共通到達度確認試験システムの構築に関する調査検討会議(第1回) 議事録

1.日時

平成27年1月29日(木曜日) 16時30分~18時30分

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 共通到達度確認試験システムの構築に関する調査検討会議の運営について
  2. 平成26年度試行試験の実施に向けた体制及び準備状況について
  3. 共通到達度確認試験システムの構築について
  4. その他

4.出席者

委員

(主査)山本和彦委員
(委員)磯村保,大貫裕之,笠井正俊,片山直也,佐伯仁志,酒井圭,宍戸常寿,西山卓爾,日吉由美子の各委員

文部科学省

義本大臣官房審議官(高等教育局担当),牛尾専門教育課長,佐藤専門教育課課長補佐,真保専門教育課専門官

5.議事録

【真保専門教育課専門官】  会議を始めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日は初回の会議のため,主査をお選びいただくまでの間,便宜的に事務局で会議の進行を進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず議事に入る前に,配付資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第にございます4,配付資料に記載のとおり資料を用意させていただいてございます。資料の1から5,6種類の資料及び参考資料が4種類ございます。不足等ありましたらお知らせください。
それでは次に,本日は第1回の会議となりますので,初めに委員の皆様の御紹介をさせていただきたいと思います。資料1に設置要綱がございますが,そちらの2枚目に,別紙として委員名簿を添付させていただいてございます。委員名簿の掲載順に御紹介させていただければと思っております。
早稲田大学大学院法務研究科教授,磯村保様でいらっしゃいます。
【磯村委員】  よろしくお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  中央大学大学院法務研究科教授,大貫裕之様でいらっしゃいます。
【大貫委員】  よろしくお願いします。
【真保専門教育課専門官】  京都大学大学院法学研究科教授,笠井正俊様でいらっしゃいます。
【笠井委員】  よろしくお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)委員長・教授,片山直也様でいらっしゃいます。
【片山委員】  片山です。よろしくお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  東京大学大学院法学政治学研究科教授,佐伯仁志様でいらっしゃいます。
【佐伯委員】  佐伯です。よろしくお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  弁護士,酒井圭様でいらっしゃいます。
【酒井委員】  よろしくお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  東京大学大学院法学政治学研究科教授,宍戸常寿様でいらっしゃいます。
【宍戸委員】  どうぞよろしくお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  法務省大臣官房司法法制部司法法制課長,内閣官房法曹養成制度改革推進室副室長,西山卓爾様でいらっしゃいます。
【西山委員】  よろしくお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  弁護士,日吉由美子様でいらっしゃいます。
【日吉委員】  よろしくお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  一橋大学大学院法学研究科教授,山本和彦様でいらっしゃいます。
【山本委員】  よろしくお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  また,本日は御欠席でございますが,司法研修所教官,村田渉様にも委員として御参画いただくこととしております。
続きまして,事務局の出席者を御紹介させていただきます。
高等教育局担当大臣官房審議官,義本博司でございます。
【義本高等教育局審議官】  義本でございます。よろしくお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  高等教育局専門教育課課長補佐,佐藤昭博でございます。
【佐藤専門教育課課長補佐】  佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  また,高等教育局専門教育課長でございます牛尾が遅参して出席させていただきます。
最後に,高等教育局専門教育課専門官の真保でございます。よろしくお願いいたします。
それでは次に,本会議の主査をお選びいただきたいと思っております。事務局といたしましては,委員の互選により選任することとさせていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
御異議がないようですので,委員の互選により選任したいと思います。どなたか御推薦をお願いします。
【宍戸委員】  僭越(せんえつ)でございますが,これまでこの共通到達度確認試験につきまして,参考資料1にありますような検討ワーキンググループにおいても議論をリードしてこられました山本和彦教授に主査をお願いするのが適切ではないかと思いまして,ここに推薦申し上げます。
【真保専門教育課専門官】  ありがとうございます。ただいま宍戸委員より,山本委員が主査に適任であるとの御意見を頂きましたが,いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【真保専門教育課専門官】  御異議がないようですので,山本委員に主査をお願いしたいと思います。
恐れ入りますが,座席の移動をお願いいたします。
それでは,これより山本主査に会議の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【山本主査】  今,主査に御選任いただきました山本でございます。大変大役ではありますが,務めさせていただきたいと思います。
一言,御挨拶ですけれども,現在,法科大学院制度には恐らく大変な逆風が吹いていると言ってよろしいかと思います。その中で,この共通到達度確認試験というのは,法科大学院教育の質を保証するということを社会に宣明していくとともに,学生自身にとっても自分の立ち位置といいますか,そういうものを客観的に把握していただくという意味で大変重要な制度であると認識しております。
後で御報告がありますように,現在,試行試験に向けて,関係の皆様方が大変な努力をされています。私も身近に準備をしている人間がいますので,非常に気の毒に思うぐらいの労働をして頑張っているところであります。
ただ,これを本格的な制度につなげていくためには,まだまだ多くの問題が山積していると思いますし,議論をしていかなければならないことが本当に山のようにあるということであろうと思います。この会議は,様々なお立場から多様な御意見を頂ける方がお集まりいただいているということですので,是非いい制度ができるように,建設的な,前向きな議論ができるように,私自身,この司会役というのは余りなれていないものですから,いろいろと不手際はあろうかと思いますが,是非とも皆さんが活発な御議論をしていただくための環境整備には努めていきたいと,微力を尽くしたいと考えておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
それでは,議事の中身に入りたいと思いますけれども,まず少し手続的なことでありますけれども,この会議の運営についてということで,本会議の公開に関する事項について御審議いただきたいと思いますので,まず事務局から御説明をお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  それでは,説明させていただきます。
資料2,「共通到達度確認試験システムの構築に関する調査検討会議検討内容の公開について」という資料を御覧ください。こちらの資料については,会議の公開の取扱いについて,事務局で提案させていただく資料として御用意したものでございまして,委員の皆様方に検討の上,取扱いを決めていただければと思っております。
内容につきましては,一つ目は議事の公開ということで記載させていただいてございます。本会議の議事については,原則として公開するものとするということを記載させていただいてございます。ただし,公開することにより会議の円滑な実施に影響が生じるものとして調査検討会議において非公開とすることが適当であると認めた場合には,会議を公開しないことができると記載させていただいてございます。
次に,会議資料の公開でございます。こちらについても原則として公開するということでどうかと提案させていただきます。ただし,1の議事の公開と同様の理由によりまして,非公開とすることが本会議で適当であると認めた場合には,資料について公開しないことができるという形で記載させていただいてございます。
三つ目は,議事録の公開でございます。こちらについても,議論された内容について議事録を作成し,公開するものとすると記載させていただいてございます。ただし,上記1により会議が非公開となった場合にはこれを公開しない,また内容に応じて議事要旨を議事録に代えることができるものとするという形で記載させていただいてございます。
説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【山本主査】  ありがとうございました。
それでは,ただいまの御説明につきまして御質問,御意見がありましたら,お出しいただければと存じます。いかがでしょうか。
基本的には公開ということだけれども,場合によっては,議事内容によって非公開とするということを会議で審議していただいて,個別に決めていくという御提案だと思いますが,よろしゅうございますでしょうか。
それでは,会議の公開につきましては,この原案どおりという形で進めさせていただければと思います。
ということですので,ただいまからこの会議が公開になるということになりますので,もし傍聴希望者がおられるようでしたら,この段階でお入りいただければと思います。
(傍聴者入室)
【山本主査】  それでは,本会議における議論の開始に当たりまして,事務局から一言,御挨拶をお願いいたします。
【義本高等教育局審議官】  事務局を代表しまして一言御挨拶を申し上げたいと存じます。担当審議官の義本と申します。
委員の皆様におかれましては,年度末に近いこの時期に,御多忙の中にかかわらず共通到達度確認試験システムの構築に関する本調査検討会議の委員をお引き受けいただきまして,改めて感謝申し上げたいと存じます。
既に御案内のとおりでございますけれども,この確認試験につきましては,先ほど山本主査からお話がございましたように,質保証が更に促進し,対外的に明らかにしていくという観点から,法曹養成制度関係閣僚会議の決定として,平成25年にその提案として盛り込まれ,その試験の早期実現に向けまして,その制度設計や試行開始を目指した準備等を行うこととされているところでございます。
