資料4-2_高等専門学校の充実に関する調査研究協力者会議におけるこれまでの意見(第1回から第4回)

1.今後の高等専門学校教育の在り方と充実方策

  1.日本の高等教育・職業教育体系における高等専門学校の位置付けと今後の高等専門学校教育が担うべき人材育成の在り方
    (1) 高等専門学校の現状や今まで育成してきた人材像について
      ・ 大学に比べ,社会情勢の変化にスピード感を持って対応できている。
      ・ 一番の特徴は,中学校卒業後という早期からの専門教育。世界にも例を見ないもので,これは持ち続けなければならない。
      ・ 独特のキャリアの幅の広さ,実習を通じて自立していくというやり方。
      ・ 大学入試がない分勉強ができる。本当の意味の高大接続があるのかなと思う。
      ・ 専門性が高い一方で経験,視野,多様性等は不足している。

    (2) 高等専門学校の位置付けと人材育成の在り方の方向性等について
      ・ 各高等教育機関の人材育成に対する役割分担を含めて,その存在意義や機能を明確にする必要がある。
      ・ アカデミックな教育体系とプロフェッショナルな教育体系と両ラインがあるが,どの教育体系でいくことにするか。
      ・ プロフェッショナルラインとして大学とは違う位置付けであり,それぞれの段階でどのような人材を育てるか,ということを考えなければならない。
      ・ 技術立国である日本の強さの「ものづくり」,つまり,研究を社会に出していくために「プロセス技術」を学べると,大学とは全く違うものが出来上がるのではないかと思う。
      ・ 教育の質が高いというブランドを大事にして,高専の独自性をどう出すか,国内や海外でどのように貢献するか。
      ・ 海外でようやく認められてきているが,学位授与権をもたない高等教育機関が国際的に通用するだろうか。
      ・ 大学との違いが重要な論点であるが,卒業生の4割が進学しているという高専制度ができたときとの違いや実態を踏まえて考える必要がある。
      ・ 技術科学大学との関係と一緒に考えるべきだ。
      ・ 少子化の中で,将来10年後,20年後に適正な配置も含め,どのようなコンセプトでやっていくのがいいのか考えるべき。

    (3) 高等専門学校が担うべき人材育成に必要な修業年限について
      ・ 5年の学校だから入りたいのであって,入学するときに卒業後に大学に編入学するとか専攻科に進学するとかを必ずしも考えていない。
      ・ 現在は大学等への編入学が増えてきている。社会情勢が変化してきている。高校生のレベルから専門的な教育をやると,高い実践力がつく。
      ・ 大学が主流になる中で,在学中により上の高度な学問をやりたいという学生が出てきて,卒業後に大学に進むのは悪い話ではない。
      ・ 5年で就職したり,大学に編入学したり,専攻科に進学したり,選択肢があることがいい。
      ・ 入り口も出口もいろいろあって,路線を乗り換えられる。
      ・ 入学後にいろいろな進路があること,自由に選択できることである。
      ・ 15歳で入学して,理系に向いていないと気づいたときに他の大学などに進路変更したり,理系を追及したいときも大学に進学可能である。
      ・ 本科を卒業後に進学をする者が,それを多いと捉えるか少ないと捉えるかということが,一つの重要なポイントとなってくる。
      ・ 5年間の密度の濃さが高専の強みだと考える。
      ・ 5年間で専門性を身に付ける。これはいいことで,続ければいい。
      ・ 7年一貫の学びに,多様性を組み込んで体系的にやるべき。5年間の課程では制約がある。
      ・ 高専のカリキュラムは飽和状態。PBL等も取り入れているが5年で卒業することは変わらない。もし7年の課程にするなら,一通でカリキュラムを見直す必要がある。

  2.優秀な学生の確保に向けた取組
    (1) 高等専門学校の進路情報や入学者の現状について
      ・ 高専の情報を生徒に伝えきれていない。高校の進路指導の際に熱心な生徒が高専を志望し,教員が情報を集めている状況である。
      ・ 入学生は親兄弟が高専出身という場合が多い。実態を本当に知っている人が高専に入学するという状態である。

    (2) 学生の確保に向けた必要な取組について
      ・ 提供される進路のバリエーションを中学生の段階で知ってもらう必要がある。
      ・ 資格取得を目的としたカリキュラムを揃えているか示すことにより,教育したことの成果がわかることなので,しっかりと機能していることが見える。
      ・ 資格取得の実績やコンテストの受賞歴などの状況をPRすべき。
      ・ 卒業生がどれだけ活躍しているかを調査し,PRすべき。

    (3) 高校から高等専門学校への編入学について
      ・ 教育の複線型という観点から,工業高校からの編入学の制度は必要である。
      ・ 学力については不足する部分もあるので,個別にケアを行っている。
      ・ 特に理数系の基礎レベルが違うため,入学前から手をかけて対応をしないといけない現状がある。
      ・ 入学前の夏休みから補講を行わないと難しい。

