所得連動返還型奨学金制度有識者会議(第8回) 議事録

1.日時

平成28年3月24日(木曜日)14時~16時

2.場所

一橋大学一橋講堂 中会議室3、4

(東京都千代田区一ツ橋2-1-2 学術総合センター2階)

3.議題

  1. 所得連動返還型奨学金制度について
  2. その他

4.出席者

委員

小林委員,赤井委員,阪本委員,島委員,濱中委員,樋口委員,不動委員,吉田委員

文部科学省

常盤高等教育局長,松尾大臣官房審議官,井上学生・留学生課長,川村学生・留学生課課長補佐,八島学生・留学生課課長補佐

オブザーバー

高橋理事長代理(日本学生支援機構),甲野理事(日本学生支援機構),藤森奨学事業戦略部長(日本学生支援機構),宗野顧問弁護士(日本学生支援機構)

5.議事録

【小林主査】  それでは時間になりましたので,ただいまから所得連動返還型奨学金制度の有識者会議第8回を開催いたします。皆様には御多忙中のところを年度末にもかかわらずお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。


それでは議事に入ります。まず議事概要の確認についてですが,資料1,第7回議事概要(案)の内容を御確認ください。修正意見等ありましたら,3月31日木曜日までに事務局まで御連絡をお願いいたします。その後,私と事務局で修正内容を調整させていただいた上,議事概要として確定させ,文部科学省ウエブサイトに掲載させていただきますのでよろしくお願いします。


それでは議事を進めます。前回第7回の会議では,パブリックコメントの紹介や機関保証制度等について議論を行いまして,第1次まとめ案を詰めてまいりました。いろいろな御意見を頂きましたが,今回は,この第1次まとめ案を最終的に取りまとめていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。


それでは事務局から本日の資料について御説明願います。


【川村課長補佐】  それではクリップ留めの資料の中に資料がございますけれども,委員の先生方におかれましては,机上に見え消しの赤い修正が入りました資料をお配りさせていただいておりますので,まずはそちらを基に御説明資料をさせていただきたいと思います。

まず前回の御議論を踏まえた修正ということで,赤字で書いておりますのが前回からの基本的な修正点ということでございます。


1ページ目の一番下のところでありますけれども,高等教育の無償化に関係する記述を追記すべきじゃないかという御意見がありましたので,このいわゆる人権規約の留保につきまして,平成24年9月に撤回をして,今後も引き続き高等教育の無償化の漸進的な導入を目指すことが求められるという旨を記載いたしております。


それから次のページ,2ページ目でございますけれども,下のところに2つ丸を追加しております。今回の検討に当たっての観点ということで,制度の趣旨に鑑みて,努めて教育費負担の軽減が図られる制度となるよう議論を行ってきたという点,また同時に,我が国の現下の財政状況に鑑み,新たな国庫負担が生じることについては慎重な検討を行ったということで,後掲する試算では教育負担を軽減するよう様々な条件を設定し,毎年度数百億から一千億円程度の財政支出が生じるケースも含めて検討を行ったということで,新制度,29年度からの導入を目指すという中で,本会議としては制度の円滑な導入に責任を持って実現可能性のある提案を行う立場として,限られた財源の中で,学生等や返還者の負担及び不安を軽減する工夫された仕組みとなるよう議論を行ってきたという観点を加えております。


3ページ目の上のところは,このまとめの趣旨・内容を踏まえて,文科省及び日本学生支援機構における具体の制度設計を進められたいという旨でございます。


以降,字句修正ですとか,前回お示ししたデータの修正等,細かな点がございますけれども,5ページに行きます。


5ページ,イギリスの例といたしまして,赤字が長期間発生するということでありますけれども,これの理由といたしまして,返還を終了した時点での未返還額,30年たった時点での未返還額が免除になるということがその大きな理由だということを分かるような記載をいたしております。更に,この所得連動型制度において,低所得者が多い場合には未返還が生じる可能性が高いということに留意する必要ということを併せて記載をいたしております。


続きまして6ページでございますが,アメリカの例につきまして,所得連動が導入されているということでありますけれども,これは連邦政府の学資ローンの返還負担を軽減するため,その中の1制度としてあるという旨を記載いたしておりまして,その他にも給付型ですとかそういったものがあるということを併せて記載いたしております。


それから7ページ目につきましては,新所得連動返還型のシステム整備,28年度の当初予算案にも盛り込まれておりますが,それを追記いたしております。


それ以降,ずっと参りまして,ページが飛びますが12ページでございます。これまでの御議論で,前回会議で幾つか御指摘がありました点,それから条件につきまして,幅を持たせる形で記載をしておりました点につきまして,絞るということでこちらの案をお示しするものでございます。


まず(5)にございます返還を開始する最低年収のところでありますけれども,ここにつきましては,年収がない場合の返還猶予について併せて記載をすべきではないかというような御意見がございましたので,年収がない場合を含む経済的困難状況につきましては,返還猶予制度等による救済措置が図られることが必要であり,生活保護受給中,また,いわゆる現行の所得連動型奨学金制度,家計支持者の年収が300万円以下で,本人の年収も300万円以下の場合には期間の制限なく返還を猶予できる制度,これは引き続き維持すべきであるという旨を追記いたしております。


(6)の最低返還月額につきましては,2,000円~3,000円ということでありましたが,今回2,000円ということでお示しをしております。これにつきましては右の,13ページにございますけれども,できるだけ返還負担を緩和する観点から2,000円とすることが適当であるということで,このことにより,例えば私立大学自宅生,これまで定額返還の場合は14,400円であったものが,新所得連動で所得が低い場合には返還月額は2,000円となり,相当程度の返還負担の軽減が図られると。それでも返還が困難な場合には返還猶予制度を用いることが可能であるという旨を追記いたしております。


それから(7)の返還猶予の申請可能所得,また年数でありますけれども,これにつきましては10年又は15年ということでございましたが,10年ということでお示しをいたしております。この点につきましては,14ページのところにございますけれども,制度全体の救済の在り方として,15年を含めて今後引き続き検討することが望ましいとしておりますが,原案としては10年ということでお示しをいたしております。


それから(8)の返還率でありますけれども,これは9%又は10%というものでございましたが,9%でお示しをいたしております。これにつきましては各国の所得連動返還型の返還率は10%程度であることを踏まえて,返還負担額が適当な範囲として8%,9%,10%,12%で設定をし,試算を行ったということでございまして,これによって期間の長さ等,このあたり少し記述が分かりにくいという指摘もございましたので,整理をいたしております。その上で返還率は9%とすることが適当であるといたしております。


それから(11)のところでありますけれども,個人主義又は家族主義のところにつきましては,この用語自体が誤解を招く表現ではないかというような御指摘もございましたので,これは取りまして,返還者が被扶養者になった場合の収入の考え方ということで,返還者のみの収入なのか,配偶者等の家族も含むのかという形で記載をいたしております。その際,返還者に,その配偶者等家族の収入を加えるという考え方の方が適当ではないかということでありますけれども,その際に扶養者の収入が高額となった場合には,被扶養者の返還負担が過重にならないような配慮が必要であるという旨を記載いたしております。


それから(12)の保証制度のところでありますけれども,こちらにつきましては記載の最後のところでございますが,国会の附帯決議等に留意が必要であり,具体的な機関保証の導入の在り方についてはさらなる検討が必要であるということを追記いたしております。


その下のところ,(13)の下に参考といたしまして,就業している一般的な返還者のモデルケースで,今回の制度設計で返還をした場合には,初任給281万,毎年17.9万ベースアップの場合には,15.5年で返還完了し,最終的な返還月額は2万2,100円となるという旨を記載いたしております。


5点目の今後検討すべき事項につきましては,特段修正はいたしておりませんけれども,簡単に御説明をさせていただきます。


1つ目,貸与総額の上限設定につきましては,複数の大学や大学院等に在学した場合の貸与総額が多額となった場合の対応ということでございまして,奨学生1人当たりの貸与総額の上限について検討を行う必要があるのではないかということ。また2つ目,貸与年齢につきましては,社会人学生等の増加に対応する形で,中高年で大学に入学した場合の貸与,これは返還能力があるうちに返し終わらないケースがあることも考えられますので,そういった意味での年齢制限が必要ではないかということの検討でございます。3つ目は学生等への周知方法。それから4つ目は海外居住者への所得の把握・返還方法。5つ目は有利子奨学金の導入に係る検討。6つ目はデフレ・インフレ等の経済情勢の変化に伴う詳細の制度設計の見直し。7つ目で,既に返還を返している者等への適用ということで,今回29年度の新規貸与者からということでありますけれども,現在返還を開始している方等につきましての適用についても検討が必要ということで記載いたしております。


(2)の方は奨学金制度全般ということで今後の検討ということでありますけれども,割賦月額,返還期間の検討,また返還期間における一定期間経過後の返還免除制度について。3つ目,返還金回収における徴収方法について。源泉徴収等の考え方もあるのではないかということ。4つ目,授業料減免,給付型奨学金,予約型返還免除ということで,現在,大学等の授業料減免,大学院の業績優秀者免除,これは給付的な支援として実施されていますが,給付型奨学金等について,将来的な制度創設に向けて検討を進めていくことが求められるのではないかという観点。また5つ目につきましては,民間奨学金事業実施団体との連携,また返還終了者等による事業貢献の促進ということでございます。


こちら,修正点の仕様でございまして,併せまして,クリップ留めでお配りしておりました資料の中にございます第1次まとめの案がございますけれども,これの21ページでございます。21ページに,横の表で今回の第1次まとめの概要ということで,先ほど御説明したものを整理して1枚でまとめさせていただいております。


それからその次のページ,22ページでありますけれども,これまでお示しをしておりました返還のイメージのところでございまして,右上のところが新しい制度になりますけれども,これまで所得税をベースに返還月額を計算しておりました関係上,今回,住民税を基にということで,若干この返還金額が,これまでお示ししたものから変わっております。その分の修正と,それから最低返還月額2,000円でありますけれども,この9%で2,000円になるところにつきましては144万円,年収144万円というところが,この上がっていく線の境目になるということでございます。


