学校法人会計基準の在り方に関する検討会(平成24年度)(第5回) 議事録

1.日時

平成24年11月29日(木曜日) 14時~16時

2.場所

三田共用会議所C~E会議室(港区三田2-1-8)

3.議題

  1. 学校法人会計基準の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

大橋委員、片山委員、工藤委員、桑田委員、佐野委員、鈴木委員、高橋委員、徳田委員、村山委員、森本委員、渡辺委員

文部科学省

小松私学部長、牛尾参事官、西山学校法人経営指導室長、岸本私学経営支援企画室長、田辺専門官

5.議事録

【大橋座長】 
 それでは,第5回の学校法人会計基準の在り方に関する検討会を始めさせていただきます。
まず,資料の説明を事務局からお願いしたいと思います。
【田辺専門官】 
 それでは,資料の確認をいたします。
 1番上に本日の座席表が載っておりまして,その後議事次第となっております。続いて資料の1ですが,前回4回目の議事録が載ってございます。その分厚い資料をのけていただくと,次に資料の2といたしまして,資金収支計算書の体系についてというA4の1枚ものが入ってございます。1枚おめくりいただいて,次に資料3,A4の横になりますが,前回に引き続き財務3表についての論点整理という1枚ペーパーが入ってございます。それから次に,資料4-1から全部で4-7まであります。通しで12ページ,計算書類の3表の様式が入ってございます。最後の資料5として,学校法人会計基準の在り方について,3表以外,その他の論点をまとめた1枚紙が入っています。
資料は以上でございます。
【大橋座長】 
 ありがとうございます。
それでは,議事1学校法人会計基準の在り方について議事を進めたいと思います。
まず,財務3表についての議論を行ってきましたので,その続きから始めたいと思います。資料の2,3,4ですね,これを事務局より資料の説明をお願いします。
【田辺専門官】 
 それでは,資料の説明をさせていただきます。
 まず,資料の2から御覧いただきたいと思います。
 前回,3表の論点の中で,意見が分かれていたのがこの資金収支計算書でございます。資金収支計算書に絞って,その会計について論点整理したものが資料2の位置づけでございます。
 上から少し読ませていただきます。一番上のボックスは現状と書いてございますけれども,今の資金収支計算書は当該年度の活動とのかかわりで資金の流れを整理する。資金収支計算書というのは何に使われているかというと,補助金の配分の基礎資料や,学校法人にとっての予算管理のツールとして非常に有効なものであるというふうに考えられておりますので,今後も維持していきたいということ。
 2つ目としまして,法人全体に加えて,これは設置学校・学部等単位まで同じ様式で作成しておるということです。括弧の中ですが,補助金の算定上,特に大学に関しては学部等で人件費や教育研究費が幾らかかっているかというのを把握する必要がある関係で,学部単位で内訳をつくっておるということですね。
 もう一方,予算管理上,当年度の収入・支出が総額,トータルで幾らあって,その内訳が一覧でわかるというのは予算管理上も有効ではないかという意見がありますので,この観点からもまず現状の資金収支計算書は残した方がいいのではないかということでございます。
 ただ,矢印の下,真ん中ですが,課題といたしまして,最近どこの学校法人もそうですが,施設設備が高度化してくる,資金調達も多様化してくる,借入金も増える等を考えますと,その実態を反映しなければいけない。また,学校法人の財務条件に対する社会的な関心もかなり高まってきておるということ。それ以外の会計基準についての改正動向も視野に入れなければいけないなどを考えますと,収入・支出の総額だけではなく,前回御提案させていただいたように,活動区分ごとの資金の流れがわかるような表も併せて必要ではないかというふうに考えてございます。活動区分ごとの資金の流れというのは,本業の教育研究事業活動,施設設備整備活動,借入金等の財務活動,この3つに分けた収支計算書というイメージでございます。
 これらを明確にすべきという課題に対して,資金収支を組み替えて活動ごとに区分すべき表,資金収支組替表というふうに仮につけさせていただきましたが,こんな表をつくる必要があるのではないかというふうに思っております。
 この上の現状と課題をうまくマッチさせる対応策として考えたのが一番下でございまして,資金収支計算書の計算書類の体系として,まず資金収支本表は法人全体で今までどおりのものとする。また,付表として新たに3を加えて,以下の3つを作成したらどうかという案でございます。
 1の資金収支内訳表の学部・学校単位のものは今までどおりのもの。2の人件費支出内訳表,つまり人件費の詳細について,設置学校,学部単位ですけれども,今までどおりのもの。これに加えて,3といたしまして資金収支組替表,これは法人全体のみとして活動区分ごとの資金の流れを出すものを付表として付け加えたらどうかという提案を今回させていただくところでございます。外部に公表するときは,資金収支計算書の法人全体とこの付表3,組み替えたものを出すというイメージでいいのではないかという提案が資料2でございます。
次の資料3でございますが,前回お出しした財務3表についての論点整理,A,B2案に分かれていたものを1案に取りまとめたものでございます。変更した部分だけ赤字で書かせていただきました。資金収支計算書の付表の部分,会計基準,現状は2種類の内訳表を付表として3種類にしますよということです。3つ目に,資金収支組替表を法人全体のものと入っております。これを公表ベースに考えたときも変更案の方で資金収支組替表も資金収支計算書本表と併せて公表するというようなイメージを考えています。
もう1つ,このページで変更点がありまして,下から2つ目ぐらいの貸借対照表でございます。貸借対照表のうち法人全体の明細表のところに,基本金明細として2号や3号を設けるときは,計画単位ごと,1つ1つの計画ごとに組入計画表をつくっていただく。1計画1枚で表をつくっておくのですが,そういたしますと,全体で合計幾らになるのか。貸借対照表の金額と整合性がとれるような表がないと非常に見にくい。特に今回,2号基本金に対応する資産として,2号基本金引当資産という勘定科目を設けた関係もあって,こういう中間的な表があれば非常に見やすくなるのではないか,明解性が高まるのではないかという観点から,こういう表を追加してはというようなものをプラスさせていただいたところでございます。
これが資料3についての説明です。
もう1点,資料4,4-1から4-7までありますが,今回,前回から比べて変わったところのみ御説明いたします。
4-4ですね。4-1が本表,4-2が内訳表,4-3が人件費内訳表,その次に資料4-4というものがございます。資金収支の組替表というものでございますが,これが活動区分ごと,教育研究事業活動,施設活動,財務活動に区切って内訳表,勘定科目,資金収支を組み替えた表でございます。
若干特徴を説明いたしますと,一番上の例えば学納金収入というのは大科目で1本になっています。最初,4-1の方の資金収支計算書は細かい勘定科目まで,小科目まで入っていますので,重複するものもありますし,重複していない部分,例えば寄付金については特別寄付を施設分と分けるという部分がありますので,重複のない部分については,少なくともこの表に載せるという違いだけがあって,あとは同じ様式で作成できます。
この点だけですね,資料4に関して変更したところは以上でございます。
以上,資料2から4までの説明をいたしました。
【大橋座長】 
 ありがとうございました。
 それでは,御意見,御質問をお伺いしたいと思います。
特に,組替表という言い方はどうかと思いますけれども,この組替表のところですね。これを新たに入れていこうかということですけれども,いかがでしょうか。これですと,そんなに大変な……,全体の組替表ですから,学校単位ではないわけですよね。
 高橋委員,何か。
【高橋委員】 
 前回は今までの提案ですと,非常に学校さんへの負担感が大きいのではないかというところで議論がかなり分かれていたかと思うんですけれども,そこで,こういった形で,原則従来どおりですかね,変更なしということで。それに加えて,キャッシュ・フロー計算書的な活動区分別の計算書を加えようという,この案については,非常に現状とそれから発展する形をうまく組み合わせた提案になっているのではないかなというふうに私は思います。
【大橋座長】 
 ありがとうございます。
 ほかに御意見はございますでしょうか。
 これだとそんなに負担感はない。また,後ほど,じゃどこまで,どの時期からとか,どういう学校がということはきちっと進めさせていただきますが,基本的な枠組みとしてはこれでいってはどうかと思いますが,いかがでしょうか。ありがとうございました。
 では,基本的な枠組みとしてはこの枠組みでいきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 そうしますと,先ほど申しましたように,例外ですよね。じゃ全部の学校がこれとこれを同時に進めるかというと,それぞれ内容とか,すぐにはできないとか,こういうふうにしてほしいとかというような御意見がおありかと思いますが,前のよりはそんなに負担感がないと,今,高橋委員からも御指摘いただいたと思いますけれども,そのあたり,個々の立場からいかがでしょうか。
 どうぞ。
【片山委員】 
 前回の御提案のところと,今回は大分変わったような印象があるんです。それは資金収支計算書について,変更していくとかなりシステムの変更についてコストの負担が高いと,そういうのは伺いました。それでこういう形になったのだと思いますけれども,そうすると,外部に公表というのですか,公表用の資金収支計算書のところは,これまでどおりの一区分の資金収支計算書とそれからもう1つ,組替表が出てくるわけですよね。
