教職大学院の教育の質の保証に関する協力者会議(第1回) 議事要旨

1.日時

平成21年7月8日水曜日

2.場所

中央合同庁舎第7号館共用会議室905B会議室

3.議題

  1. 座長選任
  2. 教職大学院の現状
  3. 各大学の取組状況
  4. その他

4.出席者

委員

村山座長、池田委員、小池委員、佐古委員、高橋委員、長谷川委員、宮川委員、山極委員、山崎委員、渡邉委員

文部科学省

德永高等教育局長、義本大学振興課長、堀教員養成企画室長、渡邉教員養成企画室室長補佐、田中教員養成企画室室長補佐

オブザーバー

群馬大学入澤教授、兵庫教育大学渡邉教授、島根大学高岡学部長

5.議事要旨

(1)堀室長より、配布資料の説明と委員の紹介が行われた。

(2)事務局からの提案により、座長を村山委員に決定した。

(3)義本課長より、資料2に基づき、本会議の趣旨について説明がなされた。

(4)堀室長より、資料3、4、5に基づき、教職大学院の現状について説明がなされた。

(5)群馬大学入澤教授より、群馬大学教職大学院におけるティーム・ティーチングの取組みについて発表がなされた。

(6)兵庫教育大学渡邉教授より、兵庫教育大学教職大学院での教職実践コラボレーションセンターの取組みについて発表がなされた。

(7)島根大学高岡教授より、島根大学教育学部で取組んでいる「プロファイルシート」について発表がなされた。

(8)自由討議

〔各委員の発言概要〕

【委員】

・教職大学院は制度ができてからわずか2年であるが、すでに様々な課題を抱えている現状である。しかし、一方で大きな可能性も有しており、このような教職大学院を今後どうしていくべきか本会議でじっくり議論していく必要があるのではないだろうか。

・教職大学院における理論と実践の融合という新しい教員養成の在り方を分かりやすくイメージ化していく必要がある

【委員】

・教職大学院において、ストレートマスターと現職教員に対して一緒に教育するということは非常に難しいことであり、これらの学生をどのようにうまく組み合わせて本来の教育目的を達成するのかが教職大学院のメリットを整理する上でも非常に重要なポイントである。ストレートマスターと現職教員が一緒に学ぶことのメリットが理解されないうちは、入学定員の確保も難しい。

・教職大学院の存在を学生に理解してもらうには、学部からの連続という認識が必要である。

【委員】

・定員割れの問題を解決するには、国、教育委員会、大学の三者が連携することが重要である。また、既存の大学院と教職大学院で学生を取り合う結果になってしまっており、大学単位での個別の取組みだけでなく全体としての仕組みづくりが必要である。

 ・教職大学院で養成していこうとしているミドルリーダーとは、どのような資質を持っているべきなのか明確にする必要がある。求められる教師の管理職像や資質について明確にした上で、その内容を踏まえたカリキュラムに改善していくようにしなければならない。

【委員】

・教職大学院においても、専門職業人を養成するカリキュラムであるという意識づけが必要である。

・地域における学校支援機能の仕組みづくりが非常に重要であり、そのためにも教育委員会や学校現場との連携が必要になってくる。学校現場に影響力のある教職大学院にならなければ、なかなか成果が得られないのではないか

・人間として、教員として成長させるという視点で個々に丁寧に教育していくことも必要である。

【委員】

・教職大学院の制度設計時において、何が現場から望まれたかという点を確認しつつ、既存の修士課程と教職大学院(プロフェッショナルスクール)は何が違うのか明確にする必要がある。プロフェッショナルスクールは、現場で起こっている問題に対して即座に反応し、アクションリサーチができる力を養成するところである。プロフェッショナルスクールとアカデミックコースの違いは何かを明確にしないと、定員確保の問題や現場が求めている問題解決にはつながらないだろう。

