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私立大学等の振興に関する検討会議(第5回) 議事録

1.日時

平成28年7月14日(木曜日)15時~17時

2.場所

三田共用会議所 講堂(東京都港区三田2丁目1番8号)

3.議題

  1. 委員からの意見発表
  2. その他

4.議事録

【黒田座長】  それでは,皆さん,こんにちは。定刻になりましたので,ただいまから私立大学等の振興に関する検討会議,第5回の会議を開会いたします。お忙しい中,また,猛暑の中をお集まりいただきまして,ありがとうございます。本日は,委員全員が出席されるということで,今,1名だけ遅れて来られるようでありますが,久々の全員参加で議論を進めたいと思っています。よろしくお願いいたします。
前回の会議におきましては,財政基盤関係を中心として,丸山委員から意見発表を行っていただき,また,各委員から御意見を頂いたところでありますが,本日の会議は,小出委員,麻生委員から,私立大学・私立短期大学の観点から意見発表をお願いしております。
本日の流れといたしましては,まず小出委員に御発表いただき,次に,麻生委員に御発表いただきます。そういう順番で進めていきたいと思います。
また,次回の検討会議においては,これまでの主な意見の整理を行えればと考えておりますので,よろしくお願いいたします。
なお,本日は,報道関係者よりカメラ撮影の申出がございますので,冒頭の撮影を認めております。御了承いただきたいと思います。
それでは,まず事務局から人事異動の紹介をお願いいたします。
【千々岩私学行政課課長補佐】  失礼いたします。それでは,事務局の異動がございましたので,御紹介をさせていただきたいと思います。
まず7月1日付けで,文部科学戦略官に永山が就任してございます。
【永山文部科学戦略官】  よろしくお願いいたします。
【千々岩私学行政課課長補佐】  次に,7月11日付けで,私学部参事官に松永が就任してございます。
【松永参事官】  よろしくお願いいたします。
【千々岩私学行政課課長補佐】  以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
それでは,事務局から,本日の配付資料につきまして,確認をお願いいたします。
【千々岩私学行政課課長補佐】  失礼いたします。それでは,本日の配付資料につきまして,確認をさせていただきたいと思います。本日は,議事次第に記載しております資料1から資料4並びに委員資料といたしまして,水戸委員からの御提出のありました御意見を配付させていただいております。不足等がございましたら,事務局にお申し付けいただければと思います。
また,委員の机上には,未定稿ではございますが,前回第4回会議の議事録を置かせていただいております。また,小出委員から御提供のございました「進化する大学」という本2冊,それから,日本私立大学団体連合会でまとめられた「地方活性化に向けた私立大学の役割」といった緑の冊子をお配りさせていただいております。適宜御参照いただければと存じます。
それから,引き続き,本日の委員の出席につきまして,御説明をさせていただきたいと思います。本日は全員御参加ということでございます。坂東委員が遅れて御出席と伺っておるところでございます。
以上になります。カメラ等の撮影はここで終了となりますので,その旨,よろしくお願いいたします。
【黒田座長】  それでは,議事に入らせていただきます。
最初に,小出委員から御発表をお願いしたいと思いますが,小出委員の御発表に対する委員の皆さんからの御質問,御意見につきましては,後半の意見交換の時間にまとめて行いたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
それでは,小出委員から,20分から30分程度で発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【小出委員】  私学団体の一つに,今年,創立70周年を迎えます日本私立大学協会がございます。私は,そちらの所属でございます。よろしくお願いいたします。
「今後の大学政策への期待と展望~多様性の価値追求をなす私立大学振興の視点から~」というタイトルを掲げさせていただきましたが,私は私学振興の団体に奉職いたしまして,40年余りの歳月が過ぎました。その経験を踏まえての発表とさせていただきます。
この発表は,私的な見解です。所属団体の機関決定によるものではないことを,冒頭にまずお断りさせていただきます。
本日私が申し上げさせていただく主眼は,高等教育の重要性に鑑みまして,高等教育への公財政支出の在り方,その拡充と公正なる競争環境の実現,あるいは,今後の私学振興システムへの提案です。資料につきましては,先ほど千々岩補佐からお話いただいたとおりですが,それらを活用いたしまして,発表させていただきます。
この「進化する大学」という本は,日本私立大学協会の機関誌で昭和28年創刊の「教育学術新聞」という新聞がございまして,この新聞で地方の私立大学の改革実践動向などを紹介しながら,地方の大学を鼓舞・激励するという企画を連載いたしました。「大学は行く」という名称で企画したものです。刊行時には,「進化する大学」という名称に改めて2分冊で取りまとめたものですが,本日の発表時間の関係から私立大学の改革実践状況や実態を御理解願いたく,皆さんにお配りさせていただきました。
それから,ヨモギ色の冊子ですが,これは,ここ2年余りかけまして,日本私立大学協会,日本私立大学団体連合会で共同研究を頂きまして,「地方活性化に向けた私立大学の役割」という提案をまとめていただきました。この要点は,後ほど新たな政策提案の中で紹介させていただきます。
資料の紹介のついでに,この検討会議の今後の議論の進め方につきまして,若干の私なりの意見を述べさせていただきます。
今般,この検討会議には,「私立大学等の果たすべき役割」をはじめとした6つの切り口が出されておりましが,これは全て私立大学直結の話でありますが,これらの私立大学の課題は,我が国高等教育の全体像を押さえるところから語られるべき話だと思っています。つまり,全体と部分に関わる議論,これは片方だけでも片落ちになりますから,全体像を捉えながら絶えず部分の話を深めていくという仕掛けが必要であると思います。
いま一つは,この課題を捉えるときに,過去,現在,そして, 20年,30年先の我が国社会の将来像を想定した議論も重要であろうと考えます。私のレジュメに移らせていただきます。
現状認識と展望ということで,21世紀初頭という時代状況をどのように捉えるかという問題でありますが,四角枠囲みで結論を述べさせていただきました。成熟社会と言われるこの国の将来像,これを模索・確立し,これに果たす教育の役割,とりわけ大学の役割,わけても大学学部教育の8割近くを担当する私立大学の役割を考えるという手順でお話したいと思っています。多様な価値追求というものはいかがあるべきか,高等教育機関・大学の高度化というものはどのように模索されていくべきか,それらを達成していくときには,「連携」というキーワードを軸として進めていく必要があるだろうと思っています。
ただいまの状況は,少子高齢社会,高度情報化社会,グローバル社会,知識基盤社会などと言われていますが,昨今,AI(artificial intelligence)などという人工知能の問題も話題になっていまして,これらを超えて今後日本社会がどのような姿になっていくのか,そういうようなことも踏まえて高等教育政策の組立が必要であろうと思っています。明治元年以降の長い時代推移を俯瞰しつつ,昭和20年(1945年)以降の戦後のキャッチアップの時代から,私どもは,今,平成28年(2016年)という時代状況におりますが,その状況はフロントランナー・イノベーションの時代・日本再生の時代と言われていることは御承知のとおりでして,これからの時代と高等教育の姿やその政策をこの観点から見つめ直してみることが必要だろうと思っています。
東日本大震災,熊本地震も含めて,自然災害多発の時代も迎えていますので,教育機関として安全・安心のためのキャンパス整備も重要な課題に置かなければなりません。わけても,その中で地方創生という喫緊の課題につきましても,具体の政策提案が必要だと思っています。
地方と都市の調和ある発展を目指すと言うと,きれいごとのように聞こえるかもしれませんが,20年,30年先までこの形を追い求めていかなければならないだろうと思っています。定員超過率の問題も高等教育の規模をめぐる基本問題として考えておく必要があります。官から民への政治あるいは行政の流れ,変化の中で,高等教育のグランドデザインや,国公立大学の規模の問題を考えていくことが「いの一番」に必要でありましょう。そして,その中には,設置形態,国立・公立・学校法人立という設置形態を超えたところでの連携方策も模索していかなければなりません。これが,ただいまのところの私の現状認識。
次のページに入ります。今一つ重要な視点として戦後の私学振興の歴史経過における私学人の教育的情熱を指摘せねばなりません。昭和21年12月に,私学人有志が日本私立大学協会(前身は全国私立大学連合)を結成したときの基本的な考え方を,ここに原点として押さえる必要があると思っています。当時の私学人は戦地からの復員後,灰燼と帰した戦災の校舎,キャンパスに立ち,これの復旧復興をまず目指していくのでありますが,そのときの私学人有志の高い志は,平和社会をつくる,真に自由な社会・民主社会をつくっていく。そうした新生日本を実現していくためには,自由を基本とし,創意工夫を本領とする私立大学が,その中心的な役割を果たしていかなければならないといった固い決意のもとに,私学の戦後復興は始まったのです。
その後,高等教育は一層普及・拡大し,そして今日の課題は,質的充実・高度化の促進にウエートが置かれておりますが,まだ私大共通の課題は山積であり道半ばという状況です。つまり,高等教育の充実のための「公正なる競争環境の整備」という点については大改革が必要なのであります。この点は,これから申し上げてまいりたいと思います。
