獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(第2回) 議事要旨

1.日時

平成21年1月21日 水曜日 10時から12時

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 獣医師に求められる知識・技能、資質について
  2. その他

4.出席者

委員

唐木座長、酒井座長代理、石黒委員、伊藤委員、加地委員、片本委員、廉林委員、小崎委員、境委員、田中委員、長澤委員、西原委員、政岡委員、山崎光悦委員、山崎恵子委員、山田委員、山根委員、吉川委員

文部科学省

戸谷高等教育局担当審議官、藤原専門教育課長、坂口専門教育課企画官、德岡専門教育課課長補佐、南野専門教育課課長補佐 他

オブザーバー

植田環境省自然環境局総務課動物愛護管理室長

5.議事要旨

(○:委員 ●:事務局)

 

(1)事務局より前回欠席した協力者について紹介があり、協力者から自己紹介を兼ねた意見発表が行われた。主な発言は以下の通り。

 

 ○ これからの大学教育は、入り口管理である学生確保と出口管理である進路指導が重要な課題である。特に獣医学教育はライセンス教育であり、また、グローバル化の中でどのような獣医学教育を進めていくかということが、大きな課題である。

 

 ○ 前回の議事録を見たが、問題点はかなり明確で、改善の方向性もある程度定まっていると感じた。しかし、どうしても大学のエゴや地域の事情という障害があり、思うように再編統合は進まない。個々の大学の自助努力のみで改善を行うことも無理だと思う。

   この会議では、構想自体は非常に良いが、なかなか現実的には難しいというところでとどまらないように、日本の獣医学教育が世界に対して胸を張って誇れるようになるよう、大学の事情等はさておいて、ぜひ協力させていただきたい。

 

 ● 今、獣医学教育あるいは獣医師の仕事が注目をされてきており、重要性が増してきている中で、積年の課題を解決して、さらに前進させるための重要な時期に来ている。そうした意味で、結果を出していく会議にしたいと思っている。

   これまでの長い議論の積み重ねがあるが、これから必要とされる獣医師、あるいは獣医学教育に必要な質の確保とは何なのか、そのために必要なものは何なのかということをやはりしっかりと積み上げた議論をして、それをきちんと中教審などにも報告をしていく必要があると思っている。そうした積み上げの議論を行うことこそが、非常に重要なステップであると思っている。

 

(2)事務局から資料説明の後、資料4~6に基づき、田中委員、廉林委員、山根委員から意見発表が行われ、それぞれの意見発表に基づき自由討議が行われた。意見発表の概要と主な発言は以下の通り。

 

<田中委員意見発表>

 

 ○ 地方公共団体の獣医師が担当する主な業務は、公衆衛生分野、家畜衛生・畜産振興分野、自然保護・環境対策分野の3つの分野に大別される。公衆衛生分野には食品衛生、生活衛生環境分野が含まれる。家畜衛生・畜産振興分野には、家畜防疫、家畜衛生、畜産技術、人獣共通感染症、獣医事、薬事行政が含まれる。自然保護・環境対策分野には、鳥獣保護、動物愛護等が含まれる。これらの3つの分野は密接に関連をして業務を行っている。地方公共団体の職員である獣医師には、これらの分野に関係する知識・技能が必要とされ、それぞれについてプロフェッショナルであることが求められる。ただ、獣医職の採用であっても公務員であるので、公務員としての基本的な資質を兼ね備えているというのが大前提となる。

   家畜保健衛生所の業務では家畜伝染病予防法に基づく検査、これに関連する指導の実施が大きな柱となる。伝染病の検査としては、法定の牛、馬、鶏等の検査があり、こういった検査の実施のほか、良質で安全な畜産物が確保できるかというような視点に立った指導や各種疾病に対する精密検査などがある。産業動物獣医師が少ない地域においては家畜保健衛生所が人工授精、繁殖管理まで含めて担わざるを得ないようなところもある。こういった基礎的な検査についてはある程度大学で技術を習得してくるため、新採の獣医師であっても即戦力として活躍をしているが、病性鑑定の実施については迅速な初動体制と的確な対応が求められるため、経験や判断力・専門的な技術が求められる。また、家畜保健衛生所では伝染病や疾病対策以外にも、食の安全に向けた食育の実践等を実施している所が増えている。例えば、小学校等を訪問して、牧場から食卓までの畜産物の流れや、牛乳ができるまでにどうやって乳牛の健康を維持していくのかといったことを話し、食育の実践に当たっている。

   家畜保健衛生所とは別の組織になるが、高原牧場では酪農家の子牛を預り飼育、人工授精させて農家へ返すことを受託している。都市近郊の県の多くは、生産者のところで足腰の強い牛を育てることが難しくなったので、高原牧場で子牛を預かり、強い足腰と胃袋の子牛を育てている。高原牧場の獣医師の主な業務は、子牛の育成、人工授精、優秀な和牛の受精卵移植であり、繁殖管理に関するの知識・技能が求められる。また、最近は消費者との触れ合いを図っており、バターをつくる体験教室や産業動物との触れ合いの機会を設けている。

