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理工系人材育成に関する産学官円卓会議(第1回) 議事録

1.日時

平成27年5月22日(金曜日) 18時30分~20時30分

2.場所

文部科学省東館15階 15F特別会議室(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 理工系人材育成に関する現状等について
  2. その他

4.出席者

委員

大西委員,内山田委員(代理:永里委員),野路委員,須藤委員,横倉委員,上野委員,藤嶋委員,小畑委員,神谷委員

文部科学省

丹羽文部科学副大臣,吉田高等教育局長,佐野審議官(高等教育局担当),北山専門教育課長,塩見大学振興課長,関専門教育課企画官
経済産業省
片瀬産業技術環境局長,星野産業技術環境局審議官,宮本大学連携推進室長

5.議事録

【北山専門教育課長】  それでは,所定の時刻となりましたので,第1回理工系人材育成に関する産学官円卓会議を開催いたします。委員の皆様方におかれましては,御多忙にも関わらず,また,金曜日のこの時間ということになりましたが,この会議に御参加いただき,まことにありがとうございます。冒頭,進行を務めさせていただきます,文部科学省専門教育課長の北山と申します。よろしくお願いいたします。
 まず初めに,本会議に御参画いただきました委員の先生方でございますが,時間の都合上,資料1の2枚目にございます委員名簿をごらんいただきますことで御紹介に代えさせていただければと存じます。
 この会議の座長につきましては,産業界から内山田委員,大学等から大西委員に共同座長をお願いしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお,本日は内山田委員が所用により御欠席で,代理出席として,経済団体連合会産業技術委員会産学官連携推進部会部会長で旭リサーチセンター相談役の永里善彦様に御出席をしていただいております。
【永里委員(代理)】  よろしくお願いします。
【北山専門教育課長】  さらに,本日は丹羽文部科学副大臣が出席しておりますので,後ほど御挨拶を差し上げます。
 それでは,まず本会議の議事の公開方法を決定する必要がありますので,公開規則の案についてお諮りいたします。資料2をごらんいただけますでしょうか。
 こちら,議事,会議資料ともに原則公開とした上で,会議が非公開とすることが適当であると認めた場合には会議及び会議資料を公開しないことができるとし,また,議事録については,これを作成,公開するものとしますが,会議が非公開となった場合には,これを公開しないものとする,あるいは議事要旨を議事録に代えることができるものとするという形でさせていただければと思っておりますが,この案のとおり決定させていただいてもよろしいでしょうか。
                            (「異議なし」の声あり)
【北山専門教育課長】  ありがとうございます。それでは,御了承いただきました規則に基づきまして,ただいまから会議を公開いたします。傍聴の方に御入室していただきますので,しばらくお待ちください。
 傍聴の方が御入室されましたら,大西座長に御挨拶をお願いいたしますとともに,議事進行は座長にお願いしたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
                                (傍聴者入室)
【北山専門教育課長】  それでは,大西先生,よろしくお願いいたします。
【大西座長】  内山田さんと共同座長を務めることになりました,豊橋技術大学の大西といいます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 理工系,特に「理科離れ」というような言葉が大分前から日本語の一つになりまして,そういうことを遠因として,きょうの会議もあるんだろうと思いますが,私自身は,豊橋技術科学大学という工学系だけの単科大学に今,勤めております。それから,もう一つ,日本学術会議の会長というのを務めているんですが,ここは全体の3分の2がライフサイエンスを含む理科系ということで,比較的理科系の多い組織の中で働いておりますので,理科離れというのがなかなか実感しにくいんですが,恐らく,しかし,世の中全体としては,そういう問題があると思います。
 私にとりましては,むしろ理工系の人材が大学を出た後,もっといろんな社会の場面で活躍できるんではないかと思っています。大学では理工系の教育,あるいは理科系の教育を受けた人間が,管理的な仕事とか,もちろん事務的な仕事も含めて,いろんなところで活躍できるのではないかと思っておりまして,むしろ社会がもっと理科系,理工系の人材を活用するというところにかなり関心がございます。
 ただ,理科系,理工系といっても,いろいろな分野があって,世の中全体としては,専門性という観点から見てのミスマッチもあるという議論もあるようでありまして,この理工系人材育成に関する産学官円卓会議というのは,人材を育てている側,人材を活用する側が,今日は円卓ではなくて四角になっていますけれども,意見を交換することによって新たな課題を発見して,かつ,その課題の解決の方向についても発見をして,よりよい理科系人材を育て,かつ活用する社会を作っていくことができればと考えています。
 きょう,内山田さん,御欠席でありますが,こういう問題に非常に明るい方でありますので,私は内山田さんをお助けしながら,二人でうまくいい結論を得るように議論をお手伝いできればと思っていますので,皆さんの活発な意見交換と御協力をお願いして挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【北山専門教育課長】  また,本日は丹羽文部科学副大臣が出席しておりますので,丹羽副大臣から一言御挨拶申し上げます。よろしくお願いいたします。
【丹羽文部科学副大臣】  それでは,改めまして,皆様,こんばんは。きょうはお忙しいところ,理工系人材育成に関する産学官の円卓会議に御出席いただきまして,本当にありがとうございます。また,各委員の皆様方におかれましては,本当に御多用のところ,この会議の委員に御就任いただきましたこと,厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。ちょっと座らせていただきたいと思います。
 今,我が国の少子高齢化が進んで,労働力人口の減少が見込まれている中で,今後も世界に肩を並べて発展していくためには,やはり各分野で活躍できるような人材の育成が必要だと考えております。そういったときに,文部科学省において,特に理工系人材を戦略的に育成するため,今年3月に理工系人材育成戦略を策定したところでございます。2020年度までの集中して進めるべき三つの方向,一つ目が高等教育の部分の教育研究機能です。また,二つ目として,子供,若者,女性,社会人。さらに,これが一番大事かと思いますが,産学官との会話。これらの三つの方向性の中に10の重点項目を整理させていただきましたが,理工系人材の育成は文部科学省だけで行えるものではありません。我が国が直面いたしております重要な課題に果敢に取り組み,豊かさを実感できる社会を力強く築いていけるような人材を育成するためには,産学官がそれぞれの役割の下で一体となって戦略的な取組を進めていくことが重要だと思います。
 このため,この会議において大変重要な産学官の対話の場でもございますので,今後とも議論を重ねていただきまして,実り多い場となるように,委員の皆様方の御協力を何とぞよろしくお願い申し上げまして御挨拶に代えさせていただきます。きょうは本当にありがとうございます。
【大西座長】  副大臣,どうもありがとうございました。
 次に,経済産業省,片瀬産業技術環境局長からも一言御挨拶していただければと存じます。
【片瀬産業技術環境局長】  経済産業省産業技術環境局長の片瀬でございます。よろしくお願いします。座って御挨拶させていただきます。
 まず本日は,この産学官円卓会議,皆様,大変お忙しいところ,御出席いただきまして,ありがとうございます。本来であれば,副大臣又は政務官が御挨拶申し上げますところを,所用のため出席できませんので,私から一言御挨拶申し上げます。
 先ほど丹羽副大臣からもお話がありましたけれども,日本は少子高齢化という状況にあるわけですけれども,先進国全体で,イノベーションが唯一の成長のドライバーになっている中にありまして,日本は世界の中でも,最も,理工系人材の育成,活用に真剣に取り組まなければいけない立場にあると思っております。しかしながら,現実には,大西座長から冒頭,「理科離れ」という非常に象徴的なお言葉を頂きましたけれども,必ずしも,初等中等教育から,更に大学,大学院教育,それを活用する産業界と見た場合に,社会的ニーズに沿った一流の理工系人材が適正な量的あるいは分野において育成され,活用されている状況とはなかなかいってないということだと思いますし,今,オープンイノベーションという流れがありますけれども,人材がしっかりしてないと,企業の側にとっても,オープンイノベーションは進められない状況にあると思います。
 そういう意味で,教育界と産業界,それぞれの代表者の方々に真剣に御議論いただきまして,相協力して,この問題に対応するための具体的な行動計画を作っていくことが極めて重要だと思っておりますし,そういう意味でも,私ども,文科省,経産省もそういう気持ちで一体となって,この会議を運営し,できたものは実現するということでしっかりやってまいりたいと思いますので,何とぞ活発な御議論と,最終的には具体的な実効ある成果を行動計画として作成いただくということをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【大西座長】  どうもありがとうございました。
 撮影していただきましたけれども,カメラ撮影はここまでということでお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは,議事の内容,中身に入っていきます。
 まず,事務局から配付資料についての確認をお願いいたします。
【関専門教育課企画官】  失礼いたします。お手元の資料の,まず資料1につきましては,産学官円卓会議並びに委員名簿を含む1枚紙,資料2につきましては,先ほど御審議いただきました,「案」が取れました円卓会議の公開,そして,資料3は,文部科学省から「理工系人材育成戦略」,そして,同じく文部科学省から,資料4は「次代の博士」ということで,博士課程のリーディングプログラムの取組,そして,冊子でございます。そして,資料5が経産省から,審議会におけるこれまでの検討等についての資料でございますが,過不足等ございましたら事務局までお申し付けくださいませ。よろしゅうございますか。
【大西座長】  よろしいですか。
 それでは,まず事務局から,今年3月に取りまとめた理工系人材育成戦略をはじめとする現状について説明をお願いすることにいたします。最初に,関企画官からお願いいたします。
【関専門教育課企画官】  失礼いたします。文部科学省専門教育課企画官の関と申します。資料3を御覧ください。概要と本体をお付けしておりますが,本体を使って15分ほどお時間を頂戴して御説明させていただきます。
 先ほど御挨拶にもございましたが,この戦略は文部科学省で,今年の3月に既に策定したものでございます。1枚,目次となっております本編と,資料編はデータと実例と,経済団体から幾つか御提言を頂いておるものの関連する部分と政府の提言という構成になっておりますので,3ページから御説明を始めさせていただければと思います。
