「大学入学共通テスト」検討・準備グループ(平成30年度~)(第14回) 議事要旨

1.日時

令和元年5月29日(水曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室(東館3階)

3.議題

  1. 令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱(案)及び令和3年度大学入学者選抜に係る大学入試英語成績提供システム運営大綱(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

岡本主査,荒瀬委員,沖委員,萩原委員,東島委員,平方委員,吉田委員

文部科学省

伯井高等教育局長,浅田文部科学戦略官,三浦大学振興課長,錦大学入試室長,小野外国語教育推進室長 他

オブザーバー

独立行政法人大学入試センター 山本理事長,義本理事,白井試験・研究統括補佐官(兼)審議役,辻新テスト実施企画部長

5.議事要旨

会議に先立ち,新規の一名の委員についての紹介があった。
議題1「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱(案)及び令和3年度大学入学者選抜に係る大学入試英語成績提供システム運営大綱(案)について」に関して,資料1-1と資料1-2に基づき事務局から説明があり,議論を行った。委員からの主な発言は以下のとおり。

○ 国語において特定の分野についてのみ利用を指定している私立大学は相当あるように思う。国語の得点を一括提供のみにするかどうかは,本質的な変化であり,特に私立大学の現在のセンタ-試験の利用の仕方を大きく規定するので,早めに伝えてほしかった。試行調査の結果,共通テストではリーディングとリスニングについて配点を均等にして実施し,重み付け等は活用する大学に委ねることとするとしているが,資料1-1にはそれが明確には示されていない。英語の筆記の部分に対応する形でドイツ語,フランス語,中国語,韓国語は80分で従来は200点だったかと思う。配点を変更するというのは,多様性をこの試験でどのように考えるのかということや,あるいは使い方の問題として,英語と他の外国語とを同じレベルで合わせて選択科目として出していいのかという問題と関わるかと思うが,具体的にはどうなりそうなのか。

○ 実際に大学で選抜あるいはセンターを利用するときにどういう配点にするかというのは大学が決めてそれを公表すれば良く,英語以外の外国語にも大学は英語と同じウェートを置いていいということかと思う。特に私立大学は,英語以外の外国語を受験した受験生を優先的に選抜しているところはあると思う。

○ 実際に入試センターから提供されたデータについて,各大学や学部が決めたルールに基づいて調整を図るというのは,そういうものだというふうに理解するしかないが,試験時間が余り変わっていないのに重みが変わるということは,今回初めて明らかになったようなところがある。リスニングの点数を圧縮するなど個別に操作していいのか。公正の問題も含めて,大丈夫だと言ってもらわないと,大学がリスクを負って外国語の得点を使うことになるので,公正さを踏まえた上での妥当性について,説明を加えていただいた方が良い。配点の変更は私立大学にとっては大きな変更であり,もう一度設計について考え直す必要があるため,検討がどんどん遅れていくということをご理解いただきたい。

○ これまでもいろいろな形で関係者と協議した上で決定するということだと思うが,大きな変化があるのだから,しっかりと今後また周知をしていただくということかと思う。

○ 資料1-1の第1の実施の趣旨では,大学入試センターが独自に実施しているのではなくて,共通テストは各大学が共同して実施するということであるが,報道などでは,大学関係者に十分伝わっていないかのようなことが見られる。同時に,高等学校関係者にしっかりとした周知というのが必要である。変革の時期というのは,ほかでなくても高校生は非常に揺れる時期なので,高等学校では,具体的な学力の面でも,それからまた心の面でも支える必要があるため,より丁寧な御説明することが重要だと思う。この変革は,当初高大接続部会などで議論されていたことから考えると,穏やかになった部分もあるが,しかしそれでも非常に大きいので,高等学校の生徒はもちろんのこと,先生たちも保護者も不安であるということを踏まえて周知してほしい。

○ 今年の11月に共通IDを申請しないと共通テストの枠組みで受験できないことになっているが,どの試験を受けたらいいのか,それはいつあるのかというのが,一番受験生本人や現場の教師が非常に困っているところである。

○ 全国津々浦々いろいろな高校があり,動向を非常に気にしている。夏に説明いただけると聞いているが,生徒を指導する先生が誤解しないよう,十分に先生方からの質問対応等々についてもお願いしたい。

○ 令和3年度の共通テストは,令和3年1月に行われるため,実務的な調整に入っている段階だが,そのまた何年か後に,高等学校だけでなく小学校,中学校と積み上げてきた指導要領の改訂等々でかなり大きな変更がある。将来に向けてこの後どういう議論を進めていくべきかということも考える必要がある。

○ 今回英語に関して大きく変わるということが一つのきっかけになってまた議論が進めばいいと思う。令和3年度の大学入学共通テスト第1回については適切に周知された状態で行われることが大事だが,外国語に関して公平性ということを考えたときに,得意なもので受けるということは,それが公平であるというふうに考えれば,それぞれの得意な外国語で受けるというのもあるが,なぜ日本の外国語教育というのがほぼ英語であるのかといったところも考慮した上で大学入学共通テストが実施されても良いと思う。大学入学共通テストを考えるということは,大学入学者選抜そのものに非常に大きな関わりのある話だが,インフルエンザが流行し,バスが動くかどうか心配といった地域など,いろいろな状況の学校がある。なぜ1月の時期に実施しなければならないのかということも,今後検討いただきたい。

○ 今回の大綱は令和3年度のものだが,共通テストの英語は4技能で評価するということが前提になって議論されてきた。しかしながら, 2024年から共通テストを英語4技能の資格・検定試験のみで実施するとまだ示されていない。学習指導要領では4技能を学ぶことになっているので,早くそのように言っていただきたい。