同時に,ここで最近の私学団体の活動についても紹介しておきます。私学は建学の精神の具現を目指す経営組織体であるということを一番に押さえながら,「経営の在り方(私大倫理綱領の策定含む)」,あるいは,「教育研究の特色発揮の在り方」等につきましても,これを共通課題に定め,自主的な改善・改革の営みを継続して参りました。今日,日本私立大学協会・日本私立大学連盟の2団体で構成する日本私立大学団体連合会では,平成23年6月に,「21世紀社会の持続的発展を支える私立大学-日本の再構築のために」として,10の提言を行い,そのアクションプランを定めて,全私立大学の進むべき方向等について旗を振ってきたところでありました。 昨今は,ただいま御紹介いたしました地方活性化の問題に向けた提言をヨモギ色の冊子でありますが,本年4月12日にまとめたところです。
もう1点,私学の経営の在り方に関わりましても,意見をまとめて,「私立大学経営倫理綱領」を平成元年に定め18年には一部改訂を行って,私学の自主性の下における取組を進めてきたというのが私学団体の私学振興の歴史でございました。
次のページに入ります。それらを進める根本の思想には,私立学校は理想の教育機関だ,あるいは,私立学校こそ標準の公教育機関だという考え方を理解して,進めてきたところです。早稲田大学に原田實教授がおられましたが,この原田實先生は千葉県館山のご出身で,大正デモクラシーの時代には先導的な活躍をされた方ですが,「近代日本の私学序論」の中で,「私立学校は,一般には制度面から国立・官立・公立等の学校に先立って誕生したもので,その出現は自然発生的であり,国民や民族の発生的エネルギーの端的な発露であった。私立学校は,最も素朴に純粋に愛情をもって端的に人の教育を人間形成を志向して他意のないところの,いわば夾雑物のない純粋な愛情をもった教育の誓いである」とおっしゃっておられます。この思いを,私は,胸に刻みながら,日本私立大学協会の事業に関与してきたところです。
3つ目に,私学(私立大学)の本質:建学の精神具現の経営組織体“教育理念の今日的見直しが課題”と,こう掲げました。明治維新の折に,たくさんの私立学校が誕生しています。順天堂大学は,蘭方医学塾和田塾という名称において,天保9年(1838年),“仁”・良医の育成という建学の精神を掲げてスタートしております。以下,慶應義塾,ミッション系の立教大学,日本医科大学,二松学舎大学,明治大学,早稲田大学,東京理科大学など,資料記載のとおり,新しい教育理念を掲げて,公教育に一石を投ずる形で私学教育を展開してきたのです。
私学教育は,建学の精神に基づく人間形成教育を志向して行われ,激動の時代に新時代を開拓する意味合いからの存在として発展してまいりました。また,私学の隆盛は,平和と自由と民主社会のバロメーターとしての大きな役割を果たして,今日まで来たのです。しかしながら,いつの時代にも経営問題が大きな大きな存立に関わる重要問題であったことは変わりはございません。今日も同じです。
次のページに参ります。私立大学の現状ですが,これは文部科学省の様々な統計において,更に詳細なるデータ等もこの会議にお示しを頂かれたものでありますから,結論だけ申し上げておきたいと存じます。
私立大学は,我が国大学教育の75%余りを担当している。大学進学者4人のうち3人までが私立大学に入学している。学問分野別に見ましても,私立大学における人材養成は,人文科学(87%),社会科学(89%),理学(59%),工学(64%),農学(57%),薬学(89%),歯学(76%),芸術学(88%),家政学(94%)などといった状況にあり,人材養成の大半が私学によってなされている現実がございます。
ここでちょっと断っておかなくてはならないと思いますが,私は,国立大学の存在を否定をしたり,公立大学の役割を小さなものと主張するものでは決してありません。基本的なスタンスは,設置形態の違いを超えて,我が国高等教育のあるべき姿を,先ほど紹介した「連携」といったキーワードで新展開が図れないか。我が国の高等教育は一層高度な,世界に誇れる高等教育として,隆々として発展していくべきだというのが基本的なスタンスです。大学数と学生数の数につきましても,そこに記載したとおりです。
それを立地の現状から見ると,北海道地区から九州地区に至る大学数と定員数を調べてみました。関東地区は223大学,入学定員の規模は22万8,000人強,中部地区は95大学,5万4,000人強,それから,関西地区は129大学,10万1,000人強という状況で,関東,中部,関西,いわゆる都市部の大学数は74%に至っている。それから,定員規模に関しては,この割合,関東は49.2%,中部は11.6%,関西は21.9%ですから,この3つの地区において72.7%という状況です。今後の規模の問題を語る上での,基本的な在り方に関して御討議を頂く際の参考にしていただければありがたいと思っています。
それから,特色あるグローバル教育・研究・社会貢献に取り組む私立大学,ほんの一例としてピックアップしてみました。
新宿に文化学園大学という大学があります。こちらは,世界のファッションスクールランキング第2位です。文化服装学院という専門学校も運営しておられる。
金沢工業大学,MIT等が始めた工学教育の改革を進める組織「CDIOイニシアチブ」に日本で唯一参加しておられる。
宮崎国際大学,日本初,ほぼ全ての授業を英語で行っている。外国人教員比率は80%を超えている。
十文字学園女子大学は埼玉にありますが,ベトナム高等教育機関の管理栄養士養成システムを「輸出」しています。
高度化研究でも,大村先生の北里大学,赤崎先生の名城大学は申すに及ばず,ここでは東京理科大学,大妻女子大学,早稲田,慶應などの取組をほんの1例として紹介しました。
このような特色のある取組がありますが,他方,私立大学の経営上の問題では,まず定員充足の状況ですが,直近の27年度で,大学は43.2%,1人でも定員未充足の割合はこういう状況になっています。帰属収入に関わる話でも,消費支出を賄えない学校法人数は26年度が直近で32.7%ですが,経営組織体の私立大学は,経営環境はすこぶる厳しくなっているという現実があります。
時間が少し押してますので,急ぎ足で話をさせていただきます。
ここからが政策提案です。私立大学振興のための基本認識として,教育立国,科学技術創造立国の牽引力は大学にあるんだということを共通コンセンサスにさせていただきます。
我が国の学校数においては,私立大学の多様性・重層性の今後の在り様が国の命運を決めていくんだと思っています。
それでは,そのための公正な文教政策への大転換の必要,教育無格差立国の実現という提案も重要な話です。国公立大学の存在意義の確認から,私立大学振興を中心に据えた高等教育政策への大転換の必要といった事柄を申し上げたいと思います。都市と地方の格差の是正,設置形態による格差の是正など,規模の大小による格差の是正,格差論の問題をここで提起しておきます。
それにつけても,私学の数は,大変大きくなってきております。私学人は,一層,自主性の私学精神を覚醒させながら,高等教育に貢献をしていかなければならないと思っています。
その際に,基本的なコンセプトとしては,世界トップ水準の大学群の形成を目指していくべきであるということと,広い裾野の全体的なレベルアップを課題として考えるべきであるという,この2つの命題を同時実現をしていくことが文教政策の基本に置かれなければならない。私立大学においても,学術研究の潜在的な機能は十全にあるわけでございます。北里大学の大村先生の事例,あるいは,名城大学の赤﨑先生の事例もありますから,大いに我が国の私立大学の学術研究の可能性を花開かせるような政策をお願いしたいと思っています。
政策提言の1,高等教育のグランドデザインの策定をお願いしたいと思います。地方創生時代や官から民への政策変化の潮流の中で,国公私立大学の規模の在り方,役割を検討し,大学政策の転換を目指す必要があります。多額の補助金を投入している国公立大学の存在意義を再確認し,特に国家的課題の解決を目指していくこともお願いしたいと思います。
資料編の中に,「高等教育に対する公財政支出の低位性の改善(国際比較)」をお出ししました。よく使われているグラフですが,トップのノルウェーから始まって,チリの国までであります。中ほどにOECD各国平均99万円,日本69万円となっています。これを日本私立大学団体連合会が調査してみたところ,日本の国立大学と私立大学とをここで分けて加重平均をとってみると,国立大学の学生1人当たりには218万円,私立大学の学生1人当たりには17万円の公財政支出がなされていたという状況が判明いたしました。この事実は,いまだあまり国民には広く知られていないところでございまして,この学生1人当たりの公財政支出の是正は,今後の高等教育政策の重要な課題になっていくのではないかと思います。
資料「社会保障関係費と文教関係費の推移」は日本私立大学協会調べですが,全体的に文教及び科振費の伸び率と,社会保障関係費の伸び率の比を見たものです。赤い棒線でのグラフを見ていただくと,何と教育関係の国費支出は減少の傾向にある。引き換えて,少子高齢社会,高齢社会を象徴するがごとく,社会保障関係費は伸びる一途なのです。教育関係予算が,人生前半の社会保障費であることを考えますと,これは同等の伸びが必要ではないか。それこそ米百俵の精神であり,今後の将来への投資として必要な課題ではないかと思っています。御検討頂きたいと思います。
いま一つの政策提言でありますが,地方・地域大学のプラットフォームの創設,これは地方大学の充実支援策です。ヨモギ色の「地方活性化と私立大学の支援」という冊子の要約をポンチ絵で示していますが,私立大学は,教育研究の自発的・自主的な改善・改革の取組を推進するとともに,教育環境の整備も行います。生涯学習社会を見越して,社会人の学び直しにも積極的に対応いたします。地域人材の育成にも積極的に関わってまいります。就職支援・雇用の創出ということにも取り組んでまいります。それらをネットワークで進めるようにいたします。地方活性化の基盤整備も,大学が地方活性化の拠点として,それらを進めてまいりますということを,真ん中の水色・白色の枠で,私立大学の取組として示しております。
それから,国や地方自治体に支援をお願いしたいことには,提言の1,環境整備,プラットフォームの整備,コーディネート人材の育成などです。2つ目,私学助成の改善,これもお願いしたい。配分基準の改善,社会貢献係数の導入も含めてお願いしたい。
