った場合に行うことができるという、選択制で保健師教育を行う場合には、かなりの条件が必要なんだということを、この図に入れていただきたいと思いました。

【中山座長】これは公にするもの、今日の検討のための骨子ではなくて、今、言っているのは資料1のことですね。資料1はどういう取り扱いになりますか。事務局のほうで。

【新木医学教育課長】これは今日いろいろなご意見で直した部分を本文のほうに反映した後、それを要約、概要として何か簡単な資料が今後PRしていくのに必要になろうかと思いますので、これは本文が直ったらばそれに伴ってこちらも直して、また今のご指摘のように、まだこれで足りないところがあるかどうかというようなことも補って事務局のほうで概要版として使わせていただきたいというふうに思っております。

【中山座長】坂本委員。

【坂本委員】そうすると、例えば先ほどの本文の中では、資料1の2)ですが、「大学における保健師教育及び助産師教育の在り方については、選択制の導入を可能とするということと大学院のことは書かれないのですかね。

【新木医学教育課長】この文章自体、ちょっと読みにくいですが、大学院・専攻科・学部で選択制にするというのは、大学の選択だという意味で書いたのですが、そこのところは今、先ほど来もご議論がありましたので、誤解のないような明解な書き方を工夫したいと思います。

【中山座長】今まではその設置の要件として、保健師の養成課程まで入った形でカリキュラムを作っていたものが、ここのところでは必ずしもそれが入らなくても今後設置の認可ができる形にするという意味では、非常に大きなことになるので線を引いて、ここは強調したのかなと思ったのですが、そういうふうに考えてよろしいんですかね。

 まとめの時間になったのですが、様々なことで必ずしも委員の意見が一致しているとは思いませんので、私もこの後事務局と、副座長とどんなふうにまとめていくのかが大きな課題になっていると思います。ただ、文言が非常に誤解を招きやすい、曖昧なところがたくさん指摘されましたので、それについてはきちんとした形で明確にしていくことが可能ではないかと思っています。今回の第一次報告案の中の大きなところは、今後の課題のところの一番上にまとめられているのだと思います。大学の選択により保健師、助産師教育の在り方を柔軟に設計できるという形を提示していく、これは学部でも選択が可能になるということ、それから大学院、あるいは専攻科を作る、どんな形でもとにかく質がきちんと担保できるような教育をするということを前提として、様々に設計できる、デザインができる教育ということにした。それぞれの理念のもと、社会が大学に期待する役割を見据えた質の高い看護系人材の育成にさらに取組むことが望まれるとなっているのですが、今日、宮﨑委員からも出ましたように、大学の責任において選択をするということは、大学に様々な意味で、質の保証のことも含めて重いものがのしかかるということを意味しているということで、決して簡単なことではなく、大学にとってはかなり厳しい報告案ではないかと私は思っています。大学にとって非常に厳しいことを迫られているのではないかと思いますが、ここは最大公約数でこの報告案の中に盛り込んだということについてはよろしいでしょうか。細かいところについてはまだ検討して、皆さんのほうにお返しする中で多少の議論はあるかと思いますが、ここだけは違っていますと報告書が出ませんので。どうぞ。

【羽生田委員】今まで、統合教育で看護師教育、保健師教育が一緒というのが大学を設置する基準になっていたようです。それが選択になったときにこれは学生が選択するわけですから、例えば100人のところに100人、あるいは100人のところを50人と設定して、選択制で100人の定員のところに50人だけは保健師も取りますという設定をしたときに、現状で見たときにどのぐらいの学生が選択するのですか。