・学部教育に上乗せするプロフェッショナルスクールとは何かが問われている。理解して勉強した人とその現場でやれる人との違いであり、プロフェッショナルスクールは現場でやれる人を育てるところである。

【委員】

・教職大学院は、学部教育の理念を持った大学こそが作るべきものである。学力重視の社会の中で、既存の修士課程における教科に関する教育研究については様々な課題が指摘されている。一方で、多くの現職教員の中には教科の力をさらに身に付けていきたいという要望があり、これらのニーズに対応していくことが必要である。そのようなデマンドサイドからの視点で、教職大学院の中においても、教科に関する選択科目の構築をどうしたらいいか検討する必要があるのではないか。

【委員】

・教職大学院の質保証という点においては、カリキュラムのコアな部分である実習の問題が挙げられる。実習については、各大学で様々な工夫が図られているが、受入れ側の学校の声をきちんと把握する必要がある。それを踏まえて今後の改善方策を検討していってはどうか。

・現職教員の多くが派遣による者であり、自発的な入学者が少ない現状である。今後さらに積極的なPRや教職大学院に進学する魅力を感じさせるような改善を図っていく必要がある。しかし、自発的な入学者を増加させていく取組みは個々の大学の努力では限界があり、勤務しながら大学院で勉強できる条件整備や大学院進学を促すインセンティブづくりなど全体としての支援策の仕組みを築いていくことが重要ではないか。

【委員】

・デマンドサイドの意向を踏まえた理論と実践の融合によるカリキュラム、教育方法に関する現状の分析が必要であると考える。これらを明確にすることによって、教職大学院のメリットも具体化してくるのではないだろうか。

・学部の教職課程にとって、教職大学院のカリキュラムがどのような影響を及ぼしているのかという視点における検証も重要であると考える。

【委員】

・教職大学院の魅力、つまりストレートマスターの感じる魅力と現職教員の感じる魅力をもう少し丁寧に議論する必要がある。また、既存の修士課程と教職大学院の違いを大学自身で明示することによって、教職大学院の魅力をアピールしていくことが重要である。

・現状においては、既存の修士課程を修了しても教職大学院を修了しても同じ専修免許状を取得することになっている。共通科目や実習など負担の大きいカリキュラムを課している教職大学院を修了しても、自分の興味のある専門分野について集中的に研究できる既存の修士課程と同じ免許が交付されるシステムの中だからこそ、既存の大学院を選んでしまうというのもあるのではないだろうか。

(9)德永高等教育局長から協力者会議の開催にあたり挨拶が行われた。

 ○これまで教員については、養成、採用、研修そして処遇改善の4本柱で文部科学省の施策を進めてきた。養成段階の改善においては、免許法の改正だけでは限界があり、教員養成においては大学教育の方法および内容の質保証が重要である。

○高度専門職業人の養成において、医師養成とは異なり、教員養成の世界においては、教員養成学部に限らず幅広く教職課程を認定して、その上で国家試験もなく、大学の履修の証明だけで教員の資格を認めている極めて特異な制度である。そのような中で、高度専門職業人養成モデルとして教職大学院はどう機能していくのかということが重要である。

○教職大学院は、国立の教員養成学部というよりもむしろ全体の教職課程のレベルアップを図っていく中で、教職課程改革のモデルケースとして制度設計されたものである。よって、学部本体の教職課程の改革を前提として教職大学院は設置されるのは当然のことである。今後、教育委員会との連携のもとに初任者研修の免除など、教職大学院を修了するメリットをさらに明示していただきたい。

○教職課程の改革として、教職実践演習や教職指導という新しい大学の教育活動の概念も導入されている。このような中で、教職大学院が当該大学における全教職課程のいわば司令塔のようなものになっていただけるよう望んでいる。

○本会議においては、教員養成学部と教職大学院という視点だけではなく、幅広く一般の学部における教職課程と教職大学院という視点を踏まえてご議論いただきたい。

 

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