歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(第18回) 議事要旨

1.日時

平成28年3月2日(水曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省13階 13F2会議室

3.議題

  1. 「第3回フォローアップ調査まとめ」の決定
  2. その他

4.出席者

委員

江藤座長、秋山委員、荒木委員、一戸委員、井出委員、川添委員、越川委員、小森委員、齋藤委員、西原委員、前田委員、俣木委員、山口委員、山科委員

文部科学省

松尾審議官、寺門医学教育課長、佐々木医学教育課企画官、島居医学教育課課長補佐、犬飼医学教育課技術参与、關医学教育課技術参与、竹本医学教育課医学教育係長

オブザーバー

厚生労働省医政局 鳥山歯科保健課長

5.議事要旨

(1)「第3回フォローアップ調査まとめ」の決定

(座長)それでは、議事に入ります。会議次第にありますように、本日、第3回フォローアップ調査のまとめの決定を行いますが、新たに御参加いただいている委員もいらっしゃいますので、まずは本会議の目的や今回の調査の進め方及びこれまでのフォローアップ調査の経緯について事務局から説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

(事務局)御説明いたします。まず資料1をごらんください。本協力者会議の設置の要旨をまとめたものでございます。
  目的としましては、「大学の歯学教育の改善・充実に関する専門的事項について調査研究を行い、必要に応じて報告を取りまとめる」としてございます。
  会議の構成ですが、別紙のとおりということで、先ほどごらんいただきました資料10の委員の皆様にメンバーとして入っていただいてございます。また、この(2)「必要に応じて、小委員会を設置して検討を行うことができる」とさせていただいておりまして、お配りしております資料11の小委員会のメンバーに御参加いただきまして、今回調査研究を進めております。
  本調査研究協力者会議につきましては、設置期間が本年度末、3月31日までということで、一旦、設置期間をそのように設けてございます。
  次に資料2をごらんください。今回のフォローアップ調査の実施要領でございます。これは平成26年7月に開催いたしました第16回の会議でお認めいただきまして、決定したものでございます。再度目的について御説明させていただきますが、1次報告を踏まえ、各歯学部の現状、対応状況を把握・分析し、改善に資することを目的としまして、ヒアリング調査を行うこととしております。また、歯学教育に対する社会的信頼を確保することを目的に、各歯学部の強みや特色を生かしたすぐれた取組や成果を積極的に発信するとしてございます。
  調査対象学部としまして、書面調査については全ての歯学部を対象に行い、今回ヒアリングは行っておりませんが、実施調査を行っております。実地調査については、こちらにございますような4つの項目に当てはまるところを対象に、今回14校に対して実地調査を行っております。
  裏面をごらんいただきますと、2ページ目に書面調査の進め方ということですけれども、机上資料4にございますような形で、各大学からフォローアップ調査で書面調査を行いまして、それを小委員会のメンバーに見ていただき、この机上資料4の形に取りまとめてございます。これがこの(2)合議審査のマル1にあります書面調査結果としてまとめたものが机上資料4でございます。また、実地調査につきましては、各委員の中で実地調査に実際に御参加いただいた先生もいらっしゃいますけれども、2ページの下段から次ページにわたってのものになってございまして、その実地調査結果の取りまとめにつきましては、机上資料3ということで整理をさせていただいております。
  続きまして、本会議の本調査の経過でございますが、資料9をごらんいただけますでしょうか。平成26年7月に第16回ということで、今回の第3回フォローアップ調査の初回の会議を開催いたしました。そこで実施要領をお決めいただきまして、11月25日から小委員会における検討ということで進めさせていただいております。書面審査につきましては、2月から3月にかけて、また、3月24日の第9回フォローアップ小委員会において実地調査の対象校をお決めいただき、6月から8月にかけまして実地調査を行いました。10月29日に小委員会で調査まとめの案を御審議いただき、本日3月2日に改めてその調査まとめの案を御審議いただき、決定させていただきたいと考えてございます。

(座長)ありがとうございました。
  それでは、ただいま説明のあった本調査の目的や経緯等を踏まえまして、今回の調査のまとめについて審議をしたいと思います。事務局から資料3について説明をいただきます。必要に応じて関連資料についても説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

(事務局)では、資料3をごらんください。フォローアップ調査の目的につきましては、今まで御説明したことのとおりでございます。
   おめくりいただきまして2ページでございますが、本調査の観点は、こちらにございますように、1から4の観点に基づきまして実施しております。また、3、フォローアップ調査の実施経過につきましては、先ほどごらんいただきました資料9のとおりでございますが、この2ページの一番下にございますフォローアップ調査の過程で各歯学部から提出いただいた資料、平成24年度フォローアップ調査における指摘事項に対する改善計画の対応状況、これにつきましては、本日お配りしております資料7、別添4という形でお配りをしてございます。詳細についての説明は省略させていただきますが、そのようにさせていただいてございます。
  3ページ、4、フォローアップ調査の結果、これにつきまして、ここから少し丁寧に説明をさせていただきたいと思います。(1)の全体的な取組状況は後ほど御説明させていただきたいと思いますので、(2)フォローアップ調査で見られた成果と課題、これにつきましてまず説明をさせていただきます。
  まずマル1としまして、入学定員(募集人員)の超過・未充足とさせていただいてございます。こちらにつきましては、資料4、横になってございます資料4をごらんいただきまして、各大学歯学部の入学状況及び国家試験結果、これを御参考にごらんいただきながら説明させていただければと思います。まず平成27年度の入学定員(募集人員)の充足率については、22年度と比較すると16.9ポイント改善しているという状況がございます。ただ、資料4をごらんいただきますと分かりますように、入学者の受入れについては超過、未充足、いずれもまだございまして、それについてはいずれも不適切とさせていただいております。特に入学定員(募集人員)を大幅に超過した入学者の受入れは、教育の質の低下を招くことから重大な問題であるとしておりまして、各歯学部は定員を遵守すべきとしてございます。一方、未充足の歯学部については、定員充足率や競争倍率を踏まえた適切な入学定員(募集人員)の見直しが必要であるとしてございます。
  続きましてマル2入学定員(募集人員)の削減につきまして説明いたします。こちらも引き続き資料4をごらんいただければと思います。おめくりいただきまして4ページですが、入学定員の削減につきましては、閣議決定並びに厚生省における検討会の意見を踏まえて削減に取り組んでございます。平成27年度の入学定員(募集人員)は、昭和60年度の入学定員(募集人員)に比べて27.3%の削減状況でございますが、まだ目標には達していないという状況でございます。その状況につきまして各大学により状況が異なっておりまして、これらの目標を達成していない歯学部には入学定員(募集人員)を削減するよう求めるとしております。
  また、近年、入学者選抜競争倍率の上昇を機に募集人員を増加する動きがございますが、現在抑制方針を政府として掲げてございますので、慎重な検討が必要であるとしております。なお、現在厚生労働省の歯科医師の資質向上等に関する検討会におきまして、需給問題を含めて検討が行われており、今後の入学定員(募集人員)の在り方については、その動向を踏まえて検討を行う必要があるとしてございます。
  続けて、マル3編入学者の受入れについて御説明いたします。こちらも資料4を参考にごらんください。編入学者の受入れについては、平成24年度のフォローアップ調査まとめにおいてもこのように指摘をしてございます。しかしながら、今回のフォローアップ調査では、全ての私立大学歯学部が募集人員を明確に設定せずに編入学者の受入れを行っており、かつ、大半の歯学部では恒常的に編入学を含めた入学者の受入れが募集人員を上回っていることが明らかとなりました。入学定員(募集人員)を上回る編入学者の過剰な受入れは、厳に慎むべきであり、加えて、編入学定員については、過去の受入れ状況に応じて、全体の募集人員の内数として適切に設定することを求めるとしてございます。

(座長)ありがとうございました。(1)、それから(2)でございますが、マル1の入学定員の超過や未充足、それからマル2の入学定員の削減、それからマル3の編入学者の受入れの状況でございます。これについて御質問、御意見ございましたら、お願いいたします。

(委員)今御説明の中で、編入学が募集人員を明確に設定せずにかなり行われているという御説明がありましたが、ちょっとここがよく分からなかった。どういった編入学があって、実際に定員を決めずに行われているというのは、実態としてどういうことが言えるのか、もう少し詳しく御説明いただけますか。

(事務局)資料4の5ページをごらんいただければと思います。こちらに歯学部歯学科における編入学者についてということでまとめてございます。編入学の受入れにつきましては、一部の国立大学また私立大学において行われているところでございますが、国立大学につきましては、編入学者の受入れに際しまして、定員を設けた上で入学者を受け入れているという状況がございます。私立大学につきましては、募集の際の人員は若干名という形で設けてございまして、それに対してこのような数の入学者を受け入れているという状況があるということでございます。