○ 将来,英語の試験やその他の外国語の試験をどうするかということはまだ議論ができていない。センター試験は29や30の科目を実施しており,英語以外の外国語は受験者が非常に少ない。これは入試全体の設計にもよるものの,幾つもの教科の試験を実施することが本当に必要なのかということは議論した方がいい。特に,入学者選抜が単に一次試験の共通テストの部分だけではなくて,大学の個別選抜と一体で何を評価するかということであり,高等学校の教育と大学の教育を連携させる高大接続もそういうことなので,いろいろな考え方が出てくる。高等学校で自分はこういう勉強をしたんだけれども,それをそういう人が欲しいという大学は当然あってもいいわけだが,それを測るのがいわゆる, 1点刻みの試験でいいのかどうかとか,いろいろな考え方がある。採点も大変だが,問題を作るのはかなり大変なので,そういうところも考えていかないといけない。

○ 結局英語の4技能の試験を使うというのは,選抜のためにやろうとしているのか,あるいは高校教育を4技能重視にしていき,その達成度を確認するというものなのかという点がずっと揺れている。 今回は4教科では得点での選抜、プラス1教科は到達度を確認するという形で選抜試験を行う形にようになることが共有されているのか。現行センター試験では5教科型でそれぞれ点数化されるから公平だという論理で説明がついているが, 今回CEFRのA1やA2に多くの志願者が集まるのであれば,どこかで線を引いて選抜することが困難ではないかという話になる。特に3教科型が多い私立大学の文系などにおいて,実質的に国語とそれ以外の教科の2教科の得点で選抜していいのかという話になる。受験科目数自体は私立大学でも増やすべきだという議論は当然あり得るが,4技能検定試験を使うことの意味についてもう一度ご検討いただきたい。今回スケジュールが詰まっていて,ほとんどその点についてじっくり議論するということはなかったが,次の大きな改革までに数年間データが取られると思うので,それを精密に分析していただきたい。今回の改革では結果的に大学の2年前周知がきちんと機能していないので,少なくとも次に新学習指導要領で学んでくる高校生が1年生の間には何らかの方向性をきちんと示さないといけない。その点も含めて危機感を持って早めに手を打っていただきたい。私立大学は共通テストを利用する場合に、ある程度の全体の方向性が出てくるまでは検討できない。これで選抜できるのか,選抜するためにどうしたらいいのかという方法が確認できる程度まで示された内容を踏まえて選抜制度を設計しないと,大学が妥当だと思って実施したが,後々問題だったいうことになりかねない。特に,今回英語民間検定試験を選抜のために使うというのであれば、複数の試験を活用し,それぞれ個別の点数で細かく選抜のラインを設定する大学が出るかもしれない。今後大学ごとに異なるラインを設定して選抜するということになれば大変なことになると思うが,得点の読み替え方法といった情報が出てこないまま,果たして今後どのようなデータが出てくるのか,大学はそれに基づいて選抜基準を検討できるのかが分からない状態で,2年前である程度の方向性を出さねばならないと言っているところだ。方向性に関して責任を持っている部署から,情報を適切に発信していただきたい。

○ 現行学習指導要領に基づいて今回の入試改革を行うわけで,2024年からの新学習指導要領による教育を受けた人たちに対しては,改訂に伴う変更点というのは当然あっても,今回は今の学習指導要領では問えないものを問うわけではなく,記述式や英語4技能は,今高等学校では相当にしっかりとやってきたものをやっと評価してもらえるということだと考えている。高校の先生たちと,今回の改革は教育の接続であり,こういう力を付けていくことが将来社会に出て生きていくという上で必要だからこそ,この改革が行われるのだという話をしている。大学入学共通テストも,素点とともに段階別の成績提供をする。これまで大学入学者選抜改革の中で,素点で評価することが公平であるとされてきたが,理科や地歴公民の科目の選択では,科目ごとに平均点が異なり,平均点調整をする場合もあるが,必ずしも調整されてきたわけではない。自分で選んだものを受験するので公平であると言ってきたわけである。一方で, 73点と74点にどこに差があるのかという議論もあり,段階別評価を,大きな今後の方向として考えていく必要がある。ただ,大学入試は,ディプロマ・ポリシーに基づいて,アドミッション・ポリシーを明示して入学者選抜をするというのが原則なので,大学が段階別評価を使わずに素点を使うということに対して,外部から変更するようには言えない。ただ,議論が終わったわけではないので,全てにわたって段階別評価の使い方を考える必要があるし,使われるかどうか分からなくても,大学入試センターが段階別表示を提供するのは非常に大事なことである。そういう意味では,英語の段階別表示というのが,ほかの科目の段階別を含めて,本当に入試を教育の接続にしていくということを考えた上で非常に重要である。

○ 令和3年度の共通テストがスムーズに混乱なく行われるということと同時に,将来にわたっての議論を続けていくような場を設定し進めるべき。

 議論を踏まえ,「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱(案)」及び「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入試英語成績提供システム運営大綱(案)」が了承された。
 続いて,独立行政法人大学入試センターの白井試験・研究統括補佐官(兼)審議役より,参考資料1の紹介があった。
 最後に,錦大学入試室長より,「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱(案)」及び「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入試英語成績提供システム運営大綱(案)」については,「大学入学者選抜の改善に関する協議」での議論を経て,速やかに策定・公表する予定であるとの説明があった。

お問合せ先

文部科学省高等教育局大学振興課大学入試室

電話番号:03-5253-4111(内線 4905)

(文部科学省高等教育局大学振興課大学入試室)