それから,学生への財政支援,奨学金制度の改善・充実,こちらもお願いしたい。4番目,生涯学習社会の早期実現,高等教育のグランドデザイン,高等教育のパラダイムシフトをお願いしたい。こういう事柄を国や地方公共団体にはお願いをしていきたい。
こうした提言を,地方ごとあるいは地域ごとに「プラットフォーム」を作って,国公立大学との連携や地方経済界との連携,地域住民との対話,地方自治体との連携を行って進めていくことになれば,必ずや地方産業の活性化がもたらされてくるだろう。新産業の創出も可能になってくるだろう。地域文化の維持・発展も可能になってくる。地域社会の人材養成への貢献も可能になってくる。是非とも,国立・公立・私立の大学,そして,産・学・官・金・民,ありとあらゆる組織,地方の組織の協力を得,国や自治体の指導・協力を得て,このような取組を進めていただくことがよろしいのではないかと。
更にこうした私立大学の地域貢献の取組を一層奨励するためにも,私学助成において新たな提案をいたしました。それが私大等経常費補助金の一般補助に「社会貢献係数」を組み込むという提案です。資料の社会貢献係数の解説なども是非ご覧頂きたい。
提言の3ですが,私立大学の政策を考える場を確保していただきたい。政府の大学政策立案,指導体制の充実のための「学校法人分科会」の機能強化であるとか,あるいは,かつて「大学審議会」ができましたときに,スクラップアンドビルドでなくなってしまった「私立大学審議会」を復活させていただく。あるいは,私学の自主性を尊重した形で,河田理事長の私学事業団の経営相談センターの機能を人員の強化も含めて進めていき,これと連携を図った文部科学省の「学校法人運営調査委員制度」を活用して,経営指導面の強化をお願いしてはどうであろうか。それには,規模に応じた設置基準の見直しも必要になってくるだろうと思います。
提言の5ですが,私立大学の公立大学法人化問題の総合的な検討が必要ではないか。つまり,グランドデザインを考えていく際に,この公立大学法人化の問題を全体としてどのように調和を図っていくのか。これはたしか初会合のときに,清水潔委員が指摘をしておられたのでありますが,私も同感です。
都合のよろしい話ばかり申し上げましたが,いまだ私どもがまだコンセンサスを得ていない要検討の課題ということで,大学・短大の新設や定員増の在り方の問題,準則主義は今日,正しいのかどうなのか。あるいは,文部科学省の設置認可システムは,今日どのような形になっているのかという問題もあります。それから,経営基盤強化のための大学間の連携策の問題もあります。
地方創生の観点からの新たな高等教育計画,地方目線に立った新たな高等教育計画も検討に値する話題ではないのかという思いを持つところであります。
私大ガバナンス・情報公開の問題は,このところかなり深まってまいりましたから,これはまた検討課題として置かせていただくことにいたしました。
いずれにいたしましても,これからの日本が成熟社会であることを考えれば,世界の国々に伍して,品格のある国として,名誉ある地位を占めて,これからも我が国が大きな役割を,国際貢献を果たしていくためには,それを拓いていく人材の養成が根底になければなりません。明治維新以降この方,菜の花畑のごとき画一的等質な人材養成の時代から,赤白黄色,いろいろな花が咲き競う人材養成へと転換していくことが必要でありましょう。そのための柔軟な行政,そして,時代を先取りする政策が今日本には求められていると考える次第です。
長くなって恐縮でございます。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
それでは,引き続きまして,麻生委員から,同じく30分程度でお願いいたします。
【麻生委員】  それでは,私からの本検討会議に関する意見発表をさせていただきます。
ただいま小出委員からありました,「私立学校は理想の教育機関である」という言葉には大変感銘を受けました。その中で,短期大学について,特に私立短期大学は,(現在国立はない。また,公立は若干ある)一番私学の数,割合が多いという観点と,戦後の大学体系として,高等教育を担ってきた機関としての今までの流れ,そして,少子高齢化に向けてのことを鑑みながら,現場の意見も含めて,発表させていただきたいと思います。
まず資料2,1ページ目を開いていただいて,短期大学制度とはそもそも何なのかということですが,これは戦後の大学になったもの,それから,短期大学になったものに分かれたのですが,アメリカのコミュニティカレッジ等をモデルにして,実際的な職業教育に重きを置く大学である。良き社会人を育成する。一般教育と職業に必要な専門教育を行う。大学教育の普及と成人教育の充実というもので,昭和25年から発足しております。
昭和39年に,学校教育法108条におきまして,ここで制度が明確になりました。ここでは,短期大学の特色が108条に書いてあり,大学の目的に代えて,深く専門の学芸を研究教授し(研究教授があります。)そして職業又は実際生活に必要な能力を育成することを主な目的とするです。なぜ短期なのかということですが,次に書いてあります,修業年限が2年又は3年。学部を置かずに学科を置く。それから,夜間,通信,大学に編入ということが,108条の恒久化です。
その後,平成17年に,短期大学において,中教審の「将来像答申」によって,学位授与機関となり,短期大学士の称号が与えられるようになりました。これが現在の短期大学制度に至った経緯です。
次に,2ページですが,高度成長期におきましては,女子に適した大学として発展し,高等教育の普及に貢献をしてまいりました。
学生数のピークが,(後でまた図表でも出てくると思います)平成5年の53万人であり,昭和35年から平成7年までは,高等教育機関の入学者の2割が短大生であったということです。
しかしながら,90年代半ば以降に18歳人口の減少,少子化の流れが起きてきました。
女子教育を主に担ってきたわけですが,この原因はいろいろあり,女子の四年制大学志向が強くなったことです。
一般事務職員の採用減と非正規雇用化が進むということで,一番下に書いてあります,598校の短期大学が平成8年にありましたが,209校が四年制大学へ改組転換いたしました。83校は,平成27年度までに募集停止となりました。
次のページをお願いいたします。先ほど申しましたとおり,特色ですが,二年・三年の大学を短期大学といいます。108条の目的に沿いまして,教養教育・職業教育の適度なバランスをとり,四年制大学への編入ができ,現在では国立が0,公立が18,私立が328校という校数になっております。内部質保証も含めた自己点検・評価,機関別認証評価を行い,学位授与機関であるということです。
全国に点在し,特に中小の都市に多いというのが短期大学の特色でもあります。しかしながら,私立の四年制大学並びに短期大学が1校もない県が実は中国地区に存在しまして,島根県は,現在,公立と国立しかありません。
次の丸の,地域からの入学者・地域での就職者,もっと簡単に言いますと,地元から入学して地元に就職していくという割合が高い。
女子の割合が現在においても大変高く,女子の活躍ができる,短期でありますが,高等教育機関として貢献をしています。
次の丸で,修業期間が短期のため学費が低廉である。四年制大学と二年制大学を比べますと,2年間で短期大学士の学位が取れ,そのまま社会に出ていくということが特色です。
先ほど申しましたように,地方の中小都市に点在しておりますので,その地域を活性化するために,地域貢献を一所懸命やっているということです。
後で就業者の割合を出しますが,免許・資格に関わる就職が多く,その中で専門職業人養成に関しては,特に,まだ他にもたくさんありますが,ここでは幼稚園教諭や保育士に貢献しているという特色がございます。
4ページを御覧ください。これは長い方の棒になっているのが自県内入学率で,直近の27年では,自県内入学率が,二年制・三年制の大学である短期大学が67.8%,それから,四年制大学が自県内で42.5%ということで,昭和50年あたりから同じように推移していることを示すグラフです。
次に,5ページを御覧ください。ここには専門も入っておりますので,それも比較してみました。短期大学の分野別の学生数をここに書いてあります。これは割合が出ておりますので,人数にしますと円の大きさが変わりますので,割合を見ていただければ,短期大学の強みは,1番目が教育の分野で,2番目が家政の分野,3番目が保健の分野でございます。四年制大学は真ん中に入っておりまして,割合として多いのは,やっぱり社会科学の分野,それから,工学の分野,人文科学の分野です。一番右は,専門学校は1条校ではありませんが,高等教育を担っておりますので,例で挙げておりますが,専門学校は,医療系,それから,文化・教養系,工業系ということです。この3つを並べてみますと,それぞれの学校種による特色が出ているのではないかと思います。
次に,6ページを御覧ください。先ほど冒頭に申しましたとおり,生活費に関しましては,2年間で済むということで,地方の短大で2年間,それから,四年制大学での東京でアパート生活したときの学生生活費がどれぐらいかかるのかということを,学校生活調査から拾ってみました。一番左側が295万円の費用,これは2年ですから,当然,四年制大学より少なくなることは確かなんですが,低廉で済むことになります。四年制大学の場合は,1,013万円ということがデータとなっておりますので,参考までに出させていただきました。
次の7ページを御覧ください。特に地域性と就職について記しております。先ほど自県内入学率は,67.8%で高い傾向であり,また,自県内就職率も高いです。それから,61.1%がそれぞれの専攻分野を活かした職業に従事しています。先ほど幼稚園教諭と保育士を挙げましたが,その他,短期大学で多いところが,この括弧書きで,幼稚園教諭,小学校教諭,中学校教諭,司書,保育士,栄養士,調理師,製菓衛生師,看護師,美容師,介護福祉士,歯科衛生士,歯科技工士,臨床検査技師,理学療法士,自動車整備士ですが,この中で文部科学省所管となりますと,一番上の行ぐらいで,あとは厚生労働省からの資格がものすごく多く,これらの基準に縛られているというのが現状です。しかしながら,みんな一所懸命頑張って単位を取って,それぞれの資格を取っていっています。自動車整備士は多分国土交通省だったと思いますが,それぞれの省庁による資格等も取得しながら,いわゆる専門就職率が大変高いということを是非御認識いただきたいと思います。