【大橋座長】 
 そうなりますね。
【片山委員】 
 それで,組替表を公表するということですけれども,外部に公表するという内容の点ですけれども,それについては,どういう形での情報公開を前提としているのでしょうか。これまでは閲覧に供するということですよね。閲覧に供するというわけで,それはある特定の利害関係を持つ人に対して閲覧を与えるわけですね。ですから,外部に公表といっても,実際上は余り見る人がいないのではないかと思います。そうすると,組替表というのを出しましても,それは実際上は余り社会で一般の人の目には触れないで,結局従来どおりというような印象を得るのではないかと思うのですが。
【大橋座長】 
 それで。
【片山委員】 
 法律的には閲覧に供するということでいいのでしょうが,ただ,現在ではインターネットも普及をしているわけですから,これらの外部報告資料というものをもう一歩進めて,ウェブ上に載せると。そういうのを盛り込むことが必要ではないかと私は思うのですが。
【大橋座長】 
 ここでどういうふうに公表していくかというようなことは次の課題になると思いますけれども,それはまた議論しなくちゃいけないと思いますが,とりあえず今までの議論のところではこういう形で全体を整理して,こういう方向でいきましょうということを確認していきたいと。それで,だれも余り見る人がいないから,消極的であってもいいんじゃないかということではなくて,やっぱりなるべくきちっと学校の諸表を公表する,積極的に公表していくという,そういうことがやっぱり求められているのだと思いますので,それはそれとしてまた,今おっしゃったように,どういう形で公表していったらいいかというようなことは,これは全体の議論,進行状況においてまた議論したいと思います。それこそ高校以下のところのこともありますので,それはまた議論を改めてしたいというように思っています。よろしいでしょうか。すみません。
 ほかにございますでしょうか。
 森本委員,何か。
【森本委員】 
 特に小さいという言葉が書いてあるんですが,要するに大臣所轄,知事所轄という区別以外に,大臣所轄の中でも小規模法人があって,そうすると職員数が少ないと,ほとんど無理であろうというような発言をしましたけれども,この程度であれば,私の見る限りは補助金のところだけ最初から区分しておけば,それはできるのではないかなと思います。ですから,現実に補助金が入金されるのは学校によって違うでしょうけれども,何十回ということは多分あり得ないので,普通は数回ですよね。数回のものを整理するというのは大した手間じゃないですから,それぐらいであれば,いわゆる事務的に余り得意でない人でも手間ではないかなという感じはいたします。
【大橋座長】 
 そうですか,ありがとうございました。
 ほかにございますか。お願いいたします。
【小松私学部長】 
 それで,今までの御議論を整理していただいているわけですが,今の片山先生や森本先生から出たお話もここで伺いながら,我々事務方としても若干気になっているのは,分かれ目はこんなふうにいくとして,今まで時々出てまいりました,例えば行政としては常にスピーディにということで今は求められていますので,やろうとするんですけれども,他方で,少なくとも1年以上はいろいろ直すことや,周知する期間が要るだろうということで,今,前提を置いているんですけれども,今までの御議論の中で言うと,こういう関連にはなって,じゃそれでできるのか,それとも,それにしても例えば2年とか,3年とか,あるいは小規模か,規模はどうなるかわからないですけれども,こちらは,大きい方は2年だけれども,小さい方は3年要るのかとか,そういうあたりがちょっとどんな感覚かなというのが我々としては少し気になっております。
 それから,先ほど片山先生からお話のあった公表の話も,これはただ,きっと整理としては会計基準がこうあるべしという整理と,あと,そもそも今回の体制にかかわらず,情報公開なり,財務情報の開示という意味において,これとはまた別の問題として進めていかなければいけない面もあるかなという感じもしますので,そのことはまた後ほど,後ででも構わないですけれども,ちょっとそのあたり実際にこれを動かしていくとすると,こういうところが実務的に対応できるかなみたいなところを見たときに,何かこの辺はあるぞみたいなことがあれば,併せてお聞かせいただけると,我々も検討しやすいのかなと思いますので,そういうのもあれば出してくださると非常に助かります。
【大橋座長】 
 これでいこうとすると,この表を組み替えた付表も含めて行うとすると,準備の時期といいますか,それで考えると,大体どんな状況でしょうか,まずお聞きしたいですけれども。
 お願いします。
【工藤委員】 
 たまたま私は日本私学教育研究所の学校法人運営管理部門の委員長をやっているのですが,一応今,研究所としては来年1年を研修期間,答申が出たんですね─をやって,多分26年の4月ぐらいに実施されるのではないかという見通しで研修会を組んでいこうという予定を今,実は考えているんですね。だから,それにどれぐらいコンピューターソフトの部分の対応もあろうかと思うんですが,実際に組替表を作るとか何かするのはエクセルのベースなのかなというふうに思っていますので,それであれば来年,3月より前に出て,1年間の準備期間でできるようにしていこうという,そういうつもりでおりますし,このぐらいのことであればそれが可能かなというふうにして,できる限り研修会をこれからやっていこうということを,今ちょうど次年度の研修計画を立てているところなので,今そういうような予定でいるという形であります。
【大橋座長】 
 ありがとうございます。
 準備ということで言いますと,システムの方はどうなりますか。
【森本委員】 
 これが決まったとしたら多分やりそうなことは,来年の3月ごろですよね。そうすると,前の年の決算は出ていますから,それをちょっとここに載せてみるかみたいな作業は試しにやってみるというのは必要でしょうね。そうやって具体的にやって,書き方がわからないという,多分ないと思うんですけれども,それがあるのか確認して,一回やっておけば26年度以降はかなり楽だろうと思います。
 それから,新規のものが出ますと,大体拒否反応を起こす人が多いんですけれども,でも大丈夫だということをいわゆる研修会レベルで,講師といいますか,指導者といいますか,その人たちがぴしっと,数秒でできる作業ではありませんと,だけども見当で数時間ぐらいかかります,とだしたら,最初のフォーマットをつくるのが若干時間がかかりますけれども,それがどこかでうまくつくってもらえるのであれば,自分のところのシステムを多少変えて,そうすれば数時間ぐらいかなという感じで対応できるのかなと。やはりこれも来年の3月か4月の初めに出たとすれば,各団体で年に一度,最低1回は研修会をしているはずですから,そのときにこれは必ず出てきて,決算書のここへ入力すると対応してここへ出ますよということができれば,資金収支に関してはこれはそんなに難しくないだろうと思います。ただ,ほかのところが変わってきそうな気配ですから,それと比べて資金収支だけとりあえずやってあればいいんですか,という問題になってくるかもしれません。
【大橋座長】 
 ありがとうございます。
 徳田先生,お願いします。
【徳田委員】 
 資金収支だけを見ますとそんなに難しくないなということで,私はエクセルベースレベルで対応可能かなと思っていますし,実際は決算書をつくるとなれば,もう1年分猶予があることになりますのでシステム的には1年分,実際実務もそうですし,後は活動別の決算書とそれから資金収支計算書をリンクさせる作業ということになるかと思います。私は前回,前にもお話ししましたが,取り組み方が3つあると,入り口が3つ。特に大学法人の場合は。要するに総勘定元帳をベースにして資金収支計算書をつくっているところと,それから資金収支をベースにして総勘定をつくっているところ,同時に2つやっているところと大体3つに分類されるかなというので,一概にちょっとどのぐらいの期間が要るのかというような,大学法人において個別に我々が少し研究し,この期間の内で何かご報告みたいなものができればいいのかなというふうには思っては思います。
【大橋座長】 
 ほかにございますか。お願いいたします。
【桑田委員】 
 私も資金収支組替表はエクセルの組替えで多分対応できると思うのですけれども,消費収支計算書がこの事業活動計算書ということとなりますので,資金収支をベースに,事業活動計算書にリンクさせてくるという作業が多分あると思うのですので,この段階では,26年4月からすぐにできますというようなお答えはできないと思います。
【大橋座長】 
 そうですか。
【桑田委員】 
 はい。
【大橋座長】 
 ほかに。佐野委員,お願いします。
【佐野委員】 
 私学の現場ではなくて,それを見ている監査の立場からになりますけれども,皆さん私学の方々は秋ぐらいから次年度予算をお立てになると思います。現在の資金収支計算書は残るということで,予算対比型,これについては全く問題がないだろうと思います。それから,事業活動計算書を区分してつくるということになりますから,その辺の予算が,もともと予算って伝票を切りませんので,単なる組替えでできるんですよという私学さんの見込みがあれば,私ども公認会計士協会の立場で,私学さんが26年からできますというのに,監査上の取扱いができませんとは言えませんので,鋭意それに向けて実務上の指針をつくる予定です。ところで,今見せていただいている全体像ですが,このままおさまるのかどうか。それによって変わってくると思います。この何回かの会議でも皆さんの御意見で,体系も変わってきたという中で,一体どこを着地点として,会計,それから監査という目で見て問題点をピックアップして,あらかじめ手当てをしておくべきなのかというのがまだちょっと落としどころが見えてこないので,その辺の全体像が見えてからやっていくようになると思っています。もちろん実務が走っていくうちに見えてくる問題も出てくるので,順次その辺は手当てするとして,一番問題なのは,今,事業活動計算書と従来の資金収支を見たときに,今,資金収支だけの論点でいけば,できますよとなりますけれども,今後,この事業活動とか,それから貸借対照表の問題,それから個別論点に上がっている,それが通るかどうか別にして,減損であるとか,そういったものがどう取り込まれるのかによって,我々どうしても細かい一つ一つの問題点をクリアしていきたいと思っていますので,ちょっとその辺を見通しながらということになろうかと思っています。