 まず,理工系人材の育成の必要性はそもそもというところでございますけれども,先ほど副大臣の御挨拶にもございましたが,下の図にありますように,いわゆる生産年齢というものが非常に減ってきている。一方で,65歳人口の割合が急激に増えていく状況でございまして,片や,右側の図にありますように,18歳人口は減っていく状況がずっと続いている中で,いかにして今後の,日常生活も含めて,グローバル化する中で,世界に肩を並べて新しい産業を起こしていけるか,また技術を維持していけるかというところで,付加価値の高い理工系人材というのは非常に大切になってくると。また,社会構造がどんどん変化していく中では,これまでの価値だけではなくて,イノベーションが非常に大事になってくるところから,理工系人材の育成は今まで以上に大切であるというのがもともとの戦略の発端でございます。
 最後の文章にもありますけれども,質の充実はもちろんでございますけれども,量の確保,いわゆる人口が減っていく中で,単純にパーセンテージでいきますと,質はもちろんなのですけれども,量も減っていきますので,そのあたりを質的な充実と量的確保に向けて人材育成に取り組んでいく必要があるというのが端緒でございます。
 続いて,戦略の位置付けにつきましては4ページでございます。産学官がそれぞれの社会的役割,いわゆる責任と役割に応じて取り組むものでございますけれども,その際に当然ながら,産学官の協働が不可欠でございます。文部科学省において,この戦略の位置付けは,2020年度末までに集中して進めるべき三つの方向性,先ほど,副大臣からもお話がございましたが,三つの方向性と10の重点項目という構成を取っております。この10の重点項目をどのように実現していくか,産学官の対話の場ということで,本日の円卓会議第1回となったわけでございます。
 この戦略に基づきまして,産学官が協働して進める行動計画を作ること,これがこの会議の最大のミッションでございます。この戦略に,今まとめているものをどのように実行に落とし込んでいくかということを,それぞれの項目につきまして深掘りをしていって,実際に2020年に向けて戦略的な人材育成を図っていくことを目指しておるところでございます。
 続いて,5ページでございます。理工系人材に期待される四つの活躍という側面です。まず一つ目のイノベーションはもちろんなのですけれども,「起業,新規事業化」が青い二つ目にございますが,これは下の図にありますように,起業家活動の国際比較をOECDの主要国で見た図でございますけれども,日本は最下位となっております。アメリカと比べても3分の1の希望者というところでございますので,イノベーション,こういったいわゆる起業するという精神も含めての部分が諸外国と比べると低いということであります。また,三つ目の「技術の維持発展」と申しますのは,図の右側にございます,産業界が衰退を懸念している絶滅危惧学科,冶金であるとか化学工学,土木工学といった分野が脆弱になってくると,その産業基盤も脆弱になってしまうということで,技術をいかに維持発展していくかということ。四つ目は,真ん中のデータになりまして,この20年の中で就職について非常に変化してきているという図でございますけれども,これまで理工系人材は半分ぐらいだったところが,第3次産業も含めて,いわゆる事務,サービスも含めて,いろいろな分野に,理科系の素養を持つ人材が多分野に行っている状況が見て取れるところでございます。
 続きまして6ページでございますけれども,そういった四つの活躍,10の重点項目等を目指しまして,戦略としては三つの方向性を持ったものとして整理をさせていただきましたので,7ページ以降,それぞれの重点項目について順に御説明をさせていただきます。
 まず一つ目の戦略の方向性1,これは高等教育段階,大学における理工系教育の質保証を推進するということでございます。当然ながら,大学の中では,産業界と双方にコミットしながら,いわゆる課題解決型であるとか体系的な職業教育プログラムを実施することによって理工系のプロフェッショナルを養成していくであるとか,高等専門学校教育などの高度化に対する取組を行うであるとか,優秀な博士課程の学生を広くグローバルに活躍できるリーダーとして育成するといったことを重点1の中では整理をさせていただいております。
 続きまして重点2でございますけれども,こちらは教育機能のグローバル化の推進でございます。いわゆる技術者の活動は,研究者のみならず,国際化が非常に進展しておりまして,語学のみならず,世界的な,広い視野でデュアル思考と申しましょうか,課題発見,解決できる理工系人材が求められておりまして,留学の機会確保はもちろんなのですけれども,人社の留学と比べますと,実験等が多うございます理工系分野において,どのようにカリキュラムの一つとして留学プログラムを設定していくかといったことも一つの課題かと思われます。現在の取組については中ほどに記載しておりますけれども,スーパーグローバル大学であるとか,「トビタテ! 留学JAPAN」といった取組をしております。また,中ほどに,平成25年12月ですけれども,工学,農学分野を海外からの留学生の受入れ重点分野に設定したところでございます。
 続きまして9ページでございますが,こちらは地域,いわゆる地方創生とも関係しております。地域の企業と連携,産学連携は重要であるということは既に言われておるのですけれども,そのマッチングをするための目利き人材,「マッチングプランナー」という言い方もしておりますけれども,そういった人材が介在することによって,大学の研究成果を社会に還元するということで,現在の取組としましては,左側にございます,被災地での復興促進プログラムを展開しておるところでございます。また,地域イノベーション戦略支援プログラムも23年度から行っているところでございます。
 重点4,10ページでございますが,国立大学においての教育研究組織の整備・再編を通じての理工系人材の育成でございます。こちらは国立大学でミッションの再定義を数年前から行っておりますけれども,大学の強みというものは何かを改めて検討するとともに,限られた財源,資源の中で大学内の組織を,例えば,ここでは秋田大学の例を取っておりますけれども,三つの学部を四つに再編し直すであるとか,今求められている産業的,社会的ニーズであるとか役割に対して,学校の中を再編して,その役割を果たすということで機能強化を図ってきているところでございます。
 続きまして11ページ,こちらは戦略の方向性としては二つ目に入りますが,子供たち,若者,女性,社会人ということで,まず重点5は,初等中等教育段階における創造性等の涵養ということでございます。先ほど座長から,理科離れのお話もございましたけれども,資料の11ページの右側のPISAであるとかTALIS――TALISというのは同じくOECDの教員の指導環境の調査を調べたものでございますけれども,例えば,PISAでも数学等に対しての学習意欲はOECDの中の平均以下であったりとか,TALISの資料でいきますと,日本の教員は主体的な学びを引き出す自信が低いといったようなことが調査結果から指摘されております。これを受けまして,現在の取組として,左側に書いておりますけれども,まずは理科離れをしないためには,理科好き,小学校,中学校の段階からいかにして理科を好きになってもらうというか,取り組めるかということで,特に理科の教員につきましては,新しく科学等が変化していく中で教える自信がないということに対して,専科の指導をできる教員を置くなど,加配措置,アシスタントの配置も含めて実施をしております。高等段階にいきますと,チャレンジする個性の伸張ということで,スーパーサイエンスハイスクールといった事業であるとか,グローバルサイエンスキャンパスというのは,大学と高校が連携しまして,高校生が大学で学ぶといったことも今現在取り組んでいるところでございます。それ以外に,国際科学オリンピックへの支援等も一つの場として取り組んでいるところでございます。
 12ページの重点6でございますが,こちらは若手の研究者のベンチャーマインドの育成ということで,ベンチャーという部分が非常に弱いということに対して,現在の取組としては,横文字で恐縮ですが,グローバルアントレプレナー育成促進事業。いわゆる起業家精神を持とうということで,大学や企業が一緒にイノベーション人材を創出できるような取組を文科省の中で支援をしているところでございます。
 続きまして13ページでございますが,こちらは同じく方向性2の中の女性の理工系分野への進出の推進に当たりまして,例えば,今現在の取組としましては,一つ目はJST(科学技術振興機構)の中で女性研究者の出産,育児,介護等があった場合の両立のための支援であるとか,二つ目はJSPS(日本学術振興会)で,RPDというのはリスタートという意味だそうなのですけれども,ポスドクの,いわゆる産休のときにも研究が寸断することのないようにといった支援をしているところでございます。
 14ページは重点8,若手の研究者ということで,今までも既にやってきているところでございますけれども,雇用の安定という意味で,現在の取組としては,テニュアトラック制を実施する大学を支援したりであるとか,幾つかの大学でコンソーシアムをしてキャリアアップを図る仕組みを支援したりしているところでございます。
 続きまして15ページの重点9でございますが,こちらは少し観点は変わりますが,いわゆる学び直しの促進でございます。産業技術革新が非常に進んでおりますので,社会に出た方が新たにまた技術を学びたいといったことに対してどう支援しているかというものでございます。15ページの右側にございますように,修士課程への需要ということで,学び直しをしたいかしたくないかという質問に対して,半分はしたいという回答がございますが,費用が高い等の理由もあって,しないという人もいるのですけれども,文科省の中では今現在,大きく二つの取組,大学等のコンソーシアムを組んだものであったりとか,大学院でのプログラムを展開しておるものでございます。
 以上,駆け足で恐縮でしたけれども,大きく重点9まで説明してまいりましたが,最後に重点10でございます。産学官の円卓会議の場で戦略を確実に実行するための行動計画を検討していくということで,16ページの下にありますけれども,人材の育成と人材需要・雇用のマッチングを促進することを図っていきたいと考えております。様々な御意見やヒアリングも今後あるかと思いますけれども,是非とも御検討よろしくお願いいたします。
 説明は以上でございます。
【大西座長】  ありがとうございました。
 続いて,大学振興課の塩見課長から資料4について説明をしていただきます。お願いします。
【塩見大学振興課長】  失礼いたします。文部科学省大学振興課長の塩見と申します。私から,5分間だけ頂きまして,資料4に基づきまして御紹介させていただきます。
 資料4は,先ほどの戦略の中の重点1にも出てまいりましたけれども,リーディング大学院の関係の資料でございます。「グローバルに活躍する『次代の博士』の養成」ということで,今回,御紹介させていただきたいと思っております。資料でございますけれども,表紙をめくっていただきますと,このあたりは皆様御承知のとおりでございますが,今,我が国における博士が一体どういう状況にあるかでございまして,まず1ページ目は,主要国における人口100万人当たりの博士の数ということでございますけれども,日本の博士号取得者数は外国に比べて低水準である上に,更に数が減少傾向にある状況でございます。