説明は以上でございます。


【小林主査】  ありがとうございました。


これから,このまとめ案について御検討いただきたいと思いますが,個々の論点に入る前に,まず全体として大きな点について,何か御質問,御意見ございませんでしょうか。


よろしいでしょうか。


それでは少し詳細になるかもしれませんが,最初から順番に見ていきたいと思います。最初に「はじめに」のところで,修正点とすれば人権規約について書いたということと,それから2ページ目のところに,片方では教育費負担をできるだけ軽減したいというそもそもの本来の趣旨と,しかしながら実際財政状況を考えると,そのことも制約条件として非常に大きいというトレードオフの関係にあるということについては,ここでも何回も議論されましたので,そのことを明記いたしました。そういう条件の中で検討を行ってきたということを明らかにしたということであります。それに基づいて今後は,具体的には文部科学省及び日本学生支援機構で制度設計をしていただくということでまとめさせていただいております。ここまでについて,1について何か御意見ございますでしょうか。


ここが一番難航した点でありますので,私は主査としてこれを書かせていただいたのですが,よろしいでしょうか。


ありがとうございました。


それでは2番目,検討の背景とこれまでの経緯ですが,これについては,特に諸外国の事例について幾つか説明を加えたという点でありまして,イギリスの現状あるいはアメリの現状について書き加えたということでありますけれども,これについてはいかがでしょうか。


私の方から,今気が付いた点ですが,アメリカについては給付型があるということが明記されているのですけれども,イギリスについてはその説明がないのですね。イギリスにおいても給付型奨学金というのがありまして,その上にこういった所得連動返還型ローンというのがあるという組立てになっておりますので,そこはアメリカとのつながりで,給付型奨学金があるということを加えていただければと思います。


この辺,詳しく言い出すと切りがないところもありますので,必要最低限ということで今までも書いていますので,説明不足になっているところがあるかと思いますが,お気付きの点があればよろしくお願いいたします。


どうぞ。


【濱中委員】  今の話を聞いて思い出したのですが,イギリスのところですね。イギリスにおいては全員を対象に授業料及び生活費を支援するとなっていますが,生活費はたしか所得制限があって,全員対象になっていないなかったのではないですかね。


【小林主査】  すみません,私の方で言ったので,複雑にしてしまったかもしれませんが,授業料及び生活費は,基本的には全てローンで卒業後に返済です。その場合に,ローンの額というのが居住地とか所得によって変わるという制度です。そういう意味では,その方が正確です。


【濱中委員】  全くローンの受給を受けられない,ということではないということですか。


【小林主査】  ええ,少なくとも授業料ローンは全員が適用されますので,そういう意味では全員に適用で,少し説明を省略した言い方で恐縮ですけれども,もう少し丁寧な説明ということで,全員という表現がちょっと誤解を与える可能性がありますので,そこは少し事務局と相談させていただきたいと思います。それでよろしいですか。


【濱中委員】  はい。


【小林主査】  ありがとうございました。


どうぞ。


【吉田委員】  すみません,今細かいお話が出たので,少し追加させてください。アメリカの部分なんですけれども,最後の行に「利用率が低く,1割程度の利用にとどまっている」とあるんですが,近年,連邦教育省が非常にこの所得連動返還型奨学金制度の普及に力を入れておりまして,2割弱まで割合が上がってきております。追加をしていただければ幸いです。


【小林主査】  ありがとうございました。


ここは事実関係のところですので,お気付きの点があれば,特に一般の方はここしか読まないわけですので,説明の不足の点があれば是非お願いしたいと思っております。


よろしいでしょうか。


それでは次に,これまでの経緯というところで,これも事実関係ですので,特に問題はないのではないかと思いますけれども,何かございますでしょうか。


よろしいですか。


それでは3番の現行の奨学金制度及び改善の方向性ということで,まず,これも現行の,現在の奨学金制度がどういう形になっているかということの事実の記述なので,それほど大きな問題点はないかと思いますが,(1)番の現行の奨学金制度について,いかがでしょうか。何か御意見ございますでしょうか。


9ページ,延滞金の賦課率の低減というところで,割賦月額というふうに訂正させていただきましたけれども,これがなかなか誤解を生みやすくて,これも詳しく説明するとなかなか難しくなってしまうのですが,このような表現にとどめさせていただきました。よろしいでしょうか。ただ,このあたりのことは機構としては十分説明していただければと思っております。かなり誤解も生じているようなところもあるように聞いておりますので。


よろしいでしょうか。


次に(2)の新制度の考え方及び改善の方向性というところで,この基本的な考え方ですけれども,これについては御意見,御質問等ございませんでしょうか。


それでは,ここまでは,また気が付いた点があれば戻っていただくということでも結構ですので,先に進めさせていただきます。


4番の新たな所得連動返還型奨学金制度の設計の問題ですけれども,これは様々議論していた点でありますので,(1),(2),(3),(4)まではほとんど御異論がないかと思います。(5)以下がかなり,今回初めて出されておりますので御意見を頂きたいと思いますが,まず(5)番目の返還を開始する最低年収でありますけれども,これは原案のとおり年収ゼロから返還を開始するということですが,返還猶予制度があるということを明記したということでありますが,これについてはいかがでしょうか。このあたりはパブリックコメントでもかなり意見があったところですので,御意見を頂ければと思いますが。


私の方から1つ,先に御説明したいと思うのは,ここには数字が具体的には入っていなくて,回収率が著しく低減するというようなことしか説明がないのですが,これはシミュレーションをいろいろな条件で何回も行っておりますので,最終的に整合的な数字を確定いたしまして,幾つかの数字は,これを明記したいと考えております。


いかがでしょうか。特に御異論はございませんでしょうか。


どうぞ。


【吉田委員】  すみません,じゃあ失礼いたします。前回の会議で,たしかこのシミュレーションの資料が出たと思いますけれども,たしか400億円程度,最低月額ゼロ円でシミュレーションした場合には,400億円程度の回収額が減るというようなシミュレーションがたしかあったかと思います。それをどのように考えるべきなのかということを一言申し上げたかと思うんですけれども,今回の案では,一応,最低年収がゼロ円から,そして最低月額が2,000円からというふうな案に,ちょっと先取りですが,6の方ではなっております。その課税所得額がゼロ円の人に対しても,やはり最低月額2,000円を課すという案になっておりますが,一応その点をどのように考えたらよいのかという点について,御意見をもうちょっと伺えればと思うんですが。


【小林主査】  御指摘のように,これは次の最低返還月額2,000円ということとほとんどセットになったような問題ですので,冒頭申しましたように,片方でできるだけ返還の負担を減らすという制度の趣旨からすると,もちろん,例えば年収ゼロからということではなくて,いわゆるいき値を引き上げるとかですね,それから最低の返還額を2,000円とかではなくて,もっと1,000円にするとか,あるいはゼロ円にするとかというようなことも十分考えられるわけですが,国庫負担を考えるとこのあたりが,今までの御意見をまとめますと妥当なところではないかということで,原案としてはお示ししたわけですが,それについて御意見があれば是非伺いたいんですが,いかがでしょうか。今の吉田委員の御意見としては,もう少し引き下げるべきだという御意見と考えてよろしいでしょうか。


【吉田委員】  はい。年収となっておりますので,課税所得とした方が分かりやすいといいますか,そうです,つまりもう少しそのいき値を引き下げるべきではないかということを申し上げております。


【小林主査】  課税所得ゼロから返還を開始すると修正したいという御意見だということですね。


【吉田委員】  はい。つまり課税所得がゼロ以下の場合は,返還はしないということです。


【小林主査】  先ほど申し上げましたように,そうすると次の2,000円というのも,そもそも返還しないということになればゼロということになりますよね。そういう案に修正したいという御意見ですね。


それについてはいかがでしょうか。特にこれは財政負担との問題が大きいと思うんですが。


どうぞ。


【赤井委員】  もちろん返す人にとってはそちらの方が望ましと思うんですけれども,財政負担も出てきますし,それを国民全体としてどういうふうに考えるのかという議論を前回していて,ちょっと今,資料,どこかに載っているんでしたっけ? それにしたときに財政負担がどう変わるのかというところを見ると,やはり財政的に厳しいんじゃないかという議論と,今回は猶予制度もありますから,そういうところも十分活用すれば,それを超えた部分に関しては,何ていうんですかね,ほかのところで楽になっている部分もあるので,最低限のところは2,000円でという話になったかと私は思っていましたが。今また意見が出たらまた議論したらいいと思います。


【小林主査】  事務局の方で,先ほどのシミュレーションの問題ですが,先ほど申し上げましたように全体として整合性をとったシミュレーションの数値を出す必要があるかと思いますが,前回お出しした金額でどの程度の未回収額が生じるかということはお分かりでしょうか。


【川村課長補佐】  前回の資料を御用意できておりませんで失礼いたしました。吉田委員のご発言にございますこの2,000円のところを,非課税世帯をゼロ円にするという条件で試算をいたしますと,仮に機関保証を全部導入した場合の返還額の現行からのマイナスというのが344億,それから現行の機関保証と人的保証の選択制の割合4対6ということで仮に試算をすると416億というのが,現在の返還額の予測から減が見込まれる回収金の額になります。


【小林主査】  ですから400億というお話が出ましたが,300億から400億程度の毎年負担が生じる可能性があるということですが,ほかの委員の方,いかがでしょうか。


ここが今まで一番議論になった点でありますので,あるいはパブリックコメント等でも一番議論になっている点でありますので,ここはきょうの第1次まとめ案ではきちんとまとめたいと思っておりますので,是非御意見を伺いたいのですが,いかがでしょうか。


どうぞ。島委員,お願いいたします。


【島委員】  僕も先ほど赤井委員がおっしゃいましたように,やっぱり財政負担の面は考えなければいけない。結局それは将来世帯への負担になるということも併せて考えなきゃいけないという立場で,もちろんゼロ円にできることならばという気持ちが当然ないわけではないのですけれども,そういったところで2,000円ということを考えています。ただ,僕が2,000円というふうに言ったときに,これは今回の案では,返済猶予期間が10年という形に一本化されているんですけれども,せめてその猶予期間は延ばす形にしたいという意味での,言ってしまえば返還開始する最低年収と最低返還月額と返還猶予の年数併せての2,000円というふうなスタンスでおりますので,そういう意味で言えば返還猶予期間についても併せて議論する必要があるし,返還猶予期間を延ばせないかというのが私の意見です。


