特定研究大学(仮称)制度検討のための有識者会議(第6回) 議事録

1.日時

平成27年11月27日(金曜日)11時~12時

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 特定研究大学(仮称)のコンセプト及び指定の要件について
  2. その他

4.出席者

委員

岸座長、上山委員、金子委員、熊平委員、郷委員、酒井委員、菅委員、高橋委員、橋本委員、濵口委員、松本委員

文部科学省

常盤高等教育局長、義本大臣官房審議官(高等教育担当)、氷見谷国立大学法人支援課長、吉田国立大学法人支援課企画官

5.議事録

【岸座長】  所定の時刻となりましたので,特定研究大学制度検討のための有識者会議の第6回を開催いたしたいと思います。  委員の皆様におかれましては,お忙しいところをお集まりいただき,本当にありがとうございます。  それでは,本日の議題に移りたいと思います。本日の議題は,特定研究大学のコンセプト及び指定の要件についてです。まず,事務局より,資料の説明をお願いいたします。

(事務局より資料1に基づき説明)

【岸座長】  ありがとうございました。  それでは,今の事務局のまとめを中心にして,御意見,御質問ありましたら,各委員よりお願いしたいと思います。いかがでしょうか。  まずは,目指すべき特定研究大学像ですね。目標と課題,それから特定研究大学が備える要素,6点になるわけですね。それから,評価の在り方まで含めて,どうぞ何なりと御意見をお願いしたいと思います。  どうぞ,熊平先生。
【熊平委員】  一つ,この資料を見ていて,気になっていることがございます。それは,「壁」という言葉なのですけれども,壁というのは人間が作っているものなので,壁のせいにするというような表現は余り良くないのではないかというのが1点と,更にそれをちょっと眺めてみますと,この中には,こういうことを実現したいのだという話と実際に壁となっているものが混在しているように見受けられるので,それを見ておりまして,もう少し踏み込んでこの内容を再整理してみてはどうかという御提案でございます。その再整理の在り方としては,こういうことを実現したいのだというゴールがあって,それに対して,今,障害となっているものは何かというようなことを整理していくという流れがいいのではないかなというふうに思いました。  そういうことを考えておりまして,一つ,自分の中でのロジックを皆さんに共有させていただきたいのですが,まず,そもそもこのことを話さなければならなくなった前提として,世界の変化がありますと。国際化,グローバル化ではなくて,多分,既にインターコネクテッド・ワールドという言葉で使われるようなグローバル化の時代になりましたと。そうなったときに,そもそも日本人だけを恐らく対象にしていた国立大学も,もっとグローバルに人材を,留学生を含めて対象としなければならないという,大きな,大きな流れがあると思います。その中で,そういうグローバルな人材も含めた中での優秀な人材を,あるいは多様な人材をいかに魅了して,そして最良の研究の機会を与えて,その最良の研究の機会を与えることによって,結果的には研究の深化,イノベーション,まさにここの融合分野・新領域の開拓みたいなことが実現すると。そうなった結果として,産業界のR&Dに貢献するし,社会のシステムの変革に貢献するのだと。そういうことをやるために,特定の大学にリーダーシップをとっていただきたい,見本を示していただきたいというのが多分,このそもそもの前提なのではないかなということをちょっと感じました。そのために我々は何を考えるべきかというと,それを具現化していただくためにどういう支援ができるのか,その観点からいろんな点をこの中に入れていけばいいのではないかなというふうに思いました。  以上です。
【岸座長】  ありがとうございます。この資料全体としてはそれぞれ書かれているところではあるのですが,少し流れをよく把握してほしいということでよろしいでしょうか。
【熊平委員】  はい,結構です。
【岸座長】  特に前提のところですね。逆に言うと,何でやるのですかというようなところも含めて,もう少し明確にした方がいいのかなという気はいたします。  じゃあ,上山先生。