8ページ目でございます。私立短期大学は全国に点在し,これによって地域貢献への取組が盛んとなっています。それぞれの理念,これは建学の精神や教育目標に基づき,地域の住民や企業との交流が活発であるのが現状です。また,小さな地方公共団体が多いので,最近,避難場所等も含めた公共団体との協定を,ほとんどの短期大学が行っています。
それから,次に,なぜ地域に貢献ができるかという理由なんですけれども,まず,大学の一体系で,設置基準に合ったものとして認可を受けておりますので,校地・校舎・図書館等の物的資源も十分に整備されており,人的にも,学生や教職員が大変やる気を持ってやっているということが特色になります。
更なる積極的な貢献をすることが,地方創生・地域活性につながり,私立短期大学が地方活性の基盤的存在であり,地域に愛される高等教育機関になっていると確信しています。これがまた,若者の地域の定着につながることを期待しております。
次に,9ページでございます。短期大学におきましては,学生数が現在減少しております。最盛期の3割以下で,ここに書いてある12万1,091名に激減しております。これは平成27年度の学校基本調査でございます。
公的セクターは,先ほど申しましたように,少なく,私学が9割以上でございます。
規模については,入学定員500人未満が97%,収容定員ベースで,二年制としますと,1,000名未満となります。それから,入学定員100人未満が328校中の42校ですので,100人を超えないということは,50人や80人もあるわけですので,その2倍ということが収容定員になります。大変小規模であることを是非御認識いただきたいと思います。
教育分野の学生が多いというのは,これはやはり教育職員免許法における幼稚園教諭免許が取れるということが,先ほど出ました専門学校と違います。四年制大学に行きますと,免許が二種から一種,さらに,大学院に行きますと専修となるのですが,これがやはり強みなのかなと思います。
収容定員充足率ですが,定員を減らしたり,廃止があるので,91.92%にとどまっておりますが,その中でも,61%の短期大学が定員未充足であることです。帰属収支のマイナスに関しましては,短期大学は56.2%ということで,大変経営的には厳しい状況にあるということです。
次に,学生と教育に関してですが,貸与型の奨学金で授業料をまかない,アルバイトで生活するケースが多く,地域から地域の短期大学へ進学ということを考えますと,大変経済的に厳しい家庭が増加しているということで,これに関しましても手当て・支援が必要になってくると考えております。
次の丸で,短期大学での円滑な学びには,「基礎学力の伸長」と「職業意識の育成」が必要であります。そこで,「高大接続教育」,「入学前の導入教育」に関することをやっておりますが,より工夫が必要だと考えております。
教員の密度が高く,教授の基準に関しましては,博士の学位を有する者云々という,大学とほとんど一緒ですが,それでも,一所懸命授業,教育をやっているということです。
卒業生のその後の調査をしますと,短期大学の評価は,これは具体的な数字は今回出していませんが,大変高いということで,教育の効果が表われているということです。
11ページ,これは教育の質の保証の関係で,これはもう皆さん御存じのとおり,平成16年から義務化されました認証評価機関による第三者評価ですが,短期大学におきましては,当初,大学評価・学位授与機構と申しましたけれども,平成23年度までは行っておりましたが,その後は行われていません。それから,第2周期目からは,大学基準協会,高等教育評価機構,短期大学のみをやっております短期大学基準協会で,多くの私立短期大学が,認証評価を受けております。
そこで自己点検・評価「内部質保証」です。これは義務化されています。教育情報・財務情報の公開,これも義務化されました。また,3つのポリシー,FDについては,もうずっとやっていますが,SD活動と3つのポリシーの関連性を強化したものは平成29年度から義務化になりますが,これに各短大はすでに対応しております。任意ですが,大学ポートレートにおいて情報公開を行い,教育の質の保証と情報公開も絡めてのことです。
12ページです。短期大学の役割。先ほど申しましたように,小規模な学校法人もしくは短期大学が多いということで,これでいくと財政的にもたないというのが,もう目に見えてきます。これで,本当になくなっていいのかということを,是非ここで考えていただくことを望みます。
次に,13ページは,今まで述べましたことを,日本私立短期大学協会が,スローガンとして挙げているものを出させていただきましたので,是非御覧ください。
次に,14ページです。短期大学に対して,中教審が今までどのように動いてきたかということですが,平成17年の中教審の「将来像答申」において,短期大学の課程の積極的な改革が期待される。平成24年の中教審の「質的転換答申」と言われているもので,短期大学士課程について,その在り方の検討,再構築ということが示されております。
15ページですが,第7期の大学分科会で,6番目に,「短期大学の機能の充実」ということが言われ,具体的にこれが中教審で平成26年8月26日に答申されました,短期大学ワーキンググループですが,ここで,我が国の短期大学の特長等が議論され,どういう方向に進んでいくかということが16ページに記載されております。
17ページを開いていただければ,これは機能別分化というのが真ん中にありまして,左上が専門職業人の養成,右側が地域コミュニティの基盤となる人材養成機能,地域基盤社会に対応した教養的素養を有する人材養成の機能,多様な生涯学習機会の提供,こういったもので機能分化をしていくということで,最終的には,これを短期大学が実現することによって,自らこれを機能別を分化して,地方の創生,女性の活躍,高等教育の機会均等等の確保に資するものであろうということが審議されております。
次に,18ページですが,これはもう皆さん御存じのとおり,結果から申しますと,平成31年度から新たな高等教育機関ができるということで,質の高い実践的な職業教育を行う新たな高等教育制度が求められるという,教育再生実行会議における提言,第五次,第六次提言が18ページに書いてあります。
19ページには,日本再興戦略で,「経済財政運営と改革の基本方針2015年版」における記載にも,そのような内容が書いてあります。
20ページに入りますが,教育再生実行会議の五次提言で書かれている部分の一部分をピックアップしております。この枠の一番下の大学,短期大学,右側の高等専門学校,専門学校,それぞれの現行制度に向けての実践的な職業教育を行うに当たっての限界が書いてあります。短期大学だけを抽出しますと,短期大学は専門職業人を養成しております。短期の修業年限では要望に対応できないということがここで記載されています。これは修業年限の問題があると言われております。
次のページです。平成28年度,今年度ですが,中教審の特別部会におきまして審議を重ねて,私も委員でしたが,大体の骨格が決まり,これから国会での法制化,学校教育法の改正,それから,政省令の改正もあると思います。設置基準も政省令ですね。改正になりますと,二年・三年の行うものを短期大学士相当,四年制を学士相当と,その中で,四年制の場合,前期課程・後期課程を置くことができるという制度です。これは現行の大学にはない制度です。これは具体的にはどのような結果になるか,まだ分かりません。
教員組織は,4割が実務家教員です。私達は,教育経験と研究業績を短期大学は必要とされています。専門分野は問わず,専門分野は何でもいいです。しかしながら,医歯薬系は除くということです。
ここでインターンシップ等がありますが,これは短大でもやっているんですが,大変タイトな,企業等との連携等のインターンシップというのがここに掲げられております。これがどのような制度になるかまだ分かっておりませんので,こういったものに関して,明確ではありませんが,当然,大学体系に位置付けるということになれば,ここで経常費補助金の対象になるはずです。そうなりますと,現行の短期大学と書きましたが,現在,経常費補助金をもらっている高等教育機関に大変大きな影響を及ぼすということでございます。
22ページは,短期大学がやってきたことを書いておりますので,ここのところは読んでいただければと思います。
次に,23ページです。これは先ほど冒頭に申し上げました学生数の変化で,赤い線で書いてあるのが実際の学生数,あとは,縦のグリーンの線は短大数です。短大数は減っております。当然,学生数も減っております。こういった状況です。
時間がありませんので,24ページは,読んでいただければと思います。
25ページ,18歳人口と進学率の将来推計を統計から頂きました。ちょうど始まりが2010年からで,今,2016年ですが,いわゆる2020年問題が,ここに明確に見えます。それから,先がまた大変で,2031年あたりからまた減っていき,最終的には,2060年,このような数字になっていくだろうということです。
26ページについては,皆さんよく御覧になる数字だと思いますが,短期大学だけを抽出しますと,6と書いてありますけれども,もう5%台ということで,大学進学率と言われているのは,短期大学と大学を合わせた数字になりますので,これを直近で合計しますと,56.6%ぐらいになります。これは専門学校も入っておりますが,専門学校は大学進学率には入りません。
27ページ,これも専門学校も含めたものですが,四年制大学,短期大学,専門学校合わせて,地域の格差は大変多いということを示す進学率に関してのグラフです。
28ページ,これは都道府県の流入・流出率ですが,これは大学も入っておりますが,実際は,先ほど小出委員がおっしゃったとおり,やはり東京や関西ではプラスになっていますが,他の県は流出が多いということです。
次に,29ページ,これは短期大学における経営的な問題であり,平成6年と平成25年を単純に比較してみました。学生数は,平成6年に比べて,60.6%になっております。最終的に,帰属収支差額は,平成6年に比べまして,マイナス103.4で,赤字の短大が多いということです。平成26年はもっと悪くなっているのが現状でございます。
30ページ,これが,グラフとして出したものでございますので,折れ線グラフを見ていただければ,その傾向が分かると思います。