【小林主査】  確認しますが,島委員の御提案というのは,返還猶予期間を15年に延ばす場合には原案のとおり2,000円で,それから課税対象年収ゼロからということでよろしいという御提案ですか。


【島委員】  ですので,年収ゼロ円からの返還開始,最低返還月額2,000円,だけれども猶予期間を増やすという形で財政的な問題を維持しつつ,その返還の負担を少しでも緩める,より優しいシステムにするという形でできないかというのが私の意見です。


【小林主査】  また新たな提案ですが,これで3通り出てきたわけですが,ほかの委員の方,いかがでしょうか。


どうぞ。


【赤井委員】  余り厳しいことはあれですけれども,国民負担,結局皆さんの負担にもなるわけですから,年収ゼロにするかどうかという議論のときに,(6)のところでは3,000円から2,000円どうしようかというところで,年収ゼロ円からの開始にするんであれば,やっぱり負担が3,000円だと厳しいので2,000円とした経緯もあるので,あと10年から15年って,まさに15年の方がそれはいいことはいいと思うんですが,この3つをバランスして,この現行のが私はいいかなと思います。余り根拠がないですけれども。


【小林主査】  どうぞ。


【濱中委員】  返還開始の年収と最低返還月額と猶予期間は全部セットになっているので,どれかを変えると,ほかも全て調整しなきゃいけないということになろうかと思います。今までシミュレーションを繰り返した感じでは,今,案として挙がっているのがバランスとしては非常によいのかなと私自身は理解しています。ただし,この書きっぷり,なぜ早くに指摘しなかったのかと怒られそうですけれども,年収ゼロ円から返還開始という書き方がやはり余りよろしくないのではないかと。きちんと考えると,要するに年収ゼロ円からということは,所得に関係なく一定の最低額を必ず負担していただくということです。そうした仕組みと,ある一定の所得に到達するまでは自動的に返還を猶予する仕組みとの選択であって,双方の2つの案でシミュレーションをして,最低額を所得にかかわらず返還していただく仕組みを採用したと。その上でその最低額というのは次の(6)番の額だという書き方にした方が,もう少し…。結局のところは同じなので,何とも言えないですけれども,趣旨がもう少し伝わるであろうし,最低額がなぜ2,000円なのかについて,その根拠をまた示さなければいけないのかもしれませんけれども,そういう書き方に書き改めた方がよいかなと思います。年収ゼロだけど幾らという書き方は,ちょっとインパクトが強過ぎるというか,何かちょっと理屈に合わないのではないかというふうに受け取られるかと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。これはむしろ表記の方の問題ですけれども,確かに重要な点ですので,事務局ともう少し相談したいと思います。ただ,御提案としては,この原案のとおりということですね。


順番にお願いいたします。


【不動委員】  私は,年収ゼロ円から返還ということなんですけれども,やはり家族で見れば,家族の方の収入がある,若しくは貯蓄のある方もいらっしゃるでしょうし,基本的には年収ゼロ円からでも返還という格好にしておいた上で,ここに返還猶予制度というのが別途あるわけですし,申請時の家計支持者の方が年収300万円以下,若しくは本人の年収が300万円以下の場合には期間の制限なく返還を猶予できる制度があるわけですから,もし本当に困難になったということになればそういう制度も使えるわけですので,やはり返還開始ゼロ円から,かつ最低返還額2,000円という今まで議論してきたことというふうなのは非常に妥当的な,リーズナブルな数字じゃないかなと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。原案のとおりということで不動委員から頂きましたが,阪本委員,いかがですか。


【阪本委員】  もちろん課税所得というのは1つの考え方ではあると思うんですけれども,そもそも今,不動委員がおっしゃったように,貯蓄のある場合であったりとか,所得そのものが経済力を必ずしも示すわけではないという観点から考えても,そういう意味で言うとこれ,完璧な制度というのはちょっと作れないということにはなるんですが,どうしても経済的に余裕のない方というのはもうこの免除というところで調整をせざるを得ないのではないかと。あるいは逆に所得が非常に低くても,非常にたくさん貯蓄を持っておられる方は定額にするという形になっているわけなので,そことの整合性という意味でも,この返還猶予の方でその部分は対処するという考え方でいいのかと思いますので,私は一応現行でいいんじゃないかなと考えます。


【小林主査】  ありがとうございました。


島委員,どうぞ。


【島委員】  皆さん方の意見が現行でいいというふうなお話になりつつある中で何ですけれども,私の猶予期間についての意見は,そもそも猶予期間って最初5年で始まっていたのが,それでは問題が起きたので10年にしたと。それが26年度に変えられています。その次に,10年たったら問題が起きた,だから,じゃあ15年にしようではなくて,問題が起きないように先に15年にしておくという考え方がないのか。そして恐らく,これは正確な数字はないと思うんですけれども,数としてはそんなにこれに該当する人がたくさんいるわけではないはずです。ですので,その財政的なネガティブさというのはほとんどないと言ってもいいんじゃないか。そもそも猶予するだけであって返さなくてよいということではないので,そうしたときに,少数の人ではあっても,猶予が必要な状況があって,そのことをきちんと願い出続けていた人たちが,10年を1年超えることによって問題を抱えるということにならないように,本当に細かな部分だと思うんですけれどもね,財政的なインパクトも。だけれども,何か細かい気配りができたという制度,しかも問題が起きてから変えるんじゃなくて,先をちょっと見越して変えるということに関して考えたときに,15年にするということが必要なのではないかというのが僕の議論の趣旨だということは説明させていただきたいと思うので,ただし,恐らくこれは他の制度との整合性だとか,そういった別の問題もあるんだということは理解しながら発言をしているところです。以上です。


【小林主査】  ありがとうございました。


赤井委員,どうぞ。


【赤井委員】  いいですか。島委員がおっしゃった10年を15年にするかというのは考えないといけないと思うんですけれども,ちょうど資料があったんで,このまとめ案のところのグラフの22ページですかね,に,いつも見ている資料があって,これ,この流れから言うと10年を15年にするというは,この新所得連動をいかに入れるかというよりかは,本来猶予をどうあるべきかということで,定額返還型の方も多分そろえていかないといけないし,過去の部分をどうするかというところもあると思うので,過去は一度5年から10年になったときに経験しているので,同じ方法をとれるかもしれないですけれども,定額側の方も含めながら,10年を15年にすべきかというのは別途議論しながら,議論が収まれば今回でもいいし,またその後でもいいと思うんですけれども,入れていくという議論がいいのかと。2,000円の方は,こうして眺めてみると,定額から移ったときに,定額の一万四千何ぼでしたっけ,それから一気に2,000円まで下がっているので,明らかに所得に合わせて,所得のない人にはある程度の減額というのが行われているので,だからその定額部分は2,000円に下がり,あとが所得連動していきますみたいなような形の定額プラス所得連動というようなイメージに,先ほどおっしゃったように,このゼロ円から開始と言うと,いかにもゼロ円から取っちゃうみたいなイメージですけれども,定額の1万4,000円だったのが2,000円という形で引き下げられて,残りの部分が所得連動していくんですよというような形の制度設計だと捉えれば,それほど厳しいイメージも出ないんじゃないかなと思いました。以上です。


【小林主査】  ありがとうございました。


議論を整理したいと思いますが,まだ樋口委員が御意見を頂いていないんで,先にお伺いしたいんですが,よろしくお願いします。


【樋口委員】  今までの議論に加えて新しく出た議論,やっぱり根拠に基づいて御主張なさっているんだろうと思うんですが,その根拠っていうのは,ちょっと,見えてこないので,なぜそういった変更を求めるのか。確かにパブリックコメントでいろいろ要請があったというようなことは承知しておりますが。


それともう一つ,全く払わない,払わないというかゼロにしたときの問題点というのは,やっぱり人間,継続して幾らでもいいから払い続けるというようなことというのは,その後の返還の意思にもつながってくるというようなこともあるのではないかと思いますので,私は現行の方法でよろしいんじゃないかと判断しています。


【小林主査】  ありがとうございました。


ひとわたり皆さん,御意見を伺いましたので,議論を整理したいのですが,現行といいますか現在の御提案している案について賛同されるという意見がほとんどだったと思いますが,確かに返還の猶予の期間を何年にするかという問題は別の問題としても生じますので,これはまず,その原案のとおりいくということでお認めいただければ,その次にこの問題を議論したいと思いますが,いかがでしょうか。


吉田委員,どうですか。


【吉田委員】  ほとんどの委員の方が年収ゼロ円からということで賛同されるということですので,それはそれで仕方がないかなと思いますけれども,ただ,やはり課税対象ではない方からも一定額を取るということに対して,社会の方たちからどのような御意見が出るのかということについては,パブリックコメントでもかなりの批判的な意見もございましたし,やはり一応心にとどめてと申しますか,いなければいけないのではないかなとは思います。やはり非課税の世帯というのは様々な,例えば保育園の保育料が非常に低くなっているとか,また払わなくていいとか,そのような様々な税制上の支援の措置がとられていると思います。そういう中で奨学金だけは返さなければいけないということの理由というのを,もちろん少しずつでも返したいという方が実際いらっしゃるのはよく承知していますし,また少しずつでも返した方がよいし,また税制上も少しでも赤字が出ない方がいいということは分かるんですけれども,やはりほかの制度との整合性ということを考えたときには,奨学金だけがなぜ非課税世帯からも回収するのかというところについて,何らかやはり批判的な意見が出るのではないかなと個人的には思っております。これは個人的な意見です。以上です。


【小林主査】  他の制度との整合性ということで,今,御提案があったわけですが,これについてはいかがですか。樋口委員が言われた根拠ということで1つ出されたように思うのですが,いかがでしょうか。


どうぞ。


【赤井委員】  税金を取っていないところからも返してもらうのかというのは難しいと思うし,同じ税金だったらそろえるというのはあると思うんですけれども,奨学金となると,本人はできるだけ返すという意味合いがあるので,確かに税と一緒の方がいいという議論もあるかもしれないですが,税と違っていてもいいかもしれないという議論もあるかもしれないかなと思います。


