大学入学者選抜協議会(第8回)議事録

1.日時

令和3年9月27日(月曜日)10時~12時

2.出席者

委員

川嶋座長、沖座長代理、石崎委員、泉委員、今岡委員、圓月委員、大林委員、岡委員、柴田委員、島田委員、杉本委員、竹中委員、長塚委員、安井委員、山本委員

文部科学省

増子高等教育局長、森田大臣官房審議官、新田大学振興課長、前田大学入試室長、中村大学入試室室長補佐、田崎初等中等教育局情報教育振興室教科調査官、大塚初等中等教育局情報教育振興室室長補佐、 他

3.議事録

【川嶋座長】 
 福岡県立大の柴田先生,まだちょっと接続が悪くてお入りになっていないんですが,定刻になりましたので,ただいまより,大学入学者選抜協議会の第8回を開催したいと思います。皆様におかれましては,御多用中の中,御参加いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の議題は,1つ,令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの『情報Ⅰ』の経過措置について,2つ,その他となっております。
 まず,事務局に異動があったということですので,事務局から御紹介いただくとともに,併せて本日の配付資料についても御確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【前田大学入試室長】
 おはようございます。大学入試室長,前田でございます。
 まず,事務局の異動について,御紹介させていただきます。9月21日付で,高等教育局長としまして新たに増子が着任しております。一言,御挨拶を皆様方に差し上げたいと思います。
【増子高等教育局長】
 おはようございます。今,話がありましたように,先週の9月21日付で高等教育局長を拝命しました増子でございます。よろしくお願いいたします。委員の先生におかれましては,日頃から大学入学者選抜の改善について御理解と御協力を賜り,改めて感謝申し上げます。
 本日は令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストに出題する『情報Ⅰ」の経過措置の取扱いについて引き続き御審議いただくこととなります。特に今回全ての大学生がデータを基に事象を適切に捉え,分析,説明できる力を習得するため,高校における必履修科目『情報Ⅰ』の学習成果を入学者選抜でも評価できるよう,大学入学共通テストの出題科目として設定したところでございます。文科省といたしましては,各大学の2年前予告の準備や,受験生が安心して進学準備に取り組んでいただけるよう,速やかに経過措置の取扱いの方針を定め,大学,高校関係者へ周知できればと考えておりますので,御審議のほど,何とぞよろしくお願い申し上げます。
 以上,簡単ですが,私の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【前田大学入試室長】
 それでは,本日の配付資料の確認をさせていただければと思います。配付資料,資料1-1,それから資料1-2,資料2,資料3でございまして,参考資料は1から10までございます。これに加えまして,今日,御議論いただきます川嶋座長のペーパーにつきまして,事前に先生方にお送りさせていただいたところでございますけれども,全高長の杉本先生から頂いた文書につきまして提出をしたいという御要望がございましたので,それも別途,配付をさせていただいているところでございます。
 なお,本日もウェブ会議での開催でございますので,御発言の際は挙手ボタンを押していただきまして,指名された後に御発言をお願いします。また,聞き取りやすい発言,資料参照の際の該当ページのお示し,ハウリングを避けるため,指名後のミュート解除,発言後のミュート戻しなど御協力をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 それでは,早速議題(1)に入りたいと思います。議題の(1)は令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの『情報Ⅰ』の経過措置についてです。
 まず,先日13日,開催されました大学入学者選抜協議会第7回では,『情報Ⅰ』の経過措置に関する論点ペーパーを基に終始,御議論いただいたところでございます。その場でいただいた御意見等を踏まえて,改めて資料1として,『情報Ⅰ』の経過措置の取扱いについて,私のほうで案を作成いたしました。
 なお,この資料1-1につきましては,16日にあらかじめ各委員の先生方に送付し,意見照会をさせていただいたところですけれども,各団体等から御提出いただいた意見のうち,反映できる内容については一部修正しております。
 それでは,まず私から,資料に基づき説明をさせていただきたいと思います。資料1-1を御覧ください。
 『情報Ⅰ』の経過措置の取扱いについて(案)。協議の前提。大学入学共通テスト(以下「共通テスト」という。)は,大学への入学志願者を対象に,高等学校の段階における基礎的な学習の達成の程度を判定し,大学教育を受けるために必要な能力について把握することを目的としており,そこで出題される科目のうち,受験生にどのような科目を課すかは,各大学が入学者受入れの方針,いわゆるアドミッション・ポリシーに基づき,個別学力検査やその他の資料と組み合わせて判断するものである。
 その上で,導入趣旨を踏まえ『情報Ⅰ』を課す大学において,旧教育課程を履修した既卒者等(以下「既卒者」という。)に適切な配慮ができるよう,経過措置について,大学・高等学校関係者で合意形成を図るものであると。
 協議の経過。大学入試センター試験では,新学習指導要領の実施に伴い出題教科・科目を改める際には,既卒者に対する経過措置を講じ,既卒者のうち希望する者が,経過措置問題により受験することとしてきた。
 令和7年度大学入学者選抜に係る共通テストから出題する『情報Ⅰ』については,共通第一次学力試験,大学入試センター試験を通じても,教科として初めての追加の出題になることから,『情報Ⅰ』とは目標,内容等が大きく異なる現行の「社会と情報」または「情報の科学」を履修した既卒者への配慮について,特に検討が必要となった。
 このため,大学入学者選抜協議会において,A案,すなわちセンターにおいて経過措置問題を作成する及びB案,すなわち経過措置問題を作成せず,各大学において措置を講じるについて協議した。
 まず,A案については,1,「社会と情報」「情報の科学」に関する問題作成の蓄積がなく,『情報Ⅰ』とはその目標,内容等が大きく異なるため,それぞれの学習の達成の程度を判定する試験は作成できたとしても,測定できる能力は同一ではなく,難易度の調整には困難が伴うこと。2,既卒者にとっては共通テストで課されることを前提に学んでいなかった科目であり,令和7年度入試を受ける際には,現役時には課されていなかった科目が新たに経過措置問題として課されることになるが,そのことが妥当かどうかといった意見があった。