【中山座長】この辺をもう少し明確にして書いたほうがいいのではないかということですが、先ほど言いましたように、助産師もそうですが、保健師の課程のことにつきましては2つのレベルの選択があるわけです。最初から保健師の免許資格が得られるような課程を置くかどうかということでの選択の問題と、置いたときに羽生田委員が言われたようにどのぐらいの割合で選択するかという2つのレベルの選択がこの報告案の中には入るわけなのです。保健師課程を入れたカリキュラムにしますといったときに、どのぐらいどうできるかということについて、これも現状ではきちんとした教育ができるとすれば、自分の大学はこのぐらいまでという形を決めていかなければいけない。その辺の厳しさがあって、多分、村嶋委員はその辺を懸念しているのだと思いますが、地域によってはいろいろなばらつきがある。それで本当にいいのかという問題は残していると思うのです。でも、この検討会でそこまでの規制は、私はかけられないのではないかと思います。そういう意味では、まだ今後の課題を残すところはありますが、各大学がどんなふうにしていくのか、自分たちの理念とともに、あるいは大学の特徴をどういうふうに考えるかというところで決めていかなければならないという厳しい選択を迫られると私は考えたのです。その辺のところで何かコメントがある委員がいましたらお願いいたします。どうぞ。

【坂本委員】助産師教育を考えてみると、大学で同時に養成している人数というのは大変少なく設定しています。これで大変だから人数を少なくして養成していくという大学は、そういう方向性をとっています。けれども、保健師教育では、今まで学部で合体してやっていた状況であるのに、これだけしか養成できませんということが、そうすぐにはできないこともあるかもわからない。それから、今の助産師の学部でやっている教育についても、私はあれだけ制限していることにおいては、学生の選ぶ自由が大変制限されていると思うのです。だから、もう少しどのような方向性で学生が選べるような状況を作ったり、それから、専攻科や大学院のことも作りながら、自由に教育が、キャリアを積んでいけるような形もある程度は作っていくということから見ていくしかないのかなという気はします。

 今、何人というのはとてもじゃないけれども、100人選ばれるかもわからないような気もしますし、ただ、それが本当に今の質というのをこれから保健師の実習等を考えていくとどれだけやれるかということにおいては、それぞれの大学で置かれた環境の中でも考えていかないといけないのかなと思います。

【中山座長】ありがとうございました。非常にそういう意味では看護学の基礎カリキュラムということの問題も含めて重い問題を抱えることになったのですが、ただ、私自身も大学教育に携わる中で保健師の養成課程、教育課程を大学が選択にするということには、様々な疑問があります。それはどういうことかといいますと、この5回の検討会の中でも言われてきましたように、日本の今の保助看法の中で考えますと、看護師と保健師と両方の免許を持つことで国際的にも基準に見合う広い看護活動をやってきたという経緯があると思います。それが看護師だけになったときにどのぐらいまで10年後、20年後に見合うような活動ができるのか、そこも見据えて今後どういう人材をつくっていかなければいけないか。幾つかの国では保健師ということを別資格にしている国もあるのですが、殆どの場合は保健師と看護師を一緒にした形でレジスタード・ナースという形をとっているわけですが、その国際的な基準との兼ね合いで、日本の看護師をあるいは保健師をどうするのかということも一方で考えていかなければならないのではないかと思います。

 助産師はナース・ミッドワイフという形で別なコースを立てている国はかなり多いのだと思うのですが、特に保健師と看護師の問題がこれほど議論になるということは、日本がそういう意味では特色ある形でこれまで来たという経緯があります。その辺のことも踏まえまして、今後どういう形でこの看護師、特に保健師問題に取り組んでいけば社会のニーズに、国際的にも看護師として、あるいは看護職として通用するような人材になるのか、この辺のことも踏まえた上で大学がそれぞれ考えていかなければいけないというところに大変重い課題を抱えていると私自身は思っております。

 様々なことがある中で今日は時間になりましたので、この検討会の第一次報告案の検討はこれで終わりたいと思いますが、副座長の菱沼さんに残っている問題があったら言っていただきたいと思いますが、菱沼副座長、何かありますでしょうか。

【菱沼副座長】昭和27年から看護系の大学ができて以来、看護師と保健師教育をインテグレートとして教育してきたということが変わるということになって、これは、私は非常に大きな変化だと思います。そのかわり、保健師の教育の選択制が広がり、大学院教育も可能になるということでは、かなり幅が広がると思います。

 ただ、今、中山座長が言われたように「国際的に通用する人材」を考えた場合、今の日本の法律で言う看護師では国際的に通用するとは思えません。看護師をどう定義するか、本検討会で既に合意がとれているように、あらゆる健康レベルの人たちに対して看護ニーズに応えるということで合意がとれていますが、これは解釈していることであって、保助看法において定義されておりません。今後、その点も含めて考えていかなくてはいけない課題と思っております。

