留学生30万人計画実現に向けた留学生の住環境支援の在り方検討会(第1回) 議事録

1.日時

平成26年4月17日(木曜日)17時00分~19時00分

2.場所

文部科学省15階 15F1会議室
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 会議の運営について
  2. 留学生の住環境支援の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

荒張委員、太田委員、末松委員、関委員、谷口委員(主査)、友岡委員、山本委員

文部科学省

浅田高等教育企画課長、渡辺学生・留学生課長、田中学生・留学生課長補佐、大川学生・留学生課長補佐、坂本外国人学生指導専門官

オブザーバー

米川理事(日本学生支援機構)

5.議事録

(1)主査の選任について 

委員の互選により谷口委員が主査に選任された。

(2)留学生30万人計画実現に向けた留学生の住環境支援の在り方に関する検討会の検討内容の公開について

事務局から,留学生30万人計画実現に向けた留学生の住環境支援の在り方に関する検討会の検討内容の公開について資料2の説明があり,原案のとおり決定された。また、公開規則に基づき,この時点から会議が公開された。

(3)公開された後の議事は以下の通り

 【谷口主査】  それでは,留学生30万人計画実現に向けた留学生の住環境支援の在り方に関する検討会を開催したいと思います。
 開催に当たりまして,一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 私がこの留学生の問題に関わり始めたのは今から約20年前の1996年です。「国費外国人留学生の調査・研究協力者会議」のメンバーとして立命館大学を代表して参加し,留学生10万人計画実現に向けて様々な努力をしてまいりました。着任早々,ASEANにバングラディシュを加えた11か国から各2名,優秀な留学生を選考して,国費外国人留学生として我が国に受け入れるAYFアジア・ユース・フェローシッププログラム委員の一人として参加することになりました。バングラディシュ,ミャンマー,カンボジア,ラオス,ベトナム,インドネシアなど発展途上国の優秀な留学生選考のため,各国を訪問した経験があります。この15年間の経験を通してASEANの発展をじかに体験してきました。
 また,学校法人立命館は大学の国際化の課題に応えるために,2000年に別府に立命館アジア太平洋大学を開学いたしました。そのとき私も理事として大学の国際化に大きく関わったという経験がございます。
 その後,我が国の高度人材育成を目的とした,文部科学省と経済産業省による「アジア人材資金構想」という事業を,今で言うグローバル人材の育成ということで,その評価委員の一人として関わってきたということがございます。そんな経過があって,現在は中小企業庁の「中小企業の海外人材確保・定着支援事業」の評価・審査委員会で主査を務めています。
 それから,留学生関係では,この住環境支援の在り方検討会の前に,「日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会」の主査を務めまして,このときもこの問題について随分紛糾したと理解しております。そんなことがあって,今回の主査ということになったと理解しております。
 そのほか,「留学生交流拠点事業」や「戦略的な留学生交流の推進に関する検討会」などの委員として,我が国の留学生の諸課題に関わり,現在に至っています。
 続きまして,文部科学省の浅田高等教育企画課長より御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

【浅田高等教育企画課長】  御紹介いただきました文部科学省高等教育企画課長の浅田と申します。渡辺課長が少し遅れていますので,代わりに私から最初の御挨拶をさせていただきます。
 今のお話にもございましたけれども,実は私も留学生30万人計画に関わっていて,福田内閣のときに30万人計画を作ったのですけれども,そのとき私は,内閣官房の内閣参事官として関係省庁の会議をやっていました。ただ,それは留学生10万人計画が長い年月を掛けてやっと実現し,よし,次の目標だということで,福田内閣でそういう目標を掲げたわけですけれども,いろいろ,例の震災の影響とかもありますけれども,大きく捉えればかなり進んできているんじゃないかなと思っております。少しお話もありましたが,現在,国としては留学生の送り出しも受入れも2020年までに倍増したいという,やや高めの目標ではありますが,是非そういう目標を掲げて,そのための取組を一生懸命やっているところです。
 留学生の受入れの方についても,もちろんいろいろな課題はあるわけですけれども,その課題の一つが今日やはり住環境,住居ということだろうと思います。それは幾つかの意味があって,日本の,とりわけ留学の希望者が多い都市部において住居をどう確保していくかということが一つあるのと,それから,むしろそういうことだけではなくて,日本人の学生と外国人の留学生とが一緒に生活をする,あるいは交流の機会を非常に増やすということ自体の教育的な効果,これはお互いに非常に大きいと思っております。私自身はそういうことをどんどん進めていくべきだと思っていますけれども,そういったことも含めて住環境というのをどう考えていくかと。そういう大きな課題だろうなと思っています。
 それから,また是非御検討いただきたい課題の一つとして,JASSOの国際交流会館の在り方もございます。これは昨年の12月の閣議決定で,留学生交流の場としての活用も含め,経済性を勘案しつつ総合的に処理方針を検討し,平成26年夏までに結論を得るということになっておりますので,その活用及び処理の在り方についても是非この場で御検討を頂きたいなと思っているところであります。
 文科省としても,この住環境も含めてこれからも目標達成に向けて施策,予算面も含めて施策の充実に努力していきたいと思いますけれども,是非この会議の場を通じても,いろいろなアイデア,それから,こういうことをやるべきだということをいろいろと御意見を頂いて,それを取り入れて生かしていきたいと思っておりますので,是非ともよろしくお願いいたします。