   農林総合研究施設、いわゆる畜産研究所と言われているような県の施設では、畜産新技術の研究やブランド畜産物の作出・改良が主な業務である。また、良質な自給飼料の改良も獣医師が担当している。埼玉県ではこども動物自然公園という施設を管理しており、以前から獣医師の県職員が出向しており、動物の診療を担当するセクションや動物園で働く人を管理するセクションで勤務している。獣医療のほか、管理運営部門で働いている。また、浦和競馬場にも県から獣医師が現在3名出向しており、競馬場の診療獣医師と協力をしながら、競走馬の健康管理や競馬場の運営に携わっている。

   以上が家畜衛生・畜産振興の分野で働く獣医の職場の案内だが、獣医職であっても大前提として公務員としての基本的資質が求められる。さらに生産から消費までの食の安全確保、畜産物の安定的な供給及び生産者の経営安定のために、専門的な知識を活用することが求められる。また、獣医師単独での業務だけではなく、あらゆる分野で連携をして進めていく必要があるので、そういった視点に立った上で専門的な知識を大いに活用していくことが求められる。特に高病原性鳥インフルエンザやBSEの発生は、畜産業界に甚大な影響を及ぼすだけではなく、国民全体に対して大きな問題を招く疾病であるため、こういった疾病に対する、病態の解明や未然防止対策が大変重要な課題となっている。

   次に生産構造の変化に伴う生産性向上に向けた技術開発という点に関して、現在、生産者の高齢化やそれに伴い農家戸数が減少している中で、農家1戸当たりの飼養頭数が増加傾向にあるが、そういった生産構造の変化に伴い疾病のあり方も変わってきている。慢性的な疾病や複合的な感染症など、少しずつ生産性が落ちていくような疾病というのが、近年非常に多くなっている。こうした事態にどのように対処していくかというのも非常に大きな課題になっている。

   最後に、グローバル化に伴う家畜・畜産物の輸出入の増大及び防疫体制の強化という点に関して、グローバル化に伴いさまざまな疾病が侵入する可能性が高まっているため、各省庁とともに、現場においても防疫体制の強化に目を光らせなければならなくなっている。

   以上のように、食の安全から防疫体制の整備に関して、現在でもある程度の対応は図られていると感じるが、新興感染症対策や慢性疾病の病態の解明、治療等の決定打や生産性向上に向けた改良等の技術的な研究は、財政難から県のレベルでは縮小傾向にある。こういったところは産官学のあらゆる分野が関与して、相互の協力体制を一層推進していかなければ、畜産農家が苦しい状況に追い込まれてしまう。

   新規採用される獣医師は、狭き門となっていることもあり、学術的・知能的には優秀な獣医師であると感じるが、技術や知識はある程度、仕事をしていく上で身につく部分でもあると思う。教育という範疇に入るのかわからないが、正確な情報を農家から得たり、症状を聞いても病名などの判断ができなかった場合にほかの人に相談するといった、コミュニケーション能力が非常に求められる職場であるが、そういった部分が、我々が採用されたころに比べれば少し足りないと感じる。

 

 ○ 獣医師が担当する主な3つの業務の1つである家畜衛生・畜産振興分野についての説明だけでも本当に幅広く、多くの協力者がいなければならないと感じた。説明のあった家畜衛生・畜産振興分野の中には公衆衛生分野の獣医師が担当している業務もかなり含まれていると思うが、それらをあえて分けたのはなぜか。

 

 ○ 主な業務の3つの分け方は、所管する省庁による。例えば公衆衛生分野には、食肉衛生検査センター、衛生研究所、保健所といった厚生労働省所管の施設が入るが、業務自体はそれぞれの分野で単発に発生しているものではない。

 

 ○ 家畜保健衛生所の業務の一環として動物薬の薬事監視があったと思う。また、牛乳等の抗生物質の残留検査といった業務も入っていたと理解しているがどうか。

 

 ○ おっしゃるとおり。説明が抜けていたが、動物薬事行政も家畜保健衛生所で担当している。適切な動物薬の流通に関する各種指導も行っているし、牛乳の成分検査についても、基本的には乳業メーカーや生産者団体が品質検査をすることになっているが、家畜保健衛生所でも品質の検査をしている。

 

 ○ 自治体によって違うと思うが、家畜保健衛生所で勤務する獣医師数や、職員全体数に占める獣医師の割合、新規採用される獣医職の数はわかるか。

 

 ○ 埼玉県では、家きんついては120~130戸で500万羽程度、乳牛であれば1万5,000頭程度いる中で、畜産行政に当たっている家畜防疫員は60人程度。畜産行政分野の新規採用獣医師は、埼玉県では多くて年間2人で、ゼロの年もこの10年ぐらいの間にはあったと思う。