【上山委員】  国立大学についての大きな改革ということで,日本の国立大学というのはこれまで,公的資金によって非常に大きな役割を果たしてきたと思っております。また,諸外国の公的資金の関わりと比べて,日本の国立大学も含めた学術に対する支援というのは,まだまだ遅れていると。したがって,これに関する支援をまずは何よりも確保しなければいけないということを前提として,お話をさせていただきます。  その努力をどのような形でエクスパンドしていくかと,その公的支援をどうやって拡大していくかということの一歩として,この特定研究大学ということを私は考えたいと思っております。そのときに,海外の大学は,例えば一流の日本の研究大学の財務基盤と比べて,2倍,3倍の世界なのですね。スタンフォードでは東京大学の3倍以上の年間予算を持っていると。こういう大学とグローバルに当然ながら戦っていかなければ,大学ランキングの中で確保していくことができないという状況が明らかになっていると。そうすると,公的資金を削減するなという議論はもともとおかしな話で,それを確保した上で,じゃあどこを拡大していくかという,自己収入というものも当然見据えないといけないということだと思います。そういう意味では,この特定研究大学に関しては自助という概念がある程度反映されていかなければいけないというのが,まず一つの考え方として私は持っております。  その話で言いますと,2点申し上げたいのですけれども,ここの中で幾つも出てきているような,自己収入の拡大,産学連携の進展・深化,それから寄附金収入も含めた,これは恐らく自助努力のところに当たると思いますけれども,これがある意味では大学の財務と経営の中にきちんと入ってきて,長期的な視点でその資金を使い,大学の戦略に生かしていくような,そういう方向性を打ち出さないといけないと思いますけれども,それで言うと,自助努力の結果としての資金をどれぐらい大学の中で基金化していくことができるかということを考えないといけないと思いますね。つまり,年度をまたいで長期的にその資金をどのような形で投資をし,そして拡大させていくかということを見据えた活動をサポートするということが,一つ重要だというふうに思っております。  もう一つは,私の意見というよりも,ほかの委員からも出たと思いますけれども,大学における大学院生に対する経済支援というのは,いろんな形で競争的資金はどんどん拡大をしているわけですね。競争的資金が拡大した結果として入ってくるようなお金というのが,果たして大学院生の獲得あるいは教育にきちんと生かされているかという疑問が出ていると思います。これは恐らく日本の国立大学の大学院改革の問題と関わっていて,特定研究大学というのであれば,大学院ということをメーンにした活動を考えないといけないというメッセージだと思いますけれども,各プロジェクトとか各先生方が獲得した競争的資金の中から,これは菅先生がおっしゃっていることですが,どれぐらい大学院生の奨学金・生活支援に回すことができているのかということを,ある程度目標値は定めるべきだという議論も,私は非常に説得力があると思っております。議事録に残しておくために申し上げますけれども,大学院生のマーケットというのは本当にグローバルに動いていて,優秀な大学院生をどれぐらい自分のところに引き付けることができるかによって競争が始まっているということで言うと,競争的資金あるいは自助努力で取ってきた資金というものが大学院生の支援ということに相当程度充てられなければいけないという論理は非常に説得的だと私は思いますので,ここでもう一度改めて強調させていただきたいと思います。
【岸座長】  ありがとうございました。財務体制の強化・在り方,そして基金化の課題と,大学院生への大きな支援,これが柱になるべきだろうという御意見かと思います。  ほか,いかがでしょうか。どうぞ。
【郷委員】  今の大学院生の支援というお話は研究大学としては最も大事な視点ではないかと,私もずっと思っております。今ここで大学院生に対する経済的支援というのをツールとして書いていただいているのですが,ツールというと,そういう方法もありますよということだと思うのですけれども,例えば特定研究大学が備えるべき要素の人材獲得・育成の優秀な大学院生の確保のところは経済的支援を含めての確保という形にしていただければと思いますし,またその中身は,今お話ありましたように,いろいろな競争的資金あり,基金あり,いろんな形で御努力いただくことにしないといけないと思いますが,括弧して,TA・RA,奨学金と書いてありますが,日本の今の奨学金は貸与となって,ほとんどは借金として返すという形が多いと思いますが,このことの問題というのは大変大きいと思います。今,大学院への進学率は,例えば東大の場合は学部から大学院に行く人が30%ぐらいで,10年ぐらい前には40%あったと。非常に大きく減っているのは,大学院に行って授業料払ってドクターを取っても,それに見合うだけの給料が得られない。特に情報系などは優秀な人ほど学部で就職してしまうという状況が,実際に今あるわけです。ですから,そういうことを考えますと,非常に重要なのが大学院生の経済的な支援。しかもそれは,できるだけ貸与の形で,あるいはTA・RAの形で,アルバイトをしなくても十分済むような形,これは,例えば欧米の大学と比べても,明らかに必要なことだと思います。これをしっかりと備えるべき要素の方に書いていただきたいということが一つ。  それから,打破すべき壁というところに,融合分野とか新領域の開拓が進まないと。そのためにはやはり,これから若い人たちが,大学院生や若手研究者を含めて,十分に活躍してもらう必要があるわけです。学内の「壁」のところに優秀な人材獲得と流動性を阻害しているのが今の定員管理だと書いてあるのですが,これはむしろ,学外あるいは国際的,海外を含めて大学院生あるいは教員が流動的に動けるというような,そういうシステムがやはり大事であって,それを直接書いていただく方がいいと思います。ここはいろんなところで「教員ポストの本部での管理」という形で書いてあるのですけど,管理と言うと何かそういう流動性とは逆のイメージがツールのところだと感じられてしまいますので,むしろ流動性ということをうたっていただく。そのことによって融合領域分野とか新領域が進むのだという,そういう流れにしていただければと思います。
