資料3 「薬学実務実習に関するガイドライン」に対する各団体の意見(抜粋)

■ガイドライン(案)等について
○ガイドライン(案)の追加修正
・ ガイドライン(案)『3)大学、病院、薬局の連携』「(略)各実習施設の実習全般の実施責任者となる薬剤師(以下 責任薬剤師)、日本薬剤師研修センター(略)」について、「(略)各実習施設の実習全般の実施責任者となる薬剤師(以下 責任薬剤師)、適切な養成プログラムの下に日本薬剤師研修センターなどが認定する(略)」に修正を求む。【日本病院薬剤師会】
・ 実習時のトラブル発生時には、その解決に向けた連携体制の確立は、あくまでも大学が主導的な役割を果たし、個々の実習施設は連携協力を行うものと考える。また、大学、実習施設および実習生の3者で解決できない問題の場合には、薬学教育協議会を中心とした調整機構や大学側が地域関連団体とともに解決に向けた対応を行うべきと考える。【日本薬剤師会】
・ 責任薬剤師の定義については、認定実務実習指導薬剤師を指導できる立場であると思われるため、認定実務実習指導薬剤師であり、かつ教育面に関して指導的立場の能力を有するものである必要があると思う。したがって、認定実務実習指導薬剤師の資格を有さず、施設上の上職という立場のものを、責任薬剤師に含めないように定義してはどうか。【国公立大学薬学部長会議】
・ ガイドライン中に、個人情報保護に対する事項を、大学、実習施設、指導薬剤師の指針内に明記しておく必要があるのではないか。【近畿地区調整機構】
・ 1)実習の枠組みについて、大学と実習施設との連携は非常に強調されているが、ここで、一番重要と思われる「病院実習と薬局実習の連携」すなわち、薬薬連携を図るための指針として、「5.指導する薬剤師への指針」の「4)施設間の連携」において、「病院薬剤師会と薬剤師会は、互いに密接な連携を図りながら、円滑に、学生が各SBOを達成できるように努める必要がある」を加筆してほしい。【中国地区調整機構】
・ 適正な評価をするために測定は重要で、測定を行うための評価計画表については、実習計画表の中に入れなくてよいか。実施計画表は、学習方略、評価計画表を併せ持たないと、適正な評価はできないのではないか。【関東地区調整機構】
・ 実習内容の例示において、◎(その施設で主に実施すべきSBOs)の数が随分と異なっている。SBOsの数と実習期間が必ずしもリンクするとは言い切れないが、考慮する必要があるのではないか。また、代表的疾患についても病院で行うことの方が多いように思われる。【関東地区調整機構】

○「代表的な疾患」の扱い
・ 理念は理解できるが、どの実習施設でも最低限確保すべきとされる「代表的な疾患」を厳密に求められると、可能な実習施設が限られるため、現実的ではない。【北海道地区調整機構】
・ 一部の疾患を深く扱う病院のような場合には、その後の薬局の負担が大きくなる。実習の質を向上させるため、他施設(病院)と共同する必要性もある。それとも関東地区調整機構では、実施計画書を吟味した上での病院・薬局の施設選択をするのか。【関東地区調整機構】
・ 基本的な資質の修得は、標準的な疾患について広く学ばずに、限定された疾患をある程度深く体験することでも可能であると考える。逆に、代表的な疾患にこだわって無理に(グループ)実習することになれば、本来の目的である技能・態度、問題解決能力の醸成がないがしろになり、知識偏重となってしまう可能性があるのではないか。【近畿地区調整機構】
・ 代表的な疾患すべてを実習で網羅しようとすると、施設のマッチングが必要となるが、この作業は、各施設での業務内容が刻々と変化していることなども考えると、相当大変になると思われる。ほぼ不可能である。【近畿地区調整機構】

○ふるさと実習等
・ 現在の実務実習では、ふるさと実習を推奨すると考えているが、大学と施設間の情報交換をより密にするためには、ふるさと実習は非常に困難であると考える。ふるさと実習に関しても考慮してもらいたい。【近畿地区調整機構】
・ 担当教員の適時施設訪問の「適時」について、現状の2回もしくは3回の訪問も大変な状況で、このために近隣施設での実習が中心になっていると思うが、このことが実習施設の幅を狭くすることには繋がらないのか。【東北地区調整機構】