この間,このメンバーの中の先生方にもかかわっていただきまして,ワーキンググループにて検討し,また試行に向けた予算を確保し,その準備について御努力いただいているところについては御案内のとおりでございます。
先ほど山本主査からお話がございましたように,法科大学院が置かれている状況は非常に厳しい状況でございまして,その改革は待ったなし,あるいはその改革を緒に就けて本格的にしていくこと自身がこのシステム自身の安定化につながることにもなるわけでございます。本検討会におきましては,このテストの実施に向けた基本方針の改定ですとか試行試験の在り方,試行試験の実施状況のフォローアップ等について御検討いただきまして,よりよい制度として具体化するようにしていく必要がございまして,専門的な見地から先生方の御議論をお願いしたいところでございます。
限られた時間ではございますし,先生方に負担をお掛けすることになろうかと思いますけれども,法科大学院教育の全体の質保証という,制度にとって極めて重要なテーマについて精力的に御議論いただきまして,この早期具体化実現に向けて御尽力賜りますよう,この場を借りてお願い申し上げたいと存じます。
よろしくお願いいたします。
【山本主査】  ありがとうございました。
それでは,本日の議論の本題というか,中心的なテーマに入っていきたいと思います。今後,本会議におきまして,共通到達度確認試験システムの構築に向けた検討を開始するに当たりまして,まずは平成26年度,本年度の試行試験の実施体制,あるいは準備状況について確認して,それを前提に議論をしていく必要があると思いますので,まずこの点につきまして,事務局の方から御説明をお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  それでは,説明をさせていただきます。
資料3-1「共通到達度確認試験(仮称)試行試験の実施に向けた体制」という資料を御覧いただければと思います。
これまでの共通到達度確認試験の試行試験の実施に向けて準備を続けてきた検討体制,及び第1回の試行試験の準備状況について,検討状況を御報告させていただきたいと思っております。資料3-1は検討体制を簡単にまとめた資料でございます。上の枠囲いにございますように,閣僚会議決定,平成25年7月16日の決定において,法科大学院が共通して客観的かつ厳格に進級判定を行う仕組みとして,確認試験の早期実現を目指すということが提唱されております。
これを受けまして,文部科学省の方では中央教育審議会の法科大学院特別委員会の下にワーキンググループを組織いたしまして,ここにいる先生方の皆様も一部参画いただきまして,基本設計を平成25年の11月に提示したところでございます。
現在においては,その基本設計をしっかりと確認試験の試行を通じて検証していく,そして本格実施につなげていくということを目的といたしまして,以下の体制で検討を進めたいと考え,実施しているところでございます。
まず左側,文部科学省においては,まさに先生方に参画いただくこの会議を組織いたしまして,法科大学院が実施する試行試験の結果を踏まえた中教審で提示された基本設計をどう改定していくかといったところを御議論いただきたいと思っております。
また,試行試験は検証の基になりますので,それの大局的な目的,狙いといったものについても議論を頂きたいと思っております。また,法科大学院が実施いたします試行試験の実施,結果の分析といったものについても,大局的な見地からフォローアップを頂くということも必要になってくるかなと思っております。
右側でございますが,法科大学院については,基本設計に基づいて試行試験を実施していくという役割を担っていただくと考えております。平成26年度においては,文部科学省の委託費においてこれを実施するということで検討を進めているところでございます。内容といたしましては,試行試験の実施方針を作成すること,また作問を行うこと,試行試験を実際に実施し,採点そして結果の分析を行うこと,こうしたことを考えておるところでございます。
このような形で,文部科学省と法科大学院が相互に連携を行いながら,本格実施に向け,基本設計をどんどんブラッシュアップしていきたいというふうに考えております。
また,こうした検討を行う中で様々な課題や,場合によっては関係省庁などと連携・調整を行う事項も出てくると思いますので,それらについては必要に応じ文部科学省の方で行っていきたいと考えておるところでございます。
次に,資料3-2を御覧いただければと思います。平成26年度の第1回試行試験の現在の準備状況を記載させていただいているペーパーでございます。こちらについては,昨年10月に取りまとめられた法科大学院特別委員会の提言といったところも踏まえまして現在,準備作業に着手しているというところでございまして,本年度の試行について,おおむね以下に掲げているような形で実施することを予定しておるというところでございます。
実施体制といたしましては,法科大学院の中でも文部科学省の委託事業を受託していただきました東京大学を中核に,京都大学及び一橋大学の参画を得て,試行試験を実施することを予定してございます。
時期といたしましては,平成27年の3月中旬を目途に調整させていただいているところでございます。
試験科目や試験方式でございますが,憲法,民法及び刑法の3科目を対象に実施を予定してございます。また今回についてはマークシート方式,短答式により実施し,憲法及び刑法については各30問,民法については45問程度を予定しているところでございます。
対象校・対象学生でございますが,東京大学,京都大学,一橋大学の3大学とともに参加希望の法科大学院を加えまして実施する予定としております。今回については,法学未修者1年次生を対象に実施したいと考えております。
また,結果分析でございますが,試行試験の実施結果を踏まえまして,確認試験で判定すべき学習到達度の水準,問題の内容や難易度,試験結果のフィードバック方法,こういったものについて併せて検証していきたいと考えているところでございます。
2枚目にございますのは,平成25年の11月に提示されました確認試験の基本設計についての要点をまとめたものでございます。こちらについては参考として添付させていただきます。
説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【山本主査】  ありがとうございました。
それでは,ただいまの事務局からの御説明について御質問,御意見等がありましたら,御自由に御発言を頂ければと思います。
どうぞ,片山委員。
【片山委員】  確認させていただきたい点ですが,基本設計の中で,基本的には進級判定を行う仕組みという位置付けでここで書かれていますが,基本的に1年から2年への進級,2年から3年への進級ということで考えていくということでいいのかどうかという点を再度確認させていただければと思います。
1年次から2年次への進級というのは,これは恐らく未修1年目の教育というのは,どの法科大学院でもほぼ同じだと考えられます。2年次への進級というのは既存の既修者試験と同じような内容でいいということと思います。これに対して,2年から3年次の進級というのは,恐らく法科大学院によって教え方が様々,バリエーションがあるのだと思います。もちろん,進級という概念はほとんどの法科大学院が持っているわけなんですけども,その確認が果たして単一の試験でできるかどうかという点に問題があるように思います。2年次から3年次への進級というところは,進級判定ということにそれほどこだわらずに,一定の学力の確認ということでもいいのではないかということで,疑問を提起されていただきました。
【山本主査】  ありがとうございました。これは後の論点のところでも御議論いただく一つのポイントにもなろうかと思いますが,御質問としては,この資料3-2の昨年10月の中教審の提言,あるいはこの関係閣僚会議決定等の考え方の御確認という趣旨かと思いますけれども,事務局から御説明を。
【真保専門教育課専門官】  現時点においては,先生のおっしゃるように1年から2年次,さらにはそれを2年次から3年次のものにも応用して考えてみてはどうかという御提案を頂いておりますので,それを基礎にして御検討いただくということになろうかと思います。
ただ,何分にもリーディングケースでもございますので,どういったやり方,どういった方法があるのかにつきましては,まさに今,1回目を実施しようとしている試行等を通じてブラッシュアップして,より精度を上げていくということになろうかと考えております。
【山本主査】  よろしいですか。
どうぞ,磯村委員。
【磯村委員】  現在の試行試験の準備状況の中の民法に関する,ちょっと細かい質問かもしれませんが,今の片山委員の御質問に関連するのですけれども,現在予定されている問題というのは,財産法だけではなくて,家族法も含むということなんでしょうか。
民法について未修1年修了時に,民法の全範囲を共通に対象として扱っているのか,あるいは法科大学院によっては家族法を2年次に履修させるというケースもあるかもしれないという趣旨です。
【佐藤専門教育課課長補佐】  残念ながら,先ほどのこの3-1の資料で御説明させていただいたように,今回の検討会議と,その実施しているところというのはこれから連携を密にして勧めて進めていくのですが,現段階においては,まず大学のやれる範囲のところで試行していただくという形になっておりますので,今の話もちょっと把握をし切れていない部分がございまして,いずれにしましても,その試行をやった結果を含めて,年度が替わったところでしっかりとまた御報告をさせていただいて,それを基に27年度以降の試行にどのように結び付いていくか,どういう論点が整理されてくるかというのをきちっと整理して,進めさせていただきたいと思っております。
【山本主査】  ということですので,次回以降,またいろいろと議論を。
どうぞ,宍戸委員。
【宍戸委員】  宍戸でございます。磯村委員の今の御指摘の点も含めて,現実の今の試行試験を実施している方に,例えばこの場でこういう意見があったということを文科省なりしかるべきルートで,伝えるということではないかと。
【佐藤専門教育課課長補佐】  はい,そうです。
【宍戸委員】  何分,短い期間でやっておりますので,どこまで実施側で対応ができるかということもあろうかと思いますので,むしろそういう御意見を知っているということは,多分,実施に携わっている関係者としては参考になるのではないかと思います。
それともう一点,これは私の質問といいますか,意見でもございますが,資料の3-1で,文部科学省と法科大学院の間で相互に連携するということがございます。そして右側において,試行試験の実施を法科大学院側で担当するということになっておりまして,ここでの「実施」という言葉の意味合い,「試行」という言葉の意味合いでございます。この共通到達度確認試験が,問題の中身がしっかりしている,あるいはその分析が法科大学院の教育にとって反映できるということはもちろんですけれども,その運営体制としても,真(しん)にサステナブルであり,また法曹関係者,あるいは法科大学院に関心を持つステークホルダーの方を含めて,体制もしっかりしているということが分かるような意味であろうと。実施体制,運営体制についてもいろいろな課題が試行の中で見えてくると思いますので,そういったこともこの法科大学院側から文部科学省,あるいはこの場に上げていただいて,試験の中身だけではなく,その運営体制についても,課題を洗い出していろいろ検証すると,あるいはよりよい提案をしていくということをしていったらいいのではないかと思っております。
