資料4 モデル・コア・カリキュラム改訂に関する要望書

下線部は前回会議(平成22年8月5日開催「モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会(医学・歯学合同)(第2回)」からの追加箇所

・社団法人日本医師会要望書(平成22年7月1日) ・・・・・・・・・・・・1

・独立行政法人放射線医学総合研究所要望書(平成22年7月21日) ・・・・2

・日本小児心身医学会要望書(平成22年8月10日) ・・・・・・・・・・・5

・全国薬害被害者団体連絡協議会要望書(平成22年8月24日)・・・・・・・9

(参考)

・犯罪被害者等基本計画(平成17年12月閣議決定)   ・・・・・・・・・11

・犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008(平成20年12月犯罪対策閣僚会議決定) ・・11

・全国自治体病院開設者協議会、社団法人全国自治体病院協議会要望書 (平成21年6月)・・11

・日本慢性期医療協会要望書(平成21年8月)  ・・・・・・・・・・・・12

・全国医学部長病院長会議要望書(平成21年10月)  ・・・・・・・・・13

・自治体からの要望書(平成21年12月) ・・・・・・・・・・・・・・・・13

・内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書(平成22年1月)・・14

・日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会要望書(平成22年2月)  ・・14

・薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会報告書(平成22年4月)  ・・15

・ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会報告書(平成22年6月) ・・16

・慢性の痛みに関する検討会報告書(平成22年9月) ・・・・・・・・・・16

○ 社団法人日本医師会要望書(平成22年7月)

日医発第343号(情サ16)

平成22年7月1日

要望書

文部科学大臣

   川端 達夫 殿

社団法人 日本医師会

会長 原中 勝征

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

 平素より本会会務にご理解・ご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。

 さて、本会では、厚生労働省からの委託事業である「日本医師会女性医師支援センター事業」等を通して、女性医師のキャリア継続支援に努めております。

 近年、医学部入学者に占める女性の割合は約3分の1となっており、若年層における女性医師の増加は著しいものがあることはご承知の通りです。一方、女性医師の年代別の就業率は、医学部卒業後、減少傾向をたどり、30歳代半ばがボトムとなるいわゆるM字カーブを描いております。これは女性医師が継続して就業することが難しい状況にあることを示しており、このことが医師不足の一つの要因と考えられます。         、

 女性医師が生涯を通じてキャリアを継続するためには、医学生の時期から男女共同参画について明確に理解しておくことが求められます。特に女子医学生には、医師としての使命感を持ち続けるとともに、結婚・出産・育児などのライフサイクルの中で、様々な支援を利用しつつ就業を継続していくことを強く意識させるような教育が必要であり、一方、男子医学生には、パートナーや同僚が母性を尊重しつつ仕事を継続できるような精神的・身体的なサポートを積極的に行うように意識させる教育が必要であります。

 つきましては、現在検討中のモデル・コア・カリキュラム改訂にあたって、男女共同参画やワークライフバランスについての講義を必修とするように本会として強く要望いたしますのでよろしくお願い申し上げます。

                                 敬具

○ 独立行政法人放射線医学総合研究所要望書(平成22年7月)

平成22年7月21日

モデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会

委員長 高久史麿 殿

独立行政法人放射線医学総合研究所

大学医学部教育における放射線医学・放射線科学領域の教育の拡充について

(要望)

放射線医学・放射線科学は、がん治療に有効な手法を提供するのみならず、原子力平和利用の進展に伴い一層配慮が求められる放射線の人体影響研究、緊急時被ばく医療研究、さらには安全規制・評価活動の根幹をなすものです。その進展は、大学医学部教育等において放射線医学・科学の基礎を体系的に身につけた者に期待するところが大きい状況です。しかしながら、近時、わが国の医学部において、放射線医学・放射線科学の基礎を教授する講座・教室が減少してきていることからも明らかなように、現状ではこの領域の教育は低調と言わざるを得ません。(参考1参照。)

このため、緊急時被ばく医療を含む医学のみならず、放射線影響評価等、様々な領域における放射線に関連する研究・医療・事業・規制活動の現場において、その活動を担う、放射線に関する適切な素養を身につけた人材を確保することが、年々困難になってきています。

大学医学部における教育の基礎は、平成13年に策定(平成19年に改訂。)された「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に示されています。その中で放射線医学・放射線科学領域に関連する内容は、医学一般の基本的事項等に述されています。