【岸座長】  ありがとうございました。後段は,流動性という扱いの中で全体を把握してほしいと。それと,今,レベルの高い研究大学で最大の課題は大学院学生への支援だというので,これを前面に出した方がいいのではないかという御意見かと思います。ですから,備えるべき要素の方にある意味の格上げが必要かという御意見かと思います。  ほか,いかがでしょうか。幾つか,議論は少し煮詰まってきたかなという気はしておりますが,ターゲットとしては十分なところに来ているかどうか。そこは一つの課題なので,余り今と変わらないじゃないかというと,余り面白いことにはならないのですけど,例えば,大学ランキングというような話もあるし,それから,ジョイント・ディグリーなどというのは非常に,超一流と思われている大学と結ぶのは至難のわざなのです。ですから,こういうことをどれだけ入れていくかというようなことが非常に大きくなるし,海外キャンパスはよほど自助努力の資金がない限りはできないだろうというようなことも言えるかと思います。ある程度のターゲットはできているのですけど,ターゲットに限って何かもう少し,これでいいか,きつ過ぎるか,低過ぎるかを含めて,御議論いただければと思いますが,いかがでしょうか。  どうぞ。
【金子委員】  「壁」の記述のところと,それから,あとの目標というのですか,そのためのツール,あるいは改革の目標のところが,明確に結び付いているところと,必ずしもそうではないところがあって,一つ問題は,組織とガバナンスが壁と言っているわけですけれども,それについてどのような形で現行の壁を打破していくのかというところは,具体的なこのところには必ずしも明確に出ていないように思います。研究力強化のところに一つ,「組織の見直し,研究戦略の策定等」とありますが,もう一つ,ガバナンスの部分で柔軟な組織構造を作っていくためのメカニズムをどのように作っていくのかということを明確にするというのは,かなり重要な面なのではないでしょうか。多分,各大学がこういったプログラムに応募してくるときの最大の問題は,学内の組織は現行の組織を基盤とした意思決定がかなり強力に作用されるわけですから,自分の座布団を自分でひっくり返すような議論が求められてくるわけで,そこのところについて,大学としてどういう具体的な方針を持っているのか,あるいは,どのようなプロセスでもって組織改革を恒常的に行っていく,あるいは柔軟化するのかといったことが,一つの目標になっていなければいけないのではないかと思います。
【岸座長】  ありがとうございます。そうですね。これは改革ですから,一番の問題は学内問題になる可能性があるのですね。それを十分に認識した形で組織とガバナンスの在り方を,何をこっちが要求し,何を応募する側がまとめ上げてくるか,これができるような,うまい募集要項的なものに持っていかないといけないですね。分かりました。  ほか,いかがでしょうか。濵口先生。
【濵口委員】  目標値,目標設定と少しずれるのですけど,いろんなツールをずっと見ていると,結局,最後は財政問題へ行くわけですね。ところが,その財政問題のツールが,産学連携,寄附集め,出資事業の拡大,運用範囲の拡大,不動産の効率的活用,これで果たして自立的な経営ができるほど体力が上がるスマートなアイデアがこの領域だけでできるかどうかという見通しが本当にあるかどうか。例えば,運用範囲の拡大でよくあったのは,リーマン・ショックのときに,私の知っている幾つかの私立大学は100億円規模で損失を被っております。武士の商法をやって大やけどをして,いろんなトラブルが起きている。そういう一つ見ていても,運用範囲をソリッドに運用できるプロフェッショナルがほとんど日本にいないです。ハーバードとかはそれを10何%で活用していると言うのですけど,それは相当のプロがそろってようやく動いているところ。そこまで行かない項目を立てていても,大学院生に支援をやろうと思っても,その資金も確保できない状況があり得る。場合によっては,応募大学がないことも想定し得ることがあるのですね。だけど,ハードルを下げないとするとしたら,財務をどう工夫するか,もう一つ深掘りした議論がないと実現性がなくなってくるのではないかというふうに思うのですけど,上山先生はお知恵があるかもしれないです。
【上山委員】  公的資金ということ?