(座長)山口さん、よろしいですか。入学定員の中にある、国立の場合は中にある。

(委員)ということは、国立以外は、入学定員とは別枠で編入者が結構な数、実際に。

(座長)だから、過剰な受入れは現実に出ているということですね。

(事務局)追加で御説明させていただきますが、資料4の先頭のページを、資料の一番前のページをごらんいただければと思いますが、こちらでCの列でございますが、入学定員(募集人員)充足率でございます。この表の作りにつきましては、左側に「編入学を除く」、右側に「編入学を含む」とさせていただいておりまして、従来の取りまとめの中では、編入学を除くという形の数字を掲げてございますけれども、今回の実態を鑑みまして、編入学を含むという形で整理させていただいております。従来の見方で見ますと、編入学を除くということでしたら、こちらのような状況で、下にございます黒丸の指標に該当する大学ということで、充足率100%という基準で見ますと、こちら、黒丸が全部で5つというような状況でございますけれども、編入学の数字、編入学による入学者を、入学定員に対する入学者に重ねて、足してみた場合にどうなるのかというのがこの右側でございまして、全ての私立大学の方にはこの丸が付く状況にあるということでございます。

(委員)すいません。根本的なことをお聞きしていいでしょうか。これ、編入というのは、他学部からの編入ということなのでしょうか、それとも大学間で同じ歯学部で編入が起きているのか、そのあたりが、実態がよく分からないので、教えていただけますか。

(事務局)大学により異なるとは思いますが、恐らくは他大学等で一定の学習履歴を持っていらっしゃる方を2年次以上の学年で受け入れていらっしゃるという状況かと思います。

(委員)他大学の歯学部で学んで、また歯学部に編入学ということですか。

(事務局)それは、その学習履歴をどの程度大学が認めるかということになりますので、必ずしも歯学部でない例もあるかと思います。

(座長)いいですか、途中入学ですから、編入学は。それで、募集人員の概数になっている、外数になっているのをちゃんと内数に設定することを求めると、そういうことでございます。

(委員)分かりました。

(座長)これについて、ここに厚労省の検討会の動向を踏まえて検討を行うとなってございますが、厚労省からは何かコメントございますか。

(厚生労働省)今、事務局の方から御説明をいただきましたが、まず先ほど御説明をいただきましたこの資料3の調査まとめの案のマル3の山口先生からも御意見がありました編入学の受入れでございます。これはここに記載があるとおり、全体の募集人員の内数として適切に設定をしていただくことを私どもとしてもお願いをしたいと思っております。
  あと、マル3の上のパラグラフでございますが、一番上のアンダーラインの部分でございます、新規参入歯科医師数、これを10%程度抑制に達していない歯学部には早期に入学定員の削減をしていただくようお願いをしたいと思っております。
  それともう一つ、私どもが少々驚いておりますのは、その下の2行でございます、「近年、入学者選抜競争倍率の上昇を機に募集人員を増加する動きがあるが」というようなことで、恐らくこれは私どもとしても、最初お聞きをしたときには、そのようなことが本当にあるのかとかなり驚きを持ってお聞きをした次第でございますので、まさにここの記載にあるとおり、ここでは「政府の新規参入歯科医師数の抑制方針を踏まえ、慎重な検討が必要である」と書いてございますが、是非ここは大学側の方でそういったことがないように私どもとして強くお願いをしたいと考えておる次第でございます。以上でございます。

(座長)ありがとうございました。何か追加等ございますか。

(委員)つまり、いろいろ決めていても、例えば削減の方向なのに増やす傾向があったりとか、編入学もちゃんと募集人員の内枠に入れてくださいと言っても、外枠でというようなことが後を絶たない現状があると、はっきり言うとそういうことだというふうに解釈してよろしいのでしょうか。だとしたら、こういう文言だけで本当に改善の方向に持っていけるのかどうかというのが、こういうところで文章化することで改善につながるというふうに受け止めて良いのか、それでもまだ、もう少し強く何か打ち出さないといけないのか、これまでの御経験の中でそのあたりというのはいかがなものなのでしょうか。

(事務局)こういう状況を踏まえて、もし御提言を取りまとめていただければ、例えば個別大学に対するヒアリングとか、そういうものを細かく指導していくとかということもやっぱりやっていかないといけないと思いますので、是非その点も本日は御忌憚(きたん)なく御意見賜れば、それを踏まえて、厚労省とも連携をして、厚労省の検討会にもオブザーバーで参加させていただいておりますので、連携をとりながらやっていきたいと思います。

(委員)やっぱり歯科の質を上げるということでは、厳しく対応していただく必要があるのではないかと、受ける立場の人間からは思いますので、是非実効力のある対応をしていただきたいなと思います。

(座長)ということでございますが、この文言を、更にこれをいわば実行するには、各個別の指導も視野に入れると、そういう発言がございました。ほかに意見ございますか。どうぞ。

(委員)私もちょっと無力感はあるのですが、文章の問題で、4ページの下線が入っている今の「募集人員を増加する動きがあるが」というところですけれども、これですと何か余り強くない。もうちょっと強く書かれても良いのではないかなと。厳にそのような動きはあってはならないとか。慎重な検討が必要であるというのは、お任せしますよといわば言っているわけで、なので、選抜競争倍率の上昇を機に募集人員を増加する動きがあるのであれば、これはそういったことはすべきではないということをもう少し表現をする文章がいいのではないかなと感じます。
  いつもお聞きしますが、要するに、文章に従う必要というのは、大学側は、実際にはなかなか難しいということをお聞きしておりますが、後でも良いのですが、では実効性のある処置というのは一体何だろうかということも十分検討されたのだろうと思いますけれども、例えば、これは今でなくていいですが、私学助成金があるわけですが、ある大学は受け取っていないと。設立時からの信念で受けていないということもお聞きをしましたが、そういったことを見直すとかという、そういうことをより強くやるとか、例えばなんですが、医科の世界で初期臨床研修医に対する処遇の問題というのが議論されていまして、要するに様々な事情から、普通ではあり得ないような高給でもって臨床研修医の募集をしているというところについて、一定の率の削減、補助金の削減ということをしたのですが、今回の見直しでそれを更に強くするということに決定をいたしました。したがって、この部会ではそういうことについての議論はこれまでどうだったのかと。その実効性と在り方ということについてもしもお分かりになれば教えていただきたいなと。

(座長)どうですか。いわゆる法科大学院とは言いませんが、法科大学院のように、この評価の結果に基づいて、それを助成に傾斜させていくと。ただ、小森さん、今いみじくもおっしゃったように、ところが、全然私学助成受けてないところもあるという、そういった問題がございますけれども、こういった文言のみでは効力が薄いのではないかというのが小森先生の御意見の筋かと思います。私学助成うんぬんというのは、そちらから何かありますか。

(事務局)一定の入学定員の充足というものについての遵守が十分でない場合には、現行でも私学助成上、一定の減額等の処置があるわけでございますが、今、江藤座長がおっしゃった法科大学院のようなものについては、今、協力者会議の場では御議論はなかったと思います、正面からですね。ただ、そういう御指摘が、小森先生からありましたので、そこは今後の先ほど申し上げしたようなフォローアップの形をとる中で、また少し議論を検討していくということも考えなきゃいけないのかというふうに、今、小森先生のお話を承って考えている次第でございます。

(座長)では、その方向も一応検討の視野に入れると、そこまで踏み込むのでしょうか。

(事務局)それを踏まえて考えていかなきゃいけないということについてはおっしゃるとおりだと思います。

(委員)先ほど募集人員が増加の傾向があるという文言がありますけれども、これはここに黒丸が付いていて、今ある程度受験者が増えた。どこの学校というのは申し上げませんが、一時期、定員割れしている学校がすごくあったために、その数値が悪くなるので、言っている以上にすごく募集人員を減らしたわけですよね。減らしたことによって、充足率としては、ここに黒丸が付かないようにした学校が幾つかあったわけで、その後、受験者が多くなったので、元にといいますか、20%削減しているところよりは増やしているわけじゃないわけですけれども、ある程度戻したために、一見増えたような形になっているという、これはそういう表現だと思いますけれども。
  もう一つ、小森先生がおっしゃった臨床研修医の話ですが、医科の場合は、臨床研修医がいることによって、その病院はある程度の研修医に払うよりも、ある程度当然メリットがあるわけですが、何がしんどいかというと、研修医を全部受け入れざるを得ない。50人とか100人受け入れることによって、すごくいればいるほど負担になるという、そこがすごくしんどいというところがあるわけで、研修医に払うお金が、こんな恥ずかしいぐらいのお金でございますけれども、最低賃金に合わせて払っているぐらいのお金しか払えないわけです。そういう状況において、本当の歯科の部分の研修医というのは受け入れにくいところがあるのですが、自分のところは全部受け入れるという。それが非常に大学にとっても負担になっていることは負担になっているということ。医科の研修医の人と、歯科の研修医、そこに差がありまして、その辺非常に苦労していると思いますけれども。研修医がいればいるほどしんどいという感じになっていくというふうに思っています。

