大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会(平成28年度~)(第3回) 議事録

1.日時

平成29年6月15日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省(中央合同庁舎7号館東館)16階 科学技術・学術政策研究所会議室

3.議題

  1. 看護学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について
  2. その他

4.議事録

【浅田座長】  皆様こんにちは。定刻になりましたので,大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会の第3回目を開催いたします。本会議は冒頭より公開とさせていただきますので,御了承ください。なお,カメラでの撮影につきましては,議事に入るまでとさせていただきますので,御協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は,前回の検討会で頂いた意見を踏まえ,ワーキンググループにて作業いただいたモデル・コア・カリキュラムの案について御審議いただき,皆様から御意見を頂きたいと思います。そして本日,最終的にはパブリックコメントを求める案までたどり着けたらと思っておりますので,御協力をよろしくお願いいたします。
 最初に,本日の出席状況と配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

【斉藤看護教育専門官】  それでは,本日は上泉委員と佐々木委員から御欠席との御連絡を頂いております。また,秋山委員は遅れていらっしゃるとの御連絡を頂いております。詳細は添付の後ろにあります委員名簿を御確認いただければと思います。
 なお,4月1日付けでオブザーバー及び事務局の人事異動がございましたので,御紹介いたします。
 厚生労働省医政局看護課長,島田課長でございます。

【島田看護課長】  島田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【斉藤看護教育専門官】  医学教育課課長補佐,黒澤でございます。

【黒澤補佐】  黒澤でございます。よろしくお願いします。

【斉藤看護教育専門官】  なお,審議官の松尾は遅れて参る予定です。
 次に,配付資料の確認をさせていただきます。お手元にまずありますのが,会議次第と座席表。配付資料は資料3までございまして,資料1が看護学教育モデル・コア・カリキュラム(案)になっております。先生方には先週送付差し上げたものを,一昨日ワーキングで再度精査を行いまして,多少変更したものを昨日メールにて送付させていただきましたが,それと同じものになります。
 資料2が今後のスケジュール(案)でして,A4の1枚になっています。資料3は大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会について,検討会要綱になっています。
 机上資料は,1が検討会(第2回)意見まとめ,2がワーキンググループ(第3回)の主な意見,3が看護学教育モデル・コア・カリキュラム(案)の論点メモということで,6月,0615論点メモとなっているかと思います。
 参考資料は1から10までで,ファイルにとじられております。このファイルは持ち帰らずに,置いて帰るようお願いいたします。
 落丁等ございましたら事務局まで御連絡ください。
 資料説明は以上になります。

【浅田座長】  ありがとうございます。皆様,資料はそろっていますでしょうか。大丈夫でしょうか。ありがとうございます。
 カメラ撮影はここまでとさせていただきます。よろしいでしょうか。
 それでは,議事に入ります。まず,看護学教育モデル・コア・カリキュラムの案について,事務局より説明をお願いいたします。

【斉藤看護教育専門官】  資料1をお手元に御用意ください。表紙をめくりますと目次となっております。初めに看護学教育モデル・コア・カリキュラムの考え方,次に看護学教育モデル・コア・カリキュラムの概要,3番目に看護系人材として求められる基本的な資質・能力となっております。その後にA項目から始まり,Gの看護学研究までとなっております。
 目次の次にあります,1ページと番号を振ってございますが,こちらに看護学教育モデル・コア・カリキュラムの考え方が示されております。これにつきましては,第1回目の検討会で頂いた御意見を反映しまして,基本理念と背景,コアカリの大学教育における位置付け,国民への周知や協力の依頼について記載をしております。
 特に意識した点としては,250校余りの全ての大学が共通して取り組むこと。6年前の最終報告,日本看護系大学協議会の委員会,日本学術会議の参照基準,指定規則,国家試験出題基準との整合性を図ったこと。それから,チーム医療の一員として先行する医学,歯学,薬学のコアカリとの整合性を図ったこと。学習時間数の7割程度を目安にコアカリを参考とすることとし,授業科目等の設定,教育手法や履修順序等は3割程度の内容編成になると思いますが,その内容編成は各大学が3つのポリシーを基に,独自性のあるカリキュラムを策定していただくこと,大学や教員に対してだけではなく学生,関係者,国民,すなわち患者さんや住民に対しても御理解いただくことを前提としたことなどです。
 次に7ページになりまして,概要ですが,最終的にはコアカリが完成したときに,この内容を概要に反映させることになりますが,策定に当たって留意した点は8点ございます。
 多様なニーズに応える人材養成課程であること,看護系人材として求められる基本的な資質・能力の明確化,看護実践能力の基盤となる身体状態のアセスメント能力の向上のための教育内容の充実。といいましても,255校を超える看護系大学での実行可能性ということも考慮しました。
 また,先ほども申し上げましたけれども,国家試験出題基準,そして規則との整合性。日本看護系大学協議会にて策定されたモデル・コア・コンピテンシーや,学術会議から提言される予定の参照基準との整合性。将来的には学士課程における医療系人材養成の一部として,医学教育,歯学教育,薬学教育のモデル・コア・カリキュラムとの同時改訂・一部共有化を見据えた構成とするといったことを踏まえております。
 なお,先ほどの考え方と概要の留意点は,いわばコアカリの総論やキャッチフレーズにもなり得る部分ですので,この後の御議論で積極的に御提案いただきたいと思います。
 こうした記載に続きまして,各論になります。それぞれの大項目のねらいを記載しております。
 続きまして9ページ,看護系人材として求められる基本的な資質・能力です。これについては,前回の検討会にて合意いただいておりますが,生涯にわたって目指すべき基本的な資質・能力について示しております。各資質・能力の説明文について,ワーキングでの文言等の修正,説明の加筆がなされておりますので,御確認いただき,御意見いただければと思います。
 続きまして11ページからは,モデル・コア・カリキュラムの中身になります。A項目は,生涯を通して獲得すべき内容のうち,学士課程において学習すべき内容を示し,看護系人材として求められる基本的な資質・能力を定めております。示されている内容,到達度が学士レベルとして適切かという観点で御議論いただければと思います。
 具体的には,目次にも示しておりますが,A-1,プロフェッショナリズム。小項目として,A-1-1)看護職としての使命,役割と責務,A-1-2)看護の基盤となる基本的人権の理解と擁護,A-1-3)看護倫理。
 A-2が看護学の知識と看護実践で,A-2-1)学修の在り方,A-2-2)看護実践能力。
 A-3,根拠に基づいた課題対応能力,A-3-1)課題対応能力。
 A-4,コミュニケーション能力,A-4-1)コミュニケーションと支援における相互の関係性。
 A-5,保健・医療・福祉における協働,A-5-1)保健・医療・福祉における協働。
 A-6,ケアの質と安全の管理,A-6-1)ケアの質の保証,A-6-2)安全性の管理。
 A-7,社会から求められる看護の役割の拡大,A-7-1)看護職の活動の歴史・法的基盤,A-7-2)保健・医療・福祉等の多様な場における看護職の役割,A-7-3)国際社会・多様な文化における看護職の役割。
 A-8は科学的探究で,A-8-1)として,看護学における研究の必要性・意義。
 A-9は,生涯にわたって研鑽し続ける姿勢,A-9-1)自己研鑽の必要性と方法,A-9-2)看護学の専門性の発展となっております。
 B項目になりますが,17ページになります。B項目,社会と看護学は,社会を形作る文化と制度と健康の関連について学び,看護学の基礎となる知識を修得。また,社会における看護学の位置付けについて学ぶとしています。
 中項目としては,人々の暮らしを支える地域や文化,社会システムと健康となり,次に看護における倫理,4つ目に国際化と健康との関連,5つ目がケアの概念とケアにおける看護学の関連となっています。専門科目の前の専門基礎科目の部分という意味において,これらの内容について御意見いただければと思います。
 具体的には,B-1が人々の暮らしを支える地域や文化。B-2が社会システムと健康,B-2-1)健康の概念,B-2-2)環境と健康,B-2-3)生活・ライフスタイルと健康の関連,B-2-4)地域におけるケアシステム,B-2-5)看護職の法的位置付け,B-2-6)社会の動向と保健・医療・福祉制度,B-2-7)疫学・保健医療統計。B-3が看護における倫理で,B-3-1)で倫理規範と実践,B-3-2)が保健医療における個人情報。B-4,国際化と健康との関連。B-5,ケアの概念とケアにおける看護学の関連で,B-5-1)ケアの概念とケアにおける看護学の位置付けとなっております。
 21ページになりますが,C項目は,看護の対象理解に必要な基本的知識と看護学基礎としております。ねらいにありますとおり,人間の生活体としての側面,生物体としての側面を理解するために必要な知識を修得し,取り巻く社会環境からの影響を受けて存在する人間を包括的に理解し,その人間理解を基盤として,健康に関与するための看護の理論も学び,看護の基本を理解する内容としています。
 まずC-1で,看護学に立脚した基本的な考え方,捉え方を示し,次に生活体としての人間理解ということで,C-2は生活の在り方が個別に反映されていくことを理解するための内容を示しています。C-3は23ページからになりますが,生物体としての人間理解になり,解剖生理の内容が示されています。C-4は26ページの4行目からになりますが,健康障害の病因と診断・治療で,臨床の現場で必ず知識として持つべき代表的な疾患と,その治療を含めた内容となっています。ここについては,国家試験出題基準を参照し,臓器別の切り口になっています。
 看護学のコアカリにおいて,スペルをどこまでどのように示すかというのは,ワーキンググループでも議論があったところです。ワーキンググループでは,現在これらの解剖生理,疾病論,薬理学等は全て医師などが授業を行っていること,看護学生が疾患をどう学ぶべきかを考えるべきということで,今回のコアカリ作成において,概要にも記載しておりますが,看護実践能力の最も基盤となります身体状態のアセスメントができる看護師を作るための教育内容を示すことにしておりますので,このような形になっております。
 ただし,単純に疾患だけを分かればいいということではなく,個々の生活を送る中で様々な健康障害が表れるという捉え方,そのような身体状態を含め,生物体と生活体の統一体として人間を捉え,個別の生活を送ることを看護者は支援するという捉え方を押さえる内容を示すということで,今回のC項目はワーキンググループ内で合意したところです。
 これら疾病治療の次に,薬物・放射線による反応の理解,最後に基本的な看護技術となっております。
 小項目としましては,看護学に立脚した基本的な考え方と人間や健康の捉え方では,C-1-1)として,看護の観点から捉える人間や健康,C-1-2)看護過程。
 C-2で,生活体としての人間理解とありまして,C-2-1)生活行動の理解,C-2-2)生活環境としての場の理解,C-2-3)家族の機能,C-2-4)社会における生活者。
 C-3,生物学的存在としての人間理解で,C-3-1)細胞と組織,C-3-2)人体の構造と生体機能の調節,C-3-3)が成長発達と老化,ヒトの死になっておりまして,C-4が健康障害の病因と診断・治療で,C-4-1)基本的な病因と病態,C-4-2)が疾病に対する医療,C-4-3)が主要な疾病の病態と治療。
 C-5が薬物や放射線による人間の反応の理解,C-5-1)が薬物及び薬物投与による人間の反応の理解,C-5-2)が放射線の医療利用による人間の反応。
 C-6で基本的な看護技術,C-6-1)観察・アセスメントで,C-6-2)が看護基本技術となっております。
 D項目は,35ページ以降になりますが,ここは看護実践の基本となる専門基礎知識で,看護過程展開に必要な知識や健康の段階,発達段階に特徴付けられる対象の特性に応じた看護実践能力の修得に必要な知識を学び,組織における看護の役割や対象を中心とした協働の在り方についても示しております。
 詳しくは,D-1が対人関係の形成で,D-1-1)看護の基礎となる対人関係の形成。D-2がニーズの把握で,D-2-1)多面的なアセスメントと対象の経験や望み(意向)に沿ったニーズ把握。D-3,ケアの実施で,D-3-1)が目標設定,D-3-2)が方法の選択。D-4はケアの評価,D-4-1)ケアの振り返りと改善。
 D-5が健康の段階に応じた看護実践ということで,D-5-1)が予防が必要な対象に対する看護実践,D-5-2)が急性期にある患者に対する看護実践,D-5-3)が回復期にある患者に対する看護実践,D-5-4)が慢性期にある患者に対する看護実践,D-5-5)が人生の最終段階にある患者に対する看護実践です。
 D-6は,発達段階に特徴付けられる看護実践ということで,D-6-1)が周産期・生殖年齢にある対象に対する看護実践,D-6-2)は小児期にある対象の看護実践,D-6-3)が成人期にある対象の看護実践,D-6-4)が老年期にある対象の看護実践。D-7は,組織における看護の役割で,D-7-1)が組織における看護活動と看護ケアの質の改善で,D-7-2)はリスクマネジメント,D-7-3)が保健・医療・福祉チームにおける協働と連携となっております。
 E項目は43ページになりますが,多様な場における看護実践に必要な専門知識です。医療機関,在宅,保健機関,福祉施設,産業・職域,学校など多様な場における看護実践に必要な知識を示しておりまして,特に44ページの9行目のE-2には,地域包括ケアシステムにおける看護実践能力として,地域で暮らす人々が暮らし続け,住み続けられるよう,多職種連携の中での看護の役割発揮のための知識を示しております。
 また,前回検討会で御指摘を受けた災害時の看護につきましては,45ページ10行目,E-3に明記しております。
 ということを踏まえまして,Eは多様な場における看護実践に必要な専門知識ということで,E-1が多様な場の特性に応じた看護,E-1-1)多様な場の特性,E-1-2)多様な場に応じた看護実践。E-2,地域包括ケアシステムにおける看護実践能力,E-2-1)が地域包括ケアシステムと看護,E-2-2)地域包括ケアシステムにおける看護の役割発揮。E-3,災害時の看護実践で,E-3-1)が自然災害,人為的災害等,災害時の健康危機と看護の理解,E-3-2)は災害時の安全なケア環境の提供の理解となっております。
 続きまして46ページ,F,臨地実習になりますが,ここでは実習で学ぶべきコアの内容のみを示しました。また,臨地実習をどこまで詳細に記載するかは,ワーキングでも議論いたしましたが,まずは全大学の現状を踏まえた上で,コアカリに基づくカリキュラム編成をしていただく段階ということで,このような記載となっております。
 項目としましては,F-1,臨地実習における学習,F-1-1)臨地実習における学習,F-1-2)臨地実習における学習の在り方(特徴)。F-2が基本的看護技術,F-2-1)基本的看護技術。F-3,ケアへの参画,F-3-1)看護過程の展開,F-3-2)チームの一員としてのケアの参画になっています。
 最後,49ページ,Gの看護学研究です。学士課程においては,看護研究の成果を読み取り,よりよい看護のありようを考察し,看護研究を介した問題解決のプロセスを学び,その学びが,将来学生が看護研究を行うときの基盤となることを目指してということで,内容を示しております。
 項目としましては,G-1,看護学研究における倫理。G-2,看護学研究を通した課題解決能力の涵養で,G-2-1)として,よりよい看護の探究,G-2-2)研究成果の活用の方法,G-2-3)看護学研究の実践となっております。
 資料の説明は以上になりますが,本日お示ししました案は,255校での教育を考えますと,多めの分量になっていると思います。ですので,これらを絞り込んでいくというイメージで御議論をお願いできれば有り難く思います。
 事務局からは以上です。