 それから,その次のページをごらんいただきますと,これもよく御承知の資料と存じますけれども,各国の企業における博士号取得者の状況でございまして,企業の研究者に占める博士号取得者の割合を見てまいりますと,我が国は他国に比べて極めて低い状況にあるということでございますし,また,日本の企業役員等の最終学歴で見てまいりますと,日本の企業の役員,大学院卒が占める割合はわずか5.9%というような状況にあるということで,こちらも諸外国と比べて低い状況にあるということでございます。
 その次のページをごらんいただきますと,それでは,なぜ民間企業において博士がなかなか採用されないのかという現状の分析についてでございますけれども,この調査結果からいたしますと,特定の専門知識があっても,なかなか企業ではすぐに活用できないでございますとか,あるいは,社内の研究者の能力を高める方が博士修了者を採用するよりも効果的であるという御意見がございます。
 その次のページをごらんいただきますと,これは製造業において,博士課程修了者に対して特にどういう能力を重視しているかということをお聞きしたものでございますけれども,これをごらんいただきますと,専門知識・研究内容,あるいは論理的な思考力といった力だけではなくて,熱意・意欲,行動力・実行力,チームワーク力といったような,赤で囲んだような部分がかなり高い割合で求められている状況でございます。
 こうした状況を踏まえまして,文部科学省で実施しておりますのが博士課程教育リーディングプログラムという事業でございまして,5ページにその概要についてお示ししてございます。このリーディングプログラムがどういうものかということでございますけれども,従来の博士課程教育が,この資料の左側にございますように,アカデミアの研究者養成を主目的として,かなり専門分野,深く細分化した形で研究を行っていくというものであるのに対しまして,今回のリーディング大学院につきましては,専門分野の枠を超えた,博士課程前期・後期一貫したプログラムを実施することを通じまして,広く現在,産業界を含めまして求められております俯瞰力や独創力を備え,広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーを養成していこうということを目標にしております。でございますので,この三角形で表されておりますけれども,ごらんいただければお分かりのとおり,専門の枠を超えた体系的な教育を広く行っていくということでございますし,また,国内外の多様なセクターから第一級の教員を結集するということ,また,産学官の参画による国際的・実践的な研究訓練の場を設けるといったようなことを特色としておりまして,こうしたプログラムを通じまして,先ほど,特に求められております熱意・意欲,行動力・実行力,チームワーク力を備えたタフなリーダーとなる次代の博士を育成しようということでございます。
 その次のページには,現在,33大学62拠点で行っております全体の大学の位置関係を表してございますけれども,その次のページ以降に,事例といたしまして,現在,慶應義塾大学で取り組んでいただいております「超成熟社会発展のサイエンス」というプログラムの例をお示ししてございますけれども,詳細を御紹介する時間はございませんが,13研究科から選抜された学生が切磋琢磨するシステムになっておりまして,この中で文理融合の新しい博士を育成していこうという取組が進められているところでございます。また,博士の行き先としましても,産業界,国際機関,国・地方行政体ということで幅広い分野で活躍するリーダーを育成していこうということでございます。
 その次のページをごらんいただきますと,文理にわたる修士号を二つ取るということと併せて博士を取っていくという非常に意欲的なプログラムでございますし,また,その次のページには,企業や行政体の現役の部長クラスの皆様にメンターとして参加していただいて,個別演習などを行って,極めて実践的なプログラムを行っているということでございますとか,駆け足で恐縮ですが,更に次のページには,計画的な海外派遣ということで,一貫して海外での様々な活動も行ってもらおうということも含めて取り組んでいただいております。
 こうしたプログラムに関しましては,その次のページ,11ページでございますけれども,様々,高い評価を頂いてきているところでございますが,平成23年度から事業開始いたしまして,本年で5年目ということで,いよいよ第1期生が本年度末に修了いたしまして,社会に飛び立つ予定になってきております。現在,こうしたプログラムを通じまして,広い視野また文理融合の柔軟性と専門性,創造性,コミュニケーション能力,主体性を兼ね備えたたくましさを持つ次の時代の博士を育成しようということで取り組んできているところでございまして,最後のページをごらんいただきますと,こうした取組に関しまして,様々な分野で多くの成果も上がってきている状況でございます。こうした新しい時代の博士の育成,現在,多くの大学で進められているところでございますので,今回,第1期の修了生も出る中におきまして,是非関係の皆様にもこうした取組,御理解していただいて,こうした新しい博士がいろんな分野で活躍できるように,是非御配慮いただければということで御紹介させていただきました。
 以上でございます。ありがとうございました。
【大西座長】  どうもありがとうございました。
 続いて,資料5を使って,経産省大学連携推進室,宮本室長さんから御説明をお願いします。
【宮本大学連携推進室長】  それでは,資料5に基づきまして説明させていただきます。
 経産省では,産業構造審議会において,理工系人材に関する施策について,いろいろな議論をしておりましたし,それ以降もいろいろな施策を行っておりまして,そのあたりを御紹介させていただければと思います。
 ページをめくっていただきまして,2ページ目,3ページ目,これはこれまで議論してきた経過とメンバーでございます。4ページを見ていただければと思います。産業構造審議会の中では,文科省様が御説明された問題意識とほぼ一緒なのですけれども,少子化の中で,理工系の人材をどういうふうに質的・量的に確保していくかと,同じような問題意識で議論がされております。
 特に右下の理工系学生の数がどうなっているのかという図を見ますと,大学の入学者の総数は,この15年ほど,特に変わっていないのですけれども,理工系,理学,農学,工学の学科への入学者数の全体に占める比率が25%から20%ぐらいに下がってきておりまして,それに伴って数自体も減少傾向にある状況が見られているかと思います。
 次の5ページを見ていただきますと,研究人材について,どういった課題があるかということの紹介でございます。理工系に進学しても専門分野に特化した教育が行われてしまうので実践能力に課題があるのではないか,という議論もございましたし,それから,特に博士課程の在籍者については,有給で雇用するような機会は,欧米にはそういうことが結構あるのですけれども,日本ではなかなかない,といったようなことも指摘がされています。
 こういった中で,打開する取組として,右下の方に書いてありますけれども,例えば,産総研のイノベーションスクールでは,ポスドクの方を中心に1年程度雇用し,その間に企業のOJT等に関わっていただき,人材育成します。日本全体のポスドクの平均で言いますと,ポスドクの任期が終了しますと,約8割弱ぐらいは,もう一度新たなポスドクのポストに就くという実態になっておりますが,産総研のイノベーションスクールの修了者は,76%が正規就業できているということになっております。ただ,人数が少ないものですから,こういった取組をもっと広げて,ポスドクの方々の社会での活用を促進していく必要があるのかと思っています。
 また,それ以外の取組としまして,これは恐らくリーディングプログラムの中でもそういったことを推進しておられると思いますが,経産省におきましても,特に博士課程の学生の教育の一つとして,中長期,2か月以上の研究インターンシップが継続的,自立的に実施されることを目指しまして,産学のコンソーシアムを平成26年1月に設立しました。そこを活用して,企業でいろんな受入れ事例を作っていただいて,そこに大学側が博士課程の学生を紹介し,中長期のインターンシップに派遣をする。そういう中で教育効果を発揮していく。これを,会員企業をどんどん増やしまして,大きくしていければと考えております。こういった取組もしております。
 それから,次の7ページを見ていただきますと,理工系の人材としては,研究開発マネジメントに関わる人材も非常に重要な人材として育成が必要であるという御指摘がされております。研究開発マネジメントの専門人材の層を厚くすることが必要でありまして,JSTもそうだと思いますが,例えば,NEDOのようなファンディングエージェンシーでも,そういった人材の育成に資するようにキャリアパスを確立することで,長期的にこういった人材の育成ができるようにしていくべきだ,というような議論をしております。
 それから,次の8ページを見ていただきますと,企業におけるイノベーションの創出を促進するためということで,Management of Technology(MOT)の教育を普及する取組を行っています。平成14年以降,政府でそういった取組を促進し,設置支援を行ってきておりましたが,現在ではMOTの学位プログラムが40以上存在するようになってきていますけれども,その実態をいろいろ調べてみますと,やはり課題も幾つか指摘されておりまして,例えば,企業の中でもそういったMOTの学科で卒業した人材を積極的に活用することができるのではないか,という議論もされております。
 9ページを見ていただきますと,その時々によって産業ニーズが変わるものですから,こういった研究人材につきましても,1か所にとどまるのではなくて,適材適所で流動化していただいて,優秀な人材を適切な場所で活用していただくと。そのために,優秀な人がいろんな組織をまたがって動けるようにする取組が必要だろうということで,クロスアポイントメント制度を作る必要があるだろうということも議論がされております。
 それから,10ページを見ていただきますと,少子化に伴って,そもそも理工系人材自体の数が少なくなってきている問題に対処するために,裾野の拡大といたしまして,初等中等教育の段階から理工系に関心を持つ生徒さんの数をどうやって増やすかと。こういった中で,実社会と結び付いた理科実験みたいなものをやっている中で効果が上がっているのではないか,という指摘もございました。また,女性研究者につきましても,特に理工系の中では比率が低いということになってございますので,少してこ入れすることで数を増やせるポテンシャルが大きいんじゃないだろうか,ということも考えております。
 それ以外の論点といたしましては,11ページを見ていただきますと,先ほどからいろいろなところで話が出ていますが,特に民間企業では,博士課程より修士課程の修了者を採用していることが多いわけですけれども,こういった人が研究開発部門のリーダーとなっていけるように,例えば,産総研等の公的研究機関でも社会人の教育に貢献することによって,そうした人材の博士号の取得を支援していくことも考えたらどうか,ということも指摘されております。
 それから,7番目といたしまして,産業構造審議会においても,産学官の対話の場を構築して,こういった具体策を議論するべきという同じような問題意識識でございまして,まさに本日,こういった場ができたのは非常によかったと考えている次第でございます。
 それから,今御紹介させていただいた議論の論点は,昨年の6月の中間取りまとめまでの過程で議論されてきたものでございますけれども,その後,半年少しの間に進展した部分もございますので,そこも少し紹介させていただきます。