(委員)今の御意見の前半ですけれども、4ページの一番冒頭のところを見ますと、実際に削減はできているけど、まだ目標には達していないと書いてありますよね。ということからすると、一旦減らして、努力はしたけれども、まだそこのところは、ちょっと今増やしてもいいというような感じで増えているのではないかというような御意見に聞こえたんですけれども。

(委員)いやいや、それは学校によってですよ、一概には言えませんけれども、私立歯科大学のところで20%の削減ということに関しては、協定どおりやっているわけです、20%の削減で。その20%以上、定員をすごく割れた学校が20%以上に削減したのです。実は30%ぐらい削減した学校があります。この要望以上に。それは、逆に言えば、充足率がすごく、ここで100%に達していないようなところが出てくると、充足率が、中には70%から60%になってしまうと、形式上、すごく未充足率になってしまうので、募集人員をその年によって変えていたりするわけです。募集人員により学生からの授業料がストレートに効いてきますので、受験生が増えてくれば、元のところへ少し戻しているという意味だと思います。

(座長)ここにある指摘事項の例えばマル1の入学定員の超過や未充足に関して、入学者の受入れは超過又は未充足はいずれも不適切と。特に大幅な超過は教育の質の低下を招き、重大な問題でうんぬんとありますが、この文言については、個々の大学のありようを一応全部網羅しておりますから、その限りにおいては、これでよろしいということでいいですか。
  それから、今、未充足という問題と削減目標うんぬんの話がございましたけれども、削減目標を達していない歯学部は入学定員の削減を求めると。これもよろしいですね。
  募集人員の増加は、抑制方針を踏まえた慎重な検討が必要と。ここら辺は、小森先生、もっと強く。

(委員)書きぶりがね、もう少し強く書くべきだろうと考えます。

(座長)ということですね。ここら辺、抑制方針を踏まえ、抑制方針どおりにやれという話ですが、そこら辺の文言については事務局、お願いいたします。

(事務局)はい。

(座長)それから、編入学者の受入れでございますが、入学定員を上回る編入学者の過剰な受入れは厳に慎むべきと、非常に紳士的に言っていますが、ここら辺、過剰な受入れは禁止するとは言いません。禁止するという権限があるかどうかは別ですけれども、そこら辺も小森先生のおっしゃるように、少し行政としての指導力を発揮していただきたい、そういう文言にしていただきたいということでございます。
  よろしゅうございますか。
  それから、もちろんこれ、冒頭申し上げましたように、編入学定員は、過去の実績を踏まえて、募集人員の内数、これは厳守するということでございます。何かありますか。

(委員)「厳守すること」という文言にした方がいいと思います。

(座長)厳守すること。はい。
  それでは、次の(1)のマル4の留年率と退学率、それから全ての優れた入学者の確保と最低修業年限への歯科医師国家試験合格率の向上、これについて御説明をお願いいたします。

(事務局)では、御説明いたします。まず留年率と退学率ですが、こちらにつきましても資料4の9、10ページを御参照いただければと思います。まず留年率につきましては、平成25年度から平成27年度の3年間の留年率は全歯学部の平均で毎年20%を超えているという状況がございます。更に複数の歯学部では在学者全体の3人に1人が留年経験者等の状況がございます。また、退学者の状況につきましては、平成26年度の1年間に在学者の10%を超える者が退学している大学もあるということでございまして、抜本的な改善を行うべきとしております。その上で、各歯学部は適正な入学者選抜試験の実施を通じて、優秀な学生を確保した上で、最低修業年限で卒業できるよう努めなければならない。また、特に人の命や健康に関わる歯科医師として不適格であると考えられる者に対しては、進路変更を含む適切な指導を早期に行うべきであるとしております。
  続きまして、優れた入学者の確保と最低修業年限での歯科医師国家試験合格率の向上について御説明いたします。こちら、資料4では、6、7、8ページを御参照いただければと思います。
  入学者選抜競争倍率につきましては、平成27年度には平均で2.86倍となっておりまして、1次報告が出された平成21年度は1.70倍でしたので、改善が見られるという状況でございます。ただし、依然として入学者選抜競争倍率が2倍に満たないなどのところがございます。
  したがいまして、競争倍率の向上によるすぐれた入学者の確保に一層努めるとともに、最低修業年限での国家試験合格率の改善につながるよう、これは上段の近年の歯科医師国家試験の出題傾向を踏まえての記載がございますが、診療参加型臨床実習や学外の歯科医療機関等との連携による地域医療実習をより充実させることが期待されるとしてございます。マル4、マル5につきましての説明は以上でございます。

(座長)マル4の留年率と退学率、それからマル5の優れた入学者の確保と最低修業年限での歯科医師国家試験合格率の向上というところでございますが、御意見をいただきたいと思います。この2つは、学生の質の担保をどうするかという、そういった話でございます。

(委員)よろしいでしょうか。留年経験者がかなり多いということで、改善が見られないと書いてありますが、改善をするために何が必要なのかというところが、抜本的な改善を行うべきであると記載がありますけれども、何かもう少し具体的なことが必要なのかなということと、それから5番の最後の行のところにある診療参加型臨床実習や学外のということもありますけれども、OSCEに関しまして、医科で4年後に臨床実習後のOSCEということが実施する方向で今進められているということで、医科がするから歯科もやりましょうではなくて、OSCEに対して、教員にしても、学生にしても、厳正な態度で臨むということがどうも欠けているんじゃないかなということが、最近のいろんな試験問題漏洩(ろうえい)事件等々で感じているところでもありますので、そういうことからしますと、やっぱり技能・態度というのはほかで測るところがないということからしますと、臨床実習後のOSCEということが、4年後が無理だとしても、最低ここまでにやるというようなことをやっぱり打ち出さないと質の担保というところにはつながらないかなと思っていますので、そういったことも盛り込んでいただいた方が良いのではないかという提案でございます。

(座長)そういった技能・態度についてもちゃんと質の保証ということで、今OSCEという話をされましたが、臨床実習後のOSCEについて、医科の方は、2020年を正式実施というふうに一応決めております。歯科については、ここにおります俣木委員が小委員会のワーキンググループの座長をしておりますので、その辺のところを追加していただけますか。

(委員)それについては、本会において後ほど議論の機会がございますので、そこで説明させていただきます。

(座長)ほかにございますか。留年率、退学率、それから国試の合格率ですが、国試ということになりますと、厚労省でございます。この辺のところにつきまして説明をお願いします。

(厚生労働省)資料4の7ページをごらんいただきたいと思っております。昨年発表されました第108回歯科医師国家試験の結果ですが、新卒者、いわゆる現役の方々の出願者数、受験者数、合格者数、合格率を示したものでございます。ここでは、直近の第108回をごらんいただきたいのですが、私どもが最近、重視しておりますのは、一番注目される合格率もさることながら、実際出願された方のうちどれくらいが受験をしたかという、受験者率とでも言えるものでございます。そういたしますと、例えば一番上の北海道大学を見ますと、出願者48名のうち受験者が47名ということで、1名だけ、どういう事情か分かりませんけれども、出願はされたけれども、受験はされなかったという学生の方がいらっしゃいます。
  ただ、29歯科大学歯学部についてみますと、出願はしたけれども受験をしなかった、先ほど申し上げました受験者率とでも言うべきものが50%台の大学が5校あります。そうすると、こういった50%台の受験者率というものが、やはり学生、入学者の資質の面ということで、先ほども議題になりましたが、やはり入学定員にも、適正な入学定員ということにもかなり大きく関係してくるのではないかというような問題意識を持ちつつ、江藤先生を座長とする私どもの検討会でも資料として御提示をし、議論をさせていただいておる次第でございます。

(座長)この出願ということは、卒業しているわけですよね。

(厚生労働省)いえ、これは卒業見込みで、11月に願書は出していただくのですが、その後、御本人の例えば健康上の事情、あるいは、大学側が結果的に、卒業見込みで出願はしたけれども、卒業できないといった場合には、卒業できそうにないといった場合には受験されないということがあるようでございます。

(委員)今のことで質問してよろしいですか。実際に出願をして受験をしないというのは、ここの数を見て分かりますが、出願の段階から、出願を控えるというようなこともあるのでしょうか。