【谷口主査】  ありがとうございました。
 それでは,早速,議題2,留学生の住環境支援の在り方についてということで,資料がございますので,事務局の方から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【坂本外国人学生指導専門官】  それでは,資料の内容について事務局の方から御説明を差し上げます。
 まず,お手元の資料3をごらんください。検討事項ということで,本検討会における検討事項を大きなくくりとして4つほどあろうかということでまとめさせていただいております。
 1つ目が,外国人留学生に対する宿舎支援の在り方,それから2つ目としましては外国人留学生と日本人学生等との交流機会提供の在り方,3つ目としましては外国人留学生に対する生活支援の在り方,4つ目といたしまして独立行政法人日本学生支援機構が保有をいたします国際交流会館等の活用・処理の方向性と,以上の4つの大きな柱について,今回のこの検討会において検討いただきたい事項ということでまとめさせていただきました。
 引き続き資料4の方の御説明をさせていただきたいと思います。
 まず表紙を開いていただきまして,スライドの番号で申しますと,3,4,5ページ辺りになりますが,まず,外国人留学生の受入れということで,この留学生30万人計画ということで,2020年を目途に留学生の受入れ30万人を目指すという計画を立てて,今,実行に移しているところでございます。
 日本再興戦略ですとか,第2期教育振興基本計画,こちらはいずれも昨年の6月14日に閣議決定しておりますが,こういった計画の中にもこの30万人計画を盛り込んでおりまして,こういう閣議決定された戦略等にも基づいて30万人計画を進めているような状況でございます。
 めくっていただきましてスライドの6ページになりますが,留学生の受入れの現状ということで,グラフの方をごらんいただきますと,東日本大震災の影響でここ数年は若干伸び悩んでいるような状況でございますが,一方,日本語学校の受入数ということでは,これは順調に伸びているような状況でございます。
 スライドの下の7ページ目に参りますが,この30万人計画の取組といたしまして,26年度の予算で,留学コーディネーターの配置事業ですとか,スーパーグローバル大学等事業というものを新たに設けて取り組んでいるところでございます。
 続きまして宿舎の現状について御説明を申し上げます。スライドの9ページ目でございますが,現在,留学生が入居しております宿舎のうち,いわゆる公的な宿舎というものは4分の1弱ということで,残りは民間の宿舎やアパート等に居住しているというような状況でございます。
 おめくりいただきまして,スライドの10ページ目でございます。公的な宿舎ということで,下の棒グラフの青いところが,学校が設置する留学生宿舎の数でございますが,この宿舎の数というのは年々,徐々に増えてきているのでございますが,ただ,留学生数の総数の方も同じように増えておりますので,結果としまして公的宿舎の入居率ということになりますと,青い折れ線グラフのように,ここしばらく横ばいのような状況になっております。
 下のスライドの11ページ目でございますが,日本留学に当たってどういうところで苦労しましたかというような調査をいたしますと,やはり4人に1人の留学生は宿舎を探すことで大変苦労したと。また,宿舎に入った後,そのルールを守ることということで,生活ルールですね,こういうところの生活習慣とかの違いでいろいろ苦労したというようなことが回答として挙がってきております。
 お隣のページ,12枚目のスライドでございますが,そのうち民間のアパートに入居した留学生に対して,どういうことが困りましたかというと,やはり圧倒的に多いのが家賃が高いと。その他,保証人が見つからないですとか,外国人だという理由で断られる等々の理由が挙げられております。
 下のスライド,13ページ目に参りますが,先ほど,4人に1人の留学生が宿舎を探すことが大変というふうに答えておりましたが,民間のアパートに入った留学生はどうやって紹介をしてもらったかということですが,半数以上が先輩等の友人から紹介をしてもらったというような数字が出ております。
 次のページへ参ります。スライドの14ページ目でございます。同じく現在,民間のアパート等に入居している留学生に,大学の宿舎に入ることを希望されたかということを質問しておりますが,3分の2の留学生は「いいえ」というふうに答えております。その理由としては,大学に留学生宿舎がないという方が36.5%と。あとは,建物が古いですとか,集団で生活をしたくない,家賃が高いというような理由が挙げられております。
 1枚おめくりいただきまして,スライドの16ページ目,円グラフになりますが,1人当たりの専有面積ということで調査をいたしますと,半分以上,56%が10平米未満という,比較的狭い部屋というような結果が出ております。
 1枚おめくりを頂きまして,スライドの18ページ目ですが,同居の状況ということで,同居人の有無を尋ねたところ,単身と,それから同居人がいるとお答えになった方がほぼ半分ずつという結果になりました。どういう方と同居をしているかというふうに尋ねたところ,外国人留学生同士で同居しているということが非常に多くて,57.5%というような結果になっております。
 続きまして,1枚おめくりいただいて,スライドの20ページ目でございます。居住地域別の住居費ということで,平均月額を調査しておりますが,やはり関東と近畿,この2か所がかなり突出して高いという結果になっていまして,関東で約4万円,近畿地方で3万3,000円と。東京に限定しますと,4万3,000円ということで,関東,近畿が特に家賃が高いというような状況になっております。
 その下の21ページ目のスライドでございますが,宿舎の形態別で住居費が幾らぐらいかというのを調べておりますが,やはりどうしても民間アパート,マンションについてはかなり高くなるような傾向がございます。
 次のページへ参ります。宿舎に入居した場合に掛かった敷金,礼金や保証金等が幾らぐらいだったかということを調査しておりますが,必要ないという「なし」が大体25%,それから5万円未満というところで30%弱と,このような結果になっておりますが,下の方のグラフを見ていただきますと,これも先ほどの住居費と同じく,どうしても民間のアパートですとかマンション等については,この敷金,礼金,保証金等が高くなる傾向にございます。
 次のページへ参ります。宿舎に入居する際に保証人が必要かどうかということを尋ねておりますが,下の25ページ目のグラフをごらんいただきますと,やはり民間のアパート,マンション,それから公営住宅等の一般公的宿舎,この2つに関しましては保証人が必要だという割合が非常に高くて6割以上というような形になっています。反対に,大学や学校が用意しております留学生宿舎ですとか,大学,学校の一般学生寮でございますと,3割ぐらいは保証人が必要と,7割弱は保証人不要というような結果になっております。
 次のページへ参ります。スライドの26ページ目でございますが,宿舎の保証人にどういった方がなっていらっしゃるかという調査でございますが,やはり一番多いのは大学や学校の代表者ということで,これが28.8%,それから日本人の知人ということで22.6%というようなことになっております。親族が13.4%で,意外と多いのが保証人制度を利用しているというような方が同じく13.4%というようなことになっております。
 それから,1枚おめくりいただきまして,大学等における取組の事例ということで,4ページにわたりまして国公私立の主な宿舎を一覧にしたものをお付けしております。全国の宿舎を網羅したものではございませんが,代表的なものを抜粋したようなものになっております。その中でも取組事例としまして33ページ目のスライドになりますが,お茶の水女子大学の方では,5人で1つのユニットを共有するというような形の混住型の宿舎というものが提供されております。
 それから,1枚おめくりいただきましてスライドの34ページ目,金沢大学の方では,こちらは8人で1つのユニットを共有するというような混住型の宿舎でございますが,金沢大学の場合はPFIで民間の資金を活用して宿舎整備を行っているというような事例でございます。
 あと,その下の35ページ目のスライド,早稲田大学の方は,ちょうど2014年度,今年の春から入居を開始いたしましたが,定員が約900名の大規模な混住型の宿舎というようなものが用意をされているということでございます。
 1枚おめくりいただきまして,今度は留学生の住環境に関する支援ということでございます。まず,スライドの37ページ,日本学生支援機構の方では,留学生宿舎の借り上げ宿舎支援事業というものを実施しております。こちらは民間の宿舎を留学生宿舎として借り上げをする際に,初回1回限りではありますが,契約時の礼金ですとか仲介料ですとか,あるいは原状回復のための費用ですとか,そういった初期費用について上限8万円ということで支援をする制度がございます。26年度につきましては,借り上げ宿舎として1,502校,それからホームステイの家庭としまして167世帯分の予算を計上しております。
 それから,裏の方へ参りますが,スライドの38ページ目ということで,こちらは日本国際教育支援協会が実施している制度でございますが,留学生住宅総合補償制度ということで,留学生が民間のアパート等を借りる際に保証人を立てることが必要になりますが,例えば借りているアパートで火事を起こしたとか,あるいは水漏れの事故を起こしたというような場合で,損害賠償が発生したり,あるいは家賃を滞納したりして,保証人が家主から債務の補償をしなさいということで履行請求等を受けた場合に,それを補償すると。保証人である学校や教職員が賠償した分について,それと同額の補償金を支払うというような制度を実施しております。
 それから,最後になりますが,39ページ目のスライドでございます。公営住宅の支援ということで,UR,都市機構の住宅を留学生にあっせんをするというような事業がございます。こちらは大学とURとの間で協定書を締結するという形をとっておりまして,一つは留学生個人名義で宿舎を貸与すると。この場合には敷金3か月分が1か月分に軽減されるというような,そういう制度がございます。また,大学等が直接借り上げるというような形の制度も用意をされております。
 ちなみに,9ページで最初,宿舎の現状という円グラフを御説明いたしましたが,この中の公営住宅等という数の中には,この制度を使って,URの住宅に入居している留学生の分も計上されております。