あと,定額返還型はゼロから1万4,000円取るんですよね,これ。猶予を越えちゃうと。


【小林主査】  はい。


【赤井委員】  だからそれもなってくるとそちらとのバランスなんかも考えないといけなくなってくるので,ちょっとすぐにはなかなかそうだとも言いにくいんじゃないかと思いました。


【小林主査】  ありがとうございました。確かに税とは違うというのも1つの御意見だろうと思いますが。


あと。


【島委員】  ちょっとよろしいですか。


【小林主査】  ええ,どうぞ。


【島委員】  これ,度々,前回も申し上げたと思うんですけれども,濱中委員がおっしゃるとおり,この年収ゼロから返還開始というのは書き方がやはりちょっと。そもそも誤解を生じさせるという意味でよくない。しかも現行の制度では猶予期間もありますし,所得,借りた時点での300万以下の人たちに関しては猶予期間がという形の対応もあるので,ゼロからの人からも取るのかというのは,この制度を余りにもちょっと,言葉は強過ぎるかもしれないんですけれども,ちょっと誤解させるような御発言になっていらっしゃるような気がするので,そこのところはやっぱりきちんと。ゼロ円の人からも取るのかって単純な形ではない理解を改めてちょっと共有したいなと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


ほかに御意見ございませんでしょうか。今回,ここが一番大きな修正点かと思いますので。


表現については,先ほど申し上げましたように,少し考えさせていただきたいと思いますが。


どうぞ。


【赤井委員】  この22ページを見ていると,まさにその2,000円取っているように思うんですけれども,何か定額プラス144万から所得連動が始まるみたいな,定額の1万4,000円だったのが2,000円に下げる制度と,144万から所得に連動していく制度の組合せみたいな新しい制度が始まるんだというふうにする方が何かイメージはつかみやすいのかなと思うんですけれども。所得連動と言っていたら所得連動していないじゃないかということを言われるかもしれないので,そこは何か定額との組合せみたいな新しい制度を入れていくというような説明の仕方もあるかなと思いました。


【小林主査】  ありがとうございました。そのあたり含めて,少し説明を加えたいと思いますが,いかがでしょうか。


不動委員,よろしいですか。


ほかに。


どうぞ。


【宗野顧問弁護士】  意見ではなく説明の補充になりますが,(5)は「生活保護受給中や,奨学金申請時に家計支持者の年収が300万円以下かつ本人の年収が300万円以下の場合」として,この2つを併存して並べているのですけれども,生活保護受給中というのはどの場合でも適用される基準なのですが,その後の方,「家計支持者の年収が300万円以下かつ本人の年収が300万円以下の場合」というのは,これは現行の所得連動型の基準であり,何かこういったものが一般の猶予制度の基準としてあるわけではないので,括弧書きでも現行の所得連動型という形で説明を補充していただいて,要は現行の所得連動型と同じような制度は残しますよという趣旨を明確に書いていただいた方が正確かと思います。


【小林主査】  確かにこれ,いろいろなことを書き加えておりますので,3種類ぐらいのことが入っていますので,現行の制度と,それから現行のいわゆる所得連動返還型といわれるものになっておりますので,少しそのあたりは書き方をもう少し丁寧にしたいと思います。ありがとうございました。


どうぞ。


【樋口委員】  そちらの議論でよろしいんですか。今の(5)の話で。


【小林主査】  はい,どうぞ。


【樋口委員】  このアンダーラインの引かれている赤いところと(7)のところ,四角で囲まれているところを比較しますと若干違うんですね。違っているのは,年収が,家計支持者のところというのは奨学金申請時ということですから,その次の本人の年収というのは,これ,タイミングが書いていないんですが,これはそのときということですよね。奨学金申請時じゃなくて。


【小林主査】  そうです。


【樋口委員】  ということですね。


【小林主査】  卒業後ということですね。


【樋口委員】  ということですね。ちょっとまず,何かその辺の言葉がないんで,かなりここ,慎重にいろいろ書いてあるんで,であれば慎重にやっぱり書いた方がいいと。


【小林主査】  ありがとうございます。


【樋口委員】  そのときに,後ろの「かつ本人の年収が300万円以下」というのが,これ,今までは,今回はそうではなくなるということで13ページの(7)の四角とは変わってくるということなんでしょうか。


【小林主査】  いや,これ,事務局から説明してもらった方がいいかもしれませんので,よろしくお願いします。


【川村課長補佐】  分かりにくい記述で申し訳ございません。(7)の方にございます返還猶予の申請可能所得及び年数につきまして,これは一般的な場合,全ての方について,申請可能所得,年収300万円以下の場合で通算10年でありますけれども,特に奨学金申請時に家計支持者の年収が300万円以下の場合には期間の制限はなしという現行の所得連動制度でございまして,これについては左側の「ただし」以下で書いておりますところについても同じ条件で適応するというようなことでございます。


【樋口委員】  だとすると「かつ」じゃないんじゃないですか。後ろの方は「かつ」じゃないわけですよね。


【川村課長補佐】  後ろの方も「かつ」であります。


【樋口委員】  「申請可能所得は年収300万円以下」という1行目と,その次は「また」と書いてあるから。


【川村課長補佐】  申し訳ございません。書き方が不十分であるかもしれません。ここはアンドで結ばれているという意味でございます。


【樋口委員】  前の文章が成り立って,なおかつ後ろの文章も成り立つとということになるんですか。


【川村課長補佐】  そういう意味でございます。


【樋口委員】  そうですか。いや,そこがオアなんだろうと。アンドじゃなくてですね。


【小林主査】  確かに少々分かりにくくて,現行の制度自体が入っていまして,現行の制度も,いわゆる所得連動型といわれるものと一般の猶予の場合ということがありますので,そのあたり,どのように書くかということは少し事務局と相談させていただきたいと思います。いずれにしても分かりにくい表現であることは事実ですので,考えさせていただきます。ありがとうございました。


どうぞ。


【濱中委員】  文言の話になりますけれども,そうだとすれば,この(5)番のところに現行の所得連動型をあえて書かなくてもよいのかなという気がします。むしろ該当者としてはやはり病気やけがで働けないという方の方が多いと思われるので,災害・傷病の方を(5)の中に,生活保護受給中と並んで書いた方が,メッセージとしてはよいのではないかと思いますが,いかがでしょうか。


【小林主査】  これは私の方からお答えいたしますが,これは年収ゼロからということがやはりパブリックコメント等でかなり問題になったときに,返還猶予というものがありますということをここに入れた方が親切だろうということです。それでただ,ここに現行の所得連動型を入れたので,非常に話が複雑になっていますので,ここではそれを分けてきちんと書くということで,返還猶予があり,それから現行の所得連動型の300万円かつ,「かつ」ですね,本人の年収300万円以下のものもあると,そのようにきちんと書き分けたいと思います。ありがとうございました。


ほかに御意見ございませんでしょうか。


このように,今までもそうだったのですけれども,全ての問題が,このあたりの項目は(5)から(7)まで全部関係していますので,あるいは本来,(8),(9)までも全部関係している問題ですので,非常に複雑なわけですが,今までの議論を整理させていただいて,一応原案の2,000円,それから年収ゼロという言い方が非常によろしくないというのは御指摘のとおりですけれども,そこは改めるといたしましても原案のとおりということで進めさせていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。


よろしいでしょうか。


ありがとうございました。


それからこれは,私の方から申し上げたいのですが,吉田委員のような意見もあったということは書き加えさせていただきたいと思います。これは,今,私が2008年に返還促進会議というところで返還の促進のことと,それから逆に,それに対してペナルティーがきつ過ぎるということで,そのときに初めて所得連動返還型という制度があるということを申し上げたのですけれども,そのときにはまだ時期尚早ということで検討されないので,そこのところに所得連動返還型ということを検討すべきだという意見もあったというように書き加えていただきました。それが現在こういう形で猶予所得連動返還型になったということもありますので,意見として残しておきたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。


ありがとうございました。


それでは次に,返還率あるいはその前の,すみません,10年か15年かという問題が残っていたのですが,島委員の方から15年にすべきだという御意見があったのですけれども,これについてはいかがでしょうか。


どうぞ。


【濱中委員】  これもこれまでの会議で何度も申し上げていますが,猶予の期間を延ばすということは,赤井先生が先ほどおっしゃったように,現行返還中の人に対してもそういう設定にしなければならないだろうし,今後も定額返還型を選ぶ人にも適用することになるので,そこの部分については,どれぐらい影響があるかということをシミュレーション含めてきちんと議論してからでないと、と思うんですね。特に現行返還中の人については全くこの会議で議論していませんので,それを考えると,今回の結論としては10年で,先ほど赤井先生がおっしゃったように,これを15年にするかということは,この新所得連動型の議論とは別に行うという方がよいのではないかと思います。


【小林主査】  一応13ページのところで,最後のところに事務局の方からありますように,返還猶予の申請可能年数については,奨学金制度全体の救済措置の在り方の1つとして,今後引き続き検討することが望ましいという形で,今後の検討課題という形にはなっておりますので,それで島委員の方,よろしいでしょうか。


【島委員】  ええ,構いません。


【小林主査】  ありがとうございました。


そうしましたら(8)番。


【樋口委員】  ちょっといいですか。


【小林主査】  どうぞ。


【樋口委員】  今の10年,15年といったときに,10年から15年に延ばすことによって,どれだけの人が対象になってくるのか。また10年から例えば11年ではこの条件をクリアするような収入になった人,その人というのはかなりいるのかどうかとかですね,それを15年にしたときどうなる,15年間これ以下ということは相当厳しい恒常的な状態がもうそうだということですから,この方法ではとても立ち直れないんじゃないかなと。別の方法と併せて考えていかないと,奨学金の期間を延ばすというだけではですね,というようなことも議論していかないと,形の上では何となく10年が15年になりましたということなんですが,実態としてどれぐらいの人がそういう対象になっているんだということがないと,制度は何かジェネラスに見えるんだけれども,実際には実効性はありませんみたいなことになると困るので,是非,そのとき,次回にやるときにでも御議論いただいた方がよろしいんじゃないでしょうか。