 次に,B案については,1つ,経過措置問題を作成しない場合,卒業見込み者と既卒者の成績をどう調整するか検討が必要となるが,それを各大学に委ねることは,『情報Ⅰ』を利用する大学によって対応がまちまちになり,受験生が混乱するおそれがあること。2つ,利用方法に関する統一的な指針の策定については,各大学はアドミッション・ポリシーに基づき,多様な形で共通テストを利用していることから,大学間で統一した方法を取ることについて合意形成が困難であり,指針の内容によってはかえって『情報Ⅰ』を導入する趣旨が損なわれるおそれがあるといった意見がある。
 このように,A案,B案ともに課題があるが,A案の課題については,次項のとおり,予想される課題に対応することで,受験生の立場に立ったより適切な対応が可能になると考える。
 そこで令和7年度大学入学者選抜に係る共通テスト出題科目『情報Ⅰ』の経過措置(案)。令和7年度大学入学者選抜に係る共通テストから新たに『情報Ⅰ」を出題するに当たり,既卒者に経過措置問題を作成することについては,新教育課程の「情報Ⅰ」と旧教育課程の「社会と情報」「情報の科学」の目標,内容等が大きく異なること。前年度までは共通テストの試験科目として課されることがなかった科目が出題されることなど,従来の経過措置とは異なる点あるが,既卒者,卒業見込み者の双方に配慮し,以下の点を踏まえた上で,既卒者のうち希望する者に選択可能な経過措置問題を出題することが,より適切であると判断される。
 1つ,大学入試センターは,新教育課程における『情報Ⅰ』及び旧教育課程における「社会と情報」「情報の科学」のそれぞれの科目の目標,内容等に基づき,既卒者が選択可能な経過措置問題を作成する。経過措置問題の作成は,他教科と同様,1年に限る措置とする。その際,既卒者用に経過措置科目を出題するか,『情報Ⅰ』の試験問題の中に既卒者用の選択問題を出題するかは,今後,大学入試センターにおいて検討する。2つ,得点調整においては,実施を望む意見が多いことを十分踏まえつつ,大学入試センターにおいて,得点調整の対象とするかどうか及び対象とする場合の方法について,専門家の意見を聞いて検討する。3つ,大学入試センターは,令和4年度中に試作問題(経過措置問題を含む)を公表する。4つ,各大学アドミッション・ポリシーに基づき,『情報Ⅰ』の扱いも含めて,令和7年度からの共通テストの利用科目について,2年程度前を待たず,可能な限り早期に決定し,各大学のホームページ等で公表する。なお,出題に当たっては,アドミッション・ポリシーに基づき,その考え方について明確にするよう努める。5つ,各高等学校は,既卒者となった場合には新たに『情報Ⅰ』の経過措置問題が出題されることについて,生徒への周知に努める。
 以上,前回からの意見交換等を踏まえて,今回,私のほうで修文した上で,改めて案を提示させていただいたところでございます。
 それでは,今,御説明した資料1-1を踏まえて,各大学が教育委員会等に通知する実施大綱の予告の補遺の案文を作成しましたので,事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【前田大学入試室長】
 それでは,資料1-2について御説明したいと思います。通し番号3ページからでございますけれども,前回,9月13日のときには『情報Ⅰ』の経過措置については検討中ということで,それ以外の部分について御審議をいただいて,御了承いただいたものでございます。したがいまして,3ページは今,お示ししている画面上に写っているところのページについては,前回,御審議をいただいたものでございます。
 4ページ,次のページでございますけれども,現行の教育課程履修者への経過措置といたしまして,黄色のマーカーが今回新たに入れているところでございますが,今,川嶋座長から御説明があったものの内容を踏まえているものでございますので,それは川嶋座長のペーパー次第でございますけれども,それを踏まえますと,2行目から3行目,これは経過措置科目を出題するその詳細については入試センターが定めるものとするということで,前回の経過措置の議論を踏まえたものでございます。
 下のこれが『情報Ⅰ』の書きぶりでございまして,新たな出題科目『情報Ⅰ』については,現行の教育課程における選択必履修科目「社会と情報」「情報の科学」に対応する経過措置を講ずることとする。経過措置科目を出題するか,『情報Ⅰ』の試験問題の中に選択解答できる問題を出題するかは,今後,大学入試センターにおいて検討するとしてございます。また,一方,理科については,前回,御審議いただいた文言のとおりでございます。
 補遺の説明につきましては,以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 それでは,質疑応答に入りたいと思いますが,今,御説明いただいた補遺,資料1-2は前回了承されたものに本日議論していただく内容が反映されることとなっておりますので,まずは先ほど資料1-1を基に私から経過措置の(案)について御説明させていただきましたが,この経過措置の取扱いについての案文について,意見交換を行いたいと思います。
 御意見,御質問がありましたら,どなたからでも結構ですので,挙手ボタンでお知らせいただければ順次,御指名させていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
 それでは,杉本委員,どうぞ。
【杉本委員】
 では,よろしくお願いいたします。
 全高長では,川嶋座長より示していただきました『情報Ⅰ』の経過措置の取扱いについて(案)に対する意見については,本日提出させていただきました,これは,全高長がどのように考えているのかを説明するために添えさせていただきました。
 大学入学者選抜は各大学の方針と責任の下,実施することが原則である。これについては,了解しております。しかし,令和7年度において,浪人した場合に新教科「情報」が課されるという既卒生の不安は決して小さくはありません。これは初めて実施された共通テストの既卒生受験者が数万人単位で減少したことからも明らかだと思います。また,高校の現場では浪人した場合の負担を考え,現役での合格を優先するために,第1志望の受験を断念する生徒が出るなどの影響も懸念されます。そこで新旧の教育課程履修者が混在する導入初年度に当たる令和7年度に限っては,既卒生の影響を最小限にとどめるため,大学入学共通テストを利用するそれぞれの団体が,一律に教科「情報」を課すことを推進するのではなく,あくまでも各大学の方針と責任の下,真に必要な大学,学部,学科が課すように適切に選択していただくことを強く要望いたします。
 また,経過措置案,(4)のなお書きに,出題に当たっては,アドミッション・ポリシーの考えについて明確にするよう努めるとあります。この内容については,共通テストにおいて「情報」を課す理由をアドミッション・ポリシーとの関連を明らかにして丁寧にお示しいただくとともに,あくまでも志願者の納得が得られるよう,説明責任を尽くしていただきたいと考えております。何とぞ御理解,御協力のほど,よろしくお願いいたします。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 今,杉本委員から御説明のあった内容を,私の案では2ページ目で(4)のところに,その意が分かるような形で表現させていただいたところでございます。