以上でございます。
【山本主査】  ありがとうございました。御意見だと思いますが,事務局の方から何かコメントが。
【佐藤専門教育課課長補佐】  先生おっしゃっていただいたとおりだと思います。まさしくその体制のところというのは非常に大きなウエートでもありますし,この会議もそうですし,文部科学省の方としても考えていかなきゃいけない部分だろうとは考えております。
ただ,まず今回のこの試行を通じて,どれぐらいの作業量であるとか,どれぐらいのマンパワーが必要であるかというところを見定めていかないと,なかなかそういった安定的な体制に持ち込むというのは難しいだろうと考えておりますので,その辺を含めて,しっかりと詰めていきたいと考えております。
【山本主査】  将来に向けての体制整備というのも,この検討会議の一つの大きなポイントにはなろうかと思います。
ほかに御意見,御質問があれば。よろしいですか。
それでは,関連する話なので,後でまた御質問等に戻っていただいても全然構いませんので,とりあえずは次の話題に行きたいと思います。
本日の会議の中心的なテーマということになりますけれども,事務局で,この会議で検討していく論点の案のようなものの資料をお作りいただいておりますので,これを踏まえて次の議論をしていただきたいと思うんですが,まず事務局から,この資料4の御説明をお願いできればと思います。
【真保専門教育課専門官】  失礼いたします。資料4の「共通到達度確認試験システムの構築に向けた論点(案)」というペーパーを御覧いただければと思っております。
3月に実施が予定されている試行試験の結果も踏まえてということでございますが,共通到達度確認試験システムの構築に向け,今後,議論が必要だと考えられる論点を事務局で飽くまでたたき台として御用意させていただきました。それについて今から御説明させていただきたいと思ってございます。
一つ目は,試験の位置付けや目的に関する論点というところでございます。確認試験については,法学未修者の質の保証といったことに加えまして,既修者にも活用できるシステムとしてこれを設計するということで基本設計が構築されてございますが,未習者や既修者との間に司法試験合格率の差が実際に生じていると,こういったことも踏まえた,特に3年次進級の際の確認試験の位置付けについて,一つポイントになるのかなと思っておるところでございます。
またこちらについては,法科大学院が共通して客観的かつ厳格に進級判定を行う仕組みというふうに確認試験の基本設計が行われているということを踏まえまして,法科大学院において実施される進級判定や修了認定,また入学者選抜における既修者認定試験との関係についても一つポイントとなるのかなと思っておるところでございます。
二つ目は,試験の実施に関する論点でございます。法科大学院についても,いわゆるモデル・コア・カリキュラム,共通的な到達目標モデルがございます。こういったものと確認試験において判定すべき学習到達度との水準の関係といったところも整理が必要かなと思っておるところでございます。
また各法科大学院がそれぞれの目的に基づいて適切に編成している法科大学院の教育課程と確認試験との関係についてもどのように整理を行っていくべきか,ここもポイントになるのかなと思っております。
また三つ目は,学生自らが学習到達度を把握し,今後の学習の参考とできるような試験であることが一つの大きな目的であると思っておりますので,どのような学生に対するフィードバック手法が適切なものであるかといった点についても検討が必要であろうと考えておるところでございます。
また医学系の試験でも採用されております例えばコンピューターの活用といったところも含めまして,マークシートやコンピューターの活用など,確認試験の実施方式について,これは後から出てくるマンパワーの問題ですとか費用面の問題,そういったところとの兼ね合いもございますが,試験の実施方式についても論点として挙げられるのではないかと思っておるところでございます。
その他,特別な対応が必要な受験者に対する配慮,データの保管,秘密保持の在り方,テスト結果に関する情報公開の在り方,こういったものも論点として挙げられるのではないかと考えておるところでございます。
また三つ目は,試験の運営主体に関する論点でございます。大学教育の自主性といったところへの配慮,一方で試験の公益性,そういったものを担保する必要があると考えております。そういったことを踏まえまして,全ての法科大学院が参画できるようなシステムの本格実施に向けて,実施期間や作問の体制,費用の在り方,こういったものをどのように考えていくかというところが一つの論点になると考えております。
四つ目,その他でございます。こちらについては,確認試験については教育の質の保証というところが一つの大きな目的として挙げられておるところでございますが,政府の会議などにおいても確認試験の結果に応じて司法試験の短答式試験を免除することも想定するというようなことも一つ出ているところでもございますので,こうしたことも念頭に置いた確認試験の在り方といったものも踏まえておく必要があるのではないかといった論点でございます。
また,試験の性質上といたしまして,法曹三者をはじめとする関係機関の連携,いかに協力を求めていくかといったところも含めて論点になるのではないかと思っております。
飽くまでここに挙げた論点は事務局で現在考えられるものをたたき台として提示したものでございまして,この他の論点も含めて,先生方に本日は忌憚(きたん)のない御議論を頂ければと考えております。
説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【山本主査】  ありがとうございました。ということですので,本日はまさに第1回の会議で,一応たたき台としてこういう資料を事務局にはお作りいただきましたけれども,もっとこういうことを考える必要があるんじゃないかとか,ここはこういうふうに考えるべきじゃないかとか,もう本当に何でも結構ですので,フリーディスカッションということで御自由に。もう既に御意見いただいたものもありますが,御自由に御意見を出していただければと思います。
どうぞ,大貫さん。
【大貫委員】  ありがとうございます。検討の順序なんですけど,この参考資料の1というのがございます。「共通到達度確認試験等に関する調査検討経過報告」。私はこの共通到達度に関与するのは初めてで,事情がよく分かっていないのですが,恐らく試行試験は,この今,読み上げた表題の文書を踏まえた上で制度設計がされていると思うんですね。その御説明いただいた方がいいのかなという気がしたので。
といいますのは,先ほど片山委員の方からも,制度設計の在り方として,進級判定に使うというけど,2年から3年というのは,科目配置が特に各大学ばらばらですから,進級時,に統一的に確認試験ができるかという大論点があるはずなんですね。
そういう問題も検討した上で,試行試験というふうに至っているわけですので,まず試行試験に至ったプロセスをちょっと教えていただいた方が議論がしやすくなるのではないかという気がしたんですけれども,いかがでしょうか。
【山本主査】  いかがですか。御説明いただけますでしょうか。
【佐藤専門教育課課長補佐】  それでは,事務局からポイントを絞って説明をさせていただきたいと思います。参考資料の1を御覧いただきたいと思います。
共通到達度確認試験の基本設計というのがまずございまして,基本的考え方というのがございます。先日来,出てきております平成257月の法曹養成制度関係閣僚会議,「閣僚会議」と俗に言われているものでございますが,そこにおいて文部科学省において中教審の審議を踏まえ,未修者教育の質の保証の観点から,まずこの共通到達度確認試験というものを早期実現するように議論しなさいということがございました。よって,まずはその未修者教育をどうするかという観点からこの案が出てきているというところがここでも表れているということでございます。
ただそれ以降に,下段のところに書いてございますが,「これを既修者にも活用できるものとしての基本設計・実施について2年以内に検討を行う」ということを更に書かれているように,更にミッションとしては,それを既修者にも是非,入れるということも考えてみてはどうかという御提案を頂いておりますので,それに対する検討もしていく必要があるという状況になっているということでございます。
それから2番目の目的のところを御覧いただきたいと思いますが,二つの目的,大きく書かれております。一つ目は,先ほど片山先生がおっしゃっていただいたところにつながるかもしれません。各法科大学院がその進級時に掲げる到達度を確認して,その後の学習・進路指導,それから進路判定等に活用するということで,これは2年次進級時と,それから3年次進級時というものがそれぞれ考えられる。そこに書いているような素養が考えられるのではないかということがこのワーキンググループの中の議論ではあったということでございます。
それから二つ目の論点として,更にそれが学生側が今度は全国規模の中で自分がどのような到達度にいるのかということを確認する,その判断材料として活用することもできるのではないかというのが二つ目の点でございます。
おめくりいただきまして,試験内容,実施方法でございます。これは結論から申し上げますと,まさに試行でやっていかなきゃいけないねというところの最たるところではあるのですが,その時点での議論としてお聞きいただければと思いますけれども,その箱の中にありますように,1年次の学年末に未修者コースの1年次在籍者で憲,民,刑,さらには2年次の学年末において,その未修者コース2年次在籍者,さらには既修者の1年次在籍者を対象として,憲,民,刑,更にプラスアルファで民訴,刑訴,商法,行政法というものが考えられるのではないかということが議論の中にあったということでございます。
更に三つ目の丸を御覧いただきたいと思いますが,具体的な制度設計については,その試行,一番ポイントになるのは,やはりその試験の難易度ということになるかと思いますので,そういったものを検証して,必要な検討を深めていくということになっているというところでございます。
それから(2)を御覧いただきたいと思いますけれども,試験の実施・位置付け等ということでございますけれども,まずは全ての法科大学院を対象とするものを考えるということが大前提として掲げさせていただいているところでございます。
二つ目のところについては,全ての法科大学院の協力を得る体制として,それを原則として学内外の各種試験での経験蓄積を活用するということが考えられるのではないかということが書かれているということでございます。
さらには,四つ目のぽつのところでございますけど,各法科大学院がそれぞれ個別のカリキュラム,授業科目等の編成をしておりますので,そういったものの変更等を必要以上に迫られないような配慮というものが,これが最も難しい問題だと思いますけれども,こういったことについても御意見を頂戴しているという状況でございます。