【浅田座長】  ありがとうございます。非常に大部なものとなっておりますが,全体の構成等は今まで議論いただいて,ここに落ち着いてきたものでございます。この後,本日15時まで時間を確保しておりますので,概要から始まりまして,項目AからGまであって,それぞれを各項目ごとに,また御意見いただこうと思うんですが,まず今の段階で全体説明がありましたので,何かここの時点でお気付きの点,あるいは御意見ございますか。
 また最後にも同じような質問の時間を取りたいと思いますので,まずは頭から入っていってよろしいですか。
 それでは,皆様から御意見を頂きたいと思いますが,看護学教育モデル・コア・カリキュラムの考え方及び各項目の概要,資料1で言いますと1ページから8ページに至る部分ですが,ここのところで何か皆様から御意見ございますでしょうか。どうぞ。

【萱間委員】  萱間でございます。全体をお聞きして,とても整理が進んできて,ワーキングの先生方はとても御尽力されたんだと思います。ありがとうございます。
 それで,この前提となる設定のところで,2ページにあります大学教育の位置付けにつきまして,文章の内容ということではないんですが,1点確認したいことがございます。
 今回議論しているモデル・コア・カリキュラムの適用範囲についてなんですが,何度か斉藤専門官が250校余りということをおっしゃっていまして,今の現状ではそうだと思うんですが,先頃学校教育法の一部を改正して,専門職大学というのができたように聞いております。それで,看護に関しても4年制教育ですので,この専門職大学というのが適用になるということを聞いておりますが,モデル・コア・カリキュラムは専門職大学も含めて適用になると考えてよろしいのでしょうか。

【佐々木企画官】  事務局でございます。専門職大学につきましては,今御指摘いただいたとおり,今国会で既に法律そのものは成立させていただいたところでございます。
 それを具体的にどう落とし込んでいくのか,また専門職大学の,もともとこの類型を設置する,また法制化するに至った,より現場に近いところでの人材を養成する,さらには,これまで余り学問体系として確立されていない分野のものを整理して,専門職大学として位置付けるということから,これから先,より具体的な政令や省令といったところの議論を進めていくところですので,今この時点でまず御議論いただく大前提といたしましては,現在の学校教育法に基づく4年制の250校余りを対象に御議論いただきたいと思います。

【萱間委員】  これからの御議論という。

【菱沼副座長】  1条項には入るわけですよね。その方法は,まだ設置基準等はもちろんできていないけれども,そういうものが整理されて,認可とか進んでいかれるんだと思いますけれども,そうなった暁には,大学として機能すると考えていてよろしいですか。

【佐々木企画官】  同じことの繰り返しになるかもしれませんけれども,今後の具体的な姿を定めていくに当たり,そもそも今の4年制の大学を意識してモデル・コア・カリキュラムの議論をしていただいたものと,専門職大学,今,副座長からも御指摘いただきましたけれども,ある意味で,従前の大学と違う特色として位置付けられる専門職大学が,どう織り込んでいくべきものなのか,溶け込んでいくべきものなのかというのは,今の段階で決め打ち的にということがなかなか,これからの整備設計があるので,将来的に排除するものでも何でもないですが,ただ,今の段階では詰め切っていないのが現状です。

【浅田座長】  事務局はそういう御説明になると思うんですが,専門職大学が4年制で学士を出すとなれば,当然,我々が今ここで議論しているレベルのものを求めるというのが,常識的にはあり得ると私は思います。そうじゃないと,別の基準をまた作るわけにいかないですからね。だから,そういうことにはなっていかざるを得ないだろうと私は想像しているんですけれども。
 だから,今ここで議論しているのは,いわゆる4年制の看護の関係の大学が非常に増えて,それも質保証しようという,国際的にも通用するものにしようというその精神は,専門職大学ができて,そこで看護の人材が育つならば,やはり同レベルのものは求めていかざるを得ないだろうと思いますけれども,それは別というわけにはなかなか,説明しにくいとは思いますけれども。私はそういう理解です。飽くまで個人の意見でございます。
 ほかにございますでしょうか。

【釜萢委員】  じゃ,先生,よろしいですか。私の理解は,専門職大学は従来の大学と同じものができるのであれば,わざわざ分ける必要はないわけで,専門職大学というのがこの国の国民のニーズに基づいて,そういう1つのカテゴリーを作ろうという中で,今後議論が進んでいくので,まだ全容は分かっていないのではないかと思います。そういうものを作ろうということについては合意が得られているけれども。
 だからそのことが,従来の大学と同じものができるんだったら,何も別のものである必要はないわけなので,この段階で同じものができるから,このカリキュラムが全部適用されると理解してしまうのは,ちょっとまだ時期が早いのかなと私は思いますが,いかがでしょうか。

【浅田座長】  モデル・コアですから,飽くまで7割程度のことを要求することで,各大学の特色が出せるようには組まれている内容ですよね。だから,先ほどあったように,学校教育法の1条に入るものとしての品質というのは,それなりにはあるんだろうと思いますけれども,今言われたように,細かいことは決まっておりませんので,設置基準等は今,多分進行中だと思うんですね。それが明らかになってからのことだと思うんですけれども。よろしいですか。
 ほかにありますでしょうか。冒頭のこの部分について,カリキュラム案の精神的なものがここに書かれていますので,これについて,特に御意見ございますか。御検討にかなり時間を掛けていただきましたワーキングの……。

【宮﨑委員】  1つ,すいません。宮﨑です。本当に整理されてきたと思いますが,1点確認といいますか,何々することが望ましいという文言がところどころ入っていますよね。これの主体というか主語は,「大学は」でよろしいんですか。
 その辺の確認というか,例えば5ページの3.国民への周知や協力の依頼というのがあります。それで2段落目,なお,周知文面の作成に当たっては,以下の事項を記載することが望ましいと。これは大学として,その地域の方々の,国民というか地域住民の方々の理解を得ながら教育を振興させていくということで,大学が周知や協力ということで以下の事項を記載することが望ましいという,主語は大学という理解でよろしかったですか。