【田中学生・留学生課長補佐】  失礼いたします。それでは,引き続き,JASSOの保有する国際交流会館等についての説明をさせていただきたいと思います。
 お手元の資料の5番から9番をもちまして御説明させていただきたいと思います。資料の5から7については,これまでJASSOの保有する国際交流会館等について,行政改革の流れの中で閣議決定,あるいは事業仕分けでどのようなことを言われたのかというような資料をおまとめしたグループ,それから,引き続きの資料8と9については,実際の国際交流会館等の状況についておまとめをした資料というような立て付けになってございます。
 それでは,まず資料5の方から御説明をさせていただきます。資料5ということで,「国際交流会館等にかかる閣議決定について」というようなタイトルの資料でございます。今,資料5というふうに申し上げたのですけれども,1枚おめくりいただきまして,資料6の方をまずはごらんいただければと思います。と申しますのも,日付で申しますと,最初にこの国際交流会館等の在り方について行政改革の中で取り上げられたのが,資料6にあります,いわゆる事業仕分けのステージでございます。これが平成22年の鳩山内閣のときに行われたものでございまして,そのときの資料を資料6ということでお付けしておりますが,1枚おめくりを頂きますと,結論としては事業の廃止というような結論はここで示されているということになります。ただし,現在の入居者に配慮することというような結論を出されているところであります。
 1枚戻りまして,実際どのような評価をされていたのかというと,黒丸の一番上でございますが,機構としては会館の維持ではなくて,保証人の役割を果たすといったところに集中すべきではないかといったような話,あるいはその下の黒丸でございますが,留学生13万人のうち2,600人しかその宿舎に入っていない。彼らのみに国費を投入することは不公平じゃないかといったようなことが言われている一方で,一番下の黒丸でございますけれども,日本で留学生,外国人が部屋を借りにくい現状を考えると,民間だけに任せるのは無理であると。日本への留学生を増やしたいのであれば,宿舎は拡充すべきというような御意見も頂いていたというような経緯がございました。
 それでは,資料5の方に戻っていただきまして,これが平成22年の春先,4月に行われた事業仕分けでございますが,その後,同じ年でございます,平成22年12月7日の閣議決定,これは菅内閣の時代でございますが,このときの閣議決定においては,一番上の四角の2つ目の丸でございます。具体的内容ということで,大学,民間等への売却を進め,平成23年度末までに廃止をするというような結論を頂いているところでございます。
 この後,下の次の四角になりますけれども,今度は野田内閣の時代でございます。独立行政法人の制度及び組織の見直しに関する基本方針,これも同じく閣議決定ではございますけれども,この一番下の4番目の丸でございます。「日本学生支援機構については」というところでございますが,このアンダーラインの部分でございます。「なお,売却を進めている国際交流会館等のうち,やむを得ない事情により売却が困難なものについては,廃止の進め方について現行中期目標期間終了時までに結論を得る」というような閣議決定がなされております。ここで言っております「結論を得る」というところでございますが,これはまた後ほど御説明しますが,冒頭,谷口先生のお話にもありました,JASSOの在り方検討会での検討というものをここで出しておりますが,それはまた追って御説明させていただきます。
 日付の流れで申し上げますと,政権交代後の平成25年1月24日の閣議決定,これは平成25年度の予算編成の基本方針ということでございますけれども,その閣議決定の中では,ここで言っている前の閣議決定,独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針,これについては当面凍結ということにされております。ただ,独立行政法人の見直しについては引き続き検討をし,改革に取り組むというような事柄の決定がされております。何を申し上げたいかといいますと,その1つ前の四角で言われている閣議決定,この「なお」以下の部分について,中期目標期間終了時までに結論を得るというのが凍結をされてしまったというようなことになります。
 その後,引き続き,独立行政法人の見直しについては昨年,1年間掛けて議論した結果,最後の四角でございます。独立行政法人改革等に関する基本的な方針という閣議決定の中で,丸の最後でございます。現在,売却の見込みの立っていない国際交流会館等については留学生交流の場としての活用も含め,経済性を勘案しつつ総合的に処理方針を検討し,平成26年,今年の夏までに結論を得るということが最新の閣議決定で言われているという状況になっております。
 引き続きまして資料の7番目でございます。先ほど,ちょっと飛ばしました四角の2つ目で言っているところの国際交流会館等についての結論を得るといった内容についての事柄でございます。ここで検討をして結論を得るということについては,資料7の報告書にありますような形で文科省において検討し,結論を得たという形になっています。この検討会の報告書でございますが,平成24年4月から検討を開始しまして,平成24年9月にこういった形で報告書を頂いているというところでございます。
 かいつまんで御説明をさせていただきます。留学生交流支援事業ということでございますが,この丸の4の部分,推進体制ということでありますが,アンダーラインの部分,学生の双方向交流を一層促進するためには,1行飛ばしまして,総合的な支援を充実させる必要があるといった基本的な推進体制の方向性が示された上で,それを踏まえた機構の機能の在り方としてということで,国際交流会館等について触れられているところでございます。
 具体的に申しますと,国際交流会館等については引き続き売却に向けた努力を行うということで,原則論を述べております。その上で,ただ,現在,売却が困難な会館についてはということで,1から4のやり方をもって有効活用すべきであるということが言われてございます。具体的には1のところで,土地の所有者である地方公共団体への売却。あるいは2である,運営に関して大学等の関与の拡大。例えば,一括して大学さんの方へ貸出しをするとか,そういった形での関与の拡大。あるいは3番目ということで,日本人学生あるいは研究者等も含めて利用者の対象を拡大したらどうかといったような関係。最後でございますが,ほかの用途,民間による活用,あるいは国際協力拠点としての活用,そういったことを考えて有効活用すべきであるという最終的な報告を頂いております。
 また,この報告のベースになった第2ワーキンググループ,こちらの方では留学生政策と,学生支援方策を御検討いただいたワーキンググループでございますけれども,そこのワーキンググループにおける報告書においては,最後のところでございます。中核的な留学生交流の場としての再構築も視野に入れて国際交流会館等については検討すべきというようなことを頂いているといったところでございます。
 ここまでがこれまでの行政改革の中における国際交流会館等の議論の模様を御説明させていただきました。
 引き続き,現在の国際交流会館等についての状況を御説明させていただきます。資料の8番,9番でございますが,本日お手元に机上資料ということで,この青いファイルを置かせていただいております。この中に現在,JASSOが保有しております国際交流会館等のパンフレットを後ろの方にコピーという形で付けさせていただいております。適宜こちらもごらんいただきながらお聞きいただければと存じます。
 まず資料8ということで,国際交流会館等の状況でございます。現在,JASSOで持っております国際交流会館等は,北は札幌から南は大分までトータルで6館,現在残っているところでございます。基本的にはごらんいただいたとおりということでございますけれども,左から5つ目のカラムでございますが,居室数についてここで記載をさせていただきますが,トータルで1,356ということで部屋数が現在残っているというところになります。
 また,1つ飛ばして入居率でございますけれども,これは平成25年度の平均ということでございます。月ごとで結構ばらつきが出ることもありますので,年度の平均ということでここは出させていただいておりますけれども,一番低い札幌については39.7%,一番高い金沢については100%ということで入居率の方は推移しているということでございます。
 また,その隣,大学等別の入居者数でございますが,これも参考までにごらんをいただければと思いますけれども,一番特徴的なのは一番下の大分でございますけれども,ほかのところは複数の大学の学生さんによって利用されておりますけれども,大分だけは立命館アジア太平洋大学さんが事実上占有しているということになっておるところでございます。
 また,その隣でございますが,簿価と不動産鑑定評価額がどれぐらいあるのかというものでございます。一番高いもので言いますと,東京の国際交流館,まあ,これは当然と言えば当然でありますが,276億円の不動産鑑定評価額がついています。一方で,一番安いところについては,福岡で,約1億円ということになっております。
 また,ここの備考のところでございますけれども,そもそも何でここはなかなか売れないのかという理由にも関わるところでございますけれども,基本的にここの今,売れ残っているところについては,建物については大体が合築の物件,要するに区分所有権ということで,JASSOと立地している自治体の方で1つの建物を共有しているという関係になっておるということをまず御承知おきいただければということがあります。それとまた,建物が建っている土地についてでございますけれども,これも基本的に借地物件ということになっています。基本的には自治体さんから土地はお金を払って借りているというような形になっているということを御承知おきいただければと思います。
 また,資料8の2枚目についてでございますが,参考ということで,既に売却済みの物件についてということで,こちらを付けさせていただきました。北は仙台から南は広島までということでございますが,一番右側の売却先ということで,実際にどこの大学さんに買い取っていただいたかということも参考までに付けさせていただいております。
 引き続きまして,資料9の方になります。今回の閣議決定の中でも,経済性を勘案しつつというようなことも言われております。そういったことも踏まえまして,現在の国際交流会館等の収支状況について関連する資料を今回付けさせていただきました。全部で3枚あります。まず1枚目については,直近,平成24年度の国際交流会館等の収支状況についてまとめたものです。なお,25年度については現在決算中でございますので,24年度が最新のものというふうに御理解いただければと思います。また,次の1枚おめくりいただいたものが平成22年度の収支の状況。なぜ22年度かと申しますと,閣議決定で廃止をされるという方向性になったが22年でございますので,それが出る前の,いわゆる巡航モードで安定的に経営をしてやっていたときの収支ということでこれは参考までに付けさせていただいております。最後,3枚目でございますけれども,これは仮に入居率が100%になった場合の収支の状況ということで付けさせていただいております。
 細かい数字の説明については省略させていただきますけれども,まず24年度についてでございますが,こういった状況で,入居の率が一番下に記載されておりますけれども,これが大体低いということが原因の一つということでありますけれども,収支は基本的にどこの会館も赤字ということになっております。次の22年度とお比べいただければよく分かると思うのですが,東京の国際交流館は倍近い赤になっているということでございます。
 それで,1枚おめくりいただいて平成22年度,先ほど申し上げました巡航モードで運営をしていたときでございますが,この平成24年度と比べますと,一番大きいのが黒字になっているところが出てきているというところでございます。この3の収支の部分でございますが,兵庫の国際交流会館,あるいは大分の国際交流会館,こちらについては,収支は黒字ということでございます。ただ,ほかのところはやはり巡航モードであっても赤字の状況は続いていたというふうに御理解いただければと思います。
 最後,3番目でございますけれども,仮に入居率が,現在は低いのですけれども,これが100%になった場合ということ,使用料がフルで取れるといったことが中心になりますけれども,そういった状況を踏まえて考えた場合にはどうなるかということでございますが,結論から申し上げますと,赤と黒の状況だけ見ますと,平成22年度に兵庫と大分は黒字になっていますということと同じで,100%になっても兵庫と大分は黒字になる。逆に申し上げますと,100%になっても残念ながらほかのところについては若干赤字がやはり残ってしまうというような結論になってしまうというところであります。
 すみません,少々説明が長くなってしまいましたが,私からは以上でございます。

【谷口主査】  ありがとうございました。

【渡辺学生・留学生課長】  1点,補足してよろしいですか。先ほど,資料8と9で入居率について,特に資料8の方でごらんいただくと,札幌が約4割とか,一方で金沢は100%ということがあって,今の説明の中でも,平成22年度,あるいは24年度も低いというのもあるのですけれども,比較して25年度も低いようにあるのですけれども,これもやはり昨年12月に閣議決定をして基本的な方向性が示される前は,各会館ともに方向性が定まっていなかったものですから,留学生について新たな契約を結べなかったという状況があります。その関係でどうしても幾つかの会館については低い数字になっています。
 一方で,金沢国際交流会館については100%になっていますけれども,これは大学として契約していただいているので,大学がロットとして全部押さえているという意味で100%という状況になってございます。
 以上です。

【谷口主査】  何かほかに追加説明ございますか。よろしいですか。
 それでは,適宜御意見を頂きたいと思うのですが,その前に,資料の御説明がありましたが,この点について質問がございましたらお願いします。

【山本委員】  1点よろしいですか。資料8の,既に売却された案件についても土地は借地だったのでしょうか。
資料8の売却済み物件の土地も同じ借地だったかどうかということだけちょっと教えていただきたいと思うのですが。今,売れ残っているというのは,これが問題だとおっしゃったものですから,それだけちょっと事実関係だけ確認させてください。