【濵口委員】  公的資金以外に,いかにして自立的な財務を確保させるか。今のところ,日本の国立大学は設備とか病院の大型機器とかの膨大な借金を抱えたままでスタートしてきています。海外の有力大学,ほとんどは私立大学ですけれども,逆に自己資金が何兆円単位であるというところとの,この体力差。大型の基金を運用することによって得られる膨大な利潤というのは,そもそもないわけですね。集めているといっても,たかだか多いところで100億円ぐらいの規模でやっている。それの運用でやってもやけどをするような素人っぽさがあって,もっとソリッドに国立大学の今の体制の中で恒常的な収入を図れる日本的なシステムを考えないことには実現しないのではないか。今,キャッシュフローとして現実にあるのは,運営費交付金と病院収入と学生等納付金しかないのですね。例えば学生等納付金でもどこまでたがを外すかということまではっきり許容範囲を考えないと,例えば全体のボリュームで言ったら10%から20%ぐらいの学生等納付金全体のボリュームの中であって,それを例えば1割上げたって全体のボリュームでは1%から1.5%ぐらいで,こんなことをやっても焼け石に水なわけですね。もっとリアリティーある案を出さないと,案全体が動かないリスクは高いなと,改めて思います。
【岸座長】  ありがとうございます。あるべき姿とか,そのツールのものを考えても,結局は財政問題だと。公的資金に頼らないで,どこまで行けるか。もしかすると,具体化しようとするとき,応募もなくなってしまいますよという警告のように受け取れたのですが,それを含めて御意見がありましたら。  どうぞ。
【松本委員】  先ほども申し上げたのですが,財政基盤が大変重要であるということは大方のコンセンサスだと思いますが,今の国の事情を考えますと,そう簡単にはいかない。したがって,自助努力をするというのが基盤だと思うのですね。その場合に,いろいろなアイデアは出てくると思います。出てきた場合に,大学の自助努力・新企画を受け止めて必要な規制改革を行うというようなことをツールの四角の中のどこかに,財政基盤の強化という最後のページには,四角,ツールがないのですけど,それに相当する文章が本文に黒ダイヤモンドで入っていますが,「国においては,運営費交付金の安定的確保,間接経費の拡充」と,こう書いてあるだけなのですけど,いろんなアイデアが出てくる可能性があるのですね。  例えば共同研究費というのは,それぞれの研究者が相手を探して国内外問わずやっていますが,例えば国際的な企業とやろうと思うと,いろいろ制限が付いてまいります。そういうものをできるだけ緩和する。それから,共同研究費で運用するときに,学内だけでやらずに,その大学に固有の組織を外に作って,そこの株をその大学が持つ。つまり,管理権を大学が押さえて,そこが企業と大学の知財を組み合わせて,いろいろ運用してもらうと。この中間法人が例えば利益を上げた場合に,それは大学の共同研究費として定常的に入れる。それが基金化につながるというような,例えばそういう仕組みもアイデアとしてはあり得ると思うのですけど,そういうものが出てきた場合に,規制にひっかからないように,もしひっかかれば,それを解除する方向で努力をするということをツールとして書いていただければ,いろいろアイデアが出てくるのではないかと思います。
【岸座長】  ありがとうございました。  どうぞ,金子先生。
【金子委員】  自己資金,新しい財源を生み出すというのは,努力することは非常に重要ですけれども,それが非常に大きな規模になるかどうかはかなり問題で,今,松本先生がおっしゃったように,幾つか工夫があるところは重要と思いますが,私,一番大きいのではないかと思うのは,国の機関を対象とした競争資金の使い方ですね。これは新しい財源ではないですが,今の補助金の使い方が相当大きく制限されているというところに非常に大きな問題があって,東大,京大なんかは,運営費交付金に対するそういった競争資金の割合って4割くらいになっているわけで,非常に大きいわけですが,実際の使い勝手はかなり悪くて,単年度でしなければいけないとか,様々な問題,用途もかなり指定されている。その使途制限の部分をある程度緩和して,しかもそれは長期的な観点から使えるようにするというところは,既存の財源そのままでも使い勝手がよくなるというところのメリットは非常にあるのではないかと,私は思います。  例えば大学院の組織の問題なんかも,私,リーディング大学院のプログラムの評価委員をやっているのですが,非常に使い勝手が悪いところで相当の無駄が生じているというのを強く感じます。ああいうものをもう少し,大学が全体として長期的な観点から使える部分をかなり拡大するということは,新しい財源を生み出すというよりは,むしろ現在の財源の有効活用で相当できることがあるのではないかというふうに思います。
【岸座長】  ありがとうございました。幾つかの財政的な解決策。
