資料1 独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会第2ワーキンググループ これまでの議論の概要

留学生支援事業について

【留学生交流支援全般について】

  • 日本語教育機関で学ぶ留学生がここ数年減っているのが懸念される。留学生の受け入れを戦略的に行うべきでそのためのコントロールタワーを設けるべき。(石原委員)
  • 日本留学のプロモーションは、外務省や観光庁など、様々な主体が取り組んでいるが、一元化できないか。また、民間や学生の力ももっと活用してもらいたい。(高橋委員)
  • 日本人学生の留学についての問題は、留学・帰国のタイミングと就職活動時期との重複があり就職につながらないことや、大学の国際化が進んでいないことがあるのではないか。(大本委員)
  • 留学生に対して、就職情報をもっと積極的に提供すべきである。就職情報を来日前から示せないか。(大本委員)
  • 留学生の受入れに関して、来日してからでないと決まらない事柄が多いことも問題。(秋山委員)
  • 留学生受け入れ(311億円)と日本人の海外留学の推進(31億円)の予算のギャップが大きい。後者をもっと推進すべきではないか。(高橋委員)
  • 日本学生支援機構の留学生支援の課題や役割を明確にすべき。(齋藤委員・秋山委員)
  • グローバル人材の定義を明確にすべき。(堀江委員)

【留学生交流の活性化について】

  • 留学生交流が明らかに不足している。学内に留学生がいるが、留学生とは隔たりがあり日本人学生は交わろうとしない。日本人学生と留学生の交流についてアイデアはないか。(高橋委員)
  • 日本学生支援機構から奨学金を借りている日本人学生に、利息や返済の免除等をインセンティブにして、留学生交流に関わってもらうのはどうか。(芳賀委員)
  • 日本人学生のアジアへの送り出しを増やすために、ボランティアや海外インターンシップも併せて検討すべきではないか。(高橋委員)

【留学生宿舎の在り方について】

  • 留学生宿舎を1つの大学だけで運営すると、狭いグループで固まってしまう。日本に来ている留学生が、日本人のみならず諸外国の留学生と交流し、ネットワークを形成することが出来る環境を提供することは、日本への留学をよりよく見せる1つの手段ではないか。(西澤委員)
  • 福岡の国際交流会館は、近くに留学生交流を支援するNPO団体の事務所があるなど、多様な交流を図る良い立地条件にある。是非活用して欲しい。(秋山委員)
  • 私立大学が独自に学生寮を運営すると、どうしても割高になってしまい、結果的に留学生の不利益になる。(大本委員)
  • 日本学生支援機構は、各大学の手本となるほうな留学生宿舎運営のモデル事業を構築するべき。(堀江委員)
  • 日本学生支援機構国際交流会館は、単なる宿舎ではなく、日本人と留学生、さらに大学を超えた交流を図る場として、また、留学生宿舎運営のモデル事業として存在する価値がある。加えて、会館の所在する地域の活性化にも貢献している。(谷口主査)

【奨学金の支給事務について】

  • 国費留学生の事務についてどの部分が事務的に一元化できるのか、日本学生支援機構で実施する場合には、具体的なフローを見ながら精査が必要ではないか。日本学生支援機構以外の機関への委託もあり得る。(谷口主査)
  • 国費制度の事務が大変なのは留学生の配置の部分だと認識しているがどうか。(西澤委員)

【日本語教育センターについて】

  • 日本学生支援機構の日本語教育センターが受け入れている1つに、外国政府派遣留学生がある。相手国政府は、日本政府が責任持って教育を行うことを期待していると思うが、民間に任せていいのだろうか。こういう部分こそ日本語教育センターの役割。(西澤委員)
  • 民間に任せてしまうと、受講者が少なく採算の取れない言語には対応されなくなるのではないか。国が多様な留学生の受入れを進めるのであれば、それを担保する体制が必要ではないか。(芳賀委員)
  • 日本学生支援機構日本語教育センターの学生は、民間の日本語教育機関の学生よりも日本語習熟度が高いとのことだが、日本語教育センターが持つ優れた教育プログラムを、モデル事業として広めてはどうか。そうすれば日本語教育機関全体の底上げが期待できる。(高橋委員)
  • 日本語教育は現在様々な主体が行っており、適切な役割分担が必要ではないか。(谷口主査)
  • 留学生の進学予定先の大学においても、日本語教育を実施している。(堀江委員)

【帰国留学生のフォローアップについて】

  • 帰国留学生のフォローアップと、次の優秀な留学生の呼び込みはつながっている。(堀江委員)
  • 日本に来た留学生全てのフォローアップを日本学生支援機構が担うことは不可能。各大学がそれぞれ独自にフォローアップを行っているので、そのネットワークを取り込むことも考えるべき。(堀江委員)
  • 各大学の海外拠点や、他の機関(国際交流基金、国際協力機構、日本学術振興会など)の出先機関との連携も不足している。海外の日本語学習者の活用なども考えられる。(谷口主査)
  • 留学生受入れ段階の窓口機能、フォローアップの強化、海外拠点の連携についてはそれぞれリンクしており、一つが欠けると効果が薄くなってしまう。(堀江委員)

