体系的なキャリア教育・職業教育の推進に向けたインターンシップの更なる充実に関する調査研究協力者会議(第6回) 議事要旨

1.日時

平成25年6月28日(金曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文化庁特別会議室(旧文部省庁舎5階)

3.出席者

委員

稲永委員、荻上委員、加藤委員、正田委員、続橋委員、古屋委員、吉原委員、吉本委員

文部科学省

内藤専門教育課長、小林企画官、児玉専門教育課長補佐、杉江専門官、小栗教育振興係長、辻学生・留学生課長補佐

オブザーバー

吉田厚生労働省若年雇用対策室室長補佐、中島経済産業省産業人材政策室室長補佐

4.議事要旨

事務局より今後の進め方等について配布資料に沿って説明。要旨は以下のとおり(○:委員、●:事務局、▲:オブザーバー)


○大学等における平成23年度インターンシップ実施状況についての結果から思うことは、以下の二つである。一つ目は、インターンシップは三省合意上の広義の定義でいうと、資格取得に関わるものも本来含めるべきであると考えており、今回については推計したということで、インターンシップが学校単位の数字ではなくて、学生一人一人の数字(=動向)が本来必要であるということ。結論的に言えば、今の推計では特定の資格に関係しないものは、特定の資格に関係するものの学部の学生数を分母とすると卒業までに20%近くが経験していることになる。

○単位認定を行う授業科目以外のインターンシップの実施状況の実施期間が「1週間未満」と「1週間~2週間未満」で約80%が収まってしまっている。「1週間未満」が44.5%なので、予想よりもかなり高い気がする。

●この調査には二つの種類のインターンシップが入っている可能性がある。一つは、単位を付与しない形のインターンシップであり、もう一つは、外部が主催しているが、大学として正式に対応し、学生の選考手続等を行った上、学生をインターンシップに参加させていると考えられる。

○今回の実施状況についての調査で、文系学部・研究科、理系学部・研究科の実態がどうなっているのか等、その割合が全体にどのような影響を与えているのかわかるのか。

●本調査については、本日の会議に間に合わせるために集計したため、判断できない。その観点からは改めて集計をしないとわからない。今回については前回に比べ、調査項目を増やしたので、従来の項目よりは簡素化している。ただ、三省合意でいうところの3番目の類型、つまり大学が関与していないインターンシップについては、今回の調査では把握できていないが、「大学がきちんと本来把握すべき内容である」と思われる。

○二つ目の議題に入ることとする。

○資料2における「インターンシップ」の定義とは、三省合意における定義を踏まえたものということでよいか。

●資格取得のための実習についての取扱いが難しい。三省合意上の定義ではインターンシップとみなせるが、それがインターンシップだとは一般の方は思わないと考える。よって、資格取得のための実習については、今回の調査の対象としているが、資料2ではその部分については分けて表記している。
11ページ○4の二つ目の○では、教育実習や臨床実習を履修している学生に実習に加え、インターンシップに参加してほしいと意図して記載しているが、なかなか難しい。よって、今後インターンシップの増加を図る対象範囲から外してはどうか。

○本意見のとりまとめを見た一般の方にしてみれば、インターンシップについて書いてあると思った提言の中で、「これは定義から外して云々(うんぬん)」と書かれていると、一体何について提言したものなのかとわからないのではないか。
インターンシップに対する理解が広がってきた中で、我々が想定するインターンシップではないようなもの(例えば、会社説明会的なワンデイ(1day)インターンシップ)についても議論されてきている。「1.はじめに」のところで「インターンシップの範囲をこのように定めて議論する」となっていない。事情を知っている関係者はわかるが、そうでない人の概念・定義に対する不明瞭さを回避するいい方法はないか。

●国としてのインターンシップの定義は三省合意しかないと思う。倫理憲章では「五日未満はインターンシップとは言えない」とかあるが、我々はそこまで踏み込んでいない。ワンデイ(1day)インターンシップについては目的が異なるところで読めると思うが、期間の長短で定義を決めるのは困難である。
教育実習は定義としては当てはまるが、ここで、「教育実習はインターンシップだった」というと皆が驚くと思う。今回、その説明を省いているのはそのような反応を避けたいという理由なので、その部分については御意見を頂戴したい。