【橋本委員】  財源問題が本質的だということは十分理解した上で,もちろん,国が大学に対してしっかりとした投資をしてもらう,確保していただくということは大変重要なのですが,それは決して特定研究大学のためだけではなくて,国立大学全体のためであるべきだと思うのです。ですから,国のしっかりとした大学に対する投資は今後も引き続き強く主張することは大変重要なのですが,特定研究大学のためにという論点ではないのだと思うのですね。特定研究大学はやはり,今までも議論出ているように,自分たちが努力するという姿を見せて,それで実際に動き出せるということを示す,そういうことを先導的にやるためにこの制度を作っているのではないかなというふうに理解しております。  そういう観点から言うと,確かに今の厳しい我が国における大学財政の中で,自己努力でどこまでできるのかということに対して,濵口先生のようについこの間までそういうことに苦労されていた方の言葉はとても重いのですが,一方で,今回この委員会で検討を進めるに当たって,いろいろ情報を集めたりヒアリングをしたりしている中で,そういう方向でやれるのではないかというところを言っている大学もないわけではないわけです。そうすると,やはり我々としては,そういうところに是非頑張ってもらえるような,そういう制度を作っていくということが重要なのかなと思うのです。それは規制を外すということなのですが,一般的に言って規制を外すというのは,誰でも規制を外してほしいわけですけれども,一方で,痛みを伴わない改革をやっているところで規制を外すというのは,社会が認めてくれないですよね。ですから,自分たちが痛みを持った改革をやっているから,そこが自立するために規制を外してほしいと,こういう論理で持っていかないと社会は認めてくれないわけです。そういう観点においても,今まであった議論のように,高い目標を立てて,それに対して自己努力でやっていくのだということを大学が自ら宣言していただいて,それに対してしっかりと国が,規制改革によって,大学自身が努力できるような形を整えるということで支援するということが重要なのだと思います。  そういう観点から言うと,目標設定ですけれども,これは,個々は実はそんなに新しいことじゃなくて,10年前にもこのようなことは言われていて,結局余り変わってないというのが現状です。それで,今回新たに出したのは,本当にここに達するための大学が出てもらわないと困るわけですので,この目標設定自身は,低くというか,それほど高くなく見えるかも分からないけど,実は極めて高いのだと思います。これを掲げたにしても,掲げてもやはりできませんでしたということでは困るので,どういうふうにそこに達するのかということの道筋の提案を書いてもらうと同時に,出発点もある程度高いところにないと,無理なのだと思うのですね。ですので,応募する要件というのもしっかりと考えないといけないのではないかなと思います。あわせて,1ページ目に書いてある,「目標に対する達成度が低い場合には,指定の取消しがあり得ることとする」という,こう書いても取り消されないだろうなと思われては困るので,ここはもう少し,表現ぶりは検討した方がいいのかなと思います。  最後に,先ほど議論になった大学院生の問題ですが,私も全く今まで出ていた議論と同じ意見でして,大学院生の確保,国際的な競争力の確保のためにはしっかりとした支援が必要です。そのための財源は,一つは,研究者が稼いでくる研究費で払うということ,これは大変重要だと思うのですが,もう一つは,研究費が取れない分野でも,大学としては極めて重要な,戦略的な分野もあり得るわけですから,そういうところの大学院生に対しては本部が持っているマネジメント経費の中からしっかりとした支援をするという,そういうようなことも併せて提案していただく必要があるのかなというふうに思います。  以上です。
【岸座長】  ありがとうございました。86の国立大学は,それなりに頑張ってはいると。しかし,世界に伍してやるところが,今,問題なのですね。そこをもう一回認識して,トップのトップを作るということなので,本当は荒療治と支援が必要なのですけど,国にお金がないと。そういう中で何をやっていくのかと。そういうことを,今,橋本先生はかなりまとめてくださったなという気がしますが。  どうぞ。
【上山委員】  もう一度,財務のことで,濵口先生から御質問もありましたし,非常に難しい問題だと思うのですけれども,ちょっとだけ考えていることを申し上げますと,この間,アンドリュー・ハミルトンというオックスフォードの総長に会いに行ったのですけれども,彼はこういうことを言っていたのですね。我々はステートユニバーシティーだと。つまり,国でサポートされている大学だと。アメリカの私立大学はほとんど国ではないようなイメージがあるけれども,純粋の研究費で言うと,スタンフォードも,ハーバードも,実は8割以上が公的資金なのですね。それと比べると,我々のところははるかに少ないと。公的資金で研究をやっている率は,はるかに少ない。それは私たちが稼いでいるのだという言い方をしました。実際のところ,例えば,ケンブリッジなんかも出版でものすごくもうけていますし,オックスフォードなんかも同じように,英語のコースみたいなことで,エクステンションで非常に稼いでいる。つまり,いわばオックスフォードとかケンブリッジのブランドで商売をしているということですね。ハミルトンが学長になってから,この5年ぐらいの間に基金が1.5倍ぐらいまで拡大しているのですね。それはアメリカのモデルを導入したというふうに思いますし,彼もそう言っていましたけど,それぞれの国に応じて,研究大学が財務を改善させる方法というのは,様々あると思います。実際,アメリカの州立大学でカリフォルニア大学などは州からの補助金が急速に下落をして,それでやったことは,基金化をして,そして寄附金を集める。同窓生を拡大する。それから,特許収入を上げる。共同研究費からの収益を上げるということですね。  一番どこが効いたのかという御質問で言うと,確かに先生のおっしゃるように,病院とか,授業料の拡大というのが非常に効いているわけです。ですから,この話をやっていくと授業料の拡大みたいな話になっていくかもしれませんけれども,ただ,スタンフォードとかハーバードみたいなことまではなかなか州立大学は行かないものの,そのシステムを少しずつ入れながら大学の財務を改善させようという努力をしていることは事実で,日本には日本なりのやり方がどこかで出てくるのではないかなと思ったりします。  