 

 ○ 厚労省系列の公衆衛生分野、農水省系列の畜産振興を含めた家畜衛生分野、環境省系列の分野にそれぞれどれぐらいの割合の獣医師が勤務しているのか教えていただきたい。

 

 ○ 公衆衛生分野について、全国ベースでは、約4,700名の獣医者がおり、そのうち3,000名弱が家畜関連の業務に携わっている。また4,700名の中には、環境省関係の動物愛護業務に携わっている獣医師もおり、地方自治体レベルでは環境省の所掌業務も含めて、公衆衛生分野ということで衛生部局の中に含まれている。

 

 ○ 大きな獣医師の集団としては家畜共済事業である産業動物に係る業務があるが、埼玉県では何人くらいあるか。

 

 ○ 実際に診療をしている家畜共済の獣医師は15人程度で、埼玉県では恐らくここ数年、共済には新規採用の獣医師はない。

 

 ○ 県職員においても家畜共済職員においても、計画的な獣医師の採用をしてこなかったため、団塊の世代がまとまって退職して大変であるという話を聞くが、採用を計画的に行うことが重要である。

 

<廉林委員意見発表>

 

 ○ 4,700名ほどの獣医師が公務員として公衆衛生業務に従事しており、多くが自治体の職員である。法律上、狂犬病予防法における狂犬病予防員、と畜場法における畜検査員、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律における食鳥検査員、これらについては法律の中で獣医師であることという規定がある。このほか、食品衛生法で食品関係施設の立入検査等を行う食品衛生監視員についても一定の資格要件が定められており、獣医師がその一つとなっている。動物の愛護及び管理に関する法律に関しては、動物愛護の担当職員という名称であるが、獣医師等専門的な知識を有する者規定されている。また、環境衛生の各法律に基づき、化製場、理容、美容、墓地、興行場、旅館等で立ち入り検査等の業務を行う環境衛生監視員についても食品衛生監視員と同様に、資格要件に獣医師が定められている。感染症法では、動物由来感染症に関する多くの規定で、人に感染させるおそれのある動物、あるいはその死体、そういったものを調査できるのは、やはり獣医師である。この法律の中では獣医師とは明記されていないが、例えば厚労省の局長通知の中では、医療と獣医療の連携による情報収集、監視体制であるとか、感染症対策、環境衛生対策、動物対策等の各担当部門の連携による予防及び発生時の適切かつ迅速な対応、といった体制を整備しなさいとあり、この中で動物対策を担当している職員は獣医師である。

   具体的にどういう業務があってどういう職場があるかは、当然のことながら自治体によって差異があるため、ここでは東京都の場合を中心にご説明をさせていただく。ほとんどの自治体では獣医師を採用した場合、獣医師が要件となるような業務を担当する幅広い部署に配置することになるが、東京都の場合は職種として獣医師があるため衛生監視員とは別の採用区分となる。獣医師という職種で採用をされると、獣医でなければできない狂犬病予防と食肉検査を中心に、感染症対策を含む動物行政、食品衛生部門を異動することになる。職員は企画調整を担当するような部門や、住民に身近な保健所、専門分野別の事業所などを異動しながら、仕事の種類や質の変化に対応できるようになっていく。衛生研究所にも獣医師が配属されるが、ここに配属された職員は原則として試験検査あるいは学術的な調査研究を担当するため、いわゆる行政職との一般的な人事交流というのは基本的にはない。

   次に、具体的な仕事の内容を説明するが、狂犬病予防・動物愛護管理・感染症対策を含めて、動物行政という形で対応している。東京都では、動物愛護相談センターという名称で、日常行うような仕事を一括して特別区と多摩地域で分けて対応している。ただ、島嶼部では保健所にいる獣医師が動物行政も担当している。地方では、おおむね保健所の獣医師と連携し、役割分担をしながら仕事を進めている。動物行政分野の業務を幾つかに区分して説明すると、まず一つ目の柱としては、動物愛護と適正飼養の普及啓発ということが挙げられる。その中では、犬のしつけ方の講習会や子供たちを対象にした動物教室、あるいは隣の犬の鳴き声に対する苦情対応という業務もあり、こうした仕事の中では動物の習性をよく知っていないといけないので、動物行動学の知識が必要である。特に苦情対応では、飼い主の飼い方や環境を聞きながら、状況に応じて助言をしていかなければならない。また、増えてしまった地域猫が苦情になる事例が市街地では増えているため、不妊去勢の手術を行うなど各地域におけるボランティアのグループの方たちを支援している。獣医師は当然そういった手術ができなければならない。

   動物愛護管理法が改正され、ペットショップは登録が必要となったため、衛生基準も含めた監視指導を実施している。感染症法関係でも、感染症予防のための措置を講じるよう努力義務規定があるので、特に感染症を中心にした知識も必要である。小学校低学年を対象に行っている動物教室では、命の大切さ、噛まれないようにする方法、病気の種類、噛まれた際の対処法などを教えている。保護した動物を譲渡する際に必ず受けてもらうしつけ方教室や模範的な飼い主になっていただくための講習会を実施している。