【小林主査】  どうぞ。


【濱中委員】  そういう意味では,先ほど島委員から,26年度から10年に延長されたという話がありましたが,ということはまだ10年の猶予を目いっぱい使ったという方がいないわけなので,恐らく該当者がどれぐらいいるのかは分からないんですね。ただ,かつての5年猶予のときでも,法的措置のようなところに行くまでに5年猶予を全部使い果たした人がどれぐらいいるのかというのは多分データがあると思うので,そういうのも参考にしながら考えることはいいのではないかと思います。


【島委員】  それに関して全く賛成です。


【小林主査】  猶予期間については,その定額返還の方の返還方式との関係もありますし,それからより根本的な問題として,猶予期間を延ばすだけではそもそも解決しない問題ではないかという御提案もございますので,これについては引き続き確かに検討していく必要があるともいますので,原案としては10年ということで進めさせていただき,今後の検討課題とするということでよろしいでしょうか。


ありがとうございました。


そうしましたら次に返還率,これは9%ということで,これも様々なシミュレーションを行った結果として9%が妥当ではないかということが原案ですが,これについてはいかがでしょうか。


特にございませんでしょうか。


では9%ということで進めさせていただきたいと思います。


それから返還期間,これも大きな問題でありまして,現行のままにするのか,それとも一定の年齢で区切るのか,あるいは一定の期間で区切るのかという問題ですけれども,そもそも法律の改正も必要だということで,今回は間に合わないということもありますので,原案としては現行のとおりで,これも引き続き検討するということにさせていただいたのですが,これについてはいかがでしょうか。


よろしいでしょうか。


ありがとうございました。


では所得の算出方法で,これはそもそもマイナンバーで取れるのがこの所得しかないということというのもありますけれども,いかがでしょうか。住民税の課税対象所得のみが分かるということですが,これにあと,あるとしたら,更に控除を付け加えるかどうかという問題だけだと思うのですが,そうするとかなり複雑なことになりますし,原案としては,この住民税課税対象所得ということでやりたいとい考えておりますが,いかがでしょうか。


よろしいでしょうか。


ありがとうございました。じゃあ,これも原案のとおり進めさせていただきます。


(11)番,これは先ほど事務局から御説明がありましたとおり,分かりやすいということで個人主義,家族主義という言い方をしていたわけですけれども,そもそも家族というものも今,非常に複雑になっておりますし,こういった言い方が非常に誤解を招くのではないかという点についてはいろいろな方から御指摘を頂いております。そこで表現を改めまして,扶養,被扶養という形で整理させていただいたということでありますが,いかがでしょうか。


どうぞ。


【赤井委員】  もっと早く気付いていればよかった。この一定金額までは所得連動で,それを越える定額返還ということなんですけれども,この一定金額というのは何か目安があって言っているんでしたっけ。どうでしたっけ。


【小林主査】  事務局,お願いします。


【川村課長補佐】  金額につきましては,見え消し版の方では16ページの2つ目のところにございますけれども,一定金額(貸与額を定額返還型で返還した場合の返還額となる収入)ということでございます。したがいまして,例えば返還イメージの方のところでいきますと,1万4,400円の返還月額となるこの所得連動の年収ということですので,今交点に行きますと400万円少しのところ,ここまでは所得連動で返還額を低減するということを可能とするという案でございます。


【赤井委員】  それ以上の場合はフラットになるということですね。


【川村課長補佐】  はい。


【小林主査】  その理由も少し事務局の方からお願いします。


【川村課長補佐】  今回,所得につきましては家族,被扶養者になった場合に,その御家族等を扶養する方の年収を勘案すべきという御意見でありましたけれども,その際,それは15ページの下のところでも書いておりますが,扶養者の方の収入が高額となった場合に,被扶養者の方まで負担を過重に求めるというのは一定の配慮が必要ではないかということで,その金額を超えた場合には,定額の方の返還月額で返還いただくという制度としてはどうかということの案でございます。


【赤井委員】  これ,被扶養者というのは,103万とかその意味ですか。65足す38のところのラインですね。要するに扶養家族になっているということですか。


【川村課長補佐】  そうです。


【小林主査】  よろしいですか。ここのところも,もう少し説明をした方がいいのかもしれませんけれども,この被扶養者になった場合の返還については,先ほどおっしゃいましたように一定額を超えた場合にフラットになると,また1つ現行とは違う形になっておりますので,これはもう少しきちんと周知する必要があるかと思います。


これは樋口委員の方からも世帯年収という考え方を採用するべきだとか,いろいろな御意見を頂いたのですけれども,現在のところこれしかとにかく本人所得がとれないというようなことがあって,世帯人数も分からないということなので,現在のところはこれで進めさせていただきたいということでありますけれども。


よろしいでしょうか。


どうぞ。


【樋口委員】  書き方なのかもしれませんけれども,15ページの最後の赤線が引いてある3行のところ,「なお」というところで,「その際には扶養者の収入が高額となった場合」,これは扶養者から外れるじゃないですか。収入が高額になって。


【川村課長補佐】  それ,すみません,被扶養者の方が高額になった場合には外れますという。扶養されている方が高額になった場合。


【樋口委員】  扶養する方が収入が高額になると,被扶養者の…。これ,ちょっと文章が分からない。


【川村課長補佐】  申し訳ございません。例えば扶養者の方の年収が700万,800万というような金額になった場合に,返還額が所得連動でそのまま行きますとかなり高額になってきますので,その場合,被扶養であるにもかかわらず,例えば4万円ですとか5万円を毎月返還するという必要が出てまいりますので,そこは被扶養者であるということを踏まえて一定の配慮が必要ではないかという趣旨で記載いたしています。


【樋口委員】  ああ。


【小林主査】  私の方からも補足しますと,先ほど来申し上げていて何ですが,この新制度における返還イメージという,いつも見なれている図を参考にしていただければ有り難いと思うんですが,こちらの図ですね。


【樋口委員】  はい。


【小林主査】  そうしますと被扶養者の場合,今,事務局からありましたのは,その方が収入がないということで扶養者が払うということになった場合に,例えば所得連動型をそのまま適用しますと,定額よりもかなり高い金額を払う可能性があるということですね。そうしますと,そこまで扶養者の方に責任といいますか負担を強いるというのは望ましくないので,定額返還に近い,定額返還の額を支払うということでフラットにするという,所得にかかわらずフラットにするというのが原案ということであります。このあたりも少し書きぶり含めて,もう少し説明を加えさせていただきたいと思いますが。


どうぞ。


【濱中委員】  要するにこの15ページの下3行に書いてあることが,この16ページの3つ目だということですよね。


【小林主査】  はい,そうです。


【濱中委員】  この場合も運用上かなりいろいろな問題があるとは思います。ここで決める必要はないのかもしれませんけれども,ここでいう定額返還型とは最初の時点で定額返還型を選んだときの割賦月額での返還のことを言っているのだろうと思いますが,結婚のような形で被扶養に入った場合はそこまでに返している額,残元金が人によってかなり違うと思うので,その場合、残りの期間で残元金を均等に割るべきなのか,それとも,最初に定額返還型を選んだ場合と同じ月額になるのか,その辺はもう少し制度設計の段階では考えるべきことはあるかなと思います。ただし大まかな形としてはこれでいいかなと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。これは新しい方式ですので,そういったいろいろなケースが想定されますので,これは実際に具体的な制度設計をしていただく上で,そういった点を考えて制度設計をこれから検討していただければと思います。


いずれにいたしましても,もう少し説明をして分かりやすくするという工夫は要るかと思いますので,そのあたりは事務局と相談させていただきたいと思います。ありがとうございました。


樋口先生,よろしいですか。


【樋口委員】  はい。


【小林主査】  ほかにございませんでしょうか。


それでは保証制度,原則として機関保証ということでありますが,これは前回頂いた御意見でも人的保証も残したらどうかという御意見がありましたし,あるいは機関保証の方がもう少しメリットがないと,そちらをとらないのではないかというような御意見がございました。また国会の附帯決議ということも付いているということでありますので,原則としては機関保証でありますけれども,それを具体的にどのようにするかということについては引き続き検討したいというのが原案です。これについてはいかがでしょうか。


どうぞ。


【不動委員】  私は機関保証でいいんじゃないかと最初に申し上げさせていただいて,人的保証の方はやめた上で,返済猶予制度とか,返済を免除される制度とかいろいろありますけれども,一番困られるのは,障害等になられて収入がなくなって,返還が非常に難しくなるというふうな方が困られるということを考えると,そういった人については,この機関保証で集めた保証料で代弁をしてあげて,返還を免除するという制度をきちっと示してあげれば,そういったセーフティーネットというか安心感があるんであれば,機関保証を選択しようという学生さんが増えるんじゃないかなと思いますので,もし将来,返還のときに障害等で入院をして収入がなくなったというふうなところについては免除する制度がちゃんとあるよというふうなのを明示してあげれば,非常に皆さんも使い勝手がよくなるんじゃないかなと思いますので,意見として申し上げさせていただきます。


【小林主査】  ありがとうございました。


どうぞ。


【川村課長補佐】  不動先生御指摘の障害を負った場合の対応ですけれども,その場合には,状況によりますが返還免除の制度が法律上定められておりまして,そういった場合に,そもそもこの機関保証ではなく国が返還免除をした上で,債権放棄をするという制度は現行でもございます。


【小林主査】  ありがとうございました。


ほかに御意見ございませんでしょうか。


これは実は,その次の(13)番の返還方式とも関係しておりまして,原則機関保証にした場合には,基本的に入学時にそちら選んだお金と保証料を一括して払わなければいけないという問題もありますので,その問題とも関わってまいります。


特に御意見ございませんでしょうか。


具体的には保証料が上がるのか,下がるのかということも,まだ現在の時点では予測もつきかねるということでありますし,ここに書かせていただきましたように,機関保証への加入促進・導入する方策についても検討が必要であるということで書かせていただいたのですが,そういったメリットがあるということを周知していくということも必要だろうと思います。今,不動委員からありましたようなことも含めまして,できるだけ原則としてということでありますので,機関保証の方に加入していただくという方向で考えていくということであります。