【佐々木企画官】  事務局でございます。まず,5ページの20行目を御指摘いただき,ありがとうございます。これは確かに,実はこれと類似のものが医学,歯学でも議論された際に,誰が誰に望むのか,誰が誰にこれを明確に示すのかということの議論をした経緯がありますので,今頂いた御指摘は有り難く思います。
 結論から申し上げますが,望んでいる主語は,私ども文部科学省が庶務を務めさせていただいております,表紙にありますこの検討会という形になりますが,動作主語,実際にこういう形で記載をし,そして実際に受診なさる患者さんや御家族に示すこの掲示をするというのは,大学だけでもできるものではございませんので,つまり,実習先は大学に限りませんので,文章中にも16行目のところで,各大学において実習協力施設との調整の下うんぬんと書いておりますとおり,この周知を行う文面作成を行うという動作主語につきましては,大学と実習協力いただく機関とで,併せて御検討いただくということを想定しての文章になります。

【宮﨑委員】  よく分かりました。ただ,これは検討会の取りまとめたコア・カリキュラムの案として出されるわけですね。そうすると,大枠的な主語は検討会が発する望ましいとする内容。だけれども,動作主語としては大学がということになる。その辺りが,細かく読んでいくと,混乱する部分が多少あるかなと思うので,この後,文章を精査するときに御留意いただけたらなと思いました。

【佐々木企画官】  ありがとうございます。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 どうぞ。

【井村委員】  小さいことになってしまうかもしれませんが,カリキュラムの考え方と本文中に,つまり我々の対象者,当事者である患者中心という,患者という言葉が使われたり,対象者という言葉が使われたり,様々なんですけれども,統一的に表現できるところは,今どきの当事者中心というようなものを,いい文言をお考えいただいて,統一可能なところは統一し,従来の患者というだけでないものが含まれるような表記に御検討いただけるとよろしいかなと思いました。

【佐々木企画官】  座長,よろしいですか。

【浅田座長】  はい。

【佐々木企画官】  御指摘ありがとうございます。実はこの後,最終ページにまで続く全てについても,同じ御指摘を頂いたものと思っております。
 まず基本的な整理といたしましては,患者と対象の言葉の使い方を整理いたしました。患者は文字どおり,基本的には病気を抱えていらっしゃる方を想定しています。対象になりますと,例えば産婦人科領域,産科領域ですと,妊婦さんはまず患者さんではないですし,発育過程においてもお子さんが育っていく過程に携わる場合は,これもまた当然,患者,患児ではございませんので,そういう場合は基本的に対象という書き方をしている。これがまず大原則であります。
 またその中で,今,井村委員からも御指摘いただいた患者中心という言葉は,例えばpatient-centeredという考え方が,割に日本語でも患者中心という和訳,また英語との対照関係が比較的定着しているような慣用句的に使われているものは,そのまま使おうと。これが第2水準の考え方で記載をしたところでございます。
 ところどころ,それ以外の言葉が出ている場合もありますが,それは文脈に応じてそれぞれ第3水準的に,その状況に応じて,患者でもないな,対象でもないなということで記載をしていった。こういう考え方の区分で整理をしてきました。
 改めて今の御指摘を踏まえて,その目で最終的には精査したいと思います。御指摘ありがとうございます。

【井村委員】  特にここは,社会の変遷と国民に向けた大きなメッセージなので,患者という限定的な文言でない方がよろしいかなと思いました。

【佐々木企画官】  はい。

【井村委員】  あともう一つ,済みません。

【浅田座長】  どうぞ。

【井村委員】  国民への周知の先ほどのところなんですけれども,一番目の「医療・看護では,患者自身や家族の参画が不可欠である」という,これは当然のことともいえますが,この表現の基本的考え方としては,そもそも医療があって,そこに参画するのが国民だという立ち位置と視線が表現されているのではないかと思います。本来的には国民の健康の維持増進があって,それに我々が下支えか側面的にか支援するということなので,この大きな,医療者がそもそもいてというのではない発想に,ぐっと視点を変換していただけるような文言で言っていただく方が,我々が目指すものの表現になろうかと存じますので,御検討いただけると有り難いです。

【佐々木企画官】  なるほど。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 どうぞ。

【菱沼副座長】  今の国民の周知の最後の5)なんですが,よりよい看護や看護学の進歩といった形で「お返し」できるという表現ですが,このお返しできるという表現が市民に分かりやすいとお思いかもしれないんですが,ちょっと違うような。お返しできるというよりは,ここは実習を通じて学生を一緒に育ててほしいというお願いを,まずすべきかなと思いまして,そして一緒に育てた学生が社会に看護や看護学の発展,あるいはその仕事をするという意味で還元していくという表現ができないのかなと思いまして,このお返しというのが違和感がありました。

【阿真委員】  同じところなんですけれども,3番の1)から5)のところで,表現はいろいろあるかもしれないんですけれども,この全体的な内容,1)から5)の内容は,とてもいいというか,この中で重要な役割を示していると思うんですけれども,ここの1)から5)が,周知文面の作成に当たっては,この事項を記載することがと限定されてしまっているので,これは別に周知文面の作成に当たってこの事項を記載することだけではなくて,この内容というのはもうちょっと広い意味で重要なのではないかなと思うので,ちょっとここら辺りの表現が違うと,もっと作成だけのことではないと思うんですけれども,検討していただけるとうれしいです。
 以上です。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【佐々木企画官】  事務局です。今頂いた種々の御意見は,確かにそうですね。非常に言葉は大事なものですし,例えば菱沼副座長にあったとおり,時間順に沿っていくとこういう書き方だし,読んでいて違和感ない書き方,また今,阿真委員がおっしゃったとおり,これは実習の場で快く,「学生さんなの? じゃ,お断り」ということがないようにということを意識しての文面でした。確かに,別にそれは実習先の病院だけではない話ですので,そこは「様々な周知に当たっては」といった工夫をしたいと思います。御指摘ありがとうございます。

【浅田座長】  どうぞ。

【小泉委員】  小泉です。3ページのところの臨地実習についてなんですけれども,14行目から33行目までにお書きになられているところというのは,すごく読んでいて納得できるなと思いました。ただ,34行目以降のところで,少しお伺いしたいところがあるんですけれども,実習というのは知識と技術を統合する大変重要な授業科目であるということが,ここにも書かれているとおりですけれども,看護実践は患者さんとの双方向の関係性で行われるものですし,看護技術はコミュニケーションも含めて技術であると考えると,35行目の「シミュレーション教育の開発・活用が重要である」というところが少し気になりまして,シミュレーションで臨地実習ということをお考えなのか,それとも臨地実習の前の演習でシミュレーションということなのか,後者であってほしいなと思いますけれども,ここをお伺いしたいと思います。

【佐々木企画官】  今の点は,実習をどう捉えるかという基本的な御指摘ですので,確かに伝え方が1つ違ってしまうと,じゃあ全部シミュレーションかというものになりますし,一方で,昨今の様々な医療を取り巻く環境なり,また技術の開発で,シミュレーションを使わない手もまたないわけですので,今御指摘の点につきましては,まず当然ながら,最終的に多くの4年制課程を修了した看護師,看護学士さんも現場に立つことを考えたときに必要な能力,正にこの後出てくる資質・能力を意識したときに,先ほどの順番整理じゃないですけれども,基本的にはコミュニケーションが取れる,けれどもその涵養をしていく上で,ほかで代替できるものは使った方がいいという趣旨がもう少し出るような工夫は,確かにしたいと思いますし,また,今の発言の冒頭で申し上げた変な誤解が,そっちの方が先に行ってしまうことのないような書き方の工夫と,この2つを意識して,もう一度修文案,修正案を作ってみたいと思います。

【小泉委員】  御確認をさせていただいてよろしいでしょうか。そうすると,シミュレーション教育は実習ではないということで理解してよろしいですか。

【佐々木企画官】  シミュレーション教育,これは包含関係で,シミュレーションの中で実習の代替というか,実習としてみなすべきものもありますし,また,もう少し前の段階でシミュレーション的にやるようなものもございますので,これは玉虫色の答えに聞こえてしまうかもしれませんが,シミュレーションというものが全て実習に相当するものとも限りませんし,またシミュレーションだからといって,実習ではないと必ずしも断言できるものではないものも含まれてくると思います。
 例えば,恐らく今の看護学もそうでしょうし,医療系の多くは,例えば早期体験の際に,早期体験に出る前にいろいろ行うものは実習時間に含まれるか。これはほかの医療系の分野でも,同じ論点としてあるわけでございますけれども,そこは実際の実行上のものとして,どのような形でのシミュレーション教育かによって判断していくべきものですので,今の小泉委員の御指摘に直接的に答える形にはならないかもしれませんが,それは行われているシミュレーション教育の個別の例によって判断すべきものだと思っています。

【浅田座長】  なかなか説明が分かりにくかったんですけれども,ワーキングでこの辺りは何か議論になったんでしょうか。ワーキングの先生,おられたら。

【奈良間委員】  ワーキングを兼ねております奈良間です。実習のところでは,このシミュレーションのところが,医学のコアカリとも対応させていくという趣旨もありましたのと,内容によっては直接患者さんにまずは実践するということが,逆に対象者への負担が大きくなるような内容もございますので,補足的に扱うものということで理解はしておりましたけれども,シミュレーション教育で丸ごと実習に代えるということではもちろんないと考えておりますが。

【浅田座長】  どうぞ。

【齋藤委員】  医学の名前が出たので。齋藤でございますけれども,これはラーニング・ストラテジーとかぶっているから,こういうことになってしまうんです。どうしてかと申しますと,例えば実際の患者さんに接する前に,simulated patientで練習をする。これはシミュレーション教育で,ラーニング・ストラテジーのうちの一つだと思います。
 しかし実際に,例えばbasic life supportみたいなものというのは,実患者さんではできないところがありますね。そうなってくると,それの教育は,それの学習は,シミュレーターを使わなければならない。シミュレーションになる。
 だから,ラーニング・ストラテジーのことを考えれば,ここの文章というのは両方かぶっているよと解釈すれば済むのかなと思っていますが,その辺り,場合によってはラーニング・ストラテジーで,ここはこういうふうにした方がいいよという書き方の方が,お読みになった方にとっては分かりやすいのかもしれないと思います。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【井村委員】  御指摘,齋藤委員の言葉はごもっとものことで,どういう能力を獲得するかということに関しては,ラーニング・ストラテジーをもって,シミュレーションもありという理解はあると思うんですが,ここは非常にセンシティブなことをはらんでおります。
 実は一昨年,昨年ですか,母性看護実習の実習現場が非常に確保しづらいということがございまして,厚労省から実習の一部を学内の演習,シミュレーションに替えてもよろしいということも提案されたいきさつがございました。
 それに対しては,看護教育では,現場に出て学ぶべきことと,学内で練習をすることの区別化というのは,きちっと峻別されなければいけないという観点から,それをお出しになられたのは厚労省でいらしたんですけれども,厚労省さんにもいかがなものかということと,本来的な臨地でのリアリティーのある実習において獲得すべき能力を確保できるような臨地実習の時間をしっかり実施するということで,お願いしたいということを申し上げました。
 そして文科省様にも,是非しっかりした臨地実習をとお願いしたところ,それは専修学校に対して厚労省が提案したことであって,4年制大学を統括する文科省としては,それはレコメンドしていることではないという御回答も頂いたいきさつ等もございました。
 ですから,それははっきりと文科省のお立場とされて,4年制大学の臨地実習というものを,しっかり質的にも時間的にも到達レベルでも担保するという,それはしっかりやってほしいと。もちろん,私たちはそれを言われなくてもするわけですけれども,全国二百五十数校に増えた大学に対しては,文科省の姿勢というのははっきりと明示していただきたいと考えます。いかがでしょうか。どちらにも読み取れるということではない表現を,はっきりとしていただきたいと考えます。

