資料5 独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会第1回(平成24年4月18日)議論の主なポイント

【奨学金関係】

  • 奨学金の返済が非常に滞っており,貸与は民間に移していくべき。その際,保証人や利子補給が問題となるが、これは大学等で考えられることではないか。逆に,現在のような経済情勢であれば,給付型の金額は少な過ぎるため、もっと大きくしてもらいたい。
  • 奨学金に関する議論は過去に相当尽くされており、それらをベースに議論すべき。主要国では、奨学金事業を完全に民間で実施している国はない。また、給付型奨学金がないのは非常に大きな問題である。また、独法としての調査分析機能が弱い点も問題。例えば、留学生数(協定に基づかない人数)や、奨学金返済能力のある人、ない人の区別など。
  • 奨学金貸与を受ける学生の割合は年々高まっているが、貸与を希望する学生のうち13%は実際には申請しておらず、もっと多くの需要があると思われる。給付も当然拡大してもらいたいが、給付だけでは予算との関係で無理もあり、貸与数を拡大してもらいたい。また、事業を民間金融機関で実施する場合、利息が上がることが懸念される。就職状況も厳しい中、利息も上がることになれば、大学進学を断念せざるをえなくなるのではないか。
  • 低所得者層の出身者などは、有利子奨学金の貸与を受けるには返還への不安が大きいようである。給付型や所得連動返済型など、安心して借りられるようなことを充実していく必要がある。
  • 民間の金融機関では、いったん延滞が始まってからでは難しいので、貸付時の審査と途上の管理をしっかり行うことが基本。こうした考え方をどこまで取り入れていけるのか議論したい。あまり金融的手法を入れすぎると奨学金事業の趣旨が損なわれるので、いかにうまく共存させられるか考えていきたい。

【留学生支援関係】

  • 住居の問題は重要かつ深刻な問題。経済同友会では、会員企業が留学生に寮を提供しているが、卒業後、相当数が日本企業に就職し、また親日家になっている。また、留学生と日本人学生が同じ寮で生活することも教育上効果が高いようである。
  • 留学生の今後の受入れの見通しについて、リーマンショックや東日本大震災の影響だけではない、別の理由で日本離れ・米国志向が進むという構造的な問題を危惧している。このような状況や今後の見通しも踏まえながら日本学生支援機構の在り方を考えなければいけないのではないか。
  • 東南アジアでは日本の高専のような技術教育への関心が高いが、所得水準が低く、奨学金がないと日本の留学が難しい。私費留学生を増やしたいが、限界がある。一方、派遣も、関心は高いが家計が経済的に厳しい者も多く、配慮が必要。
  • ASEAN諸国などでは、我が国への期待が、ハードの支援からソフト(人材育成)の支援にシフトしている。また、アカデミズムのみならず、職業のプロフェッショナル育成という面を、アジアなどから期待されている。国際人材養成、特に職業教育のアジアにおけるハブ機能を日本が果たしていくという考え方を持って、戦略を立てていくべき。

【学生生活支援関係】

  • 就職に関して、日本人・留学生ともにミスマッチが大きいので、財界と学校が連携して取り組むべき。
  • 発達障害の学生への支援体制や、メンタルヘルス等の問題への対応は、民間ではなかなか難しい。

【議論の進め方等について】

  • 日本学生支援機構の行う三つの事業の一体性や有機的な連関をどう見ていくのかがポイントではないか。
  • ワーキンググループ委員の兼任がないが、関連性を持たせるため、互いにやりとりがあった方がよいのではないか。

(以上)

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