   二つ目の柱は、地方の仕事の中心になっている動物の保護と管理である。東京では、特に交通事故に遭う猫等が非常に多く、そういう通報があれば行って保護し応急措置をすることになる。また、捕獲収容した動物は、飼い主が現れる可能性があるため、一定期間飼養管理をしなければならないので、健康管理ができなければならない。飼い主があらわれなかった動物については、できるだけ新しい飼い主に飼っていただこうと、譲渡事業を盛んにやっている。したがって、この分野では、臨床関係の知識が必要となる。

   最後に、特に人の健康に対する危機管理があげられる。大きな課題として、人と動物との共通感染症対策があり、動物由来感染症に関する調査研究、普及啓発に日常の業務の中で取り組んでいる。また、感染症が発生したとき、動物に関する発生状況・流通経路の調査、飼い主等への衛生管理の指導というのが公衆衛生分野の獣医師の業務である。東京都の場合は、保健所が人への調査・対応、動物愛護相談センターが動物の調査と飼い主への指導、という役割分担をされている。

   さらに、特定動物という主に危険な動物を飼う場合には許可・監視指導が必要となる。昨年、東京都では50匹程度の毒蛇を無許可で飼っていたという事件があったが、こういったことに対する監視指導も獣医師の業務である。

   次に公衆衛生獣医師としての大きな仕事の分野が、食肉衛生の分野である。東京都には食鳥検査を行うような施設がないのでと畜検査が中心となるが、食肉衛生検査所において牛、豚、馬、山羊、羊の5種類の家畜については、食肉にするためには必ず検査を受けなければならず、この検査は自治体の仕事になる。と畜検査では、まず生きているうちに異常があるかどうかを見る生体検査と解体をしてそれぞれの内臓あるいは枝肉等の、パーツごとの検査がある。更に、必要に応じて精密検査が行われる。それらの検査全てに合格して、初めて食用として流通する。そういう意味では、かなり神経を使う仕事である。当然のことながら、家畜疾病一般の知識が必要であり、解剖する段階で異常が見つけられるかどうか、またその異常が一部分なのか全身に及ぶような何らかの疾病であるかどうかという判断を、日々行わなければならない。よって、解剖病理、組織検査、精密検査、微生物学的・理化学的・組織病理検査といった検査に関する知識と技術が必要である。更に、BSE検査も行っている。東京の芝浦にあると畜場では1日に430頭を処理しており、自動分析機を導入し効率的に対処している。食肉衛生という観点からはこうした検査に加え、解体処理あるいは合格してからの部分肉への加工、内蔵の処理といった処理行程の中で、微生物汚染を防止しなければならない。O-157の発生でと畜場の解体処理の衛生管理は非常に厳しいものになった。微生物汚染を防止するための厳正な指導が食品衛生検査所の重要な仕事になっている。そういった意味では、当然のことながら食中毒を初めとする食品衛生に関する知識が必要になる。

   最後に食品衛生の分野では、保健所が中心になるが、飲食店等の営業許可や衛生状態の監視指導、食中毒が起こったときの調査、苦情対応などがある。幅広い食品衛生の知識というものが必要になる。東京都の場合は、広域監視部門を別に設け、都内の大規模な食品製造施設や牛乳工場などHACCP施設、輸入業などを担当している。こうした施設は、保健所が地域ごとに地域割で担当することよりも、一括して広域的に担当したほうが効率的であるとの考えから、そういった事業所も持っている。広域監視部門に配属されると幅広い食品衛生知識に加えて、各部署の専門的な知識が必要になる。ほかにも東京でいえば築地、太田、足立のような市場には食品衛生検査所を置いているところもあり、こういう検査所では主として、水産物、青果物に係る知識や検査技術が必要とされる。また、地方衛生研究所では、食品等の行政検査とともに検査法の改良開発といった調査研究も行っており、ここでは学術的な知識、技術が必要とされる。

   食品衛生全体を考えると、基本は食中毒対策であり、食中毒を予防するために何をするか、起こってしまったらその原因を究明し拡大防止を図ることが重要である。昨今、ノロウィルスによる集団発症というのがかなり多くなっており、感染症なのか食中毒なのか、その判断に迷うというようなケースが少なからずある。やはり疫学的な知識がより必要となっている。また、理化学検査では農薬等を扱うため、ガスクロマトグラフ等の分析機を使うことが当たり前となってきており、そういう意味では検査に関してもより高度な技術が必要とされる。