  3.専攻科の充実に向けた方策(定員の在り方を含む)
    (1) 専攻科卒業者の評価について
      ・ 大学院の面接のときに,専攻科生は学部から進学してくる学生と全然違う。自立していると思う。
      ・ 教育のレベルを上げるのではなく,融合型の教育として幅広い分野に取り組むようになってきているが,そのことが必ずしも評価につながっていない。
      ・ 7年間同じ高専で専攻科に行くことは,同じ環境に閉じこもることは,マイナスに働かざるを得ない。専攻科卒でも本科と違う高専の専攻科を修了していれば評価している。

    (2) 専攻科の充実に向けた方向性等について
      ・ 5年+2年の中で経験値を上げるのか,専門性を高めるのか,そこを考えなければならない。
      ・ 専攻科の制度が作られたときに,5年+2年でどのような人材を育てることを目的としたのか検証が必要である。
      ・ 理系を徹底的にやるため専攻科を含めた7年間の一貫教育で捉えればよいのではないか。
      ・ 5年+2年の課程でどのように育てるのかについて企業とコミュニケーションを持った方がよい。
      ・ 専攻科では,幅をみたりすると,よりパワフルになるのではないかと思う。
      ・ 専攻科では多様性を追加してインターンやビジネスなど,専門以外の知識を学ぶようにして,5年+2年でないとやれないようなポジショニングにすればよい。
      ・ 専攻科への進学を志望している学生が多いのであれば定員を増やすべきである。

  4.教育を支える経営基盤の確保に向けた方策
    (1) 経営基盤の確保に向けた具体的な方策について
      ・ 教育の質,特に実験・実習の水準は落とせないので教員の能力や数を減らさないようにどのようにしていくか考えるべき。
      ・ 大学など他の高等教育機関との連携も必要ではないか。
      ・ 地域の実務家を教員として迎えていくと人件費も抑えられるのではないか。

2.地域・産業界との連携

  1.地域・産業界に貢献する人材育成の在り方
    (1) 地域・産業界との関係性の現状について
      ・ 共同研究や受託研究,技術相談など地域の企業と密接に連携している。
      ・ 教育機関の重要な点は,各地域に学校があることで近くで教育を受けられるという仕組みがひとつ挙げられる。ほぼ各県に高専があることは県の価値を高めていると考える。
      ・ 例えば情報通信の分野であれば都市部に最先端技術・エンジニアが集まっており,どうしても都市部に就職してしまう。
      ・ 地方の中小企業では,インターンシップをたくさん受け入れたいが,結局県外に就職してしまう矛盾があるという。

    (2) 地域・産業界に貢献する人材育成の在り方の方向性等について
      ・ 地方創生に高専をどう活用していくか重要である。
      ・ 地方創生を考えると,各都道府県に設置した方がいいのではないか。
      ・ 地域から実務家を教員として積極的に雇用してもいいのではないか。

  2.高等専門学校教育の社会的認知・評価の向上に向けた取組
    (1) 高専卒業者側から見た社会的認知・評価について
      ・ 企業に就職してからの評価が,大学卒と高専卒で違うと考えている。
      ・ 高専卒業生の先輩を見ると,しんどいところで頑張って,コツコツとやっているのに,その年になるまで昇格試験を受けられない。それならやっぱり大学や専攻科に行こう,ということになるのではないか。
      ・ 高専生は即戦力である等の評価を受けているが,大学卒の方が早く昇格試験を受けられる企業があるということ等を聞き,専攻科や大学に進学してから就職しようと考える高専生が多いと思う。

    (2) 企業側から見た社会的認知・評価について
      ・ 自分で考えて実践できるなど,大学卒と比べ自律しているという点で,企業からの評価は高い。
      ・ 高専生は自立している者が多い。ものづくりを続ける場合もあるが,マネジメントを含めて昇進している人も多い。
      ・ 企業は実践力に対する期待もしているが,その後ののびしろや企業に貢献する力も兼ね備えていて,ある分野に限定した活躍にとどまらないと体感している。
      ・ 企業の反省として,高専生に大学生と同じ立場になることを期待してこなかったか,ということがある。結果的に,よくない所が拡大されて見えているのではないか。

    (3) 社会的認知・評価の向上に向けた具体的な取組について
      ・ 学生の活動状況としてプロコン,ロボコン等,課外活動の活動状況をPRしていくこともよい。
      ・ 地域の中学校やコミュニティ,地場企業に対して,もっと積極的にPRすべき。
      ・ 卒業してから5年たったところを調査すると,これだけの資格を取得したことなどがわかるため,教育の成果としてこうだったとフォローアップができるのではと思う。
      ・ 高専を卒業した人がどうかとか,高専を卒業した大学生をどう思っているかなど,企業側の評価を聞いてみてもよいと思う。
      ・ 企業に入った後にどうなるか,高専の5年間で全部は決まらない。企業で多様性を吸収する人もいる。そういった方々が育てる場所(部署等)に置くべき。一方で,伸びそうな人は堂々と勝負してもらえばいい。
      ・ 20歳で採用した学生は企業で育てる。5年間の中ではできることとできないことがあるので,例えば,多様性が十分に身に付いていないなら,企業側はそれを承知して受け取るべきではないか。

