資料5_第10回会議発言要旨

(主な発言要旨:資料1 報告書案)


【P2、P15 改革の目的】
・重要な修正点として、「国民の期待に応える教員養成機能の強化と効率化を着実に実現すること」が目的であることや、「十分な予算、優秀かつ多様な人材、一定の規模と効率性の確保による機能強化のため」の組織体制の整備であることを明示した。
・実践性をあまり強く意識し過ぎると、教育は結局は技術なんだと一人歩きすることが危惧されるため、学ぶことの楽しさを伝えるには教員養成がしっかり携わらなければいけないこと、教育は未来からの期待に応えなければならないことを盛り込むと、現場にいる者にとっては元気が出る。

【P2 教員養成機能の強化】
・従来、国立大学は教職大学院を活用して「現職教員の研修機能に重点を移す」という表現があったが、教員養成もこれまでと同様に重要であるため、「教職大学院を活用して、教員の養成のみならず現職教員の教育・研修の機能も強化」に改めた。
・概要の中に、教員養成を担う学部の教育そのものについても書き込むべき。14ページの「課題に対する対応策」の「教員志望の高い学生等を受け入れ、教員就職率を高めるとともに、卒業生の活躍状況の分析等を行うこと」や「学部は、教科専門と教科教育を一体化させ…」は、概要の方にも盛り込める。
・概要の「近隣の国公私立大学と連携した一部教科の教員養成機能の特定大学への集約」について、安易な効率化が教員養成の質の向上に悪影響を及ぼすことへの懸念がある。各教科等における学習の充実はもとより、教科間等のつながりを捉えた学習を進める観点から、各教科相互の関連付けや横断を図る手立てや体制を整える必要があることから、一つの養成機関において教科のフル装備をなくすのは望ましくない。
・概要について、教員養成機能の強化のための方策が「機能強化のための方策」に書かれていることだけのように読める構造になっているので見直すべき。
・自分の大学の組織の教育研究についてしっかりと情報収集して、それを分析して課題解決を導き出すというIRの取組を推進することが不足しているため、それを概要の「養成機能の強化」に入れるべき。

【P7 カリキュラムと学校現場で求められる資質能力とのギャップ】
・有識者会議アンケートの内容として、プラス評価のものとマイナス評価のものとが列挙されているが、ここに書かれているもの以上にマイナスの数値が高い項目があるので、どの項目を取り上げるのかは見直すべき。

【P7 (3)質の保証、評価についての課題】
・「養成環境の整備の不足」「実際の課題の体験の不足」「資質能力とのギャップ」「学部段階の教員養成の質保証の欠如」とあるが、そこまで言われるほど我々は努力していなかったかと受け止められる書き方は改めるべき。

【P7 学部段階の教員養成の質保証の欠如】
・「平成28年に意識・実態調査の結果を生かして科目の新設やシラバスの改訂を行った授業がある大学は11大学」で、4分の1はあるので、「質保証の取組が十分とは言えない」ではなく、「客観的な検証を踏まえて養成カリキュラムを常に改善して質保証をしていくという態度が重要である」等の書き方にすべき。

【P7 卒業生の実態把握の不足】
・卒業生のみならず、ステークホルダー全体のことも書くべき。また、8ページの「IRの不足」は、「IRによる改善」等の表現がよい。

【P7 PDCAサイクルやインスティテューショナル・リサーチ(IR)の不足】
・「国立教員養成大学・学部に全体に共通する課題として、教員就職率が社会に期待されるほど高くない」について、その次に突然、「大学教員同士の協働性や同僚性が不足している」とあるが、これは教員の課題であり、「大学教員についての課題」のところに書くべきであるため、ここでは、「系統的な教員養成カリキュラムの構築が十分でない」等とすべき。

【P8 多様な評価指標の欠如】
・8ページの「多様な評価指標の欠如」は、多様な指標がないのが現状であると書くのではなく、様々な役割を果たしていることをしっかりと評価できる指標を作っていくということを書くべき。

【P8 「教員養成」の学問分野の欠如】
・「教員養成大学・学部は、大学教育の場であると同時に、学校教育という実践に向けた職業教育の場」とあるが、「職業教育」は「専門職教育」に直すべき。