それから(3)の試験の難易度のところでございますけれども,二つ目の丸の1年次学年末,それから2年次の学年末の双方で実施する受験科目について,出題範囲,それから出題試験問題は共通として,到達度の目標を分けて判定する方法,それから出題範囲は共通とするけれども,難易度の異なる試験を別途設定して,その到達度を判定する方法,さらには三つ目として,出題範囲の異なる試験を別途設定して,それぞれ到達度を判定する方法。これは様々な方法があるということを提起しているという形でまとめをさせていただいているところでございます。
それから,試験の方式でございますけれども,これにつきましても,知識を問う問題については多肢選択形式・択一式を基本としてはどうか。さらには法的思考力を問う問題については多肢選択形式・択一式,順次解答連問,要は連問でそれを作問することによって,こういった法的思考力を問うようなことも可能なのではないかという議論があったということでございます。
さらには,先ほども話がございましたが,コンピューターを活用した試験方式,これは実は医学の共用試験等でCBTの方式を活用していることがございますので,そういったものが活用できるかどうかというところも議論としてはあったところでございます。
それから(5)のところの司法試験との関係性についてでございますけれども,これにつきましては,これも政府の方の検討会議のところでも述べられているように,司法試験の短答式試験の免除というものの関係性についても検討すべきということを言われておりますので,そのことについてもしっかり念頭に置きながら議論していく必要があるということでございます。
次のページをおめくりいただきまして,6番の留意事項でございますけれども,これ一番重要なのは,最初に申し上げたとおり今回のこの試験の仕組みというものが法学未修者にとってというところが非常に重要なポイントでございますので,法学未修者の教育の改善に資する効果的な手段として活用されることに留意するということが一つ大きなポイントかと思っております。
それから,二つ目のところにありますように,その際に,法科大学院生の学習そのものが確認試験への対策に偏らないように,まさしく予備校のような教育のように,過度に偏重したものにならないようにというところが注意点として掲げられているということでございます。
それから,大きな4のところに,本格実施に向けた試行ということで書かせていただいておりますけれども,検証すべき事項,これは実は今日の論点ともつながっている話だと思いますけれども,確認試験で判定すべき到達度の確認,共通理解,それから問題の作成,精選,難易度の調整,それから実施方法・実施時期の確認,さらには学習指導・進路指導に活用する方法等というものを試行を通じて確認していく必要があるであろうという議論がなされたというところでございます。
続きまして,最終ページ,ページを振っていなくて大変恐縮ですが,ローマ数字の2のところで,ここは別の話ですね。例の法学未修者の教育のもう既に我々が通知をさせていただいた話ですので,以上で今回の共通到達度確認試験のシステムに係る部分につきましては,本当に概略でございますが,説明させていただきました。
以上でございます。
【山本主査】  ありがとうございました。私もこの文書を作成するのに関与していましたが,私の印象としても,今お話があった,医学部の現実にやっているところなどをある程度いろいろヒアリングしたりして作っていったものではありますが,基本的には頭の中で考えて作った枠組みですので,本当のところはやっぱりやってみないと分からないよねというのが,私の印象ではその場の雰囲気であって,それで最後にこの本格実施に向けた試行という項目を作って,できるだけ早くこの試行というのをやっていただいて,それに基づいてもっと詰めていかなければいけないということで,まさにこの会議というのがそれを目的とした会議ではないかと思っていますので,ここで示された枠組み自体はかなりざっくりとした,あるいは柔軟なものだと認識していただいて,余りこれに強く拘束されるというようなことでは必ずしもないという御認識で御議論いただいて構わないのではないかと思っております。
【佐藤専門教育課課長補佐】  今,先生おっしゃっていただいたとおりで,こういったことがあるということの議論をしていただいた結果をまとめさせていただきますけれども,一番重要なのは,これからまた試行を通じてこういったものの実現可能性について一つずつ集めていっていただくということだと思います。
【大貫委員】  ありがとうございます。どうもよく様子が分かっていないのは何名かだけのようなので,申し訳ございません,多くの先生方にとっては既知のことだったと思います。
それで,この検討と試行試験の関係というのをちょっとお聞きしてもいいんですかね。これから試験をするのに,あんまり内容について聞いてはよろしくないですか。
【山本主査】  内容というのはどういうことですか。
【大貫委員】  内容というか。
【山本主査】  問題の中身は。誰も知らない。
【大貫委員】  いや,さっきの磯村先生の御発言も,いいのかなと思って聞いていたんですけど。
【山本主査】  ああ,分野とかですね。
【大貫委員】  分野とか。
【山本主査】  それは構わないと。お答えになれるかどうか。
【大貫委員】  資格試験ではないのでいいのかなという気もするんですが,例えばページが打っていない,2ページ目の試験科目の出題の仕方ですね。一番下に,出題範囲及び試験問題は共通としとか,いろんなオプションがあるんですが,このうちどれを試そうとされているのかとかいうことはお聞きしちゃいけないのですか。
【山本主査】  このあれですね,丸1,丸2,丸3という部分のあれで,とりあえずは未修者,今回は未修者。
【大貫委員】  今回は特に問題ないですけど,今後のことも,これはオープンだということで。
【山本主査】  そうですね。これを作る時点では,その後にありますように,速やかな着手が可能となる丸1の方法によりということ,要するに問題を作る負担としては,同じ問題で1年と2年をやらせた方が手間は大変じゃないんじゃないかというので,一応こういうことを書いていますけれども。
【大貫委員】  丸1番を選択したということですね。
【山本主査】  ただこれは,先ほど申し上げたように,一応仮置きとしてこういうことを書いてあるので,やってみた結果として,丸2,丸3というようなことももちろん考えられる。これはあれですかね,その実施の方の委員会……。ここでも検討するんでしょうね。
【佐藤専門教育課課長補佐】  必要に応じてだと思いますけれども,まさしくこの仕組み自体が,大学の進級判定等,教育の中身に入り込んでいる部分もありますので,大学の先生方のところで構成していただいているところで議論を頂きながら,必要があれば当然こちらで議論していただくということも,それは排除しているものではないということだと思います。
【笠井委員】  私も一応この前のワーキングのメンバーではあったんですけども,,もう2年前の話でよく覚えていなくて,正直,今から言うことはそのときの議論をちゃんと反映しているかどうかについては余り責任が持てない発言としてお聞きいただきたいんですけれども,まずいろいろやってみないと分からないという話があったことは間違いなくて,しかも先ほど出てきたような既修者も含めた3年次への進級のときにどう使うかみたいな話は,今回の試行ではまだ対象になっていないので,来年度にやる時点で,どういう試行テストにするかという話をするときに,この会議でも話題にすればいいのではないかなと思うのですけれども。今,佐藤補佐の方からもおっしゃったように,各法科大学院でこの試験をどういうふうに用いるものとしてこれを作るのかというのは多分,大事な視点で,まず,前のワーキングのときの認識としても,別にこの試験で一定の点数を取らなければ1年生から2年生へ上げてはいけないとか,2年から3年に上げてはいけないとか,そんな話ではなかったと思います。
これを見ながら学生の到達度がどこまで行っているかというのを考えながら参考にするというような,どこかにその辺のことは書いてあったと思いますけれども,そんな結論だったと思うんですよね。
ですから,まずどの範囲で出すかということに関しても,例えば今回の試行がどの範囲かどうか全然知らないんですけれども,家族法とかについても入れていただいていた方がいいのかなとちょっと思うのは,その法科大学院が仮に家族法については全然1年生には教えていませんという話であったとしても,それは教えていないから仕方がないですねという話で,財産法についてちゃんとできていればいいというふうに使えばいい話だと思うわけです。
そういう意味では,その法科大学院において,自分のところのカリキュラムとの関係でどういうふうにそれを使うかということを考えればいいので,例えば2年から3年への進級に関しても,これは私も覚えているんですけれども,各法科大学院でやっていることが違うから,3年生でしか教えないことについてどうやって判定するんだと,民訴の後ろの方を,3年生でしか教えないことについて,どこまで聞いてやるのかという,今のような話が出たと思いますので,その辺で,この3年次の途中段階での実施みたいな話題もちょっとあったと思うんですけれども,ただそれも各法科大学院でどう使うかという話との関係で考えると,その範囲の問題については進級のときにできていなくても,ある程度は仕方がないですねというような形で法科大学院が考えればいい話で,逆に言うと,やっているはずなのにできていないという話だと問題があって,その学生が問題があるか,全体的にできていないと教え方が悪いという話になると思いますので,そういったようなことで,そうしたらカリキュラムを変えるかみたいな話にもなるかもしれませんので,そういったようなことで,各法科大学院でどう使うかということを考えて作るとすると,そういう意味では,試験を作るときにもある程度,第何問から第何問まではどの分野から出しているというようなことがきちんと分かるような形で作ってもらえれば,そういうことを使いやすくなるのかなとちょっと思ったというところです。
少なくとも財産法で,例えば総則・物権,債権総論,債権各論,あと不法行為とかも含めて,あと親族法とか,そういうふうにやっておかないと,その法科大学院のカリキュラムとの関係でどう見ていいか分からないというところはあるのではないでしょうか。例えばそんなことを考えたんですけれども。
【山本主査】  ありがとうございました。どうぞ,磯村委員。
【磯村委員】  幾つかちょっと今の御発言で感じるところがあったんですけれども,この試験が本格実施されるときに,そのデータがどういうように公表されるかということと関わると思うんですけれども,例えばA大学の平均点はこれだけであるというようなデータが公表されることになると,各法科大学院は試験の結果に非常にナーバスになって,その数値を上げようとする。そうすると,この範囲から出ますという仕組みになっていると,各法科大学院のカリキュラムがそれによって制約されるという虞(おそれ)が極めて大きくなるのではないかと思います。
もう一つは,25年7月の閣僚会議で考えられた枠組みがどれだけ拘束的かということにも関わるんですけれども,「客観的かつ厳格に進級判定を行う仕組み」というフレーズが入っているときに,そのフレーズにもかかわらず,各法科大学院がそれぞれ利用の仕方を事由に考慮していいというといえるのか,,いうその問題は何かあるように思います。