【田中学生・留学生課長補佐】  基本的には,ほかのところ,売れているところについても,もともと借地になっております。仙台の第二については,仙台国際育友会,大阪の第一については土地が借地,国際教育支援協会です。JEESですね。広島についても国際教育支援協会,JEESが土地を所有していたというようなことになってございます。

【山本委員】  ありがとうございます。こちらで理論武装するときにまた考えないといけないものですから。ありがとうございました。

【渡辺学生・留学生課長】  もう1点,若干補足しますと,借地ということに加えて,合築物件というのがやっぱり大きくて,今,資料8をごらんいただくと,6館あるうちの札幌と金沢と福岡については,土地が借地である上に建物も合築になっていまして,そういった面での権利関係が複雑になっているという状況がございます。
 それから,大分と兵庫については,建物は全て自己所有で,土地は自治体ということであるのに対して,東京,お台場の国際交流館については,建物は完全に自己所有,ただ,土地については自己所有部分と東京都下の借地部分と半々ぐらいに分かれています。資料9でごらんいただくと,それが固定資産税とか土地借料とかは,東京国際交流館が大きな赤字になっているのは,この固定資産税と土地借料によるところが大きいということも状況としてございます。

【谷口主査】  ほかに御質問ございますか。今のデータで。

【太田委員】  先ほど,浅田企画課長のお話の中で,目標達成のために予算まで含めて文科省として頑張って取り組むんだというお話がありましたけれども,この30万人計画そのものは,福田内閣のときにスタートしたということで,もうかなりの年月がたっているわけですけれども,進捗状況のレビューというのはあるのでしょうか。どこが達成できていないのか,達成できているのか。計画ですから,この資料の中には骨子が入っていますけれども,実施計画が当然あるだろうし,それがどの程度進んでいるのか,進んでいないのか,その点について教えていただければと思います。

【渡辺学生・留学生課長】  資料4の3ページ目,「留学生30万人計画」骨子の概要がございまして,その次の4ページ目に日本再興戦略,及び5ページ目には教育振興基本計画というものが付けられています。「留学生30万人計画」骨子の概要と書いてあって,実は骨子はありますけれども,計画という形では策定されておりません。したがって,骨子という形でそれに基づいて各省が連携しながらこれまで留学生の受入れについての連携を図ってきたということがありますけれども,6ページ目には具体的にこの間の留学生受入れに関する現状が示されておりまして,ちょうど2008年,2009年,2010年までは順調に受け入れる留学生の数が増えてきた現状がございますけれども,東日本大震災の影響等がありまして,ここ数年の間は若干減少という状況が続いております。
 一方で,2011年から3年分だけ,日本語学校,日本語教育機関のデータも付けておりますけれども,特に2012年から2013年にかけては,この日本語学校に在籍される方が随分急速に増えているという現状がございます。
 それで,留学生30万人計画を達成していく上で,その下に,7ページ目に書いてありますように,やはり誰でもいいのではなくて,我々としては優秀な外国人を受け入れるということが大きなミッションでありますので,そういった意味で,骨子で書いていますような,日本留学への誘い,それから入試・入学・入国の入り口の改善,あるいはそもそも受入先としての大学そのもののグローバル化の強化,受入れ環境作り。特に我が方,学生・留学生課としては,受入れ環境作り,ないしは日本留学への誘い,入り口の改善,こういったところに注力をして,現在,対策を進めておりますけれども,現状,こうした様々な取組をやっていく中でまだまだ2020年に向けてやっていくべきことはたくさんあると考えております。
 特に26年度予算というところで新規と書いてあるものが7ページ目に2つ書いていますけれども,海外での留学コーディネーターの配置,これは留学への誘いという部分で,とにかく日本の魅力をしっかり海外で,特にフォーカスされたエリアに対して発信をしていくということに加えて,あるいは大学そのものの国際化を進めていくという,スーパーグローバル大学というのを策定してやっているわけです。
 それから,特にこれから,我々としてもどこの国から留学生を戦略的に受け入れるべきかということについての検討を別途行いまして,世界中のどこからでもいいのではなくて,例えばASEANであるとか,現状,中国と韓国からはたくさんいらっしゃっているのですけれども,それ以外の国で,今後,日本との関係を強化していくべきところに対してどういった戦略で臨むべきかということを,谷口先生にも委員になっていただいて検討を行ったところでございます。
 そういった中でも,幾つかもちろん検討はこれから進めていくのですけれども,ただ,大学そのものを強化していく,あるいは入り口を広げていくということに加えて,特に今,我々として遅れているような部分での,これまで私も何人か留学生の方とお話をしましたけれども,やはり宿舎の問題というのはすごく大きくクローズアップされておりましたので,そういった意味で,一つはJASSOの国際交流会館等の扱いというものがテーマとしてあるのですけれども,それ以前の問題として,そもそも交流会館の廃止をしたとしても,留学生30万人を実現していくためには,やはり宿舎をきちんと整備する,それも国が自らということだけじゃなくて,いかに予算を効率的に使うか,あるいはその予算でいかに多くの方に満足していただけるような宿舎を提供していけるのかということも含めて,是非御議論いただきたいということでございます。

【太田委員】  特に伺いたかったのは,この骨子に,渡航1年以内は宿舎提供を可能にと書いてあって,それは既に実現されているのか,実現されているのであれば期間を2年に拡大するような話なのか,違う方策を考えるのか,あるいはこれがまだ実現できていないから,実現するようにしなければいけないというのかで,全然違ってくると思うので,そこの達成率がどうなっているかということを伺いたかったのです。

【渡辺学生・留学生課長】  同じく資料4の9ページ目をごらんいただくと円グラフがございまして,これは直近のデータで13万5,000人いる留学生総数のうち,現在,公的な宿舎に入居できている方というのが全体の23%でございます。全体の23%で,留学生には4年でいい方,それから大学院の方,いろいろいらっしゃるので,この内訳として詳細なデータを付けておりませんけれども,パーセンテージは今,データがございませんが,ただ,全ての方が留学1年目に完全にアパートに入れているかといったら,このデータからはそこは100%までまだ準備できていないというふうに思います。
 それから,やはり2年目以降,出て行くという際にも,どうしても民間のアパートを借りようとしても,もちろん大学がある程度一定の数の民間アパートと契約をしているという大学も結構ありますけれども,必ずしもそうでない状況もございますので,そういった意味で申し上げますと,民間のアパートを有効に活用,あるいは最初に申し上げましたように,JASSOの支援であるとか,あるいは保証人に対する支援というのもありますけれども,現状それだけではまだ十分ではないというふうに考えております。

【太田委員】  私の記憶が定かでないですけれども,たしか留学生受入れ10万人計画のときも,公的宿舎と民間アパートの比率で見るとこの4分の1,4分の3ぐらいのウエートだったと思います。パーセンテージから見て,全く整備されていないと理解すればいいのか,そうではなくて,全体のボリュームが増えているのだから数が増えていてちゃんと公的宿舎は整備されているという理解をすべきなのか。

【谷口主査】  この点,いかがですか。

【太田委員】  既に整備されているとすれば,先ほどおっしゃったように,民間のアパートに入るときのいろいろな手当ての仕方とか,そういうことが多分課題になってくるわけですよね。

【渡辺学生・留学生課長】  これは全体をまた整理をする必要がありますけれども,やはり幾つかの大学の例を見ても,最近かなり頑張って,大学としての寮の整備は進めています。ということは,それはまだ十分に足りていない。あるいは,今,かなりの勢いで各大学ともに留学生の数を増やそうと努力している中で,やはり宿舎の整備というのがかなり高いプライオリティーとして認識されているというふうに我々は考えています。
 ちょっとデータについてはすみません,次回お示しできればと思います。

【谷口主査】  ほかに,それぞれの委員の先生方,この全体についてまず御質問等ございますか。あるいは御意見でも結構です。

【末松委員】  この留学生数の中に交換留学生は含まれているのでしょうか。それとも正規生のみを対象とした数でしょうか。

【渡辺学生・留学生課長】  交換留学生も含まれています。

【末松委員】  各大学はみなそうだと思うのですが,交換留学生には優先的に宿舎を配置するということがあります。これは交換留学生も含めた数ということでよろしいですか。

【渡辺学生・留学生課長】  そうです。

【末松委員】  ありがとうございました。

【大川学生・留学生課長補佐】  太田委員に御指摘いただいた点ですが,マクロの数でどうなのかということについて整理をさせていただこうかと思います。もう一方で,大学ごとの取組によって,今,御指摘いただいたように,交換留学の部分はまず押さえて,必ず入るようにして,いい学生が来られるようにする。また後で資料にも入っていますけれども,ある大学では,新しく,それこそ民間の資金も活用しながら宿舎を建てられたというようなところもございます。大学によって,今,状況というのはいろいろバリエーションに富んできた。その中で,資料の後ろの方にもございますけれども,いろいろな取組というのが出てきています。このあたりをどう考えるかというところについては,是非忌たんのない御意見を頂きながら,今の課題,いろいろなレベルであると思いますので,民間から見た課題,大学から見た課題,我々から見た課題,そういうのも整理しながら,国全体でどうしていったらいいかという御議論を是非頂ければと思っております。
 総じて足りないというのが現状で,いろいろなところからそういった御意見は頂いています。だから,具体的に詰めなければいけないのは,どこがどう足りなくて,国全体としてどうしていかなければいけないかという,その全体像を是非ここで御議論いただければと思っております。