 山本委員,どうぞ。
【山本委員】
 今,杉本委員から御発言のありました(4)のところですが,この後に,なお「出題に当たっては」云々と書いてございます。新たに付け加わったところだと思いますが,この「出題に当たっては」というところは,「利用に当たっては」のほうが妥当ではないかと思います。これはこの文章全体の主語が各大学なのでというふうに思いますがいかがでしょう。
【川嶋座長】
 御指摘ありがとうございます。共通テストに関しての出題はセンターのほうで考えていただくということです。了解いたしました。
 沖委員,どうぞ。
【沖座長代理】
 ありがとうございます。
 まず最初に,杉本先生に今,御説明いただいた趣旨について,ちょっと一,二点,確認をさせていただいた上で,改めて質問というか御意見申し上げたいと思います。
 お出しいただいている資料を拝見すると,今回,特に川嶋先生の文章ですと(4),御提案いただいた修正案ですと(3)のところの今,山本先生が御指摘した,関連しているところですけれども,『情報Ⅰ』を課す場合は課す理由をアドミッション・ポリシーとの関連を明らかにして丁寧に説明するとともにという,説明責任を云々というところですが,この話は令和7年度の措置の問題に限定されているのか,あるいは,この文章はそもそも令和7年度からの共通テストとなっていますから,『情報Ⅰ』を出す限りは必ずアドミッション・ポリシーに『情報Ⅰ』をなぜ出すのかを書かなければならないという御提案なのか,どちらなんでしょうか。
【川嶋座長】
 杉本委員,どうぞ。
【杉本委員】
 御質問ありがとうございます。
 やはり令和7年度はかなりの部分で混乱を来すことが想像されますので,できればそれを避けたいと我々は思っております。ただ,「情報」を課すことの意義については十分理解しているつもりでおりますので,令和8年度以降については,もちろん丁寧に説明を果たしていただくことについては望むところではありますけれども,令和7年度のように,限定的にというふうには全高長としても考えておりませんので,とにかく7年度はというところで御理解いただけたらと思います。
【沖座長代理】
 ありがとうございます。川嶋先生,引き続きよろしいでしょうか。
【川嶋座長】
 どうぞ。
【沖座長代理】
 では,今の点ともう1つ,極めて細かい点を2つ,ちょっと申し上げます。
 川嶋先生の文案ですと,新たに足されました(4),2ページ目の最後の部分にありますが,これが今,私がちょっと質問をして確認をしましたけれども,『情報Ⅰ』の扱いも含め,令和7年度からの共通テストの利用科目についてなので,実は全部を網羅した話を始めているんです。なので,これをこのまま出してしまうと,全て共通テストで使う利用科目について1つ1つこれを使うのは,アドミッション・ポリシーではこうだということを書けというふうに読み取られかねない内容になっています。しかもそれは2年前周知の話よりももっと前にずっと出せという話になっていますので,これはこれで1つの考え方ですけれども,ちょっと趣旨としてよく分からないといいますか,「からの」という問題もありますし,あと利用科目全体というよりは,ここはあくまでも『情報Ⅰ』の経過措置の話をしているということをもう少し明確にしていただいたほうがよいだろうと思います。少なくとも令和7年度からのと言われた瞬間に,全部に,これ以降,常にという話になりますから,今,杉本先生の御意向で言えば,7年度はという話だとすれば,その辺りがより分かる形に,「から」を取るだけでもいいかもしれませんけれども,ちょっと文案について御修正いただきたいというのが1点目です。
 もう1つ,ちょっと確認しないといけないのは,実は今も,例えばこれはある大学のアドミッション・ポリシーなんですけれども,「一般選抜の前期日程では高等学校で履修した教科の幅広い基礎学力を大学入学共通テストで評価するとともに云々」となっていますから,『情報Ⅰ』も実はこの幅広い基礎学力をというところにも入ってしまっているので,この点からもあまり『情報Ⅰ』を何か過剰に強調する話にするというよりは,繰り返しになりますけれども,令和7年度に限定した話だということを,やはりここではちょっと強調していただいたほうがいいかなと思うわけです。アドミッション・ポリシーに入れたり,消したりという話自体がちょっと大学の方針がぶれるという話になりますので,その辺り,あまりアドミッション・ポリシー云々というよりは,だったら場合によっては受験生の状況を踏まえて,令和7年度については慎重に検討するみたいな話だけでも大学側は多分きちっと考えて必要なところが利用する,まだ様子見のところはあまり利用しないという話に合理的に判断されるのではないかというふうに私としては見ていますというのが1つ,御意見です。
 もう1つは細かい話で,これは山本先生に御確認ということになりますけれども,経過措置のことについて,問題の出題の方法については,大学入試センターで今後,検討していただけるという提案になっていますけれども,特に経過措置の問題をつくる場合に,旧課程における「社会と情報」という科目と「情報の科学」という科目の2つを独立して作問する可能性がある。さらに『情報Ⅰ』ですから,結局この枠では,令和7年度の入試に関しては,3つの科目の問題が出題される可能性もあるし,『情報Ⅰ』の中で旧課程の問題が選択科目として用意される可能性もあると。このいずれかについて,できるだけ早く大学入試センターで検討していただいて,結果を公表していただくという流れで理解してよろしいかどうか確認させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】
 まず,今の最後の御質問について,山本理事長,お願いします。
【山本委員】
 沖先生,ありがとうございます。
 先生,おっしゃるとおりでございまして,これは既にこの協議会でも私から発言させていただきましたように,現在の旧「情報」,旧という形で申し上げますが,「社会と情報」が今,約8割程度と聞いております。したがって,「情報の科学」のほうが2割程度ということで,それと新しく『情報Ⅰ』がありますから,3つをどういうふうにやるかということで,これは今日の補遺のところにも書いていただいていますように,そういったことを別々にするのか,あるいは共通のものでうまく選択問題なんかで対応できるのか,沖先生が今,御発言いただいたように,我々のところの情報関係の専門家の中で議論をもう既に開始しているところでございまして,決まり次第,できるだけ早く公表したいと考えております。
 以上です。
【川嶋座長】
 沖先生,よろしいでしょうか。
 表現については,また後に回答させていただきたいと思います。
【沖座長代理】
 結構です。
【川嶋座長】