【研修事業、メンタルヘルス等について】

  • 骨子に研修事業のことが書かれていない。また、学生支援事業部の方で議論されているメンタルヘルス等の話も日本人学生に限ったものではないので、留学生事業部の方でも触れるべきではないか。(齋藤委員)

【日本学生支援機構の役割について】

  • 大学の国際部長の立場から見ると、大学の留学生支援体制は人数が少なくノウハウがない。日本学生支援機構の研修事業やノウハウはありがたいが、大学側が十分に活用できていない印象。その結果、留学情報センターが仕分けで廃止になったのは残念。留学生については予約型私費留学生学習奨励費のニーズは高く、渡日前に受給が決まっているのは心理的にも大きい。民間の奨学金の多くは渡日後にならないと受給が決まらないことを考えると、民間の手の届かないところでもっと存在をアピールすべき。(秋山委員)
  • 予算の制約がある中で、日本学生支援機構、文科省、大学の役割分担を踏まえ、今後充実すべきものと、民間に任せるものとの切り分けが重要。(谷口主査)
  • 一大学ではなかなかできない情報収集・整理・発信や、モデルとして構築すべきことなどは、日本学生支援機構にしかできないことであり、力を入れるべき。(谷口主査)

学生生活支援事業について

【学生生活支援全般について】

  • 学生生活支援事業の予算が8000万円というのはかなり少ない。ネットワーク型の学生支援を将来的に考えていただきたい。(大本委員)
  • 日本学生支援機構の発信力が弱い。学生を取り巻く状況が大きく変化している中で、日本学生支援機構が先導的に、外向けに様々な情報を発信していくべき。本来的には、縮小・精選というよりもどんどん積極的に進めていくべき事業だと思う。(石原委員)
  • 個々の大学の取組の情報をうまく集積し、それをネットワーク化していくことが必要。(秋山委員)
  • 日本学生支援機構が行う事業だから良い、ということで各大学にオーソライズされているということは重要なこと。各大学の情報を収集・分析し、それを先導的に、政策提言に繋げる役割が必要。一方で予算が少ないので、優先順位付けが必要。また、更なる有料化で研修事業を充実する仕組みを検討することも必要か。(谷口委員)
  • 例えば、メンタルヘルスという要因・課題があって、その課題の対応策を出すという一対一関係の課題対応型は少なくなってきている。むしろ、学生を取り巻く現状が複雑化し、それに対する対応の仕方が総合的にならざるを得なくなっている。この文脈から、調査・分析や副学長クラスへの研修が必要になってきていると思う。(川島委員)
  • 社会全体で学生を支えることの必要性のみではなく、日本学生支援機構がその触媒役として全体をまとめることの重要性を強調することが必要。(西澤委員)
  • 支援の主体となる学生(当事者、学生団体、サークル)と日本学生支援機構との双方向的な関係を築いていただきたい。(芳賀委員)
  • 各大学の職員の多くは、自大学の中しか見ていないことが多い。日本学生支援機構の取組を通じて、各大学が今までのやり方を見直すための材料を提供する役割を担っていただきたい。(秋山委員)

【研修事業について】

  • 有料化を進めていくのであれば、ニーズの高い研修については更に有料化を進めていくべきではないか。また、研修事業や調査・研究など、民間企業が行えるものは民間企業に任せても良いのではないか。(高橋委員)
  • 消費者被害等については、外に出てこない被害もあり得るため、そういったものも含めて、学生を包括的に支援していけるような研修等を行っていただきたい。(大本委員)
  • 研修事業を精査したことは敬意を表したいが、大学側のニーズをすべて拾えているかというとそうは言い切れない。今後の検証で、より大学のニーズを反映できるよう期待したい。特に障害学生支援は重要だと思うので、是非進めていただきたい。研修事業については、専門性を持つ前の職員を対象としたもの、副学長等の統括的な立場の者を対象としたものを実施していただきたい。(齋藤委員)
  • 大学の立場からすると、日本学生支援機構が開催する研修だから安心して参加できる。一般の職員向けの研修や、副学長クラスの研修を行っていただきたい。(堀江委員)
  • メンタルヘルス等、学生のニーズの高いものについては、更に充実してほしい。また、例えば、障害のある留学生等も今後増えてくると思うので、それらを受け入れるための研修等も行ってほしい。(芳賀委員)
  • 日本学生支援機構の研修は新しい領域を取り上げている。情報発信だけではなく、モデルを提示していくことを含めて積極的に行うことを強調すべき。(川島委員)

【調査・研究について】

  • 調査・研究については、各大学には日本学生支援機構の調査に限らずいろいろなものがきており、日本学生支援機構の調査と重複する内容のものもあるので、統合・一括できるような工夫をしていただきたい。(齋藤委員)
  • 例えば、学生が内向きになってきているということが言われるが、それは直感的なもので、客観的に示せるデータは何もない。このあたりを日本学生支援機構が科学的な分析に基づいた、学生がどういう状況にあるかという日本全体を通したデータを示せると良い。(西澤委員)

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高等教育局学生・留学生課