 12ページを見ていただきますと,先ほど,クロスアポイントメント制度の枠組みを作ることが必要だということを御指摘していただいておりましたが,実際には昨年の12月26日に,研究者が医療保険・年金や退職金等の面で不利益を被ることなく複数の機関に雇用され,その結果,複数の機関でそれぞれの機関の役割に応じた仕事をすることができるようにという,そのための方法を細かく定めた枠組みと留意点を取りまとめております。現在,この枠組みと留意点に従って,産総研や大学との間でもこういったクロスアポイントが始まっているものと承知しております。
 その次のページを見ていただきますと,今のクロスアポイントメント制度の活用促進に加えて,丸3のところに書いてありますが,大学院生,特に博士課程の学生について,有給で仕事をしてもらうことは,欧米には比較的あるが,日本にはほとんどないというお話をさせていただきましたが,産総研の場で,有給で博士課程の学生の人にリサーチアシスタントしていただく制度を導入いたしました。今年の4月から運用を開始しておりまして,46名の大学院生をリサーチアシスタントとして受入れをしているところでございます。
 それから,14ページを見ていただきますと,NEDOにおけるプロジェクトマネジメント力の強化ということに関しましては,NEDOで選定いたしましたプロジェクト・マネジャーについて,有力技術の選定,資金配分などの裁量,権限を強化するということを行っておりまして,こういったことを通じて,プロジェクトマネジメントにおいても能力を発揮していただき経験を積んでいただき,人材の育成につなげることもやっております。
 それから,15ページ目以降でございますけれども,具体的に,産業ニーズと教育機関で行っていただく教育内容の間で,もしミスマッチがあるとすれば,それは一体どういうものなのかということを明らかにするための調査もやってまいりました。そのあたりを少し紹介させていただければと思います。15ページ,今年の1月下旬から2月上旬にかけて,産業界で働いている技術者を対象にアンケート調査をいたしました。有効回答,9,822人ということで約1万人弱の方からの回答をしていただいています。年齢層は20歳から44歳まででありまして,現在,理工系の知識を現場で使っておられる可能性が高い方々に集中しようということで,年齢を44歳までにいたしました。
 9,800人の方々の最終学歴の内訳で申し上げますと,学部,修士の方が9割ぐらいを占めるという形になっております。業種で申し上げますと,機械系,電気系,材料系,化学系,情報系,建設系と,いろいろな業種にまたがって回答が得られている状況でございます。これらの方々に,現在,企業において従事している業務で用いている重要な専門分野を最大三つ挙げていただきました。合計,約3万弱のデータを収集したということでございます。
 この分析結果について,16ページ目以降で少し紹介をさせていただければと思います。16ページ目,これは企業人の方々が日頃用いておられる約3万弱の専門分野の知識がどういう分野に分布しているかというのを全て集計して足し上げたものでございます。横軸には,いろいろな学問分野を区分して書かせていただいておりまして,これを見ていただきますと,棒グラフが赤と緑から成るものがございますが,赤と緑を足したものが,企業の方々が現在の業務で使っている専門知識として重要なものを最大三つということで提示していただいた約3万の分布の状況でございます。ここが赤と緑に分かれておりますのは,このうち,特に大学で学ぶ必要があると言っている知識と,いや,これは大学等で学ぶのではなくて,やはり社会人になって,会社の中のOJTなり何なりで学んでいくべき内容だというものとに分けて,どちらかということを聞いておりましたので,そこの回答に応じまして緑と赤に区分をさせていただいています。
 全体の傾向を見ていただきますと,特に,機械,ITの分野で,産業界で使われている知識としての頻度が高いことがわかるかと思います。あと,企業に入ってから学べばいいんだという,緑の部分の比率を見ますと,ITは比較的そういった部分の比較が高い一方,機械とかほかの産業分野では,大学教育に対する期待の割合が比較的高いと,このあたりもわかるかと思います。
 それから,緑の点線は,各分野における科研費で過去採択された研究者の数,つまり,世の中に存在する研究者の数に近似しているものと思われるのですけれども,それをプロットしたものでございます。これを見ていただきますと,例えば,ITの分野では,産業界での業務で使うのに重要だとされている専門分野の知識としての重要性が非常に高く出ているのに比べると,そういった分野の研究者が非常に少ない。一方で,右の方がバイオですけれども,産業界で使われている専門分野の知識としては,割合は低いのですが,そういった分野の研究者は非常にたくさんおられます。このあたりのこともございまして,専門分野のニーズが,採用の人数とそれなりにリンクしているのであれば,こういったところにも何らかのミスマッチがあるということかもしれません。
 それから,17ページ目以降を少し簡単に御紹介します。今の16ページのグラフは全産業分野の集計を一つの表にしたものでございますが,産業といいましても,いろいろな業種の産業に分かれておりますので,例えば,機械とか化学とかいろいろな分野に分けてクロスを取ったものでございます。これを見ていただきますと,最初の17ページ,機械系の業種に属する,例えば自動車とか,そういった分野に属する方々のみで集計をするとどうなるかといいますと,専ら用いる専門分野の知識というのは機械の分野に集中しているという状況になっております。機械の分野の中を細かくデータを取っておりまして,それを右の方に小さいグラフで書いておりますが,機械で必要とされる学問分野の中でも,設計工学,機構学,これは,歯車のことですが,それから,機械材料,材料力学,こういったところで,特に大学における教育に対する期待が高く出ていたりするのが明確でした。一方で,流体工学,メカトロニクスというのは,研究者は,比較的,ほかの細目分野よりもおられる,という傾向が見られます。
 それから,電気の方に移りますと,先ほどの機械から連想しますと,電気の分野を学ぶというのが圧倒的に高く出るのかと思って見ましたら,電気の分野に係る専門分野の教育ニーズのみならず,機械についても非常に高く出ておりました。それから,ITの分野についても出ていると,こういった特徴が機械とちょっと違うように見えます。
 次のページ,材料のところを見ていただきますと,材料化学に関する教育ニーズは高いですが,それ以上に機械が高い。それから,今度は生産・安全のような分野が高いということも見られます。
 それから,20ページを見ていただきますと,化学におきまして,化学に関する教育ニーズは高いのですけれども,そのほかに機械,分子生物学,薬学,食品と,このあたりも高く,恐らく製薬系とかも入っているのでそうなっているのだと思いますが,そういう部分も見られます。
 建設業につきましては,土木建築で高いですが,それ以外に,機械,電気,デザイン,IT,こういったほかの分野においても広く教育ニーズを示しています。
 最後,情報でございます。22ページを見ていただきますと,情報はまた機械と同じようでありまして,情報産業の方々は情報の分野にピークが全て集中しているという状況になっておりまして,情報の中でどういった分野になっているかということで,右のグラフを見ますと,ソフトウエア,非常に基礎的な部分に関する教育ニーズが高かったり,データベース・検索のように,いろいろなところで言われていますけれども,ビッグデータの解析といったところもニーズがあります。いずれにいたしましても,今,業種の細かい話を少し紹介させていただきましたが,産業ニーズといいましても,産業分野ごとに教育機関に求める教育ニーズは必ずしも同じではなく,異なるものですから,きめ細かく分析して対応していかないと,なかなかミスマッチの解消につながらないということもあるかもしれません。そのあたりを少し強調させていただきました。
 それから,初等中等教育に関しましても分析した部分がございますので,23ページ,24ページで紹介させていただきます。初等中等教育におきまして,特に理工系の人材の裾野を拡大するという観点では,大学進学の時点で理系に進学する人たちの数を増やすことが一つ重要な課題になるかと思います。また,そのときに,特に産業界での雇用ニーズ等の高い分野に,大学受験生の人たちの進路希望が合致することで,産業ニーズとのミスマッチの解消につながるだろうということで,調査をいたしました。
 まず,この調査に当たりましては,全国の高校教員で進路指導に当たっておられる方々,1,353人の方にアンケート調査を,今年の3月に行いまして,有効回答503人得たものでございます。この結果,進路指導に当たっておられる方々に,進路指導に当たって重視する事項とはどういう内容ですかとお聞きしましたら,一番高く出ているのが,将来の仕事をイメージして,そのために有効な教育が受けられる学部・学科を選択することが重要だと答えていただいております。実際の進路指導の話題に当たりましても,三つに分かれておりますが,三つ足すと,それなりの高さになりますので紹介します。「仕事の内容や社会・企業の動き」「学問と実社会の仕事との関係」「志望校の卒業後の就職状況」,こういったところを意識してやっていただいているのだと思います。もちろん,それ以外に偏差値などもございます。
 それでは,どういった学部・学科が就職に結び付くか,あるいは産業ニーズに結び付くかと考えておられるかを聞いてみたものでございまして,紫のデータが,高校教員が実社会で重要と考えている専門分野として選んでいただいたものでございます。これを見ていただきますと,例えば,情報のITの分野につきましては,産業ニーズが非常に高いけれども,そういった分野が実社会で重要だという認識が少し低いようです。あと,電気も,ギャップが見られます。
 それから,逆で申し上げますと,環境,エネルギー,生活・家政,バイオといった分野では,産業界のニーズがある専門分野としては重要性がそこまでないのですけれども,高校教員としては,こういった分野が重要というようなところもございまして,部分的には,こういったずれがいろいろ見られます。例えば,こういうところが少しでも改善していけば,理工系の生徒さんの産業ニーズのある分野への進学を通じて,産業ニーズと大学教育の間のミスマッチの解消にもつながるかもしれないと考えたわけでございまして,このあたり,新たな今後のアクションを考える上でヒントとなるかもしれないと思って調査したところを紹介させていただきました。
 私から以上です。
【大西座長】  どうもありがとうございました。両省それぞれ,この円卓会議開催に向けて,審議会あるいは,それぞれでまとめていただいた内容を発表していただきました。お聞きいただいたように,かなり多岐にわたる問題がそれぞれ出てきているということで,いわば理工系というか,特に中堅技術者,理工系というと,大学では卒業する人もかなり多いので,学士,修士,高専卒,あるいは工業高校卒とか,全体として技術系の人材,そういう専門分野に向かう子供が少なくなっているのか,あるいは,そこを卒業して企業に行く人間が企業から見て足りないという,そういうところの問題群が一つあるかなと。
 もう一つは,博士離れ。理工離れというよりも,博士に行く学生が少ないという話題も出てきたと思いますので,博士を出たような,そもそも行く人間が少ないという実態,あるいは,それはある意味で,出た人が思うところに勤められないということもあると思うので,博士の進路に関わるような問題も一つあると。それから,最後の方の話題は,理工系と一口に言っても,その中にいろんな分野があると。そこにミスマッチが起こっているのではないかという議論もあると思います。