 石崎委員,どうぞ。
【石崎委員】
 石崎でございます。よろしくお願いいたします。
 1つ質問させていただきたいんですけれども,1ページの協議の経過の下から2段落目のA案についてはの2)のところですけれども,結局,現役時には課されていなかった科目が新たに経過措置問題として課されることになるが,そのことが妥当かどうかということについて,受験生の立場に立って,より適切な対応が可能になると考えられるという2ページのところのどれが対応するのか,その妥当性について,どのようにお考えなのかをお聞きしたいと思います。全高長としては,高校側としては,「情報」を導入すること自体にはもちろん反対していませんし,その趣旨は理解しています。ただ,1年目だけは浪人生がいるからできるだけ使わないようにしてほしい。どうしても使うんだったら必ず経過措置問題で対応してくださいという最初の話をしたはずです。それが経過措置問題をつくるか,つくらないかということだけで議論が今,進んでいるので,経過措置問題をつくるというA案のほうに全高長が入っていることになっているんですけれども,繰り返しになりますが,導入は反対しませんけれども,1年目だけは浪人生のためにできるだけ使わないでほしいというのが高校側の立場でございます。どうしても使うんだったら経過措置問題をつくってほしいということで,我々としては導入1年目の浪人生が情報を受験することを妥当だとは思ってないんです。だから,そのところをどう文の中で捉えていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】
 これまで,今,岡先生もお手を挙げて,幾つかの団体から経過措置問題,「情報」は必ず出題する。これは決まっていることで,その際には公平性の観点から,経過措置問題を出すべきだという御意見が多くの団体から出されたということであります。そこで経過措置を取るというA案の方向になって,提案させていただいているわけですけれども,その際には石崎先生,杉本先生の御提言のようにできるだけ,とりわけ既卒者にとっては負担が大きいのではないかということで,今回,2ページ目の(4)のところに書かせていただきましたように,あくまでもそれぞれの大学,課す場合はアドミッション・ポリシーに基づいて,説明を丁寧にした上で課してくださいという流れとして,今日のペーパーを作らせていただいているということでございます。
 あわせて,先ほど沖委員からの御意見ですけれども,御承知のように,令和7年度からは新たに新学習指導要領の下で学んで,これまでの5教科30科目から6教科21科目に大きく変わる。出題教科科目も変わるということがありますので,『情報Ⅰ』の扱いも含めて新たに出題科目等が変わる共通テストをどのように利用するかについては,できるだけ早く,丁寧にアドミッション・ポリシーに基づいて御説明していただいたらどうかという趣旨でございます。
 それでは,柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。
 先ほどの沖先生の御意見についてでございます。確かにこの文章,トップの囲みのところに令和7年度という限定が大きくついていますので,多分この(4)の内容も令和7年度に限定されるものであろうというのは分かるんですけれども,読んでみますと,7年度からの『情報Ⅰ』の扱いも含めという具合になっていますので,新しい学習指導要領に対応した各大学の利用というのは早めにやってくださいというのが前段という具合にも読めるわけでございまして,全高長会から出ている趣旨をさらに強調するためであれば,「なお,令和7年度の利用に当たっては,アドミッション・ポリシーに基づき、その考え方につき」というような,再度,念を押すというのが1つあろうかと思います。
 それから,沖先生がおっしゃったアドミッション・ポリシーというのは,大学の入学者選抜の根幹に関わることで,あまり具体的なことは書かない。各大学,確かにそうでございますけれども,この文章をよく読んでみますと,なお,その利用に当たってアドミッション・ポリシーに基づきという具合になっていますから,それから一段階下の利用の考え方について,令和7年度はさらに明確にしていただきたいという要望として,各大学にお願いしたほうがいいのではないかなと思います。一般にアドミッション・ポリシー,大学の認証評価なんかでもチェックが入るんですけれども,非常に抽象的な高邁な理想みたいなところにとどまっているところもありますので,それではこういうものには適用できない。もうちょっと具体的に,令和7年度については,特に明示していただきたいというニュアンスにされたらいかがと思います。
 以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 続きまして,岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 ありがとうございます。
 国大協としては,終始申し上げていますように,皆様と同じように情報に関する教育は非常に重要だと思っておりまして,この件についてもしっかりと対応したいと考えております。
 幾つか少し質問がございまして,「情報」で選択問題になったときにも,得点調整は可能なのかということを少しお伺いできたらと思います。というのは,国大協としましては,情報に関する問題が程度が違うということも理解しておりますので,得点調整は必須ではないかと思っておる次第です。
 (4)で大学ができるだけ早くというのは,これも大学側からも,皆さんのほうからも国大協,国及びセンターが早く決定していただきたいということを言っておりますので,その決定が発表され次第,大学としては,国大協としては,対応したいと思っています。
 それから,先ほど令和7年度のことを柴田委員から御指摘ありましたけれども,確かにそのようにアドミッション・ポリシーではなくて,7年度についてはというような言い方がより適切だと私どもも考えます。
 以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 得点調整については,これまでもセンターからいろいろお考えをいただいているところですが,今の岡委員から改めて御質問について,何か山本理事長,コメントございますか。今後,検討するということなんですけれども。
【山本委員】
 入試センター,山本です。
 これも何度もこれまでもこの協議会の中で申し上げてきましたし,今,座長が言われたように今後,検討するということでございます。改めて申し上げますと,この旧課程,新課程,その科目の目標とするところが相当違います。だから内容も相当違う。こういったものの点数を,分かりやすく言えば平均点でしょうか。これをできるだけそろえるような努力をするということが妥当なのかどうか。これはなかなかテスト理論的にも合理的な説明ができないと思うんです。ただ,そうは言っても,今,岡委員からございましたように,やっぱりそれは大きく点数が開いたときに非常に不公平感が出るんじゃないかというような御意見もありますので,これから前回,前々回ですか,申し上げましたように,得点調整判定専門委員会という統計学その他テスト理論の専門家から成る専門委員会で議論していただくということになろうかと思います。