次に,31ページ,平成5年と平成27年の分野別の学生数の変化ですが,明らかに人文系が減っております。教育系も減っておりますが,教育系が一番多いということで,先ほどの円グラフの,参考として下さい。
32ページ,将来に向けてです。改革の推進は行っていかなければいけませんが,学生確保にやはり苦労しているので,地方の中核として短期大学を是非位置付けていき,女子学生が多く規模が小さいのですが,女性活躍の観点から,推進していきたいと考えます。また,短期大学よりも四年制大学の方が就職や学生集めに有利かもしれませんが,場合によっては,リカレント教育を含めた再教育を是非やっていきたいということを考えております。
33ページ,私立短期大学の設置者に関して,四年制大学を併設している学校法人が,315校中209校あります。短大もしくは短大以下のみを持っているのが106校です。四大併設の学校法人,小出委員のところでも大変お世話になっていると思います。問題は,短大プロパーの106校です。これは短大のみ,もしくは短大と幼稚園というような設置形態であり,経営は大変厳しいと思われます。
次に書いてあることは,やはり設置基準の柔軟化をしていただかないと,という観点です。入学定員というのは50人,100人単位で設定されており,すぐに0.5未満の定員割れを起こしやすいのです。これについて,やはり考えを小規模校にターゲットを当ててほしいということです。少々申し上げたいのは,近年定員割れを起こしにくくするために,大規模大学の定員を抑えていこうという政策なんですが,実際に直近で今度認められたのが,入学定員増が7,354人ということです。大規模校でこれが認められていると,より一層地方の小規模校に影響があるということが現実だということを,是非これで読み取ってください。
小規模の地方大学等の経営支援に対する補助金があります。もちろん,健全な管理体制の中でチェックが必要ですが,是非,こういった補助金を手厚くしていただきたいということをお願いしたいと考えております。
最後に,短期大学関係者,行政へと書いてありますが,新たな高等教育機関については,先ほど説明したので,どういうふうになるか分かりませんので,これ以上のことは述べませんが,短期大学に後期課程を置くことができる制度へというのは,あくまでも平等にしてほしいということを申し上げているだけです。
大学との関係,短期大学との関係,それから,最後に,専門学校の関係でございます。これはもう簡単に申し上げます。専門学校は1条校ではありませんし,補助金ももらっておりませんけれども,「職業実践専門課程」を文部科学大臣から認定を受けているというところもあります。これに関しましては,私ども,新幹線の駅前に大きな表示で専門学校が,文部科学大臣の認定課程であるということを示しておりますので,これは短期大学にとっては大きな脅威であると考えております。
また,設置形態も様々ですが,準学校法人が設置していることが多く,修業年限が1年以上となっており,これに関しては,四年制もあります。四年制の専門学校を出ると,大学院の入学資格がある。短期大学二年生・三年生を出ても,大学院の入学資格はありません。ここがやはり短期大学の弱みだと思います。
いろんなことを述べましたが,これからの短期大学の振興のためには,是非,そういった視点を持って議論をしていただくことを心からお願いし,少々時間は過ぎましたけれども,私からの発表とさせていただきます。ありがとうございました。
【黒田座長】  ありがとうございました。
ただいま,小出委員,麻生委員から,それぞれの立場から御発表いただきました。これらのお二人の委員に対して,御質問,御意見ございましたら,名札を立てて御発言をお願いしたいと思います。
それでは,浦野委員,お願いします。
【浦野委員】  どうもありがとうございました。
私は,小出委員に3つほど質問させていただければと思います。
それで,小出委員がおっしゃったように,多様な能力を育てていくという意味で,私立大学の果たす役割って非常に大きいと思うんですけれども,資料1-1の3ページ,この中段から下に,連合会で作られたアクションプランというのがございますね。それで,そうは言いながら,社会全体から見たときに,大学の卒業生の質の問題で,必ずしも,基礎学力も含めて,評価されていない部分もあるわけですね。そこも含めて考えたときに,アクションプランの2で言っている,「私立大学は,教育の質的転換を図る」と言っている,この中身について,ごく簡単に教えていただければと思います。
それから,2つ目は,同じく,アクションプランの5の中で,研究力の向上,それから,社会のイノベーションを推進するということで,例えば,大村先生とか赤﨑先生の例も挙げておられましたけれども。産業界の方から見ると,そういった刮目すべき研究がイノベーションにつながるということも,もちろん大事なことなんですけれども,より一層大事なのは,ごく一般の人たちが,いろんな知識とかノウハウの組合せでイノベーションを起こしていくという,そういう小さなイノベーションが社会全体の成長力にとっては非常に大事なことだろうというふうに思っているんですけれども。その辺のところを踏まえて,私立大学は社会のイノベーションを推進するとおっしゃっているのか,ここで言っているのは,研究力ということが中心なのか,それが2つ目です。
それから,3つ目は,資料1-2の方にいろんな比較が掲げてございまして,特に5番の項目の中で,高等教育に対する公財政支出の国際比較が上がっています。この問題を論じるときに,もちろん小出委員も御存じだと思いますけれども,意外と見過ごされがちになるのは,やはり国民全体の税,社会保険も含めた負担ということですね。これ,例えば,公費負担ということで見ていくと,高い方の国は,例外なく,そういう負担が大きい国ですよね。大きい国はもう6割近いですし,我が国の場合には,御存じのとおり,30%を切るような状況ですし,そういった絶対的な税収入の問題がありますので,これはやはりそういったところから要求していく問題なのか,今の日本の税負担はそのままにしておいて,その中で,やはり教育に対する配分という形で話を進めていく考え方なのか,その辺のところも少しお聞かせ願えればと思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。
それでは,小出委員。
【小出委員】  御質問ありがとうございます。
直近の1-2の資料の5番のお話からさせていただきます。浦野先生がおっしゃるとおり,国対国の教育の制度の比較,財源の比較というものは,その背景にある問題をきっちり押さえてからでないと,同じような比較にはならない。当初描いたようなものの結論にはならないというのは当然でございます。北欧諸国の例で申し上げますと,人口問題にしても税の形にしましても,社会負担,社会保障を重点にしている国でありますから,国対国の比較は軽々に論ずることは危険であろうと思っています。教育の問題は,社会の下部構造としての全体に関わる話,根底をなす話であります。その意味から,我が国の教育財政改革は,我が国固有の現実から考慮していかなければならないと考えています。
問題は,このOECDの比較の中の日本のデータが,設置形態の違いから来るところで,どうしてこのような215対17という大きな差になっているのか。それは,明治維新以降の政策ではあるとしてもこれは改善を図るべき話ではないか。せめて教育費に関わる部分に関してのファンディングは,設置形態を超えて一緒にしてもらうことが正しいのではないかという思いがございます。
2つ目の話は,元へ戻しますけれども,イノベーションの時代等々の中での赤﨑先生や大村先生の突出した事情・事例を私は引き合いに出しましたが,それは可能性として,各大学のこれからのありようとして,教育面のみならず,学術研究の面においてもその可能性を具現する方向付けを文教政策に取っていただくことが必要ではないかということを申し上げたかったのであります。キーワードは「連携」であります。
それから,最初のご質問で,アクションプランで申し上げた質的充実に関わる点ですが,確かに,先生御指摘のように,「大学の数が多過ぎる」,あるいは,「大学生でありながら分数が分からない」とか,「アルファベットが書けない」とか,そういうことをマスコミの皆さん方は面白おかしく報道されていらっしゃる。よしんば基礎学力に欠ける生徒がいたとしても,私立大学では,初年次教育や補習教育を積極的に導入し,また,カリキュラムの工夫,教授法の改善等を行っています。4年間ではなく,5年間をかけてでも,学生が社会にアクセスできるように,私立大学では大いなる努力を払っているんですね。この点について,若干,付言させて頂きたい。そうであれば,高等学校以下の公教育はどういうことになっているのかこそが問題だと思います。
私立大学は,そのような困難な状況を,歯を食いしばりながら,私学教育,魂の教育,心の教育を進めてきているのです。
【黒田座長】  よろしいですか。
【浦野委員】  はい。
【黒田座長】  それでは,大沢委員,お願いします。
【大沢委員】  どうもいろいろありがとうございました。
まず麻生委員のお話を伺って,改めての短大の置かれた厳しい現状というのを認識した次第です。同時に,専門職業人の育成に果たしてきた役割というのも非常に大きいものだなということも改めて感じました。
これは御質問というより意見なんですけれども,麻生委員もおっしゃっていたんですけれども,中教審で出された専門職業大学の答申が出されていますけれども,やはりかなりこの役割が重なっているような感じがするんですね。ですから,今後,私立大学振興のこの問題を考えていくときも,このすみ分けというのをどうしていくのかということは,やはり一度しっかり議論した方がいいのではないかなということを改めて感じた次第です。
それから,小出委員の私大の役割ということも,改めて認識させていただきました。それで,もちろん,国立と私立との差というんですか,それがあるということもよく分かります。ですから,今後,財政支援の問題というのは出てくると思うんですけれども,これも質問ではなくて意見になるかもしれませんけれども,財政支援をしていくときには,必ずやはり教育内容に即して,ちゃんとした教育内容をやっているのかどうか,そういうことを適切に評価していくことで,それが支援額に反映されるということが大事なのではないかと思います。