○学生の成績情報等の実習施設との共有の是非
・ 大学への指針においては、「学生を実習施設へ送り出す際には、当該学生の成績だけでなく、生活態度や体調などの情報を施設の責任薬剤師並びに認定指導薬剤師と共有する必要がある。」と記載されているが、現在、成績等は実習施設には公開しておらず、必要以上の個人情報の提供が要求されており、再検討すべき。【国公立大学薬学部長会議】
・ 学生の個人情報に関わる事柄であるため、この判断は大学側の裁量に委ねることができる旨の追記を要望する。【日本私立薬科大学協会】
・ 学生情報の取扱いについては、個人情報保護の観点も含めての慎重な議論が必要であると思う。【関東地区調整機構】
・ 薬学共用試験センターでは、基準に到達したかどうかを大学に周知するが、成績は厳密な管理をお願いしており、実習施設を含めて第三者に情報提供しないこととなっている。今後も成績の開示などが行われないようにお願いする。【薬学共用試験センター】

○大学と施設との連携方法等に関する提案
・ 実習において、Webシステムを導入し、実習内容の把握や実習間の接続の円滑化や施設間の相違の理解を図るのがよいと思う。【国公立大学薬学部長会議】
・ 大学-薬局-病院で、実習の一貫性を確保することは、実習生にとって学習効果が高くなると考えられる。教育の実施内容(実施計画書)や実習生の情報を共有するには、現行の実習支援WEBシステム等の利用も有効であると思う。【関東地区調整機構】
・ 薬局・病院の共有する実務実習のレポートや評価に関して、システムを統一する必要がある。複数のシステムが混在した状況は是非、是正してゆくべきである。【東海地区調整機構】
・ 共有する媒体をある程度統一しないと複数の大学から学生を受け入れた場合、情報の把握がしにくかったり、混乱をする可能性があったりするのではないか。また、目標そのものより、具体的に行った実習内容などを学生に記録してもらい、情報共有することの方が望ましいように思える。その意味ではポートフォリオの活用などが考えられるが、大学間である程度の最低ラインを決めた方がよいと思われる。【東北地区調整機構】
・ 実務実習を終えた学生の意見として、大学での実習内容と医療現場での乖離が大きく、指導薬剤師から「今の現場は、そんなやり方はしていない。」と言われることがあり、これに対し、大学の実務担当教員は、一定期間(1ヶ月に3~5日以上)定期的に最新の医療現場を実際に体験することが必須なのではないか。【北陸地区調整機構】

 
■枠組み、期間等
○第1期の実習と共用試験や各大学の進級判定等との関係、その他学事日程との関係
・ 実習期間として、4年次(2月下旬)から始める実習については、共用試験(追試・再試も含めて)の日程とその不合格者の取扱いのこと、4年次の教育(実習開始が講義および試験期間にかかる場合がある)のこと、年度変わりで大学の入試関連業務と重なることがあることなどが懸念される。したがって、実行可能性について十分なシミュレーションが必要と思われる。【国公立大学薬学部長会議】
・ 実習開始前に全大学で共用試験の結果が発表され、進級判定は行われるのか。実習開始後、進級不可となり中断となることもありうるのか。【関東地区調整機構】
・ 実務実習の4期制について、進級できるかどうか分からない学生も実習をすることになるのではないか。【近畿地区調整機構】
・ 実習が4年次の2月から始まる場合、薬学共用試験の再試験もしくは追試験を受ける一部の学生は第1期の実習には参加できないことになる。各大学は、「地区調整機構が学生の急な差し替えを望まない」と予想されるため、また差し替えにより学生が追再試験に回った可能性を示唆してしまうために、比較的成績が良い学生を第1期に充てる可能性がある。このことは、実習施設から「第1期の学生は優秀」という思い込みを誘導する危険性がある。【薬学共用試験センター】
・ 現行の薬学共用試験のスケジュール等に変更が生じる可能性がある場合には、事前に知らせてほしい。【薬学共用試験センター】
・ 現在、5年次の実務実習以外の単位は、実務実習がない時期に多数の科目を集中講義として行っている。4期制により、講義開催に妥当な時期がなくなり、規定の単位を取得させるのが困難となる。カリキュラムを変更するには、全学年を通じて検討する必要があり、既に様々な領域で新コアカリキュラムに対する見直しを進めているため、今後更なる変更は困難。【関東地区調整機構】
・ 早期体験学習について考えているのか。実習期間に空きがないため、早期体験学習等の受入れ施設が減少する可能性がある。(実務実習を1年生に見せることも良いと考えるが、すべての施設でそのような対応で受け入れてくれるのか心配である)【関東地区調整機構】