 繰り返しになりましたが,以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。
 現状ではまだ方向性は明確ではないということで,今後さらに検討するということのお答えでした。
【山本委員】
 先ほど申し上げましたように,目標をするところが違う,内容が違う,それから相当レベルも違う。こういったことに対応するそれぞれの問題の得点調整をすることが妥当かどうか。これはもう今,情報の専門家のところで,昨年から,どうしていくかということをいろいろ議論しておりますけれども,そういった内容がどの程度になるかということも踏まえた上で,得点調整の判定専門委員会のほうでいろいろ御議論いただきたいと思っています。今,直ちにできます,できませんと言える話ではありませんということです。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。どのように新旧両課程を出題するかも今後の検討ということなので,それによっても得点調整が必要なのか,必要でないのかも変わってくる可能性があるかと思いますが,ほかの委員の方々,何か。
 長塚委員,どうぞ。
【長塚委員】
 ありがとうございます。
 座長案の2ページの前文の最後のほうに,既卒者のうち希望する者に選択可能な経過措置問題を出題することが云々と書いてあるんですが,既卒者のうち希望する者にという意味合いが若干分かりにくいということはないでしょうか。これは経過措置問題を受けなくてもいいことも前提としているのか,そうではなく,「情報Ⅰ」か経過措置の問題のどちらかを選べということなのか。大方はその場合には経過措置ということにならざるを得ないんだろうとは思いますけれども,受けなくていい自由度というのは各大学さんが,そもそも『情報Ⅰ』を課すか,利用するかによるところですが。その際に全高長さんは必ず経過措置をセットということをおっしゃってはおられましたけれども,そもそも経過措置問題は使わない。『情報Ⅰ』は課すけれども,経過措置の問題は公正性に欠けるから,我が大学としては使わないということもあり得るのか。各大学がポリシーによって決めるということですから,高度なものを求めたいという場合には『情報Ⅰ』しかないと考えれば,経過措置は使わないという判断もあり得るだろうと。その場合にはB案に近くなってしまうんですが,私どもは改めてこの座長案に対して,私立の中高連で意見を確認したんですが,やはり経過措置問題をつくることによっての影響は大きいと。既卒生徒に納得した,理解を得られるのかということはなかなか難しいんじゃないかという意見がほぼ全てだったんです。
 ということを踏まえると,長くなって恐縮ですが,各大学が経過措置問題を出すことについても各大学のポリシーによって決めることであろうし,受験生にとっても既卒者はそれを選択する,受験しないことも選択できるようなことも大学さんが決めることにならざるを得ないのだと思うんですが,そういうことになるのかなと思っておりますが,その点がどうなのかを確認したかったわけです。もし各大学さんが経過措置問題も含めて利用するかどうかということを決めるのであれば,(4)の1行目に『情報Ⅰ』の扱いも含めと書いてありますが,『情報Ⅰ』及び経過措置問題の扱いも含めというふうに,ここはむしろ明記しておいたほうがいいんじゃないかと思ったところでございます。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 今回は初めてのケースなので,これまでとは違うとは思いますが,これまでの経過措置問題の対応について,私の理解では,新課程,旧課程どちらの科目を受験しますかというのを出願時に選択していたと思うんですが,今回は結局,先ほどの議論に戻ると,どういう形で,経過措置問題がつくられるかによって,今,長塚委員から御指摘あったように,大学で判断できるものなのか,『情報Ⅰ』という形で,その中でどちらを受験するということをあらかじめ出願時に選択するのか,それについてはどういう形で出題されるかによって,今後,取扱いが違ってくるのではないかと思います。今後,どういう形で経過措置問題が出題されるかによって,受験生がどういう形で出願時に選択できるのか,あるいは大学が利用する際にどういう形で利用できるのかが変わってくると思うんですが,山本理事長,何か今の長塚委員の御質問についてご意見ありますでしょうか。
【山本委員】
 私でしょうか。ちょっと今,長塚先生のお話の中に『情報Ⅰ』及び経過措置というふうなことに変えたらどうかという御意見がございましたが,『情報Ⅰ』を課す大学があるとして,『情報Ⅰ』を課すといったときに『情報Ⅰ』は自分たちは,過年度生は習っていないので,経過措置問題を出しますよということなんだろうと思います。ただ,大学は募集要項というか2年前予告のときに,『情報Ⅰ』を課します,ただし,経過措置問題の受験は駄目ですよという書き方はあろうかと思うんですよね,極端な場合に。だから,ここでどういうものを出しますかといったときに,さっきの補遺のところに教科「情報」で出題科目は『情報Ⅰ』というふうに書いています。これは過年度生については経過措置問題をこういう形でつくりますということが発表されたことをもって,科目としては『情報Ⅰ』を出すということだろうと思うんです。ほかに何か具体的な質問でもございましたらお伺いしたいと思います。
【川嶋座長】
 長塚委員,どうですか。
 恐らく私学は,例えば選択科目の1つとして,『情報Ⅰ』を現役生には受験できる,あるいは既卒者には選択科目の1つとして受けるか,受けないかという選択,そういう利用の仕方はあろうかと思いますが,圓月委員,先ほどからお手が挙がっていますけれども,いかがでしょうか。
【圓月委員】
 圓月です。それでは,少し発言させていただきます。
 今回の問題は,それぞれ本当に一長一短があって,苦渋の決断をしてくださったものと思っております。基本的にはこの方針で協力していきたいというふうに私立大学連盟では思っております。ただし,最後の(4)のところ,やはりこの『情報Ⅰ』の扱いがどこまでを指すのか。すなわち,令和7年に向けて,その他の科目なども含めて入試改革なんかを考えているとき,2年前ルールをさらに先立って,できるだけ早く公表していかなければならないのかという点について,大学の中で戸惑いが出てくるのではないかなと思っております。また,できるだけ早く公表することが望ましいという御判断,特に高校の御希望というのはよく理解できます。ただし,(1),(2),(3)にありますとおり,経過措置問題を出題するかあるいは選択問題にするか,あるいは得点調整をするか。試作問題等の検証なども済んでいないと,なかなか大学でこの『情報Ⅰ』の扱いについて決定することは難しいので,できれば一連の日程として示していただきたいと思っております。