【中山座長】それでは、今後のことにつきましてですが、今日皆様からいただいた意見を私も全部は覚えていませんので、テープを起こしたりしてピックアップして、皆様からいただいた意見をもとに事務局と相談しながら、第一次報告としてまとめていきたいと思います。副座長の菱沼先生にも協力していただきまして、できるだけ皆さんのご意見の合意がとれたところは盛り込んだ形で入れていきたい。特に文言については慎重を期して使っていきたいと思っております。ただ、これでいいかということの問題がありますので、発言した先生のほうにこういう形で発言の意図が通じているかどうかということで、ご相談させていただくこともあるかと思いますが、そのときはどうぞよろしくお願いいたします。それで最終案をまとめていきたいと思いますが、最終的には皆様のほうにご確認いただくという形をとりながら、私と副座長の菱沼委員、事務局とで今日のご意見は取りまとめさせていただきたいのですが、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山座長】それでは、取りまとめたものを皆様のほうにご確認いただくという形をとりまして、最終的に公表できるものにしたいと思っています。短い時間の中での作業になるかと思いますが、先生方にもご協力をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、少し時間が超過してしまいましたが、最後に事務局のほうにマイクは回したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】ありがとうございました。本日はマイクの不調などもあって、いろいろ不手際があったことを最初にお詫び申し上げます。また今回報告が座長預かりになったということですので、ここで審議官の戸谷からご挨拶を一言させていただきたいと思います。

【戸谷審議官】もう時間も超過しておりますので、長々とは申し上げませんが、お忙しい中、3月から計5回、本日もかなり精力的にご審議いただきまして、私ども不手際もございまして、大学教育の本質を巡るいろいろな言葉の使い方、あるいは定義の問題、その他いろいろ本日ご指摘いただいたことは大変深く反省いたしておりまして、その点も含めてきちんと整理した上で最終的には報告書として世の中に出していくということかと思っております。

 それから、本日はご議論いただいたこの大筋の方向につきましては、確かにこれまで一律に看護師と保健師の教育を学士課程で実施してきた看護学基礎カリキュラムを解くという意味では、大変大きな変更点だと私どもとしても認識いたしております。またその結果として、各大学によりまして看護師の教育だけなのか、あるいは選択制として保健師、助産師を用意するのか、あるいは全部パッケージでお考えになるのか、極めて幅広い選択肢が生まれているということでございまして、ここにつきましては、各地域あるいは各大学のポリシーに応じて今後いろいろお考えいただきたいということでございますが、おそらく私どもといたしましては、まだ先の話になりますが、今後そういう多様性が生まれたことによっていろいろな形ができてくるという中で実際にどういう方々が本当に養成をされて、それが世の中でどういう活躍をされているのかということについて、ある意味では定期的にきちんとフォローしていくといったことも大事かと思っておりますので、大学ではそういった考え方も含めて最終的に世の中に説明していくといったことも大事かなということを今、思い至りました。

 いずれにいたしましても、これまでのご審議、大変ありがとうございます。まだ課題は引き続き残っておりまして、大変お忙しい中で恐縮でございますが、また引き続きご検討をお願いすることになりますので、またぜひよろしくお願い申し上げます。

【中山座長】どうもありがとうございました。1が終わっただけだと言われまして、まだ2、3があるようですので、皆様とまた2、3と進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、事務連絡は他にありますでしょうか。

【小山田看護教育専門官】今回の開催案内とともに、7月、8月の日程を頂戴しておりましたが、報告書が座長預かりとなったことで、この処理等の時間もかかりますので、次回、第2、第3の課題に関する会議については別途日程調整をさせていただこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

【中山座長】ありがとうございました。15分の超過になってしまいましたが、今日の会議は閉会といたします。本当にご協力ありがとうございました。

 

お問合せ先

高等教育局医学教育課看護教育係

看護教育専門官 小山田

看護教育係 中村 坂本 山口
電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2906)03-6734-2508(直通)

(高等教育局医学教育課看護教育係)