○本とりまとめの構成として、委員の意見を最大限に考慮されているので、方向性が定まっていない気がする。
広義のインターンシップの概念に基づき、一般的にインターンシップと捉えられていなかった部分について考えなければいけないという部分は別に記載してはどうか。
また、インターンシップという言葉で行われている採用活動については排除し、また、教育的な目的から外れているものは外す。実態把握においては最初から外れているが、本とりまとめにおいても「採用を目的としたものはここでは考慮していない」ということを明記するべき。
11ページ○4の記載も、インターンシップができないから排除するというのではなく、「資格取得に関してはそれぞれの専門性において独自の政策的な取組が実施されているので、ここでは触れない」ということだけでいい。実際には、教育実習をやる学部で「学校ボランティア」「学校インターンシップ」という言葉で、資格取得の実習とは違う形で大学が取り組む例は多く存在する。看護や医学、工学でもアーリー・エクスポージャーとして、実技・技能を身につけるためではなく、資格外のものが付随的に展開されている場合がある。専門教育を基点としてこれらが実施されればよく、政策的な形でのサポートもあるので、ここでは別扱いとするということでよいのではないか。
それ以外の専門分野については、積極的に現状を把握し、それを推進していくというとりまとめの見え方があればよいのではないか。
今回の調査で判明した特定の資格外の8割の部分を対象とすると宣言し、その8割の中の比率を計算すればよいのではないか。
残りの8割について、4年分計算しなければならないという表現をどこかですべき。2.2%はごく少ないが、4年分なら、重複を考慮しても8%である。その8%の分母を資格系の20%を除いた20%とすれば、更に率は上がる。そして単位が出ないものが約4%ある。こういう数字の積み上げをどこかで示すべき。若干研究的になるため、報告書としてふさわしいのかわからない。

●学生を増やすことについては委員の方針は同じと思うが、目標を立てることについては意見があると思うので現在の書き方として、計算のやり方だけ御提言いただくという形にしている。

○例えば、高校中退率を出す際に3年分よりも1年分を出す方が低く見えるというのはあるが、インターンシップの場合、逆に4倍した方が増えていいのではないか。逆に高専のインターンシップ参加学生数が調査結果のとおりの15%だと思っている人はいないと思われる。実際には5年間かけて7~8割の学生が参加している。推計なので書きにくいとは思うが、その辺のニュアンスがどう書けるのかとは思う。

○実習のような確立したプログラムとのすみ分けや明確に教育の概念のない、就職のためのインターンシップを切り離すのは分かるが、今後の日本のインターンシップの発展を考えたら、専門教育の中に入っていく、あるいはつなげるしかなくなる。そうしたときに現在の定義である「将来のキャリアに関係した就業体験」では専門教育に携わる教員から見ると外の世界で、自分たちがこれから育もうとしているものが異質なものととらえられるような危惧がある。専門教育の教員に話を聞くと、「我々は学生たちの「将来のキャリアに関係した就業体験」を目指しているのではなく、あくまでも専門教育の中で地域に学生を出したり、産業界と協働して教育プログラムを開発しているのだ」ということで、現行のインターンシップの定義に含まれて困るという言われ方をする。
現状は仕方がないとしても、例えば現在の定義を狭義として、広義の定義が健全な発展のためには必要なのではないか。

●そうすると、現在のインターンシップが狭義となるのか。

○そうなる。昔から続いてきたインターンシップというものは「将来のキャリアに関係した就業体験」である。しかし、高度化するに伴って正課との関わりが不可欠となったら、正課の中から生まれてきた産官学地連携教育も広義のインターンシップに含まれる。しかし、それは昔ながらのインターンシップとは同一ではないと言わないと、なかなか協力してもらえない。

▲そういう教員の意識を改めてもらう必要性もあるのではないか。「人事だ」という人たちに「人事だと言うのは仕方がないから、人事にしておこう」としてしまうより、できればもう一歩アプローチできないか。

●前回はキャリア教育型と専門教育型という言い回しをしていた。これには同数くらいの賛成と反対の意見を頂戴している。先ほどどちらが狭義かと聞いたのは、例えば、類似した活動として行われている部分についてはそういった観点から取り組んでいくと同時に、インターンシップの中でも後者に重点を置くものが狭義のものかは微妙なところであったからである。