   公衆衛生分野は本当に幅広く深い知識・技能が必要とされ、まさに応用分野であるといえる。更に、獣医学の基礎分野、あるいは応用実証分野の知識と技術を当然持っている必要があるが、行政では監視、指導、苦情処理、検査等、様々な業務に知識・技術を活かしていかなければならないため、大学で学んだ知識・技術を現場や行政の中で応用する力が必要とされる。大学基準協会が作成した『獣医学教育に関する基準』の中に、「将来高度な知識と技術と応用能力を有する獣医師となるための基礎を培う」とあったが、まさにそのとおりだと思う。

   この応用力を教育の中で修得させるためには、特に公衆衛生分野では、より実践的な内容や手法を用いて教育を行うことが有効だと考えられる。また、公衆衛生分野に就業する学生が減少していることが問題になっているが、大学の授業の中で実践的な内容を取り入れれば、公衆衛生に対しての理解も進み、興味も沸くのではないかと考える。

   獣医師である前に公務員であるため、東京都の職員としての資質も求められる。職員に自己申告で自己評価をさせる制度があるが、評価の要素には、例えば業務内容を理解をした上で職務を遂行したか、持っている知識・情報を十分活用したか、解決策を企画をして提示ができたか、適切は説明はできたか、的確な判断はできたかなどがあり、こういう要素が求められている。獣医師の専門性を行政に応用できるかどうかということである。さらに、    公衆衛生分野では、食肉検査や動物を対象とした業務とはいえ、本当の対象は人である。事業者に対しても苦情者に対してもその人を納得させられるコミュニケーション能力を含めた、社会人として必要とされる能力というのが、実は本当に大切なところだと思う。

 

 ○ 獣医師というのは、まさに現場での問題解決能力が求められる。そのためにはバックグラウンドとなる十分な知識・技術を持っていなくてはならない。

 

 ○ 愛護センター業務などの中で感じるのは、地方に行くほどネットワーキングが難しくなり、例えば地域猫にせよ食品問題について誰と相談して誰の力を借りればよいか、一歩間違うと、とんでもないネットワークの中に入ってしまう経験が過去多数ある。

   そういった中で、応用力というのは、真理眼をつくるということだと思う。学部教育で全てを行うことは、どの分野でも不可能である。知らないことがあったら何に関しては誰に聞けばよいか、インターネットで検索して出てきた1,000、2,000の情報源のうち、自分が必要なものを選ぶ能力をどうやって身につけさせるか。恐らくこれは獣医学教育だけではなく、小中高教育の中で基礎をつくっていかなければいけない。

   動物分野に関しては、残念なことに獣医師のネットワーキングの力が一番弱いと思う。狂犬病の予防講座の際に獣医師に言われたことであるが、実際に狂犬病の大きな流行が起こってしまったら、脳の採材の技術を持って診断できる獣医者が実は少なく、非常に怖いことだという。その実習が大学でできるかというと、愛護センターから動物が供給されていた頃と比べて、現在では一部の愛護団体の声で処分された遺体の供給すらままならない状況である。それを仕方ないですませるのではなく、獣医師自身が関係者とつながり状況を改善していかなければいけない。それを学生に求める前に、獣医師や大学教員が考えていかなければならない。

   また、産業動物の畜産振興や職域の偏在等の問題点が出てきているが、例えば2012年の欧州のバタリーケージ(多段式のケージ飼育)の全面廃止を含めて、WTOなどで産業動物の福祉というものが非常に大きな関税障壁になってくる日が近づいている。WTOやEUの監督基準に関して、その倫理的な基盤や内容というものを、学生が学んでいないと傍観することになってしまう。

   研究室で顕微鏡をのぞき、切ったり張ったりの世界以上の視点で、どこで誰の手を借りるかということと、政治や法律がどのように流れているかということについての教育が欠けている気がする。

 

 ○ 大学の公衆衛生の実習では自治体で行っているような理化学試験ができていない。大学の教育と地方自治体での検査というものに大きなギャップがあるということをいつも痛感する。

 

 ○ 自治体によって違うと思うが、公衆衛生獣医師が畜産振興分野に異動して、感染症コントロールと食品衛生をサイクルで異動することはあるか。また、両分野の情報交換はどうなっているか。

 

 ○ 異動については同じ東京都の中であるので可能であるが、局間異動という形になり、いわゆる定期異動ではない。両分野の連携については必要性が高く、BSEの時も連携会議を開催する等の努力はしている。伊豆諸島では公衆衛生分野と家畜衛生分野の獣医師がいるが、片方が出張等の際には互いに助け合っている。

 

<山根委員意見発表>

 

 ○ 獣医師の職務領域は家畜衛生・公衆衛生だけでも非常に多岐にわたるが、そのほかにも動物医療というのが大きな割合を占める。動物医療の中は、産業動物医療と小動物医療に大きく分けられ、更に動物園の動物やエキゾチックアニマル、魚の病気も入ってくる。中でも、小動物、伴侶動物の分野では、一次診療と二次診療といわゆる高度医療があり、更に犬・猫ばかりを診る病院、小鳥の病院、ウサギの病院、爬虫類の病院、など動物種によって診る診療体制が進みつつある。また最近では、同じ犬の病気の中でも、循環器専門、脳神経関係専門、消化器、呼吸器と専門分化が進みつつある。このように動物診療も非常に多岐にわたっている。