【大橋座長】 
 時期的にはかなり全体像が出てこないと,どういう時期的な計画でいけるかというのは詰まってきませんよね。
【佐野委員】 
 はい。
【大橋座長】 
 そういうことですね。それと,ちょっとお話がまた戻るんですけれども,この事業活動計算書,それから資金収支計算書,それからまだ課題がありますが,それはとりあえず線を引くとしても,その体系で財務3表をつくるということについて,ここはできないとか,ここは難しいとかというような課題がありますでしょうか,まだ残っていますでしょうか。
 お願いいたします。
【佐野委員】 
 これは多分プログラムの方の問題になろうかと思うんですけれども,事業活動計算書の方は,テクニックとして会計上できるということは別にして,システム的に容易なんでしょうか。
【大橋座長】 
 その辺をどこの学校もできますというふうに,時期はともかくとして,時期の前後はまた議論するとして,ここはこの時期から,ここはこの時期でいいですよというようなことで議論する必要がある。今までの議論では,事業活動計算書も収支計算書も全体として,体系として,これでいきましょうということになっていますから,ちょっとここは待ってほしいとかというような法人がありましたら,その中身とか,その理由とか,内容とか,ちょっとお話しいただければと思います。
 森本委員。
【森本委員】 
 資金収支に関しては,先ほどの説明で大体終わろうと思うんですけれども,その整理の仕方と消費収支といいますか,事業活動の整理の仕方が違っていますですね。例えば,消費収支計算書を従来どおりつくっておいて,従来どおりの内訳表をつくっておいて,全体の1本だけ事業活動計算書をつくれと言いますと,これは大分手間が楽なんですけれども,内訳表つきで全部作成するとなってくると,ちょっと……。手計算でできなくはないですけれども,ちょっと量が多くなってくるので,間違える率が高くなると思いますから。そうすると,システムを変えるのか,少しどこかをいじらなきゃいけないのかなということになってくると,資金収支だけすごく楽な形になっても,消費収支で引っかかっちゃうのかという感じがしますね。ですから,そうなってくると,もう1年は少なくとも待ってくださいというような,先に変えるのは構わないんですけれども,ちょっとおくれているところがありますよという,余裕をつけておいていただかないといけないかなと思います。
【大橋座長】 
 基本的にいろいろ出していただいて,議論として後退しようということを意図しているわけではなくて,基本的に前向きにいきたいんですけれども,でもそんなに無理はできないので,各法人での事情とか,それから,いつからならできますとかというようなことをやっぱり踏まえないとまずいだろうと思います。そのことをお伺いしているのです。
 お願いします。
【高橋委員】 
 少し考えておきたいこととしてという感じですけれども,今年度中に決まって,それで26年4月からスタートで,1年間周知期間だということで,先ほど佐野委員からもありましたけれども,予算を組むのはもう来年の今ごろというか,秋には始まっているわけですよね。そこまでの間に相当レベルの周知のための研修会が開かれなくちゃいけないと思うんですが,春から5月,6月までは決算で忙しくてなかなかそれどころではない。そして,夏,7月,8月,9月の間に夏休みも入りますけれども,そういう期間にばんばん研修をやるという形,またそこまでの間に会計士協会の方とかでも実務指針だとか,Q&Aみたいな形で出てくるというところで,相当タイトなスケジュールであるのは間違いないんだろうなと思います。
 また一方で,じゃ先延ばしにして,今議論していることを27年4月でいいのかというと,やや何かゆっくり感というか,スピーディ感には大分欠けてくるなという印象は持ちます。
【大橋座長】 
 ありがとうございます。
 やっぱり全体を走り出していかないとわかないところもあると思いますけれども,27年はないでしょうねという感じは……。余り理由を言えと言われると困るんですけれども。26年4月を目指して,それでいろいろな事情がある場合にはそれをどういうふうに調整するかというような,法人によっての段階の割り振りをつけるというようなことは考えなければいけないでしょうね。
 村山委員,何かございますでしょうか。お願いいたします。
【村山委員】 
 幼稚園法人は26年4月からスタートできるようなところもあれば,被災地でそれどころではないというような幼稚園もあるものですから,例外規定みたいなのを設けていただいて,1年,2年,並行して決算書を出してもいいよというぐらいの取扱いをちょうだいしていればいいかなというふうには思います。
【大橋座長】 
 そういうことがきっと出てくるので,そのことは十分考慮して,配慮して,具体的に決めるときには配慮していただきたいというふうに思いますけれども。基本的には26年4月よりスタートするというようなことで準備していくということになりましょうか。
 渡辺委員,システム的に……おかぜのところ,申し訳ない。
【渡辺委員】 
 かぜをひいておりまして,お聞き苦しいと思いますがお許しください。この議論のスタート時点では,私は中小規模法人の方がいろいろ体制だとか,そういうことで少し時間的余裕を見てあげた方がいいのではないかと考えていたのですけれども,今回の形で改正案ができるのであれば,むしろ中小規模法人の方が対応しやすいのかなというふうに思っています。中小規模法人はシステムとして何かパッケージを採用されてるケースが多いのではないかと思いますので,そのパッケージを提供している専門の会社に今回の改正案の対応に時間・費用・難易度等どの程度対応可能か一度御意見を伺ってみるとよろしいのではないでしょうか?パッケージ対応が可能であれば,比較的中小規模法人の方は対応できるのかなと思うのですが,むしろ大規模法人で古い手作りシステムを維持・運用しているケース,それぞれ学校単位でいろいろなシステムを持っていると,そういう統合の方が複雑で難易度・コスト・時間的にも余裕がなければ気の毒なのではないかなというふうには今感じているところです。
【大橋座長】 
 そういうこともありますね。
 そのあたりは具体的に少し準備しながら決めていかないとわかりませんね。私にはわかりませんし。どうなんでしょうか,何かありますでしょうか。徳田委員。
【徳田委員】 
 今,渡辺委員のおっしゃったとおり。それで大学法人が,このようなシステムはオリジナルのシステムが多いんです。ですから,その実態がどうあるかということによって,特にバランスシートなんかはもうもともとずっと連続していることをばさっと一回切らなければいけない。ですから,その辺のシステムをどのように移行していくかというのが一つの技術的な問題ではないかなというふうに私は思います。ですから,これは現行のシステムを各学校法人が一回,早急にやはり調査するか,意見を,業界を通じて主な大学のシステムをつくった人たちに,どうなのかということは是非一回持ち帰りをして,確認させていただきたいなというふうには思っています。
【大橋座長】 
 ありがとうございます。
 じゃそういう形で,今いろいろ出していただいたような方法で,この後進めていきたいと思います。
 資金収支計算書と事業活動計算書については,基本的には,今,議論いただいたような形にしたいと思います。
 あと貸借対照表の集計表の話が出ていました。これをもう一度お願いします。
【田辺専門官】 
 内容については,特に目新しいものではなくて,単純に今までの2号,3号の細かい計画書を知らせがあるようにまとめた表をつくれればというイメージです。
【大橋座長】 
 そうですね。それぞれの計画があって,それぞれに出ている計画書を集計して貸借対照表に載った数字と同じものを集計表で出していこうということですね。
【田辺専門官】 
 はい。表紙みたいな形です。
【大橋座長】 
 そうですね。これはよろしいでしょうか。
じゃこの3表については基本的に今のような形で,また事務局に整理していただいて,次回に案を出したいというふうに思っています。
【桑田委員】 
 1点よろしいでしょうか。
 資料4-7の貸借対照表のうち特定資産の部の第4号基本金引当特定資産というのは,この会議でもこういうふうにする,ということで決定したという理解でよろしいでしょうか。
【大橋座長】 
 引当特定資産にしましょうという議論をしていたんですけれども,まだ4号について,どういう規模の特定資産にするかというようなことはきちっと議論していないですよね。
【桑田委員】 
 引き続き議論をするということでよろしいでしょうか。
【大橋座長】 
 今あれば少し議論をしておいていただきましょうか。何かありますか。
【田辺専門官】 
 そうですね,ここの4号だけに限らず,様式4-1から4-7までにかけて,今の段階で何かお気づきの点があれば,次回までに修正してまいりますので,このあたりも御指摘いただければと思います。
【桑田委員】 
 ちょっとよろしいですか。今までの議論だと,特に第4号基本金引当特定資産を持てない法人があるというお話があったので,それを持てない法人が例えばあるとすればどうするのでしょうか。
【田辺専門官】 