それを言うと,まさに松本先生がおっしゃったみたいに,外部にリミテッドパートナーシップを作って,外部のところから収益,これも間違いなく,スタンフォードとかがやり始めて州立大学に入ってきたスキームですから,それも同じようなことが起こっていくだろうと思うとともに,一つ思うのは,大学の戦略として,これはちょっと空想めいたことになるかもしれませんけど,日本は明治時代に東アジアで初めて大学という組織を導入して以来,高等教育に関しては非常に大きな蓄積と経験を持っているわけですね。科学技術政策に関してもですが。ここでやった経験値というのはある意味では非常に大きなブランドとして東アジアの中で展開をしていく可能性があって,例えば教育プログラムを売るとか,あるいは,政策のパッケージをやってきた,成功と失敗のパッケージにして海外のところのブランチで展開をするとか,いろんなやり方が実はあると思うのですね。それは大学の経営の中でまさに外部収益を上げるためのやり方というのを考えていくべきで,それから,何がいいか,こうやるべきかということをここで書く必要はないですが,そのようなモメンタムが必要だと言った瞬間に,その大学がいろんなことを考え始めていくということであろうと思うのですね。だから,そのスキームとして外国のいろんな経験みたいなことは我々のところで提供しながらも,しかし,東アジア独自の日本の中での高等教育の海外展開と外部収益の発生みたいなことに関しては,様々な努力が行われるのではないかなというふうに思います。  というのが,私の先生に対するお答えだと思います。
【岸座長】  ありがとうございます。かなり高いハードルを設定しておくと,やれるというところがあるのだから,やらせてみようというような気持ちもないといけないということなのですね。  ほか,いかがでしょうか。先生,何か御意見は。
【高橋委員】  ありがとうございます。上山先生の,モメンタムを提示した瞬間に自ら動き出すかというところに関連してコメントさせていただきます。私の立ち位置は,大所高所の概念ではなくて,現実的に組織がどういう影響を受けどう実動するか、というところも実効性の観点から重要、という認識で関心を持っております。それで言いますと,資料の4ページの,簡単に言うと,ガバナンスの強化と財務基盤の強化によってこれらの目標を達成するという,その二つの大きな軸があると思うのですが,ガバナンスの強化の中のツールというものの在り方を,今のお話を伺っていると考えるところです。一口に,学長のリーダーシップの強化で経営戦略・企画体制の強化とか,専門人材の育成というのは,法人化以降の10年,まさにそれをやってきたのですけれども,なかなか未達な部分が多い部分だと思います。これをどう位置付けるか,も大切です。多分,大学の経営層は,きちんと問題は意識されていて,やりたいけれども,なかなか学内の基盤が整わず,できないところというのが結構あったはずです。それをツールというふうに我々は表示しているのですけれども,これはもちろん受け手にとってハードルでもあるのですが,ある種,いい意味での黒船に使ってもらって,これを使わなければできないという形にして学内の改革を進めるような,そういう情報の位置付けにできるといいのではないかと思う次第です。  そう思ったときにどの程度のことを数値も含めて書いていけばいいのかなというのは,まだちょっと具体的な答えはないのですけれども,とてもそれについては考えました。一つ明確なのは,少なくとも,財務基盤の強化に関しても,産学連携に関しても,いわゆる教育研究,社会貢献の3本目の柱というのは今までの大学にはなかなかない部分なので,そういうところの機能を持つ専門人材を,ボックスの中の3ポツ目で「専門人材の育成・確保」と書いてあるのですが,もう少し踏み込んで書いてもいいかなあという気はしております。  今のところは,以上です。
【岸座長】  ありがとうございました。  ほか,いかがでしょうか。どうぞ。
【松本委員】  財政の話,財務の話が続いたのですが,日本の大学で,特に研究者,若手研究者の不足ということが目立ってきておりまして,これは,ある時期に大学が急速に拡大して,教授ポストを増やしていったのですね。助教というか,昔の助手のポストを切っていったという,そういう名残があります。これをもう一度改善して若手研究者のポストを増やす努力をしないと,大学院生はそこを見ているのですね。ポストがない。奨学金をもらったから大学院に行くという,単純な問題ではないと思います。したがって,2ページの右下にツールが書いてありますが,大学院生に対する経済的支援,これは重要なことだと思っておりますが,若手研究者に対する支援で,ここはスタートアップ資金と共用機器等,「等」の中に含まれるのかもしれませんが,これだけではなくて,研究者年齢分布の改善による若手研究者のポスト増を図るというようなことを書かないと,なかなか進まないと思います。そういうことはいかがでしょうか。
【岸座長】  ありがとうございました。ポスト増というのは,どっちかというとパーマネントなポストと考えた方がいいのでしょうか。
【松本委員】  それは,大学の運営で,どちらでもいいですね。
【岸座長】  決めればいいと。
【松本委員】  ええ。とにかく,今は頭でっかちになっていて,教授が一番多いという大学が増えてきているのですけど,やはりピラミッド型にして切磋琢磨していくということは重要だし,それがまた流動性を高める原因になろうかと思います。
【岸座長】  具体的に,若手のポストが減っているということは,非常に大きなターゲットとして入れるべきだという御意見です。  ほかはいかがでしょうか。ターゲットはかなり高いものができてはきたのですが,財政基盤の方は,あとは大学の努力だということで公募するのか,こんなことをやればというサジェスチョンぐらいはこちらからも与えられるのか,難しいところではありますね。  どうぞ。