【太田委員】  今の御指摘は正しいと思っています。私どもの協会で,留学生に企業の社員寮に入っていただくという支援活動を行っていますけれども,地域によって状況が全然違うわけです。例えば,東京だとかなりニーズが高い。だけど,地方の場合は,極端に言えば,公的宿舎がなくても,民間のアパートがかなり手頃で安く手に入る。だから画一的に,マクロ的にやらなければならない部分と,個別具体的な部分とである程度分けながらやっていかないと,その辺,かなり問題があるのではないかと思います。

【友岡委員】  今,全体的な数で足りないとかいうこともありますけれども,使い方によってまたキャパシティーをどう見るかということもあろうかと思います。学位課程に入るような学生さんもいるし,先ほど言われたように1年ぐらいの交換留学生もいるし,更にもっと短いものもあります。各大学が最近,ショートプログラムを増やしているわけですが,ショートプログラムは単に30万人達成するために増やすだけじゃなくて,海外の非常にグローバル化している大学であっても,やはり学生さんの事情で1年とか長期は留学できないという学生さんがたくさんいるわけで,そういった意味でもショートのニーズは大変あるわけですね。ショートの学生をいろいろなショートプログラムを作って受け入れる場合に,それはそれでまた1年間借り上げる方がむしろ楽な場合もありまして,本当に4週間とかそういうところで場所を見つけるのは非常に難しい。
 JASSOさんの会館も,ちょっと入居率が少ないときには,JASSOさんの方から,ショートでもいいから使っていただけませんかというような話を数年前に頂いて,去年,おととしになると,そういう使い方はもうこういう形でできないということもありますから,ショートプログラムを組もうという場合には,逆に言うと,もう大学がプログラムとしてある程度恒常的に作るわけですから,短くて,かつ何年間も約束できるような使い方に対応できるようなもの,これはなかなか組合せが難しいと思いますけれども,そういう使い方も考えてキャパシティーを考える必要もあろうかと思います。

【谷口主査】  地方によっては,その使い方に様々な課題があるようです。
 ほかにどなたか意見ございますか。

【関委員】  宿舎不足の状況ですが,地域ごとにどこが特に足りていないのかというデータはありますか。

【渡辺学生・留学生課長】  そこまで細かい分析はしておりません。ただ,JASSOのデータは,これは網羅的に留学生を入れていますので,これは次回までに少し細かい生データを整理してみたいと思います。
 ただ,一方,これは1つの例ですけれども,大分はすべてAPUの学生ですけれども,ちょうど大学にほど近いところで,大手の民間企業が撤退して,撤退した後のアパートが随分余っているらしく,そのアパートが3LDKでたしか五,六万で借りられるらしく,そういうところが近くにあるというのがありましたので,例えばそういうエリアであれば,恐らく民間のアパートとうまく連携することで多分足りていると思うんですけれども,足りている,足りていないというのが,果たして公的な部分だけでいいのかどうか,あるいは大学サイドがそれをどういうふうに見ているのかということも含めて,少し可能な範囲で整理をしてみます。

【友岡委員】  あと,足りる,足りないというのは,宿舎があっても家賃が高くて入れないということは特に都市部にはあるわけですから,留学生の人たちが,特に家賃が問題になるような都市部で困っている留学生の人が,どういう形で家賃を払っているか。例えば,大学が借り上げとか,大学の宿舎でも借り上げなんかの場合にどのぐらい大学が助成をしているかとかですね。それから,会館の場合もどのぐらい自前で払っているとか,会館で大学が押さえているような場合,多くは大学が補助しているわけですか。

【米川理事】  基本的に個人負担です。

【渡辺学生・留学生課長】  報道によると,早稲田のWISHの場合は,1万円分だけ大学が民間の寄附を使って補助をやっているわけですね。

【太田委員】  ただ,5万2,000円か幾らかですよね。これは,学生にとってみれば結構な負担だと思いますよ。

【友岡委員】  公的なところは一見安く見えますけど,それでも高いと思う留学生は民間に行って,シェアしてという感じになりますよね。

【谷口主査】  これ,細かくやると様々な問題が出てくるんですけど,全体を見ながら部分をどう議論していくかということを考えていかなければいけないかなと思っております。

【太田委員】  今のその絡みで,住居の条件が国際比較でどうなのかという資料はありますか。要するに,アメリカに留学した場合,あるいはヨーロッパに留学した場合と,それに対して日本が例えば10万円でも比較優位があるのなら,それは気にする必要はないだろうという話になるだろうし,そうじゃなくて,国際的に見るともっと安くていい宿舎が手に入るということであれば,日本の魅力度は住宅において極端に落ちるわけですよね。だから,国際比較みたいなデータがあれば議論しやすいと思いますけれども。

【谷口主査】  次回,住居に関わるデータを追加していただいた上で,詰めたいと思います。
 別の論点で何かございましたらどうぞ。

【友岡委員】  公がいいのか民間がいいのか,こういう会館でも廃止していいのか,存続したらいいのかというときに,一つは経済的な効率を考えるわけですけれども,経済効率に乗ってこないような利点をどう考えるかですね。例えば,やはり日本人学生との交流の拠点とかそういうことを考えた場合に,これは経済的な尺度だけでは計れないわけですから,そういう利点をどう積極的に考えていくかは非常に重要だと思います。

【谷口主査】  この部分は,国が宿舎を管理する場合に特に重要かなと思っていますけれども。ただ計算をして,経済効率だけでは推し量れない課題というのはやはりあるのではと思います。
 全体的に何かございますか。

【末松委員】  情報として,例えば各大学にどのぐらい宿舎が不足しているのかという状況の調査をされたことはありますか。

【渡辺学生・留学生課長】  それはまさに必要性を感じておりまして,今JASSOが持っているデータはありますけれども,それは現状のデータですので,今後,特にこれから倍増していく,あるいはスーパーグローバル大学がこれから公募されますけれども,そういうところではかなり意欲的な数字を出してくるわけですので,その意欲的な数字を出してくるときに,一体どういうものを,どこまで,例えば宿舎については整備する必要があるのかということも含めて,アンケートをやろうと思って準備は進めつつあります。

【谷口主査】  様々な御意見が出ましたので,今まで議論された点について,更に追加のデータは次回の会議でいろいろと出していただくということで,更にそこを深めていきたいと思っています。

【関委員】  資料4の最後のページにURにおける支援というのがあります。先日関西に行ったときも,例えば千里ニュータウンには5階建てでエレベーターが付いていない古い団地があり,住民も高齢化していて,4階とか5階には住めないので,かなり空室が目立っているというお話を聞きました。高齢者の方は下の階には住めますけれど,4,5階は厳しい。そういった空き室を留学生に比較的安く提供してはどうかと。特に都市部で家賃の高いところではそのような団地を有効活用してはいかがかと思います。

【渡辺学生・留学生課長】  実際に私は阪大が行っているという事例しか聞いていないのですけれども,一方で,URもいい立地にあるところはなかなかなくて,例えば札幌の交流会館は入居率が低いのですけれども,札幌は交通の便がよくて,北大から地下鉄で3駅とか4駅ぐらいですけど,それでも北大内にも寮があるものですから,あそこ,地下鉄に乗るとちょっと高いんですね。片道で二百数十円,300円ぐらいするので学生は高いと言うんです。あるいは,夜遅くまで研究するので,もっと近いところがいいということがあったりして,なかなか人気がないという現状もあったりするので,本当に近い場所であるというのを結構留学生は重視していまして,お台場も,ゆりかもめが高いというのがものすごく不評なんです。

【谷口主査】  立地条件にもよりますので,いろいろ複雑で様々なファクターが入居率についてはあるように思いますので,ちょっとデータを出していただきながらということにしたいと思います。
 ほかに何かございますか。30万人計画実現に向けてという,こういう題がありますが,その点についていかがでしょうか。
 よろしいですか。それでは,具体的な課題に入っていきたいと思いますが,国際交流会館等の今後の在り方といいますか,それについては資料7の一番下のところですけど,これは私が主査をしてまとめさせていただいた内容なんですけれども,引き続き売却を目指すということなんですが,先ほどお話がありましたように,合築等の関係でなかなか売却ができないというようなことについては,国際交流会館等が留学生を増やしていく上で非常に重要な拠点になることを考えると,中核的な留学生交流の場として今後それは考えていかざるを得ないのではないか。売却を目指すけれども,売れないというのをどのように今後考えていくのかという,そういう問題があろうかと思います。
 そういう意味で,国際交流会館等の一覧表というのがあって,要するに売却ができていないところもありますが,それ以外の既に売却したところのほとんどは大学が売却先になっています。ある意味での地域ごとの交流拠点という形では使われていると判断できるでしょう。今後,売却が不可能であるという交流会館等について御意見を頂ければと思います。