(厚生労働省)ちょっとそのあたりの実態の把握はしておりません。

(委員)入学定員と見てみますと、退学者もいるのかもしれませんけれども、かなり数にばらつきがあるような気がしますので、もしかしたら二重の構造で、初めから出願を抑制するような動きもありつつ、出願したけれども、受験しないという2段階の構造になっている可能性もあるのではないかなと。

(厚生労働省)可能性として、29歯科大学歯学部によって実態は違っておるのではないかなという気はしております。

(座長)今、山口委員のおっしゃったことは、入学者の数と、それから留年率、退学率と、それから国家試験の受験者数と比較した場合、そこでもって学生の質を読み取れと、そういうことだろうと思います。

  厚生労働省がおっしゃったことは、そうすると、受験者数というのがいわばその大学の、その歯学部のいわば教育の実績であると、そういうことでございますか。

(厚生労働省)ちょっと表現が適切さを欠くかもしれませんが、この受験者というのは相当高い確率で、各大学が国家試験の合格し得る可能性があるというような御判断をされた数ではないかと思っているところでございます。そうしますと、その裏返しといたしまして、出願はしたけれども、受験しなかった方というのは、恐らく国家試験の合格の見込みがかなり低い方ということですので、そうすると、やはり資質の面で歯科医師になる資質でいささか欠けているというような見方もできるというようなことを申し上げた次第でございます。

(委員)ここまで数として数字ではっきり見えてきているとしたら、かなり問題があるところというのは、おのずと誰の目にも明らかだと思いますが、例えばそういうところに対しての改善要求をし、その対応を求めるとか、そのようなことを強制的にできないものでしょうか。

(厚生労働省)今問題があるところ、このような形でフォローアップしておりますけれども、そのような観点を加えて、しっかりフォローアップしていくということは可能だと思います。

(委員)質の担保ということから非常に不安を感じますね。

(座長)この受験者数、出願者数と受験者数のこれだけのかい離ということは、入り口でどうだったのかということを山口委員はおっしゃりたいのだと思います。

(委員)入り口と途中の教育と両方です。

(委員)1ついいですか。実は学生さんの方だけに問題を帰結させていいのかということを考えなければならないと思っています。例えば5ページの3行目に「抜本的な改善を行うべきである」と書いてありますけれども、具体的な記載がありません。これはもちろん学生さんの入学者選抜でも問題があったのかもしれないけれども、入学させた以上は、今度は教育者の方のFDをしっかりやって、そういう人たちをもう少し持ち上げるというふうなことを具体的にしたらどうかというところまで書き込まないと、ただ単に抜本的な改善を行うべきであるだけでは世の中は済まされないように思います。ですから、本当に学生さんの成果というところを謙虚に考えなければならないと思います。

(事務局)ただいま齋藤委員からお話のあった点につきましては、まず下の行に各歯学部は適正な入学者選抜試験の実施を通じて、優秀な学生を確保するということ、それからまた成績評価基準の明示や個々の学力の応じた適切な教育指導等によりということで、現時点の案では盛り込んでございますが、ただいま齋藤委員の御意見もこれに加えるような形で文言の検討をさせていただきたいと思います。

(座長)飽くまで優秀な学生を確保した上でとなっていますので。連動している問題で、アドミッションポリシーとカリキュラムポリシーは、これはカリキュラムポリシーが幾らすぐれていても、アドミッションポリシーが駄目だということでございますが、そこら辺の書き込みでございます。この抜本的な改善の下の行にそれが具体に出ているわけでありますが、この辺のところは、フォローアップ等について更に踏み込んでいくと。ただ、フォローアップをいつまでやるかという声が出ておりまして、これだけ熱心に精緻(せいち)に結果を出しながら、改善はどうだったのかと。先ほど御意見ございましたが、その辺のところの踏み込みについて、もし御意見ございましたら、お願いいたします。

(委員)やはり延々にフォローアップしていくというよりは、目標年限とかを立てて、そこに満たない場合には次の処置というふうにやっていかないと、なかなか本当の意味での改善にはつながらないような気がいたします。

(座長)はい。先ほど小森先生から私学助成の話が出ましたけれども、次の処置として、山口委員、何か具体的な御意見ございますか。

(委員)先ほどの私学助成を受け取ってないというところは、実際に改善が必要なところも含まれているのでしょうか。含まれているとしたら、その対応だけでは十分と言えないということになる。

(座長)私学助成だけでは対応できない。

(委員)とするならば、私の立場ではできることが何かという選択肢が見えないのですが、助成金でもし対応ということに意味がないのであれば、どういったものが想定されるのでしょうか。

(座長)今の御質問は、行政の権限としてどこまでできるのかと、そういう御質問ですね。

(委員)はい。

(座長)これは行政側。

(事務局)助成という財政的な観点以外で申し上げますと、実はこういうデータ、今、大変にメディアをはじめ、社会の厳しい視点がございます。ですから、こういう状況を積極的に公表して、個別に合わせて、今までちょっとやっておりませんでしたけれども、各大学にヒアリングをするなり、指導するなりして、例えば、この指摘事項についての大学としての改善状況というものを計画として出してもらうとかという、そういう指導というのを間断なくやっていくと。その上で、今、先生がおっしゃったように、受けてない大学も確かにございますけれども、該当する場合にはこういう形があり得る。私学助成とかの連動で一定の場合には一定の傾斜がかかるとか、そういうことは、先ほどから出ているような議論あると思いますので、そこをやっていくと。

(委員)それも1つだと思いますけれども、公表の仕方によっては、そんなに一般的に余り知られず、一部の業界の方しか見ないような公開の仕方の方が多いような気もしますので、本当に効果的な公表の在り方というのはやっぱり考えないと、きちっと意味を持つ対策にはならないと思います。

(座長)はい。その件につきましては、既に前々回、小森先生から公表の仕方が分かりにくいという御指摘を受けております。学校教育法123条でしたか、平成23年に情報開示が義務化しておりまして、それは義務化といっても、守らなきゃどうなるというわけではなくて、それは1つの法改正ですから、各大学に義務づけられているわけです。ただ、それが今、山口さんがおっしゃったように、徹底されていない。その開示された情報を見て、受験生なり、父兄なり、国民なりがその大学の評価をするというところまでは至っていないので、その辺のところについては、今、事務局がおっしゃったように、徹底させていくと、そういったことだろうと思います。

(事務局)ただいま、情報の公表という点につきましては、資料3のマル9、6ページに記載をしてございますので、ここでちょっと説明させていただきたいのですが、よろしいでしょうか。

(座長)お願いします。

(事務局)マル9の教育活動の公表につきましては、情報の公開につきましては、学校法施行規則第172条に、学校教育法でいいますと113条を受けているわけでございますが、これにより、公表が義務付けられた入学者に関する受入れ方針、及び入学者の数等につきましては、大学のホームページ等を活用し、広く行われている状況にございます。ただし、一部の歯学部においては、留年率でありますとか、国家試験後合格率等については公開されていないという状況がございますので、次ページ、7ページですけれども、で、これらの情報は、受験生や在学生にとっても有用な情報であることから、各歯学部は社会的評価を踏まえた適切な対応に取り組むべきと記載をさせていただいているところでございます。

(座長)ありがとうございます。それでは、ここについては以上でございまして、次のマル6の診療参加型臨床実習の充実、それから、診療参加型臨床実習の自験の定義の共有についてお願いします。

(事務局)それでは、資料3の5ページのマル6診療参加型臨床実習の充実のための改善方策につきまして御説明させていただきます。参考としまして机上資料の2及び机上資料の3ということで、机上資料の2は自験と卒業要件の関係についてまとめたものでございます。また、机上資料3は、今回の実施した実地調査報告書をまとめたものでございます。これらにつきましても御参照いただきたいと思います。
  マル6でございますけれども、歯学教育モデル・コア・カリキュラムに臨床実習の項目を18項目置いてございますが、全ての項目について、学生が自験を行うことを卒業要件とするよう強く求めるとしてございます。それは机上資料2をごらんいただきますと、必須である、若しくは、必須でないという記載が、各大学の3列目にあるかと思いますけれども、この項目では自験を行うことが必須であるのか、そうでないのかというところをこのように表してございまして、必須でないというところがかなり見受けられますので、このような記載をさせていただいております。
  また、このことについては、資料3に戻りますが、臨床実習に適した一般的な疾患の患者が少ない等の理由を挙げる大学が多くございますが、各大学、各歯学部には協力患者の確保に向けて、更に踏み込んだ取組を求めるとしてございます。
  また、おめくりいただきまして、現代の社会的ニーズに関する教育につきまして、学生の学習効果を高めるため、学外の機関との連携により、学生が教員とともに高齢者医療等の現場に赴く実地体験等を取り入れることを望むとしてございます。また、学生が実習を通じて身につけた臨床能力について、その評価基準の設定を各診療科に任せている歯学部があるが、各歯学部で定めている学位授与の方針等に基づいて、学部全体で評価基準を共有することで、診療科単位ではなく、歯学部として学生の臨床能力の担保を図るべきであるとしてございます。
  続きまして、マル7自験の定義の共有でございますが、こちらはお配りしております資料8をごらんいただければと思います。資料8につきましては、平成24年度に本協力者会議におきましてフォローアップ調査まとめをしていただいたときに、別添として付けていただいたものでございます。このような形で、協力者会議としまして、実習に関する用語の定義の中で、自験というものはどういったものかということの定義付けをしていただいておりますが、一部の大学では依然として診療科や教員によって自験の定義が共有されておらず、学生に経験させる自験症例数に差が生じていたり、多くの学生が自験の一連の治療の流れを1人の患者で学ぶことができていないなどの課題がございました。このためということで、今後FDの実施等を通じて、自験の定義をはじめ、診療参加型臨床実習に対する認識を歯学部全体で共有することを強く求めるとしてございます。
  マル6、マル7につきましては以上でございます。