最後に,民法で総則・物権というように分けていいのではないかという点については,法科大学院の学生として,恐らく分野ごとに問題を理解しているだけでは十分ではないというところがあって,総合的に,ある問題を見たときに,民法総則にも債権法にも,場合によっては親族・相続法にも関わる問題を全体として位置付けられるという能力が必要であるとすると,ここまでの問題はこの分野ですというのは,やや趣旨が違うのではないかというように感じます。
以上です。
【山本主査】  ありがとうございます。データの公表に関する問題というのは今のところ何かお考えのところはございますか。
【佐藤専門教育課課長補佐】  いえ。そこもこれから詰めていかなくてはと思います。まさにどこまでを公表するのかというのは,大学側の評価に直接的につながってしまうというのは先生のおっしゃるとおりだと思いますし,ただ今回のところが法科大学院全体で一定の水準に持っていくものを共通的に作りましょうということですから,逆に言うと,制限し過ぎると,余り効果がない。それぞれもう個別の大学で好きなように使っているんですということで,この議論を今出すのがいいかどうかというのはあるんですけれども,最後の短答式免除のところに行くときに,本当にそれで行けるのかどうかという議論は残っているのかなという感じはございますけれども。
【山本主査】  どうぞ,大貫さん。
【大貫委員】  確かに今の議論は結構深刻だと思います。先ほど佐藤補佐が説明を割愛されたところ,この未修者教育の充実のために未修者に関して法律基本科目の配置を2年まで広げるというものはもう実現したんですか。
【佐藤専門教育課課長補佐】  はい,広げています。
【大貫委員】  広げてもいいということになりますと,ますます横一線で,1年から2年のときにきちっと共通的に到達度を測りづらい状況になっているんですよ。
【佐藤専門教育課課長補佐】  はい,なっているということは想定できると思います。
【大貫委員】  2年と3年で科目配置が既に大きく異なっていて,そういう状況のときに,試験のイメージがちょっとできないんですけど,横一線で,ある時期に確認試験をやるということになると,さっき笠井委員が言われたように,それは各大学で自分たちのカリキュラムに照らし合わせて,ここができていればいい,ここができていればいいという判断すればいいというふうに割り切るのかどうかですね。
あと各大学の点数が公表されたときに,この大学,ひどく悪いじゃないかということになると,やはりそれは非常に問題で,そうなると,余り構想はないんですが,時期を問わず科目ごとに受けて,むしろ各学生が自分の到達度をきちっと測る,科目ごとに,時期は問わずに受けて,積み上げていくということもあり得ると思います。元へ戻りますと,1年から2年についても,かなり各大学院によってばらけてきているときに,横一線のある時期に行う試験というのが果たして適切なのかというのは,今の議論を聞いていて思います。
【佐藤専門教育課課長補佐】  特に2年,3年のところというのは,それは重要な課題だと思います。
【山本主査】  そういう議論も,たしか前のあれに出て,CBTとかそういうようなものであれば,何かそういうこともあれなんだけど,ペーパーテストでやるときに,一体何問作らなきゃいけないのかみたいなことになりかねない部分もあるとか,いろんな議論は前のときにも出て。
【大貫委員】  すみません,議論にすっかり遅れているものですから。
【山本主査】  いえいえ,それはなお考えていかなければいけないと思いますが,ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
【酒井委員】  今の点にも関連するところかと思うんですが,その実施の方法とも関係して,今,秋入学ですとか長期履修を認めているロースクールもあると思いますので,そもそも横一線で1年生がいつ終わるのかということもずれてくるという現状があると思います。
これはカリキュラムの問題と合わせて,より枠組み的な問題だと思うんですけれども,試行そのものはマークシートで早期にスタートして,できるだけトライするということは全く賛成なんですが,やはりCBT形式のコンピューターで使えた方が,よりフレキシブルにロースクールを縛らないで実施ができるということはそのとおりだと思いますので,例えばマークシートで可能な限り継続をして,問題が蓄積したところで,かつ予算の裏付けが付いたところでコンピューターに移行できれば理想的だなということは考えていまして,特にこれから入学者をいかに幅広く募っていけるかということは,非常に各ロースクールにとって大きな問題だと思いますので,入学の時期からカリキュラムの在り方をできるだけ拘束しないという観点からも,システムでそれを担保するというか,そういうような方向は,長い目でも検討すべきところなのかなと考えております。
以上です。
【山本主査】  ありがとうございました。もちろんお金の問題というのはあるわけですけれども,当然それは考えていかなければいけないことだと思います。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ,日吉委員。
【日吉委員】  幾つかもう御意見が出たんですけども,今のお金に関連するわけですが,現在の法科大学院が置かれている厳しい状況,学生が集まりにくい,いい学生が来ないという現況を踏まえて,その上でまたこのシステムを導入するという場合,やり方を間違えると,これはもっとある種のネガティブインパクトになる。それは学生が入ってくることに二の足を踏むだけではなくて,経済的な部分も関係するかと思います。
もちろん中教審の方でも,ワーキンググループの議論でもそのお話は出ましたけども,やはりこの共通到達度確認試験というものを導入しなければならないという状況になったときに,これが飽くまでも勉強する学生さんにとって,自分が成長していく大きな助けになるという確信が得られるような内容にするということと,それからその金銭的な負担等も含め,受けていただく学生さんにはできるだけ負担がないような,お金の話は全然分からないんですが,何か資金繰り,予算取りというものを割合重要に考えていかないと,もし今が非常に逆風の状況だとすると,これにまた一つマイナスなものを積み重ねてしまうという愚を犯す危険があるのではないかと,ちょっとその部分,危惧しております。
以上です。
【山本主査】  そうですね。結局ずっと,毎年毎年,試験をやっているのかと,法科大学院入試があり,この到達度試験があり,司法試験があり,最後は二回試験がありとかって,毎年,試験をやっていくということが本当にいいのかという議論は確かに前のワーキングでもありましたし,お金の問題も,医学部はどうやら学生に負担させているということで,ある程度,しかし医学部の援助をしているところもあるとか,そういうお話でしたけれども,更に金銭的な負担を課すというのはどうかというのは確かに。なかなかお金の問題は難しいところもあると思いますけれども,議論する必要はある問題だろうと思っております。
どうぞ,宍戸さん。
【宍戸委員】  今,日吉委員がおっしゃったことは,私も物事の核心だと思っておりまして,やはり法科大学院に進学すると,きちんと自分の学習の進歩も測れて,そしてそのことが単に主観的な満足ではなく,客観的に自分の学習が身に付いていることが分かる,そういう手応え感のある,法科大学院に行くといいことがあるという売りになるような制度として,取り組むべきだろうと私も思います。
経済的な負担もそうですし,この試験のために何か特別な勉強をしなければならないというようなことではない。この試験の成績が悪いということは,ふだんの勉強が足りないとか,やり方が何か間違っているというようなぐらいの試験として組んでいくという必要があろうかと思います。
現在,法科大学院が外から見られている批判的な御意見なども踏まえますと,他方でそれが,特に法曹三者の方,あるいは社会から見てもしっかりした試験でもあるということを確保するということも重要でございますので,どの場面であるか分かりませんが,事務局から御説明のあった論点案でいいますと,4の最後の,法曹三者をはじめとする関係機関とどういう形で法科大学院教育の専門性,自主性,自立性を確保しながら連携を果たしていくかということについては,まさにこういう場でしっかり議論していくということが必要ではないかと思っております。
それからもう一点,少しずれる話でございますけれども,どの時期にやるのかと,あるいはロースクールごとに,あるいは学生ごとにCBTなどの方式でカスタマイズするかどうか,いろんな議論のやり方がありますが,いずれにせよ観念的には2年次から3年次に進級するという段階での試験の在り方については,未修者からロースクールに入られた方と,既修で入られた方が同じような形で競うような試験,あるいはそういう運営にならないようにした方がよろしいのではないかと思います。
未修者の方は,言い換えますと,3年かけて法学部卒業者,2年間の既修者に追い付くと,追い付くという言い方は不穏ですが,そういう基本的な設計のはずでございます。
そうだとしますと,これも単純に点がよかったから,悪かったから,あるいは未修者グループと既修者グループを分けて,点が離れているという,数字は出ますが,むしろ見るべきは,未修1年次の方が進級時に受けた点から2年次を修了したときにどこまで伸びているかである。そこで既修者の方にどれだけの幅があるのか,どういう点を法科大学院としては教育していけばいいか,あるいは個々の学生の皆さんがどういう点に力点を置いて勉強していけばいいか,そういうことが分かるような試験としてこれは位置付け,設計を心していく必要があるだろうと思います。
更に3点目でございますが,磯村委員から御指摘のありました,出題分野の問題があろうかと思います。私も,非常に悩ましい点だと思い,磯村委員がおっしゃっていることもよく分かっているつもりでございます。他方,先ほどの3年間,あるいは既修者であれば2年間かけて総合力を養うという観点からしますと,卒業の段階でいろいろな分野の,例えば相続法的な知見と債権法的な知見を総合して戦えるところになっていればいいのであって,2年次から3年次に上がる,あるいは1年次から2年次に上がる段階では,まだ学習としては分野ごとに,勉強しているという可能性も高いのではないかと思います。
私としては,磯村委員のおっしゃっていることに反対という趣旨ではなくて,このあたりをもう少し議論していくという必要があるのではないかという指摘でございます。
長くなりましたが,以上です。
【山本主査】  ありがとうございました。大変重要な指摘を頂いたと思います。どうぞ,大貫委員。
【大貫委員】  宍戸委員と日吉委員の御指摘,まことにもっともだと思います。お二人のおっしゃったことは,この試験を導入して,学生が自分を成長することができるということをちゃんと確認できる,あるいは自分の学習の進展をちゃんと計測できるというふうな,そういう信頼を受けられるような試験にすべきだという御発言だったと思いますけど,全くそのとおりだと思いまして,先ほど佐藤補佐が簡略に説明してくれた文書にもあるんですけれども,過度な知識偏重にならないようにする必要は非常に高いんだと思うんですね。短答式問題ですから,そこをどうクリアするか。
実は私,ちょっと言えませんけど,ある国家試験の短答式の問題を作ったことがあるんですけど,これは知識偏重になるんです。理論を聞いたり判例を聞いたり。これではよくないと思いまして,短い文章で,理論なり条文を適用させる問題を作ったとき,これはものすごく作るのが手間だったんです。2年だけ続けて,嫌になってやめたんですけど,予備校からは新傾向の問題だと言われたんですけれども,思考力を試しました。