【太田委員】  その売却が不可能という意味が理解できないですけれども。というのは,要するに,10円だよって言ったら買う人は,たくさんいるわけでしょう。どういう制約があって売却ができないのか,そこが分からないと何とも議論をしようがないというか。

【谷口主査】  現在のところ売却ができていない国際交流会館等は,この資料8の1枚目の表にあるとおりです。不動産鑑定評価や簿価が書いてありますが,国としてこれを,おっしゃったように,すごく安く売却という意味が,もう本当にただみたいな値段といいますか,そういうものであるのかどうかということによっても変わると思うんですね。だから,売却が可能かどうかというのは,値段は耐えうるのかどうかということも含めてちょっと事務局の方から説明をお願いします。

【渡辺学生・留学生課長】  ちょっと補足しますと,資料8の2枚目のものについては,前回までにもう売却できていますが,売れなかったものについても,実はこの3月に,もう一度入札を行いましたが,1件も札は入っておりません。冒頭申し上げましたように,特にこれらの国際交流会館等は,仮に買っていただいても,これは前提として,こういった国際交流会館として使っていただくということを条件としております。したがって,委員がおっしゃいましたように,じゃあ,これは安ければ例えば一般の民間の不動産会社が買って,民間の人が使えるか,一般の人が使えるかといったらそうじゃなくて,これは留学生のための宿舎として使っていくということでの制約がございます。
 加えて,特に合築物件の場合は,どうしてもこれは自治体との区分所有になっていますので,自治体との関係でこの後のメンテナンス等についても分担していくということが出てまいります。そういった意味では,本当は自治体が買っていただくというのが一番我々としては有り難いですけれども,なかなか各自治体共に厳しい。そういう中で,私もここに出ているものについては全て1回,各地を回ってまいりましたけれども,それぞれやはり各地域で,留学生の交流の場としては自治体も含めて活用していただいているので,各自治体ともに,できればJASSOさんに持っていただいて,引き続き国際交流のための場として使っていただけると有り難いということではあるのですが,ただ,資料9にありますように,ものによっては完全に赤字というものもあるので,恐らくこれからは国費をどこまで投入していくのか,もしかしたら,金額はここに出ていますけれども,10年・20年スパンで考えた場合に,収支がどうなのかということを含めた検討というのが必要になってくると思っています。

【谷口主査】  確かに,売るということはなかなかいろいろな意味が含まれているので,そう簡単ではないと思っているのですけれども。

【太田委員】  入札する人がいないっていうことは,国際交流とか,そういう留学生のための宿舎として活用した場合に民間ではペイしないと多分,判断しているということですよね。

【渡辺学生・留学生課長】  加えて,実は,とある私立の大学が関心を示した例がありました。ただ,土地が,これは自治体の土地で,土地も一緒でないと買っても意味がないというような御指摘を頂いておりまして,そこは最終的には自治体さんとの交渉事でもありますが,なかなかそこは一筋縄ではいかないような状況もございます。

【谷口主査】  何かこの点について御意見ございましたらお願いします。

【山本委員】  意見はないですけど,要するに一定の範囲内で補助をするということをどうやって世間に向かって公約し,業界での努力も示すかということですよね。だから,結局は長期的に一定の額を補助するのだけれども,これぐらいまでに収支が合うように努力しましょうっていうことが通常のシナリオだと思いますけれども。ただ,それをどのぐらい数値化するかというのはありますよね。御専門の方もおられますけど。

【荒張委員】  これ,もともと自治体と合築した経緯というのはどういうことですかね。

【渡辺学生・留学生課長】  これ,開設年月をごらんいただくと,一番古いのは福岡の平成3年ですけれども,これは,この物件だけでなくて,そのほかに文科省関係で言うと,JSTや何かが地域のプラザを造ったりとかっていうのをやったりしたんです。この当時,結構,自治体と国が一緒に事業を行うということについての,ある時期そういう,ムードというか,そういうことの機運が盛り上がった時期がありました。

【大川学生・留学生課長補佐】  ここは整理させてください。これは私見ということで申し上げれば,多分,一番,経済的な負担という意味で,その地域の効果,それから国全体の効果なんかを考えて分担をしたのではないかということが予想されます。細かいことはよく分かりませんので調べたいと思います。

【太田委員】  こういう状況だとすると,不動産鑑定評価額自体がおかしいのではないかと思います。要するに,そういう利用制限が掛かっているわけですよね。それを,例えば一般の土地と同じように評価しているのだとするならば,それは違いますよね。だから,不動産鑑定評価の仕方自体に問題がないのか。そういう問題もあるのではないかと思います。そうじゃないと,収支の計算がおかしくなってくるわけですからね。

【田中学生・留学生課長補佐】  利用の制限が掛かっているというのは,先ほど申し上げた留学生宿舎としてしか使えないということですか。

【太田委員】  ええ。あるいは,国際交流拠点としてしか使ってはいけないという,そういう利用の制限があるのか。普通,土地というのは,例えば工場用地は工場としてしか使っていけないから工場用地としての値段が付くわけですよね。宅地は宅地としての値段が付くわけですし,農地は農地としての値段が付くわけじゃないですか。だから,そういう制限が掛かっていてこの評価額なのか,そこをもし無視されているとすれば,評価額自体がおかしいじゃないかという問題もあるのではないかと思うんですけれども。

【山本委員】  土地代は入っていないのですか。

【田中学生・留学生課長補佐】  土地代は入っておりません。土地は全て借地なので,これは上物を売ったということ。あるいは,借地権があるものは借地権込みといった形で評価が入っています。

【太田委員】  上物は,何年かたつと,大した評価額ではないですよね。

【荒張委員】  そうですね。

【友岡委員】  これ,簿価も上物だけですか。

【田中学生・留学生課長補佐】  簿価も上物,それから,借地権が入っているものは借地権も入っています。

【太田委員】  通常,住宅だと,壊す方が余計にお金が掛かるので,建物はほとんど評価ゼロじゃないですか。

【荒張委員】  どういう評価なのか,ちょっと見てみないと分からないですけど。

【友岡委員】  でも,簿価よりかなり下がっていますから,それなりの評価はしているのではないですかね。

【谷口主査】  大分国際交流会館は,前に出た不動産鑑定評価はもっと高かったと思います。記憶では8億ぐらいだったのではないでしょうか。

【田中学生・留学生課長補佐】前回入札したときに6億ぐらいですね。

【太田委員】  2年ちょっとでそれだけ下がったということですね。

【谷口主査】  そうですね。

【荒張委員】  というか,もともとこういうのを作る時点では,普通にこれでもうけようという目的で作っていないわけですよね。ですから,そもそもお金の採算で議論すること自体がナンセンスな話じゃないですかね。当然,そうすると,民間が買うっていうことはあり得ない話で,まあ,確認していただいているところだと思いますが,自治体と国とでそういうコストを負担し合って,留学生を受け入れていきましょうという当時の政策判断があって,それが後で,売却という話になったという話だから,それは民間に売れるわけがないし,もともと赤字というか,採算がとれないのを前提にやっているっていうふうに考えた方が素直な気がしますけどね。ちょっと数字を見てみないと軽々しくは発言できませんけど,大体この手の話っていうのはそういうところが多くて,自治体に買ってくれって言われても,負担が増えるだけだからそれは勘弁してくださいっていうのが実態ではないでしょうかね。

【友岡委員】  ですから,売れたらハッピーという話だけではなくて,やっぱり同じような目的で使っていこうという前提の話をしているわけですから,どこがマネージしたら,より有効活用できるか。それもさっき言ったような計れない部分も考えて,JASSOが仕切っているのがいいのか,大学が仕切っているのがいいのかと。やっぱり採算じゃないベースで考えないと,余り意味がないですよね。

【荒張委員】  むしろ,だから有効利用という観点で。

【友岡委員】  どこが担ったら一番有効かっていう。

【荒張委員】  ええ。採算という意味では多分,商業ベースに乗らない議論でもともとやっているわけだから,じゃあ,一定のコストが掛かるのを前提としながらどう有効に利用していくか。それがそこに入居される留学生の方々にとって,非常に便益もよくて,効果が期待されるのであれば,一定のコスト負担を掛けても仕方ないという前提で議論しないと,何か議論が進まないような。

【友岡委員】  あるいは特定の大学が持っているのがいいのか。やはりそうじゃないニュートラルなJASSOさんみたいなところがやっているのがいいのかっていう。

【谷口主査】  それは,資料8の1枚目の表を見ていただいたら分かると思いますが,国際交流会館等の入居状況は地域によっても結構違いますよね。例えば,大分国際交流会館であればAPUだけが利用しているし,金沢もそういう限られたところで利用している。ほかのところは全体に散らばってやっているという,そういう違いはあるので。