 前回御質問を頂いた論点だったんですけれども,ほかの引当期間を全部取崩すであるとか,有価証券をなくして,最終的にそれでも4号に相当するお金を持てないといった場合に関しては,何らかの注記の手当てを持って,積めないということを書いていただくような手当てが必要じゃないかなと今思っています。
【大橋座長】 
 お願いします。
【片山委員】 
 今の4号基本金特定資産のことですけれども,4号基本金は維持すると。同時に資産の方に特定資産として積むということですけれども,これについてはいろいろ私も聞いてみたんですけれども,ちょっと否定的な意見が多いように思うんです。それは4号基本金はいわゆる運転資金ですので,それを実際弾力的に活用しなければいけないにもかかわらず,固定資産化してしまうと拘束されてしまうので,本来の意義が失われるということで,それに危機感を持っている人が多いように思うんです。私もいろいろ聞いてみたんですけれども,あえて4号基本金は特定資産に積まなくてもいいのではないかと思います。
【大橋座長】 
 4号の基本的な性格をきちっと詰まるような議論になっていませんでしたよね,今まで。それでこういうことが起こってしまっているということですかね。
 お願いします,高橋委員。
【高橋委員】 
 今の御意見についてなんですけれども,4号基本金の性質からすると,拘束性があるかのように見える引当特定資産を積むというのはいいのだろうかという議論が出てくるのも確かにそうかとは思うんですけれども,実務的には,期中は通常の支払資金と同様に全く区別なく使用できる状態の現金預金ということにしておいて,期末の時点だけ決められた特定資産を積む資金力があればいいのではないかと思います。だから理念としての4号基本金に対応する特定資産は積めますという形の会計処理が期末に組めれば,期中はどのような状態にしておいても,実質的にはそれでいいのではないかなと私は思います。
【大橋座長】 
 お願いします。
【片山委員】 
 基本金の増減の明細表というのは,現在つくっているんですか。
【高橋委員】 
 4号の。
【片山委員】 
 いえ,全体で。基本金の増減の明細。
【高橋委員】 
 つくっております。
【片山委員】 
 その中に4号も入ってくるわけですね。
【高橋委員】 
 そうなります。
【片山委員】 
 そうすると,期中でかなり変動があっても,それはそのまま総額で出すということになるんですか。最後期末の一定の特定資産として積むんだけれども,期中の増減も明細を記録せざるを得ないというふうになるのでしょうか。
【高橋委員】 
 私は期中の動きは記録しなくていいのではないかと。最終的に増加させなければいけないときは増加するというふうに現在もなっているかと思いますけれども,それと同様で,だから4号基本金についてはそういう形。特定資産については,洗い替えと言うと変ですけれども,そういった形で対応するという実務はあるのではないかなというふうに思います。
【片山委員】 
 実務的にうまくそういうふうに考慮していただくといいと思いますけれども。
【大橋座長】 
 お願いします。
【徳田委員】 
 私も4号基本金を特定資産に持つというのは,ちょっとやっぱり懐疑的といいますかね。実は持てる法人は何も問題ないんですけれども,一体どういう計算ロジックで,どうならば,これは業務経営資金として持てるのかと。例えば,経営的にいろいろな面で,例えば前受金とそれから退職給与引当金が確保されている,それに4号基本金というのならわかりますけれども,その辺の計上基準というものをつくっておかないと,前受金があって,前受金を単なる分けただけだ,というのは本当にそれで資金を分けたのかという議論になると思いますので,それを実務的に4号基本金資産として持つかどうかというのは,その辺のところの経営的というか,財政的な部分は計算がしっかりと明示できなければ余り効果がないのではないかなという気はいたします。
【大橋座長】 
 佐野委員,お願いします。
【佐野委員】 
 まず,4号基本金そのものの存否についていろいろ賛成,反対があって,何回か申し上げましたように,4号基本金については会計上の説明はつきづらいということで,1号から3号までとは全く異質なものという整理の中で,これは政策的に残すことに意義があるというような方向になったんだと思うんです。そうすると,そのときに,今更ながらといいますか,4号基本金のうんぬんということを会計的に整理しようとするのは非常に無理がある。4号の貸方ありきということで考えるのであれば,やはりこれは借方に資産を置いておいた方が対外的には説明しやすいのかなという気がするんですね。かつテクニックとして4号,これは固定資産に上がってはいますけれども,期末時点での恒常的に維持すべき額としての12分の1の額というものを明示させることによって,貸借のバランスをとることによって,その額がいわゆる利益といいますか,収支差額に影響させてこないで済むというふうに考えれば,借方に置いておいて,この手当については会計上そもそもおかしいということは承知の上で言わせていただければ,期中については資金の取引として見なさないと。つまりこれは見なしの財産みたいなものですので,期末に区分経理をするだけでいいのかなということで,テクニック的には解決できると思っているんですね。
 それから,固定資産明細にも当然,もしここの位置に置けば載ってくるわけですけれども,その場合にも個別の手当てをすると。個別の手当てというのは,やはり今の固定資産明細表上では手当てしにくいので,特段の手当てを指針で出すということで解決できるのではないか。
 それから,基本金明細表についても,今,部門別に基本金の組入れ,取崩しをやっているのか,法人全体でやっているのかが非常にわかりづらい,会計方針が見えない表になっていますので,それを整理していただくと同時に,4号についても基本金そのものは動かないので,期中の増減がないという形の取扱いを別途設けることによって,テクニック的には解決できるというふうに思っておりますので,借方に資産を置きっ放しにするわけではないと。あくまでも計算額,維持すべき額というのを明示させるという意味合いで借方を持つんだという政策的に判断をされたのであれば,そこのところは4号基本金の増減についても同様に考えて,他の資産の増減とは別に手当てをすれば済むのではないかなというふうに思われます。
【大橋座長】 
 高橋委員から,先ほどおっしゃっていたのは同じ趣旨ですよね。
【高橋委員】 
 同様です。
【大橋座長】 
 そうですよね。
 今,両委員から出していただいた意見について何かご意見はありますでしょうか。残して,右に残せば左も今のような形で残さざるを得ないということですよね。
桑田委員,それでよろしいでしょうか。
【桑田委員】 
 頭が整理されていないのですけれども,多分,単純に言うと流動資産の現金預金が減って,特定資産になりますので,固定資産の方に上がりますよね。それができるところとできないところは多分,現金預金が少なくて,出てきますよね。その問題をできなくてそのままで良いのかどうかですね。それだけだと思いますが。
【大橋座長】 
 お願いします。
【佐野委員】 
 いつでも引き出すことができる現預金,預貯金ですね。これと,4号として12分の1を恒常的に維持すべき額だと決めた額を区分できないとすれば,できないのが現実であるということを見せる。これが仕方のない現状だと思います。じゃあできないからどうするか。借方と貸方がこれは不一致になります。そのときにどう説明をするかというのは注記でのカバーであるとか,それから例えばですけれども,監査上それを否とするのかというと,そうではなく,事実を表示しているのであればこれはいいんだよというような監査上の手当てを並行して行うというようなことで,解決の道はあろうかと思います。
 やっぱりこれは物をどこかに置いておくとか,使うということではないので,会計上のテクニックで済む話ではないかなというふうに考えております。
【大橋座長】 
 わかりました。
 どうぞお願します,鈴木委員。
【鈴木委員】 
 質問ですが,現預金が第4号の基本金引当金の特定資産に振り替えられない場合にどうするのかという話をなさっておられましたが,財務諸表の読者はまさにそういうことがちゃんとできるのか,できないのかということが知りたいわけでして,できない場合にはできないとはっきりわかるようにしていただかないと,財務諸表として余り意味がないのかなという気がいたします。
 それからもう1つは,今,現預金というふうにおっしゃいましたけれども,別に現預金でなくてもいいわけでして,例えば有価証券なり,あるいは短期貸付金というふうなもので,即日換金できないにしましても,数日で換金できるというものであってもとりあえず運用しているという形をはっきりさせることができれば,全く構わないのではないのかなという気がするんですが。
【大橋座長】 
 佐野委員,お願いします。
【佐野委員】 
 現在学校法人会計基準の支払い資金の概念が,現金及び預貯金ということ,いつでも引き出すことができるうんぬんということで,現金及び預貯金というふうに限定されていることからすると,この4号に限ってはちょっといかがなものかなと。
 今,鈴木委員のおっしゃったような有価証券でもいいのではないかとなりますと,これは価格変動することを前提にしますので,決して特定資産に入れておくことは好ましいとは思いませんが,実務の中では,2号3号は,現預金に限らず,特定資産に有価証券を入れているところもあるということだと思います。これは3号については特に寄付がありますので,あり得ると。
【大橋座長】 
 それから,4号の基本的な中身を運転資金ということの位置づけをきちっとして,一時ここでの議論の中でそれもかなり揺れていたところがありますが,そういう中で,きちっと流動性の高い,換金性の高い資金として設定するんだということを決めなくてはいけないんですね,どこかでね。共通認識のためと。ありがとうございます。
 お願いします。
【佐野委員】 