【P11 大学のガバナンス不足】
・「附属学校は」「教育実習生の受け入れ先としての機能を十分に果たしていない」との文言があるが、この会議で「教育実習生の受け入れ先としての機能を十分果たしていない」という話は出てきていないので不要。
・「大学のガバナンス不足」という小見出しだが、内容を見るとむしろ「大学との連携」などが適切。12ページも、「柔軟性の欠如」となっているが、「地域との連携」などがよい。
・11ページの「一部の附属学校は、いわゆるエリート校化し、そこに通う子供の資質能力の向上に力を注ぐあまり、教育実習生の受け入れ先としての機能を十分に果たしていない、あるいは、実験的・先導的な教育課題への取組や、地域の公立学校に対する指導的・モデル的な取組が不十分と指摘されている」は、「附属学校の中には、独自の関心に基づく教育・研究への意識が強いあまり、地域の公立学校に対するモデル的な取組が不十分で、大学によるガバナンスが十分に機能していない学校や、大学や教職大学院における教育・研究への貢献・協力が不十分な学校がある」とすべき。

【P12 柔軟性の欠如】
・12ページの「柔軟性の欠如」について、最近では、特に地方では地域の教育委員会と密接に連携を取り合って良好な信頼関係にある附属学校も増えてきていることから、「一部の附属学校は、域内の教育委員会と連携が不十分と指摘されており、また、教育委員会等との交流人事をほとんど行っていないために、教員構成が長年にわたって固定化し、地域のニーズに沿った柔軟な動きや多様な観点からの生徒指導、保護者対応等の対応力に欠ける面がある」とすべき。

【P14 課題に対する対応策】
・「ポイント」が19個もあるが、整理・統合して、1ページに収めるべき。
・「ポイント」は、非常に視聴率が高いページだと思うが、ここの「協議会」が、ぱっと読んだときに分かりにくいので、教育委員会などとの協議会であることを書き加えるべき。
・「ポイント」に書かれていることがチェックリストのように受けとめられないかを懸念している。このため、「各大学においては、教員需要の長期的な推移など地域の実情を踏まえつつ」の後に、「以下に提案する対応策を含め多様な対応策を検討し、自らの課題の解決に努力すべきである」等を加えると、各大学が十分に検討した上で解決策を探るという趣旨として受けとめてもらえる。

【P15 課題に対する対応策】
・15ページの「課題に対する対応策」の枠に続いて、「各大学においては…PDCAサイクルを確実に回すことが必要である」とある後に、「国においては、各大学の取組のモニタリングに努め、その状況を定期的に公表することが求められる」といったことを盛り込むべき。
・15ページの(1)以下は、本有識者会議としての対策の提案であるが、大学がまずやるべきことは、自らの課題と強み・良さを明確化することと、その上で自らの課題の解決に努力すべきことであり、それをここに明確に書くことで、大学は何をすれば良いかがわかるようにすべき。

【P16 学部・教職大学院・附属学校間の連携強化】
・「国立教員養成大学・学部は」その「専任教員を」を「可能な限り兼務させること」となると、今の制度の中では事実上難しい問題。制度のことも踏まえて書き換える余地がある。

【P16 教員志望の高い学生の受け入れ】
・16ページの「教員志望の高い学生の受け入れ」について、「将来教員になる可能性が高い学生や、教職への熱意や適性が高いと認められる学生」「あるいは教育活動を通じて地方創生を担う意欲の高い学生等」とあるが、この意味が教員なのか否かはっきりしない。チーム学校への対応等に向けて、ソーシャルスクールワーカーや部活指導員など教育に関する職に就く職種の人材確保も必要になるため、その点への言及も必要。

【P16 学部・教職大学院・附属学校間の連携強化】
・国立教員養成大学・学部・附属学校の「三者の間で、専任教員を可能な限り兼務させること」とあるが、ここに、例えば「三者の連携や共同研究を進め、実務業績を有する大学教員と研究業績を有する附属教員を可能な限り兼務させること」など一定の条件を明記すべき。
・学部・教職大学院・附属に加えて、地域の学校との連携も大事。今後、修士課程の教職大学院への移行が進むと学生数も増え、附属学校だけでは賄い切れなくなる。附属学校の教員の地域の学校との交流人事も進むので、そのような教員が地域の学校に異動後も継続的に連携や共同研究ができる道を開くことで、チーム学校・チーム大学の動きに道を開くことにつながる。

