平成21年8月4日火曜日
文部科学省東館6F3会議室
村山座長、池田委員、小池委員、佐古委員、長谷川委員、宮川委員、山極委員、山崎委員、渡邉委員
德永高等教育局長、小松高等教育局審議官、藤原大学振興課長、渡邉教員養成企画室長、田中教員養成企画室室長補佐
(1)事務局より、小松審議官、藤原課長が異動に伴う挨拶をした。
(2)事務局より、配付資料の説明がなされた。
(3)渡邉室長より、資料4に基づき、教職大学院の教育の質の保証に関するまとめ(骨子案)について説明がなされた。
(4)資料4について議論がなされた。
〔各委員の発言概要〕
【委員】
・現職教員の再教育における教職大学院の役割を踏まえて、現職教員にとって教職大学院をキャリアパスとしてどう捉えるか等現職教員における役割をより明確にすべきではないか。
【事務局】
・そもそも教職大学院は教員養成の6年制化に対応しつつ、教職課程改善のためのモデルとしての制度であり、現職教員の再教育を目的とする新教育大学とは性質を異にするものである。しかし、現状をみると、多くの現職教員が入学しており教員養成課程の改善システムとしての教職大学院の在り方との調和が今後の課題である。
【委員】
・教職大学院は教育委員会との連携を図っているが、教育委員会側は現職教員の方に関心が向いている。また、既存の大学院であっても教職大学院であっても修了の際には同じ「専修免許状」が交付されるシステムの中で、ストレートマスターを確保していくことは難しい。
【委員】
・現在設置されている24の教職大学院は3つのタイプに分けることができる。(ア)従来の教科を中心にした大学院と教職大学院の並列型の大学、(イ)宮崎大学や山形大学のように教職大学院一本に絞っている大学、(ウ)愛知教育大学のように研究科レベルから分離している大学の3タイプである。しかし、将来的に教員養成の大学院は教職大学院一本に絞るべきであり、教職大学院の中で、教科教育、学校教育、学校経営と分層化すればよい。ストレートマスターにとって今学びたいのは教科についてであり、現在の教職大学院はそれに対応しきれていない。以上のことは、長期的な議論かもしれないが今後検討していく必要はあると考える。
【委員】
・アフターケアを通して感じるが、入学者の確保において各大学はそれぞれ努力されていると思う。教育の質を向上させれば入学者が増えるというのは実に本筋ではあるが、努力している大学に対して側面から応援するような支援策を本会議において要望してみてもいいのではないか。
【委員】
・入学者の確保については、現職教員学生およびストレートマスター両者の確保について検討していく必要がある。上越教育大学においては、50名ほどの学部から教職大学院への連続コースを開設しており、将来教職大学院への進学を希望する学部学生に教職大学院の教員が特別授業を開講している。このようにしてストレートマスターの確保にも取り組んでいる状況。
【委員】
・学部において教科教育の位置づけが明確になっていない。また、一方で、6年間学んだ後の処遇も不明確であり、これが教職大学院の魅力のなさに繋がっている。
【委員】
・一方で、教員は現場で育つという考え方もあり、教職大学院を修了するメリットを明確にし、4プラス2で学んだことを保証できるようにすることが今後の課題である。
【事務局】
・修了後のメリットとしては、中央教育審議会の答申にもあるように、初任者研修の免除が挙げられる。教職大学院で初任者研修と同じような内容を学んでいるのであれば、教育委員会の判断により免除することができる。
また、初任者研修制度、10年目研修制度、教員免許更新制そして教職大学院は一体的なものとして教育委員会および大学において掘り下げてご検討いただきたい。
【委員】
・教職大学院の本来の役割、つまり教員養成に関するプロフェッショナルスクールとしての役割をしっかり整理する必要がある。そしてさらにカリキュラムや教育方法、教育委員会との連携が連関してくる。つまり、(ア)教職大学院に求められる役割の再確認、(イ)理論と実践の融合によるカリキュラム、教育方法の確立、(ウ)教育委員会等との連携は三位一体であり、ワンセットで議論していくべきである。
【委員】