   獣医師全体の職域を考えてみると、畜産分野では、牛乳とかミルクや肉とかチーズ、バターといった動物性タンパクの生産や、衣服関係、羊毛関係の業務に、獣医師は大きく関与している。家畜衛生分野では、家畜の疾病防止、外来疾病の侵入防止、さらに最近ではアニマル・ウェルフェアの理念のもと、産業動物であってもきちっとした環境下で飼育しなければ食に供してはならない時代が近づいている。公衆衛生分野では、食の安全、人と動物の共通感染症対策、動物愛護の取組があり、さらに最近では大きな問題になっているのが環境問題である。また、近年、動物介在活動が関東地区を中心に大きな注目を集めており、そういう活動も獣医師が関与している。さらに学校飼育動物を通して、幼児、小学生への情操教育にいかに関与するかということが今、大きな課題になっている。野生動物対策などもかなり全国各地で取り組みがなされており、さらに近年では医学と協調したバイオメディカル分野の研究、それから海外技術協力、大学における教育研究等、獣医師の関係する分野は多岐にわたる。

   獣医師に求められる知識・技能・資質は当然それぞれの職場によって異なるが、恐らくや獣医師には一般の職域よりは、特殊な技能・知識・資質が要求されるのが当然であると考えられる。社会より獣医師に求められる知識・技能の中で、資質は別としても、やはり獣医師として必要な基礎的な知識というのは大学教育の中でしっかりと身につけて、社会の要求に応えなければならない。その中でも畜産・家畜衛生に関する産業動物臨床獣医師には、職域における専門的知識や技術は当然であるが、そのほかに草地学、飼養学、遺伝学、さらには経営学的な知識まで求められる。産業動物の獣医師だけを見ても、非常に厳しい環境下にあり、給料も安く、24時間縛られる。さらにきつい、汚い、危険きわまりない仕事に携わるため、資質としても強靱な精神力が求められる。一方、小動物臨床獣医師には、強靱な精神力に加えて、飼い主の気持ちが理解でき、メンタル的なケアのできる資質のある人が求められる。また資質というのは、これは教育の中で身につくものではないと思うが、特に診療獣医師には、診療の対象である動物が言葉を話せない以上、まず飼い主とコミュニケーションがとれることが必要である。また、その根底には優しさや思いやり、責任感、忍耐力というのが求められる。

   獣医学教育で身につけさせるべき知識・技能については当然、社会から求められる職業に就く以上、必要とされる専門知識を持っていることは当然だと思うが、獣医学6年制一貫教育がスタートして二十数年を数えたが、改善と充実は大きく進んでいるとは言えない。特に、欧米と比較して、実務教育はいずれの分野においても余りにも貧弱であると。大学教育ではせめて各職域で再教育をしなくてもよい程度の教育を身につけて卒業させなければならない。公衆衛生関係でも地方の末端の職場のほうが大学よりも進んだことをやっている。家畜、産業動物の臨床ではどうかと言うと、16国公私立大学の中で、次世代移植をはじめクローン研究ができるような施設・設備・スタッフがいる大学は、ほとんどゼロである。むしろ地方の衛生試験所や家畜衛生保健所のほうが進んでいる。小動物診療の領域でも、私学5大学はすばらしい動物病院を持っているが、国立10大学では一部を除いて惨憺たる状況下の中で臨床教育がなされている。施設・設備はもちろんのこと、スタッフも足らず、たとえいたとしても、本当にそこにプロパーが張りついているかというとノーと言わざるを得ない。外科の担当する教員がメスをほとんど持ったことがないとか、画像診断の教授が画像診断が全く不得手であるとか、人数さえ揃えれば良いわけではない。身につけさせる知識・技能以前に、教育研究体制をしっかりと構築しなければ何にもならない。国立大学の教員1人当たりの学生数は、6年制をとっている諸外国と比べても遜色はないが、これを10に小分けをしてしまっているため、教員の絶対数が不足している。外科の研究室は2・3名体制がほとんどであるが、動物種がたくさんあり、領域もたくさん分かれている中、その人数で何ができるかという問題がある。外科学一つとっても、総論から各論まで時間内で教育することがいかに不可能であるか、ご理解いただけると思う。