【P17 養成環境の整備】
・いきなり「開放制の下で教員養成を行っている学部においても、各授業の4年間の系統性を整理し」とあるのは、教員養成大学・学部の話ではなく唐突であるため、教員養成学部がコアになって総合大学における開放制の教員養成もリードしていくという書きぶりにすれば整理される。
・17ページの開放制の下で教員養成を行っている学部などの質の向上も非常に大きな課題であり、教員養成大学と連携して質を向上するということを書き加えるべき。
・教員養成大学で専門的な教育を受けた人がより確実に円滑に教員になれるような構造的な改革がなされれば、ニーズの問題はかなり変わってくる。国立教員養成大学できちんと教育を受けた方が多く教員になれるような仕組みがあればよい。
・在り方懇の当時の方が、効率化という社会の要請は大きかった。今、少子化も進み、財政的にも厳しいが、社会の変化は厳しい時代であり、教員養成学部の質の向上に対する社会からの期待の声は非常に大きい。家計が厳しい学生が多く、安易に他県に行って下宿して通うことが難しい学生が多くなっている現実もあることも含めて、地域の核として引き続き教員養成大学の機能強化という方向で効率化していってほしい。

【P17 最新のニーズや課題への対応】
・「発達障害を含む特別な支援を必要とする児童生徒等への対応」の部分に、今年度からの予算措置を反映して、「少子化が進行する今後においても増加が予想される」を頭に持ってきて、「発達障害を含む特別な支援を必要とする児童生徒や外国人の児童生徒等への対応」など、最新のニーズや課題をきちんと踏まえていることを書き込むべき。

【P21 教職大学院の新たな役割】
・大きな課題として、教材や指導法などの良いものが各所にあるにもかかわらずそれが共有されないことがある。教職大学院を中心に、学校教育全体の知の拠点として良いものを集めたり流通させたりする拠点になることを新しい役割として示すべき。

【P24 学部等との一貫性ある教育の促進】
・「特例措置」は、専門職大学院設置基準の附則で定められているものであり、この部分が「学部等の専任教員が」で始まると違和感があるため、「教職大学院の必置専任教員がその3分の1を超えない範囲で学部等の教員を兼務することを認める特例措置」とすべき。

【P24 教職大学院での学びのインセンティブ】
・今回の有識者会議の報告書を具体化するために必要なのは国と行政の協力。現在、教職大学院への進学需要はそれほど強くない。現職教員の研修でもストレートマスターでも、教職大学院のインセンティブを受験者というデマンドサイドから見た場合に、ここに書かれた大学の努力だけで行えるものではなく、こういう問題に関して行政が会議やワーキングを組織するなどのサポートがあるとよい。

【P26 存在意義、成果の提供先、活用方法の明確化】
・附属学校の先進的な教育・研究の実施の部分で、前回例示されていた貧困という現代的な課題に対して附属が取り組むことの必要性はあると思うので、先導性だけではなく、典型的な課題や緊急度の高い課題に積極的に向き合うことを盛り込むべき。
・本学の附属学校の貧困に対する取組について、別添資料が机上配付されている。品川区と大学が協力協定を結び、品川区在住の就学援助受給世帯の子供を対象に、小学校6年生の1年間、学習支援を受ける希望者を募り、その40名に対して大学が一対一で週2回、タブレットによってビデオ通信を行って支援するとともに、月に1~2回、品川区の2つの会場で学生が学習指導を行う。さらに、個別に生活や進路の相談を教育支援関係の職を目指す学生が大学の先生のメンターに支えられながら行い、40名の中でさらに希望者を募り、4名を附属竹早中学校に連絡進学者として受け入れる仕組み。

【P26 多様な選考方法】
・附属学校の「多様な入学者選考の方法を実施すべき」の前に、「そもそも取り組もうとする方向性に基づいて」など、何のために何をするのかの関係を入れるべき。

【P27 教員研修に貢献する学校への機能強化】
・附属学校について、「教員研修学校」になるべきという表現を使っていたが、十分になじんでいる言葉ではないため、教員研修にも貢献する附属学校になるという表現に改めた。

【P28 地域住民の参画を含む学校運営の改革】
・附属学校は地域の範囲が広く、その中で地域住民と言われても具体的なイメージが湧きにくい。地域や域内の自治体、教育委員会の参画といった書き方もある。

【P28 教員養成機能の強化と効率化】
・教員の需要減少という背景も大事だが、もう一つの背景として、運営費交付金の減少により、教員養成大学・学部の運営が厳しくなってきていることも追加してはどうか。