 全体の体系についても御質問はよろしいということなので,ちょっと1点だけ。資料4の組替表,これは名称が先ほど座長からもクエスチョンが出たので,今後検討されるんだろうと思うのですが,これは付表ということで,学校法人会計基準の中の計算書類として次のものを作成するという中に入る財務3表の一部という位置づけであるということでよろしいのかということと,かつ,これはもちろん予算対比は前提にしませんけれども,経年比較も意味しないで,単年度を書けばいいという整理を皆さんは合意しているのかという,その2点を確認させていただきたいと思います。
【大橋座長】 
 お願いします。
【田辺専門官】 
 まず1点目の方の会計基準上の会計の中に計算書類として入れるということです。今の内訳表に追加して書くという整理です。
 あと様式に関しては,4-4ですけれども,今のところ金額対比は決算の額だけを出せばいい。これは4-1や2の方で予算対比を出しているので,直接こういった情報は要らないのかなということで,金額だけ出ているんですけれども,更に前年度を入れた方がいいとか,予算対比がいいという御意見があれば,是非今後将来的に頂戴できればと思っております。
【大橋座長】 
 よろしいでしょうか。
 どうぞお願します。
【片山委員】
  今組替えのことが出たのですけれども,名称として,例えば資金収支計算書(活動区分別)とか,あるいは活動区分別資金収支計算書とか,活動区分別資金収支表というのを入れたらどうでしょうか。
  それから,この計算書類の内容について,これでもう固まったと思ってよろしいでしょうか。細かなことはいろいろ議論があるのではないかなと思うんですけれども,更に検討する場はまだあるのでしょうか。
【大橋座長】
  この基本的な三表を確認していただいて,これから具体的な,それこそ今4号基本金の計算をどうするかというようなこととか,それから具体的な中身を案としてつくっていく段階で,また行ったり来たりの議論なるかと思います。ただ何か意見があれば今出しておいていただくと,皆さんも準備をすると思います。
【高橋委員】
  貸借対照表の方にまいりましたので,その中でいきますと,数年前にソフトウェアの会計基準が変わりまして,従来の経費処理から,資産計上する場合が多く出てきていますので,それは科目の例示としての貸借対照表の中に今のところは入っていませんから,その他の固定資産のところに計上しておいた方がいいのかなというふうに思います。
【森本委員】
  表現上の非常に細かいことなんですけれども,減価償却に関して消費収支計算書ではここだけ減価償却額という,費という言葉で終わらないで,額で終わっているのは,費で統一する,これは現実上,学校会計を教えるときに減価償却費と書いたら会計基準と違っているよと余分なことを言わなきゃいけないというのがあるので,統一しちゃった方がいいかなと思っていますけれども。
【大橋座長】
  そうですね。佐野委員,お願いします。
【佐野委員】
  どっちに統一するかですね。
【森本委員】
  減価償却費の直前に記載されている科目が消耗品費とか,大体費が付いていますから,減価償却費に変えちゃった方がすっきりするのかと思っています。会計の減価償却の考え方が違うのかなという説明になってくると,またちょっと違うんですけれども。
【高橋委員】
  正直申し上げて,なぜ減価償却額を今まで使っていたのかわからないんですけれども,そのようになってきていましたから,それを変えるというのは結構大きなことだと思います。
【佐野委員】
  昔は費だったと思うんですね。それで,変わったときの文科省さんの御説明だったか,研修会だったか,ちょっと記憶に定かではないんですけれども,基準そのものがたしか減価償却の累計額で,収益対比という意味の費用ではなくて,減価償却を実施した額なんだから額なんだよということで,固定資産明細表も全部そうなっているというような説明をどこかで聞いて,そのときは,ああ,そういうものなのかと思った記憶があるんですね。だから,当時,企業なんかも費だったと思うのですが,学校は額なんだと,ずっとここは違うと教え込まれてきた記憶があります。
【牛尾参事官】
  その辺の経緯もよく調べてみます。
【片山委員】
  資料の4-4で,資金収支組替表のところですけれども,ここの教育研究事業活動による資金収支の中に,利息及び配当金の受取額,それから利息の支払額というのが入っていますけれども,これは財務活動の方に入れてほしいという意見も多いように思います。教育研究事業活動による区分の中に入れた理由はどこにあるのでしょうか。
【田辺専門官】
  もともとつくったときのイメージ,企業でメインでやっているキャッシュ・フロー計算書のイメージが本表のところに一たん差引きを出して,受取利息と支払利息をやるという根拠だったもので,それを入れてみたというところから出発したものです。
【片山委員】
  企業会計の場合には,間接法で税引き前の利益のところからスタートしますから,受取利息とか,支払利息はもう損益の中に入ってきますよね。だから一回全部差し引いて,実際に受け取った金額,支払った金額をその下のところに,第1区分の中に計上するという形ですよね。キャッシュ・フロー計算書の中では,基本的には営業活動キャッシュ・フローに入るわけですよね。ただ,受取利息や受取配当金は投資活動の方でもいいと。それから,支払利息なんかは財務活動の方に入れてもよいという形になっていますね。上の方の第1区分のところに入るのがいいのかどうかという意見もあり,財務活動の方に入れる方が適切ではないかという意見もあります。
【田辺専門官】
  あともう1点,1つの理由としては,4-5の事業活動計算書のうち経常収支の中の分に事業外としてこれらの収支を入れているということで,経常収支のレベルと先ほどの4-4の資金収支組替表の一番上の本業,継続的な事業の収支のレベルからもここに入れたということです。
【片山委員】
  資料4-5の事業活動計算書で,寄付金の収入ですよね。経常収入に入っている寄付金ですけれども,3番目の現物寄付金で,現物ですから固定資産で受けます。それも経常収入の方に入れるとそこら辺が非常に大きくなって,実際には固定資産というか,第1号基本金に入ってくるので,収入だけ計上され,あとは基本金組入額に入ってしまうから,収入だけ目立つ結果となります。補助金とか何かについては,設備資金への補助金は特別収入計上され,施設整備への寄付金についてもそうなので,現物寄付金も特別収支の部の収入に入れた方がいいのではないかという意見です。
 それから,例えば今の施設整備等の補助金については,社会福祉法人会計基準では,特別収入に入れて,同時に,国庫補助金等特別積立金組入額という形で,特別支出の方に計上するんですね。貸方の方はバランスシート上純資産の部に組み入れるんですけれども。そうすると,収入に入って,同時に支出にも入れてしまいますから,ネットでは差額ゼロになるんですね。そういう扱いをしています。けれども,学校法人会計基準の場合にはそれをしていないので,収入だけを計上というのでいいかどうかということです。
 それから,同じ資料4-5の2枚目の下の方ですね。当年度収支差額で終わっていて,その次は繰越収支差額の部の方に入って,基本金組入額を控除しまして,基本金組入後当年度収支差額,そうなっているんですけれども,1つの意見では,ここでとめたらどうかと。年間の収支差額という,そこのところでとめておくという案もあるのではないかということです。それからもう1つは,基本金組入後当年度収支差額のところまでおろして,それから繰越収支差額の方に。ですから,当年度収支差額というものを,例えば基本金組入前当期収支差額として,基本金組入額を入れて,それから基本金組入後当年度収支差額という。そうするとこれまでどおりの計算書と同じ形になると,そういう意見もあると思います。
  それから,同じところで,今の資料4-5の下の方ですけれども,下から4行目のところに(何)年度消費支出準備金組入額とか,それから消費支出準備金取崩額というのがこれまでも入っておりましたけれども,実務上は余りこれの適用例がないとしたら,これは除くかどうか。そういう考えもあります。
【佐野委員】
  2点検討していただきたいと思いますが,貸借対照表で長短区分の問題があろうかと思います。端的なのは学校債が同じ名称で固定と流動の負債に出てきまして,実務上非常に見にくいといいますか,処理がやりにくいという点があります。有価証券も学校さんによっていろいろ工夫して,投資有価証券と書けないから,固定に括弧を付けて有価証券と書くなど,いろいろ工夫なさっていると思うんです。その長短区分,流動・固定の区分についてちょっと検討していただければと思います。
 それからもう1点は,今,片山委員からもお話が出ましたが,消費支出準備金ですね。これは何校かで見たことはあるんですけれども,これは準備金の性格からして,収支均衡という,現行の消費収支計算書の中で割と効果がありました。収支均衡概念がなくなったわけではないんですけれども,事業活動計算書に変わってここに残しておくかどうかというのは片山委員と同感で,検討の余地があるのではないかなというふうに思っております。
【徳田委員】
  これは事業活動計算書の中で,余りハードルを低くしたりしないで,この考え方はやっぱり踏襲してほしいなというに思っています。突きつめていくほど細かくなる,これは明白だと思います。特に学納金の部分,施設設備資金はどうなんだという話になってくると,どんどん細かくなってきます。やはり特別収支と,あとは経常収支というところで当初そういうような動きで,できればそういう趣旨の中を踏襲していただきたいというふうに思っております。
【大橋座長】
  ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。それではまたどこまで議論できるかあれですけれども,続けさせていただきます。次回までに整理していただくということで,その他の論点ですね。これに入っていきたいと思います。これは資料5です。