(座長)ありがとうございました。臨床参加型臨床実習の充実、患者が少ないとか、いろいろ理由がございますけれども、その充実の話と、それから、実際の実習の自験ですね。自験というのは、持ち患者制にしてやれと、そういうことでございます。ここについて何かございますか。この協力者会議始まってからずっと診療参加型臨床実習というのが1つの主たる目標になってございます。
  私も実際に大学に出向いて実地調査をしましたが、この診療参加型臨床実習につきましては、29大学、全部見たわけではございませんけれども、大変落差が大きいといいますか、そういったことがございます。ですから、先ほど情報開示といった場合に、臨床実習をどこまでやっているかというのを、情報をどうやって開示するかというのは非常に難しい問題がありますが、歯科は特に技術が重要でありますから、余計に臨床実習ということに重点を置いているわけでございます。これまでのフォローアップ等においても、かなり重点を置いてやってきましたが、いまだに問題のあるところはかなりございます。大変よくやっているところもございます。
  この書きぶりでございますが、いかがでございますか。

(委員)医科のことを参考までに申し上げますと、学生さんを外に医療機関に出して参加型臨床実習をしようといったときに問題になるのは、外の医療機関の指導してくれる方々に対するFDというのがすごく難しくて、お忙しくてなかなかできないというケースがあります。どんどん学外へ出した方が良いとは思いますが、外の先生方に対するFDをもっとやってはどうかというふうな声を上げても良いのではないかと思いますが、いかがでございましょう。

(座長)大学によっては。俣木先生、どうですか。

(委員)大学内の教員のFDするのがまず先かなと。要は、教員が診療参加型の実習のやり方を知らないわけですね、年代的に。長年それでやってきていますから。だから、やっぱりそこを何とかしなきゃいけない。今、齋藤先生がおっしゃったように、外のところで体験・見学ぐらいなら良いのかもしれませんが、それと同じようなレベルを期待するとなると、かなり念入りな外部の機関の指導の質を担保しなければいけないということになると思います。

(委員)歯科の先生方がそういうふうに進んでくださると、医科の方もそういう方で旗振れるのではないかと思いますけど。

(委員)獣医の世界でも診療参加型臨床の議論が進められており、先日、日本獣医師会の獣医学術学会年次大会において、医科の取組ということで私もパネラーで呼ばれたのですが、そこで医科ではCBTとOSCEをしていて、CBTで落とされた人は再試験をするなりしないと臨床実習に臨めないわけですが、そのときの指導医をどうするかということで、医科では2年間の臨床研修について、指導医の養成というのは、10年かけてようやく6万人になりました。6万人という集団ができてきたので、その指導医の講習会を受けた方々を大学の臨床実習で活躍していただきましょうということで、やっぱり指導医の担保ですね、資質の担保という、そこは参考にしていただけるのではないかなと思いますので、臨床実習に対する指導医の方々の資質ですよね。

(座長)小森先生がおっしゃっていることは、歯科の場合は、臨床実習をやめたことによって、臨床実習指導医がいなくなったとは言いませんが、いなくなったに等しいと。それが復活するようになって、今度は臨床研修指導医を臨床実習指導医としても使ったらどうかという、そういう御提案。

(委員)少なくとも教育学とか、原則2泊3日、最低16時間というアクティブラーニングと、御自分でプログラムの作り方等を学ばれた、経験のある方ということなので。

(座長)臨床実習につきましては、もう一つ問題は、学生専用の臨床実習室を持っているところと、普通の外来に学生が行って見ているところと大違いでございまして、そこら辺のところ、また昔のように臨床実習専用の外来を作れというのもなかなか難しい。そこをどうするかという大学もございます。
  それから、今出ました指導医の問題。一旦臨床実習を撤退してしまいますと、指導医が非常に少なくなるといいますか、それは国家試験から実技がなくなったときから臨床実習の交代が始まっておりますので、あれは平成何年?

(委員)昭和57年。

(委員)1つよろしいですか。臨床実習の指導医の減少にも問題があると思いますが、私はやっぱり患者数の激減というか、どの附属病院もどんどん患者数が減ってきている。特に学生と一緒にやるような自験をやるというのは、更に困難になっているという現状にあって、延べ患者数であっても、それをまず増やすことが、そこの教育機関としての病院の充実度を図るということ、これは先般、厚労省の検討会でも資料が上げられて、現状、歯学部を持つ附属病院で一番多いところと一番少ないところには10倍以上の患者数の開きがある。これでは、幾ら優秀な指導医がいても、これが達成できないのではないか。特に自験はですね。昔のように自分の家族を連れてきて、それでもやらないといけない。しかも、私立大学では100人以上の学生を同時に同じ条件でやらないといけない。国立の場合は五十数名ぐらいの規模なので、まだできるかなと思います。ただ、まず何とか延べ患者数を、特にどこかの表現で、特定の科だけ、例えば保存とか、口腔外科だけではなくて、全病院的にそれをやっていかないといけないというのですから、いっそ全科の患者数を増大すれば、そういう機会ができやすくなるのではないかと考えます。

(座長)ただいまの件は、先ほどもう既に事務局からお話ありましたけれども、5ページの下の方に、患者が少ない場合には、地域の病院に回せと。ただ、地域の病院の指導医の育成をどうするかという問題は残るにしましても、全国医学部長病院長会議のグランドデザインの中に、臨床実習にしても、臨床研修にしても、大学の中だけではなくて、地域の急性期、慢性期を含めましての病院全部に一応実習を広げていくという方向を出しております。歯科もそういったことを考えざるを得ない時期に来ているということでございます。ただ、どういう方策にするかということは、今後は御議論して検討ということになるかと思います。

(委員)前田ですけれども、実は水準1、2の臨床実習というのは、本当に今の体系に合っているかというのをやっぱり考えた方が良いのではないかなと思っています。虫歯が少なくなって、新潟の場合だと、フッ素洗口やっていれば、予防対策する患者がいないというようなことまで起こっている。
  卒前の臨床実習まではここですよという到達目標のコンセンサスを一度も得たことがない。技能もここですよという話が一度もない。臨床研修での目標、大体のことは書いてありますけれども、技能の面でしっかりとしたことがない。そこをやっぱり明確にして、例えば、我々の世代では、保存、補綴(ほてい)のある程度のところはできるというので卒業されていったけれども、そういうのが全くない状態なので、ちょうどモデル・コア・カリキュラムの改訂のときに、そのような議論もした方が良いと思います。例えば、レジン充?ができない学生というのは、まずいと思います。レジン充?の経験なく卒業して、そして研修で初めてやるというのは厳しいわけで、そこら辺をきちんとモデル・コア・カリキュラムの改訂のときに、もう少し議論をした方が良いのではないでしょうか。大学病院に来る高齢患者の問題にしても、ほとんど顎堤がないケースが非常に多くなっている。そのようなケースに対し、どのように対応していくかというコンセンサスをもう一度とって、みんなで、こういうことが歯学教育の卒前の臨床実習の目標ですよということを1回どこかで話をした方が良いと思っております。

(座長)疾患動態に対応した臨床実習内容をモデル・コア・カリキュラムの改訂に合わせて少し変えたらどうかという御意見です。実は医科の方は、1992年の前川レポート以来、改訂してなかったのが、最近、医科の方の臨床実習に合う形に新しくバージョンアップをいたしました。それで、歯科の方は、臨床実習の指針は、平成15年に前川レポートに相当するような形で出しておりますが、それからコアカリにも出ておりますけれども、平成15年の臨床実習の指針以降、改訂しておりませんので、今、前田委員がおっしゃったように、その辺の改訂をして、実情に、口腔疾患の実態に合わせた実習内容にするということだろうと思っております。それ、どこに書き込むかな。それ、じゃあ、今の前田先生の御発言は、事務局よろしくお願いします。