【佐々木企画官】  もし関連の御意見があれば,まとめて。

【浅田座長】  結構センシティブな話ですので。どうぞ。

【川本委員】  川本でございます。よろしくお願いします。
 確かにシミュレーション教育は,実習を有効にするための教育方略としては,非常に有効だと思いますけれども,特に安全性がある医療の場面において,シミュレーション教育というのは場の再現をして教育するということで,非常に有効であると言われております。
 ただし,これに関しましては非常に時間も掛かるし,お金も掛かりますし,それをできる人材育成というのがまず重要だとなっておりますので,非常に心配しているのは,看護の場合は生身の人でしか学べないことが実習の場面である。それがシミュレーションで置き換わるということがないようにということの御指摘だと思いますので,臨地実習のところに書かれているので,そういう誤解が出てきていると思いますので,学習方略として有効だという場面になるようなところで補足されると,誤解がないのではないかと思っております。
 以上でございます。

【浅田座長】  ありがとうございます。臨地実習に関しては,後の方のFの項目のところで1つ,また詳しく触れられると思いますので,先に進めてよろしいでしょうか。

【菱沼副座長】  いいですか。すいません。違うところですが,2ページの最後の行で,「この範囲で,指定規則を充足するのに不足する時間数を,各大学において調整する」という表現ですが,これは必要でしょうか。

【佐々木企画官】  よろしいでしょうか。結論から申し上げると,計算をしていくと,30行目の「基本的には指定規則の内容が充足され」というところとの,ある意味でペアになるわけですけれども,機械的に計算すると,4年分の掛け0.7だと2.8で,「あれ?」とかということがないように念のためという趣旨ですので,あえてこれで記載をする必要があるのかというと,なくても文意は通るものと思いつつ,念のため記載をしたというのが実態です。
 あと,先ほどの1つ前の議論というのは,この後にもありますけれども,様々な御指摘を踏まえると,まず実習の考え方のところと,4ページにあります方略のところとの関係で,こっちにもシミュレーションが出ているところでもありますので,確かに様々な教育の場面においては組み合わせていくということからすると,あえて3ページで臨地実習の中で書くというものではなく,4ページ,教育全体にわたる方略,ラーニング・ストラテジーのところ,又はそれに伴う教員へのFDというところでまとめるという形で整理をし,基本的には看護のポイント,実習で学んでもらいたいこと,そちらに整理をした方が混乱をしないものと思いますので,そのような整理をさせていただくことで御了承いただければ,修文いたしたいと思います。

【浅田座長】  よろしいでしょうか。先に進めたいと。

【菱沼副座長】  何度も済みません。4ページの看護学生に求めたいことというところですが,この2段落目,25行目から31行目が非常に分かりにくいかなと思ったことが1点と,それから34行目に,「感謝する気持ちや,常に対象者に寄り添う気持ちを」という表現になっております。感謝し,常に社会に還元するということを考えてほしいとか,あるいは大学にいるときから大学院等の自分のキャリアパスとかワーキングライフバランスを考えるということを,大学生のときから考えてほしいんだというメッセージにならないのかなということが1つ。
 それから,対象者に寄り添うというのも,本来ならば自分でできるいろいろな日常のことを看護職に委ねなければならない場合,その方たちと付き合うというのが看護の特徴なので,そういう特色のある学問を選んでいるということをよく認識して,他者に寄り添ってほしいみたいな,何のために寄り添うのか,ただ寄り添うみたいに聞こえるので,そこをもう少し書き加えていただけたら有り難いなと思いました。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 各項目に入ってよろしいですか。それでは,A項目からG項目までございます。順番に進めてまいりますが,関連性のあるところで少し戻ることもあるかもしれませんが,まずはA項目,11ページからのところですが,基本的な資質・能力のところでございますが,これはいかがですか。御意見あればどうぞ。

【菱沼副座長】  よろしいでしょうか。A-8の科学的探究というところですが,ここはA-3の課題対応能力というところに含まれる,あるいはGですね。先の方の……。

【浅田座長】  49ページ,看護学研究ですか。

【菱沼副座長】  看護学研究の方に含めて,少しカットしてもいいのかなと。非常に内容が全体で多いので,少し整理ができないかなと思いました。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 Aについて,いかがですか。また戻ってきてもよろしいですので,これは非常にいろいろなものが関連しますので,取りあえず全体項目を一通り走りたいので,よろしいですか。何かございましたら。どうぞ。

【江藤委員】  江藤でございます。11ページの下の32行目のところに看護倫理というのがあるんですけれども,これが19ページの後ろの方にも入っていたりするので,またこれも少し考えて整理した方がいいかなと思ったんですけれども。

【浅田座長】  19ページのB-3の看護における倫理のところですか。

【江藤委員】  重なる部分が少しあるのではないかと思います。

【井村委員】  B-3とA-1-3)ということですね。

【浅田座長】  そうですね。だから,もし分けるなら分けるで,それぞれの位置付けが……。

【江藤委員】  詳しく書いていた方がいい。

【浅田座長】  ……はっきりすればいいけれども,同じような形。その辺はどうなんですか。

【奈良間委員】  ワーキングでもこの点は議論がございました。Aに関しましては,Aのところのまず看護倫理というところでは,看護における倫理という,かなりコアなところに最終的には絞り込んでおります。
 一方,Bのところで挙がっている倫理に関しては,もちろん看護・医療全般に関連する内容で,社会における倫理と看護とを関連付けるような,そういった幾分の違いはございます。ただ,全体的に絞り込んだ方がよろしいという方向であれば,そこを整理する必要があるのかどうか御議論いただければと思います。

【江藤委員】  看護の倫理に関しては,平等性とか,幾つかあったと思うんですけれども,その辺が両方ともに入っているような感じのところもあったと思いますので,そこはどちらかに入れた方がいいのかなと思います。

【浅田座長】  はい。

【萱間委員】  A項目というのがB項目以下とちょっと性質が違うのかなと私は思っておりまして,BにあるからAになくてもいいとか,Dにあるからなくてもいいということではなくて,Aは全体像を示している項目で,各論のところはいろいろなところで出てくると考えると,この職業というのはどういうところに焦点を当てるのかという全体が見えた方がいいのではないかと思いますので,倫理にせよ,研究にせよ,それはこの職業に大切なものであるという意味で,残してあった方が見えやすいのではと思いました。

【浅田座長】  という御意見もございますので,これは多分,全体のまとめ方だと思います。それと,これを読んだ人が,その趣旨がきちんと理解できるようにという,そこの表現もあると思いますので,御意見を伺ったということでよろしいでしょうか。
 少しBの話も出てきておりますが,次に進んで,取りあえずBの項目でということでいきますと,いかがですか。基本的には看護の専門基礎的な内容だと思うんですけれども。どうぞ。

【萱間委員】  B項目。

【浅田座長】  はい,B項目で結構です。

【萱間委員】  18ページのB-2-4)地域におけるケアシステムというところですが,今回のモデル・コア・カリキュラムは,地域のカラーをすごく強く出すということで作られていると思うんですが,内容的に余り少ない内容になっていて,むしろその後のEの多様な場のところの44ページですが,E-2-1)と2)が,地域包括ケアシステムのことが詳しくここで載っています。
 それで,地域包括ケアシステムのことを詳しく載せるということは不可欠と思っておりますけれども,前の方の地域におけるケアシステムというところが重複するのと同時に,内容が抽象的になっていますので,地域包括ケアシステムはむしろここに置いてしまってもいいのではないかと思いました。

【浅田座長】  恐らくこれは構成をどうするかで,Bの位置付けだと思うんですけどね。多分,こういう構成になったというのは,後の方はそれぞれかなり深く記述されていっている項目だと思いますが,Bのところはどちらかというと,その前提のところでの専門基礎的なところとして,割と全体をここで押さえておくという位置付けのようにも私は理解したんですけれども,その辺の構成について,どなたか御説明いただけますか。よろしいですか。

【佐々木企画官】  座長御指摘のとおりでございまして,もともと17ページの社会と看護学は,どのような場所で,どのような文化を含めた社会的背景の中で看護学士が活躍していくのか,その中でB-2-4)が,まず基本的には地域というのがありますということの説明をしたかったところですので,確かに地域におけるケアシステムまで書き込んでいるから,地域包括ケアシステムとの混同的な部分も入ってしまったのと,あと,内容的にも,ケアシステムと後段で詳述するようなところも入ってしまったので,ここは地域とは何ぞやのところが分かるような,そのすみ分けができればと思います。
 そういう文化,地域があって,B-2-5)で,だから看護職はこういう法律で規定されているんだという流れを意識していましたので,そういう整理をしたいと思います。

【浅田座長】  分かりました。少しその構成を,全体を見ていただいた中で解釈していくと,それなりには考えられた構成ではあるんですけれども,キーワードだけを見ると,あちこちに散らばっているという印象もあると思うんですが,かなりワーキングでは時間を掛けて御議論いただいて,ここに落ち着いているということで,ボリュームがあるので,なかなか全体をさっと見て,さっと入るわけではないところが,この辺の難しいところかもしれません。
 どうぞ。

【宮﨑委員】  今,話題にしていたB-2-4)のところなんですけれども,ちょっと気になる点は,「地域におけるケアシステム」と項目出しをしておきながら,内容は,まず地域の資源というところの理解ですよね。だから,地域の資源と,それがシステムとして形成されているか,あるいは機能されているかというのはまた別の問題なので,資源,それからネットワークとか,そしてそれがシステムとして形成されているのか,機能しているのかというそこら辺の,システムという言葉を意識的に頭出しするのはいいと思うんですけれども,丸1,丸2という小項目の起こし方をもう少し,資源,それからネットワーク,それからシステムというふうに段階的に押さえていただくと,学生にとっては理解しやすいのかなと思っています。