【熊平委員】  お話を伺っていると,やはり経済基盤が非常に核になるということが明らかなので,そこを提案なしにやってくださいというのは,ちょっと片手落ちかなという気がいたします。自助努力の在り方のモデルも,ある程度,我々も研究し,海外の事例なども見ながら,考えていくべきではないかなと。特に,もちろん永遠に支援することはできないですけど,ブーストといいますか,立ち上げのときにどうしてもコストが掛かります。未経験なことをやりますので,そういうところをしっかりと支える。ただ,支えたら立ち上がるという,そういうシナリオをみんなで共有していかなければ,支えても立ち上がらないという状態になるのかなと。  あと,私も非営利のファンドレイジングをやっておりますが,日本の企業というのは,昨今,非常に刹那的といいますか,即物的なリターンを求めるようになっておりまして,ほとんど海外のお金しか集められておらないのですね。そう考えますと,恐らくファンドレイジングは海外のお金を集めるというふうに考えていった方が現実的かなと思いますので,そうなりますと,どうやってPRしていくのかとか,その辺も含めて今の人材ではちょっと難しいのではないかということであれば,そういうことをサポートしていく,方法論をサポートしていく,人的な部分をサポートしていくということも,必要なのではないかなと思います。
【岸座長】  どうぞ。
【橋本委員】  先ほど申し上げたことなのですが,これだけの痛みを伴った改革をすると宣言したところに対しては,やはり国がそれをサポートしないといけないと思うのですね。そのときに,具体的な何をやれば,どういう自由度を上げれば財政的な基盤を作る足しになるのかということは,是非,今の大学の経営をしている人,これまで大学の経営をしてきた人にかなりしっかりと聞いていただいて,できるだけそこをこの機会に特定研究大学という枠組みの中だからということでしっかりと打破すると。これは強くやっていただく必要があると思うのです。先ほど申し上げましたけど,やはり痛みの伴う改革と規制改革はペアですので,この機会にそういう風穴を開けるということは大変重要だと思います。是非,文科省としては,そこはしっかりと汗をかいていただきたいなと強く思いますので,これを公募するときには,そういうような方向性も含めて,しっかりと書いていただく必要があるのではないかなと思います。  以上です。
【岸座長】  ありがとうございました。  ほかはいかがでしょうか。  本当に痛みを伴うことというのをどう表記すればいいのでしょうね。
【橋本委員】  でも,ここに掲げていることを具体的に達成するということの方法論を書くと,それは物すごく痛みが出てきますね。
【岸座長】  学内の反発は大変なものだなというのは,すぐ分かるのですね。  どうぞ。
【金子委員】  これ,どういうふうに考えたらいいのか,実は分からないのですが,大学における取組で,痛みのところですけど,教員業績の可視化・エフォート管理までは書いてありますが,業績評価とそれに関する処遇というのを入れるのか,入れないのかは,私は非常に大きな問題であろうと思うのですが,どのくらいメリットがあるかということにも関係するのですが,痛みということであれば,組織改革と業績評価の部分は,相当大きな,一番大きな課題になると思います。日本の大学は自動昇給みたいなものが占める割合が非常に大きいというのは,競争的な環境を作っているときの一つの障害になっているというのは否めないと思うのですけれども,そういったところをどの程度書くことができるのかというのは,私自身も余り自信がないのですが,労務的に言って,今,既に一定の俸給表を前提として雇用した人に対して俸給表自体を変えることができるのかどうかと,そういう問題も出てくるだろうと思いますけれども,それをどの程度織り込むかというのは,非常に大きな問題だと思います。
【岸座長】  ありがとうございます。今の問題は,総枠の給料一定で考えるか,自己資金その他で増やしていけるのかで,まるで話が変わるのですね。総枠一定で給与水準の多様化というと,落とす人を作ることになりますね。確かに,そこに踏み込むと本当の痛みになってくるかもしれない。痛みならいいのですけど,反乱になってくるかもしれないですね。  どうぞ。
【松本委員】  私,この会議の第1回目で申し上げた記憶があるのですが,今言われたように,痛みを伴う改革を大学執行部がやろうと思いますと,当然ながら,すごく反発と圧力が返ってきます。それで,できること,できないことが決まるわけですけれども,今のこの様式だけを見て応募してくるところがあるかというと,これ,やりたいけれどもできないよねという気持ちが先立つところが多いと思うのですね。ですから,やはり文科省ももう一歩踏み込んで,特定研究大学(仮称)を指定する場合には大学改革経費を学長裁量経費として手当てするというプラスアルファがなければ,なかなか前に行かないのではないかと思うので,どなたかおっしゃったように財政基盤はもう少し踏み込んで,その代わり,広く薄くじゃなくて,インテンションやらないといけないという気がいたします。そうしなければ,成功しないような気がします。
【岸座長】  ありがとうございます。現実論としてはそういうことになることもあり得るということで。  濵口先生。