 それで,きょうは1回目ですので,それぞれの方がどこに,理工系人材育成についての問題点,課題が存在するのか,そこを少し整理していただいて,御発言していただいて,問題となっているところを共有するというふうにしたいと思います。大体1時間弱,55分ほどありますので,私を除くと8人いらっしゃるので,かなり時間はたっぷりあるということだと思いますので,御自由に御発言いただきたいと思います。何となく,経産省サイドが産業界,文科省サイドが学校ということになっていますが,円卓になってないんだけど,それを忘れて,ノーサイドで,いろんな角度から議論していただくのがよろしいかなと思います。
 特に最初の方は御指名しませんので,準備のできた方から挙手で御発言いただきたいと思います。全員に発言していただきたいので,最後の方は,あるいは御指名させていただくかもしれません。よろしくお願いいたします。何回でも。
 じゃあ,どうぞ,上野委員から。
【上野委員】  後で指名されるのも困りますので,一応,発言だけしておきます。
 資料3,4,5を御説明いただきまして,大変失礼ながら,全くそのとおりというのが実感でございます。それで,全く言わずもがなのことですけれども,やはり博士漂流時代というのが大学にとっても非常に重い課題で,かつ,大学の教育力のみならず,研究力もどんどん,どんどん下げている,弱めている非常に大きな要因であることは確かだと思います。
 人口当たりのPh.D.の輩出率,日本ではかなり少ないとはいえ,最近,修士から博士課程への進学率がずるずる,ずるずる低下しています。したがって,このままだと,大学の研究力自身が極めて脆弱になるというのは,これは全くそのとおりで,したがって,博士の人たちのキャリアパスの問題を抜本的に定義しないと大学自体が全く立ち行かなくなる,力が弱まっていく,そういうことを常々,非常に痛切に感じております。
 したがって,塩見課長が御説明なさったような,いわゆる分野横断型のプログラム,狭い研究科,専攻,もっと言うと研究室に閉じ込めた狭い範囲の見識しか持てない博士ということから,幅広い視野を持てる分野横断プログラムを大学自身が改革していくことは大変重要な課題と受け止めておりますので,私どもの大学も遅ればせながら,そういうことに取り組み始めております。
 ただ,逆に,そういうことをどんどん加速していきますと,ピュアなサイエンスのベーシックな研究力,国際競争力を弱めることにもなりかねないので,その辺のところは大変難しい課題だなと思っております。
 とりあえず,ちょっと発言しておきます。
【大西座長】  ありがとうございます。
 どうぞ,須藤委員,お願いします。
【須藤委員】  最初から原則論になって申し訳ないのですが,今,両省から説明をしていただいて,中身は非常によく整理されているので,我々も頭を整理できたのですが,まず,なぜ入ってないのかなと思いましたのが,理工系の人材がいないとか理科離れとか言われていますが,なぜそうなのか,何を日本としてしなければならないのか,あるいは,どのような魅力的な社会を作らなければならないのか,などの方向性が全然見えないので,一生の仕事として技術者になろうとか,科学者になろうという人が少なくなってしまうのかなという気がしています。今,第5期の科学技術基本計画等で,冒頭で何をすべきかはっきりと定義しようとしていますよね。それを実現するために,大学はこうしなければいけない,産業界はこうしなければいけないという,その整理の最初の段階が今日の資料で抜けているのではないかなという気がしました。やはり日本として,科学技術として,どういう分野に注力するのだと。そのためには,大学でどういうことを教育しなければいけない,あるいは産業界がどう変わらなければいけないというのを整理する必要があるのではないかなという気がしました。
 それから,また後でもいいのですけれども,各論になってきますと,ミスマッチの話が出ましたけれども,やはり産業界が社会を変革しようとして取り組んでいるところと,大学が重点的に取り組んでいるところに若干ずれがあると思います。そこのところは,今日の整理を基に,もう一回考える必要があります。
 特に人数,例えば,バイオはかなり大学が多い。確かに,バイオは大事なので,やらなければいけないと思うのですけれども,残念なからバイオを出た人を雇う会社というのは,何十人,何百人と採るような会社ではないので,枠が少ないといいますか。機械とか電気というのは,何十人,何百人と採る会社が日本中にいっぱいあるので,その辺の需要と供給のバランスも考えて,ミスマッチを解消しなければいけないのではないかなという気がしました。
 以上です。
【大西座長】  ありがとうございます。どうぞ。
【藤嶋委員】  私,私立の理工系を代表するという立場で呼ばれていますので,そういう点で申し上げますと,私の大学もそうですけれども,大体みんな,マスターまで行く,つまり6年制一貫教育をしていてというので,特に先ほどのデータで分かるんですけれども,例えば機械系なんか,マスターで引っ張りだこなんですね。何しろ,すごいいい条件で機械系なんかは引っ張られちゃうので,だから,ドクター,非常に難しい。しかも,ドクターに行くと経済的に大変で,先ほどのTAとかリサーチアシスタントとかティーチングアシスタントという制度が一応ありますけれども,私どももありますけれども,その待遇が悪いし,将来も企業でそんなに優遇していただけないというのだと,どうしても学生はマスターで終わってということで,私たち自身も今,4年制プラス2年制じゃなくて,3対3というか,3年生までで基礎をやって,あとは卒論に入って,3年間でがっちりとというようなことになってきているんですけれども,そういう点でドクターが少ないというのは,やはり企業でも優遇していただかないと難しいんじゃないかなと思っていますので,随時,ドクターの学生に対する特別な待遇をしていただく。奨学金もちゃんと,今の一番厳しいのは日本育英会の奨学金制度。前は,アカデミックポジションに行けば免除になっていたというのが多いんですけれども,今はマスター,あるいはドクターが終わった時点で限られた人数しか全面の免除にならなくて,その割合も非常に少ないですね。だから,そういう点でもドクターに行くのは非常に厳しい状況になっている。その辺のところを,制度をちょっと変えていただいてというのが必要じゃないかなと思います。
 それから,もう一つは,やはりマスターでもそうですけれども,基本的な専門教育プラス教養教育をぱちっとやらないと,欧米に比べての人材を,企業でもやっていただくような人をやるには,大学院での教養教育をちゃんとやりたいなと思って,私ども,始めているんですけれども,そういう幅広い知識を持ったドクター人材を出していくことがいかに重要かというのを,今,本当に感じております。
 あと,理科離れというのがあって,私自身もいろいろ,理科離れを防ぐために,小中高に行って出前授業などをやっていますけれども,そういうところで,もう一つ大事なのは誰かというと,お母さんに対する教育ですね。理科が面白いということを,お母さん自身が感じてもらえるような。生徒,子供たちよりもお母さんが興味を持ってくれるような,理科が面白いよ,こんな面白い分野が,お母さんも思ったよというので,自分の子供をそういう方向に誘導してもらうのが一番大事じゃないかなと思っているんですけれども。
 以上です。
【大西座長】  ありがとうございます。
【吉田高等教育局長】  ちょっとよろしいですか。
【大西座長】  はい。
【吉田高等教育局長】  今の藤嶋委員の御発言の中で奨学金の話がありましたので,事実関係だけ補足をしておきますと,確かに,委員おっしゃいますように,日本学生支援機構の奨学金で,大学院の関係で業績優秀者返還免除制度というのがございます。実は昨年度までは,最後の修了の段階で返還免除制度が受けられるかどうかということを判断していたんですけれども,今年度の分から,最初に大学院に進学する段階で,一種の予約ですけれども,もちろんその後,成績が悪くなっちゃうと駄目になるんですが,進学の段階で,あなたは候補者ですよということを決定するという,そういった仕組みを導入しましたので,そういう意味では,少し進学のインセンティブという形にはなってくるだろうと,こういうふうに思います。
【藤嶋委員】  そうですね。そういう点では,あれをもっと増やしていただきたいな。でも,それで安心して,今度,いい成績じゃないと困るので,今は,卒業した4月の時点で分かるんですね。つまり,すごい借金を持って卒業する人が多くなっちゃうんですよ。だから,その辺はちょっとやっぱり,それで不安だから,ドクターに行くのは非常にためらいますよね。
【大西座長】  じゃあ,横倉委員,お願いします。
【横倉委員】  私,商工会議所という名前で出ていますので,そういう立場でも言わないといけないのかなと思うのですけど,高度人材の話の方に行ってしまうのですけれども,日本の中で中堅・中小企業の比率は大変高いですし,そこで働く理工系出身の人材も多くいるわけなのですけれども,恒常的な問題,課題というのは,いずれにしても,採りたい人材を採れないというところで,中途なり大手を卒業されたような方をやむなく採ってこなしていると,そのようなところが現状なのですけど,だんだん機運としては,中小企業や中堅企業の方がいろいろ新しいことにチャレンジできる時代になってきておりまして,そういう意味では,理工系人材に求めるところは大企業と似ていて,今日,出ていたところで言うと,アントレプレナーシップといいますか,起業家育成といいますか,やっぱりそういうところが足らないのではないかな,そのように強く思っております。ですから,アメリカでは,あるところは学生にお金を渡して起業家まで持っていけと,そのようなことをやっている大学院といいますか,そういうところもあるやに聞いておりますけれども,そういう教育を4学年の上の方か大学院の当たりで取り組むというのが必要なのかなと。
 それから,もう一つは,博士課程の話がございましたけれども,大学の研究者というのは,やはり論文にならないと興味を持たないというところが,誤解もあるかもしれませんけど,習性があるのだろうと思うのですけど,研究者に対しての評価がそういうやり方だけでいいのかと。やはりこれからは,それだけではなくて,企業との共同研究をいかにやっているかとか,そういうところをしっかりと評価する。そして,特に博士が企業に歓迎されないというのを,幾ら大学の中だけでやっても,それは解決にすっといくのは相当難しいのではないかなと。やはりもう企業との共同研究をマストにするというような中で,それを条件にして,そういう中で経験を積むといいますか,そういうことをしていかないと,企業の方でも活躍できるところになかなかつながらないのではないかな,そのように思います。
 とりあえず以上です。
【大西座長】  永里委員,どうぞ。