【佐々木企画官】  ねらいが正にそういう書き方になっていますので,確かに今の段階整理が必要です。かつ,ケアを付けるのがいいのかどうかも本当はありますよね。ねらいのところはシステムにとどめているのが,30行目の丸2ではケアが入ってしまっている。それが逆にまた混乱にというのもあるので,そこは丸の項目の段階的な整理と,ワーディングも少し気を付けるということで対応したいと思います。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 何かございますか。

【柳田委員】  大丈夫です。

【浅田座長】  よろしいですか。次,C項目に移りますと,ここからはかなり本格的に内容が豊富になってまいります。
 どうぞ。

【釜萢委員】  最初のCのところに,人間の生活体としての側面,生活体という言葉が出てきまして,この言葉は必ずしも余り一般的ではないように思うんですが,ワーキングではその辺りのところで何か議論がおありだったかどうか,教えていただければと思います。

【浅田座長】  どうぞ。

【奈良間委員】  看護の領域では,生活体として対象を捉えるというのは非常に原則的でありますし,多くの場合は理解が得られると思いますが。

【釜萢委員】  ああ,そうですか。

【奈良間委員】  生活体の内実が何かというところの議論はいろいろとございました。それで,現状ではC-1からC-2に当たるところかと思いますけれども,主にはC-2でございますが,人の生活行動を基本的なニーズから捉えていくということで,生活を構成する基本的な生活行動から捉えて理解するということが,まず1点ございます。
 そして,C-2に当たりますが,生活環境の視点から対象を捉えるという内容で,併せて家族として対象を捉える,あるいは家族の一員として対象を捉えるという内容が含まれています。さらに,社会における存在としてというところで,この辺りの整理が非常に難しいところでありまして,ワーキングでも必ずしも十分に時間が取れていないところもありますので,御意見など頂ければと思いますが,まずは生活体としての人間理解ということを打ち出した上で,生物学的存在としての理解というふうに展開するという方向です。

【釜萢委員】  そのような対比で捉えるんだろうと思いますし,この中の小項目というか,C-2-1)辺りから読めば分かるんですが,生活体という単語がどのくらい人口に膾炙しているかというところについては,ちょっと私の認識が足りなかったのかもしれませんが,指摘をさせていただきました。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 ほかに。どうぞ。

【南委員】  Cのところでよろしいですか。私もここで申し上げるべきなのかどうか,余りに全体は膨大なので,ここに例えばC-3-1)-(2)ゲノムと遺伝子,細胞分裂というところが,ゲノムと遺伝子を説明できるだとか,遺伝の基本機序を説明できるとかという言葉があり,また26ページにはC-4で,遺伝子異常,染色体異常による代表的な疾患を概説できるとか,遺伝カウンセリングについて概説できるとかという言葉があるんですけれども,皆様も御存じのとおり,医療の現場というのは国民の理解を超えて,遺伝子医療とかゲノム診断とかいうことがどんどん進んでいるわけですね。
 その中で,これはコミュニケーションということが十分でないということで,ここにある遺伝カウンセリングみたいなものを担う方の養成とかも急務であるということが言われているわけなんですけれども,現実にはゲノム医療をやっていらっしゃる先生に伺うと,全国でも養成しているところは,遺伝カウンセリングとは申しましても,子供の遺伝からがんの遺伝診断まで,物すごく幅が広いわけで,それぞれ専門家がきちんと養成できているかというと,がんに関しては例えば2校ぐらいしかないとか,そういうことも伺うんですね。
 これの看護の学士,高等教育での看護学校にどのぐらい落とし込むのかは,私はどういうことが適正なのか分からないんですけれども,進歩がどんどん先に行ってしまうので,何らかの形で専門家の方々の御意見などを聞かれて,せっかくできるコアカリですので,何かそういうものを生かしておいた方が,250校ある大学の中にはそういうことをやりたいという方も出てこられるのかなと思いますし,看護師さんというのは臨床現場に,患者さんに近い存在ですから,遺伝カウンセリングとかゲノムの医療について説明できるとかいうことは,極めて大事なことなのではないかという気がするんですが,すいません,どういう形でどうしたらいいというのが提案できないんですけれども。

【浅田座長】  分かりました。

【佐々木企画官】  御意見ありがとうございます。確かに日進月歩の分野で専門性が高いんだけれども,まだなかなか国民との間でちゃんとキャッチボールができているかという部分,今,遺伝子,ゲノムを例に出されましたけれども,基本的にはこの後の項目でも,委員の皆様から,この分野はもう少し専門家から意見をもらって,それでパブコメ案を仕上げるべきという御指摘を頂ければ,それぞれのより造詣の深い専門家の方に照会をした上で,最終的なパブリックコメント案を仕上げたいと思っております。御指摘ありがとうございます。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【南委員】  そうであれば,例えばゲノム,遺伝子とかいうだけでなくて,再生医療とか細胞医療とか,物すごく新しい言葉がどんどん社会では出てきているわけなので,是非どこら辺りまでをどういうふうに入れるのかを専門家の方に聞いていただいてはどうかと思います。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【柳田委員】  よろしいでしょうか。

【浅田座長】  どうぞ。

【柳田委員】  御指摘ありがとうございました。本当に大事なところでして,少なくとも再生医療に関しては,27ページのC-4-2)-(1)の丸7には一応,再生医療を概説できるという形で入れております。
 あと,もう一つのポイントとして,説明できるという言葉と概説できるという言葉が出てきているんですが,説明できるの方がより明確に,クリアにというイメージです。概説の場合には,大きく理解できる。ですから,見ていただいて分かるように,疾患のところは概説という言葉を使っております。それ以外のところは,できるだけ明確な知識・理解が必要なところには,説明できるという言葉を使うようにしております。
 ですから,今の御指摘ですと,ゲノムと遺伝子のところは当然,説明できるとなりますし,それから,再生医療のところは本当に日進月歩で非常に進歩して,なかなか全容をつかむということが難しいですので,これは概説できるというように,できるだけそういう言葉の使い分けをするような形で記載をさせていただくようにしております。
 先ほどお話がありましたように,例えば遺伝カウンセリングのこととか,あるいは,私は臨床研究に関与しているんですが,CRCと言われるリサーチナースの方とか,今そういう人はいっぱいあって,学会に行きますと,学士のときからそういう人に注目してもらえるような,これから先の臨床研究というのは医師同士では甘いので,看護師がいないと,きちんとした研究というのはできないんですみたいなことを,そういう方はおっしゃるんですね。
 では,それをどこまで学士に落とし込むのかというのは,難しいなと思いながら,ゲノムの方は当然必要だろうということで入れさせていただいたんですが,臨床研究の方は,実は入っておりません。でも,先生方の御意見で,もしそちらも入れるべきだということであれば,何らかの形で文言が必要かなとは思っております。

【嘉手苅委員】  C項目全体についてなんですけれども,これが看護の対象理解に必要な基本的知識と看護学基礎となっていまして,内容が,例えばC-1ですと,基本的な考え方と人間,全体的なことで,次に生活体としての人間理解,生物学的存在としての人間理解とありまして,その中に,27ページの疾病に対する医療というふうに診断・治療が続いていまして,ボリューム的にもとても多くなっていて,C項目自体の内容が全体的にアンバランスな気がします。
 看護の視点から対象理解をしていくために必要な知識としますと,21ページのC-1-1)にありますように,C-1-1)の丸4の,看護の視点から人間について総合的に捉え説明できるというのが核にあって,その総合的に捉えるというときに,生活体と生物体,ここでは生物学的存在と見ていると思うんですけれども,後半の生物学的存在としての人間理解の中で,23ページから27ページの疾病に関する手前までは,前の部分と流れであっても違和感がないのですが,C-4-2)のところは別項目になるような,内容的にしてもボリュームも大きいですし,詳しさはいろいろあるとしましても,内容的には必要なことだろうと思います。ですから,Cの中にこれ全体が入るというのは,内容全体のバランスが悪いことではないかなと見ましたけれども,いかがでしょうか。

【柳田委員】  よろしいでしょうか。

【浅田座長】  はい。

【柳田委員】  御指摘ありがとうございます。実はそれはワーキングの中でも再三話題になりまして,その性質といいますか,どうしても医学的な,医学的なという表現が正しいかどうか分かりませんが,生命体としての理解というときに,正常と異常を理解するというときに,どうしてもこれだけのことを知識として知らなければいけないという名称を挙げないといけないと。例えばゲノムとか遺伝子とか,先ほどもそうですが,それを一まとめにして発生が分かればいいということにはならないので,それを一つ一つの言葉を入れていくと,こういう形にならざるを得なかったと。
 実はここに挙げているのは,できるだけミニマムエッセンスということで,国家試験の出題基準をベースにしております。ですから,できるだけそれをはみ出すものは入れないようにしようというのを心掛けました。
 あともう1点なんですが,Bが社会と看護ですので,極端なことを言えば,Cを例えば生命と看護という形にしてというのもあったのかもしれないんですけれども,先生がおっしゃるような形で。ただ,対象として捉えるときには,生活体と生命体としてをフュージョンしてというか,総合的に捉える力というのが必要だろうということで,Cでやはりまとめるべきだろうというのが議論としてありましたので,ボリュームとしては大きくなるんですが,Cはその両者があるべきであると。対象理解としては,生活体と生命体があるべきであるというのが1つ。
 そのときに,どうしても性質的に,生命体の方は項目として名称を挙げざるを得ないというところがありまして,項目だけで見るとボリュームが多いという形になってしまいました。これは本当に御指摘のとおりで,バランスとしてどうなのかというところは,御指摘いただいたとおりだと思います。