   また、資質に関して、獣医事審議会免許部会で大きな問題になっているが、行政処分を受ける獣医師が近年増加してきた。モラルの低下は、社会のどこを見ても言えるかもしれないが、やはり公僕たる獣医師にはそれだけの獣医道や獣医師倫理というものをしっかりと大学で教育すべきではないかなと考える。獣医師として社会に何をなすべきかということをしっかりと頭にたたき込むということが、大事ではないかと考える。獣医師のライセンスが与えられるということは、特殊な技能と知識を持っていることによって、他の誰にもできない仕事をしてもいいよという委任状を国が与えているだけある。大きな背中に義務を背負っているということを丁寧に説明しなければ分からない獣医師が、どんどん社会に出てきている。獣医倫理というものについても、学校教育の場でしっかりと身につけさせるべきである。

   また、獣医師として最低限必要な基礎的な知識はもちろんであるが、各職域における専門知識も大学の中で身につける必要がある。そのためには、やはりコース別にして、より深い専門的知識等を教育するコースをつくるべきだと思う。誰もが獣医師の6年間の教育で、小動物臨床、大動物臨床、公衆衛生、家畜衛生、環境問題の全てを同じようなレベルで身につける必要はないと考える。あるところからは専門的なコースで教えていかなければ、実務ができ応用能力のある人材を育成することはできないのではないか。欧米、特にアメリカではインターン制度があり、獣医学教育を修了した学生は、卒業と同時に応用能力を発揮して実務ができるような教育がなされている。ところが日本の獣医師は、必ず社会に出てから再教育をしなければならない。欧米に留学させて国際的な技術と知識を身につけさせなければならないのが現状である。やはり、大学の中で最低限社会に通用する知識・技能は身につけさせなければならない。さらに新しい学術の動向を着実にとらえて教育の中に盛り込んでいくということが必要であるし、加えて医学、畜産学、歯学、工学、といった関連分野との連携協調というのもこれからはより深く求められると思う。

   我が国の小動物臨床教育の現状を紹介すると、まず大学における教育があり、次に卒業後における実務教育があるが、実際は大学における実務教育がなされていないため大部分が卒後教育に偏っている。これでは全く普遍的な平準化した知識・技能が身につかない。それから、大学の教員はプロパーがいないため平準化した知識・技能を持っておらず、我流でやっている例が多い。そのため大学や教授によって、メスの持ち方や縫合がばらばらで、そういった基礎的な技術さえ、教育の中で普遍化、平準化されていないというのが現状である。また、そういう教育を受けた卒業生が我流の獣医師の門をたたいて、代診という名のもとに実務教育を3・4年間受けるが、大学で学んだ技術を使わせてもらえないという、非常にいびつな現象が起こる。これでは技術が発展するはずはない。どこかで平準化した基礎的な技術・知識を身につけさせないといけないが、それが、大学における教育の大きな責任ではないかなと考える。高度獣医学ももちろん必要ではあるが、まず教育の中で大事なのは、そういう基礎的な教育である。卒業後の実務教育は、ほとんどが個人病院に見習いに入ったり、一部の人は大学に残って研究生や研修生になったりという状態であるが、大学の教員は非常に多忙なため、研修生や研究生をマンツーマンで教えることは不可能である。

   研究会、学会、講演会等に自主的に参加して、勉強する、覚えるというような方法もあるが、参加するのは一部の獣医師のみで、参加しないものも多い。参加できていない獣医師をどのように教育するかということが大きな課題である。研究会等に参加する一部の獣医師が外国で研修を受けている。このような現状があるので、何とか大学が基礎的な知識と社会から求められる高度な知識・技能・技術をしっかりと教育できるような施設に転換しなければならない。まず、大学教育では基本的で平準化した技術の習得や完備された施設における高度医療技術の習得、といったものが求められる。

   教育体制と内容について改善すべき点はというと、一つは効率化の促進である。効率化の促進には大学の再編整備しかない。今、文部科学省が、ようやく重い腰を上げて、大学の連携構想というすばらしい取組を進めているが。この協力者会議もその一環ではないかなと考える。また、有機的な体制の確立、連携プレーを重要視したほうがよいというのは、大学の中でも言えることである。外科と内科でうまくいっているところは協調・連携した教育体制がとれているが、各講座がばらばらである状態が多くの大学で見られる。もう一つは、責任の所在の明確化が必要である。東京都が求める人材にもあるが、高い志と責任観のある人材を育成するためには、まず大学の責任の所在を明確にする必要がある。今の大学の中では全員で議論しながらだれも責任をとらないということがあるのではないか。責任の所在を明確にする教育体制というのが求められる気がする。また、各論に入ってくるが、職域ごとに何が求められているのかを担当教員がしっかりと見据えて、最近の情報を盛り込んだ教育をしなければならない。それから、職域の偏在を生み出さない教育内容にする必要がある。平成8年には7,617名で職域に占める割合が26%であった小動物診療獣医師が平成18年には1万3,185名で36.8%と、この10年間で倍近くになっている。一方で、公務員獣医師は平成8年の9,385名で32.1%を占めていたものが、平成18年には8,998名で25.1%に落ちている。7%落ちているということは大変な数であると改めて認識した。このように偏在が起こっている大きな責任が大学教育にあると思う。職域偏在の解消には待遇改善も必要であるが、大学教育の中で各領域の魅力を感じモチベーションを高められるような教育をなされる必要があると確信している。