 先ほど沖委員が言ってくださったとおり,やはりこれは令和7年に限定するということを明確にしていただきたいと思っています。全高長さんの御意見は大変よく分かるんですけれども,特に情報が必要な学部・学科という形で言っておられますが,現在,情報関係とか理工系だけではなくて,例えば人文系でもデジタルヒューマニティーズという学問が非常に盛んになっております。例えば大学共同利用機関の中にも,国文学研究資料館というのがあって,こちらは文科省などの支援も受けて,データベースやデジタルアーカイブの構築をなさっておられます。入試科目にどのような形で取り上げるにせよ,やはり『情報Ⅰ』で教える高校生全てが学ぶべき学力というものを前提とした教育や研究が進んでいくと思います。その辺りにも配慮して,『情報Ⅰ』というのが非常に特殊な分野でだけ必要な,特殊な科目なのだという誤ったメッセージを発しないようにと,くれぐれも最終文案では気をつけていただきたいと思っています。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。
 情報教育の意義は御指摘のように,プログラミングのような思考様式が非常に重要だと言われていますし,試作問題というか,この前,公表された問題でもそういうプログラミングの問題も出されておりますので,単に技術的な話ではないという,もっと思考力に関する内容なので,御指摘のように文系,理系を問わず今後,必要な能力,資質なんだろうとは思っております。
 ほかに御意見,ございますか。
 今,この座長案については,ペーパーの2ページについて,幾つか御意見がございました。特に(4)のところの表現については,最後のなお書きのところは,複数の委員の方々から令和7年度の『情報Ⅰ』の利用に当たってはという留意事項の表現にしてはどうかというお話がありましたが,その前の文章は,先ほど申しましたけれども,新たに共通テストの教科科目等も変わりましたので,情報に限らず共通テストをどのように利用するかは,いずれにしても2年前程度告知にかかわらず,できるだけ早く決定して,公表するということには特に御異論はないのかなと思います。その後のなお書きのところについては,御意見いただいたのを取り込んでみたいと思います。
 いろいろ御意見いただきましたけれども,1-2の補遺の案については,この座長ペーパーで,修文を少し加えるにしても,内容的にはこのイエローで強調したところですけれども,特にこれ以上,修文する必要はないのかと思います。山本理事長からのお話もありましたように,今後,できるだけ速やかにセンターのほうで,出題,経過措置問題の在り方あるいはさらに試作問題の作成公表,それから得点調整等の検討を進めていくということでしたので,補遺についてはこれ以上,詳細を書くのは現状では難しいだろうとは思っております。
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,二,三,修正すべき御意見がございましたので,座長ペーパーについては御意見を伺っていますので,それを基に少し事務局と調整しまして,最終的には私と事務局に御一任いただきたいと思っております。また,補遺については,今回の資料1-2の案文で了解されたということにさせていただきたい。
 山本理事長,御意見ございますか。
【山本委員】
 ありがとうございます。
 今,座長からございましたように,補遺についてはこれでということで,経過措置問題を作成することとして,『情報Ⅰ』を科目の中に入れていくということでございました。今日は『情報Ⅰ』の経過措置問題ということで議論があったわけなんですが,既に9月7日,前々回ですか,第6回の協議会としても,地理歴史,公民,数学,場合によっては理科についても経過措置問題を作成するということが決められて,今日,新たにこの情報についても,新たに設定された科目であるけれども,経過措置問題をつくるということになったところでございます。これらの経過措置問題の作成は,もう既に釈迦に説法かもしれませんが,通常の問題作成とは別途に,通常の問題作成と同様の体制で行うことになります。ですから,実際の本試験の問題をつくる令和5年度,6年度には,相当の人的あるいは財政的負担が新たに生じることになります。関係者の皆様方には格段の御協力をお願いしたいと思っております。
 具体的には,大学の共通テストの問題作成といいますのは,既に御承知だと思いますが,大学あるいは都道府県教育委員会からの専門家の派遣によって成り立っているところでございます。ですから,各大学におかれましては,問題作成委員の派遣をどうぞよろしく,何度も言っていることですが,改めてお願いしたいと思います。特に近年,大学での業務の増大に伴いまして,問題作成委員の確保は大変困難になりつつあるという現状がございます。その上に新たに数科目の問題作成体制を組まないといけないということで,改めて,この問題作成委員の派遣をお願いしたいと思っております。
 また,都道府県教育委員会におかれましては,問題点検委員あるいはこういった先生方の派遣をぜひともお願いいたしたいと思っておりますし,文部科学省におかれましては,必要な財政措置及び丁寧な対外的な説明,それぞれ格段の御支援をお願いしたいと考えております。
 さらに,今日,議論のありました新たに出題することになりました「情報」につきましては,文部科学省,大学,高等学校関係の皆様方は,できるだけ早い時期から継続的で丁寧な情報発信に努めていただきたいと思っております。これまでも何度も申し上げましたように,新たに『情報Ⅰ』が出される,それに伴ってといいますが,これまで共通テストの科目になっていなかったものが出されるということで,もうこれは新課程の履修者もそうですが,旧課程の履修者,いずれの受験生にとってもこれまで以上に不安があろうかと思っています。受験生が安心して試験に臨むことができますように,令和7年度共通テストまでこれから3年半ございますが,この協議会でも,十分に協力し合って,受験生に対する対応を行っていくことが求められます。したがって,この経過措置問題も含めた新教育課程における共通テストの実施に向けた対応につきましては,この協議会でも継続的に,議論していただくべきアジェンダではないかと思っております。もちろんセンターとしましては,検討状況を逐次この協議会でも報告をさせていただきたいと考えておりますし,受験生や社会に対して十分な御理解を得られるような情報発信に努めていきたいと思っているところでございます。
 以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 あと3名ほど。石崎委員,どうぞ。
【石崎委員】