【濵口委員】  前にも少し申し上げたことがあるのですけど,自己収入をどう上げるかといったときに,日本の大学の資産は何かと考えたら,土地とか,そういうのはありますが,それも地域によって違いますけど,やっぱり人材だと思うのですね。人材を収入源にする工夫というのは,あり得ると思うのです。具体的に言えば,品が悪いのですけど,人材派遣業的なことを認可していただく。それを例えば出資業務として大学が外に別会社をつくって,そこで一括管理をして,ほかの大学へ教員が行くときも,一定割合を大学がちゃんとフィーとして確保できるようにする。あるいは,コンサルをやる場合も,フィーとして確保できるようにする。その代わり,質の担保をきちっとして,エフォート率も管理をきちっとして,本体の業務に影響がない範囲というのはしっかり設計した構造にして,例えば病院なんかも,地方の公的な病院が医師不足で非常に苦しんでいるので,拠点的なところは大学がちゃんと人材を派遣します,その代わりフィーをきちっと大学へ納めてくださいというようなことができるようにすれば,現状のままでもそんなにストレスを掛けないで,収入源は一定確保できると思うのですね。それを例えば大学院生の支援に使うとか,明確な目的を持って,どこかへそのお金が行ったのではなくて,消えてしまったのではなくて,次の大学の質の保証かつアクティビティーを上げるために,例えば優秀な人材を採るために使うとか,そういう案も含めて提案させれば,現状でもプラクティカルに実現可能なことはかなりあるような気がするのですけれども。
【岸座長】  ありがとうございます。大学の財産は人材であるというところにもう一度戻ると,この特定研究大学も少し明るい方向が見えてくるのではないかというように理解いたしました。  じゃあ,時間ですから,最後に一つ。
【上山委員】  今,濵口先生がおっしゃったのは,本当にそうだと思います。言いましたカリフォルニアの各大学の中で非常にもうけているのは,エクステンションプログラム,つまり研修ですね。大学の中の人材を使って新しいプログラムを拡大させながら,そこに資金を得る。これは物すごく大学の財務に大きな貢献をしているということですね。  もう一つは,カリフォルニア大学を見ていると,特許収入で得たもの,ロイヤルティーは大学院生の支援に回すという形の,明確なポリシーを持っているわけです。つまり,外部収入というのは大学の中の人材育成に反映させるというポリシーの中でやるという姿勢ですね。今ある手持ちの中でできることって幾らでもあると先生がおっしゃったのは,本当にそのとおりだと思います。
【岸座長】  ありがとうございます。  御意見を頂きましたが,定刻になったという状況です。特定研究大学のハードルについていろいろな議論をしましたが,それなりのハードルはできてきたという気がいたします。それを解決するツールと支える基盤,基盤に関しては,現状でも本当にやれば道はあるのではないかと,最後は割とポジティブな方向に来ているのではないかと,期待しております。  ということで,これを次回までに事務局がより一層すばらしいものにまとめ上げて,誰が見ても,国内で過不足がなく,大学の中で大きな反乱も起きない,何物かに結び付けるようなものを作り上げると。こういうことって行政官は余りやったことないのですけど,今後はこういうことをやらないと行政官も駄目でしょうね。委員の我々も大いに考えているつもりなのですけど,是非一緒に考えていきたいと思いますので,よろしく取りまとめをお願いしたいと思います。  それじゃあ,最後に,そういう状況の中での固い御意思を事務局からお聞きできればと思うので,よろしくお願いします。
【事務局】  ありがとうございます。本当に最後,今,岸座長がおっしゃっていただいたように,私もずっとお話を伺いながら考えていて,大学の教育研究を本当に飛躍させるために何が一番のポイントなのかというところは,郷先生もおっしゃいましたけれども,やっぱり大学院の博士課程に進学しようとする人の数がどんどん少なくなる方向にあるというのは決定的に良くないことだというふうに思いますので,大学院をどういうふうに強化をしていくのかというのが,きょうのお話の中でも非常にポイントになっていたというふうに思います。それが一つ。  もう一方で,財務の話ということについても,もう少し規制緩和とか,イニシャルコストをどういうふうに考えるのかとか,あるいは,金子先生もおっしゃっていただいたように,今の中で使い勝手の部分でもう少し工夫できるところがあるのではないかとか,いろんなお知恵も出していただいたと思うのですね。  大きく,大学院教育の充実,もう一方で財務体制の強化という二つのものがあって,最後の段階で濵口先生が,両者が実は絡み合っていて,大学院を強化することは人材の層の厚さにつながって,その人材が財務基盤を強化してという,循環のようなことをお話しいただいたので,本当に道が見えてきたように感じておりますので,岸先生からお話しいただいたように,よりそういう,言葉は軽くなってしまうのかもしれませんが,ストーリーとして日本の大学はどう良くなっていくのかという,好循環につながるようなメッセージが出せるような,そういうまとめ方になるように更に知恵を出していきたいと思いますので,是非いろいろ,更に御指導いただければというふうに思っております。  ありがとうございます。
【岸座長】  それでは,これできょうは閉会にしますが,今後の予定等について,事務局,お願いします。
【事務局】  失礼いたします。次回は12月半ばあたりで日程調整をさせていただきたいと思っておりますので,また御連絡をさせていただきます。  きょうは,どうもありがとうございました。
【岸座長】  それでは,これで終了にいたします。どうもありがとうございました。
── 了 ──

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