【永里委員(代理)】  今日の御説明はたくさんありましたので,たくさんお話ししたいことはあります。まず,須藤委員のおっしゃったそもそも論のことについては,そのようなことは分かった上で,優秀なる官僚がこれを説明していると解釈いたしまして,くだけた話で恐縮ですが,今日の日経新聞の「経済教室」にエズラ・ヴォーゲル教授が書いています。読んだ方もいらっしゃると思います。ポイントだけ言います。79年に自分が『Japan as Number One』で書いた日本の良さは今も変わらないと。それで,3番目にこう書いています。日本の大学の質を高め,国際化を図るべきだと。世界の一流大学では広く英語を使用し,各国から有力学者を招いていると。日本は義務教育と科学分野の国際化では輝かしい実績を上げたが,大学の教育,研究の質はおおむね国際標準に達していないということです。今日,大学の先生もいらっしゃるので,これについて反論があるかもしれませんけれども,そういうことを踏まえた上で言いますと,今日の御説明の中の重点2に「教育機能のグローバル化の推進」,これは資料3の1ページにそういうのが出ていますけれども,実際は,例えば,旧7帝大と東工大の工学部連合である八大学工学系連合会というのがあるのですけれども,これらの大学では既に博士課程の約3分の1が外国人になっています。数としてはグローバル化しているわけです。今後は,その人材の質や日本人のグローバル人材化に向けた議論にやはりシフトしなければいけないと思います。その上で優秀人材獲得のためには,海外留学生に日本の大学水準を国際的に示す質保証,大学水準の明瞭化が必要だろうと思います。こういうことを怠っていますと,やっぱりエズラ・ヴォーゲルが指摘したようなことになるのだろうと思います。
 だから,教育の質を高めるというのは,今日の資料の中で,3人の方から説明がありましたが,そこは強調なさいませんでしたけど,最初によく見ると,実は入っているはずなのですね。そういう点では,教育の質を,イギリスにおいてはQAA,クオリティ・アシュアランス・エージェンシーがありますが,質保証について,ちゃんとそういう制度ができていますし,それから,研究の評価に関しては,また別の制度があります。すなわち,イギリスのそういう制度を参考にして,教育の質を高めて透明化して,各大学同士が切磋琢磨するようなことにすべきだろうと思います。
 そのほかに,また,地方創生の話もありました。これは逆に,今,イギリスの話をしましたけれども,ドイツのフラウンホーファーは,皆さん,御存じですけれども,67もの研究所があります。各地域にありまして,各地域の大学と結託して,一緒に共同研究しているわけです。所長が大学教授です。だから,これでもうすぐ分かることになりますけれども,デュアル・アポイントメントですね。二重職制になっていますから,大学の先生であると同時に,フラウンホーファーの研究所長ですから,ここで博士課程の教育,研究が一緒にできるのです。しかも,実務的にできるということになっていますので,こういう制度も今,実際は産総研などがやろうとしていますけれど,そういう点では,こういうことは参考になるだろうと思います。まだまだたくさんありますけれども,ここでちょっとやめておきます。
 以上です。
【大西座長】  続いて,どうぞ,小畑委員。
【小畑委員】  私は現在,高専機構に所属しておりますが,高専では15歳,中学卒業生を入学させております。今の人口減少が本当にひしひしと響いてきており,本当にボディーブローのように効いてきたなという感じがします。日本全体の平均的な人口減少率よりも,もっとひどく人口が減少している地域に高専が配置されているケースが多いものですから,大学よりも早くその影響が出ております。
 その影響を少しでも和らげるために,高専ではどう対応しているかというと,やはり理科離れの影響は非常に大きいので,高専の先生方は小学校,中学校へ行って,いわゆる出前授業というのを積極的にやっています。これは大変効き目がありまして,特に子供たちは,自分が作った物が動いたり,化学実験で色が変わったり光ったりするのを実際に体験すると,非常に興味を持つようになります。特にロボットなどは大変身近で一般的な興味を引く話題ですので,ロボットを持って小学校,中学校に行って動かして見せると,高専に行くとロボットができるということで興味を持ち,実際に高専に入ってくる学生が結構おります。やはり理科離れを食い止めるのは小さいうちに理科に興味を持ってもらうことですね。大学の場合であったら高校あるいは中学レベルでの興味を引くような,そういう積極的なアプローチをやはりやるべきなんだろうと思います。一番問題だなと思うのは,小学校,中学校の先生方の中に理科を担当できる先生が少ないことですね。非常に少ない。高校では科目別に担当がありますので,もちろん専門の先生がいらっしゃるわけですけれど,それでも,今の非常に進んだ専門の分化には対応できていないケースがあるので,出前授業のようなものは積極的にやることが必要だろうと思います。
 それから,大学での教育,特に大学院博士課程の教育には改善すべきことが多いと思います。資料4の3ページに,民間企業はなぜ博士課程修了者を採用しないのか,その理由をヒストグラムで示した図がございますが,一番多いのが,博士課程修了者を採用するよりも,社内の研究者の能力を高める教育・訓練というのを外部等に委託してやる方が効果的だという理由です。博士修了者は自身の専門分野の知識は十分に持つが,企業ではその専門性を直接活用できないからということでしょう。本当にドクター論文のテーマで扱った内容とぴったりの職場というのは,なかなか簡単にあるわけではないので,それから外れた分野に対する研究力に対して,企業サイドは非常に大きなクエスチョンマークを付けているということだろうと思います。
 私が詳しく知っているわけではないのですが,イギリスでは,ポスドクの増加が一時,非常に問題になったようです。せっかく博士号まで取りながら,それが社会に有効に機能しない形の状態のまま置かれているのは,国全体で大変大きな損失であるということで,それへの対応策として,研究費を出している国や民間企業と大学とでConcordatという協定を結ぶようにしたんですね。これは,博士課程の学生や研究員に対するキャリア・ディベロップメントの促進を目的とし,例えばカリキュラムの中に,トランスファーラブル・スキルズ(略してTS)を高めるためのカリキュラムを組み込むことを義務付けるような一項があります。
 TSとは転用あるいは応用可能な能力という意味です。一つの研究テーマに取り組む中では,いろんな課題に遭遇します。それを解決するために,いろいろな努力を当然することになります。それを通して,直接その研究テーマと関係ない能力,例えばマネジメント能力,交渉力,リスク管理能力等も身につくことになります。イギリスでは,そのTSの重要性をカリキュラム上でも重要なものとして位置付けようということで協定まで結ぶようにしたんですね。その効果が実際どうだったかというと,残念ながらそこまでのデータは持っておりませんが,日本でこういう意識は全くないと言って良いと思いますし,多いに学ぶべき点だと思います。
もう一つ,人材育成における多様性という視点から問題があるように思います。大学では卒論で配属が決まると,その研究室で修士課程に行き,更に博士の後期課程に行くというのがほとんどで,ある非常に狭い分野しか知らない人材の育成になっているように思います。これは非常に大きな問題でしょう。その解決策はいろいろ考えられますが,少なくとも今すぐお金を掛けずにできることは,大学院生の居室を,例えば,ある専攻科だったら一つの部屋にまとめることが考えられます。今は,指導教育の研究室にそれぞれの所属学生が固まっておりますので,研究分野がたとえ近い関係にある研究室間でも,学生同士の横のコミュニケーションは非常に薄いんですよね。それを一つの部屋にまとめて,日常,異分野の学生同士が広く接触できるような形にするだけでも,多様性が高まり,視野が広がり,結果的には博士課程で育つ人材は今とは大分違って,産業界でも歓迎されるような方向に近付いていくのではないかと思います。大学院生の育て方には他にも改善すべきところがいろいろありますが,長くなりますので。
 以上です。
【大西座長】  ありがとうございます。どうぞ。
【野路委員】  今日,説明していただいた資料はそのとおりだと思います。これは何も理科系人材だけの問題ではなくて,オープンイノベーションが進まないとか,日本発のいろいろな改革が進まないとかいうのは,みんな連携しているのだと思います。私は,こういうところでいつも言っているのですけど,一番大事なのは,まず日本の文化の古い習慣,セクショナリズムを外すことです。大学はこうする,産業界はこうする,官はこうすると言っていたら,いつまでたっても変わらないと思います。だから,まずは,産学官が足並みをそろえて,もっと自分のこととして,人のことを言っているのではなくて,我々がこうするのだということを,産業界は産業界として言う,大学は大学として言うということをやらないといけません。この問題は古くて歴史のある課題です。だから,私は,どうやって実行するかというときに考えるべきではないかなと思います。
 その中で各論に入ると,一つは子供たちですけど,私も会長になってから,小松市で,どうして子供の理科離れが起きるのかと言って,小学校に行って,小学校の教育委員会の委員長と話をしていたら,小松市の場合で言うと,理科の実験,先ほど,小畑委員がおっしゃったとおりです。今の小学校の先生は,自分が子供のとき,ほとんど実験をしたことがないのですね。だから,いつまでもできないのです。だから,実験できる先生というのは非常に少ないのだと思います。高専とか工業学校というのは,小畑委員がおっしゃったとおりだと思います。だけど,小学校には,ほとんどいない。いろいろな人に聞くと,大体小学校3年までで,大体子供たちは進学が固まってくる。どこ行くかというのは別ですけど,バイオ行くだとか機械とかということは別ですけど,理科が好きになるかどうかというのは,大体小学校3年までだと言われているようです。そうやって考えると,私もそのためにどうしたかというと,うちの技術屋のOBを集めて理科教室を行っています。目が輝いていますよ。あるいは,日刊工業新聞主催で,東京で,慶應とかの学校を借りて行っているものがありまして,僕は好きなので行ったのですけど,子供たちは目が輝いています。
 それはどうやって行っているかというと,カリキュラムとかそのようなものでは駄目です。先生が自分で教材を作らないと。そこがポイント。うちで4年行っているのですけど,うちの人間も,そこがポイントだと言います。だから,ありきたりのものの教材を幾らセットして,先生が行っても,なかなか難しい。そうすると,今,産業界には団塊の世代でリタイアした技術者がいっぱいいますので,こういう人たちが,出前授業でも良いし,コマツの場合は教室を作っているのと出前授業と両方行っています。最初は,小学校の先生はほとんど反対でした。今は行列して並んでいます。そういう会社が,コマツだけではなくて,あちこちにいっぱいあります。だから,そういう輪をもっと広くしていけば,小学校2年,3年まででそういう子供たちに教える場を,みんなで提供したらどうかなというのが1点です。
 2点目は,博士を採用してくれない,何が駄目かというと,それは,産業界は産業界で言い分があるし,大学は大学で言い分があると。だけど,どう考えても,これだけ人事交流をしていない国はないです。私は,経済同友会のイノベーション・エコシステム委員会で委員長をしていますが,調べると,ドイツでもアメリカでもしょっちゅう動いているわけです。フラウンホーファー研究所は,10年たったら,ほかに行きます。研究所にいなくなります。これだけ人材流動がしない国で,大学の気持ちを分かれと言っても,産業界の気持ちを分かれと言っても,私は無理ではないかと思います。まずは,それぞれの立場で,どうやって人材交流ができるかということを,やはり各論に入っていって,そういう事例を作っていくと。私も大阪大学の平野総長と話をして,何で産学連携が進まないのかと言って,私は総長から言われたのは,野路さん,2年ぐらいで終わる,1年で終わる企業がものすごく多いというわけです。採用したのに,2年で,会社の景気が悪いからもうやめたと。そうしたら,この人件費,大学で全部払わないといけないですよねと,言われるわけです。それで私は平野総長と話して,10年にしようと。それは中身によるけど,どういう額でどうやろうかというのを決めて,今年から作ってもらいました。だから,やはり各企業のトップが動かないと,産業界と,産学連携すること,共同研究することはなかなか難しい問題だというのを私はつくづく感じました。
