資料3_高等専門学校における教育改善状況等に関する調査結果について(設問AからE)(概要)

【1.実施概要】

目的:検討が必要な論点を踏まえたうえで,各高専における教育の取組状況を把握するため,調査を実施し,本会議における今後の調査研究に資するものとする。
調査対象:全ての高等専門学校(全57校)[回答率100%]
実施時期:平成27年8月5日~8月28日
調査の対象期間:原則として平成26年度の状況を回答
※一部調査項目においては過年度の状況等も徴取


【2.調査結果の概要】

※調査結果の概要については,先ずは単純集計が可能な項目を集計した結果であるが,今後,計数の精査を行い,軽微な計数の異動が生じる場合もあり得る。
また,様々な角度から分析等も行いつつ,記述回答項目も整理し,内容によっては個別の校名等が特定されないよう配慮したうえで公表する予定である。


A.教育課程・進路について

(A1)進路指導においては,ほぼすべての高専(56校)で担当教員の指導及び保護者との面談が行われているほか,30校においては更に就職支援センター等の教職員による指導がなされている。
(A3)専攻科修了者(1,512人)のうち,99%(1,499人)が大学評価・学位授与機構に学位取得を申請し,98%(1,479人)が実際に学位を取得している。
(A4)工業・商船以外の分野(例えば医療・ライフサイエンスなど)の教育についての取組は学校ごとに様々ではあるが,ビジネス・経営,医療,環境の分野に取り組む学校が多い。(18校)
(A6)資格の取得を目的とする科目は40校で開設されており,情報関係(情報処理技術者),建築・建設系(CAD,建築士(2級),測量士(補))等が多くの高専で実施されている。また,商船高専では関連資格について取得(海技士1~3級,海上無線技士など)するための科目が実施されている。
なお,ガス溶接技術者,第1級・2級陸上無線技士,防災士など,他の学校には見られない資格取得のための科目を設置する学校もある。


B.学生の確保に向けた取組

(B-1)入学志願者確保に向けた広報について,HP・オープンキャンパスは全ての高専(57校)で実施。広報誌の作成・教職員による中学校訪問もほぼすべての高専で実施(56校)。
進学塾へのアプローチ(9校),複数高専による合同学校説明会(3校)などの取組を実施する高専も見られた。
各自治体の教育委員会との連携はほぼ全ての高専(56校)で取り組んでおり,地元中学校への出前授業・理科教室等を実施。
(B2)本科においては,全ての高専で推薦入試を実施している。4校ではAO入試を実施しているほか,社会人入試,7校では帰国子女を対象とする入試を実施している。
(B3)新入生に対する補習授業・接続教育は37校で実施。入学前の事前指導及び入学直後の試験結果に応じた補習等が実施されている。
留学生を含む編入学者に対しては,入学前の補習授業(10校),入学後の補習授業(14校),個別指導(19校)など,高校での学修と高専での学修の円滑な接続に一定の配慮がなされている。
(B4)高校卒業者の編入学について,平成26年度は高専全体で162名(4年次158名,3年次4名)を受入れ。2校では,10名以上の編入学者を受け入れている。


C.専攻科について

(C1)平成21年度以降,10校において専攻科改組を実施。いずれも,複合・融合領域の教育に対応することを目的に,複数の専攻を1ないし2に大括り化している。
(C2)専攻科修了者(1,512人)のうち,就職者(949人)の90.7%(861人)が専門的・技術的職業従事者として従事。うち,62.3%(536人)が製造技術者。
産業別では製造業が50.1%(475人),情報通信業が15.4%(146人),建設業が8.2%(78人),続いて公務,学術研究・専門技術サービス業となっている。
就職先の地域としては,多い順に,関東392人(43.3 %),中部158人(17.5%),近畿133人(14.7%),中国69人(7.6%),九州64人(7.1%),東北40人(4.4%),四国36人(4.0%),北海道13人(1.4%)。
進学先の地域としては,多い順に,関東139人(25.9 %),九州108人(20.1%),近畿104人(19.4%),中部87人(16.2%),東北42人(7.8%),北海道33人(6.2%),中国17人(3.2%),四国6人(1.1%)。