○現状のインターンシップをこれからも続けるというのであれば、我が国の教育の中でのインターンシップは発展性がなくなる。就職活動の準備教育のままで終わってしまう。キャリア教育にするのか、専門教育にするのか、という区分けではなくて、それぞれの学部・大学院での教育というのはキャリア教育・専門教育が表裏一体であるべきでキャリア教育やインターンシップの中味というものは、その学部・大学院のグラデュエート・ポリシーとどう関わっているのかということが必要である。そこで初めて教育的に効能が高いと評価できるインターンシップが教育の中味として取り上げられていくことにつながる。あえて分けると今まで通りという誤解をされるので、「今後の展望」というものが書かれるのであれば、「こういうことを実現していかないと、我が国におけるインターンシップは発展性がない」というところまで明確に言い切るという在り方が必要ではないか。
あくまでもインターンシップはキャリア教育であると受けとめてしまうのはどうかと思われるが、同時に、インターンシップはキャリア教育と切っても切り離せないので、それが以前からある昔ながらの学部教育をどう変えていくのか、という部分をよくわきまえなければならない。

○「co-op」(コーオプ)ではなく、「産学連携教育」とすべきという意見もあり、本来の意味ではそれで構わないが、そうすると工学分野だけの話とイメージされ、人文社会系の分野が関係ないように誤解されてしまう可能性がある。インターンシップであれば、キャリア教育という接点があるから人文社会系にも関係があると認識してもらうためにインターンシップという言葉が使われている。そういう意味では今使われているインターンシップとは別の言葉が必要と思う。

○インターンシップの普及とは、何をどのようにやっていくつもりなのか。2.2%という数字を見て、何がどうなっているのかまず理解できない。また、「これは今の内容を分析し、それを普及や質的にどうするか、国としてそれが重要だ、ということを述べたものであり、数値目標に対して5年後までにこうします、というものではない」というのか、「そうも言えないので、どうするのか」という判断があると思う。
インターンシップ参加率を50%にするとして、その中味は、教育実習みたいなものは除き、インターンシップという名前でなくても同等の教育効果を発揮するものというのは入れるのか入れないのか。それとも今後考えるのか。聞かれたときにどう答えるのか。
9ページの部分の「採用就職に直結する」「採用活動の一環として企業が実施するインターンシップ」は、直結してもいいと受け取られるので、どういう表現が適切かということは考えるべき。また、記載する箇所はここでよいのか。例えば11ページ○3ではどうか。この項目にあるのは唐突な感じがする。

○グローバル人材の観点から海外インターンシップにお金を支給するべき。また、学生を留学させ、留学先でインターンシップに参加させるという本筋をもっと国の政策として増やすべき。

○文科省でもある程度の補助はあるが、しがらみは多い。海外では協定大学を絡ませなければならない条件付けも多く、欧米等におけるインターンシップ受入れにおいては学生の専門分野との関連性を審査される。なかなか希望の業種には行けない。間に第三者的な機関が入って手続をしてもらえれば助かる大学はかなり多くなるのではないか。
今回なぜ調査研究協力者会議を立ち上げてインターンシップの推進について検討したのかという部分に立ち戻れば、政府として若年雇用問題について取り組むに当たって、就業力育成の観点からインターンシップは効果が高い。だからそこに発破をかけてもっと多くしろ、というところが根底にあるのか。それとも、専門教育の教員が集まると、インターンシップの中身そのものの質的転換を図らなければならない、という話があるので、そのどちらを取るのかというところが大事である。そうしないと本とりまとめは中途半端なものになるのではないか。

○大学と産業界とを調整する仕組みの具体的なイメージがわかない。「こういう観点は検討すべき」というところまでは議論されているが、それをどう動かしていくべきかわからない。

●基本的には大学と産業界を調整する仕組みは地域ごとに産学官が連携したような組織を作り、そこでインターンシップのマッチングや、コーディネーターの育成をすることをイメージしているが、ここには書き切れていない部分があるのでそういう観点から書き足していく予定である。

●今後のスケジュールとしては、7月5日(金曜日)までに、本とりまとめ(素案)について、メール等で委員より意見を頂き、内藤課長にて修正し、もう一度、7月8日の週にそれを踏まえて御意見を頂いた上で、16日(火曜日)開催の第7回会議に臨みたい。

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