ですから,先ほど小出委員がおっしゃっていましたけれども,学生を,たとえ入ってくるとき学力が低かったとしても,どれだけそれを伸ばして,それで社会に送り出していくのかと,そういったところをきっちり評価できるような,それが支援額に反映するような仕組みということもやはり必要なのではないかと思います。現在も私立大学等改革総合支援事業等がありまして,いろんな指標で評価するようになっていますけれども,そういったことを更に深めていくということが必要なのではないかなと思いました。
それから,同時に,考えなければいけないのは,そういった財政支援を受けるということは,税金が入るということなので,資金の使い道とか,それがどういう効果があったかということは,やはり大学側の説明責任というのが求められるのではないかなと思います。そういった意味で,現在も,昔に比べれば,情報公開というのは進んできている面はあるんだと思います。ただ,それが本当に分かりやすく,一般の人からアクセスしやすいようになっているのかどうか。大学ポートレートもできましたけれども,やはりその利用実態というのが十分かと言われると,まだまだそこは考える余地があるのではないかと思います。ですから,こういった情報公開の在り方というものは,是非,この検討会でも,その在り方というものは議論するべきではないかと思っている次第です。
それから,私,前回,前々回,欠席させていただきまして,そのときの議論について少しだけ申し上げさせていただきたいんですけれども,特に監査体制の充実とか,経営困難校に対する対応についての御提言は,非常に貴重なものだというふうに,私は資料をもう一回読ませていただきまして,感じました。
私は新聞記者ということをやっていまして,事件の取材等も多くやってきたものですから,どうしても疑い深くなってしまうんですけれども,これは考えたくはないんですけれども,大学でも,どうしても皆さん性善説に立つと思うんですけれども,やはりどんどん経営が苦しくなってきたときに,例えば,粉飾とは言わないまでも,虚偽報告とか,そういったことがあるかもしれないという前提に立った対策というのはとっていくべきではないのかなと思いました。
それから,今後,経営環境が大幅に悪化したときの,どんどん経営に行き詰まって破綻する大学が出てきてしまう。そういったときのスキームが今のままで十分なのかどうか。それはやはりもう一度,今回,この私立大学等の振興に関する検討会議でしっかり検討しておく。もう一回再点検,見直して,今のままで十分であるというのなら,それでいいですけれども,不足があるのであれば,そこのところはしっかりしておくべきではないかなと思います。それは,ちょうど20年前に金融破綻というので,証券会社,大銀行がばたばたつぶれたときがありましたけれども,僕はあのときに取材をしたんで思いだすんですけれども,なぜああなってしまったかというと,当時,銀行がつぶれたときの,公的資金を含めてどうするのかと,そういうスキームをちゃんと当時の当局が考えていなかったということが,不良債権処理の先延ばしを招いて,傷口を広げたということがあったんだと思います。ですから,教育の世界でそういうことが起こらないように,是非,今のスキームが十分かどうかということをしっかり点検しておくということが必要なのではないかなと思った次第です。
以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
今のは提言であるんですが,お二人に何か質問ありますか。いいですか。
【大沢委員】  じゃ,質問は,小出委員に,特に今,情報公開のところの取組で促進されているようなところがあれば,ちょっと教えていただきたいと思います。
【小出委員】  私立大学の情報公開の取組は,近年既にほとんどが公開という状況です。公的の補助金を受けている立場からしたら,当然にも必要になってくることなので,私どもとしても見解を取りまとめるなどして奨励して参りました。今後は更に判り易く開示に努めていくことを方針として奨励しています。
ただ,そのときに,いつも問題,話題になったのは,風評被害の問題でした。発信をしたその情報が,心ない人たちの手によって捏造されて,あらぬ方向の情報公開になってしまう。東京目線だけでは語れない話がありまして,東京で情報公開がされた場合に,地方にその情報が伝わりますと,地方の新聞が,これをまた面白おかしく書き立て,現実の状況の話と異なる報道がされてしまう。すると,経営組織体の私立学校としては致命的な影響を受けることになり,すこぶる苦労をしているという現実がありますね。
しかしながら,教育公的機関としては,国民からの支持や地域から支持をされなければ,存在理由がないのと一緒ですから,全国の私立大学は大いに努力をしてきていると認識しています。
なお,情報公開の議論では,私学関係者の間から,その根本問題である公正な競争条件としての国の公財政支出における公私間格差是正の要望が声として上がることも現実です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
今,名札が4つ立っていますが,まず坂東委員,それから,佐野委員,水戸委員,濵口委員と,そういう順序でお願いしたいと思います。
【坂東委員】  ありがとうございます。
私は,浦野委員がおっしゃったことに全く共感します。公財政支出の中で,国立大学と私立大学と,これだけ公財政支出に差があるということについての国民の方たちの認識は,まだ十分ではないと思うんですね。これは是非是非,いろいろなところで皆さんの認知度を上げていかなければならないなと思いました。
それと,あともう一つは,今,社会保障制度でも,いわゆるシルバー民主主義で,高齢者にばかり手厚く,これからの社会を担う若い世代に対する支援が少な過ぎるのではないかということで,子育て支援・育児支援というものと比較して,年金・医療費が多過ぎるという議論は増えています。しかし,子育て支援だけではなしに,教育支援が非常に日本はプアなんだ,少な過ぎるんだ,次の世代への投資を行わないで,高齢者の方たちに対する支出が余りにも肥大しているのではないかということについて,もう少しアピールしなければならないのではないかということを感じました。
同時に,これも浦野委員がおっしゃったことですけれども,その私立大学がどういう人材を送り出しているかということについての,製造物責任ではないですけれども,教育の成果について,きちんと説得する情報がもっと必要なのではないか。私は,日本の大学教育を考えてみるときに,入学試験に関しては,非常に皆さん関心がある。どういうふうな選抜の仕方がよいかとか,あるいは,あの大学の偏差値はこの大学の偏差値よりもこれだけ高いというようなことを我々もとても気にしているわけです。けれども入学してから4年なり2年なりの教育の結果,どれだけの能力を持つ学生たちを送り出しているかということについての客観的な指標が,余りにも基準が少な過ぎるのではないか。OECD諸国では,AHELOですか,大学を卒業する人たちの学力があるレベルに達しているかということをきちんとチェックしようというような動きがありますけれども,日本の私立大学の場合は,そうした取組についてはどういうふうに考えておられるのか。
私はいつも,東大と比較して,入学試験では,うちの大学へ入るのはきっとすごく差があるかもしれないけれども,私たちの大学に入った学生は,4年間に力をつけていきますと。ところが,入学の偏差値がとても高くても,下降する大学もありますが,そこのところが分かるようにしていただきたい。今は,就職率がそれを代替するように扱われておりますけれども,あれは本当に3年生のときまでの,それも成績はほとんど考慮されないで,面接等々で決まっているわけですし,大学教育の成果をどう評価するのか。私立学校はこれだけ頑張っているんだよということを示す工夫というのを,もし小出先生の方から教えていただければ大変ありがたいです。
【黒田座長】  ありがとうございました。
簡潔にひとつお願いします。
【小出委員】  大学の出口の部分から大学の質を考える,あるいは,その成果を考えるというあたりはすこぶる重要な指摘で,これから絶えず教育者はこの問題に真摯に向き合っていかなくてはならない話だと思います。
しかし,逆にお尋ねしたいことがあります。
今,この国には,大学の認証評価機関として大学基準協会,日本高等教育評価機構そして,大学改革支援・学位授与機構がありますが,ご指摘の出口(卒業時)の教育評価についてはいかがでしょうか。未だ手つけずとしたら,今後の重要課題の一つだろうと思いますね。
【坂東委員】  ありがとうございます。
本当に大学基準協会ですとか,いろいろな認証評価制度でも,大学がどのような設備・教員を整えているかということはいろいろ評価されますけれど,その結果,教育効果が上がっているか,能力が伸びているかということについては,ほとんどチェックされていないような印象を受けておりますので,是非,そうしたことも含めて,いろいろ御議論いただければと思います。ありがとうございます。
【黒田座長】  大学教育にとっては大変重要な課題でありますので,これも検討していきたいと思います。
それでは,次に,佐野委員,お願いします。
【佐野委員】  それでは,小出委員から御説明のありました地方と都市の調和であるとか,地方活性化,それから,麻生委員からは,規模の格差のお話がございましたので,これに関連してお伺いしたいと思います。
特に小規模大学もしくは地方の大学というのは,大幅な定員割れを解消すべく,あの手この手で学生集めに努力されている。にもかかわらず,財政基盤がよくなるということはままならないといいますか,ならないという状況にあるかと思うんです。これは学生が増えると,学生生徒等納付金はもちろん増加する。しかしながら,例えば,入学金の減免であるとか,授業料の減免であるとかで,奨学金支出が支出として出ますので,収支構造としては改善されないという,単に人数を増やしているだけにすぎないというケースも出てきていると思うんですね。
そんな中で,国の方では給付型の奨学金の話が終盤を迎えている。昨今では,私学の独自の奨学金制度の手厚い政策がなされていまして,先ほど麻生委員からは,自県,自分の県で学生が入るのは,四大と短大で4割・6割で,そんなに変わっていない,微増しているけれども横ばいだというお話ございましたけれども,独自の奨学金制度が,資金の潤沢な都市部もしくは大規模大学で充実されていくと,地方の学生が都市部に集まりやすくなる。そうすると,これで果たして,本当に都市と地方の調和であるとか,地方の活性化,規模の格差の解消につながっていくんだろうかという懸念を持たざるを得ないんです。