D.教育を支える基盤の確保について

(D2)高専全体で,教員数は4,330人,職員数は2,483人(いずれも常勤のみ),学生数は55,865人。
(D3)全ての高専においてFD活動を実施。教員相互の授業聴講(53校)や教育方法改善のための講習会の実施(48校)が中心。
(D4)今後の改修・修繕・購入等が必要な施設・設備としては,図書館・学寮の改修や電気・給排水等のライフラインなど,学生の生活環境改善関係が多く挙げられている。
(D5)ほぼすべての高専(54校)においてSD活動を実施。総務・財務など,業務に関連する研修(46校)を中心に実施されている。
(D6)高専全体で,技術職員は659人(全教職員の9.7%)。延べ4,736科目を担当・補助している。
(D7)本科では全高専で22,075科目が開設されている。そのうち,
・一般科目は6,901科目(全開設科目数の31.3%/1校あたり121科目,以下同じ),専門科目は15,174科目(68.7%/266科目)
・講座は18,828科目(85.3%/330科目),実験・実習は3,247科目(14.7%/57科目)
・履修単位※によるものは17,467科目(79.1%/306科目),学修単位※によるものは4,608科目(20.2%/81科目)
※履修単位…1単位を30単位時間(1単位時間は標準50分)の履修とするもの
学修単位…大学と同様に,1単位を予習・復習を含む45時間の学修とするもの
(D9-1)技術者としての教養という観点から,一般科目において技術者倫理(16校,製造物責任,環境問題等をテーマに技術者としての責任・行動規範について取り扱う科目),法学,経済・経営・流通等の科目(15校)が開設されているほか,その時々の社会問題を取り扱う科目(6校)や地域企業との連携による科目(4校,現役技術者による講話等)を開設している学校もある。
(D9-2)英語科目については,各学校にごとに体系的な科目配置がなされている。
・1~3年次において文法・リーディング・ライティング等の基本的な英語力を修得し,4~5年次においてコミュニケーション・プレゼンテーションを重視した科目やTOEICのスコア獲得に向けた科目など実践的な英語力の獲得を意識した学修を実施(26校)
・1・2年次で基礎的な英語力を修得し,3年次以降に応用的・実践的な英語力獲得を目的とした科目を配置(9校)
・1~3年次において高等学校と同様の教科書を利用あるいは高等学校指導要領に準じた学習内容を実施(16校)
また,科学技術や工業をはじめとする専門分野の英語を学修する科目(13校)や,大学編入学を意識した授業科目(3校)を配置する学校も見受けられる。
(D10)技術科学大学とは共同研究や教員の研修,また高専における科目を共同で開講するなど,教育・研究両面での連携が行われている(28校)。
(D11)全高専合計で2,062の課外活動のクラブが開設されており,44,050人(78.9%)の学生が所属している。担当顧問は延べ6,221人。1校当たりの平均は,クラブ数36,所属学生は773人,担当顧問は116人となる。
(D12)全高専合計で,授業料減免は延べ5,702人(5.5億円),入学料減免は延べ424人(4,628万円)に対して実施している。
また,13校においては各学校独自の奨学金が設定されているのは。
(D13)退学者は,全高専(本科・専攻科)合計で1,442人(全学生の2.6%)。退学の理由は進学(高校・大学等,858人),就職(163人),けが・病気療養(41人),家庭の事情(経済的自由含む,11人)など。
また,留年は,全高専合計で2,079人人(全学生の3.7%)。理由としては,単位不足(1,660人),病気療養等(168人人)・留学(100人)のための休学など。


E.地域企業・自治体との産学連携事業

(E1)高専全体で,受託研究は199件(4.9億円),受託事業は904件(2.0億円),共同研究は706件(5.3億円)を実施。1校当たり平均では,受託研究862万円,受託事業351万円,共同研究926万円。
※国立の工業系単科大学(室蘭工業,北見工業,電気通信,名古屋工業,京都工芸繊維,九州工業)の平均(平成25年度)は,受託研究4.1億円,受託事業1.5千万円,共同研究2.1億円。
(E2)インターンシップはすべての高専で実施。インターンシップに参加した学生数は,本科7,507人(うち4年次が7,451人),専攻科1,091人(うち1年次が1,009人)。ほとんどが短期(1か月未満)のもので,長期(1か月以上)は全体の3%(259人)程度。短期では7,224人,長期では251人が単位として認定されるインターンシップに参加している。
なお,いわゆる日当(食費・交通費等相当額)の支給を受けているケース(10校),報酬の支給を受けているケース(7校)を含む学校もある。
(E3)企業等の技術者から指導等を受けている科目としては49校で328科目(全開設科目の1.5%)が開設されている。
(E4)公立高専のうち2校は地域入学枠を設定している。なお,1校では学力試験対象者264名のうち県外枠を40名設定している。
(E5)広報活動(入学志願者確保の取組以外のもの)については,広報誌(56校),HP(51校),マスコミを通じた広報(44校)等が実施されている。その他,メールマガジンの発行(3校),交通広告(4校)を実施している高専もある。
(E6-1)地域企業向けの技術教育・指導は35校で390件を実施。企業からの技術相談は48校で2,469件を受けている。技術教育・指導では32校,技術相談では47校が,無償で実施している。
(E7)小中学生向けの理科教育は,全高専合計で981件(1校当たり17件)実施し,述べ47,825人(同839人)の参加を得ている。
その他,地域と連携した取組として,地域企業と協働して実施する高専卒業生向けU・Iターン事業,近隣大学とコンソーシアム等を構成(3校)などがある。

 

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