ただ自分が作れと言われるととても嫌なんですけれども,もし普通の,これまでイメージされているような短答ですと,やはり知識偏重になることは免れないんじゃないかと思うんですね。ですから医学部でやっているような順次解答連問方式とかいろいろ工夫しないと,日吉委員と,あるいは宍戸委員が言われたような信頼度というのは確保できないのかなということをちょっと心配しています。ただ作る側(がわ)になると,そんなことできるのかと言われると,つらさはよく分かるんですけれども,理念上はそうだろうと思います。
これが1点で,もう一点は,これも日吉委員が言われたことと関わる実施体制,主体のところを早急に考えなきゃいけないんだろうと思うんですね。前に,大学入試センターが適性試験をやっていたんですが,これは今はなくなってしまったんですが,例えばああいう形式にするのか,国立大学の共同研究施設,私の記憶では例えば東北大学の金属材料研究所なんかがその例ですけれども,そういうものにするのか,全然その可能性はないですけど,法科大学院協会がやるのかですね。ともあれ継続的に試験を実施できる体制を作らなきゃいけないので,資金の問題も密接に関わってきますので,これはかなり早めに議論しないといけないかなと思っています。
以上です。
【山本主査】  ありがとうございました。最後の仕組みのところでは,医学部は何か独立の法人か何かを作っていたんでしたっけ。
【佐藤専門教育課課長補佐】  そうですね。独立の体制を作っています。
ただ,いずれにしても,先ほどもお話ししたとおり,どれだけのコストが掛かって,それに対する費用をどこから持ってくるかと,まさにその収支のバランスがどう取れた状態になるかというところを見せてあげないと,やはりどこも受けないということになってしまいますので,そういったところの分析を,だらだらと遅らせてやればいいということではなくて,この試行をしていく中で,そういった試算を積み上げていって,どういったところで実現可能性があるのか,それと同時にもっと重要なのは,恐らくこの試験というのはやっぱり特殊な仕組みですので,その知見を持っているかどうかというのはやっぱり非常に大きなウエートなんだと思います。そういう核になる方がおられるかというのも併せてそうですが,そう選択肢は多くはないのかなと。
それと,多分もう皆様これは共有させていただけるんじゃないかと思いますけど,こういった大学という組織を束ねて行う試験ですので,やはり公的な位置付けの団体にお願いをしなければいけないというのはある意味,間違いないところなのかなという感触は持っております。
今のようなところを踏まえて,委員のおっしゃるように早急というのはそのとおりなんですが,いかんせんそれを引き受けてくれるところがどういうところがあるのかというのを分析しながら,お願いしていく。若しくは新しく作るという選択肢も捨ててはいけないのかもしれません。
【山本主査】  どうぞ,磯村委員。
【磯村委員】  2点についてですが,1点目は今,大貫委員から御指摘のあった試験問題のスタイルの問題で,未修者ワーキンググループでも同じような議論をいたしました。その過程において,非常に短くてもいいから文章題を出してはどうかという議論があったんですけれども,やはり採点委員による裁量の幅が問題となり,統一的な国家試験の場合は,共通する数名で答案を見ることになるかと思いますが,この到達度確認試験ではそういう体制を作れないとすると,採点者によって,評価がぶれる問題にするのは,無理があるのではないかという議論になり,結局,思考力を試すのは連問方式のような形式での短答式問題を工夫して作るということにならざるを得ないのではないか,そういう結論になりました。
もう1点は,試験の実施体制に関する論点の右の最初の丸に関係する問題なんですけれども,かつてちょっと私が関わった問題に関係いたしますので,発言するんですが,共通的な到達目標モデル策定のときに,このモデルは5年に一度程度改定するというのが原則であるという話になっていました。
民法について言えば,民法改正が実現すると,かなり大幅にこのモデルの改定をする必要があることになります。それと連動させて,この確認試験の内容も変わるとすると,確認試験の体制を考えるときにも,共通的到達目標モデル改定の体制と,確認試験実施の体制をどう組み合わせていくか,あるいは組み合わせていかないのかということも考えていく必要があると思います。この点は,どうすればいいかという具体的提案を考えているわけではなくて,今後そういう問題を考える必要があるということを,論点として出させていただきたいと思います。
【山本主査】  貴重な御指摘を頂きありがとうございました。
どうぞ,大貫委員。
【大貫委員】  今,磯村委員の御発言で,文章題,を作るのは難しい,要するに採点者で偏差が出るからということだったんですが,私が作った問題は,短文を与えて短答で答えさせる問題なんです。
ですからものすごく大変なんです。答えが一義的に決まらなきゃいけないので。短答式ですから採点の苦労はないんですが,作題の苦労があるということなんです。短答問題にして,簡単な当てはめをさせる。これはとてつもない時間がかかって,2年で挫折したということです。補足です。
【山本主査】  伺うと大変そうな作業でありますが。
片山委員,どうぞ。
【片山委員】  今の諸委員の御意見とも共通しますが,やはり試験の位置付けというか,試験の規模,どのぐらいのしっかりした制度で,最終的には司法試験の短答試験に代替するような制度設計をしていくのか,それとも非常に自由度が高い,要するに到達度をそれぞれの法科大学院生が確認できる,そういう緩やかな制度として制度設計していくのかという制度設計の選択をどこか早い時期に行う必要があるように思います。
それに関連しまして,仮に割り切って考えるということであるとしたならば,何も法曹としての資質保証はこの到達度確認試験だけが行うものではなくして,各ロースクールの期末試験等でも行えるわけですし,そもそも司法試験自体が確認試験でもあるわけです。その点からは,無理をせずに,単に基本的な知識を問うだけの試験にするという選択肢も十分あると思います。以上のように,基本的な制度設計をどのように考えるか,出発点のところが非常に重要になってくるかと思いますので,それを全体のスケジュール感の中のどのあたりまでに議論をして決めるのかということ,スケジュール感,がある程度,見通せると,議論がしやすいかと思います。そのあたり,何か目標,着地点といいますか,それがあるようでしたらお伺いしたいと存じます。
それに関連しまして,とにかく2年間,平成25年の7月から2年間の間に一定の結論を出すという前提だったわけですが,そのミッションとの関係でいうと,今年の7月,までにどこまでの結論を出さなければいけないのかということも関連してくるかと思いますので,そのあたりのスケジュール感をお教えいただければと思います。
【山本主査】  もし着地点があれば,私も是非,聞いてみたいですが。
【真保専門教育課専門官】  現時点での我々の想定といいますか,分かり得る限りのことを御説明いたします。
参考資料3の参考データ集がございますが,こちらの最後の見開き,通し番号の9ページを御覧いただければと思います。こちらは平成26年11月18日に,法科大学院の抜本改革の推進ということで,中央教育審議会からの提言なども踏まえまして,文部科学省として公表したものでございます。こちら,表裏でございまして,裏面の9ページに工程表ということで記載をさせていただいてございます。
この中に,教育の質の向上というところの二つ目,共通到達度確認試験というものがございまして,ここで記載してございますのは平成26年,27年というところで,そこまでで2年次から3年次への進級も含めて試行試験をやってみるというところがまず第1フェーズかなと思っております。
その後の28年度,29年度ということで申し上げますと,そこについて本格実施に向けた体制整備,こういったことも含めて試行を実施していくと。こういった形で数回の,ここは4回ということにしておりますが,数回の試行を繰り返していく中で,30年度以降,本格実施に結び付けていければということで大まかなスケジューリングを描いているという部分がございます。
以上でございます。
【山本主査】  どうぞ,宍戸さん。
【宍戸委員】  関連して事務局に質問でございますが,この参考資料3の参考データ集の9ページの一番下に,政府全体の取り組みとして,法曹養成制度改革顧問会議等における検討があって,そして27年度の夏に政府決定があるという,この大きな政府全体でのスケジューリングがあろうかと思います。
これと,この場での検討がどう関わるのかというのが質問の1点目であり,2点目は,それに関連いたしまして,法曹養成制度改革顧問会議等におきまして,先のワーキンググループの報告以降,共通到達度確認試験等についてどういう御議論がなされているかという点について,何か特筆すべきことがありますでしょうか。
【牛尾専門教育課長】  まず顧問会議での検討状況ですけれども,今,御指摘いただいている論点についての具体的な御議論というのはまだされていないというのが現状でございます。
それであと先ほどの御質問にも多分,含まれていたと思うんですけれども,この7月までにその短答式免除とこの共通到達度試験についての一定の御議論を頂くということが決まっているわけですけれども,現実問題として想定できるのは,もし違っていたら,後で西山課長に補足いただきたいと思いますけれども,まずは1回,試行をやらせていただいて,その分析はさせていただきますので,まずその御提示を顧問会議の方にはさせていただいて,短答式免除もにらんで何か御注意いただくべき点があるのかどうかというのを顧問会議で御議論いただくという程度のことが今,現実問題としてはこの7月までの間に想定されることなのかなと思っております。
【山本主査】  西山さん,もし御発言いただければ。
【西山委員】  特にコメントすることは。
【山本主査】  どうぞ,宍戸さん。
【宍戸委員】  そういたしますと,今年度の試行は差し当たり未修1年でございますけれども,来年度の試行において,どういうやり方か分からないですけれども,未修の2年次から3年次へ,あるいは既修の1年次から2年次についての試行試験が行われて,今年度と来年度の試行のデータ,を実際に見ながら,司法試験における短答式免除に適するか適さないかという議論をすることに,おのずとなるだろうと思います。
,はなから全くやっていく可能性がないことをやっても仕方がないというか,そう腹を決めてやるなら別ですけれども,そうでないとすれば,やはり今申し上げました既修1年から既修2年,未修2年から未修3年への試験の在り方について,どういう試験であれば,あるいはどの点を詰めていけば連動があり得るのかといった点について,やはりこの場でも,西山課長がおいででもございますので,少し議論をさせていただいて,そしてそれを来年度の試行に反映させていくということがあってもいいのかなという意見でございます。
【山本主査】  ありがとうございました。ちょっとそれはお考えいただくということで,ほかにいかがでしょうか。
どうぞ,片山委員。
【片山委員】  論点という意味では,これはもう最後の最後でいいのかもしれないですけれども,やはり認証評価の中で共通到達度の問題をどう取り上げていくかということについて,一定の議論が最後に必要になってくるかと思いますので,それを論点の中の一つとして挙げさせていただければと思いました。