【友岡委員】  そうすると,大分はAPUさんに買っていただいた方がいいということになるのでしょうか。

【太田委員】  質問ですが,今の議論の流れの中で,この25年の閣議決定では,経済性を勘案しつつ総合的にうんぬんと書いてありますが,この経済性っていうのは何を指して経済性と言っているのでしょうか。

【田中学生・留学生課長補佐】  我々として考えるには,まさに費用と収入ですね,そういったものを含めて,要は赤字が出ているということは,やっぱりそれだけ国費の無駄にもつながっているということもあるので,そういった観点から収支に差がある。いわゆる昔言われた箱ものと言われるやつですけれども,そういったもので赤字を垂れ流しているような箱ものについては基本的にはやっぱり国が持っているべきではないのではないか,要はリストラしろというような観点からの話の連なりで一環でございますので,そういった面から,まさに収支がどれだけ改善するかということも勘案してくださいというような根底でここが入れられているものというふうに考えてございます。

【太田委員】  先ほどのここでの議論の流れから言うと,留学生にとって宿舎が不足していると。加えて,留学生の立場から見たときに,その宿舎はかなり高額で負担になっていると,例えば東京の国際交流館は,多分,私の記憶では一番安い部屋でも6万幾らだったと思うのですが。

【米川理事】  一番安い部屋で3万5,000円です。

【太田委員】  それぐらいですか。
 それで,なおかつ,先ほど課長がおっしゃったように,ゆりかもめは結構通学に不便で,交通費が高いわけですよね。留学生側から見れば,例えばゆりかもめを利用するときに定期の割引率をものすごく高くしてくれるとか,そうすれば交通費のコストは減るし,宿舎ももうちょっと賃料が低ければ,留学生にとってはとても幸せですよね。
 だけれども,逆に言うと,赤字額が増えますという話になりますよね。ただでさえ,今,先ほどの資料の2枚目か3枚目の収支状況で見ると,収支を改善しようとするのならコスト分賄わなければいけないわけですから,それには賃料を上げるしかないわけですよね。あるいは,そこに関わる人件費を,人を減らすとかいろいろな部分で減らしていく。つまり,コストを減らすか収入を増やすかしかないわけですから。

【荒張委員】  そうですね。稼働率が100%でも赤になっちゃうわけですからね。

【太田委員】  ええ。通常が稼働率100%なんていうのはあり得ないですよね。移動も当然あるわけですから,多分,民間だって九十何%というのは最高の稼働率だと思うんですよ。100%というのはあり得ない仮定が置かれているわけだけど,いずれにせよ100%ですら赤字。これも経済性を勘案しつつというのが上に掛かってくるとすると,これはコストをカットするか値段を上げるかどっちかしかないだろうと。

【山本委員】  そういうことを暗に言っているわけですよ。だから。

【太田委員】  ですよね。

【山本委員】  要求側はね。

【太田委員】  そうすると,それは留学生のためなのかという話ですよね。

【山本委員】  だから,彼らの論法は,これだけの普通の施設よりは広めの部屋だからもうちょっと取ってもいいのではないかとか,あるいは運営委託費がもっと安くできないのですかということを暗に言っているのでしょうけれども,だからそれができないならできないとこっちが,むしろ留学生の居住環境から言うと,これぐらいのスペースがむしろ当然で,それにはこれ以上取るとかえって利用率が減るとか,何かそういう理論武装をするとかですね,あるいはコスト削減はもうこれで限界ということで。

【太田委員】  だけど,先ほどの逆の話で言いますと,そこに入札してくる人がいないということは,値段を上げた場合に,多分,入居希望者がいないだろうから,これはペイしないと思って,応募してこないのでしょう。通常考えられるのは。

【山本委員】  だと思いますけど。要するに,国が一定の関与をするなりJASSOさんが関与をして一定の補助をするのはいいけれども,このままだとずるずると負担が増えるので,これは好ましくないのではないのかというのが,多分,向こうの言い分だと思うんですよね。必ずしも私と同じ意見ではないですけれども,翻訳すればそういうようなことを言いたいのでしょう。

【谷口主査】  JASSOの在り方委員会のところでも同じような議論が出ました。とにかくまとめるのに非常に苦労したという。

【荒張委員】  入居費とかは下げた経緯があるということでしょうか。最初に建てたときから。もう最初からこういう状況でしょうか。

【谷口主査】  そうでしょうね。だから,優秀な留学生獲得のためとか,いわゆるお金で換算できないベネフィットは重要だというところがやはり議論として落ちているんですよね。過去の閣議決定のところではね。箱ものは全部,赤字のところは売り払うという,そういうスタンスでずっと来ていましたので。

【友岡委員】  それ,赤字だけ考えたら,逆に言うと,使用制限も考えずに売っちゃえばいいだけの話ですからね,もう全然違う次元の話になりますよね。
 あと,入居費はやはり提供形態にもよりますよね。先ほど,ショートプログラムという話もしましたけれども,ショートの方がちょっと高く取れるとかね,それは使い方によって違いますよね。1年間ずっと住んでいる家賃と短く使う家賃で違いますから,やっぱり使い方によって。まあ,地域によって全然違うと思いますけれども,使い方によってはそういう,別に高い家賃を取ればいいと思いませんけれども,でも,そこは変わりますよね。

【山本委員】  僕の知り合いの留学生も東京国際交流館に入っていたのですけど,実際には東京はかなり大学院生が多いですよね。だから,そういう意味ではまさしく拠点的な役割は確かに果たしているんですよね。だから,ちょっと質的に違うところがあって,これはもうちょっと強調されてもよろしいのでは。

【米川理事】  入居条件として大学院以上という。

【山本委員】  ええ,拠点なんですね。

【大川学生・留学生課長補佐】  ちょっと補足でいいですか。この経済性,私も解釈で言うしかないですけど,例えば廃止をしますということを言ったときに,売れませんというときは,その維持管理費が掛かる。一方で,先ほど資料でもありましたけど,出していかなければいけないというマイナス面。そうすると機能が生かされない。そういうロスもあって,それも含めてどっちが経済性が高いのかというのは考えなければいけないのではないかと思っております。
 一方で,最初御指摘があったように,民間ベース,要はもうかるのであれば国が手を出す必要がないわけで,民間でそういうのを供給していただいて整備をするという観点も,なぜそもそも国がやったのかというところを含めて検討いただく必要があるかなと思っております。

【関委員】  あと,この留学生30万人計画の骨子の概要の中に,優れた留学生を戦略的に獲得するとあります。私は東京国際交流館しか行ったことがないので,ほかの施設がどのようなものか存じ上げませんけど,東京国際交流館は非常に立派な,すばらしい留学生受入れ拠点になっています。ここは国の政策として,優れた留学生を受け入れるための施設として建設したのではないのですか。資料9によると入居率が100%になったとしても4,000万円の赤字が出るとなっていますけど,費用対効果をどう考えるのか。4,000万円の赤字だから売れと考えるのか,いや,それよりもこの施設でこれだけの効果があるのだから残すべきと考えるのか。優秀な研究者,大学院生を受け入れるためにはこの程度の施設が必要だと,恐らくそういうことで作られたのではないかと思うのですけれども,そこを単に経済合理性だけで,はい,切って捨てますという議論だけでいいのかどうかというところはやはり大事な論点じゃないかなと考えています。
 つまり経済合理性だけを見て,単に赤字だから,これは駄目とするのではなくて,定量的な面だけではなく定性的な観点からも検討する必要があると思います。それでもやはり効果が見込めないところは売却を考えていくということかなと思います。

【山本委員】  この閣議決定はまさしくそう言われるような文言になっているのですから,別に売れとなっていないわけですね。割合,文科省的にはなっていますね。だから,一定の経済性を確保しつつ,今おっしゃったようなメニューを盛り込みなさいということですよね。それをきちんとやるのはいいのではないかという文言だと思いますけどね。

【谷口主査】  だから,このときにはやはり様々な,国は優秀な留学生を確保するという一つのベネフィットで,そこは負担していかなければいけないのではないかということです。その中で,留学生交流拠点の中核的役割を果たすにふさわしい条件を整えた施設であれば,留学生交流の場として再構築も視野に入れるべきだという,JASSOの在り方検討会では最後にまとめ方をさせていただきました。
 だけど,一方では閣議決定で指定の期限までに売却という条件があるので,その文言として,引き続き売却を目指すという,ちょっとそこの辺りをうまく整合性を合わせて文章化した新たな視点から留学生30万人計画の実現に向けてという中で,やはりこの留学生の住環境の支援はどうあるべきなのかの視点から,国際交流会館等の必要性を考えることは重要だと思います。

【山本委員】  いろいろな統計から言っても10平米以下のものが半分ぐらいあるけれども,ここはもう質的にはかなり広めの部屋も確保しているとか,それも一つの根拠になると思いますし,いろいろ,実際的にも多国籍の人が集まっているとか,あるいはそれをもっと推進するとか,何かそういうことなんでしょうね。多分。