よろしいでしょうか。


では,この原案の形で,原則として機関保証という形にさせていただきます。


それから,そうしますと(13)番のところは今申し上げたとおりで,その機関保証が原則でありますと,これは国立大学協会等からも意見があったわけですが,卒業時にしてほしいという意見があったわけですけれども,卒業しますと,今申しましたように保証料の支払という問題が生じますので,原則としては入学時に学生が選択して,ただし卒業時までに変更が可能になると,そういうことで原案として示したわけですが,いかがでしょうか。


どうぞ。


【濱中委員】  これも文言の問題ですけれども,厳密に言うと,貸与開始時と貸与終了時ではないかと思うのですが,これで大丈夫ですか。卒業しない方もいらっしゃるわけで,中には。


【小林主査】  おっしゃるとおりです。そのように説明をきちんとさせていただきます。ありがとうございました。


そうしましたら以上で,全体ひとわたり終わったわけでありますが,ここまでで,特にほかに御意見ございますでしょうか。


どうぞ。


【赤井委員】  もう既に今まで,扶養家族の定義,さっき議論したんですけれども,これ,税の話なのか,保険の話なのか,今,運用しているんでしたっけ,もう扶養家族どうのこうのというのは。要するに被扶養者になったというのは,今でもその定義があって,それをチェックしているんでしたっけ。それの定義だけ。


【小林主査】  機構の方でお分かりでしょうか。


【赤井委員】  いや,その話…。手帳か何かというか,もう被扶養者ですと証明されたらいいと思うんですけれども,ちょっと今調べていたら,税金だと103万円で,健康保険だと130万円で,103から130の間の人は,保険の場合は扶養じゃないけれども,税の場合は扶養とかそういうややこしいのはあるみたいなので,ちょっとまた,これを使ってされるなら。


【藤森奨学事業戦略部長】  現行の制度はちょっと今確認しないとあれなんです。ただ,今,基本的に地方税の情報の1つとして扶養になっているかどうかという。


【赤井委員】  税でやるってこと。


【藤森奨学事業戦略部長】  ですから税の方でないと,たしか情報はとれないんじゃないか。すみません,ちょっと確認はいたしますけれども,今そういう想定になっているかと思います。


【赤井委員】  地方税だったら幾らかな。また地方税だと年収幾らまでが扶養になるのかというところがまた違ってくると思うので。


【藤森奨学事業戦略部長】  そうですね。ただ,地域によって違ってくるので,とれる情報ベースで作っていくということはどうしてもやむを得ないと。


【赤井委員】  そうですね。その税だと基礎控除と配偶者控除の合計103ですね。国税だと。すみません,ややこしいんですけれども,そこのところもあるので,被扶養者の定義もちょっとチェックしておいた方がいいかもしれません。


【小林主査】  そのあたりも丁寧に書き加えさせていただきます。確かにこの壁の問題というのは幾つもありまして,どこにするかというのは最初のときにも,いき値をどうするかということと併せて検討していたわけですけれども,結果的にはマイナンバーで取得できる情報というのがもう被扶養だけですので。


【赤井委員】  そこでの扶養の定義と。


【小林主査】  そうなりますともう,そこで自動的に決まってしまうということになりますので,それを使うということになるかと思います。


ほかに御意見ございませんでしょうか。


どうぞ。


【島委員】  ごめんなさい,質問なんですけれども,この5の今後検討すべき事項というのはこれから議論されるんですね。


【小林主査】  これからです。


【樋口委員】  じゃあ保証制度のところで,先ほどのところで,保険料というか保証料と書いていますが,これは固定するということでいくんですか。それとも,それこそ状況によって,余りにも負担が,負担というか保証しなければならない方が多くなったときには,それは変動させる,引き上げるという形。要は国庫からの支援というのは0という想定でいくということですか,これ。


【川村課長補佐】  保証料率につきましては,現在,学生支援機構の方で保証機関検証委員会ですか,そこで,議論をした上で設定されておりますけれども,ここに国庫を入れるという制度には現在なっておりません。


【樋口委員】  なっていない。


【川村課長補佐】  はい。


【樋口委員】  今回もそういうところで,国庫から入れるということはないという文面なんですか,これ。


【川村課長補佐】  現行がそういう制度でございますので,その前提で御議論を頂いて,そういう方針だと理解をしております。


【樋口委員】  なるほど。そうすると余りにも支出が多くなったときには,保証料を引き上げるということを考えていくということですか。


【川村課長補佐】  はい。


【小林主査】  繰り返しになりますが,保証料については現在のところちょっと予測が立たないと申しますのは,加入者が増えたりとか,回収率が上がったりすれば保証料は下がる可能性もあるわけでありまして,そこのところは逆に上がる可能性もあるということでそこのところは予測がつかないということであります。ですから両方の可能性があります。


【樋口委員】  細かいことを言うと,この制度に伴う保証制度であるのか,それとも奨学金全体の保証制度として考えていくのか。それによって多分,保証料というのは大きく違ってくると思うんですね。だからこれだけ特別会計というのか,特別保険制度ですよ,保証制度ですよという扱いになるのかどうかというのは,すごく重要なポイントになってくると思います。


【小林主査】  定額型も含めてここに,無利子奨学金全体について検討することが求められるというような,非常に簡単にしか説明していないんですが,そういうことを含めてでありますので,そこはもう少し丁寧に書かせていただきたいと思います。ありがとうございました。


ほかに,よろしいでしょうか。


もうこれで1次まとめ案としては,この会議としては決定になりますので。


そうしましたら,またお気付きの点がありましたら戻っていただいても結構だと思いますので,今後検討すべき事項についてに移りたいと思います。これも2つに分かれておりまして,新所得連動返還型制度について,今回,詰め切れなかった部分についてどうするかという問題と,奨学制度全般について今後まだ議論が必要だということであります。これは前回御説明しましたが,この会議自体が前回の有識者会議,これは学生の経済的支援全体に関わる会議でありまして,その中の1つとして所得連動返還型制度ということを提案したのでありまして,それ以外のことについては,この会議では扱っていなかったという経緯がございます。ですからここに,まだいろいろな課題が残っているということを書かせていただいたのですが,初めに新所得連動返還型制度について,幾つか議論があって,積み残しになっている問題がありますが,これについて,もちろんこれから検討すべきことでありますけれども,特に御意見を頂ければと思います。特にここで説明が不十分でありますとか,あるいはもう少しこういう点も検討すべきではないかということがありましたら是非御意見を頂きたいのですが,いかがでしょうか。原案として7点出しておりますが,いかがでしょうか。


私の方から,3番の学生等への周知方法・内容という点ですけれども,これは何回も繰り返して申し上げますが,この制度は非常に複雑な制度になっておりますので,このあたりを非常にきちんとやっていくということがこれから非常に重要になると思います。ですから検討を行うことが必要であるというと,これから検討するみたいな書き方になっていますけれども,ここはもう少し強い言い方で,周知するということを出していただいた方がいいのではないかと思いますが,いかがでしょうか。


特にこれから文部科学省あるいは日本学生支援機構等で,高等学校あるいはその教育委員会等々の連携をとっていただいて,ここをやっていくということはすごく重要だと思いますので,是非よろしくお願いしたいと思います。それからマスメディアの方にも十分国民に周知するということをやっていただければ非常に有り難いと思っております。


ほかにございませんでしょうか。


どうぞ。


【赤井委員】  いろいろな配慮から,これ,こういう形で書かれているんだと思うんですけれども,19ページの最後のところで,まさに所得を稼いだ人から,結局稼げなかった人への再分配みたいな形を図るのが真のその所得連動型のような気がするんですが,それは結局いろいろな配慮からちょっとトーンを落とした,こういう最後にちょっと加えるような形になっているんですけれども,この文章はもうこれでいいと思うんですが,今後に向けては,その在り方とか,もっとそれが何らかの制度と併せながら実質的に完成していくような,大学の協力も含め,大学生全体でそれを賄うみたいな形の制度設計の在り方とか,そういうのが今後また議論できればいいなと思います。感想程度です。


【小林主査】  既に2番目の点に入っちゃっていますけれども。


【赤井委員】  ごめんなさい。


【小林主査】  いえ,もう1は余り出てこないようなので,2でも結構だと思います。それで,確かにここのところは,今,赤井委員が言われたように,全体として支えていくのだという趣旨のことが大事だと思いますが,余りにも何か高所得の人からたくさん取るんだというニュアンスがこれでは少し強過ぎるというのは私も感じていましたので,今のことを含めましてもう少し書き加えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。


どうぞ。


【島委員】  現在,返還困難に陥っておられる方が少なからずおられる。そういうふうな状況の中で,給付型奨学金の必要性というのが様々に社会的に唱えられています。そのことに関してなんですけれども,給付型が本当にいいのかということに関して少し考えなくちゃいけないと思っていて,仮に,もともと所得が低い方が奨学金を借りる段階で給付にするという形にしたときに,そうやって結局後でちゃんとその投資が回収できて豊かになっているのに,その初発の時点で所得が低いから給付型にするということが起こり得ることを考えると,今回の所得連動をベースにして,所得連動の中で給付強化型の所得連動みたいな形にして,要するに借りたけれども返すことが困難になった人たちに対して,事後的な給付をするという形で,猶予期間を延ばすというのは先ほど検討の余地があるにしても,そうしたり,若しくは実際に返還免除そのものを強化するといった形で,単純に給付型が望ましいというのではなくて,事後的に困った人たちにちゃんと手当てができるシステムにして,それを例えば給付強化型所得連動でも,呼び名は何でもいいんですけれども,単純に給付を延ばすことが重要であるという形ではない在り方みたいなものが個人的に重要なのではないかと思っています。


【小林主査】  4番のところに対する御意見として,2つ言われたと思うのですけれども,1つは現行の,きょう骨格を決めていただいた制度について給付型的な要素を伸ばしていただくということが1つと,逆に単純な給付型については疑問があるのではないかと。特に将来所得が上がった場合ですね。そういう人について給付を出すのはどうかというような御意見だったと伺いましたが,給付型については今非常に様々に議論されているところでありますけれども,もし事務局の方で何か,現況について,非常に国会等でも非常によく取り上げられているとお聞きしていますが,何か補足的な説明がありましたらお願いしたいんですが,いかがでしょうか。


