資料1 第1ワーキンググループ(奨学金貸与事業関係)における論点整理

 独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会
第1ワーキンググループ(奨学金貸与事業関係)における論点整理
(案)

■ 奨学金事業に関する事項

(1)債権回収の在り方

○金融的手法に着目した回収促進策の在り方

【検討会(第1回)での議論のポイント】
奨学金に関する議論は過去に相当尽くされており、それらをベースに議論すべき。

【ワーキンググループ(第1回)での議論のポイント】
・奨学金制度の趣旨を損なわないよう、金融的手法と制度趣旨のバランスをとることが重要。

 

○延滞者等の状況を調査・分析するなど調査・分析機能の在り方

【検討会(第1回)での議論のポイント】
・奨学金返済能力の有無の把握など独立行政法人としての調査分析機能が弱い。

 

○債権管理(債権の償却、延滞金、保証料等)の在り方

【ワーキンググループ(第1回)での議論のポイント】
・独立行政法人日本学生支援機構の長期延滞債権は回収コストが高くつくため、償却の在り方を検討する必要があるのではないか。また、延滞金の在り方についても検討する必要があるのではないか。

 

(2)学校との連携

○適格認定の在り方(教育的指導の充実という観点から、成績低迷者等へ奨学生としての適格性の判断や貸与金額の指導を、より厳格に行うなど適格認定の在り方)

【ワーキンググループ(第1回)での議論のポイント】
・奨学金を貸与している学生の勉学の成果を評価し、優れた学生には奨学金の返還を免除するなどインセンティブを与えることが必要。
・給付制奨学金の導入が難しいことを理由に貸与の規模を拡大させることが果たしてよいことなのか。大学院まで借りるとかなりの返還額になることから、貸与額の範囲を考える必要がある。
・有利子奨学金の原資は主に財政融資資金。国民から借りている資金を毀損させることはできない。

 

○奨学金制度に関する理解の促進(適時、的確な情報の発信・提供など)

【ワーキンググループ(第1回)での議論のポイント】
・奨学金の性格や返済方法など理解している奨学生が少ない。奨学金に関する情報をどのように伝達するか考える必要がある。

 

○その他学校との連携(役割分担)の在り方

【ワーキンググループ(第1回)での議論のポイント】
・現行の独立行政法人日本学生支援機構の奨学金貸与事業は、学校との結びつきが強いことが特徴。こうした関係を今後どうしていくか検討することが必要。

 

(3)新たなニーズ・制度等への対応

○大学等が実施する授業料減免など他の経済的支援の動向も踏まえた効果的な奨学金事業の在り方(大学等入学前に奨学金貸与の可否が分かる「予約採用」を増やすなど、安心して進学ができるよう学生の予見性を高める支援の方策等)

【検討会(第1回)での議論のポイント】
・給付型奨学金がないのは問題。
・奨学金の貸与を受ける学生の割合は年々高まっているが、まだ貸与申請をしていない者もおり、依然として多くの需要がある。貸与枠の拡大が必要。給付制奨学金も必要だが予算の関係がある。

【第1回ワーキンググループでの意見のポイント】
・国の事業として給付型奨学金制度を創設し、優秀な学生に対する育英的な観点から事業を実施してはどうか。
・日本の教育に対する公財政支出の対GDP比は低い。給付型奨学金の創設は必要だと思うが、相応の国民負担が必要。現段階では国民負担について合意が得られているとは言い難い。

 

○「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」(マイナンバー法案)による「社会保障・税番号制度」の導入(返還者の収入状況に応じた債権回収や制度を通じて得られた情報の適切な管理など)

 

■ 上記を踏まえた組織の在り方に関する検討課題

●類似する他業種・機関との役割の明確化(他主体への一部業務移管の可能性の存否)

【ワーキンググループ(第1回)での議論のポイント】
・民間の教育ローンに、利子補給金の支出等により、国がリスクテイクする代わりに、学力等の基準など運用面の条件を付けて制度設計して業務委託すればいいのではないか。
・民間は経済合理性に基づき行動するため、入口の段階で将来に返済が可能か否か審査し、資力がない者や返済が厳しい者には貸与はしない。今の制度設計を前提として民間に移管することは困難。

 

●奨学金貸与事業を安定的かつ持続可能なものとする組織の在り方(多数の小口債権と個人情報を長期間管理する法人としてのガバナンスの強化・効率化を図るなど組織の在り方)

【第1回ワーキンググループでの意見のポイント】
・独立行政法人日本学生支援機構の運営費交付金が削減される一方で貸与規模が増大する中、奨学金事業を安定的に実施するためには手数料を取ることも考える必要がある。

 

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(高等教育局学生・留学生課法人係)