3.国際化への対応

  1.高等専門学校における技術者教育のグローバル化に向けた取組
    (1) グローバル化に向けた具体的な取組について
      ・ 理系を徹底的にやるため専攻科を含めた7年間の一貫教育で捉えれば,アジアだけでなく欧米でも1年間のインターンシップができるようになる。
      ・ 5年の教育課程を変えるべきだとも思わないが,英語だけは頑張った方がいい。
      ・ 環境を与えることが大事。モチベーションが上がればそれだけ伸びてくる可能性もある。カリキュラムを見直せばいい。
      ・ 高専生は語学力が弱いと言われるため,英語に加えて,第二外国語として中国語の強化を目指す形もあってよい。

  2.留学生交流の更なる促進
    (1) 留学生交流の更なる促進のための具体的な方向性等について
      ・ 卒業が遅れることもあって,留学にはあまり行きたがらない。大学生でも同じ。きっかけや,そういった場所を持てればいい。
      ・ 留学生が一緒にいるといい。また,寮を使えばいい。
      ・ 語学力(英語)が課題。大学院以上では英語での受け入れが一般的となりつつあるが,高専留学は日本語の教育課程に受け入れている。英語でどれだけ教育ができるか,英語でコミュニケーションできる専門家をどれだけ出せるかが問題である。

  3.高等専門学校制度の海外展開に向けた取組
    (1) 高等専門学校を活用した海外支援の現状について
      ・ 電気電子の技術者へのニーズが多く,今までの実績は電気電子の技術者養成に集中していた。
      ・ 日本でも専門学校や各種学校のような教育機関もあるように,所管機関,ルール,システム,目的が違う機関を含んでおり,実態は多様である。
      ・ 日本の高専教員が現地で活動していることや,日本で学位を取得した現地の教員も多く,協力対象の学校は大変親日的になっている。支援した高専と連携協定や教員とのつながりを持っていることなどで関係が続いている。
      ・ 支援終了後は自立して運営されており,それぞれの国内で他の教育機関への指導的役割やモデル的に機能を果たしていることが多い。
      ・ 高専制度が開発途上国に合っている,また,高専の良い点として,早い段階からの技術者教育,実践的な教育,③少人数で基礎から実践までの丁寧な教育。即戦力になる人材を20歳で得られるというニーズがある。
      ・ 高専による開発協力では,短大卒レベル,大学4年レベルのどちらの人材を育てるのか。
      ・ 日本の学生に対しては,先進国と開発途上国を知ることで多様な世界を知ることができるということが挙げられる。近年は教員が多忙になっていて,国際協力に向ける余力が減っているといわれている。

    (2) 高等専門学校制度の海外展開に向けた取組の具体的な方向性等について
      ・ ギブ・アンド・テイクのバランスが大事。高専として直接何が得られるかは非常に難しいが,日本との共通基盤ができれば将来は工業的にも文化的にも強い絆ができる。
      ・ 同じ文化を共有でき,日本のことを理解していただけば,将来,貿易にもつながってくる。
      ・ 海外からの要望に単に応じるというのではなく,全体像の中で,どのようにサポートしていくか,何を輸出し,JICA・高専がそれぞれどのような形でサポートするのかが重要である。
      ・ 現状は点で動いているように思える。大きな枠組みを作っていく必要があるのではないか。
      ・ 高専の良さは何かを考えながら,どこまで協力するのかは,開発途上国のニーズに合わせることが必要である。
      ・ 資格社会である途上国ではエンジニアの資格が重要となるので,高専による途上国支援では,柔軟に対応すべきであり,中卒者対象の5年教育という枠組みに拘泥する必要はない。
      ・ 対応する国に合わせてやるべき。何が求められているのか,何ができるのかについて,十分に時間をかけて話した方がいい。
      ・ 国によって考え方が違うので,それに合わせて教育の在り方を整理しないといけない。
      ・ 各国の教育制度は異なっており,高専輸出については,現地のニーズと合わせていかないといけない。
      ・ 開発途上国だけと連携していくか,他の国をどのように考えていくか。国際化戦略を立てるのが重要だと考える。
      ・ 国際協力をすることによって,日本の学生にどのような貢献ができるかも考えるべきである。

お問合せ先

高等教育局専門教育課

高等専門学校係
電話番号:03-5253-4111(内線3347)

(高等教育局専門教育課高等専門学校係)