・教職大学院で何が学べるのかということが明確になっていない。4年制の大学学部でやっていること以上の内容がどういうものなのか具体的に示していく必要がある。
また、現職教員学生とストレートマスターの合同教育については、両者の到達目標の違いを明確にし、合同教育の在り方について検討していく必要がある。
(5)渡邉室長より、資料1に基づき、教職大学院とデマンドサイドの連携について説明がなされた。
(6)福井県教育委員会小寺課長、久野参事より、資料2に基づき、福井県教育委員会と福井大学教職大学院との連携状況について説明・質疑応答がなされた。
〔福井県の主な発言〕
・現任校で教職大学院の履修ができる拠点校方式は、非日常性は乏しいかもしれないが、学校現場としては手放したくないが学んで欲しい現職教員の方々に学修できる機会を提供していただいており、ニーズとうまくマッチングしていると思う。
・福井大学はかねてより、不登校の児童・生徒のいる学校の学生ボラインティアを派遣したり、各地区に教育実習校を設置しているなど現場との交流が従前より盛んである。また、何より大学の教員が現場に赴く機会が多く、教育委員会からも実務家教員が派遣されているため現場と大学の結びつきが強固なものになっている。
(7)東京都教育委員会安間副参事より、資料3に基づき、教職大学院との連携状況について説明・質疑応答がなされた。
〔東京都の主な発言〕
・東京都としては、大量採用するために教職大学院を活用している訳ではない。採用数が激減したとしても優秀な新人教員は必要であり、教職大学院は優秀な教員を確保する一つの手法として維持していただきたい。
・カリキュラムにおける要望は各協定大学に示しており、すでに教育課程に組み込んでいただいている。また、実習等においても、どの大学も学校現場に任せきりになるということは全くなく、大学教員も週に1~2回程度学校に赴き、現場の教員と話し合いの上、熱心に指導にあたっていただいている。
・東京都としては、大学と仲間関係ができており、学習指導要領の改訂や新たに教職大学院に求められる資質・能力等について、どんどん協定に取り入れて、大学のカリキュラムに組み込んでいただく予定。大学側からもカリキュラムの改善について何か要望はないかと前向きなリクエストをいただいている状況。
【委員】
・東京都教育委員会は教職大学院修了者に対する処遇の整備が進んでいる。一方で、教職大学院で学んで欲しいこと等を明確に協定の中で大学側に伝えており、東京都教育委員会の強いイニシアチブが感じられる。
【委員】
・教職大学院のカリキュラムにおいて教育委員会サイドの要望をしっかり取り入れ、その後、検証・点検・評価という体制を整えている。特に義務教育は地域性が強いため、教育委員会と大学側が手を結んでその都道府県独自の教師を育てるという考え方があっていいのではないかと考える。
・教職大学院は理論と実践の融合の中で、現場でトレーニングをするという方法論を採っているが、やはりそこでも地域が求める資質や教育内容が重要であり、それらを大学側がきちんと提供していくことによって、徐々に成果が見えてくるのではないか。
【委員】
・教職大学院のそもそもの制度設計は2年間であり、その2年間を有効に使う方法を教育委員会と大学側できちんと検討していく必要があるのではないか。
【委員】
・派遣型だけに入学者を頼るのは限界がある。授業料を負担してでも教職大学院に行って学びたいと思う現職教員が、大学院に進学しやすい環境整備が必要。そしてこれらの学生を側面から支援する方策を教職大学院全体として打ち出すべきではないか。
【委員】
・個人の希望だけで適当な時期に教職大学院に送りだすのではなく、教育委員会の中の人材育成、人事システムの一環として教職大学院を位置づけて考えていくことが必要ではないか。この明確な位置づけによって、教職大学院と教育委員会の連携がより確かなものになっていくと考える。
【委員】
・県・地域によって対応における温度差があるのが現状。この会議をとおして各地方にアピールしていきたい。
【委員】
・各教育委員会が今後計画しているリーダー養成の規模についても協議、連携していくことが必要。
高等教育局大学振興課教員養成企画室