また、モデル・コア・カリキュラムに準拠して医学部の共用試験(医学部4年生終了前後の段階で、全国の医科大学共通の到達度試験として実施されている。)が実施されており、モデル・コア・カリキュラムの放射線医学・放射線科学に関する項目を、実務の状況を踏まえつつ精選することで、また共用試験の実施と相まって、医学部生のこの分野に関する素養を一層効果的に向上させることが可能となると期待されます。

現在、モデル・コア・カリキュラム改訂に関する準備が予定されていると仄聞いたしておりますが、この改訂に際しては、下記の観点もご勘案いただき、モデル・コア・カリキュラムの放射線医学・放射線科学関連の内容を、社会的な要請をも踏まえた、一層精選した内容にしていただきますよう、要望いたします。

なお、「臨床研修制度の見直し等を踏まえた医学教育の改善について」(医学教育カリキュラム検討会平成21年5月)では、基礎と臨床の有機的連携による研究マインドの涵養との視点が示されています(参考2参照。)が、この考え方は、放射線医学・放射線科学領域の臨床を含む様々な現場に必要とされる人材についても妥当するもので、この領域に関するモデル・コア・カリキュラムの記載内容の精選に対応した、選択制カリキュラムの検討や、大学・大学院・研究機関のさらなる連携強化による人材養成促進も重要であると考えます。

検討をお願いしたい事項

1.現行のモデル・コア・カリキュラムB.2(3)生体と放射線・電磁波・超音波の「放射線と生物」の項では、4項目が示されていますが、これらの内容は、やや包括的な記述のため、実際の教育内容が教育機関間で大きくばらつく可能性があります。そこで学ぶべき内容をより精選したものとするために、いくつかのキーワード(コア)を明記することが望ましいと考えます。

具体的には、同項を、

1)放射線と放射能の種類、性質、測定方法、単位(照射線量、吸収線量、実効線量、生物学的効果比を含む。)について説明できる

2)放射線の人体への影響(急性影響と晩発影響、確率的影響と確定的影響、胎児への影響を含む。)について説明が出来る。

3)放射線による人体への全身障害と局所障害を説明できる。

4)種々の正常組織の放射線感受性の違いを説明できる。

5)放射線の細胞への作用と放射線による細胞死の機序を説明できる。

とすること(下線部の明記)をご検討下さい。

2.現行のモデル・コア・カリキュラムD.4.「物理・化学的因子による疾患」(3)疾患の項において、物理的・化学的因子の一つとしての放射線の人体への影響を学ぶことにつき、ご勘案いただければ幸いです。大量の放射線を被ばくした患者であっても、初期の数時間以内に起こる症候は、嘔吐や下痢といった非特異的なもので

あることから、初期対応に当たった医師が、化学物質の中毒だけでなく、放射線を思い浮かべ、総合的な初期対応を行うことができるかどうかは、患者のその後の治療のみならず臨床現場の二次的な汚染の拡大防止などに大変重要となるからです。モデル・コア・カリキュラムのコアとしての性格を考えれば、いたずらに項目を増やすことは避けなければなりませんが、最低限の基本的な事項として以下の内容を盛り込むことについてご検討下さい。

4放射線による障害

到達目標

1)放射線の外部被ばくおよび内部被ばくの症候、診断と治療を説明出来る。

以上

○日本小児心身医学会要望書(平成22年8月)

平成22年8月10日

モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会

委員長 高久 史麿  殿

日本小児心身医学会 理事長 田中 英高

日本小児科学会   会長 五十嵐 隆

「平成19年度版 医学教育モデル・コア・カリキュラム」改訂に対する要望書

謹啓

 貴委員会におかれましては、「平成19年度版 医学教育モデル・コア・カリキュラム」改訂作業に着手され、お忙しいことと拝察致します。

 日本小児心身医学会は、日本小児科学会の分科会であり、昭和58年に創設され、現在は会員数約960名と発展中の学会です。設立趣旨は、心の問題を持つ子ども達が急増している社会的状況を鑑み、すべての小児科医は、子どもの心に関連した病態、すなわち、心身症、神経症、行動上の諸問題の診療に従事する必要があるとの考えに基づいております。実際にその後20年間、当該領域の患者数は増加し続けており、小児医療現場における大きな問題となっていることはご存知の通りです。