学生さんは,当然,どこの学校へ行こうという選ぶ権利はございますし,希望もあると思います。また,各大学には,経営戦略として,どういう学生を集めるということもあろうかとは思うんですけれども,国全体の私学のありようを見たときに,この状況をどう御覧になっているか,是非そこの辺をお伺いしたいと思います。
【小出委員】  全く同じ思いや懸念を抱いています。あとは高等教育の全体的な捉え方(グランドデザイン)の中で調整を図る以外にないし,それは根幹にある大学の設置形態や公財政支出などの格差の解消の中で,徐々に改善をしていかざるを得ない話ではないかと思います。
私立大学の財政は,学納金が8割近くですから,そこに資金の余裕のある学園にとっては,その資金から奨学金を出すということは可能だと思いますが,それはそれで,今度は地方とのあつれきを生んでしまうことも事実です。私大経営の視点,学生支援の視点,いずれに立って議論するかで状況が変わってきますね。難しい問題です。
給付型奨学金については,制度設計が未定ですが,個人補助と機関補助のバランスの在り方など多くの重要課題が検討されてくることでしょう。その中の一つに高等教育費用の無償化の話がありますが,これと絡めた政策検討がなされていくならば,先生御指摘の奨学金問題は,そこにおいて収れんしていく話になるのではないかといった感じがしなくもありません。
【黒田座長】  麻生委員は何か。
【麻生委員】  特に地方の短期大学におきましては,例えば,先ほどおっしゃいましたように,大学独自の奨学金制度で学生を集めることもできるんですが,実際は,やはり地方に経済の活性化がない限り,その学生自体が家計を支えていかなければいけないような場合もありますので,給付型奨学金の充実というのは望まれます。そういった高等教育を受けたいけれども,受けながら,また,仕事をしながらでもいいんですが,それにちゃんとした生活もできるというところも,地方の高等教育に進学していくかどうかのポイントになると考えております。
【佐野委員】  よろしいですか。
【黒田座長】  どうぞ。
【佐野委員】  収れんしていくかもしれませんけれども,給付型,渡し切り,この奨学金にしましても,教育資金ということであって,生活資金については多分面倒を見ない。となると,やはり都市部,もしくは大規模大学が,学生寮であるとか,借上げアパートも含めまして,そういったところを手厚くしていけばいくほど,格差が生まれてくるのではないかという懸念もあります。これは私学といえども競争の中で存在しているわけですが,公教育を担っている,先ほど来お話がありましたように,8割近くが私学に学んでいるという状況を鑑みれば,やはりこれは私学全体の問題として,個々の私学の個性は生かした上で,まさにうまく収れんさせていかないと,この格差は埋まらないのではないかという気がいたしますので,是非,その辺のところも御考慮いただければと思った次第でございます。
以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
それでは,水戸委員,お願いします。
【水戸委員】  小出委員の御提案,一つ一つ納得いくもので,今後格差是正も含め推進していく必要があります。なお,先ほど浦野委員が言われましたが,私立大学は,教育の質の転換やグローバル化,イノベーション創出人材の育成,研究力の強化などの諸改革の推進を私大連合会は平成25年に作成したアクションプランで謳っており,その成果をやはりきちんと私大連合会なり私学協会としてもアウトプットしていく,発表していく,公表していく。これだけ改革が進み,質的に向上しているから,その上で必要な国公私格差を是正すべしという形で訴えていくことが必要だろうと思います。
それから,私の質問は,小出委員の御提案の中で,私立大学の公立大学法人化の問題ということが言われております。これまでの議論では,国立大学との差でいろいろな議論がなされておりますが,公立大学との比較ということでは,なかなか議論がされていないということもあります。それで,昨今,いわゆる私立大学の公立大学法人化が,時々地方で新聞に載っておりまして,転換法人数も結構な数字になってきていまして,気が付いてみると,国立大学の数86を超えて,89になっているということであります。
この中身を見ますと,やはり地方で,いわゆる定員未充足,経営がなかなかうまくいかなくて公立大学法人化を図る,その結果,授業料が安くなりますから,定員充足もできて,あっという間に経営状態が良くなるというような事例も聞いております。
これは,私立大学の中で,従来,公設民営でつくられた大学が,そもそもの設立の経緯からして,公立化やむなしということで,自治体が判断して引き取っているのだろう思いますが,そういう形での救済ができているわけですね。したがって,結果的には,いわゆる税金の投入で,経営に行き詰まった私立大学が救われているという実例があるわけでございます。ですので,設立経緯が公設民営でないとか,自治体が了承しない私立大学は,なかなか支援先が見つからないというような問題も出ているということにも,留意すべきだと思います。
同じようなことは,短期大学の公立法人化というか,そういった動きがあるのかどうなのか,先行きそういった展望があるのかどうなのか,そのあたりも含めて,小出委員の御意見と,それから,麻生委員の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
【黒田座長】  それでは,お二人から,時間が迫っていますので,端的にお答えください。
【小出委員】  水戸委員の御指摘のとおり,学校法人立の私立大学が公立大学化していくケースが昨今やけに目に付くところです。公立大学化の動きに関しては,一校一校の学校の背景,経過が異なるのですから,その点はよく見極めた論評をしなくてはならないだろうと思っています。
しかし,問題というのは,公立大学も,国立大学も,私立大学も,等しく我が国の公教育の高等教育機関でありますから,目標,条件,様々なものが同様に担保していることが大事であろうと思います。先ほどから申し上げているとおり,教育費に関わるファンディングは,せめて一緒にしていただけないか,そんな方向を目指していくべきではないかということを申し上げてきているのです。
また,地域によっては,国公私共通で連携をしながら,地域課題にも,時代の課題にも応えていかなくてはならないところがあると思っています。
【黒田座長】  それでは,麻生委員。
【麻生委員】  短期大学で公立化があるのかということで,全くないわけではないんですが,結果的に,四年制大学と短期大学が一緒に学校法人で経営をしていて,公立化されたときに,言葉は悪いですが,短期大学を切り捨てるというような傾向があるというのが,私の知っている事例でございます。
【黒田座長】  よろしいですか。
【水戸委員】  はい。
【黒田座長】  それでは,濵口委員,お願いします。
【濵口委員】  この中で,国立大学の学長経験者は私一人だと思いますので,ちょっと憎まれ役の質問をさせていただきたいと思います。それはですね,私,1年ちょっと前まで学長をやっていて,その実感で,本当に苦しんだことであります。それは何かというと,教員が間々にして私立大学へ移られるんですね。特に優秀な人材で,50代前半の,これから働き盛りというのが,ある日突然移るんですよ。年間,法学部なんて,もう何人と移るんですね。
これ,なぜかというのを,実は調べたんです,私。十分に情報公開がされているかどうか,ここの質問が1つなんですけど,やっぱり給与水準が随分違う。場合によっては,月収が4割ぐらい高いんですね。しかも,退職年限が70を超えていると。それは当然移るわけですね。
かつては国立大学は,それでもみんな安月給で働いていたのは,時間の自由があった。今は,実に繁忙を極めている状況があって,忙しさは変わらないと,一人一人聞いたんですよ。変わらないと。だから,給料のいいところへ移るのは当たり前でしょうと。
その移った先を聞いてみますと,場合によって,赤字になっているというお話のところが,表の給料以外に手当がいっぱい出ていて,学部長より高い人が結構あるんです。傾きかけていてもですね。そこら辺の情報公開と考えます。つまり,しっかりした管理運営ができているのか。
あるいは,きょうお話しいただいているところは,私立大学を全体として見ていますけれども,実は私立大学の中にも経営状況から見て二層性,三層性が出てきているのか。確かに,国立大学は,今,三層に分けて,第3期から経営改善をするという状況へ入っているんですけど,もしもその階層性があるとしたら――これ,2点目です。情報公開が1点目,2点目は,階層性があるとしたら,十把一絡げにして議論しているのはおかしいのではないか。もう少し階層性に応じた議論が必要なのではないか。この2つを,特に小出先生にお伺いしたい。
【黒田座長】  よろしいですか。
【小出委員】  御指摘ありがとうございます。
国立大学の実態,実情に関しては,私は十分知り得ません。今,濵口先生御指摘の点に関しては,特に給料実態の問題と退職金制度の問題,あと,階層性に基づくという,世界基準と,専門性の高いところと,地域貢献という三区分といいましたか,そのあたりの大学の運営に関わる側面に関しましては,十分なるデータを持ち合わせておりません。そこに学ぶ学生へのファンディングの視点から,意見を申し上げましたので,国立大学のこの間の取組などに関しては,承知はしておるところではありますが,お尋ねの私立大学の実態は存じ上げませんので,ちょっとコメントは控えさせていただきたいと思います。
【濵口委員】  質問は,情報公開をしていただきたいということですね。本当の実態のある給与水準をですね。その上で,学生の支援の問題とは,これは別の問題です。経営として,これはきっちり議論しないと,話がまとまりませんですね。
それから,競争力のある大学にするならば,優秀な若い人材をどう登用するかということを考えていかなければいかんわけですよ。私ども国立大学,本当に骨身を削って今やっています。そういうことをやられる覚悟はあるかどうかと。イノベーションをやられるということ,これは若手を登用しなければ全然動かないですよ。そこをどうされるかということですね。退職年限のことも含めて。