【高橋委員】
  その他の論点にいく前にもう1点よろしいですか。
【大橋座長】
  どうぞお願します。
【高橋委員】
  資金収支計算書と事業活動計算書の比較をしたときに,おやっと思われるかもしれない点として,施設設備利用料収入というのは,資料の4-1をごらんいただくと,現状の会計基準どおりということで,大科目,資産運用収入の中に施設設備利用料収入があります。そして今回,いろいろ議論した上で,事業活動計算書,資料4-5をごらんいただいて,そのときにこの原案でいきますと,ちょっと説明の仕方がややこしくなって恐縮なんですが,資料の4-2枚目,事業外収支の部方で,先ほど徳田委員からもありましたけれども,特別収支だとか,事業外収支のところを比較的限定して考えたということがあったものですから,事業外収支の収入のところを受取利息配当金だけにしているということがあって,それと合わせる形で,だから,大科目の中で施設設備利用料収入がずれてしまっています。資金収支計算書,資料4-1の12分の1ページの方では,資産運用収入の中の小科目になっていて,これは現行どおりなんですけれども,こちらの12分の8の事業活動計算書の方では,雑収入の中の小科目に施設設備利用料収入がきているということで,現状の会計基準が資産運用収入の中に施設設備利用料収入を入れるんだということになっているものですから,資金収支計算書の方なんですけれども,考え直した結果,事業活動計算書は今こういう状況で,それできていると。だから,この施設設備利用料収入の大科目における扱いの差異について,このままでいいのかなという感じです。
【片山委員】
  いろいろ御意見が出たんですけれども,細かいところはいろいろあると思います。そういうのは実際に公認会計士協会の方と協議をされて,細かなところはしっかり詰めていただければいいのではないかと思います。
【大橋座長】
  そういうことでしょうね。よろしくお願いいたします。
【鈴木委員】
  そういう意味では後で会計士の方に詳しく教えていただきたいのですが,先ほど御指摘のあった資料4-4の資金収支組替表のところで,利息及び配当金の受取額うんぬんが教育研究事業活動による資金収支に入っている理由ということで御指摘がありましたが,改めて見直してみますと,利息・配当金が全て教育研究事業活動に入っていて,一方で元本の借入金等々が全部財務活動に入っていますのは,幾ら考えてもちょっと整合性がとれないかなと思います。どっちかにまとめるべきなんじゃないかという感じがしますので,その辺は御専門の方の御検討が必要な部分かなと思いました。
【佐野委員】
  問題点というか,解決に関してなんですけれども,資金収支とこの事業活動の整合性というのは,やっぱりハードルを低くということも前提にして考えるべきだと思っております。先ほど施設設備の利用料収入について,考え方としては資産の運用であり,これは現預金とか,有価証券を運用して得たものと同じ位置づけで,学校にとって重要である資産を運用して得たものという前提のもとに施設設備利用料収入として資金収支の資産運用収入に入っているわけですね。その辺の考え方をやはり整理させていかないと,上がいいのか,下がいいのか結論が出ません。それからいわゆる金融という意味での受取利息,配当金だけを区分するんだということになると,大科目の中から小科目を分類していかないといけません。そうなると,資金収支と消費収支のアンマッチが生じるけれども,それはそれでいいと考えるのかどうかですね。その辺はテクニックの問題というよりも,考え方にかなり影響してくると思いますので,でき得ればある程度の形が見えたところで,協議といいますか,意見交換を会計士協会と文科省さんとそれから素案的なものは協議させていただいた上で,場合によってはこの場であるとか,私学さんを含めたところで,そして最終的にはもちろんパブコメ対応になると思うんですけれども,そういった形での対応をさせていただければと思います。
【大橋座長】
  そういうことでしょうね。わかります。それでは,きょうはこの議論は一応区切らせていただいて,その他の方に移ります。資料の5ですね。これは前から出ている表ですね。説明をお願いいたします。
【田辺専門官】
  前回お出しした表を1か所だけ修正した箇所がありますので,ここの説明だけさせてください。上から減損会計とあって,一番下にある継続法人の前提部分です。今,黒のポツが4つ入っていますけれども,前回まではこのうちの上から3つ目の期間のところだけ,学校は1年で判断するのではなくて,1回学生を入れたら4年以上続けて就学機会を確保する,修業年限の方で考えなければいけないということで,期間の問題だけを継続法人の前提の文章として入れておったんですけれども,それ以外の文も幾つかつけ加えましたので,本質的なところとも思い,整理させていただきました。
 ちょっと一番下のところを読ませていただきます。まず,学校法人自体の性格の問題が1つ目のポツでございまして,学校法人は,そもそも設置段階で設置資産をすべて自己資金で賄うのを原則としておるということです。2番目として,それを継続的に維持していく仕組みとして基本金制度が会計基準の中に入っているんじゃないかということです。更に3番目として,主な収入(授業料)等でございますけれども,これらは前受け,先にもらって後で使うという構造でございますので,企業やほかの法人と異なり,法人経営を継続安定させる独自の仕組みを持っているのではないか,これが学校法人の良さであるということです。
 また,今回のこれから考えていく改正,今の時点で検討している改正の中で,1つ目として,区分経理を導入するなどによって,経常的な収支バランスの把握が可能になることによってわかりやすくなり,経常収支がどれぐらい余裕があるのかということがわかりやすくなってくるという部分です。それから,5つ目でございますけれども,先ほどもお話がありましたけれども,4号基本金に関しては,特定資産を持つことによって体質強化を図るということも今検討しているところでございます。ここに挙げた最初のポツの3つ,次の2つあたりを学校の一つの特徴として挙げさせていただきました。
 一方,学校の修業年限制にかんがみると,企業のように1年続けることができるかで判断するのは適切ではなく,特に期間が長くなればなるほど続けるかどうかの判断は難しいということもあるのではないかと思います。
 あと最後の部分ですけれども,継続法人の前提に注意を払うということは重要な情報でございますけれども,企業などに適用される項目形式によるんじゃなくて,例えば今回の改正などを通じて,以上の学校法人の1つ目から5つ目のような特徴を生かすことを挙げています。
 今回の改正を通じ,以上の学校法人の1つ目から5つ目のような特質を生かすことで情報開示を進めることができるんじゃないかということです。
 もう一方で,会計基準だけじゃないんじゃないかということです。会計基準だけじゃなくて,所轄庁が経営判断指標,経営を分析するような指標をもっと細かくつくることによって,経営上の課題を抱える学校法人について,実地調査,経営指導などを通じて,早めの経営判断を行っていくという,いわゆる指導・助言体制と合わせて,会計基準だけにこの問題をとどまらせるのではなくて,そういうものと併せて継続企業の前提というのを担保していったらいいのではないかということを考えております。以上のことを検討いたしました。御議論いただければと思います。
【大橋座長】
  ありがとうございます。継続法人の前提のところは,特に普通の企業とは違って,行政も含めて情報の開示とか,状況の判断とか,継続的にしているので,そういうことを自ら明示するということは企業とは違うんじゃないかというような趣旨でしたね。それはそれなりに説得的に書いていただいていると私は思いますけれども,全体を通して御意見がありましたらお願いします。
【高橋委員】
  今の継続法人の前提のところで,先ほど4号基本金の引当特定資産の話の中で,積めない法人があった場合はそれを明示するべきではないかという議論がありましたけれども,それが注記で明示されるような場合は,それは相当のシグナルだと考えられる,これは実質的に継続法人の前提のシグナルであって,そこで線を引くのがいいのかどうかという議論はあるにしても,明解ではあるということでは,少しこれの考えが取り込まれているのかなと思います。
【森本委員】
  違うことなんですけれども,減損会計のことで,前にちょっと発言していますけれども,学校の廃止や学部の廃止などで使用していない施設などを減損の対象とすることについて,これは実際に私が具体的に知っている事例が幾つかありまして,使わなくなったんだけれども,実は,簡単な言い方をすると違う学校をつくっちゃったということがあったのですね。あるいは使わなくなっていて,一見価値がないように見えたけれども,第三者に売却したら何億か入ってきたということもあるので,この減損というのは私は実はちょっとぴんとこないんです。使わなくなったから,例えば一般企業であれば使っていない固定資産は,それから収益が上がってこないので,価値がゼロだというのはあるんですけれども,学校は別に収益を上げようというよりも,そこで教育ができるかどうかを考えていて,教育じゃないにしても,例えば寮をつくって学生を入れようと思いつくかもしれません。現段階では必要ないと思っているけれども,何か社会の情勢が変わったから何かしましょうというときに,一たん価値をぐっと下げておいて,次に何かするときにもう一回それを持ち上げるときはどうするんでしょうか。あるいは売却したときの雑収入でぼんとやってくるんでしょうか。そんなところがちょっとわからないもので,お願いいたします。
【田辺専門官】