 これに対して、平成16年12月24日、少子化社会対策会議が「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について(子ども・子育て応援プラン)」を決定しました。この中に、5年間で「子どものこころの健康に関する研修を受けている小児科、精神科医(子どもの診療に関わる医師)の割合を100%」にすることが目標に掲げられています。これに従って、厚労省雇用均等・児童家庭局が「子どもの心の診療医」の養成に関する検討会、厚生労働科学研究補助金 子ども家庭総合研究事業 子どもの心の診療に携わる専門的人材の育成に関する研究(何れも主任研究者 柳澤正義)が開始されました。当該領域の歴史上、画期的な政策推進事業であり、関連学会が協力体制を取り研修会など医師養成事業を開始し、医療機関には徐々に「子どものこころの診療部」等が設立され始めています。

 しかし現状では、患者数の急増に見合った診療医の増加は実現しておらず、いまだに初診待ちが半年~1年以上の医療機関が多い状況です。これを打開するためには、卒後教育だけでは不充分であり、医学部卒前教育における当該領域の必修化が急務と考えられます。平成19年10月、全国医学部長行院長会議(会長 大橋俊夫、信州大学)による「『子どもの心の教育・診療』実態調査結果について」が発表され、その中で卒前教育における当該領域をより一層充実するよう、指摘がなされています。

 私どもはこの内容に多いに賛同するものです。「子どもの心の診療」のような現在医療の重要課題を医学生の時期に学ぶことは、学生の視野を広げ、やる気を引き出し、即戦力のある医師養成に貢献すると考えます。平成19年度版コアカリにおける子どもの心の領域では、「小児行動異常」は記載があります。しかし、小児科領域の心の問題で最も発症率の高い「小児心身症」の記載がありません。両者は異なる領域です。「小児心身症」を卒前教育において医学生が習得できるよう「平成22年度版 医学教育モデル・コア・カリキュラム」の改訂に関して、別紙の要望を致します。ご検討頂けましたら幸甚です。

(別紙)

【要望事項】

 現在、「平成19年度版 医学教育モデル・コア・カリキュラム」改訂作業が進められています。同コア・カリキュラムの子どもの心の問題に関する項目では、小児科領域の心の問題で最も発症率の高い「小児心身症」が欠落しております。つきましては、改訂作業におきまして、以下の下線部分(小児心身症)の追加を要望致します。

医学教育モデル・コア・カリキュラム-教育内容ガイドライン-平成19年度改訂版(子どもの心の領域に関連する箇所 抜粋 該当ページ数を()に記載)

D 全身におよぶ生理的変化、病態、診断、治療

5.成長と発達(p53-54)

一般目標:

胎児・新生児・乳幼児・小児期から思春期にかけての生理的成長・発達とその異常の特徴および精神・社会的な問題を理解する。

(2)乳幼児

到達目標:

1)乳幼児の生理機能の発達を説明できる。

2)乳幼児の精神運動発達の異常を説明できる。

(3)小児期全般

到達目標:

1)小児の精神運動発達を説明できる。

(中略)

△6)児童虐待を概説できる。

△7)小児の診断法と治療法における特徴を概説できる。

△8)小児行動異常(注意欠陥多動障害 〈ADHD〉、自閉症、学習障害、チック)を列挙できる。

 9)心身相関を理解し、小児心身症(不定愁訴、起立性調節障害、慢性頭痛、過敏性腸症候群、神経性無食欲症、過換気症候群、不登校)を列挙できる。

G 臨床実習

2 内科系臨床実習

(3)小児科(p76)

到達目標:

1)新生児、乳・幼児期、学童期、思春期の患者およびその家族と良好な関係を築いて、漏れのない正確な情報を取ることができる。

症 例: 運動・精神発達の遅れ

   : 心身の不調・行動上の問題

【要望理由】

現行コアカリの小児科領域において、虐待と小児行動異常(注意欠陥多動障害 〈ADHD〉、自閉症、学習障害、チック)は学習対象となっているが、「小児心身症」が未掲載である。厚労科研奥野班の調査(2000年)によれば、小児心身症はADHDの5倍以上の受診者数を占め、一般小児科を受診する患者では感染症に次いで多い。日本小児心身医学会は、小児心身症の中で重要な4つの病態(起立性調節障害、くり返す頭痛・腹痛、神経性無食欲症、不登校)について診療ガイドラインを作成した。以上のことから、9)心身相関を理解し、小児心身症(不定愁訴、起立性調節障害、慢性頭痛、過敏性腸症候群、神経性無食欲症、過換気症候群、不登校)を列挙できる。の追記を要望する。また実習においては、不定愁訴等の心身の不調、行動上の問題の症例を追記して頂きたい。

 なお、精神科領域で子どもの心に焦点を当てた記載はなく、関連する病態は以下のように成人疾患の中で取り扱われている。

C 人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療

15 精神系(p45-)(精神科領域)