【黒田座長】  小出局長は答えにくいだろうと思うんですが。今のは,私学として,全体として考えていかなければならんことだと思いますので,これはまた後の議題にしたいと思います。
それでは,安部委員。
【安部委員】  ありがとうございます。
先ほど大沢委員さんから,短期大学と今度の新たな高等教育機関は,職業教育において同じ役割をしているという御意見を頂いたんですけれども,私も,地方の短期大学の職業教育の改革に取り組んでいる立場から,新たな高等教育機関が31年に成立することについて意見を述べさせていただきたいと思います。
今,専門学校の進学率は2割を超えています。大学と短期大学を合わせて進学率は5割半ばですが,先進国の中では決して高くなく,近年,それは停滞傾向にあると思います。優れた専門学校の教育に学位を授与し,高等教育機関を正式に認定するということで,我が国の進学率を上げるというもくろみがあるように思います。ただし,新たな高等教育への移行が想定されるのは,先ほど麻生委員もおっしゃったんですけど,26年度から認定が始まりました専門学校の職業実践専門課程です。これ,現在833校なんですけれども,その半数近くは首都圏・中京圏・近畿圏にあり,同一法人立の複数の専門学校グループによる認定申請が目立っております。
都市型の大規模法人の専門学校群が一度に大学に昇格すれば,ますます都市部に地方の若者が流れてしまうのではないか。それと,専門学校の実態に合わせて,大学としての備えるべき高等機関としての仕様水準が低く抑えられてしまうのではないかという懸念を持っております。
職業教育に関しまして,例えば,新たな高等教育機関は,大学に進学をする人が少ない専門高校からの進学に門戸を開くということで,これは進学率のアップにつながりますことですが,短期大学におきましても,現在,専門学校出身の学生は3割以上在籍しています。地方の短期大学ほどその割合は高く,私の大学では,6割以上の学生が専門学科と総合学科の出身者であります。そういう専門高校や総合学科の学生の,短期大学の職業教育に対する満足度と親和性は,普通科の学生よりも高いということが,過去の在学生調査,卒業生調査からも分かっております。
専門高校で学んだ専門の知識や技術を,短期大学で学問的深化を行い,職業現場で求められるレベルまで引き上げる知識・技術を授ける専門職業教育を短大でやっています。職業教育における高大接続は,短期大学の職業教育の特徴であり,教養と専門が融合したバランスのある教育で,地域の中堅の人材を養成しているところでございます。
先ほど言われたように,大学,短期大学,専門学校,それから,新たな高等教育機関,このすみ分けというのが非常に重要な――これは私ども短期大学の盛衰というよりも,高等教育のグランドデザインをどう描くかということに尽きるのではないかなという気がします。
もう一つ申し上げたいのは,特に地方からなんですけれども,給付型奨学金を増やすと,ますます地方から若者が抜けてしまうのではないかという御意見もあったんですけれども,短期大学の場合は,自宅から通えるというのが,進学の条件になる場合が多いです。自宅から通うことすら経済的に難しいく,推薦入学を決めた学生の一部に,どうしても進学できないと辞退する人が毎年います。在学中も奨学金・アルバイトに頼った学生生活を送る学生が増えてまいりました。そして,貸与型の奨学金の返済期間が10年20年と長期にわたって続きますので,返済に対する不安もあります。そういう経済的な事情を抱えている人が増えてきたなと思います。
そういう人たちのために,短期大学では,卒業後の職業に直結する専門分野への学科再編が顕著です。人文が減って,教育とか医療が増えたというのは,まさにそれなのですが,あるいは,先ほど言われたように,独自の奨学金の創設等を行い,地域の中で短期大学教育,高等教育が必要な人,将来の職業生活や社会生活に必要な知識や技術を身に付けるために大学に行きたいという人のニーズに応えております。しかしながら,小規模なので,更なる定員を削減したりしての規模縮小,あるいは,奨学金負担の増加というのは,ますます経営を困難にするというのはもう自明でございます。
加えて,大規模大学に比べますと,近年の大学改革に必要な情報の収集力,あるいは,対応するスタッフ人材の確保,その専門性の担保には大きな問題を抱えて,なかなか大学改革についていけないというようなところも多いように思います。
しかしながら,今,日本の短期高等教育は,57校の国立がほとんどの高等専門学校を除き,公立は今年もう17校になりました。短期の高等教育が国の手厚い振興策によって普及している欧米諸国等の高等教育事情とは,非常に私は異なっていると思うんですね。日本の高等教育のグランドデザインには,四年制一貫システムの大学しか必要がないのか。人材立国をうたう我が国の人材の質の底上げには,全ての行きたい人が短期の高等教育機関までには行けるというような振興策というのが必要ではないかなと思います。そのために,まずは短期の高等教育を担っている私立短期大学に対する公的支援の加算と,それから,私立短期大学の学生たちに,給付型の奨学金の拡充などを通じて,一層の経済的支援を是非お願いしたいというのが,これがもう地方の学生を見ていて日々感じていることでございますので,お願いを込めて申し上げさせていただきました。
以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
ただいまのは安部委員からの提言ということで,質問はなしということにしておきます。
それでは,丸山委員,もう時間が来ていますので,端的に。
【丸山委員】  前回,第4回に報告しました丸山です。そのときの質問にちょっとお答えできなかったので,それについて報告します。
河田委員から,アメリカの私立大学の収入のうち,資産運用収入の割合が2011年に3%という数字は低いのではないかと御指摘を受けました。それで,元データに当たりましたところ,間違いなく,2011年は2.81%で,少なくなっております。
ただ,ほかの年度を見ますと,その前の年度は16.89%ですとか,2003年は23%ありますので,年度によって非常に違う。それから,リーマンショックの起こりました2008年には,これはマイナス93%ぐらいで,授業料収入だとか,事業収入だとか,病院収入,寄附等々が全部すっ飛ぶようなマイナスになっておりますので,単一年度を見ても分からないということであります。
詳しくは,議事録に記してありますので,データ的には間違いはございませんでした。
【黒田座長】  ありがとうございました。
それでは,清水委員,お願いします。
【清水委員】  時間がありませんので,質問というよりいろんな論点の整理にあたって留意すべき点を2点だけ申し上げたいと思います。
1つは,グランドデザインの議論です。グランドデザインは,平成16年に中教審で議論したときもそうでしたけれども,それぞれ論者によって意味が違います。違った意味で,違った内容で使うために,グランドデザインができたのか,あるのかないのか,いつまでも議論になりがちであります。平成16年の中教審が,グランドデザインを議論しながら,役割・機能の分化というところに行き着かざるを得なかった。そこを念頭に置いたグランドデザイン論というのが必要なのではないだろうか。つまり,国立・公立・私立一般論だけではない,別な視角も必要ではないだろうかと,こういうことであります。その点が1点。
もう一つ,麻生委員の発言に関してですけれども,これは小出委員が言われた,それぞれの地域におけるプラットフォームを考え,特に設置形態を超えた連携を強調されるときに,短大の連携の問題,他の機関,新しい機関との問題も含めて,連携という問題をどう考えるのか。あるいは,連携できるものではないというお立場かもしれませんけど,やはりそこは1つのこれからの論点として考える必要があるのではないかなというのが1点です。
以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
きょうはもう時間が来ましたので,このくらいでやめたいと思いますが,冒頭に申し上げましたように,次回は,今まで検討していただきました議論について,一応まとめていきたいと思っております。きょう,まだ積み残しも少しありますので,それも含めて,次回は議論をしたいと思っていますが,短時間でやっているものですから,皆さん,意見を述べ切れないということがあると思いますので,できるだけ今月末ぐらいまでに,文書で事務局の方へお出しいただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
それでは,事務局から,今後の日程についてお願いします。
【千々岩私学行政課課長補佐】  失礼いたします。今後の予定といたしまして,資料5を御覧いただければと存じます。
まず,先ほど座長からお話ございましたように,委員の皆様におかれましては,これまでの御議論を踏まえまして,追加の御意見,課題等ございましたら,今月末,7月31日までに事務局まで書面にてお送りいただきますようお願いしたいと思います。
これに伴いまして,次回の検討会議の日程,当初予定8月3日から変更させていただきまして,次回,第6回の検討会議については,8月30日13時から,場所は同じ三田共用会議所講堂を予定しております。
次回は,お話ございましたように,これまでの議論における主な意見の整理を予定しております。
なお,本日の資料につきましては,封筒にお名前を御記入の上,机上に残していただければ,事務局から後ほど郵送させていただきたいと思います。
以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
次回は8月30日ということで,ちょっと時間が空いています。その間に,今までの議論を少し整理させていただきたいと思いますので,御意見のある方は,再度申しますけれども,今月末までに事務局へお出しいただきたいと思います。
本日は,貴重な御意見ありがとうございました。これで終了いたします。御苦労さまでした。

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-- 登録:平成28年09月 --