【川本委員】  川本でございますが,現場の看護職の立場から発言させていただきます。看護職は医療職の一員であるということは間違いないことでございます。健康レベルを,知識に裏付けられた総合的な判断をしなければ,看護の専門職としての立場はないと考えております。ということなので,看護の専門性である医療と生活の両面から患者を支えるためには,是非,医学的知識は医療職共通の基盤になると思いますので,ある程度の水準は維持していただきたいと思っております。
 これからはチーム医療とか多職種連携が進められていますので,多職種と同じ言葉と,共通の知識がなければ,多職種連携はできないのではないかなと考えております。そのため,チームの要として働くように,活動するようにという期待を背負っている私たちとしては,是非この点に関しまして,しっかりとした知識を裏付ける学修のレベルにしたいなと考えています。今回,医学,歯学などに合わせた形で,医学的な知識が系統的に学べるカリキュラム構成というのは,非常にいいのではないかなと思っております。
 それから,釜萢委員から御指摘ありましたように,生活体としての人間理解というところが少し薄かったのかなと思っております。私たちはもう理解しているつもりなのですが,もう少しここの内容を膨らませれば,バランス的なところは少し補完できるのではないかなと思っております。
 以上でございます。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【菱沼副座長】  よろしいですか。今のC-3,4,5の辺りのことなんですけれども,同じ言葉が分からなければいけないというのは重々了解でございます。ただ,言葉を非常に細かく出しているのがほかの項目とはちょっと違っていて,ここの病気のことも,物すごく細かく中身を指定してしまっているという気がして,ここはもう少しあっさりできないのかなというのが私の気持ちです。運動器の1-3という形で細かく示す必要があるのかどうかというのが非常に疑問でございます。
 それから治療につきまして,C-4-2)で診断と治療という形になっていますが,疾病の診断と治療という表現なんですが,主な診断方法と治療方法ということであって,この中にC-5の薬物や放射線の方は一緒にしていくことができないのかなということを,1つ思いました。
 それと,医療による健康被害のところが,医療者が受ける健康被害の話になっているんですけれども,医療によって予想外に起こる,医療を受ける人の健康被害についても入れておいた方がいいのかなと思いましたが,いかがでしょうか。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【佐々木企画官】  まず,疾患をどのような程度までというと,例えば今,菱沼副座長が28ページでしたか,28の循環器系であれば,ではどこまでの示し方であれば,指定規則や看護の国家試験の出題基準等を意識したときに,それは例えば循環器系でも形態異常なのか,それとも電導系のことなのか,そこをもう少し具体的に頂ければ,ある程度整理できるのかなと,そういう作業方針にしたいと思います。
 もう一つですが,例えば32ページ,薬物や放射線。これは治療上必要なものだけれども,一方で,薬物も放射線もぎりぎりの量まですると,それは副作用的なものもあるので,特にこれからの時代の治療を考えると,個別の患者さん,今までプロキロ何ミリでやっていたのが,それぞれの患者さんに応じてぎりぎりのドースということを考えると,特出しする必要があろうということにしたのが1点です。
 あと,全般的に患者さん側もそうだし,医療者側ということも意識した全体構成の中で,端々に入れているということで,菱沼副座長の最後の点については,一応入れてはいるのですけれども,ここが足りないとか,むしろここは冗長に過ぎるから削るということがあれば,3点目の指摘についてはそのようにしたいと思います。

【浅田座長】  分かりました。
 どうぞ。

【小泉委員】  小泉です。私は大学病院で,新人の大卒の看護職を毎年100名近く受け入れている立場ですけれども,C項目の疾患,治療,薬物療法などのところは,しっかりと文科省で枠を組んで教えていくということをしていただきたいと思います。地域包括ケアの時代で,大学を出て,そのまま地域に職を取る方もいらっしゃるでしょうし,当院のような高度先進医療の場で働く看護師もいますけれども,やはり医療職ですので,ここのところはしっかりと枠があった方が,看護師としていいのかなと思います。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 ほかにございますか。

【嘉手苅委員】  いいですか。先ほどの意見の続きなんですけれども,体のことだとか,病気のことだとかをしっかり学ぶということはとても大事だと思っています。特に介護職の方と一緒に仕事をしていくことも多くなってくると思いますけれども,強みの一つは,体や病気のことをしっかり理解できる知識を持っているということですので,Cの後半部分の内容はとても重要だと思っています。
 先ほど申し上げましたのは,Cが看護の対象理解にというふうにしたときに,生活体の理解と生物体の理解の生物体の理解の中に,項目を見てみますと,細胞,組織,器官というふうに,健康な状態の仕組みと働きが出ていまして,その後に健康障害について述べていって,それから病気の診断,治療となっていますけれども,健康を害した状態と治療との間は,治療の部分というのはその時代によってどんどん変わってきますし,その前に健康を害した状態までのことを含めて,生活体と題して理解する部分と,それを受けて,疾病と診断,治療の部分とというのは切り分けて構成した方が,より充実できるのではないかなと思いました。

【柳田委員】  ありがとうございます。恐らく後半のD以降で,看護というところで出てくるんですが,要は,病気を抱えて病気とともに生活をされる方の看護という観点のときには,今の御指摘のところはあると思いますので,そういうところではできるだけ反映させるように意識して作成したつもりではおります。また後ほど,後半も併せて見ていただけたらと思います。
 それから,診断ということに関しては,すいません,実はぎりぎりまでワーキングで修正しておりますので,最終版になっておりません。一応ワーキングの中では,診断は看護職としては入っていない方がいいんじゃないかということで,病態と治療ということで基本的にまとめると。
 ただし,病態の中には当然,講義していただくときには診断基準であるとか,あるいは病状の判断,基準ということは,当然それがないと理解はできないとあるんですが,言葉として診断として挙げてしまうと,あたかも人の診断をするという形になるので,誤解を招くのではないかという御意見を頂きましたので,基本的には病態と治療という表現にするべきではないかと考えております。
 あともう1点,どうしてもこういう疾患の講義というのは,ドクターにお願いするという形になると思います。これは私自身,本学で経験したことなんですが,学外から,看護の専門学校とかから依頼されるときには,ここの領域について,これこれの病気について,しっかり教えてくださいということを,これは国家試験の出題基準によってきちんと説明されますと。疾患名までやって教えてくださいと言われますと。
 ところが,看護の大学から来るときには,そういうことは一切なしで,例えば肝臓疾患を教えてください,何をしたらいいんですかと。いや,慢性と急性じゃ分からないんですよねということになってしまうので,講義を依頼される側からすると,ある程度自分たちの知っている中での疾患であるとか枠組みということで教えてくださいというものがないと,受けようがないという現実もありますので,そういうことも踏まえて,これは看護の教員だけではなくて,メーンは学生ですし,あるいは看護学以外で協力をしていただく方も読んでいただいて理解できるようにという観点で,そういう視点も必要かなということで,このような記載にさせていただきました。

【浅田座長】  ありがとうございます。なかなかまとめ方が難しいところだと思います。きょう幾つか御意見を頂きましたので,それを受けて,部分的に直すというよりも,これは全体の話をきちんと構成しないといけないので,またそういう観点で見させていただきます。

【萱間委員】  その見直していただくときに,C項目が一体何の項目なのかということが,今いろいろ議論で出たと思うんですけれども,対象を生活体として,生物体として理解して,それから治療,疾患,病態生理のところも理解するというところだと思うんですけれども,最後にC-6のところが,基本的な看護技術がここに出てきているんですけれども,看護のすごく特化した内容というか,私たちの職業の焦点になるところというのはD項目で主に扱われていると思うので,アセスメントがあるのでCに入れた方が分かりやすいということで,ここに入っているのかもしれないんですが,Cは対象の理解ということであれば,D項目の方に整理して,看護技術を厚く入っていた方が分かりやすいと思いました。

【浅田座長】  なるほど,ありがとうございます。
 どうですか。

【奈良間委員】  御意見ありがとうございます。御指摘の趣旨がとても理解できます。今回この基本的な看護技術をCに含めましたのと,Dとどう区別しているかというところは,Dは具体的に対象の方がいらしたときに,その方に合わせて,どう看護を考え実践していくかというところに焦点を当てております。一方,Cに関しましては,その基本となるような技術,知識というところで整理をいたしました。その結果,こういう形なのですけれども,ここの看護技術のところにつきましては,御意見としては大変よく理解できます。

【浅田座長】  ありがとうございます。もうDの話が大分出ておりますので,D項目の方で。

【宮﨑委員】  すいません,ちょっとだけいいですか。Cの大項目というか,Cの大きな見出しなんですが,看護学基礎というのが付いているんですよね。看護の対象理解に必要な基本的知識と看護学基礎となっているのも,ちょっと気になるんです。「と看護学基礎」というのは,必要ないのではないかと私は思いました。もちろん,これらの知識が学的な基盤になっていくというのはいいんですが,なぜここだけ学の基礎というものが小見出しに入っているのか。ここはなくてもいいのではないかと思いました。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【井村委員】  私も賛成です。看護学基礎は,看護の方に統合させてしまうとよろしいと思います。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 それでは,D項目でいかがでしょうか。

【川本委員】  よろしいでしょうか。

【浅田座長】  はい。

【川本委員】  Dの。

【浅田座長】  D。もしあれだったら,Eの方も含めてでも,専門基礎,専門知識という形で段階的に進んでいくんですけれども。

【川本委員】  精神と心身のことについて,健康段階レベルでは,今あります精神看護の領域がどうなるのかなというのを心配しているところでございます。31ページの10行目のC-4-3)-(12)「精神と心身の疾患の病態と治療」や,33ページのC-6の基本的な看護技術の中のC-6-1)-(2)の7に「精神状態のアセスメントができる」とあるのですが,健康の段階に応じた精神状態のアセスメントということになりますと,急性期と回復期に少し記載があるのみになっておりますので,精神看護をどう学ぶのかということを懸念として感じました。
 実習のEの方も併せて見ますと,精神の領域のことがなく,あえて場を限定されず “A~E参照”と書いてあるので,そうなったときに精神看護の領域が実習から外れてしまうというのが懸念でございます。御検討いただければと思います。
 以上でございます。

【浅田座長】  ありがとうございます。少しそういうのをまた見ていただければと思います。
 どうぞ。

【萱間委員】  精神の領域のことを言っていただいて,ありがとうございます。私も精神が専門なので。
 精神科で入れていただくとしたら,急性,慢性とかいうことではなくて,今,職場でのメンタルチェックの問題から,メンタルヘルスの問題から,思春期の発達の問題から,青年自殺予防などの問題から,ずっとつながった内容でメンタルヘルス,それから精神疾患というので項目を作っていただけたら,いろいろなもので,今抜けているものが含まれるのではと思いました。

【浅田座長】  どうぞ。

【奈良間委員】  ありがとうございます。細項目のところでは,ところどころに入っている内容もございます。全体としては分かりにくい,見えにくいということと,継続的な視点が不足しているということで,御指摘ありがとうございます。

【阿真委員】  D-6-2)の小児期にある対象の看護実践のところに,私は第1回のときにも予防接種の話をして,ここには見当たらなかったんですけれども,27ページの医療による健康被害の,薬物のメリット・デメリットのところに含まれているのか,又は31ページの,ウイルス感染症の病態と治療を概説できる。でも,ここは治療なので,予防接種の話ではないのかなと思いますし,次のページの薬物や放射線による人間の反応の理解のところに,確かに注射という言葉は出てきたりもするんですけれども,すごく細かく出ているんですが,予防接種という言葉は私は探せなかったんですけれども,ワクチンとかそういったことは説明できるというところまで行かずとも,概説できるくらいは入ってもいいのではないかなと私は思うんですけれども,いかがでしょうか。