○4月、8月、年末年始の実習と施設の確保
・ 年度にまたがる時期(2月開始)、盆・正月を含む期の時期は実習施設の不足が予想される。また、要求される実習内容を受け入れられないということで、辞退する施設が増える可能性が大きくなることも危惧される。【国公立大学薬学部長会議】
・ 最大で三つの期を選択できるが、年度末及び新年度にかかる1期とⅣ期を避ける施設が多ければ、実質的にはⅡ期とⅢ期の2期制になるのではないか。【関東地区調整機構】
・ 4コースで行うことを決めても現実として2~5月に学生を受け入れることは可能か。異動のある病院なら受け入れはできない。異動のない病院でも年度変わりで、何かと慌ただしい中での受け入れは大変。3期のままで良いとは思うが、無理に4期としても受け入れ先は少ないと考える。【関東地区調整機構】
・ 年度初めの年度初めの4~5月は新入職員の教育、7月~9月は各施設(特に病院)の夏休み期間でもあり、受け入れを控える可能性がある。【関東地区調整機構】
・ 年末年始は業務が多忙になる可能性が高く、この期間を挟む実習プランは避けた方が良いと考える。【関東地区調整機構】
・ 年度末や年度初めは人の入れ替わりがあり、特に年度初めは新人教育もあるため、この期間に実習を挟まないよう、Ⅱ~Ⅳ期を希望する施設(病院も薬局も)が多くなることが懸念される。【関東地区調整機構】

○実習と実習の間のインターバルの不足
・ 病院実習と薬局実習に連続性を持たせるのはよいが、受入れ施設としては、実習内容について病院と薬局の間である程度のすり合せが必要。病院‐薬局間の実習内容の摺すり合せや情報共有を、今よりも短いインターバルで、現場だけで行うのであればとても対応しきれない。【関東地区調整機構】
・ 今後、ふるさと実習が促進されれば、薬局と病院の組合せは、県を越えることも増え、他県にある薬局と病院の連続性を、今よりも短いインターバル期間で医療機関側にアレンジせよというのは不可能。【関東地区調整機構】

○調整機構による調整に関する課題等
・ 果たして調整機構で本当に割振りを行うことが可能なのか。実習の順番は固定しない、実習期間の変更も可能、各施設が対応可能な代表的疾患の把握など、具体的な対策がないままでの枠組み決定はリスクがあると思われる。【関東地区調整機構】
・ 指導する薬剤師の少ない実習施設では、同じ期に実習内容・実習期間の異なる複数の大学から学生を受け入れることは難しいと思われる。実習施設が希望すれば、「同じ期には同じ大学の学生のみ受け入れる」ことを認める等、何らかの対策が必要と思われる。【国公立大学薬学部長会議】
・ ガイドラインにおいて、個々の実習に対して実務実習実施計画書を作成することとなっているが、複数大学から学生を受け入れる際には可能なのか。各施設が大学の要望に対応できるのか。【関東地区調整機構】
・ 他の項目でも述べられている様々な状況に応じて、地区調整機構での実習期間(枠組みも含む)の独自性を認めてほしい。【北海道地区調整機構】
・ 非連続した実習でも効果的な実習は可能である。学生のメンタル面を考慮すると一定期間を空けた方が良い場合もある。非連続が認められないと実習施設が確保できずに実習自体が成り立たなくなるリスクの方が大きい。【北海道地区調整機構】
・ 近畿地区の実習施設では、一施設で複数大学の学生が実習を行っている。その指導方針の調整には、調整機構の役割は大きい。ガイドラインに対応するため、調整機構を中心とした明確な体制の構築の必要があり、大学・病院薬剤師会・薬剤師会の連携強化を図る必要がある。【近畿地区調整機構】
・ ガイドラインでは大学が果たす役割の大きさが力説されているが、地区調整機構の位置付けが不明である。これまで、実務実習調整において地区調整機構が果たしてきた役割は大きく、今後も必要と考えられるので、地区調整機構の機能を残す形で記載してほしい。【九州地区調整機構】
・ 新ガイドラインに示された薬学実務実習の体制・内容を将来的にわたって円滑に実施していくためには、全国および地区の調整機構の機能や役割、権限を強化する必要があるように読み取れる。しかし、その任を現行の調整機構が担うには組織や予算の面で全く不十分。一方、調整機構の仕組みや役割は必要に応じて変更いただくことに異論はないが、その際には、その長や委員の決定方法、及び、調整機構の作業内容、予算等について明記するとともに、調整機構の権限が必要以上に強化されて、大学の意見が実務実習に反映されないような状況は避けたい。【国公立大学薬学部長会議】