(3)疾患・障害

 11)心身症(摂食障害を含む)の症候と診断を説明できる

△16)精神遅滞(知的障害)と広汎性発達障害(自閉症)を概説できる。

△17)多動性障害と行為障害を概説できる。

以上。

○全国薬害被害者団体連絡協議会要望書(平成21年8月)

文部科学省大臣 川端 達夫 様

                    全国薬害被害者団体連絡協議会

                       代表世話人 花井 十伍

私たちは、1999年8月24日に厚生労働省敷地内に「薬害根絶誓いの碑」が建立されて以来、毎年8月24日を「薬害根絶デー」と定め、被害者が一堂に会し、多発している薬害の根絶を目指して、行政とのと話し合いをすすめています。今年も薬害根絶を実現すべく、下記の通り要望しますので、真摯且つ前向きな回答と意見交換をよろしくお願い致します。

要望書

<高等(専門)教育に関して>

【1】2002年3月25日に、CJD薬害の被害者と国との間で交わされた和解確認書の『我が国で医薬品等による悲惨な被害が多発しでいることを重視し、その発生を防止するため、医学、歯学、薬学、看護学部等の教育の中で過去の事件などを取り上げるなどして医薬品の安全性に対する関心が高められるよう努めるものとする」という一文の主旨に沿って、文部科学省は医学、歯学、薬学、看護学部の教育のカリキュラムで、過去の薬害被害について学ぶ取り組みをする義務があります。これらについて昨年からのさらなる進捗状況について具体的に明らかにして下さい。なお、その際、薬害の原因や実態だけでなく、被害者や遺族への差別や偏見の歴史の問題など、人権教育の問題についてのどのような教育が進められているかについても明らかにしてください。

【2】ここ数年間、毎年度まとめて頂いている「薬学問題に対する各大学の取り組み状況」について今年産も最新の状況を明らかにして下さい。薬害を知らない医療従事者がつくられてしまわないよう、今後とも、すべての大学において、薬害被害者の声を直接聞く等、適切な医療倫理、人権学習等がなされていくよう要望していますが、近年、実施率が伸び悩んでおります。このことに対してどのように考えておられるか、また、対策を講じておられるのかについて明らかにして下さい。

【3】厚労省やその外郭団体は薬害や医療被害者の体験や思いを生かすべく、審議会や検討会に被害者の委員を多く探用している。医学、薬学教育等の問題を議論する文部科学省の審議会や検討会においても、薬害被害者らが委員として参加できるようにして下さい。

【4】近年、インターネット上の掲示板やプログなどで、医師による薬害被害者や医療被害者に対する、事実と異なる偏見や誹誘中傷が頻繁に書き込まれることがくりかえ大きな問題となっています。このことについて、文科省としても大変憂慮している旨の回答が昨年ありましたが、今年も、薬害被害者が医学部などで講義をした際に、匿名で偏見を書き込む医師のプログを鵜呑みにして、被害者の話に反論をするような医学生らがいました。大学附属病院の職員研修や医学部などの教育の中で、薬害や医療被害の事実を伝える教育が欠如していることが偏見を生み、人権教育、倫理教育の欠如が被害者への誹誘中傷を生んでいると考えられます。このようなことが絶対に起こらないように、この一年間に取り組まれた内容や成果について明らかにして下さい。

<別紙2>

2010年8月24日

文部科学大臣

川端 達夫 様

全国薬害被害者団体連絡協議会

     世話人代表 花井十伍

医学教育モデル・コデ・カリキュラム改訂にする意見

本年6月16日に開かれた、モデル・コア・カリキュラム改訂に関する「連絡調整委員会」(第1回)及び「専門研究委員会」(第1回)において、当協議会にヒアリングの要請があり、副代表の勝村より、主に下記の5点をまとめとした発言をさせていただきました。

  1.薬害や医療被害の歴史と事実経過、その背景や真相などを、再発防止と強く願う被害者の視点からしっかりと伝える。

  2.事実ではない情報を発信したり、そのような情報に惑わされたりしないように、薬害等の事例における偏見や差別の歴史を伝える。

  3.医療情報の公開、開示、共有の歴史的経過や意義を、被害防止め観点からしっかりと伝え、情報リテラシーを高める。

  4.医学を根拠に仕事画する者としての学問的良心、人間を相手にする仕事をする者としての職業的良心を大切にする価値観を育てる。

5.患者、社会的弱者、薬害・薬の副作用・医療事故被害者らを救済する制度伝え、救済の役割を担えるようにする。

これらの内容を、カリキュラムに活かして頂きますよう改めて要望します。

さらに本年9月以降、本格的に議論が始まる予定となっている医学教育モデルコアカリキュラムの改訂について、現行のカリキュラムに対する具体的な改訂案を下記の通り追加して要望しますので、議論に反映していただきますようようよろしくお願いします。

