資料1 麻生委員提出資料

平成27年2月16日 委員 麻生 隆史 (九州情報大学長,山口短期大学長)

実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度的要件に関する意見書(これまでの有識者会議の審議をふまえて)

 本意見書は、第2回「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」にて説明した内容を、その後の審議や新たな意見を踏まえ、より具体化した制度的要件を意見書としてまとめたものである。

 

 実践的職業教育を行う新たな高等教育機関(以下、「新たな高等教育機関」と記す)が目指すものは、現在法令等で定められているの高等教育体系の中で十分対応出来ると考える。

 

しかし、平成23年1月の中央教育審議会答申及び平成26年7月の教育再生実行会議の提言に基づき「新たな高等教育機関」を制度化するするのであれば、
1 非大学型高等教育機関、
2 大学型高等教育機関、
のどちらかの選択があり、
さらに2として今後議論がなされるのならば、
現行の大学体系の中に位置づけるべきであると考える。さもないと、日本の高等教育機関は二頭立てとなって国際的な認知は得られにくい。

 

 ついては、例えば、学校教育法第百八条に、次のように短期大学と並べて位置づけることが考えられる。
学校教育法「第百八条:大学は第八十三条第一項に規定する目的に代えて、深く専門の学芸を教授研究し、実践的な職業又は実際生活に必要な能力を育成すること、及び地域貢献又は生涯学習を主な目的とすることができる。」
尚、修業年限や大学としての名称について、より深い議論が必要である。


 さらに、「新たな高等教育機関」を、教育基本法の精神に則る学校教育法第1条校として位置付けるには、公共性・継続性・国際通用性を考慮し、次に示す条件が不可欠である。
1 文部科学省における所掌局を高等教育局として、「新たな高等教育機関」の設置基準の設定
2 大学設置・学校法人審議会による学校法人寄附行為及び設置認可指針の明確化
3 教育課程等を含む設置の趣旨の明確化
4 アドミッション・カリキュラム・ディプロマの3ポリシーの公表
5 自己点検・評価の実施と公表
6 認証評価機構による「機関別評価」と「分野別評価」の実施
7 教育情報及び財務情報の公開と「大学ポートレート」への参画
8 高等教育機関として必要な校地・校舎・図書館・体育館等の適正な配置を義務化
9 高等教育機関に相応しい教育・研究能力を有する実務家を含む教員の資格審査
10 公認会計士による会計監査と業務監査
11 学校法人の運営に見識のある監事の選任
12 教員が指導力を研鑽するためのFD活動の実施と職員のSD活動の義務化

 

 なお、「新たな高等教育機関」は現在まで短期大学が高い社会的評価を得て行ってきている幼稚園教諭・保育士・栄養士・看護師・介護人材の養成教育を十分に尊重すべきである。これらの職業教育の基盤には「深く専門の学芸を教授研究」することで培われる豊かな教養が置かれているからである。「新たな高等教育機関」が担うべき実践的職業教育の専門分野については、さらなる慎重な議論が必要である。

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(生涯学習政策局参事官(連携推進・地域政策担当)付、高等教育局高等教育企画課)