【友岡委員】  あとはやはり,単なる居住の場だけじゃない使い方ですよね。まあ,ただでさえ赤字って言われているのに,これ以上お金は掛けられないわけですけれども,使い方をもっとエクスチェンジの場にふさわしいものにしていくと。そうすると,それはもう計れない利益がどんどん付加されるわけですから,それを足し算すれば赤字じゃないよという話ですね。

【谷口主査】  最近の,大学が造る国際留学生寮というか,国際寮というのは,日本人学生と留学生が共同で生活をするという場に変わってきつつありますよね。だからやはり,より留学生と日本人学生が交流するにふさわしい内容に少し変えていく。売却できない国際交流会館等については,単に学生向けの住居を提供するというだけではなく,日本人学生と留学生が交流する地域の留学生交流の中核拠点として位置付け,交流の場を一層広めるという視点から,国際交流会館等を考えることになるのではないでしょうか。

【友岡委員】  売却できないという前提でお話をしなければいけないのならしようがないですけれども,言い方に関してはもっと積極的に,できないならじゃなくて,本当はもっと積極的な方がいいですよね。

【荒張委員】  実際にお金に換えるということじゃなくて,もう投資をしちゃっているわけですよね。ですから,そのお金が何十%かまだ活用できていないということ自体が本来,無駄なわけであって,十何万人分足りない中の一つの解決策にそれが有効活用できる。だけど,それを現状の寮費ではなかなか入ってくれないので,例えば一定のコストを掛けて補助をしてあげるとたくさん人が来てもらえるのであれば,逆に,その追加のコストは掛かるのだけれども,コストパフォーマンスという意味ではより効果的になるわけですよね。ですから,何かそんな発想の転換をしていった方がいいのかもしれませんね。
 単体の資産の在り方だけだと非効率っぽく見えるけれども,30万人の留学生を受け入れるという,また別の政策目的のための支出として捉えるならば,追加的な支払をしても,それによって全体の留学生を受け入れるという目的から見たコストという観点で見たときにはむしろ効率的になるような気がしますけれども。

【山本委員】  ただ,ここだけ重点とするのはどうかという議論も同時に出てくるので,それはクリアするのが,なかなかそれだけでは厳しいですね。

【米川理事】  東京国際交流館の場合は,あそこは国際交流大学村という形で,未来館と,それから産総研が近くにありまして,これらを一体としてそれを考えていこうというふうなことですので,単に留学生だけじゃなくて,研究者とか,あるいは研究のために日本に来られている人なんかも含めてオープンにしていこうということがあるのですね。基本は大学院の学生。プラス基本的なコンセプトは1割日本人を入れて,これはRAという形ですけれども,そういう形が,その割合が少ないか多いかというのはまた議論が分かれるところでしょうけれども,いろいろな多様な層の研究者を入れて,そこで新しいものができるのではないかというコンセプトで私たちはやってきたのですよね。それで,そのためにいろいろな民間からの寄附を集めまして,それをベースに国際交流,今ずっとやっていますけれども,これはかなり有効かな,一つのモデルになるのではないかなというふうに思います。
 それを1つの大学とかというような形で,あるいは1つの自治体とかいうのはかなり難しい部分もあるのではないかなと。だから,結局のところはそういう赤字,一番大きな赤字,東京国際交流館,その赤字の負担をどうするのか。それが赤字として見るのかどうかという問題ですね。ただ単に数字的な問題だけじゃなくて,クオリティーの問題とか,あるいは優秀な学生をどう日本が引き受けていくのかというような観点を入れないと,多分,総合的な解決というのができないかなと思いますね。

【友岡委員】  あと,数も大事ですけど,やはり質も大事で,留学生を入れようというのであれば,この会館に留学生がたくさん入ればいいわけですけれども,質は,先ほど先生も言われたように,例えば留学生はやっぱり日本人とのエクスチェンジのあるなしで全然,満足度が違うんですね。大学でもいろいろな寮を持っていて,このドミトリーは日本人学生と一緒になれて,このドミトリーはなれないとなると,同じ1年なら1年で帰っていく満足度が全然違うんですね。
 さっきのRAでも,RAみたいな日本人学生を増やせば留学生のキャパシティーが減るわけですけれども,でも,帰るときの満足度はどっちが高いかといったら,日本人学生をもっと入れて,留学生のキャパシティーを減らしてでもですね,その満足度の質はかなり違いますよね。そういう目線も必要かと思いますね。

【末松委員】  日本人と留学生の混住環境というのは非常にいい視点だと思いますが,留学生と,本当に日本が世界に開かれた国になるには,やはり地域住民の方との交流の場としてそういう交流スペースを作るというのも非常に大事だと思いますね。JASSOさんの方で地域交流事業なんかも積極的にしていらっしゃるので,そういうときのスペースとして使うというのも一つの案じゃないかなと思います。

【荒張委員】  ちょっと数字の話ばかりで恐縮ですけれども,例えば国際交流会館の支出って,固定費みたいなのが多いわけですよね。土地の借料とか,2億掛かっているわけですから少しでも稼働してくれる方が固定費回収できるわけです。実際にこれ,100%稼働すると,3億の赤字から4,000万になるわけですから,2億6,000万の効果があるわけですね。そこのうちの例えば1億とか2億払って100%来てくれるのなら,その方が得するわけで,それがきれいに行くかどうかは別ですけれども,机上の空論かもしれませんけれども,そういうお金の使い方はあるのかもしれませんね。

【太田委員】  固定資産税を免除してもらうことはできないですか。

【荒張委員】  それはまたちょっと違う議論かもしれませんね。

【太田委員】  固定資産税って,独法ってどうなっていましたか。

【渡辺学生・留学生課長】  資料9を御覧いただくと,実際,合築物件はかなりゼロかそれに近い。あるいは大分なんかも固定資産税はゼロです。

【田中学生・留学生課長補佐】  免除されているということです。

【渡辺学生・留学生課長】  東京都がやたら高いという。

【太田委員】  ですよね。

【米川理事】  それは何回も足を運んでいるのですが,なかなか免除してくれないんです。

【太田委員】  これを免除してくれたら,もう一気に解決するじゃないですか。

【荒張委員】  そうですね。

【谷口主査】  全体の意見としては,売却できない国際交流会館等については,やはり多様な留学生,あるいは日本人学生の交流の中核拠点として利活用することで,多くの日本人学生と留学生の入居率の増加につながればよいと思います。そのことによって少しでも赤字経営の減少に貢献することが期待できます。その上で,赤字部分については,国や地方自治体若しくは大学が経費の一部負担をして,留学生30万人計画の実現に向けた道を探るべきではないでしょうか。

【末松委員】  つまらないことですけど,たまたま東北大学が2件買い受けたということがありますが,そもそもそういう使い道があるなら無理して買わなかったのにというような,売却済みのところから来たときにちゃんと理論武装できていないと,ちょっと厳しいかなというのもあります。

【谷口主査】  既に国際交流会館を購入された立場から指摘されることもあり得ます。東北大学の立場に立って見ればそういう発言も出てくるのは当然です。
 今後,この点を踏まえて,どのように説明するかですね。まあ,どこかで判断をしなければいけないというように思いますが。
 ほかに何か御意見ございますか。あるいはもとに戻って,留学生30万人計画の今後の設定というか,こういう問題もあるとかいうことがあればおっしゃっていただければ,それも今後議論したいとは思いますが。
 よろしいでしょうか。
 それでは,30万人計画の実現ということについては今後議論するとして,様々なデータはこの議論をする上でやはり必要ではないかという,太田委員も含めていろいろ御意見が出ましたので,次回,来週ですけれども,それまでに集められるところはデータを出していただいて,更に深めた議論をして,この売却できていない国際交流会館等についてどのように判断するかということを考えていきたいと思いますが,事務局,それでよろしいでしょうか。ほかに何か,事務局として追加することがあればおっしゃっていただいて。次回に向けて。
 事務局としては特にございませんか。このまとめでよろしいですか。そうしたら,きょうはこれで,時間が10分ほど早いですけれども,終わらせていただきたいと思いますが,まことにありがとうございました。
 それでは,次回の予定について説明いただければ。

【坂本外国人学生指導専門官】  それでは,私の方から御説明をいたします。
 本日は活発な御議論を頂きましてまことにありがとうございました。資料10ということでお手元に配付をしておりますが,今後の検討会のスケジュールといたしましては,本日第1回ということで,あと第2回,第3回まで開催をしまして,一旦中間まとめをいたしまして,それで4,5,6と,計6回,それで8月中に最終的な報告書を取りまとめというようなスケジュール感で今,考えております。
 次回につきましては,こちらの資料10にも記載してありますとおり,来週,4月24日の木曜日の10時から12時ということで,本日と同じくこの15F1会議室の方で開催を予定しておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【谷口主査】  それでは,きょうの議事はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

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