※「A 基本事項>2 .医療における安全性確保〉(2)医療上の事故等への対処と予防」の項目に以下を加える。

○薬の副作用と薬害の違いを説明できる。また、それぞれの薬害について、その原因と被害の実態について正しく説明できる。

○薬害の被害者が差別や偏見の対象となってきた歴史を説明できる。

○インターネット上で医師による被害者への誹謗中傷、デマの流布、個人情報の暴露などの事件が起った事実と背景を説明でき、適切な情報リテラシーを身につける。○カルテ開示、レセプト開示、診療明細書の発行などの医療情報の開示が、薬害や医療事故被害者らによる被害の再発防止を願う思いから進んできた事実とその意義を説明できる。

○薬の副作用被害者や薬害被害者・医療事故被害者やその遺族に、事実を隠さず情報捷供すること、被害者に救済制度の活用を促すこと、被害の報告をし再発防止に努めることのそれぞれの重要性を説明し実行できる。

なお、歯科教育のモデルコアカリキュラムに関しても同様の意見です。

以上

(参考)

○犯罪被害者等基本計画(平成17年12月閣議決定)(抜粋)

第2 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

[今後講じていく施策]

(11)犯罪被害者等への適切な対応に資する医学教育の促進

文部科学省において、犯罪被害者等への適切な対応に資するよう、PTSD等の精神的被害に関する知識・技能を修得させるための教育を含め、各大学の医学教育における「モデル・コア・カリキュラム」に基づくカリキュラム改革の取組を更に促進する。

○犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008(平成20年12月犯罪対策閣僚会議決定)(抜粋)

第7 治安再生のための基盤整備

 2 犯罪の追跡可能性の確保、証拠収集方法の拡充

  6 死因究明体制の強化

死体取扱数の増加に対応するため、的確な検視の実施に資する人員の増強、施設・資機材の整備、死亡時画像病理診断の積極的活用、医師の死体検案に対する意識・能力の向上を推進するとともに、解剖医・解剖施設の充実、大学医学部の法医学講座等との連携促進、監察医制度の更なる活用等死因究明体制を強化するための方策について検討する。

○ 全国自治体病院開設者協議会,社団法人全国自治体病院協議会要望書(平成21年6月)(抜粋)

1.医師確保対策について

3) いわゆる総合診療に従事できる医師の養成に努めるとともに,専門医の養成・認定においては,地域医療従事等の評価を考慮した体系とするよう,国として早急な対策を講じること。

○ 日本慢性期医療協会要望書(平成21年8月)(抜粋)

老年医学の継承発展に関する要望書

謹啓 新涼の候ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます、平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

 さて、大学医学部における老年医学講座は近年縮小の傾向にあり、当日本慢性期医療協会としては、官民の福利に少なからぬ影響を及ぼすのではないかと懸念しているところであります。

 今後の日本の厳然たる事実として到来するのが超高齢社会であり、今や急性期医療の現場でも患者の3分の2以上が高齢者という時代となっております。高齢者を身体的には成人の一部と考えることは異論が多く、小児科と同じように身体環境の異なった集団として特別な治療が必要とされております。そのため、旧来より各大学に老年医学の講座が創設され、日本でも高齢者に対する医療の学問的研究が進んでいることは誠に評価されるべきことと存じます。

 しかしながら、ここにきて老年医学講座の廃止や統合が行われようとすることは、今後爆発的に増加し、老年医療の需要がさらに大きくなろうとする時代に逆行するものではないかと危惧しております、どの診療科においても高齢者の占める比率は高く、小児科など一部を除くすべての診療科で老年医学の専門性が必要とされております。老年医学の視点から診療できる医師の養成を怠っては慢性期医療のみでなく、急性期医療の現場でも的確な診断、治療を欠くことにもつながりかねません。

 当白本慢性期医療協会の会員施設では、高齢者の医療を担当する機会が多くある中で全国の老年医学の先生方にご支援をいただき、診療に大いに参考にさせて頂いております。時代背景や日本の現状を鑑みて、医学教育の場においても老年医学の継承、発展についてご高配いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。