 この議論が始まるときに,一番大事なのは「情報」を混乱なく導入することで,そのためには納得感が大事だというのは多くの委員の先生方から御発言があったと思います。さっきもお話ししたんですけどれも,現役時に課されなかった科目が経過措置問題として課されるという部分だけを聞いた受験生はやっぱり不安に思うだろうし,そのことが妥当なのかどうかということは,この文章だけではまだ十分に伝わらないんじゃないかなと,大変失礼なんですけれども,私は思います。ぜひその混乱を避けるために,納得感が得られるような,現役時にはなかった科目が新たな経過措置問題として課される妥当性を丁寧に書いていただければと思って,最後のお願いとさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 次,岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 ありがとうございます。
 この補遺については特に問題ないと思いますが,これは発表されますと,大学のほうとしてはいつ情報を出すのかという話にもなりますので,国大協としては,問題作成に携わる者の派遣等につきましては最大限努力いたしますけれども,何度も答えにくいとは思うのですが,入試センターからの正式な発表はいつ頃になるのか,何かめどがありましたら少しお伺いしていると準備もできるような気がするのですが,なかなか難しいでしょうか。
 以上です。
【川嶋座長】
 山本理事長,いかがですか。
【山本委員】
 これもこれまで何回か申し上げてきましたけれども,試作問題については,今,どういう方針で,どういう形でという枠組みを検討しておりまして,そういったことが決まったら具体の問題作成に着手するということになります。だから,やっぱり1年,試作問題の公表というのは来年の秋ぐらいになるのではないかと考えておりますし,また,さっきちょっと御議論のありました『情報Ⅰ』という大きな冊子の中に,例えば旧課程の科目の問題を選択的できるように組み込んでいくのか,あるいは『情報Ⅰ』と旧課程の各科目の問題だけを取り出した別冊子といいますか,別セットといいますか,そういうものを作っていくのか,ここの辺りの枠組みについては,今年度中ぐらいに結論を出して,具体的にそれに従って作題していくことになろうかと思います。枠組みについては,年度内にこういう形で出しますよと,問題の内容,中身につきましては,来年の秋頃というようなスケジュールで現在やっております。
 以上です。
【岡委員】
 ありがとうございました。
【川嶋座長】
 それでは,今岡委員,どうぞ。
【今岡委員】
 今岡です。
 こちらの補遺のほうは,特に私の意見は,このとおりでいいのではないかと思います。
 2ページのところで(4)がいろいろな意見がたくさん出たというのは,やっぱりこの2ページのところはあくまでも『情報Ⅰ』の経過措置(案)という,上に四角で囲ってありますので,そこの中で1,2,3というのが準備段階,先ほどの山本委員のお話から,3番ともタイミングはちょっとずれるかも分かりませんが,少なくとも1,2の検討があって,さらに3という丁寧な準備が行われて,それに対して,各大学はこうする,各高等学校はこうするという流れというふうに作っていただくと見やすいのかなと思いました。それだけです。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 続きまして,島田委員,どうぞ。
【島田委員】
 島田です。
 私も,補遺の文章あるいは座長が今回おまとめくださったものについては,修文の上,お示しくだされば,それでいいと思っているところです。
 これを受けまして,各大学は今後どうしていくかを検討,意思決定していくわけですけれども,そのときに,やはり高校の意向は非常に重要になってくるだろうと思います。そこで,かつて私大協,全高長,それから県教委のほうからは,高等学校における情報の指導実態を踏まえた入学者選抜の実施をお願いしたいという要望もまとめていただいているところですので,これは最新のデータといいますか,指導実態,各大学が意思決定の参考にできるようにアップデートをしていっていただければ,非常に有用なのではないかと思った次第です。ちょっと今回のことと関係ありませんけれども,意見だけ述べました。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 情報教育関係の状況をアップデートしていただきたいという要望でしたけれども,今後,随時公表されますか。
 この前も御報告していただいたので,協議会の場を通じて,新しい情報を提供していただければいいと思いますが、毎年調査とかされるのでしょうか。
【大塚情報教育振興室室長補佐】
 初等中等教育局情報教育振興室です。
 教員の数につきましては,免許を所持している教員が実は情報を教えてないという現状が今,分かっております。今後,また新しい情報が分かりましたら,調査結果等を公表してまいりたいと思います。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 杉本委員,どうぞ。
【杉本委員】
 ありがとうございます。
 先ほど山本理事長からお話しいただいたことと,今,島田委員からもお話しいただきましたけれども,これまでの間,本協議会で各都道府県の高校における情報の担当教員の状況だとか,英語民間検定試験の受験状況だとか説明させていただいてきました。会議に出席していただいている各委員の皆様には一定の御理解をいただいていると考えておりますが,各実施団体に所属する全ての大学等が各委員と同等の情報を持っているわけではないと考えております。今後の高大接続を円滑に進めるためにも,全高長はもちろん,各団体にそれぞれ所属する学校への周知に努める必要があるかと思います。
 また,各県の高校の校長と県内にある大学と定例的に情報交換を行う機会を積極的に持つことによって,高校の現状や各大学の方針などについて相互に理解を深めることができ,非常に有効な手段と思っております。今後は全高長でもこのような取組に努めていきたいと考えておりますので,ぜひとも皆様の御協力をお願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 この協議会が,各大学団体あるいは高校団体の間での意思疎通,情報交換,合意の場なんですが,協議の結果をそれぞれの団体で引き取っていただいて広報周知に努めていただきたいという御提案でございました。ありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。
 それでは,補遺については,資料1-2で御了解いただいたという形にさせていただき,また,補遺を公表する際には,これまでこの協議会で3回にわたって様々な御意見をいただいて議論し,本日の最終的な補遺の案文に至ったということですので,この経緯が分かるような形で,この資料1-1については,今日いろいろ御意見をいただきましたので,それらの御意見を踏まえた上で,補遺等を通知する際に参考資料として添付して周知したいと思いますが,いかがでしょうか。その際には,本日いただいた御意見,種々ございましたので,それを踏まえた上での修文をした上で,委員の方々に事前に御覧いただいた上でということになりますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,そのようにさせていただきたいと思います。それでは,次の議題に入りたいと思います。