【浅田座長】  いかがでしょうか。

【柳田委員】  これは個人的な意見になるかもしれませんが,ワクチンとかは本当に必要なところですので,私自身は教えるようにしているんです。それは薬理のところでも教えますし,あるいは1年生とかに概論みたいなところでも必ず扱うようにして,薬害とかと併せて,そういうことをミックスして教えてはいるんですが,ただそれを,これでどこに落とし込むか,あるいはどう明記するかということになると,確かにその視点が抜けておりましたので,もう一度考えて検討させていただきます。

【浅田座長】  どうぞ。

【奈良間委員】  御意見いただいた内容が漏れておりました。基礎医学的といいますか,専門基礎的な内容に含めるのか,場合によってはD-5-1)の予防に関する健康支援の内容がございますので,D-5-1)に含める考え方もあるかと思いますので,検討させていただきます。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。たくさんの人の目で見ていただかないと,いけないところもございますので,お気付きの点,いかがですか。
 特にないようでしたら,Eに進んで,戻ってもらってももちろん構いませんので,あちこち関連する内容がありますので,取りあえず最後の項目まではたどりたいと思っていますので,御協力をお願いしたいと思います。取りあえず,E項目のところでいかがでしょうか。地域包括ケア等々の内容が含まれております。

【井村委員】  Dですよね。

【浅田座長】  どうぞ。

【井村委員】  37ページにD-5として,健康の段階に応じたと設定してくださって,39ページのD-6に,発達段階に特徴付けられると設定してくださっています。どちらも重要ですので,両方あるのはもちろん大変結構なことですが,順序的には発達段階の方を先にしていただき,人のライフステージとか一生があって,そして健康段階別というのがあるという設定の方が望ましいのではないかと考える点が1点ですので,御検討いただければ有り難いです。
 もう1点は,39ページのD-6にございますD-6-1)の周産期・生殖年齢にあるということなんですけれども,学部は母性看護というところからスタートしていた経緯があるので,周産期が先に出ていると思うんですけれども,リプロダクティブヘルス/ライツとか,ウィメンズヘルス系の考え方からしますと,生殖年齢の方が大きな枠組みだと思いますので,生殖世代という大きなものがまずあって,そして特化されたお産に関する周産期を入れる,それらを逆にしていただく。若しくはウィメンズヘルスという言葉を学部レベルで入れるかどうかというところ辺りの御検討も,改めてしていただけると有り難いと思います。
 ラインで言いますと,39ページの20,21,22も,今の考え方に基づきますと,22行目のリプロダクティブヘルスの方を上に持ってきて,それより各論的になる周産期というふうに,より焦点化したものに配置し直すということも御検討いただけると有り難いです。
 以上です。

【浅田座長】  ありがとうございます。

【萱間委員】  看護過程の展開の扱いについてなんですが,看護過程の展開は,D項目の看護実践の基本となる専門知識の中に,看護過程の展開というのが大きく述べられていて,その内容もD項目に入っていると思います。ただ,F項目のF-3の47ページのケアへの参画の中で,チームの一員としてケアに参画することの中にも,もう一度看護過程の展開が出てきています。
 それで,これは私どもの領域の特徴かもしれないんですが,多職種と協働するときは,看護過程の展開が問題解決志向になっていて,それで看護師は問題ばかり探すから困るということを,福祉との協働の中で問題があって,ストレングスモデルとかそういったものを導入するということが,この頃変わってきていると思うんですけれども,ここで看護過程というのを,チーム医療の中で改めてというのがなじまないので,ここでもう一回取り上げる必要性というのを教えていただけたらと思うんですけれども。

【浅田座長】  どうぞ。

【奈良間委員】  ありがとうございます。基本的には看護過程に関することは,Dのところを中心に説明はしております。関連して,それに先立つ看護過程とはというところがC,そして実際に実習の場でどう展開するかということが,現状の実習の中では看護過程を中心にすることが非常に多い状況もありまして,Fに再度記載している形ですが,いかがでしょうか。
 F項目の多くは,その前提になるBからEまでの内容を基盤にして,実際に展開するという記載方法もございますので,同じ内容をここで再掲するよりは,もし入れるのであれば,ストレングスという考え方も含めての方がよろしいですか。

【萱間委員】  ストレングスもあれですけれども,それぞれのチームのいろいろな職種の価値とか文化とか,そういうのを知った上でコミュニケーションするみたいな方が,ここの項目の中では必要なのかなと思って,項目の中身が,チームの目標やメンバーの説明と,自分自身の役割の説明と,次のページに行って,報告・連絡・相談みたいになっているので,チームビルディングというか,チームを作るためにどんなことを学んだらよいかということが簡単に入っていた方が,ここで看護過程は入れないでもいいのかなと思いました。

【奈良間委員】  ありがとうございます。実習ならではの内容に,もう少し修正した方がよろしいということだと思います。

【浅田座長】  今はFの臨地実習のところの看護過程のお話だと思いますけれども。いかがでしょうか。

【野村委員】  今の萱間委員の意見とも重なるんですけれども,保健・医療・福祉チームにおける連携と協働,42ページのD-7の辺りで,しっかりとチーム医療というよりも,もう少し広い福祉,特に介護なども含んだ様々なチームの中で,例えば構築方法について説明できる,対象を中心とするチームの構築方法。チーム医療というよりも,保健・医療・福祉チームの構築方法というここの辺りで,チームにおける連携・協働の基礎知識を学ぶことができるのではないかと思います。
 それを生かした実習ということにすればいいように思いますけれども,いかがでしょうか。

【萱間委員】  テーマありますよね。

【野村委員】  はい。

【萱間委員】  ここはすごく詳しく書いている。

【野村委員】  ええ。42ページのD-7-3)は,これからの時代,とても大事な部分だと思いますので。

【萱間委員】  そうですね。本当にそうだと思います。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 あちこち飛んでおりますが,かなり佳境に入っておりますので,お気付きの点はどんどん御指摘いただいて結構でございます。いかがですか。
 一番最初の議論のところで,臨地実習のところでも少し出てきたんですけれども,Fの項目も含めて,振り返りながらでも,関連するところで何か御指摘ございますでしょうか。どうぞ。

【井村委員】  35ページ,Dです。今,看護過程のことが出ましたが,2行目に「看護過程展開の基本を踏まえ」と書かれています。確かに思考プロセスとして,課題解決型ですと,ナーシングケアプランということでやっているわけですが,それを専門基礎知識として,もう少し明確に位置付けるのか,若しくはナーシングプロセスの場合には,評価まできちっと実施評価というところまで入って,それをサイクルで展開するという観点からは,フルにそのプロセスを踏むと,臨地実習という実習系に位置付けられるという理解もできるのではないかと考え,Fの要素として入ることもあり得るのかと考えたりしておりました。その辺りに関して,ワーキングの御検討等々はいかがだったのか,また,今後どこに位置付けるのが適切かということなど,検討していただけると有り難いです。
 そのときに,ナーシングプロセスというと問題解決型とか問題志向,プロブレムというのを見付け出しながら行うという思考回路が学生に身に付いてしまうんですが,先ほど来,地域ではそういうふうでなくて,強みに着目したり,母性ですとウエルネスという視点,健康をよりよくするという視点なども,そこに今までのプロブレムソルビングじゃないものも加えながら,位置付けていただけると有り難いなと考えます。

【浅田座長】  どうぞ。

【奈良間委員】  ありがとうございます。看護過程に関しましては,実習で実際に対象の方がいらしたところで展開することで,初めて学べることがたくさんあると思いますし,今御指摘いただいたように,その場や健康問題によってどういった切り口,方向性で展開していくのかということの特徴もあるかと思います。その特徴が実習ですと,より鮮明に出てくると考えられますので,看護過程のところは再度検討させていただくという形でよろしいでしょうか。

【浅田座長】  はい,お願いいたします。
 ほかにございますでしょうか。どうぞ。

【萱間委員】  Gでもよろしいですか。

【浅田座長】  結構でございます。先に行っていただいて結構でございます。どんどん進んでください。

【萱間委員】  先ほどの看護で,研究者のバックグラウンドを持って今後活躍していくキャリアパスを考える目を育てるというのは,是非大学ではお願いしたいと思うんですけれども,そのときに,G-2-3)が看護学研究の実践となっているんですけれども,看護学研究という言葉の定義は,看護学の発展のために研究するので,それを付けた方がいいという面と,研究活動においては看護師のバックグラウンドを持って,焦点をちゃんとそうしていくけれども,どの職種がやっても普遍的なところというか,あると思いますので,最後の看護学研究の実践は,研究活動の実践だと思いますので,それを余り学の範囲を限定しないで,いろいろなところで活躍できるようなとした方がいいのかと思いました。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 ほかに。どうぞ。

【嘉手苅委員】  同じくGのところですけれども,ただいまのところですと研究活動の実践を取り上げたり,1ですと看護学研究における倫理というふうに,研究の方に焦点が当たっているのですが,タイトルがそうなので,そうなるんですけれども,導入のところで看護実践と看護研究のつながり,関係性のような,実践と研究のつながりについて取り上げる必要があるのではないかなと思います。
 卒業して,いろいろ実践することが研究につながっていく,自分では研究しなくても研究につながっていくとか,それから,研究の成果を実践に生かしていくんだというつながりについて,導入のところであって,そして研究のことに入っていった方がいいのではないかなと感じました。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 どうぞ。

【佐々木企画官】  今の点は是非何らかの形で,先ほどの研究活動の実践とも含めて位置付けたいと思います。研究は研究のためにあるわけじゃなくて,ベッド・トゥ・ベンチ,ベンチ・トゥ・ベッドの関係ですので,そこを見失ってしまうと全く駄目なので,是非反映したいと思います。どうもありがとうございます。

【江藤委員】  すいません,全然戻ってもいいですか。

【浅田座長】  結構です。

【江藤委員】  Aのところなんですけれども,A-9の16ページのところの一番最後の行,9行目になりますが,すいません,すごく戻って16ページなんですけれども,継続教育というか,専門性というところでは,この括弧の中なんですが,「共同研究等」と終わっているんですけれども,是非学術学会とか,専門職団体とか,そういうところの名称も入れていただければいいんじゃないかなと思うんですけれども,いかがでしょうか。

【佐々木企画官】  そうですね。失礼しました。

【浅田座長】  ありがとうございます。
 もう全体を通じてで結構でございますので,どうぞ。

【井村委員】  では,49ページに戻らせていただきます。済みません。研究のところなんですけれども,恐らく文言を洗練させていただけると思います。是非お願いしたいのが,研究知見を現場の目の前の対象の方に適用しながら,自分の実践をよりよくしていく,対象者にとってクオリティーの高いケアを提供していくという側面と,あとは看護学の発展に寄与するベースを作るというところ辺りは,明確に区別化して書き分けていただけると大変有り難いと思います。
 よりよい看護のありようというのが一体プラクティカルなものを指すのか,研究ベースで看護の本体をよく構築していくというのかというのが,区別化して読み取りにくいと思っておりますので,その辺をできましたら書き分けていただきたいことと,あと,問題解決能力といって,前の項目のところで課題対応というふうな,課題という言葉を使うことに収まりが付いたこと等があったと思いますので,課題解決であるとか,問題ということでなしに,少し広げていただく記載も有り難いと思います。