【山本主査】  ありがとうございました。重要な御指摘だと思います。
どうぞ,笠井委員。
【笠井委員】  私もまさにそこは大事なところだと思っておりまして,恐らく前のワーキングでも多分そういうことだったのかなと思うのは,要するに,先ほど磯村先生もおっしゃった厳格な進級判定をやっているかというところとの関係で,これをどう使っているかということについては,やはり認証評価機関が判定しなければ,この法科大学院の全体の仕組みの中ではそれを他にするところがありませんので,そういう話になってくるのかなと思います。ですからそこは,全体として認証評価機関が最後は判定するみたいな話になるように思いますけれど,もちろん論点としてそこが非常に大事なところだなと思います。
【山本主査】  ありがとうございました。ほかに。どうぞ。
【磯村委員】  今の点に関連して,認証評価の在り方が少し難しいところがあるのは,認証評価は,自己評価報告書に対して,その法科大学院の活動を評価するという仕組みになっているので,他の法科大学院との関係で客観的かつ厳格にという評価をすることができるかどうか,実際に認証評価に関わった経験からすると難しいところがあるように思います。
その法科大学院にとっては確かに客観的かつ厳格に評価したのかもしれないけれども,全国的に見ると実は厳格さが十分ではなかったということではちょっと違うのかなということで,論点として,それも含めてちょっと考えていく必要があるかなと思いました。
【山本主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。どうぞ,日吉委員。
【日吉委員】  先ほど宍戸委員が言われた短答式試験の免除に向けてのどういうタイムスケジュールで議論を深めていくべきかという問題なんですけども,大変重要な点だと思います。
それと関連して,やはりここでも皆さんで議論をして,ある程度,同じ土俵に乗らなければいけないと思うのは,この共通到達度確認試験というものと,短答式試験の免除ということとの関係がどうあるべきなのか。これは私も個人の意見はございますけども,先ほどと同様に危惧していることだけを申し上げますと,もちろん短答式免除が実現すれば,それはある意味で言うと,法科大学院制度にとっての大きな追い風になるということは言うまでもないことです。
結果としてそうなれば,それはすばらしいことですけども,短答式試験の免除を勝ち取りたいという,あるいは短答式試験の免除ありきということで共通到達度試験の内容あるいは在り方,試験体制も含めて,試験方法も含め,もしそれを時間的にも急いで決めなければいけないというふうになると,かなりその共通到達度試験そのものの存在意義ということからすると,違うところに入っていってしまうというおそれがあるような気がします。
ですから,別に今,全員が同じページに乗る必要はないですけれども,やはりここでどのくらいの時間スケジュールでこの共通到達度確認試験の在り方,本格施行に向けて考えるというタイムスケジュールと,この短答式免除というものを目指すその時間的なスパンとの関係についての基本的な考え方というのは,どこかで統一というか,どこかで何か結論を出さなきゃいけないんじゃないかなと思っております。
【山本主査】  よろしいですか。ありがとうございました。前のワーキング以来,この議論が出てきて以来,前回の取りまとめも,この司法試験との関係というのがものすごく長い文章で,一読して必ずしも十分理解できないようなことになっているのは,やっぱりそこの位置付けというのが,私の印象ではやっぱりその問題を頭の中心に置いて考えるとおかしな方向に向かうと。しかし頭から完全に離してしまうわけにもいかないと。頭の片隅に置きながらやっていかなきゃいけないというところが非常に難しかったところだし,今でも恐らく難しいところなんだろうと思います。
【日吉委員】  そうですね。
【山本主査】  まことにおっしゃることはごもっともで,ここで更に議論していかなければいけないということは明らかだと思います。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ,酒井委員。
【酒井委員】  今の短答式免除の点とも若干関連はしてくるかと思うんですけれども,まずそもそもこの共通到達度確認試験というのが,当該受験をする学生にとってどれだけ学習の手助けになって充実した試験になるかということがまず一番だと考えています。
私,実際にロースクールで教育を受けて,また一橋の出身ですので,独自に課していた進級試験を1年生の修了時に受験した立場から申し上げさせていただきたいと思いますが,各論的な話にはなってしまうんですけれども,やはりこの時期に全科目を一斉に総復習するということは非常に有益だったということが一つと,あと本日の論点表の2の三つ目の白丸のところにも関連はしてくるかと思うんですが,それをきちんと復習するという機会を得たことが非常に学習効果の観点からもよかったと感じています。
今回は,私が実際受けた試験は論述式だったんですが,短答式になるということがございますので,実際どのような形でそれを,後の復習に生かすような情報発信ができるのかというところは非常に大きい問題かなと。もちろん作問でのメッセージ発信とまたそれが非常に大変な作業であるということは承知はしておりますけれども,試行を重ねる中で,例えば各問題についての出題の趣旨の公表の仕方ですとか,特に思考力を問うような問題を出題するとして,そこにどのようなメッセージが込められているのか,また多くの学生に論理の誤りがあるようなことがあったとすれば,それは傾向として指摘するというような情報発信ですとか,また今,司法試験で採点実感がかなり充実して公表されてきている状態があるかと思います。なのでそういったことが,実際こういうふうに勉強すればいいんだというようなメッセージ発信の形で出せるものがあるとすれば,過度に各ロースクールのカリキュラムを拘束したり,学習の傾向を制限したりするようなものを発信するというのは問題かと思いますけれども,そういった観点からの個別の学生への効果というところも一つ考えるべきところかなと感じております。
以上です。
【山本主査】  ありがとうございました。ほかに。どうぞ,宍戸さん。
【宍戸委員】  今の酒井委員の御指摘も私,大変,腑(ふ)に落ちるというか,重要な御指摘だと思います。この共通到達度確認試験の結果を学生の教育あるいは学習に,あるいは法科大学院の指導にフィードバックしていくか,は,各法科大学院,あるいは認証評価機関にお任せというだけではなくて,ある程度,作る側(がわ),あるいは実施する側(がわ)も考えていかなければ意味がないだろうと思います。
他方,余りきつく決め過ぎると,これはこれで法科大学院の手足を縛るということにもなりかねませんし,また例えば認証評価基準において,共通到達度確認試験の成績が悪い人間を一人でも進級させている,からここはペケだとかいうことになりますと,これはとんでもないことになります。試験実施主体のメッセージの送り方,法科大学院での利用の仕方,それから本来の認証評価としてのミニマムスタンダードとしての,この試験をせめてこういうふうには使ってくださいというところで,法科大学院の教育の質保証を対外的に見せる部分と,の,複合的な,試験の位置付けについて,きちんとした整理を今の観点からもしていく必要があるのではないかという思いを強くいたしました。
以上でございます。
【山本主査】  ありがとうございました。どうぞ,佐伯委員。
【佐伯委員】  各委員からの御意見,いずれも非常にもっともなことで,知識に偏重してはいけないとか,あるいは進度に応じて随時,受けられるような体制が望ましいのではないかとか,いずれもそのとおりだと思うんですけれども,その中で現実的なというか,理想のない話をして恐縮なんですけれども,今,私,司法試験をしておりまして,短答の問題の作成というのは多数の実務家の方々の御協力を頂いて,朝から夕方まで何度も集まって,問題を作成しております。
そのような体制を組んで,非常に多くの時間をかけて作っていても,やはり知識偏重ではないかというような批判を頂いております。短答式で,しかも紛(まぎ)れのない形で問題を作ろうとすると,どうしても知識を重視することになってしまうところがあって,,工夫はしているんですけれども,それだけの体制を整えて問題を作成していてもそういう批判を受けているということです。司法試験と同じ体制をこの共通到達度確認試験において取ることができるのかというと,遠い将来は分かりませんけれども,近い将来には難しいのではないかと思います。
そうだとすると,理想は理想として,当面はかなり割り切って,片山委員からも御意見ありましたけれども,これだけが試験ではないというわけですから,特に未修者については,ごく基本的な知識,それから本当に基本的な法的当てはめの能力というものが保証されていないのではないかということが出発点でしたので,それが問えるようなごくごく基本的な問題を念頭に置いて,できるだけその出題員に負担の掛からないような形で始めて,それでだんだん積み重ねていって,よりよいものにしていくというような考えでやっていく必要があるのではないかと感じております。
【山本主査】  ありがとうございました。
どうぞ,片山委員。
【片山委員】  今の佐伯委員の御発言とも多少関連しますが,この25年7月の閣僚会議決定の読み方といいますか,文部科学省,あるいは我々に対するミッションをどう考えるかという点です。そもそも出発点が法学未修者の教育の質の保証の観点,が狙いであったので,既修者に活用できるというのはおまけの部分で,もし可能ならばそこも考えてくださいという程度に受け止めればいいのか,それとも,並列して,未修者の質の向上・確保も重要だし,これを既修者に活用することも同時に同じ程度のミッションなんだと考えるかということで随分違った制度になるかと思います。そもそもの出発点は,やっぱり未修者の質の確保というところにあったのではないかと私自身は思っておりますが,そのミッションの捉え方についても,我々としては議論していくことが必要だと思った次第です。
【山本主査】  まことにごもっともな御指摘で,その問題もやはり前回のワーキング以来のお話になろうかと思いますけれども,前回もそこはやはりなかなか的を一つに絞り切れなかったと。確かに二兎(にと)を追う者は一兎(いっと)をも得ずということになりかねないという懸念はずっと持って,今でもそういう懸念はあるんだろうと思います。それを一つどこかの方向に絞っていくというのはなかなか難しいところですけれども,ただこれだけ現実化してきている中では,やはり確かにそろそろ一定のコンセンサスは得ていかなければいけないという時期に来ているというのは御指摘のとおりかと思います。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。どうぞ。
【大貫委員】  この議論は,隣に磯村先生がいらっしゃるのでなかなか話しにくいんですが,コア・カリキュラムとの関係というのはどうなるのかなというのが,コア・カリキュラムは御承知のように,別に何年までにここまでやれとは書いていないわけで,3年間でやりなさいということです。しかもありていに言うと,科目によって随分,密度が違っていて,それとの関係をこの試験で考えるというのは相当難儀で,コア・カリキュラムの方も少し一緒に何か考える必要性が,ここのミッションではないんですが,あるのかなという感じがしないわけでもないんですが。感想です。