 議題(2)その他でございますが,文部科学省より2つの通知を発出しておりますので,その御報告をしていただきたいと思います。
 1つが今年度,三重県で実施される予定であった国体の中止に伴う出場資格証明書の発行及び令和4年大学入学者選抜における取扱いについて,もう1つが外国人入学志願者の受験機会の確保の徹底についてであります。この2点については,事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【前田大学入試室長】
 それでは,資料2と資料3でございます。
 まず,資料2でございますけれども,9月14日にスポーツ庁と大学振興課の連名で,三重国体の中止に伴っての大学入試の取扱いについて依頼をさせていただいております。1ページ目,今,御覧いただいておりますのは高等学校宛てでございますので,それには2段落目に,三重国体に出場予定であった選手の出場資格について,別添のとおり各大学に通知しましたのでお知らせしますとございますので,別添を御覧いただければと思いますけれども,7ページでございます。
 1つ目でございますけれども,趣旨としては,三重国体の中止に伴って,出場予定であった選手のうち,希望者に対してはスポーツ庁から出場資格証明書を発行しますよというものがございます。
 それから,発行証明証をどう使うかということでございますけれども,2つ目のところで令和4年度の選抜実施要項については,いろいろ実施要綱においてはコロナウイルスの影響で部活動の実績が調査書に記載できない場合においては不利益を被ることがないようにするということでございますとか,当初,参加であったところについては,当初はこういうことに参加する予定でしたということを,8ページ目でございますけれども,調査書の中にも書いていただきたいということをお願いしております。そういった前提のある中で今回お示ししている三重国体につきましては,志願者が不利益を被ることがないようにするための措置の1つとして,各大学において従前,国民体育大会への出場を部活動等の諸活動実績として評価した場合には,その代替としまして,1つ目が出場資格証明書の提出,あるいは当該証明書を踏まえた調査書等の記述に基づいて,部活動等の諸活動の実績として評価することが考えられるといったことを大学のほうにはお示ししているところでございます。その出場資格証明書は,具体的には9ページにありますようなスポーツ庁長官の名前でお出しするものでございますので,既に総合型選抜,それから,今後,11月1日からは学校推薦型も始まりますので,国体についての取扱いはこのようなことでお願いしたいということでございます。
 続きまして,資料3でございますけれども,外国人入学志願者の受験機会確保の徹底ということで,新型コロナウイルスの影響で,日本に入国することは非常に厳しい状況が続いております。再入国の許可による再入国でございますとか,あと極めて高い公益性,例えば夏に行われました東京オリ・パラの出場選手でございますとか,あとは新型コロナのワクチンの開発の技術者とかといった非常に限定的な狭い範囲での入国ということになっておりますので,この入学者選抜のために入国するのは現在難しい状況でございます。したがいまして,令和4年度の選抜におきましても,ICTを活用したという選抜の工夫お願いしておったところでございますが,一層その取組についてのお願いということで,1番目でございますが,もう既に募集を行って出願を開始している大学につきましては,入国できない入学志願者を対象にICTを活用したオンライン試験実施などの代替措置を講じて,受験機会を失うなどの不利益が生じないよう工夫を行うことをお願いしてございます。
 2といたしまして,面接だけでなくて学力検査,小論文についてもICTを活用するなどの代替措置を検討していただきたいということで,その際には不正防止策を講じるなども併せてということで,アスタリスクのところは,前回,大学入試の在り方検討会議の中でも,オンラインを活用した不正防止策の取組例を調べさせていただいておりましたけれども,その例示としてこのような例があるということを示しております。
 最後,これは入試というよりも入試後の話でございますけれども,入学後も引き続き仮に入学できない状態が続いている場合には,こちらにございますような授業での工夫,それから入学時期の工夫をあらかじめ御検討をお願いしたいということでございます。これにつきまして,9月21日付で,各大学長宛てには通知を出させていただいているところでございます。
 以上,国体の取扱いと外国人志願者の受験機会についての報告でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 ただいまの2点の御説明について,何か御質問等ございますか。特に御質問等ございませんか。
 それでは,その他の2点についてはこれにて終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。それでは,本日の協議はこの辺りで締めたいと思いますが,最後に事務局から,今後の日程等について御説明をお願いします。
【前田大学入試室長】
 次回の協議会につきまして,改めて先生方に日程の御照会,それから議題についても御連絡をさせていただければと思います。
 また,1点ちょっとアナウンスすべきことがございまして,報道でも既に御存じの先生方もいらっしゃると思いますけれども,高等学校等でオンラインを活用した学習指導を受けた場合,指導要録上は出席日数ではなくて,出席停止,忌引等日数として記録されるということになっておりまして,その日数が多くなることについて,懸念でございますとか不安の声がございます。したがいまして,現在,初等中等教育局のほうで,その指導要録の取扱いについて検討をしているところでございますので,それに合わせて大学入試に活用する調査書についても検討する必要がございますので,その初等中等教育局での方針案が固まり次第,今後,先生方にはその内容をお知らせして,通知を発することとしたいと考えておりますので,あらかじめ御承知おきいただければと思います。
 それから,本日の議論でございますけれども,御審議途中でございますので,社会的に大きな影響がございます。したがいまして,厳重な情報管理のほど,改めてお願い申し上げます。また,本協議会の運営要領にありますように,これは非公開,非公表という議事資料でございますので,万が一,先生方のほうに外部からのお問合せがあった場合には,文科省の事務局に聞くように御対応をいただければ幸いでございます。
 以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 資料等の取扱いには御注意くださいということでございます。
 それでは,本日の協議をこれで終了したいと思います。委員の皆様方におかれましては,今後も引き続き本協議会の審議に御協力していただければと思います。
 本日はこれにて終了します。ありがとうございました。
 


―― 了 ――