  そうですね,この資料をつくった最初の方から,収益性を判断するような基準は合わないのではないかという基本的な方向性でありました。森本先生がおっしゃったような話なんですけれども,もともとこれはよく結構聞かれる論点でございまして,例えば今回,震災の関係で放射能をかぶってしまった幼稚園さんがあると。実際に使っていないし,これからも使う見込みがはっきりないといったとき,ただ,資産が残っていて,減価償却が終わっていないと,残しておかなきゃならないという現実性を合わせるために,そういう減価償却的な要素を使えたらよかったという御意見があったもので,こういうことも考えていけないかということで書かせていただいたのですが,確かに一たん決めたものも後でよく変更するとか,いろいろな考え方も出てまいりますので,この上の部分については少し検討させていただければと思います。
【鈴木委員】
  金融の分野で見れば,そこのところは非常に単純に考えていまして,全く使っていない,使えない,将来についてもそうだということであれば,価値ゼロとするのは至極当然なことだと理解をしておりまして,先生がおっしゃるように,その後にいろいろな使い方が可能であることが判明してきたら,あるいは工夫ができてきたということであれば,その時点でもう一度復活すればいい話でありまして,そういうことを明確にすることの方が第三者からしてもわかりやすい財務諸表であるという判断につながるのではないかと思います。
【森本委員】
  今のことなんですけれども,例えば土地ないしは校舎を持っていまして,使わなくなったから,それを取り崩すと基本金が減ると。何年かたって,若干だか,相当だか,手直しをしてもう一回使い出すということになってくると,固定資産がふえるという処理になっちゃうと思うんですけれども,従来そういうようなことの話を全然聞いていなかったもので,確かにそうしちゃえばそれはそれで済むかと思いますけれども,何となくこれまでの流れと違うかなという気がするだけです。
【鈴木委員】
  それにうまく合致するかどうかはわからないですが,金融機関の場合には,貸出資産についてそこがつぶれたり,あるいは担保が取れなかったりというふうになりますと,その分を償却するわけです。そうしますと,資産からも落として,損金処理をするわけですが,後日それが生き返ることもままありまして,償却資産を戻して資産にもう一度組み込むというふうなことは至極当然にやっている話でございます。ですから学校でも当然やるべきと単純に言うつもりはありませんが,世の中ではそれほど珍しい話ではないのではないかという気はいたします。
【片山委員】
  減損会計の適用についてですけれども,企業とは違いますから,企業会計的な減損会計は適用しなくてもいいかと思います。例えば,社会福祉法人の会計基準でも減損会計を適用というふうに言っておりますけれども,事業区分で一つは社会福祉事業,それから公益事業,収益事業ということで,社会福祉事業,公益事業については適用しないで,収益事業についてだけ企業会計的な減損会計適用という形になっていますから,もし学校法人会計基準でもそういうような形も取り得るかもしれませんけれども,本体の方ではいわゆる企業会計的な減損会計というものはなくてもいいのではないかと思います。表現で減損というふうになっていまして,それが微妙に今まででも,取得原価主義でも,有価証券なんかについては価値が大幅に下がれば強制評価減を適用しますよね。ああいうのも減損というふうには言っていたと思うんですけれども,最近の企業会計的な減損会計は考え方が違うと思うんですね。だから,従来どおりでも,有価証券なんかについては減損の対象になっていますが,固定資産については確か決定していません。だから,固定資産について従来的な強制評価減をするということは決めてもいいかと思います。ただ,企業会計的な減損会計の適用はしなくてもいいのではないかと思います。
【鈴木委員】
  私も企業会計的な減損処理をすべからくすべきだと言うつもりはないのでありまして,前の会合のときも申し上げましたが,例えば金融機関から借入れをしていた場合に,不動産を担保として差し出していることがあります。そうしますと,金融機関としては担保については日々というか,きちっとその価値をトレースしているわけでありまして,価値が下がりましたら,追加で担保を差し入れるか,又はそのほかの取扱いを講じるように迫られるというのが一般的です。したがいまして,これを決算書に反映させるか,させないかはともかくとして,自分のところの体力というか,資産がどういう状況にあるのかということについては,例えば決算期等には少なくとも認識しておいた方が健全な経営のためには至極大切なことかなとは思います。
【高橋委員】
  この議論についてなんですけれども,企業会計的な減損会計にはなじまないなとは思うんですけれども,ただ,やはり使わなくなった資産を減損会計がないから落とせないというような状況になっているのは何かこれはおかしいのかなというふうには思っています。ですので,やはりしかるべき機関決定があれば,建物はあるけれども,有姿除却的な形で会計上は落としていくという道は残しておくというか,つくるというかというふうにするのが現実的かなと思います。ただ,先ほど森本委員からお話がありましたけれども,また使うようになることがあるんだよというときの手当てというのはちょっとどうしたものかなとは思いますけれども,一時点でこれはもううちの学校では使わないということになったときには,落とすべきではないかなというふうに思います。
【佐野委員】
  減損は,前回も申し上げましたけれども,学校になじまないかどうかでございまして,今の問題,例えば有姿除却的な考えの問題と,それからよく話題になったバブル期に取得した不当に高い土地価格など,土地の簿価ですね,こういった問題は,内容的には2つ別にあるものだと思っています。
 前者の問題につきましては,使わなくなったのか,使えない資産なのかというのは区分して考えるようにして,使わないという意味でいうと,それは意思決定の問題ですから,今の学校会計の中でも基本金の取崩し要件に該当するので,それは基本金という貸方の概念で整理されます。使えないとなったときに,やはり除却の問題を考える,若しくは耐用年数の短縮で済む問題なのか,その辺は判断が要ると思うんですけれども,そういった減価償却をしているような資産で,使う,使わないという問題と,それから不当に今の経済情勢からいって,相当不当な価格,不釣合いなもの,これをどうするか。これは土地に限らず建物でもあるかもしれませんけれども,そういったものをきちんと区分して整理して議論した方がよろしいのではないかというように思います。
【大橋座長】
  そういうことが何らかの形,意思決定に基づいて使わないということ,実際にまた使えないというような状況になったときに,きちっとした処理ができるような,そういう指針が原則として要りますよね。ありがとうございました。
 金融商品の方は,これはそぐわないとか,注記でいいんじゃないかとか,そういう指摘がありましたが,これについて何かご意見はございますか。
【片山委員】
  金融商品会計の時価評価,公正価値での評価の問題です。ほかの非営利法人などの会計基準で,公益法人会計基準も,それから社会福祉法人会計基準も,金融商品については時価会計導入ですよね。ただ,これらの会計基準では,金融商品について時価評価をして,同時に評価益も計上しています。企業会計ではその他の包括利益が計算書に入ってきていますから,連結ベースでは計上しますけれども,当期純利益のところまでは純資産直入方式で,損益計算書には反映させないわけです。ところが,公益法人会計基準も,社会福祉法人会計基準も,有価証券の評価益については,いわゆる事業活動決算書に評価益を計上しています。企業会計でもやっていないものを非営利法人の会計基準では評価益は損益計算書的な計算書に計上してしまうわけです。学校会計基準の方でも,時価会計を導入,ではどこに評価益を計上するのかというのが問題になると思うんですね。同じように事業活動計算書のところに有価証券評価益と計上せざるを得ないかと思います。そうすると,それはやはり問題があると思うんですね。何でほかの非営利法人の会計基準ではそういう時価会計を導入したかというと,企業会計ですと,利益に計上しますと,株主への配当とか何かで資金の流出が生じますけれども,非営利法人の場合には剰余金が出てもそれを分配するということはしないので,だからそこのことは考えなくてもいいと。なるべく資産の期末時点の状況がわかるような情報を提供するという意味で時価会計を導入していると思うんです。しかしながら,そういうふうになりますと,市場の変動によって,かなり本体の方の業績といいますか,経営状況に影響を及ぼしますので,それが果たしていいのかどうかと考えますと,企業会計では時価会計導入なんですけれども,非営利の方で,ほかの非営利法人の会計基準と同様の方式をとらなくてもいいのではないかと思っています。ですから,注記のところで時価に関する情報というものを今は開示をしておりますけれども,更に情報開示の仕方を工夫する形で補足するということにしたらどうかと思います。
【鈴木委員】
  私も結論的にはただいまの委員のおっしゃるお話どおり,注記ということなのかなと思います。ただ,資料5のところですが,学校法人の資産運用が長期的な満期保有目的の運用が大半ということですが,それはそのとおりと思うのですが,御案内のとおり,今,金融商品というのは非常に多様化しておりまして,満期まで保有しましても必ずしも元本が戻ってこないというものもままありますから,こういう理由でもって評価損益をうんぬんというふうなのはちょっと少し危ない面もあるかもしれないということだけ御指摘させていただきます。
【大橋座長】
  この書き方は元本が保証されているという書き方ですね。わかりました。
【佐野委員】