【井上学生・留学生課長】  確かに今,国会等でも取り上げられております。その中で馳大臣もお答えになっているんですけれども,財源の問題とか,あとは渡し方の問題ですとかですね,その範囲,どういうことを対象にするのか。まさに今,島先生からの返還免除の拡充みたいなお話がありましたけれども,それも1つの渡し方のオプションだと思いますが,そういったことが検討課題であるという答弁も,大臣もされていますけれども,ちょっとそういったことを考えながら,事務的にはいろいろ検討してまいっている状況でございます。


【小林主査】  ありがとうございました。これも補足的ですけれども,前回の有識者会議では給付型奨学金についても相当議論したのですが,やはりどういう基準で受給基準を作るのかというのが非常に難しいということで,そこで議論としては止まっているというような状況ですので,これは今後更に考えなければいけない大きな問題だろうと思います。


ほかに御意見ございませんでしょうか。


どうぞ。


【島委員】  あと返還期間の方なんですね。要するに我々は,今回の報告書の冒頭でも書いてあるように,来年度からの導入ということに,現実的制約の中で,返還期間を現行の制度に合わせる形で行ったんですが,今回所得連動型ということで,返還期間が長期化するとか様々なことを考えたときに,そうした最終的に返還が終わるまで返還を求めるという形になっているこの状況に関して,今回の議論の途中で出た65歳まで,若しくは人生のキャリアの後期において奨学金を借りた方に関しては,35年の期間を切るという形での併用だとか,そういったことをやはり早急に検討しなきゃいけないという。ここにまさにそのほかのことが書いてあるわけなんですけれども,この辺はちょっと強く確認をしておきたいと思います。


【小林主査】  これは御指摘のように,大きな今後検討課題になるかと思いますし,これから新しい制度が始まるわけでありますので,そういった点,まだ積み残しになっている大きな課題だということはよく認識しております。


どうぞ。


【濱中委員】  今の点に関連して少し申し上げたいのは,結局今の貸与奨学金の規模を今後どうするかということが全てのことに関わっているということです。イギリスやオーストラリアのように学費,生活費含めて,全員が一旦貸与される形で,大学,高等教育機関に進学できるような仕組みであれば,将来的に一定の年数がたったところで免除になっても,それはある種の所得に応じた税金みたいなものですから,社会全員がそれで納得するかもしれない。ただし,今我々が考えているのは第一種奨学金の対象者だけであって,奨学金貸与者の4分の1くらいですかね,学生全体の1割ぐらいにしか満たないところでの制度の設計の話と,それをもっと大きく拡大したときに望ましい仕組みというのは別のものだと思うわけです。今回の議論に関しては,この第一種奨学金を受けている1割の学生,同年齢人口に占める割合にすれば,更にその半分ぐらいになってしまうわけで,しかも高校の成績の基準があり,保護者の家計の基準がありという中での,その奨学金の返還をどうするかという問題に限定すべきであって,社会全般として教育費の負担をどうするかということとは,別の問題だと思うんですね。そういう意味で,費用負担全般についてあれこれ書くのは意味がないとは思いませんけれども,もう少し,何ていうんですかね,余り焦点化しないで,言うだけ言っておこうみたいなのはよくないのではないかと思いますけれどもね。


【小林主査】  趣旨は分かるのですけれども,具体的にそれではどういう形にしたらいいかということですけれども。


【濱中委員】  いや,だからこれぐらいでいいと言うか、これ以上付け足す必要はないと思いますけれども。


【小林主査】  分かりました。


どうぞ。


【吉田委員】  すみません,先ほど給付奨学金のお話が出たんですけれども,誰に,財源をどうするのかということと,誰に渡すのかということでかなり議論があったというお話だったかと思いますが,例えば児童養護施設の出身者の子供たちというのは,高校進学や大学進学の割合が低いということはよく言われていますし,また,生活保護受給家庭の子供たちの大学進学率というのが低いと。そういう非常に家計が厳しい,また厳しい状況に置かれている子供たちに対する給付の奨学金というのは,今後考えていかなければいけないと思います。ですから財源をどうするかというところで,政府貸付金の拡大がなかなか難しいという中で,例えばまた新たな,そういった財源確保の方策が,例えば諸外国で何か新しいようなものがあれば,またそういうものを積極的に事例を収集しながら,日本に適用できるか可能性を考えてみるということも必要だと思いますし,そういうことを考えつつ,そのメリットベース,ニードベースどうするかというところで,ニードベースで本当に真に必要な子供たちに対して,そういった給付奨学金を今後入れていけるような制度を今後考えていくべきだと思っておりますので,是非その4つ目,(2)の4つ目については,もっと是非そういった点についてもできれば書き加えていただければと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。確かに諸外国の事例については,ほとんどこういった点について,日本では研究されていないのではないかと思います。給付型奨学金,一般の学生に対するものについては比較的,吉田委員はじめ外国の研究をされている方から,いろいろ事例を受けておりますけれども,今,吉田委員が言われたような,もう少し特定のターゲットですね。児童養護施設に当たるような人たちでありますとか,そういった人たちに対する学生の経済的支援がどういうふうになっているかということについては,余り私たちの方で研究が進められていないのではないかと思いますので,それも踏まえて,今後検討していく必要があるという御指摘だと思いますので,それは今後とも考えていきたいと思います。ありがとうございました。


ほかに。


どうぞ。


【赤井委員】  時間があればですけれども,この給付型奨学金の詳細な,国会も含めた議論をあまり知らないんですが,島委員がおっしゃったように,給付型奨学金が必要だというのは,将来働き出したときに,借金を負って働き出すとすごく生活が大変になるということだと思います。ただ,そのときに所得が稼げていれば,借金があっても多分返していけると思うので,結局そのとき稼げている人から取ってもそんなに問題がないはずで,だからその場の給付型奨学金に財源を廻(まわ)すのか,いわゆる所得連動型で,島委員がおっしゃったように猶予を延ばすとか所得連動型に同じお金をつぎ込むのかだと,その2つの比較をちゃんと国会とか議会で議論できているのかなという。その2つの比較をすると,どう考えても所得連動型の方にお金を入れて,本当に所得がない人にお金を回してあげた方が,事前の段階でお金を与えてしまう,その人が稼ぎ出すかもしれない状況で与えるよりかは効率的だという議論になるのかなと普通は思うんですけれども,そういう議論はされているんですか。


【小林主査】  これは日本では,こういった議論というのはそれども盛んではないですし,実際実証研究も少ないのですが,アメリカでは膨大な蓄積があります。経済学者は大体ローンでいいという結論になるのですが,実証研究によりますと,進学に与える効果あるいは中途退学しないで卒業することに対する効果としては,給付奨学金の方がはるかに大きい。


【赤井委員】  給付型の。


【小林主査】  給付奨学金の方が大きいということは分かっているのです。それは考えてみれば当然なわけでありまして,当然進学に与える効果というのは大きいわけです。ですからそのあたりは,そういった効果と費用との関係ということになって,費用効果の分析が必要になるということが言われている。今,そのような状況だと思いますけれども。


【赤井委員】  だから精神的に借金があるよと言われたら苦しくなると思うんですけれども,借金ではなく,借金なんですけれども,借金ではなくて稼いだときだけ返してねと,稼げなかったら返せなくていよと優しく言ってあげると,それほどプレッシャーにならないんじゃないかなと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。ただですね…。


【樋口委員】  ちょっとよろしいですか。この会議のミッションは何かというところで,この報告書にどこまで織り込むのか。


【赤井委員】  今のちょっとずれています,すみません。


【樋口委員】  後ろの方,奨学金制度全般についてという,これ,重要であることはもう間違いないわけですけれども,ここでこの議論をし出すところであるのかどうかということですね。あるとすれば,それこそ問題をたくさん抱えているのはもう明白なわけですから,それを十分に議論しない内に何か書いてしまうということの逆に対する我々の責任というのはどうかというようなところも考えておかないと,これをやるんだったら本当,相当時間を掛けて議論しないといけないんではないかなと思いますので,ここに書いてあるのは,もう当然のことだろうと思いますので,根本的なところまで戻ると,とても…。ですからこれで全部やらず,これに関連する新しい所得連動変動型奨学金制度に関わる問題として,ほかに奨学金全般に波及するところを書いておくというのが本当の責任を持ったところということになるんじゃないでしょうか。


【小林主査】  ありがとうございました。先ほど経緯は説明申し上げました。確かにそういうことを書いていないので,前回の会議を受けて今回の会議としては所得連動について検討したと。しかし学生への経済的支援については様々な問題が残っているし,この会議ではそれは検討していないということが実際ですので,そのあたりのことはきちんともう少し書いておかないと誤解を生じさせると思いますので,事務局と相談してそのあたりは少し書きぶりを考えさせていただきたいと思います。確かに議論し出すと,前回の議論もそういうことで,前回の有識者会議でも様々な議論が出てなかなかまとまらなかったわけでありますので,ここでもう引き続き議論するのはかなり大変なことになると思いますので,このあたりはまた事務局と相談して,どういう形で進めていくかということについては検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。


どうぞ。


【濱中委員】  ちょっと現実的な話に戻るのですが,ここで決めていないことは現行の第一種奨学金のルールがほぼそのまま適用されるという理解でよろしいですか。例えば延滞について,今回の制度は,なるべく延滞しないために作っているわけですけれども,それでも口座を空にする人とかがいて,延滞は一定の割合で必ず発生すると思います。そうした場合も現行ルールどおり,2,000円なら2,000円の割賦月額に5%でしたか,5%の延滞金が掛かる。そのルールはそのままほぼ横並びで適用されるのか。あるいはもし延滞状態が続いたら定額返還型に戻すとか,そういうことを検討する必要があるかどうかが1つですね。


もう一つマイナンバーのことについて伺いたいのですけれども,今度からは,貸与の申請をするときに全員マイナンバー提出って今ホームページに出ていますよね。所得の把握にはもちろん使うのですが,住所の把握等にもマイナンバーをこれから活用されるという理解でよろしいですか。全員に提出させるというのは多分そういうことだと思うのですけれども,所得連動を選ぶか選ばないかにかかわらず。そういう意味では,今までみたいに一旦延滞になると,それを追い掛けるのに物すごいコストが掛かるとか,そういうことはなくなるという理解でよろしいですかね。