【浅田座長】  どうぞ。

【宮﨑委員】  いいですか。ちょっとまた違うところでごめんなさい。37ページのD-5です。健康の段階に応じた看護実践のところなんですが,D-5-1)が予防ということになっているんですけれども,健康増進ということが見当たらなくて,ヘルスプロモーションという言葉も今,国民的には理解を得ている言葉ではないかと思うんですが,いずれにしても,健康増進若しくはヘルスプロモーションに対する看護実践というのも,是非含めてほしいと思います。
 単に何かしら回復ですとか,そうした看護だけではなくて,予防と健康増進ということを付随して実践しているわけですから,文言化してほしいなと思います。D-5-1)の丸7に,「・増進」というのがちょっと見えてはいるんですが,小見出しにちゃんと打ち出していただきたいなと思いました。

【浅田座長】  はい。

【柳田委員】  よろしいでしょうか。先ほどの萱間先生からの御意見も重なると思うんですが,49ページ以降の看護学研究のところを,タイトルは看護学研究でいいと思うんですけれども,その目的のところが看護学の発展だけではなくて,看護学医療の発展とか,そういう形に少し枠を広げてあげないと,それって看護なの? という言葉がない方がいいような気がするんですね。
 つまり,研究というのは研究マインドの涵養という点がしっかりしていさえすれば,そこできっちりした研究を経験すれば,それは将来的に生きるというところで,完全に本当に看護にがっしりでなくても,多少はいいのではないかというところもありまして,もちろんベースは,メーンストリームは看護でしょうけれども,それから少し違ったことをやっても,それがきちんとした研究に立脚したものであれば,そういう経験をして,そういうのが結果的には看護自体を豊かにすると思いますので,実は薬学研究も,薬学及び医療の発展にという形になっていますので,こちらもそういう合わせた表記の方がいいのかなと,先ほどの御意見を伺って感じた次第です。

【萱間委員】  でも,医療よりも広い場合も,多分ありますよね。

【柳田委員】  もちろん,ありますね。ですから,それはどういう言葉がいいんでしょうか。そうすると社会となりますけれども。ただ,ひょっとすると看護は本当に社会に対してという意味では,医療だけではなくて,病気の人以外にもということになると,本当に社会にいろいろなものを提言できるという意味では,先生がおっしゃるように,看護,医療,社会ということまで言っていいのかもしれないなと感じます。

【嘉手苅委員】  今の49ページの,先ほど萱間先生がおっしゃったところなんですけれども,看護学研究ではなくて研究活動の実践とした方が,より範囲が広くなっていいのではないかという御指摘だったと思いますけれども,50ページまでを読んでみますと,G-2-3)というのは研究活動を実践していくということが計画・実施できるまでが入っているのですが,学士課程の250全体のコア・カリキュラムの内容として,研究の実施まで計画をして,実施をして,結論を出すまでを求めるのかどうかというところは,検討が必要ではないかと思います。
 といいますのは,新しい発見ではなくても,データを集めて分析をして,結論を出して,書いていく以前に書かれているものを探して,学んで,それを生かすことがまずあって,その後で作り出すというふうになるのではないかと考えたときに,研究活動の実践をコアカリに入れてしまいますと,実際に1段飛んだ学習内容が入ってきたりということで,難しくなるのではないかと思いますけれども,いかがでしょうか。コア・カリキュラムとして。

【宮﨑委員】  今,嘉手苅委員がおっしゃったことは,それこそプロセスを踏んでいて,まず実践の疑問から始まって,それを研究課題というリサーチクエスチョンにしていって,それで計画を立てて,そのプロセスでは既存のものを調べていって,それでまず一連の結果を,結論を出していくという,まさに実践のプロセスがそこには。先生がおっしゃりたかったのは,現場にて調査というか,研究をやらないのも含めてという意味だったんですか。

【嘉手苅委員】  ではなくて,49,50ページのところの看護学研究の実践というねらいと学修目標を見ていきますと,研究のプロセスをたどるという研究プロセスのことを。

【宮﨑委員】  それをたどらなくてもいいんじゃないかという。

【嘉手苅委員】  それをコア・カリキュラムの中に目標として入れることが妥当かどうか,そこを目標に置くことがどうかということなんですけれども。

【宮﨑委員】  私自身は,それは非常に重要なことではないかと思います。学士課程ですから。将来が大学院に連動する基礎力を養っておくという点では。

【嘉手苅委員】  それを,一番最初にコア・カリキュラムを考えたときの視点として,今250以上になった看護系大学の,基本的といいますか,最低クリアしないといけないコア・カリキュラムを示すと考えたときに,現実的にどうだろうかということを感じましたので,申し上げました。このようにしても,これを例えば必須の科目にするのか,全員がそうするのかという選択肢を置くということが,もしかしたらあるのかもしれないんですけれども,そういう選択肢を置いてという考え方なのか,それとも。

【宮﨑委員】  コア・カリキュラムですから,必須の要件になっていくんじゃないですか。

【嘉手苅委員】  ないということですよね。それについて御意見を頂きたいなと思います。

【柳田委員】  ワーキングの中でも,それに近い討論はなされました。本当に論文に出せるような新しいデータを出すというのは,なかなか難しいことですから,それはないということで,あとは何々を学ぶとかにすると講義になってしまうので,それをすると大変になるだろうということで,できるだけそういうものをなくして抽象度を上げると。
 その一方で,実践ということで,やはり何かをしないといけない。でもそこで,出てきたものに対しての成果のレベルは求めないと。実践はしてください,でもレベルは問いませんというと,正確かどうか分かりませんけれども,そういう形で実践をしましょうと。研究は何らかの形で経験しておきましょうということが,ワーキング内ではそういうコンセンサスの下に作成をしております。

【萱間委員】  ここのねらいはもう一度構成されるんだと思うんですけれども,先ほど御意見の中にも,研究を活用する力と実際に行う力という二面をちゃんと書いて,それで活用するというところにおいても,例えばテーマを立てて,論文を集めて文献研究をしてというのも1つのプロセスだと思うので,広い意味に解釈できる,けれども活用と研究活動ということへの動機付けになるようなねらいの書きぶりにしていただいて,中身もそうしていただけたら,先生の御懸念が,必ずしもプロセスを全部完遂するわけではないんじゃないかという誤解というか。

【井村委員】  確かに,まずはそういうふうに書き分けるということは重要なんですけれども,先生が御指摘になられた,研究を計画して全て実施するという,研究ステップというのは論文にして,そこで完了というふうに考えますと,現状の複数大学卒業生と面談するチャンスがいろいろあるんですけれども,かなりの学校が計画・文献検討で終了しているということも,今,二百何十校の事実でもあると思います。
 その中で,今回のコア・カリキュラムの提案として,きちっと研究プロセス全てを完了してくださいねという提案をすることになろうかと思うんですが,その辺で,私も本来的にはそれが望ましいと考えてはおりますが,修士,博士というふうに日本の看護教育も積み上がってきた中で,二百何十校に全てそこまでのプロセスを学生さんに実施してください,それが今回のコアカリの検討会の提案レベルですというふうにしてよろしいかどうかは,もう一度この中で御検討いただくということも大切かとも思いますが,いかがでしょうか。

【浅田座長】  かなり難しい問題にはなっていると思いますが。

【佐々木企画官】  まずねらいと,50ページの3行目の丸3,「看護学研究を,支援を受けながら,計画・実施できる」ところですよね。
 今,一方で井村委員からも,バックデータもお示しいただいているところですので,仮に文章である程度逃げた書き方をしたとしても,じゃ,どこまでやるんですかと必ず聞かれることになりますので,これは,まずワーキングでもまたもませていただいた上で,記載の仕方,そして実際にどこまで求めるか,まとめるかというのは,また個別の委員ともメール協議になりますけれども,それをさせていただきたいと思います。これは確かに大学にとっては極めて重い負荷になりますので,そのように整理させていただきたいと思います。

【浅田座長】  研究という言葉を学士課程のところで,どのレベルまで経験と実践ができるようにするかというところは,看護師養成あるいは看護系分野の人材養成において大事な視点だと思います。
 言われましたように,曖昧な表現にしてしまいますと,結局のところは実を伴わないし,言葉だけになってしまうので,きちんと精神のこもったものとして,これが作り上げられて,それをみんなが共有できるものにしていくというのは,今回のモデル・コア・カリキュラムの精神ですので,今言われましたように,もう一回これについてはきちんと議論させていただいてということで受け取ってよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)

【浅田座長】  ありがとうございます。
 もう時間は過ぎております。どうしてもという御意見がなければ,取りあえずはきょうのところ,たくさんの御指摘を頂きましたので,それを受けた形で再度修正等を考えたいと思います。
 ただ,実は時間があればもっと言いたいという方はたくさんおられると思いますので,後で,1週間後の6月22日までに追加の御意見をお寄せください。それも含めて適宜,委員に修正内容を確認した上で,最終的には座長・副座長に御一任いただくということで進めてよろしいでしょうか。次の段階のパブリックコメント段階に入っていきたいと思いますので,まずはきょうの御意見を伺って,それを修正のところにどう反映するか検討いたしまして,またそれを皆さんと共有しながらということで進めたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
(「はい」の声あり)

【浅田座長】  それでは,議題の2の「その他」に移りますが,事務局から何かございますでしょうか。

【斉藤看護教育専門官】  それでは,資料2をごらんいただければと思います。今後のスケジュールになりますが,点線の下が本日の第3回の検討になりますけれども,先ほど座長よりありましたとおり,1週間後の6月22日木曜日までに追加の御意見を事務局まで頂きますようお願いいたします。その御意見を踏まえまして加除修正し,7月目途でパブリックコメントを行う予定です。その後,8月目途で第4回目の検討会となりまして,10月以降大学へ周知,その後のスケジュールについては変更はございません。
 事務局からは以上です。

【浅田座長】  ありがとうございます。それでは,一通りの議事は済みましたので,これで終わりたいと思います。
 最後に,日本看護系大学協議会や日本学術会議でも,コア・コンピテンシーや参照基準などを作成されております。第三者評価の機関設置の準備も進んでいると聞いておりますので,事務局におきましては,それぞれの内容が整理され充実したものとなるよう,各組織とよく調整を図るようお願いいたします。
 それでは,本日の会議はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

── 了 ──

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