  基本的に片山委員がおっしゃったのと同じ立場なんですけれども,今実務で非常に困っているのは金融商品会計が導入されていないんだから,いわゆる強制評価減で回復可能性があると認めればいいじゃないかという学校側の意見と,それから一方で決算報告書提出までに現実に回復していないじゃないかということで,結構意見の食い違いが出ることがあります。そういったことを考えて,かつて文部科学省さんの方で運営調査委員会からの報告がありましたけれども,それに合わせてといいますか,付随して,この強制評価減のところの条文の適用というか,運用についてといいますか,例えばですけれども,ちょっと強権になってしまいますが,50%以上落ちたら必ず行うんだとか,そういったような意味で,解釈の余地が少なく,また,でき得ればいつまでというめどでの回復についての指針を出すとか,そういった手当てをして頂ければ,いわゆる金融商品会計というと範囲が広くなりますけれども,有価証券についての手当てとしてはよろしいんじゃないかというふうに思っています。
【大橋座長】
  ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。
 では,先にいきましょうか。退職給与引当金(退職給付引当金)ですね。これは平成23年度に要支給額の100%を計上することで統一しました。これはかなりきついですが,現状どおりでいいんじゃないかということですね。幾つか,そんなにはないと思いますが,独自の年金制度の引当てルールですね,これが必要じゃないかということが指摘されています。これでよろしいでしょうか。
 特段の意見がありませんでしたので,連結会計にいきます。ちょっと学校にはなじまないのではないかと思います。
【佐野委員】
  いわゆるオンブックするという意味での会計は必要ないと思うんですが,関連当事者取引のところをもう少し義務化といいますか,範囲を含めて義務化して,重要性の判断基準が甘く適用されないように少し統一的な基準をつくっていただく方向で手当てすればいいのではないかというふうに思います。
【大橋座長】
 よろしいですか。そうすると継続法人にいきましょうか。これは先ほど説明していただきました。とは言っても具体的に行き詰まっている学校がありますよねという,そういうものを自らの情報をどういうふうに考えるかという課題が残りますよね。
【佐野委員】
 いわゆる企業会計における継続企業の前提の注記をイメージしたものと,ここで書かれているのは多分違うだろうと思うんですが,ここの学校法人会計の中で考えるのは,やはり企業でいっているような継続法人の前提についての注記を書かせるべきだという議論ではなくて,何かそういった兆候があって見えている重要な疑義が生じるような事象とか,状態があるという客観的な事実を並べて,そうだけれども,今こういう状態にあるということを計算書類で手当てさせるのか,事業報告書の記載項目に入れるのかについてを,まず何が重要な疑義を生じさせるような事象か,事態なのかということをきちんと整理した上で,会計情報に入れちゃうのか,事業報告に入れるのか,整理をされてはいかがかなと思います。といいますのは,注記となると,非常にこれは短期間の,短時間の議論では済まなくなります。まさに今,大学設置認可の在り方なんかも検討をやっているわけでございますけれども,その辺の問題って全体に響くかと思いますので,決してこの問題をたな上げするということではなくて,この短期間で手当てするのであれば,問題点を出して,こういう問題があるということを理事者が認識していますというところを説明させるというところを手当てしてはいかがかなというふうに思います。
【大橋座長】
 全体として学校の出す情報の中にこういうことが必要になってくるということですね。事業報告ですかね。この継続法人の前提で何かございますか。
【鈴木委員】
 私は以前に日本私立学校振興・共済事業団の学校法人活性化・再生研究会のメンバーでありまして,そのときここのところが随分議論になり,先行きこういう対応が是非必要なのではないかということが提言としてまとめられたという経緯がございます。そうした立場からしますと,せっかく会計基準を改定するわけですので,全面的に合わせてやるべきだというつもりはありませんが,何らかの形でこうした提言に資するような工夫ができるのであれば,ここであわせてやっておいた方が時間軸から考えてみても,望ましいことなのではないかという気が個人的には相当いたします。
【大橋座長】
 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。このほか,この間合併について,片山委員でしたでしょうか,もう一度ちょっとお話しいただけますか。
【片山委員】
 現実に私立学校の環境は厳しくなってきているわけで,今後は今まで以上に再編成,合併とか,そういうことが起こってくると思うんです。そのときに合併会計・結合会計の基準というのは明確にはされていないと思います。それを明確にしないままでいいかどうかという提案です。
【田辺専門官】
 確かに3月までの論点整理で,ここの問題については触れられていなかったので,特に資料の中では入れないというふうにしていたんですけれども,基本的に持分プーリング法でやるのか,バーチェス法でやるのか,つまり簿価で引きつぐのか,時価で引きつぐのかの問題だと思うんですけれども,過去のほとんどの事例は取得原価主義でやっている以上,簿価ベースでいくというのが基本ですので,何らかの形で書くとするとそういう方向になるのではないかと思います。それを会計基準の中に入れるのか,どの形にするのか,検討が迫られているのかなというふうに思っています。
【大橋座長】
 大きな課題になってきていることは確かですよね。
【佐野委員】
 今,3月までの論点整理になかった項目ということで,合併問題というのが上がったので,ついでに少し。実務で見ていまして,いろいろ話題になっている問題として,結構海外からの学生さんを受け入れたり,海外へ行ったりしているという点から,外貨建ての資産負債についての換算,これは一般的なルールはありますけれども,学校会計の方では特段の定めがなくて,どうしようかというようなことがあるようでございますので,外貨建ての換算問題も一つ検討の中に入れていただければと思います。
 それから,退職給与引当金(退職給付引当金)が話題になりましたけれども,やはり今,例えば債務保証の引当金や損失引当金の問題であるとか,賞与引当金,それから役員退職給与の引当金,こういったもろもろの引当金についても,現場では割と企業会計に従うのか,従わなくてもいいのか,学校会計はどこかにあるのかというようなことで,問題が提起されるので,その辺も時間が許す限りで盛り込んでいただければと思います。
【片山委員】
 今日御提案された財務諸表3表に対する感想ですけれども,公開される情報として一般社会の人たちが見た場合にどういう受けとめ方をするかなと思いました。消費収支計算書は名称が変わりましたけれども,区分別の財務諸表になり,一方,資金収支計算書は,本表の方では資金収支計算書は従来どおりの一区分の計算書で,組替表という形では出ていますけれども,両方出ておりますから,消費収支計算書の変わり方と,資金収支計算書の変わり方は違うと思うので,そこら辺も一般の人たちはどういうふうに受けとめるだろうかというふうに実は思います。それで,一般の人たちは私立学校振興助成法による会計基準というのと,私立学校法に基づく閲覧義務というのとの違いといいますか,ねじれがあると思いますが,そこのところは一般の人たちはわからないと思うんですよね。だから,どうして資金収支計算書の方は本表の方では今までどおり一区分になるんだろうかというので,いろいろな,あれっというような印象を受けるのではないかと思うんです。
【大橋座長】
 あるでしょうね,きっと。
【片山委員】
 そこら辺のギャップをどう埋めたらいいかという問題があるかと思うんです。
 それで流れとしては,やはり学校法人会計基準としては,飽くまで補助金目的を主とする会計基準であると。それで情報公開用のいわゆる財務会計としては,補助金目的の資料を少し組み替えて情報公開をする。そういうふうに評価がされるのではないかというふうに思います。以上,感想でございます。
【大橋座長】
 それは残りますね。ほかにございますでしょうか。
 それでは,いい時間になってまいりましたので,きょうはここまでの議論とさせていただきまして,6回目,次回ですね。きょういろいろ御意見を頂きましたので,資料を追加修正させていただいた上で,引き続きまた議論を深めていきたいと思います。詳細は別としまして,基本的にこれで進めたいと,先に進んでいきたいというふうに思っています。
 それで,次回は資料追加,修正で,また議論を続けさせていただきます。その後,7回目ですけれども,そろそろ報告書という形で,素案を事務局に準備していただきたいと思います。それを議論していただきたいというふうに思っています。また,かなりきついかもしれませんが,計画として,予定としては年内に報告書の素案を完成させたいと思います。それを文科省のホームページに載せていただき,広く一般から御意見を頂く機会を是非設けたいというふうに思っています。
 以降,12月20日の会議までに事務局が素案を用意しまして,用意する過程で皆さんに御意見を伺いたいというふうに思っておりますので,またそういう機会をもうけさせていただきますので,御協力をお願いしたいというふうに思っています。次回の日程について,事務局からお願いします。
【田辺専門官】
 ありがとうございました。次回,6回目でございますけれども,1週間後,12月6日木曜日,14時から16時まで,同じ時間帯で,今度は文部科学省の方で行いたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
【大橋座長】
 その後の日程でいきますと,ちょっとずれ込んじゃうかもしれませんね。では,閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

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