【藤森奨学事業戦略部長】  住所につきましては,マイナンバー制度の前提にいわゆる住基ネットの制度がベースにありまして,そちらの方も併せて活用できる形になりますので,住所の追跡についてはそちらを使うということを今想定しております。


【小林主査】  どうぞ。


【川村課長補佐】  1点目の無利子奨学金の一般的なルールにつきましては,そのまま適用されることになろうかと思います。ただ,具体の制度設計を進めていく中で,いろいろ問題点等ございましたら,御検討をお願いする場合があるかもしれませんが,現在のところはそういうふうに考えています。


【小林主査】  よろしいですか。


【濱中委員】  はい。


【小林主査】  すみません,これもこれ以上議論すると切りがないのですが,私としては源泉徴収,3つ目のところが,やはりイギリスとかオーストラリアのような国ではこれを行っていることで今のような延滞金の問題だとかそういうことはないわけですので,そういうような制度を是非,今後の検討課題としてはやはり残しておいていきたいと思っております。これもこれ以上は議論が,今回いたしませんが。


【濱中委員】  よろしいですか。


【小林主査】  どうぞ。


【濱中委員】  ついでに情報を伺いたいのですが。かつて給与から天引きするような形で徴収していた時期があったかのように私は記憶しているのですが,それがどういう経緯で始まって,どうしてなくなってしまったのかという点について簡単に解説していただくと,この源泉徴収方法のメリットとか問題点,困難さも分かるのではないかと思うので,是非お願いしたいのですけれども。


【藤森奨学事業戦略部長】  旧育英会時代でかつてのことなんですが,勤務先単位で,要するにそこの勤務先に勤めていらっしゃる返還者の方たちの分を給料からまとめて,その勤務先単位でもって返していただくという制度がかつてございまして,ただ,たしかそれって当時の文部省さんとか,それから国税あたりもそうだったですか,ほとんどそういったところがちょっと入っていただけで,余り普及しませんでした。現在ですと,それは個人情報の問題等もあって,そういったやり方はもう全然時代にそぐわないものかなとは思っております。


【小林主査】  かつてのことについても十分検討されて,今後のことに生かしていただきたいと思いますが。


ほかに御意見ございませんでしょうか。


どうぞ。


【吉田委員】  すみません,今後検討すべき事項の1点目の1つ目,貸与総額の上限設定についてなんですが,ここで言われていることは確かにそうなんですけれども,第一種奨学金にしか今回適用しないわけでして,第一種の貸与返還総額で一番高いのは私立の自宅外の学生で48か月を借りた場合は307万円と。これをもっと下げるというようなことを想定されて,ここに挙がっているのでしょうか。つまり第二種奨学金まで,制度として,全体として入れた場合には,その第二種奨学金の学部で12万円借りた場合には,実績の利率0.63%の場合は614万9,000円と書いてありますけれども,こちらのJASSOさんの資料で。これだとかなり大きいですし,またこれに大学院の分とか重なってくると,かなり大きな額になってくると思うんですが,現行の一種の場合だけですと,そんなに借り過ぎているようにも見えないわけなんですが,これをそこへ入れられた趣旨といいますか,もう少し御説明いただければと思いますけれども。


【小林主査】  どうぞ。


【川村課長補佐】  こちらは複数の大学・大学院等に行った場合ということでございまして,例えば1度大学に行った後,修了してまた別の大学に入り直し,更に別の大学に入り直し大学院に行くというような形で,それぞれ奨学金,無利子・有利子にかかわらず借りてまいりますと,例えば1,000万ですとか,それ以上の貸与総額に,1人当たりの貸与総額がなってくるという事例が発生し得ますので,そういった場合,所得連動で返還額がかなり定額で抑えられているということになりますと,返還しない返還額というのはかなり大幅に発生するということが見込まれますので,1人当たりの貸与額の上限というものを検討する必要があるのではないかという趣旨で書いているものでございます。


【吉田委員】  じゃあ貸与総額の上限ということなのか,それとも所得連動に適用できる額の上限なのかというところはいかがでしょう。


【川村課長補佐】  この貸与総額というのが,今,例えば1つの大学に行った場合のその4年間での貸与総額ということではなく,2つ以上の大学,3つの大学に行った場合に,1人当たりが複数の大学に通った場合の,貸与総額全体について上限が必要なのではないかということであります。


【吉田委員】  はい,分かりました。


【小林主査】  よろしいですか。確かに今,御質問がありましたけれども,2つ問題がありまして,1人当たりの全体として借りられる金額がどれぐらいになるかということについては制限したいというのがこの提案ですけれども,そもそも第一種が少ないから二種を併用するとか,そういう問題が起きるわけでありますから,それは別の問題として確かにあると思います。ですからむしろ一種については貸与額を増やすということも検討課題としてあり得るかと思いますので,そのあたりはまさしく今後の検討課題ということになると思います。


ほかにございませんでしょうか。


どうぞ。


【濱中委員】  18ページの7つ目のところですけれども,「既に返還を開始している者等」と書いてあるので「等」で全部含んでいるのだとは思うのですが,既に返還している人と現在在学中という人はかなり重みが違います。極端なことを言うと,28年度の新規貸与者の場合,進級時に一旦取りやめて,新規に申し込み直すと,そこから残りの部分は所得連動型の対象になることになってしまうと思うんですね,制度上。既に返還を開始している者よりもむしろ早急に議論しなければならないのは現に在学していて貸与を受けている者の扱いで,つまり現在の1年生から3年生の方になるんですかね,かれらの扱いは,優先的に考えなければならないだろうということを,記憶しておいてほしいなと思います。


【小林主査】  事務局,この点についていかがでしょうか。


よろしいですか。検討課題ということでよろしいでしょうか。


【川村課長補佐】  はい。


【小林主査】  ありがとうございました。確かにそれも重要な問題で,ここに書かれていないことでありますので。


お気付きの点がございましたら,最終的には私と事務局の方で取りまとめますが,メール等で御意見を頂ければ有り難いと思います。非常に細かい点まで,恐縮ですけども,逆に言いますと国民の一人一人の人に分かってもらわないと,とにかくこの制度はうまくいかないと思いますので,少し丁寧過ぎるぐらいの説明が必要ではないかと思っておりますので,そういう御理解を頂いて,御意見を頂ければ幸いです。


時間もそろそろ限られてまいりましたが,大体これで,今後のこと,十分に意は尽くせなかったかと思いますが,ひとわたり御意見を頂きましたので,全体として,これでこの第1次まとめ案を御了承いただいたということでよろしいでしょうか。


ありがとうございます。


今後につきましては,私と事務局の方で,きょういろいろ御意見を頂きましたので,それを基に修正させていただきます。それから先ほど冒頭申し上げましたように,数値等もできるだけ具体的に書き入れて分かりやすく説明できるようにしたいと思っておりますので,そのあたりの修正が全部私の方に御一任いただけますでしょうか。


どうもありがとうございました。では,そのようにさせていただきます。


きょうは第1次まとめ案の御検討ということで,非常にたくさんまた御意見を頂きました。なかなかこの会議自体,非常に,そもそも両立しないような課題,教育費の負担の軽減と,国庫負担という問題を取り扱っておりましたので,なかなか意見を取りまとめるものに苦労いたしましたが,おかげさまでどうやら1つの形得ることができました。本当に委員の皆さん,いろいろ御意見を頂きましてありがとうございました。


最後に,局長の方から一言御挨拶を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いします。


【常盤高等教育局長】  委員の先生方,本日で第8回となるわけですけれども,これまでの御議論,非常に精緻な御議論を頂きましたことに感謝を申し上げたいと思います。本日第1次まとめについて,委員の先生方から御了承を頂いたということで,もちろん最後の方のお話がございましたけれども,今後更に検討すべき課題もありますので,引き続き是非お力を頂きたいと思っております。


私どものこの奨学金の制度については,非常に現在関心の高い事柄だと受け止めております。この中で政策的にも有利子から無利子への移行を進めるということで,予算的にも努力をさせていただいているところでありますし,このまさに御議論いただいている所得連動返還型のより柔軟な形での制度の設計ということでも,この会議でのお知恵を借りて,29年度の進学者から適用するということで大きく前進をさせる段階にあると思っております。非常に今,小林主査の方からもお話がございましたけれども,制度が,もちろん公平性とか,ある種の精緻な仕組みにするということが必要ですので,それに伴って,仕組み自体が非常に複雑といいましょうか,そういうものになっているので,これもきょうも御指摘いただきましたけれども,この奨学金の仕組み,それから返還猶予制度の仕組みとか救済措置の仕組み,こういうことについて,いろいろ既に工夫も入れておりまして,日本学生支援機構の方でも大分改善をしていただいていて,その周知の状況も,いろいろアンケート調査などで見ると,かなりのスピードで周知状況については改善を進めてきていただいているところでもあるわけですが,ただ,そうは言ってもまだ十分,必ずしも今の段階で全てパーフェクトに十分であるというわけではもちろんないわけですので,更にそういう点での周知ということも是非力を尽くしていきたいと考えておりますので,是非,ちょっと話が長くなってしまいましたけれども,委員の先生方には冒頭申しましたように,今後更にまた検討すべき課題もありますので,引き続きの御指導を頂きたいということを重ねてお願いを申し上げまして,そしてこの8回の会議についての御尽力に感謝を申し上げまして,御挨拶とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。


【小林主査】  どうもありがとうございました。どうやら次もやらなければいけないようなことになりましたので,その点について事務局から御説明をお願いいたします。


【八島課長補佐】  次回,第9回につきましては,4月中の開催を今のところ考えております。日時,場所等については未定でございますので,調整次第,お知らせしたいと思います。また,この後,202会議室,同じフロアでございますけれども,本日の会議内容につきまして,小林主査と井上課長の方からブリーフィングをいたしますので,御希望の記者の方は,こちらの方に移動していただければと思います。以上でございます。


【小林主査】  ありがとうございました。


以上で所得連動返還型奨学金制度の有識者会議第8回を終了いたします。本当に委員の皆さん,御協力どうもありがとうございました。

 

―― 了 ――

お問合せ先

高等教育局学生・留学生課