(委員)ミニマムリクワイアメントの設定のところあたりに書いていただけると良いかなと思います。

(座長)水準1、水準2のミニマムリクワイアメント等の改訂ですね。

(委員)はい。一番初めの2行ございますから、マル6のところの。

(座長)マル6のところ。

(委員)はい。

(座長)ありがとうございました。それでは、次の研究者の養成と、それからマル9の教育活動の公表は先ほど終わりましたので、研究者の養成、簡単に読み上げてください。

(事務局)6ページにマル8研究者の養成がございます。将来の研究者養成に向けて、学部教育につきましては、研究室配属の必修化等進めていただいております。引き続き積極的な対応をお願いしたいとしてございます。なお、歯科医学・医療の進歩と改善のためには、歯学に携わる者一人一人が研究マインドと研究を遂行する基礎的素養を有することが重要でありますので、引き続き、全ての歯学部学生に対する研究マインドの育成に向けた取組の充実に努めるべきであるとしております。

(座長)学部教育におけるリサーチマインドの育成ということでございます。これ、何か具体的な御提案等ございますか。これもいわゆる研究室配置のような形でやっているところとそうでないところと、いろいろな大学がありますが、何か更に踏み込む、ないしは書き込むということがございましたら。
  それでは、次のマル10の各歯学部の特色ある教育でございます。

(事務局)それでは、各歯学部の特色ある教育でございます。これにつきましては、別添3としまして、資料6にまとめてございますので、5ページまでにわたる資料でございますので、簡単にどういった項目についてこちらに掲載させていただいているかを御紹介したいと思います。
  まず1、この1から5までの柱立てにつきましては、1次報告の柱立てを参考にさせていただいておりますが、まず、歯科医師として必要な臨床能力の確保ということで、臨床実習終了時の臨床能力の評価ということで、例えば最初の項目では、大学間連携により総合模型を用いた新たな評価法の開発。また、学生の実習履歴の把握とフィードバック、実習協力患者獲得への工夫、その他臨床能力向上に向けた工夫等について掲載させていただいております。
  おめくりいただきまして2ページでは、優れた歯科医師を養成する体系的な歯学教育の実施としまして、最初の項目は、体系的な教育の実施ということで、東京医科歯科大学での医歯学融合教育の実施等を例に記載してございます。また、2つ目、FDの充実、教員の意識改革ということで、各大学で取り組んでいただいております様々なFDの例を御紹介しております。また、3つ目は幅広い歯学教育の実施ということで、口腔と全身の関わりに関する教育でございますとか、災害歯科医学等に関することについて掲載をしてございます。
  4つ目、学外機関の活用ということで、東北大学をはじめとしまして、福岡歯科大学まで、各大学の取組例を記載してございます。
  次に、英語教育ということで、3大学の取組例を記載してございます。
  また、その他ということで、こちらは2大学記載してございます。
  歯科医師の社会的需要を見据えた優れた入学者の確保ということで、1つ目の項目は、入学者選抜の工夫ということで、例えば、北海道大学では総合入試をやっておりまして、入学定員の一部に総合入試を導入しておりまして、理系入試で入った方の中から、意欲が高く優秀な学生が、2年次から歯学の専門教育を受けるというような取組がございます。
  また、次の項目は学習支援の充実ということで、例えば北海道医療大学では、1、2年次の在学年限を定めて、適性等に欠ける者に早めに対応する等の取組例を記載してございます。
  おめくりいただきまして4ページですが、例えば、福岡歯科大学では、年間延べ500校以上の高等学校訪問等の取組例を記載してございます。
  その他としまして、東京歯科大学の取組を記載させていただいております。
  また、未来の歯科医療を拓(ひら)く研究者の養成ということでは、研究マインドの涵養(かんよう)としまして、東北大学の取組等を記載してございます。
  また、研究費等の配分ということにつきましては、大阪大学において、3年次の基礎研究室配属後、学生がテーマを申請し、研究経費を獲得できる制度の実施を挙げてございます。
  また、グローバルに活躍する歯科医師の養成、国際交流ということで、例えば、北海道大学ではデンマークの大学とダブルディグリー制度を導入し、海外歯学部への派遣等を行ってございます。
  また、おめくりいただきまして、最後5ページですけれども、産学連携ということで、東京医科歯科大学では企業の担当者から歯科企業の製品開発を学習する等の取組を記載してございます。

(座長)ありがとうございました。資料6は、個々の個別の改善項目からかなり大幅ないろんな改革まで全部含まれておりまして、これが出てきましたのはフォローアップの2回目からでございます。欠点ばかりいつも評価しているのではなくて、良いところを伸ばすと、そういった考えでもって導入されたものでございまして、今後、各大学のホームページ等に掲げたら、それを見た受験生が、こういう特色があるからといって大学に来るような形にしたいという、そういった方向を本項目では目指しております。
  これにつきましては、特段のことはなかろうと思いますので、続きまして、今後の検討が期待される取組についてです。

(事務局)それでは、資料3の7ページ、(3)今後の検討が期待される取組につきまして、1つずつ御説明させていただきたいと思います。区切って御説明させていただきます。
  まずマル1ですが、臨床実習開始前の臨床能力を担保するための取組としまして、各歯学部における診療参加型臨床実習の充実に当たり、協力患者の確保は大きな課題となっており、歯科医行為を伴う診療参加型の臨床実習を行う学生の能力や適性を担保するための取組は、多くの歯学部が必要性を認識してございます。その取組の実施に当たっては、今後、各歯学部が連携し、共用試験の全国統一の合格基準等の検討を積極的に進めるべきであるとしてございます。
  以下、「なお」のところは医学部での取組例を記載してございます。マル1につきましては以上でございます。

(座長)まずマル1のスチューデントドクター。スチューデントドクターという呼称は、医学の方で使っている呼称でございます。これは、昨年の4月から医科においては正式に導入をしております。歯科においても共用試験も受皿になるものですから、各方面、各大学のいろんな声を聞いて、いわば準備を進めているところでございます。これについて何か御意見等ございましたら、よろしくお願いします。歯科については、スチューデントドクターじゃなくて、スチューデントデンティストにした方が良いとか、いや、これはドクターとかデンティストにしたら、医師法17条に抵触するからちょっと難しいとか、そういった問題はあるにしてもですね。

(委員)よろしいでしょうか。1つ質問ですけれども、共用試験の全国統一の合格基準の中にCBTが特に統一合格基準というのが医科の場合は決められていると思いますが、歯科の場合には、これを決めることが難航している理由とか原因とかというのは何かあるのでしょうか。

(委員)難航しているのではなく、一番の問題は、医学系はかなり早くからそういう動きをしていて、いわゆる素点ではなくて、IRTスコアって、偏差値とは違うのですが、偏差値と近いようなもので導入がすごく進んでおり、その中である一定の数字で、最低限これ以上低い人は臨床実習に上げないという統一がとれています。それに対して歯学系は、ようやくIRTスコアといいますが、それがようやく計算できて、今年から各大学にそれをお返しする状況になっているので、これはやっぱり数年間積み重ねて、最終的に合格基準を決めるというようなことで、医科がやってきたものを3、4年遅れて今やっているということでございます。いずれ必ずそれは導入する予定にはなっておりますけれども、ちょっとずれるということです。

(委員)追加でよろしいでしょうか。実は国立大学の歯学部長、国公立大学を入れた12校では、もうやりましょうというので、トライアル的に準備を進めているところです。

(委員)では、もう方向性としてはやる方向で。

(委員)国公立の場合は実施する議決を懇談会で取ってあります。

(委員)ただ、1つだけ、これはここの場所かどうか分からないですけれども、齋藤先生にお聞きしたいのですが、例えば、かなりレベルの高い大学から見ると、基準はすごく低い数値ですよね。そのような議論はあったのでしょうか。

(委員)全国医学部長病院長会議であのレベルに設定されました。その時点で実は大学によっては、もっと高いレベルで線を引いているところがあったと聞いています。ですから、高いレベルでやっていたところがレベルを下げることはないと思います。各大学が自律性を持ってレベルをお考えになって、それは、医学部長病院長会議の設定レベルをやすやすと超えるというふうな感じになっていくことが望ましいと思います。

(座長)それで、今、齋藤先生がおっしゃったように、大学によっては43じゃなくて、もっと高い数字を設定している。そうすると、全国医学部長病院長会議は、推奨合格点、お薦めしますという合格点ですね。そうすると、推奨合格点には達したのだけれども、その大学の合格点に達していなかった場合、学生が落とされるということになったときに、推奨合格点をクリアしているじゃないかという問題はまだ残っております。
だから、推奨合格点と言っているのですが、そのときに、各大学の規定に照らせば、多分、各大学の合格点に達しないと合格しないということになるのだろうと思いますが。それは解決可能な問題だと考えております。