【山本主査】  いえいえ。そうですね,先ほど磯村委員からまさに御指摘があったところで,ただかなり負担等を考えると,どこまでのことが。ただ5年に一度見直すというのは確かにそういうことになっていたんでしたっけ。
【磯村委員】  もともとはそういう趣旨であったと。
【大貫委員】  そろそろですか。
【磯村委員】  いや,私が責任者ということではありませんので……。
【山本主査】  法科大学院を取り巻く状況とか,あるいは学生のレベルとかもかなり変わってきているようなところもあるし,確かに見直しが必要なことはそうなんでしょうね。それとこのシステムとの関係というのも考えないといけないという。あれはどこが責任を持っている形になっているんでしょうか。
【磯村委員】  どなたにに対する御質問でしょうか。
【山本主査】  いやいや,磯村委員,事情を御存じかなと思って。
【磯村委員】  共通的な到達目標モデルを策定したグループは既に解散しているという状況ですので,恐らく責任担当者を新たに作らないといけないという状況だと思います。
分野によって,その必要度は大きく違っていて,民法のモデル改定の必要性が話題になったときに,商法の先生から,会社法が改正されてから随分新しい判例が動き出しているので,会社法については,今回の会社法改正ももちろんそうなんですけれども,大改正のあった後の動きを考慮する必要性があるように思われます。
他方,例えば憲法について,そんなに頻繁に変わるということは,他の実定法に比べると多くないのかもしれません。それぞれの分野でそれぞれの必要性はあると思いますし,確認試験の出題をされる委員の先生方は,現在の法科大学院でどういう教育がなされるべきかということを念頭に置きながら作問をされると思いますので,当然その時点における共通的到達目標を考慮されるのだと思います。
【山本主査】  ありがとうございました。何かコメントは。どうぞ。
【佐藤専門教育課課長補佐】  もう当然,お答えはない話なんですけれども,今の話も非常に難しいところだなと思っていまして,恐らく当初,コア・カリキュラムを作ったときに比べて,更に大学間での差というものがどんどん広がってしまっていて,それをまさに共通でどこの点に置くかというこの議論をしていただく場でもありますので,その難易度の高さというのも考えると,なかなか詰まるところもあるんですけれども,その中で,コア・カリキュラムを変えること自体が今回の仕組みと相まって質の保証を担保していく上で必要であるということであれば避ける必要はないのかなという感じは正直しています。ただ,ものすごい作業量にはなるという覚悟も持ってやらなければいけませんので,現時点でそれを排除して議論する必要はないのかなという気はしていると。
ただ,逆にコア・カリキュラムをより精緻にしていけばしていくほど,大学の裁量を縛ることにもなってしまいますので,それが本当にいいのかどうかという議論は是非,先生方の御意見,御知見を頂きながら進める必要はあるかなという感じはしています。
【山本主査】  ありがとうございました。どうぞ。
【佐伯委員】  分野にもよるのかもしれませんけれども,刑法に関して言えば,かなり思い切って出題範囲を絞ってもかまわないのではないか。全てにわたって知識を持っていることが望ましいのはそのとおりですけれども,基本的な法的能力,知識を試すという意味では,かなり基本的な犯罪類型に限ってもいいのかなと個人的には思っております。
【山本主査】  ありがとうございます。ほかに。どうぞ,宍戸さん。
【宍戸委員】  先ほど大貫委員が磯村委員に言いにくいことがあると言いながらおっしゃいましたので,私は大貫委員に言いにくいことがあるんですが,申し上げたいと思います。我々,この検討の場に,個人の資格で参加しているわけでございますが,この試験の最終的に出来上がったときの利用者であります法科大学院生,それから各法科大学院において,制度を作っていく中で,しかるべき段階で意見を言っていただくべきではないか。この場だけ,あるいは作題に関わっている人たちだけが突出して問題を作った,あるいは試験を運用しており,いきなりそれが降ってきて,各法科大学院が戸惑って,とにかくやらされているからやるんだということになりますと,これは意味がないものでございます。
法科大学院協会という場がいいのかどうかよく分かりませんし,各法科大学院がじかにでもいいのかもしれませんが,しかるべきキャッチボールを,例えばこの場を介してしっかりするべきではないか。あるいは文科省事務局におかれましても,しかるべき情報発信をしていただくとか,少し考えていかないと,この場での議論が宙に浮いていくことになるのではないかという点で,今後の進め方について申し上げた次第です。
【山本主査】  ありがとうございます。貴重な御指摘で,共通的到達目標のときもたしか法科大学院協会を通して各法科大学院から意見をということがございました。
どうぞ。
【大貫委員】  別に法科大学院協会を代表しているわけではないんですけれども,行き掛かり上,宍戸委員のおっしゃることは全くそのとおりで,ユーザーサイドの意見というのはどう酌み上げるかというのは非常に重要で,今日もちょっと昼休みに,学生と確認試験について議論したんですが,また試験かと。
さっき酒井委員は一橋の進級試験はとてもよかったとおっしゃったんですけど,あれは論述ですよね。率直に申し上げますと,短答式というのは,やはり知識偏重はどうしても避けられないところがあって,それを共通到達度のメーンにしていっちゃうと大変だなという気がしているので,そうするとやはり作題の工夫は必要だということをさっき申し上げたわけです。
学生さんからすると,また試験で,知識の記憶が問われるのが本当にいいのかという気はあります。だからそこからいうと,日吉委員がさっきおっしゃった短答式免除というのは,率直に言うと,学生にとって,それぐらいないとやっていられないみたいなところがありまして,それはもっともだなという気がするんですよ。試験,試験,試験。ユーザーサイドからいうとそういう感じですね。
ですから,私,否定的ではないんですが,はっきり言いますと,1年から2年のあたりはいいかなという気はしているですが,2年・3年というのは,制度設計も難しいし,問題作成もちょっと難しいのかなというのを直感的には思っています。新参者ですので,まだよく分かりませんけど。
以上です。
【山本主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【磯村委員】  もともとのこの制度の出発点は,未修者が1年生から2年生に進級するときに,にという話でした。しかし,現在議論されているこの仕組みは恐らくその出発点を越えてしまっているので,例えば未修者1年次から2年次への進級試験としてしか使えませんという選択肢があるかどうかというのはかなり疑問ではないかなという気がします。
もちろん論理的にはそのような可能性が排除されていないのかもしれませんが,そうすると,少なくともこの会議のミッションとしては,仮に既修者にも試験をするということになるとどういう仕組みを考えるかということを念頭に置きつつ,学生が短答式試験の免除の資格を得るための試験として活用することにならないような在り方を考える。特に法科大学院においてはそういうものにとどまらない授業をするということが本則ですが,確認試験が普及すればするほど,そのための対策も進むおそれがあって,本末転倒の法科大学院教育になるという,リスクがあります。これは,未修者教育ワーキンググループでも言われていたことなんですが,その懸念とをどう折り合いを付けていくか。
結局,未修者1年次から2年次への進級試験に限るというのは難しいという認識を持ちつつ,既修者にこの試験をどう活用できるかということを意識しておく必要はあるとお思います。
【山本主査】  ありがとうございます。大変適切なおまとめを頂いたと思います。かなりハードルが高いというのはこれまでの御議論からも多分,明らかだと思うんですけれども,何とかそのハードルを少しでもうまく跳べればというところではないかと思っております。
いかがでしょうか。おおむねよろしゅうございますか。フリーディスカッションとしては。
大変,活発な御議論を頂きました。本日,頂いた御意見を踏まえて,更に事務局においてこの論点整理のペーパーを充実して整理いただけますよう,引き続き作業をお願いします。
それでは,この会議の今後の進め方についての御相談ですが,まず事務局の方から資料に基づいて,御説明をお願いいたします。
【真保専門教育課専門官】  それでは,説明いたします。資料5,「共通到達度確認試験システムの構築に関する調査検討会議今後のスケジュール(案)」をごらんいただきたいと思います。
こちらに関しましては,今後のスケジュールということで,現時点での想定を書かせていただいたものでございます。まず第2回といたしましては,4月から5月頃を予定してはどうかと考えておりました。3月に試行試験が実施されますので,その結果について御議論いただく必要がまずあるだろうと。
その後,第3回以降,6月以降というふうにございますが,それを27年度の試行,基本設計改定の検討,そういったところにつなげていくということではないかなと考えておりました。
しかしながら,今,委員の皆様方に様々な御議論を頂きましたので,こうした今の御議論も踏まえながら,スケジュール面についても主査にも相談の上,また考えていきたいと事務局の方でも思っておるところでございます。
以上でございます。
【山本主査】  ありがとうございました。今後の進め方につきまして御意見があれば。どうぞ,笠井委員。
【笠井委員】  次回,試行試験の結果が御報告とか,それで議論があるというのはそのとおりだと思うんですけれども,結果といっても,ただ単に問題と成績とかそういうのだけではなくて,要するにこの作るときの作業の実際が知りたいというところがちょっと今までの議論とかでもあります。特に担当された方のヒアリングとかということではないんですけども,ある程度,事務局の方で事前にその実際,作られた方からお話を聞いていただいて,それをこちらに出していただいて,どのぐらいの作業ボリュームでやったのか,何日ぐらいかかったのかとかそんな話も具体的に伺えればなと思いますので,御準備いただければ有り難いです。
【山本主査】  いかがでしょうか,それは。どうぞ。
【真保専門教育課専門官】  できる限り対応できるようにしたいと思います。
【山本主査】  よろしくお願いいたします。
ほかにいかがでしょうか。
やはり地に足の着いた議論という観点からは,この試行試験がどうだったのかというのは大変重要な情報だと思いますので,それを踏まえて議論を積み重ねるということかと思います。よろしいでしょうか。
それでは,この第2回以降の議論に必要な資料については,今,頂いた御意見を踏まえて事務局の方で御準備いただければと思います。
それでは最後に,事務局から次回の会議の予定等についての御説明をお願いしたいと思います。
【真保専門教育課専門官】  次回の日程でございますが,事務局より改めて委員の皆様方に御案内させていただければと考えております。以上でございます。
【山本主査】  ありがとうございました。
それでは,本日の議事は終了したいと思います。お忙しい中,活発な御議論,どうもありがとうございました。

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