資料1 池田委員提出資料

平成27年3月18日 委員 池田 弘 (NSGグループ代表,公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会会長)

「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の在り方」へ 国家総合戦略・地方創生の観点からの提言

平成26年12月末に内閣府まち・ひと・しごと創生本部より「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が発表されている。その中では地方創生・地域活性化に資するための基本的な考え方・施策・アクションプラン等が示されており、その内容は高等教育機関の在り方にも言及している。また、この総合戦略は2015~2019年度(5ヵ年)の政策目標・施策を策定するとともに、2020年までに国が達成すべき重要業績評価指標(KPI)を設定している。

本有識者会議における答申においてもこの総合戦略をふまえた内容とすべきである。

 

総合戦略においては「地方への人材還流・地方での人材育成・地方の雇用対策」という施策が掲げられている。その中では「大学・高等専門学校・専修学校等における地域ニーズに対応した人材育成支援」の促進が求められている。

この観点から国は2020年までに達成すべき重要業績評価指標(KPI)として下記内容を掲げている(複数より抜粋)。

◆地方における自県大学進学者の割合を平均で36%まで高める(2013年度全国平均32.9%)
◆地方における雇用環境の改善を前提に、新規学卒者の県内就職の割合を平均で80%まで高める(2012年度全国平均71.9%)

併せて「地方大学等創生5ヵ年戦略」が施策として掲げられ、以下の3つのプランを推進することが示されている。

(1)知の拠点としての地方大学強化プラン(地方大学等の地域貢献に対する評価とその取組の推進)

(2)地元学生定着促進プラン(地方大学等への進学、地元企業への就職や、都市部の大学等から地方企業への就職を促進するための具体的な措置、学校を核とした地域活性化及び地域に誇りを持つ教育の推進)

(3)地域人材育成プラン(大学、高等専門学校、専修学校、専門高校をはじめとする高等学校の人材育成機能の強化、地域産業の振興を担う人材育成)

 

・特に(2)においては「地方の若い世代が大学等の入学時と卒業時に東京圏へ流出しており、その要因には、魅力ある雇用が少ないことのほか、地域ニーズに対応した高等教育機関の機能が地方では十分といえない」と現状の課題として指摘されている。

 

また、文部科学省においては、地方創生施策の一環として、三大都市圏における私立大学の学生数を抑制するために、入学定員を超えた入学者の割合(定員超過率)の厳格化を進める方針を示している。

 

≪総合戦略をふまえた提言≫

1、地方における人材育成という長期的なビジョンの観点を取り入れるべき

 「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」の設立が検討されるべき要因として、地方における人材育成という観点が存在することを認識すべきである。

また現実の「地方ニーズ」を考えれば、人材の育成と共に雇用の創出が特に重要になってくる。この点は「新たな高等教育機関」における設置基準・評価の考え方にも反映されるべきで、例えば当該教育機関が創業者やベンチャー企業への就職者を輩出している場合には高い評価を与えるべきである。

 

2、「新たな高等教育機関」は各地方に存在することが望ましい

上記KPIにあるように「地方における自県大学進学者の割合を高める」ためには、各地方に進学先の選択肢となりうる「新たな高等教育機関」が存在する必要がある。

かつて国立大学を地方間のバランスを考慮して設置したように、「新たな高等教育機関」の設置・認可においてもその点は留意すべきである。

 

3、時間軸の概念を盛り込むべき

今回の総合戦略においては、2015~2019年度(5ヵ年)の政策目標・施策が策定され、国が2020年までに達成すべき重要業績評価指標(KPI)が示されている。「新たな高等教育機関」の存在はこのKPIに資するものであり、また国家施策の一端を担うものでもあることからすれば、国が定めたタイムスケジュールに同調すべきである。本有識者会議の答申においても「新たな高等教育機関」の設置・開校時期については、総合戦略に鑑み2019年度とすることが妥当である。

                                    以上

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