【P29 教員養成機能の強化と効率化】
・専門職大学については前回多くの意見があったが、これは一つの取り得る制度としてのツールであり、この報告書案でも触れている教職大学院と学部との一体性等に活用できるのではないかとの観点から入れたという趣旨をはっきりさせた。
・在り方懇を超える報告書となるためには、在り方懇のつまずきの部分を乗り越えられる工夫や、在り方懇とは異なる教員養成をめぐる状況が生まれていることも含む報告書であるべきであり、次の二点の解決が重要。
・一点目は、教員養成の量の問題。現在は当時よりも事態が深刻で、永続的に続く少子化への対応という課題がより厳しく突き付けられている。一方で地方の創生と教育は切り離しては考えられない。これを乗り越えるため、大学間の統廃合、つまり水平的な横のつながりでの機能の効率化のみならず、他の機能効率化の手立ても示すべき。
 二点目は、教員養成の質の問題。教員養成が就業前の4年も含めて教員の生涯にわたる職能成長を支えることが望まれており、教師の資質能力を高めるシステム作りが、機能強化や効率化と同様に重要。学部と大学院が機能的に統合して高度化を実現するという効率化や、すぐれた附属学校の教員が大学や大学院の教員を兼務できるような機能統合を進めることによる機能的な効率化など、大学の中における垂直方向での機能の効率化も重要。
・質の低下を伴わずに効率化を成し遂げようとするのであれば、教育学部にしかない教科を距離の離れた大学に分散させるのではなく、総合大学の中で全学教職教育の充実として、他学部の人的資源を活用することこそ効率化への対応策であり、「総合大学の教育学部においては、全学教職の核となることを視野に入れて、学部規模の見直しと全学的な教員養成の質の向上を図ること」を盛り込むべき。
・29ページの対応案は、この会議として示す具体的な提案であり、これ以外にも各大学が自分たちの課題や現状を踏まえてとり得る対応策はあるのであれば、 1ページの「はじめに」の最後の白丸のところを、例えば、「ここに示した具体的な対応策は、全ての大学にとって解決策になるものではなく、ほかにも当該大学にとってはより良い解決策があり得るので、自分の大学の現状や課題を把握した上で多様な可能性を検討し」などとすべき。
・29ページの大学の連携・統合のマル1には各文末に「機能強化と効率化を図ること」という目的が入っている一方で、それ以降にはこの文言がないが、すべて教員養成機能の強化あるいは効率化のために行うので、それらを明示すべき。

【全体について】
・全体的な語尾について、「べきである」「すること」「するよう努めること」「が期待される」「が求められる」が混在しているが、言葉の使い方と内容とが十分に精査できているのかを丁寧に見る必要がある。
・確かにこれはこの有識者会議としての提案であるが、一方で、公費を使って運営されている国立大学であり、私学とは違う国立大学の役割や責任が当然ある。行政と国立大学が一体となって機能強化や効率化を図るという姿勢が大事であり、報告書が出た後の実行・実現が大事。そのため、国には、この報告書案に補足できる部分があれば補足していただくと同時に、実行のところを、財政支援を含めてしっかりお願いしたい。

【文部科学省より】
・学校の先生の専門性を高めるという場合の「専門性」が変わってきている。「チーム学校」で様々な専門性を持つ者が入ってくると、協力し合えればすばらしい一方、専門性がぶつかることもある。そこをうまく調整しながらチームの力を発揮していくことを、これからの教員は養成ないし研修で学ばなければいけない。それこそが専門性である。
・教員改革のうち、教員の養成指標の策定や協議会への参加など、直近の教育関係法令の改正の趣旨は、指標を作ることよりは、教員のライフステージに応じた資質向上をどう応援するかのシステムづくり。教員養成学部には、教員のライフステージに応じてどのように中身を発展させるかという観点からモデルになっていただきたい。
・国では、コミュニティスクールの努力義務化等、法改正等を通じて地域と学校との新しい関係を作ろうとしている。教員養成学部では、社会教育の人材も養成し、地域との協働も学生に教えるなど、地域の長期的な課題に対応いただいているが、国全体では、地方創生、社会に開かれた教育課程、第4次産業革命、Society5.0など、最近の新たな課題への対応も重要。これらも踏まえて、国立教員養成大学・学部の関係者が多様な内容を教員養成に取り込みやすいような文言を入れていただけるとありがたい。
・教員の多忙化の中で、学校運営の在り方、事務の効率化、教員の職務の見直しが議論になっている。附属学校において、学校運営や職務の見直し、事務の統括等の効率化、ICT化等に取り組み、それをリードすることを通じて、その成果の本質が公立学校に使われるようにしていただきたい。
・実践性を大事にすることは、単に「技術」を重視することではない。未来を拓くことや学ぶ喜びを経験すること等につなげることこそが実践性だという共通理解をお願いしたい。また、学校段階を超えることや、学校内外がうまくつながることに配慮したまとめにしていただきたい。


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