(委員)追加しますと、IRTだけではなくて、例えばOSCEもあると。各大学が責任を持ってこの学生さんは臨床実習させていいですよと判定をした。それを医学部長病院長会議に申請をして、スチューデントドクターというカードをもらうと、こういうことでございます。

(座長)先ほど前田委員から、国公立とおっしゃいましたけれども、私立の方からもそういった声が上がっておりまして、共用試験としては、いろんなデータ提供等ありますので、その依頼が来たときには、実施ができるような形の準備をしております。スチューデントドクターにつきまして、何かございますか。

(委員)よろしいでしょうか。歯科の場合は、根本的に診療参加型の臨床実習を行うという体制を作らない限り、これを作っても実際は何も変わらないと私は思っています。やっぱり早急に、先ほどお話ししたようなことをもっと充実させていくとか、いろんな方策を作って、現状は積極的でない大学でもやらなきゃいけないというような方向に向けていかない限りは、この基準を作っても余り変わらないと思います。

(座長)この問題の1つは国民の理解を得るという、そういった1つのお墨付きでございますので、こういった枠組みを作っておいて、今、荒木委員がおっしゃったように、中身を充実させていくという、そういったものだろうと思っております。
  続きまして、臨床実習終了時OSCEの導入でございますが、ここにつきましては、医科のでは先ほど申し上げましたように、2019年までにトライアルを終了して、2020年に正式実施という日程でございます。

(事務局)マル2臨床実習終了時OSCEの導入でございますが、27年11月の段階で各大学に調査をしましたところ、臨床能力の到達度評価のために終了時OSCEという形で実施している歯学部、全体の約半数、導入予定又は検討中の歯学部を含めると4分の3の歯学部が前向きに取り組んでいただいていると。ただ、終了時OSCEという形ではないのですが、実習中の学生の状況を把握し、これに応じて教育指導を行い、実際の患者を相手に行う自験を行いまして、それによって評価を行っているという大学も見られる状況でございます。
  先ほど、座長からもお話ございましたとおり、現在検討が進められておりまして、昨年7月から公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構の臨床実習終了時OSCE準備検討委員会で、医学、歯学ともに検討が進められており、医学系の正式実施は32年度とされてございますので、歯学系についても具体的な実施時期を定め、その実現に向けた今後の議論の進展に期待するとしてございます。

(座長)ありがとうございました。俣木先生から追加の説明はございますか。

(委員)大体ここに書かれてあるとおりでございますが、各大学ともかなり臨床実習の形態を踏まえた形で、終了時、あるいは終了後の技能・態度試験は実施されております。大学からは、29大学のうち23大学は何らかの評価を行っているということで、残りの6大学の中でも、ほとんどこの2年以内に実施する予定であるという回答が来ております。
  また、実際実施している時期ですけれども、これは非常に幅がございまして、5年生の10月、11月にもう臨床実習が終わってしまう大学から、ほぼその1年後、6年生の10月に終わる大学というのもありまして、各大学とも、一律に一か月で評価が終わるということではなくて、臨床実習をやりながら数か月にわたって様々な評価が行われているのが実態です。具体的には、OSCEの形をとっているところもありますし、実際の患者さんに協力をお願いして侵襲性の非常に低い内容について実際の患者さんでの臨床実習の場での評価を行っている大学や実地試験に近い形の評価を行っている大学もあり、非常に幅があり、詳細については、現在、情報を収集しているところであります。
  平成32年度に医学系が正式実施を目標にしております関係上、歯学系についても同じ時期を目指してやっているということで、年次計画等は立てております。

(座長)ありがとうございました。若干追加しますと、現状、各大学では、臨床実習前にOSCEを行っていますが、これに加えて臨床実習終了時にOSCEを行うと負担が増えるのではないかという御質問があります。それについては、非常に大きな問題ですので、実施を請け負う共用試験としても、これは今、真剣に検討しております。どうしたら倍にしないで、かつ両方やれるかという方向だろうと。これは医科も歯科も同じ方向でございます。

(委員)よろしいですか。OSCEという言葉をずっと使っていらっしゃっていますけれども、世界各国ではOSCEという言葉じゃなくて、ちゃんと歯科の場合は技能を見ろということで、OSPEという言葉を使っています。オブジェクティブ・ストラクチャード・プラクティカル・イグザミネーションというふうにして、歯科はそういうふうに名前は変えられません。OSCEだとイメージ的に何とかのお作法みたいな意味になっちゃうので、そういうふうにした方が、プラクティスということを出した方が、臨床能力の技能の担保というのには良いのではないかなと思っています。

(座長)そういう議論がありました。実技のウエイトが大きいということで、OSCE以外にもOSCEプラスにしたらと。だから、どういうネーミングにするかは、ちょっと考えなければいけない。

(委員)同じイメージを持ってしまうんですね、臨床実習前と。それで、皆さん、また何で同じようなことやるんだというイメージを持たれてしまうと思います。

(委員)この間、親委員会があったときに、歯学系はOSCEだけではないので、OSCEプラスですよね、ということで話しました。

(委員)医科は、臨床実習終了後のOSCEをやっているところが80大学中54大学ありますが、それに委員を派遣して、それぞれオンサイトで見てみると、実は各大学、勝手にやっている。いろんなスタイルがあって、見てきた委員が、あれはOSCEではなかったといったケースもあります。その辺は、これからレベルを統一していかなければならないと思っていますが、名称については、どのように考えても、例えば、クリニカルスキルス・アセスメント、つまりCSAでもよろしいのではないか。そこで何を測るか、何を測定するかというところがポイントだと思っています。
  医科の分野で迷ったのは、一体卒業時にどのくらいの能力が身についていれば良いのだろうかというところから話が始まりまして、言ってみれば、卒業時ですから、国家試験レベルとイコールにある。それでは、それは一体どのくらいかということになるのですが、そのために、全国の300程度の臨床研修指定病院の指導医と、それから今年卒業した初年度の研修医にアンケートを出しまして、それでレベル設定をしていこうという段階でございます。ですから、名称ではなく、内容で勝負すれば良いのではないかと思っています。

(委員)結局、ここがしっかり決まらないと、臨床実習の内容に係るモデル・コア・カリキュラムの改訂に一番効いてくるのだと思います。だから、ここに書いてあるような、どのようなものを到達目標にするのかということを早めに打ち出していただかないと改訂ができていかないのではないでしょうか。

(委員)よろしいですか。先ほど俣木先生が言われたように、臨床実習の終了のときの技能や態度が妥当・適切に評価されることが大事であって、OSCEという言葉だけが走っているような感じがします。なので、ここの書きぶりは考えていただきたい。

(委員)アンケートでお願いするときも、臨床実習終了時の態度・技能評価をされていますかという聞き方をしていました。OSCEだけではないということ。気持ちとしてはそれがすごく強くあります。どうしても今だと、臨床実習開始前のことのイメージで皆さん考えてしまうので。
  また、追加ですけれども、歯科でも、今、齋藤先生からもお話があったように、同じように、全国の管理型の研修施設の研修担当の方と、あと研修医の1年目に在籍している人からのアンケートをとって、その情報をまとめているところであります。

(座長)そうしますと、方向性としては、ここに書いてありますように、医学系が導入時期を設定しましたので、歯学系についても、具体的な実施時期を定めた上で今後の議論に期待という、この方向でよろしゅうございますか。
  ありがとうございました。それじゃあ、今度マル3の第三者評価。

(事務局)御説明いたします。7ページですが、マル3第三者評価の導入についてです。第三者評価につきましては、学教法の改正による平成16年度から導入ということで、ただ、分野別の評価につきましては、法令上に定められた専門職大学院のほか、質保証の観点より、独自に第三者評価を導入する取組が始まってございまして、6年制の薬学教育、また医学教育分野につきましても、29年度の正式導入に向けて進められているところでございます。
  歯学教育分野につきましては、文科省の補助事業で24年度から基準案の作成でありますとか、トライアル評価、評価書の養成等の取組を進めていただいておりますけれども、28年度が補助事業最終年度となりますので、歯学教育分野への第三者評価の導入に向けて、これまでの取組の成果を活用し、平成29年度以降の本格実施に向けて、各歯学部の連携による具体的な検討を急ぐべきであるとしております。

