高等教育段階における負担軽減方策に関する専門家会議(第1回) 議事要旨

1.日時

平成30年1月30日(火曜日)10時00分~11時30分

2.場所

文部科学省 11階 省議室

(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 高等教育段階における負担軽減方策に関する専門家会議について
  2. 新しい経済政策パッケージを踏まえた高等教育段階における負担軽減方策の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

三島座長、村田副座長、相川委員、赤井委員、千葉委員、妹尾委員代理(佐竹委員の代理出席)

文部科学省

丹羽副大臣、常盤生涯学習政策局長、義本高等教育局長、伯井文部科学戦略官、瀧本審議官(高等教育局担当)、鈴木文部科学戦略官、蝦名高等教育企画課長、井上学生・留学生課長、萬谷生涯学習推進課長、角田私学行政課長、寺門主任大学改革官、新田主任大学改革官、森友主任大学改革官

オブザーバー

大谷理事(日本学生支援機構)

5.議事要旨

(1)丹羽文部科学副大臣挨拶
昨年12月に閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」では、貧困の連鎖を断ち切り、格差の固定化を防ぐため、真に必要な子供たちに限って高等教育の無償化を実現し、授業料の減免措置と併せ、給付型奨学金の支給額を大幅に増やすこととされた。
本専門家会議においては、高等教育における授業料減免と給付型奨学金の拡充を具体化し、円滑かつ確実に実施するため、閣議決定で定まっていない詳細事項についてご検討いただいた上で、本年夏までにとりまとめていただきたい。 
具体的には、「新しい経済政策パッケージ」を踏まえつつ、
1.学校種に応じた給付の在り方
2.支援対象者の要件の在り方
3.外部者の登用など対象となる大学等の要件についてのガイドライン
4.その他円滑かつ確実な実施に際して必要な事項
などについて、専門的な観点から検討をお願いしたい。

(2)三島座長挨拶
この専門家会議は非常に重要な会議。格差の固定化を防ぐという「新しい経済政策パッケージ」に基づくものであり、家庭の事情等で高等教育を受けることができない子どもたちをどうやって支援するかという重要な課題について、忌憚のないご意見をいただきたい。
本年夏くらいまでに、一定の方向性を示したい。

(3)事務局説明
森友主任大学改革官より、配布資料3~5について説明。

(4)意見交換
次のような意見が出された。
1.学校種に応じた給付の在り方
授業料減免と授業料以外の生活費の支援については切り分けて検討することが必要。また、4月からはじまった給付型奨学金との整合性をとることも必要。制度はシンプルに、わかりやすくすることが必要。
給付型奨学金と授業料減免の紐づけをどのようにしていくか議論が必要。
専門学校について、既存の仕組みとして、経済的に恵まれない生徒に対して減免の半分を付与する仕組みがあるが、当該制度を利用している学生たちに話を聞くと、進学ができた、アルバイトをしないで勉学に専念できたと非常に感謝をしている。
専門学校から大学に編入する学生がスムーズに移行できる仕組みをつくるべき。
現状では授業料より入学金の支払いがネックになっている。「入学金を工面すると4~5月の生活費を捻出できない」「奨学金の決定が2~3月だと、子供たちにとって遅い」という声も聞く。1年生も入学金免除とあるので、そのような取組が進んでいくのはありがたい。
授業料減免を受ける学生とそうでない学生について、境界線のところでモラルハザードが起きないよう検討が必要。額が大きいだけに、スロープを緩やかにすると必要な額も大きくなる。財源の問題を踏まえつつ、その段階の在り方をどうデザインするのか、重要な検討事項。

2.支援対象者の要件の在り方
支援対象者の要件について、「高校時代の成績だけで判断せず、本人の学習意欲を確認する」というところは本当に難しいと思う。給付型奨学金の検討の時も議論になったが、他の生徒への説明責任、公平性を考えると、学校現場では成績で決めていくということになる。しかし、1年次は成績が足りなかったが2年次から頑張ろうとする生徒や、部活動等色々な取組をしてきた生徒たちをどう救うかということは検討が必要。
低所得者世帯の子供たちについて、家庭状況が不安定な者も多いのも事実。高校学校の成績だけでみるのではなく、専門学校、大学にいってから、やる気をみるということが重要。あまり入口で絞らず、出口である程度絞る形、学習成果を見られる形にしておかなければいけない。
支援対象となった学生が、大学生活4年間でどういった生活を送ったのか、どういう知識を得たのかということを説明させる責任を大学に負わせる、さらには、それを公開した上で、社会が成果を判断するという形が、ガバナンスという意味では良いのではないか。
支援を受けた子供たちが、大学等でしっかり学び、社会で活躍できるようにしていくことが必要。入口でなく出口でしっかり確認をするシステムがあった方がよい。
ある程度の成績をとっておかないと授業料減免を打ち切るなどして、支援を受ける学生も、覚悟と責任はしっかり持つようにするべき。貧困に関連した意欲の格差があることは事実だろうが、なんでもかんでも税金を投入してよいわけではない。個々人が成果をあげていくことが国民に支持されることになると思うので、そこをしっかりと踏まえた仕組みにする必要がある。
(成果の判断基準を)就職ということに限ってよいのかということに迷いがある。夢を追うことも認めてもよいのではないか。意欲をもって学生生活を送ることが重要であり、出口の考え方は柔軟性をもつことも必要。

3.外部者の登用など対象となる大学等の要件についてのガイドライン
要件を満たしている大学に行くことで支援を受けられる仕組みになっているが、なるべく多くの大学が要件を満たせるようにしていくべき。貧困の連鎖を断ち切るためには、個々人の自由を確保したうえで、支援をしていくことが重要。
実務経験の教員の配置については、人文科学など分野によっては多くないものもあるので、その点は配慮すべき。
機関要件を専門学校にあてはめると、準学校法人ということで、組織の問題、理事会ということについて慣れが必要。また、専門学校では「実務者」をどのように見ていくか難しい部分がある。例えば、公務員の養成の専門学校の場合は実務者をどう捉えるのか、検討が必要。
私立大学が経営上厳しくなってきている中、財務運営面で厳しい場合に、財務情報をもとに判断するのか、また、教育内容で判断するのか、検討が必要。
支援対象となる大学の選定について、学校によっては自治体に判断を預けられる場合もあるかもしれないが、温度差が生じかねないので、基本的には国が判断するということにすべきではないか。

4.その他円滑かつ確実な実施に際して必要な事項
地方と都市部では生活費の金額にも大きな開きがあるところ、「社会通念上常識的」な生活費をどうとらえて制度設計していくのかということも、論点として重要である。

(5)事務連絡
事務局より、次回は3月5日開催予定であること、議事要旨を作成、公表すること等について説明。

お問合せ先

文部科学省高等教育局人生100年時代構想推進プロジェクトチーム

電話番号:03-5253-4111(内線3505)

(文部科学省高等教育局人生100年時代構想推進プロジェクトチーム)