 
■施設の要件
○グループ実習、他施設連携の推進
・ すべてのSBOを一施設で実施するのは困難。多くの中規模以下の病院の場合、複数の施設で補い合うような仕組みが必要。例えば、県病薬単位で各施設の対応可能なSBOを調査し、それらを組み合わせて複数の医療機関グループを作って調整機構に受け入れ体制を示すなどの動きがあると、実習の均質化にも貢献できるのではないか。また、さらにグループに保険薬局も加えることができれば、実習のプログラム全体の均質化も図れるのではないか。【東北地区調整機構】
・ 一薬局で実習を完結する事が求められているが、このコアカリをすべて行うためには、門前薬局の場合は他の薬局との連携も認められないとできないことになる。【関東地区調整機構】
・ ガイドラインに基づいた薬局?病院実務実習期間の例示に関して実習期間は妥当と考える。また、実習内容も理想的であるが、それぞれの実習内容を一つの実習施設で完結できるところは多くないと予想される。その場合、複数の実習施設での実習も可能とすべきであり、施設要件についても考慮が必要である。【関東地区調整機構】
・ 今まで一施設での完結を主体としていたが、今後グループ実習を積極的に取り入れるということなのか。その場合の施設設定は地区を基準としているのか、チェーン店でもよいのか誤解を生むような表現になっている。また集合研修でお茶を濁す的な実習も現実には存在している。3)は、いろいろな解釈が出てくる表現になっていると思う。【関東地区調整機構】
・ OTCの経験はほとんどの保険薬局では圧倒的に機会が少ない。この問題は何とかしてほしい。(ドラックストアでの短期間での研修を公に認めるなど)【関東地区調整機構】
・ 処方箋調剤を主に行う薬局では、一般用医薬品の仕入れが非常に難しくなっているとのこと(卸が一般用医薬品から手を引き始めているそう)。在宅も地域によっては数がこなせないとの話も聞くため、薬局実習では、1薬局完結ではなく、ドラッグストア等も含めた地域の薬局間で連携を取ることが不可欠と考える。【近畿地区調整機構】
・ 薬局は既にグループ実習などを行っているが、病院がそのような運用方法を構築するには病院薬剤師会の多大な協力が必要である。また、各施設で行える項目などがバラバラであり、それを組み合わせることは困難を伴うと思う。果たして病院薬剤師会の全面的な協力を得られるかが不安要素となる。【東海地区調整機構】

○一施設あたりの受入れ人数の増
・ 実習生の受入れ容量を増加させるため、一薬局当たりの実習生の受入れ人数制限をなくすこと、指導薬剤師の資格としての条件を緩和して、より多くの薬局で受け入れを可能とすることが必要。【国公立大学薬学部長会議】
・ 従来の施設要件は見直しの必要があると考える。例えば、病院は実習生の受入れ数に制限がないが、薬局は制限をしている。病院、薬局とも施設の規模、薬剤師数から実習生受入れ人数を統一すべきである。【関東地区調整機構】

■施設、指導薬剤師の質の向上
・ 認定指導薬剤師の研修を定期的に受けることを必修化することは可能なのか。認定を受けた後の研修が任意だと施設間のばらつきが出る。また、施設に一人いればよい認定薬剤師でなくても指導を行うが、その指導する薬剤師の資質も問われる。実際に指導や研修記録を残す薬剤師に対しても教育が必要ではないか。【関東地区調整機構】
・ 本ガイドラインの広範な内容の周知徹底を図るためにも、実務指導認定薬剤師資格認定のためのワークショップの内容を変更し、改訂ガイドラインの示すところの指針、『学習方略』、『評価方法』、『評価基準』の必要性などについても、周知徹底を図ることが必須と考える。【国公立大学薬学部長会議】
・ 薬局の選定や指導薬剤師の実質的な指導について、WSを開いて教育するように記載があるが、トラブルを起こす薬局、又は指導薬剤師はアドバンスWSには参加しないため、強制的に行う手段なくては不可能。【関東地区調整機構】
・ 現在の受入れ施設の要件と比べると、今回のガイドライン(案)における要件は、かなり厳しいものと考えられる。受入れ施設は減ってしまうのではないか。なおかつ、要件を満たしている施設を調整機構が確認・公表するとなると、調整機構の負担・責任は相当に重くなる。大丈夫なのか。【関東地区調整機構】

 

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-- 登録:平成27年02月 --