(座長)ありがとうございました。これにつきましては、この上の方にありますように、薬学は既に25年から導入しておりますし、医学は29年から正式導入ということでございます。国民に対する医療人材の質の保証ということからすると、歯科としてもこれは前向きに検討をすることだろうということであろうと思います。
  一番問題になりますのは、ここに書いてありますように、1つは、これまで補助金で、いわば税金でこれだけのいわば構築をやってきた。その成果を生かす方向ということで。ただ、その次に問題になってくるのは財源の問題でございます。その辺を含めて、早急に具体的に検討をすべしということでございますが、この方向でよろしゅうございますか。
  それから、次が個別の歯学部における所見でございます。

(事務局)それでは、(4)、個別の歯学部における所見について御説明させていただきます。こちらにございますように、資料5、別添2に記載してございますので、ごらんください。「第3回フォローアップ調査における所見(案)」としまして、今回のフォローアップにおける指摘事項を記載させていただいております。
  所見の指摘事項の付け方につきましては、本日お配りしております机上資料1をごらんいただきたいと思います。全部で8項目ほど設定してございまして、幾つか御説明させていただきたいと思いますが、例えば机上資料1の先頭にございます入学定員(募集人員)の削減に努めることという項目につきましては、こちら、基準ということで書かせていただいておりますが、平成27年度の入学定員(募集人員)が、削減目標、これは昭和60年度の入学定員の28%まで削減していない歯学部という基準によりまして、こちら、机上資料1に記載の各大学について、この指摘を行うという形で進めてございます。
  また、4ページに記載してございます。机上資料4ページの2つ目、四角にございます診療参加型臨床実習の更なる充実と臨床能力の担保につながる評価方法の確立に努めること。この項目につきましては、実地調査の結果、自験の定義の共有でございますとか、臨床能力の担保につながる評価方法の確立等の問題があると思われる大学に対しまして、指摘を付すという形でしてございます。このような基準で統一基準を用いまして、該当する大学にはこういった指摘を行うということで、資料5のような指摘事項を付してございます。

(座長)ありがとうございました。今回の調査における所見でございますが、よろしゅうございますか。一応これをもって各大学に通知するということでございます。
  それでは、最後に、今後のフォローアップの調査の進め方でございます。

(事務局)では、資料3に戻っていただきまして、8ページの中段5、今後のフォローアップ調査の進め方につきまして御説明させていただきます。机上資料の5と併せてごらんいただきたいのですが、机上資料の5は、第1次報告に書かれました内容につきまして、項目別に細かくブレークダウンしまして、それぞれに対する取組状況を整理したものでございます。こちら、机上資料5にありますように、例えば項目1の1の1は、臨床実習の到達目標の明確化というところですが、これにつきましては、29の歯学部において臨床実習の到達目標を明確にしているというような取組状況ございます。
  このように各項目をチェックした上で、それぞれの項目の中で既に達成していると思われるものにつきまして、資料3の8ページに、国が実施主体となるもの、又は、大学が実施主体となるものということで明記してございます。国が実施主体となるもので、おおむね実施されているものにつきましては、平成22年度に歯学教育モデル・コア・カリキュラムを改訂し、臨床実習の一般目標や到達目標を明確化したこと。また、平成23年度の委託事業において、診療参加型臨床実習・臨床研修連携手帳案及び、診療参加型臨床実習コア・カリキュラム事例集案を作成した。また、平成24年度より第三者評価の導入に向けた補助事業を実施した等が挙げられます。
  また、大学が実施主体となるものにつきましては、臨床実習の到達目標の明確化や科目ごとの成績評価基準の明示、又は教育課程、編成、実施の方針、カリキュラムポリシーでありますとか、ディプロマポリシー、またアドミッションポリシーの明確化、FDの充実、学外機関の活用等による幅広い歯学教育の実施といったものが挙げられます。
  このような形で、資料5を用いまして分類した上で、各取組についての現在の進捗状況を整理してございまして、ここで資料3の3ページにお戻りいただきまして、これを踏まえまして、(1)全体的な取組状況を明記してございます。これまで御説明させていただいた(2)のそれぞれの項目の成果と課題、それから第1次報告に書かれた事項に対する取組状況の総括、それを踏まえて(1)を記載してございます。
  各歯学部においては、21年1月の1次報告以降、臨床実習の到達目標や科目ごとの成績評価基準及び入学者の受入れ方針等の各種基準方針を策定するとともに、現在の社会的ニーズに対応した歯学教育を実施するなど、着実に歯学教育の改善が図られている。一方で、入学定員(募集人員)の遵守・削減、入学者選抜の改善及び診療参加型臨床実習の取組が十分でないなど、第1次報告への対応が極めて不十分な歯学部があった。当該大学には猛省を促し、改めて第1次報告及び過去2回にわたるフォローアップ調査での指摘事項に対する取組を検証し、別添2、資料5ですか、所見で各歯学部に指摘した問題点への徹底した対応を強く望む。また、各歯学部においては別添3、参考事例に記載の他大学のすぐれた取組事例等を踏まえて、新たな目標を設定し、真摯に取り組むことで国民の期待する質の高い歯科医師の養成に一層取り組むことを強く期待するとしてございます。
  この上で、また資料3の9ページにお戻りいただきまして、この8ページで取りまとめたようなこれまでの取組の成果、それから3ページに記載の全体的な取組状況、こういったことを踏まえまして、次回以降のフォローアップ調査においては、これまでに御説明させていただきましたフォローアップ調査の観点に記載の、上記の2というのは、資料3の2ページの上段に、今回のフォローアップ調査の観点でマル1からマル4の観点を挙げてございますが、この4項目の中からマル1入学状況、国家試験合格率と、マル2診療参加型臨床実習の実施状況に加え、第1次報告の対応が不十分な取組を重点的に調査することとし、その上で前日の厚生労働省の検討会における検討の方向性を踏まえ、必要に応じて臨床実習開始前の臨床能力担保のための取組の導入、臨床実習終了時OSCEの導入、第三者評価の導入等についても、調査の観点に加えることとするとしております。また、各歯学部の負担軽減のため、現在補助事業により進められている第三者評価の取組における評価項目等の情報を把握し、今後のフォローアップ調査がより効率的かつ効果的なものとなるよう努めるとしてございます。

(座長)ありがとうございました。今後のフォローアップ調査の進め方でございますが、更に踏み込んでいくということでございますけれども、大学が実施主体となるもの、いわば大学の自律、自己管理に期待すると言いますが、期待できなかった場合どうするかというのは、調査の進捗状況に応じてまた御相談をさせていただきます。
  それから、このフォローアップというのは、今、読み上げられましたように、第三者評価の取組における評価項目等の情報を把握して、今後のフォローアップ調査がより効果的に。これ、連続性のあるものだということでございます。そういう形でフォローアップ調査を今後も進めたいということでございます。何かございますか。

(委員)ちょっと戻って申し訳ないのですが、机上資料の1と2、ちょっと教えてほしいのですが、先ほど言われた4ページの上段ですけど、この項目について、全ての学生が自験を行うよう努めていることを、卒業時の実質条件にしていない歯学部に対していろいろコメント書くって、確かにこれ、国立大学は多分まじめに書いたと思うんですけれども、これの結果は、にわかに信じ難いのですが、要するに、書いてあれば良いということでしょうか。
  それで、その次は、卒業の必要条件として実際に自験を行った学生数って、要するに、これ、ただ数字を言っただけですから、確認してないですよね。幾らでも書けてしまうわけですよね。そうすると、必須であるって、全部やっている私立大学が幾つかありますが、とてもじゃないけど、ちょっとここで失礼ですけれども、こんなにやっているわけがないと思います。この部分については、とても納得いかないです。国立大学は、私たちも含めて、かなりまじめに書いたと思いますが、やっぱりやれない部分があるから。そちらの方が非を帯びて、紙の上で書いた大学だけが、私たちは良かったですとか言われるのは困ります。本当に自験を行っているのかを確認したかということを知りたい。

(座長)これは各フォローアップで調査した結果です。もちろん学生だけを呼んで面接してとか、そういった手続は全部踏んでおります。そういった形でもって得られた資料です。荒木先生から、本資料においては、実情とかい離があるという指摘がありました。それをどういうふうに改善するかというのは今後の検討事項であるとさせていただきます。
  それでは、大体議論は尽くしました。それでは、今後のスケジュールをお願いします。

(事務局)資料12をごらんください。今後の話につきましては、下段の点々以降になるわけでございますが、本日フォローアップ調査まとめ案について御審議いただきまして、いろいろと御意見を頂戴しております。このことにつきましては、座長にお諮りの上、取りまとめをしまして、本年度内公表ということを目指して進めさせていただきたいと考えてございます。以上でございます。

(座長)ありがとうございました。今回のまとめは今年度中に公表する予定ということでございます。
  なお、今回のまとめに係る文言等につきましては、座長一任で修正させていただくということでよろしゅうございますか。(委員了承)

(座長)それでは、これをもちまして本日の会議は終了いたします。ありがとうございました。

以上

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