 二つ目は,いわゆるグローバルリーダーを育てるとか,そういう話がいっぱいありますけど,私の会社の経験で言うと,グローバル人材というのは,経験と失敗を積み重ねないと育たないです。コマツだけかもしれませんけど。教育で育つようなものではほとんどない。コマツでも3人か4人ぐらいいますけど,アメリカ人だとかドイツ人だとかイタリア人だとかフィンランド人だとかロシア人だとか,一つのプロジェクトをすると,大体五つか六つぐらいの国のパートナーを入れて,ここに横倉委員がおられますけど,委員のところとも一緒にしたりして,いろんなところでしているわけですね。そうすると,そのときに,ダイバーシティだと言っても,日本人そのものがダイバーシティに対するしっかりとした経験を積んでないと,各国の人を集めればダイバーシティだというのではないわけですよね。リーダーというのはそういうものです。だから,リーダーそのものがダイバーシティの考えを持ってないといけません。そうやって考えると,結局,一番冒頭に言ったように,やはり人事交流をどう進めるかということだと思います。
 例えば,ここに書いてあること,みんな正しくて,全部やらないといけないと思います。例えば,研究室ですけど,スタンフォード大学だとかSRIに行くと,カーネギーメロンもそうですけど,研究室の中にいろいろな分野の人たちが集まって研究しているのがアメリカの大学です。日本の場合は研究室に行くと,機械工学だったら,機械工学科の先生だけで研究しています。それでは,開発とかそういう人材はやはりなかなか育ちません。だから,もう少し大学の研究講座をオープンにして,私が直近で勉強して一番良かったと思うのは,産総研のTPECというパワー半導体の研究講座がありますが,20社ほど入って,いろいろな人たちが行っているのですけど,それはユーザーもいれば,パワー半導体を作っているメーカーもあれば,材料をしているメーカーもあれば,産総研の優秀な研究者が開発したものを,みんなで勉強しています。スタンフォード大学に行っても,日本の企業を卒業した先生がいます。私は,この間,行ってきて,その先生と話をしてきました。そうしたら,その先生が言うには,いろいろな会社,IBM,GE,ヒューレット・パッカード,そういう競争相手が全部入った研究室です。そこに入ると,みんな,そこで人材育成が行われています。企業にとっては,そこに入れるのは人材育成です。そこで生まれた知見は,一切持って帰ることはできません。産総研のTPECも,全く同じです。だから,そのように研究室をオープンにして,みんな呼んで,流動化をどんどん進めるような仕掛けをしないと,駄目です。
 もう一つ,各論を言うと,ベンチャーですけど,先ほど,起業家の人材育成をしないといけないという話がありましたが,そのとおりだと思います。ですが,アメリカを見たら分かるとおり,アメリカのベンチャー企業の95%がM&Aです。起業家といっても,ほとんどアーリーステージ段階で,大企業が買収しています。グーグルとかアップルとか有名な会社がいっぱいありますが,みんなが有名な企業になるわけではないわけです。みんな初期の段階で,大企業が血眼になって,どこかに良い技術がないかと探し歩いています。だから,グーグルは毎年,100社も200社も買収しています。GEもそうですしIBMもそうです。イスラエルに行ったりしているわけですけど,産業界はそうしています。
 大学は大学で,技術の段階でどんどん起業したら良いと思います。そのときに,今,文科省が大学のベンチャーキャピタルに1,000億円を付けたという話で,あれは非常に良いことだと思います。それで,いろいろ議論したのですけど,難しいのは,やはり産業界と大学の足並みがそろわないのです。それで,財務省は,もう少し産業界がお金を出すように,と言っているという話が一部出ています。一部金融機関は出しているけれど,産業界のメーカー系は余り出していません。阪大の場合はバイオが多いので,経済同友会の長谷川前代表幹事にお願いして,今,いろいろな運動を行っていますけれど,そういう具合に,ベンチャーキャピタルで非常に良いことを行っておられます。大学がベンチャーキャピタル会社を作るというのは初めてのことですよね。これがもう1年以上経っているのですが,なかなか進まないというのは,典型例だと思いますけど,やはりそういう良いことを行ったことに対して何が問題かというのを,もう少し掘り下げないと,結局,政策は良いけれど,足並みがそろわないというのが散見されます。そういうポイントで私は期待しているのですけど,ここに書いてあることは全部当たっていて,全部行った方がいいと思うのですけど,そういう形で,どうやって国民運動的に産官学が一緒に足並みそろえていけるかというのを,うまくみんなでアイデアを出したら,この国は優秀な人がいっぱいいますので,もっと元気が出て,発展していくのではないかと思います。
 以上です。
【大西座長】  ありがとうございました。神谷委員,御発言ありましたら。
【神谷委員】  高等学校の代表をしてきております神谷ですが,今,ずっとお話をお聞きしていまして,今現在,高等教育の分野での取組と受け取っておりまして,初等中等教育を担当する高等学校で,どんなことができるのかなというのを今ずっと考えておったんですけど,やはり高等学校へ進学してくる子供たちというのは,16歳,17歳,18歳という,人間的に未成熟な子がほとんどですので,高等学校で人格形成を主に置いて,人間性が出来上がった後に,技術,知識,技能が付いてくるんだなというふうに,本校,工業高校ですが,大半の生徒に対応しております。
 そんな中で,資料4の4ページのところ,製造業が博士課程修了者に対して特に重視する基本能力というのが出ているんですが,ここの赤い枠で囲われている部分というのは,初等中等教育のところから始めていかなければ遅いんではないかなと感じております。大学生になってから,こういったことを教室の中で勉強できるかというと,そういう問題ではないと思いますので,高校生あるいは小中学生もそうですけれども,いかに外に出ていって,人とのコミュニケーションを取る能力を養うかとか,行動力,実行力を付けるかということを考えていかなければならないんだなと感じております。
 それから,先ほど野路委員がおっしゃいました,小学校2,3年生でほぼ決まるというのは,もうそのとおりだと思います。ですので,我々高等学校の方も,小学校あるいは中学校に出掛けていって,いろいろ興味,関心を持つような教材を使って,いわゆる出前授業をやっております。本校の場合はもう一つ下げまして,こども園にも行っております。いわゆる幼稚園生たちのところへ行って,一緒に遊んでくるようなものなんですが,そこで壊れているおもちゃを修理しながら,そういう製品に関しての興味,関心を持たせるということもやっております。
 あと,もう一つは,先ほどの中学校の先生方の話で,理科の先生がいないということもそうなんですが,実は技術の先生がいないというのはもっと大きな問題になっていまして,中学校では技術というのはもう男女共修になっております。そうすると,昔は技術と家庭と分かれて男女別々という時代があったんですが,その頃は技術の授業で物を作るというのを大変たくさんやっておったと思います。ですが,今,中学校にお聞きすると,技術の時間で物作りというのはほとんどできないと。せいぜい電気の関係の実験をやったりとかいうことで,実際の物を作る体験というのがほとんどなされていないということをおっしゃっております。ですので,中学校の段階で物を作る授業がもう少し実践されて,そこに我々高等学校の教員なり生徒がお手伝いに行くという形で,早い段階からこういった理科に関する興味,関心を持っていただくことが,ひいてはこういった理工系人材の育成につながるのではないのかなと感じております。
 以上です。
【大西座長】  一通り御発言をしていただきました。いろいろ御意見は出たんですが,一つ,皆さんに改めてお聞きしたいんですが,学校側からは,理科離れ,理科離れというのは皆さんから出たようにも思いますけれども,特に博士に進む学生がいないとかいう指摘がありました。一方で,人材を迎え入れる産業界から,つまり,欲しい人間が学校から出てこないという問題があるのかどうかですね。余りそういうことは伺えなかったように思うので,産業界として,これ,日本だけじゃなくて,今,国際的に人材調達をしておられるかもしれないけど,日本人に限って,自分たちが欲しい人間がなくて困っているんだと。理科離れの結果,理系の学生がいなくて,成長なり産業活動に支障があるという問題はあるんですかね。どうぞ。
【須藤委員】  今言われたことですけども,特段,すごく困っているというのは,ほとんどの会社はないと思います。なぜかといいますと,大部分の大手の会社は,マスターを出てきても,会社の中でもう一回教育しています。3年ぐらいかけてやり直す場合もあります。もちろん会社の事業を行う上で必要な技術というのがあるので,大学ではできないこともあるのですが,ここまで企業がやらなければいけないのかということも,今やっているのも事実です。これは本来大学でやるべきことだろうということもやっていますので,その辺りのデータをみんなで共有して,産業界から大学にフィードバックして,こういう場を使って,ここのところはもう少し大学でやるべきではないかというような,ある共通の認識を持った方がいいのかなと思います。大学のカリキュラムまで産業界が入り込むというのは,大学の中のいろいろな仕組みで難しいと思いますが,大体,企業としては,こういうところをやってほしい,今,実際に教育し直しています,という情報を,いろいろな企業が持っていると思いますので,それをこういう場に1回出して,共有化して,大学の中でまた判断してもらうということは必要ではないかなと思います。
【上野委員】  それは是非お願いしたいですね。
【野路委員】  いいですか。
【大西座長】  はい,どうぞ。
【野路委員】  恐らく,それほど単純な話ではないと思います。今,須藤委員が言われたとおりで,特別必要かといったら,足りない場合は,必要だったら絶対企業が採用します。コマツの例で言うと,やはり産学連携が活発な大学ほど,たくさん採用します。それはもう結果的に,うちの場合はそうなっています。だから,結局は,日頃の日常の活動の中で,お互いに理解できるようになれば,一緒に共同研究をすると,自然と,あ,企業はこんなことを考えるのか,というのが分かるわけですね。マーケティングも分かるし,必ずその活動の中から生まれてくると思います。だから,教育をして,こういうグローバル人材ができるとか,そういうのはなかなか。もちろん,それもやるべきだと思いますけど,それだけでできるということではなくて,やはり日常の産学連携とか共同研究とか委託研究とか,そういうものを,どんどん活発にすることが人材を作っていくと私は考えています。
【永里委員(代理)】  いいですか。
【大西座長】  はい,どうぞ。
【永里委員(代理)】  今の御意見とほとんど一緒なのですけれど,先ほど言ったフラウンホーファーの67の研究所は,各地方にあって,地方大学と共同して研究しているというのは,実際に今言った産学連携の典型的な例ですね。そこで人材が育つのです。そういうことが重要で,日本の大学も,文科省は,機能分化すべきだと言っていますけれど,地方の大学,地方創生に関しましては,是非,文科省のあの方法で,独創的な地方の大学が出てくれば良いだろうと私は思っています。