 

 ○ 獣医学教育の内容の問題については、国家試験というものが非常に大きな関係を持っている。国家試験と獣医学教育の関係はどのようなものか。

 

 ○ 獣医師国家試験は獣医師法10条にあるように、診療と公衆衛生の2つについて実施している。この2つの分野で、できるだけ応用力・実践力を問えるような出題にするため幾度か改正を行ってきた。現在の国家試験は、各科目の五肢択一の問題、応用力を見るために写真や図を使用した問題、医師国家試験や歯科医師国家試験のように臨床や公衆衛生の応用力を総合的に測る問題に分かれている。このような形になっている理由として、1つは医師や歯科医師の国家試験のような総合的な問題を作成するのが困難であること、もう1つは、以前、基礎科目の問題をやめることを提案した際に、国家試験から基礎科目が落ちると学生が基礎分野の研究室に来なくなり大学教育に支障が生じると大学から猛反発された経緯がある。

   獣医師国家試験は卒業試験ではなく、あくまでも獣医師に求められる知識・技能・資質を見る資格試験である。獣医師は様々な職域があり、獣医師国家試験で問うもの以上に幅広い分野で活躍しているため、当然大学における獣医学教育ではそれにこたえる内容の教育を行っていただきたい。私の場合は、4年生制大学卒業後に獣医師国家試験を受験したが、2年の途中で学部移行した後は月曜日から土曜日まで全く空き時間がないほどみっちりと授業や実習を含めた獣医学教育を受けたと記憶している。国家試験の対策は1月中旬から1カ月半の間勉強したが、国家試験の勉強を通じて様々な科目の役割や繋がりを頭の中で整理できたことは非常に良かったと思う。今日、私立大学の多くで夏以降は国家試験の勉強をしていると聞き非常に驚いた。大学は国家試験のための予備校ではないので、やはり大学教育をきちんと受けていれば、特別な対策をしなくても国家試験は合格できると思って出題をしている。

   4年制から6年制教育になったが、獣医学教育は充実しておらず間延びしただけのように感じる。国家試験との関係で獣医学教育に対して言うのであれば、以前のように4年までに基本的な教育は全て終えてしまって、5年では臨床や公衆衛生という獣医師国家試験で問うような内容や獣医師であれば必ず持っておかなければならないものを学んでいただき、国家試験をクリアできる力をつけていただく。その上で6年では、産業動物診療獣医師、小動物診療獣医師、公衆衛生獣医師、あるいは製薬会社や研究者といった、それぞれの職域ごとのエキスパートとなるために必要な教育を本人の希望に応じた形で教育を行っていただいた後に、卒業論文を書いて1月・2月に国家試験の勉強をするようにすれば、国家試験は十分クリアでき、世の中の期待にもこたえられる獣医師になれるのではないかと思っている。そういった教育ができる体制を大学で構築していただけるよう期待している。

 

 ○ 長年、臨床教育は重要だと言われながら、現実問題として臨床系の科目に携わる教員集団が、ある一定程度形成されなかったまま現在の状況に至っている。なぜ臨床教育に携わる教員の育成・確保ができなかったのか、大学にいても不思議に感じている。

 

 ○ 臨床系教員は公募をしても応募が少ない。応募があったとしても、専門分野が違う人が応募してくるということがよくある。なぜかと考えると、以前の大学の教育体制は、教授が退官すると助教授が教授になり助手が助教授になるといった体制であった。この3人体制で教育を行っていた上、学位も以前はあまり出していなかったため、スタッフが育たなかった。有望な人材がいたとしても1人か2人なので、引っ張り合いになっている。

   それでも公衆衛生や家畜衛生の分野では、研究機関に従事する者も多いためそれなりに人材が育っているが、動物診療の臨床分野では全く背景が違いうため、人材不足になってしまったのではないか。私の大学では臨床系教官が7名しかいなかったものを講座を増やして11名にしようとしているが、4年目に入っても十分整っていない。無理に人数を揃えようとしたため、外科を教える教員だけで5名も6名にもなってしまい、一つの外科の科目が、年間5・6人の教員が入れかわり立ちかわりで担当し、話す基準やレベルや内容等が違った教育を行っているため、学生がとまどっている。きちっとしたプロパーを雇って、責任ある教育体制を構築していくことが大学の大きな責任であると思う。

 

 ○ 次回の議論になろうかと思うが、今日の話の中で問題提起したいのは、二十数年前に獣医学教育が4年制から6年制になったときのキャッチフレーズは、臨床教育と公衆衛生教育を充実させることであった。にもかかわらず、この20年間でかえって状況は悪くなっているということをいわざるを得ない。そこを分析していかなければいけないと思う。

 

(3)事務局から次回の日程について説明があり、閉会となった。

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