 それから,野路委員に質問ですけれど,グローバル人材がなかなか教えても育たないので,結局は実地に訓練してやっていくべきだというのはよく分かります。我々も経験で分かります。そうしますと,先ほどの塩見課長が説明なさった資料の最後に,慶應大学のリーディングプログラムの事例紹介がありまして,あれは極めてユニークなプログラムです。今日の説明ではお分かりにならなかったかもしれませんが,かなりグローバルに活躍する人材を育成できるようなカリキュラムができています。その辺について,大学に期待できますでしょうか。その辺はどう思われますでしょうか。
【野路委員】  分野を分けないでこういう議論をするから良くないと思います。要するに,機械工学系はどうだ,あるいは,すり合わせの技術を持っているところはどうだ,コンピューターサイエンスの世界はどうだ,バイオのところはどうだ,というように,それぞれかなり違います。だから,今の慶應大学の例のようにできる分野も結構多いと思います。AIも,結構近いかも分かりません。だから,分野によって方法論がかなり変わってくるのだろうと思います。そう考えた方が良いと思います。会社では,私が社長をやっているときは,構造改革を行うときは,一つの課題に対して10ぐらい方策が出ますが,全部一気にやらないとうまくいきません,僕の経験で言いますと。順番はないです。だから,やはり一気にやることが非常に大事で,だから,私は冒頭言ったのですけど,今日説明したもの,全部必要です。全部やって,全体的に盛り上げていけば,そういう人材が育っていくという見方をしています。
【横倉委員】  よろしいですか。
【大西座長】  はい,どうぞ。
【横倉委員】  社会人の再教育というか,学びの場の話が出ていたかと思いますが,特に若手の社会人で,先ほど,須藤委員からも,会社の中で教育を何年間かかけてやっているというのがあったのですが,私が関係してきた光学産業で言うと,産業界で共通の教育プログラムを作って各社の若手人材を,集合的な形ですけれども,教育をする,ということをやっております。それはなぜかというと,大学とか高専で光の関係を教えることがほとんどなくなってしまったから,そうなっているのですが,野路委員が言われたように,いろいろな業界で,それぞれ必要な,身に付けてほしいものがあるかと思います。そういうものを,それぞれから出して,もっと具体的に,どういうものを,大学なり,大学だけではないと思いますが,いろいろな機関でメニューをそろえて,自由な形で,いつでも,誰でも,どこでも,ICT技術も発達していますので,気軽にそういうものを活用できるという環境がすごく必要ではないかと,ここのところ,非常に感じているところであります。
【大西座長】  今,産業界の方からいろいろ御意見を頂きましたけれども,一方で大学の方は,博士離れというのをかなり強調されたように思います。恐らく研究をかなり重視している大学は,一番優秀な学生が博士まで行って大学に残るといいますか,自分の大学じゃなくても研究者になるという,そういうモデルが何となく頭にあるんじゃないかと思うんですよね。そうすると,それが枯渇してくると,最先端の研究をする研究者がいなくなるんじゃないかと。これが言ってみれば,日本の研究開発能力を弱めていくんじゃないかという,そういう心配が大学サイドは特にあるんではないかなと。それで,博士離れに随分警鐘を鳴らしておられるんじゃないかなと思うんですが。
【藤嶋委員】  私,考えていると,アメリカと日本で,一番優秀な研究者をどこへ出しているかというと,日本はマスターを出た優秀な人を企業が採りたいと思って,企業に行って,研究で頑張っていますね。そして,しばらくしたら,いい成果が出ると,今度は論文博士を出して博士号を取られるというケースが非常に多いですね,日本では。では,アメリカはどうなっているかというと,詳しく調べていただきたいなと思っているんですけど,アメリカはマスターを出てという人は少なくて,つまり,大学院に行って,途中でギブアップしたりなんかしているのがマスターを出て,普通はきっちり取るわけですね。つまり,その大きな差があるんですね。じゃあ,どうしたらいいかというので,私も前もいろんなところで提案したことがあるんですけれども,日本の論文博士という制度を厳しくするというか,なくしていく方がいいんじゃないかな。そうすると,みんな博士になって,アメリカや世界で活躍するドクターを取るためには,課程博士に行かざるを得ないと。そうしたら,優秀な人が残るということになるのがいいと思って,そういうことをいろいろ言ってきたんですけれども,いや,困ったという分野があるわけですね。それはどこかというと,お医者さんたちですよ。医学博士という。お医者さんの世界では論文博士が主であると。それがなくなったら,もう箔がなくなるわけですから困るというのがあって,あっ,そういう分野はあるなと思うんですけども,一般の理系だったら,論文博士は非常に厳しくするんじゃなくて,課程博士を重視して,企業に行って,そして,社会人のドクターに来てもらって,1週間に1回,あるいは月に何回か大学院に来て,課程博士の学生として在籍してもらいながら,つまり,その企業との共同研究もできますから,そういう点では非常にいいなと思っているんですね。つまり,優秀な人はドクターまで行って,ドクターを取る。マスターで会社に行って頑張った人は,しばらくしたら大学にちょっと戻って,課程博士として,学生をしながら企業で頑張ってくれて博士論文を取ると。それをメーンにしてもらったら,大学も共同研究ができるし,そういうのがいいんじゃないかな。だから,ちょっと調べていただくと,アメリカのマスターを出てどうなっているかというのと,そういう方々がどうなっているかというようなことを中心にして,アメリカの場合,ドクターを出て活躍なさってということが主だと思うので,制度の違いを調べていただいて,それを日本で修正できればいいなと。
【永里委員(代理)】  今の件について,藤嶋委員の数字を補強します。アメリカの修士を出た方は,30年経ったときに,博士を出た人と給与が1.5倍違って,博士の方が1.5倍高いのです。だから,みんな,博士に行くのです。日本の場合,優秀な母集団というのは,修士にあります。ですが,アメリカの場合には,優秀な母集団というのは博士の方にあります。この違いです。
 日本の場合には,少し暴論ですが,残念ながら博士を出てきても役に立たないと言われる説があり,多くの優秀な人材が修士で出てしまっています。結果,修士で採用して,自分の会社で鍛えていくということです。今,藤嶋委員がおっしゃったように,学び直しの機会や社会人の課程博士という制度はこれからも進めるべきだとは思いますが。
【大西座長】  ちょっと絡むわけじゃないですけど,今おっしゃったような,企業の中で博士のところを教育するというのは,さっき野路委員が言われた人材交流という観点から見ると,かなり企業は,まず社員に教育を施していると。育っていくわけだから,余りすぐ逃げられちゃ困るわけですよね。そうすると,やっぱりその企業の中でずっと成果を出してもらわないと,初期投資が回収できないことになると思うんですね。逆に,人材交流という意味では,少し妨げになるという面もあるんじゃないかと思うんですけど。
【野路委員】  それは,そういう意味ではなくて,産学連携をすること自身が人材交流だと思います。
【大西座長】  いやいや,それは分かります。人材育成のところですね。
【野路委員】  だから,それがいわゆる人材育成を加速すると,そういう意味で私は言っています。だから,コンカレントとかクロスアポイントとか言っても,今,なかなか進んでないところがあります。先ほど,委員の方がおっしゃったように,あのやり方は非常に良くて,籍を半分,企業側に置いてもいいし大学側に置いても良くて,クロスアポイントとかコンカレントとかいう制度を導入できるようになっています。だけど,良い政策があるのに,やはり実例が少ないですよね。そこを何とか考えないと駄目だと思います。
【大西座長】  どうぞ。
【上野委員】  ちょっと質問なんですけど,ただいまの御発言で,優秀な母集団は日本では修士にあって,アメリカでは博士にあって,なぜかというと,アメリカでは博士を取得していた方が1.5倍の収入だと。日本では逆に博士が重んじられないのは,先ほどの議論の繰り返しですけれども,狭い範囲の閉じた研究能力しかないので,社会でリーダーシップを取って活躍できる人材に博士がなってないと受け止めておられるんでしょうか。そこをちょっと確認したいんですけど。
【永里委員(代理)】  アメリカの場合は,そのようです。イギリスの場合も博士の方が優秀です。ですけど,日本の場合には,優秀な人は修士にたくさんいて,会社の方に行ってしまいます。要するに,費用対効果を考えて大学に残らない。そういう説明をしています。
【大西座長】  そこは大学サイドからは異論もあると思いますが,きょうは時間切れです。きょう,結論を出す必要はないので,何回かこれをやって,結論までいくので。非常にいろんなテーマが出てきたと思いますので,次回以降,同じことが議論として繰り返されないように,きょうの土台にして,テーマ設定を事務局とも打ち合わせて,うまく設定して,いい格好で議論が発展するように努力したいと思います。
 ということで,本日については予定の時間になりましたので,金曜日の夜,余り皆さんをお引き留めしても御迷惑だと思いますので,この辺で終了ということにいたします。
 それでは,事務局に司会をお返ししますので,お願いいたします。
【北山専門教育課長】  本日は大変活発な御議論をありがとうございました。
 次回の日程については,日程調整をさせていただきまして,御連絡をさせていただきます。
 次回の会議ですけれども,本日御説明いたしました理工系人材育成戦略等の重要項目を踏まえて,大学等からの委員におかれましては産業界に求めたい事項を,産業界からの委員におかれましては大学等に求めたい事項をそれぞれ御発表いただくというようなことで進めさせていただければと思っているんですが,次回,きょうのお話を拝聴いたしまして,次回と次々回,2回に分けて,それぞれ各先生方から10分ずつぐらい御発表いただき,なので,次回の会議では50分ほど御発表いただいた後に意見交換を。また,次々回も同じようなやり方で進めさせていただければということで考えているんですが,そのような形でもよろしいでしょうか。
【大西座長】  それに加えて,きょう御意見を頂いた中で少し掘り下げてお話しいただきたい点というのも,それぞれの方についてあると思うので,自由に発表していただくのにプラス,ここについて少し触れていただきたいという御注文をさせていただいて,少しかみ合うといいますか,深掘りができるようにできればと思います。そこについてもお許しいただければと思います。
 じゃあ,2グループに分けて。そうすると,お忙しい皆さんですが,どっちかには出られるということだと発表の機会があると思います。そういう格好にさせていただければ。
【北山専門教育課長】  ありがとうございます。では,深掘りをどういった点でお願いするのかという点については,また座長とも御相談させていただきながら,事務的に御連絡を差し上げたいと思っております。
 御発表に当たりましては,可能であれば,それぞれの代表されている団体の御意見などもお聞きしていただいて御発表いただけると,また議論が深まっていくのではないかなと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,本日の議事はこれで全て終了でございます。長時間にわたる御協議,どうもありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。

―― 了 ――

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