                                 敬具

○ 全国医学部長病院長会議要望書(平成21年10月)(抜粋)

6.  医学研究を再興させるための具体的政策を直ちに推進して頂きたい。

  臨床研修制度などの影響により、基礎医学研究者の志望が激減し、医学研究が沈滞の危機にあります、世界の論文数は1997年米国に次いで世界第2位でしたが,2007年には5位に後退しました。この10年間の論文数の伸びは中国が505%すなわち5倍、韓国204%;約2倍に対し本邦はわずか5%にとどまり、国立大学医学部全体では3%減という惨憺たる状況です。医学研究は医療の質を担保し国民福祉を維持するためには必須のものです。医学研究を再興させるため具体的政策の速やかな推進を求めるものです。

○ 自治体からの要望書(平成21年12月)(抜粋) 例:茨城県要望書

医師確保対策について

 医療の高度化,専門化に加え,インフォームドコンセントの充実等患者ニーズの多様化や,女性医師の増加など,医師を取り巻く環壕が大きく変化する中,医師の絶対数の不足に加え,医師の地域偏在や診療科偏在などにより,全国的な医師不足が一層深刻なものとなっています。

 本県の医師数は人口10万人対155.1人と全国平均217.5人を大きく下回り,特に,全国平均の半分に満たない二次保健医療圏があることや,小児科,産婦人科など、不足診療科はもとより,内科及び外科等の基本的な診療科においても,医師不足が深刻なものとなうており,本県の医療体制の充実を図るためには,医師確保は緊急の課題であります。

 国においては,平成21年度から過去最大の医李部入学定員増を図るとともに,臨床研修制度の見直しが実施されたところでありますが,地域における医療提供体制の確保のためには,医師養成に多額の公費負担が行われている現状や医師に求められている公的責務なども踏まえたうえで,現在の医師の勤務のあり方の見直しも含め,さらなる抜本的な対策を進める必要があります。

 以上のことから,下記事項について要望いたします。

7 今後ますます増加が見込まれる女性医師が第一線で継続して働くことができるよう,保育制度の充実,短時間勤務やワークジェアリング等勤務体制の柔軟化,再就業支援等,就業環境の整備を促進するために必要な措置を早急に講じること。

○内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書(平成22年1月)(抜粋) 

        厚生労働省

【4.内服薬処方せんの記載方法の標準化に至る短期的方策】

 「3.内服薬処方せん記載の在るべき姿」に基づき、まず、可及的速やかに着手すべき方策として実施すべきものを示す。

7)医師、歯科医師、薬剤師及び看護師の養成機関においては、内服薬処方せんの標準的な記載方法に関する教育を実施し、内服薬処方せんの標準的な記載方法を基に国家試験等へ積極的に出題する。

8)医師、歯科医師、薬剤師及び看護師の臨床研修等の卒後の教育においても、上記養成機関における対応等を踏まえ、医師臨床研修指導ガイドライン等に内服薬処方せんの標準的な記載方法を明記し、内服薬処方せんの標準的な記載方法に関する教育を可及的速やかに実施する。

○ 日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会要望書(平成22年2月)(抜粋)

わが国の医学研究と医薬品産業の国際競争力を高めていくためにも、今こそ基礎医学研究振興に向けて、早急に下記の施策を講じていただくことを要望致します。

1.基礎医学研究振興を科学技術部門の成長戦略の一環に位置付け、医学部における基礎医学教育の充実と優れた基礎医学研究者が安心して研究活動に専念できる研究費を確保すること。

○ 薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)(平成22年4月)(抜粋)

厚生労働省

第4 薬害再発防止のための医薬品行政等の見直し

3 薬害教育・医薬品評価教育

・ 大学の医学部・薬学部・看護学部教育において、薬害問題や医薬品評価に関して学ぶカリキュラムがないか少ないため、関係省と連携してカリキュラムを増やすなど、医療に従事することになる者の医薬品に対する認識を高める教育を行う必要がある。

・ 具体的には、医学部・薬学部・看護学部におけるコアカリキュラムや、国家試験の問題作成基準の見直しを含めた検討を行うべきである。

・ 医師、薬剤師、歯科医師、看護師となった後、薬害事件や健康被害の防止のために、薬害事件の歴史や健康被害、救済制度及び医薬品の適正使用に関する生涯学習を行う必要がある。

○ ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討委員会報告書(平成22年6月)(抜粋)

  厚生労働省

第2 疾病を理由とする差別・偏見の克服、国民・社会への普及啓発

 2 正しい医学的知識の普及・啓発

・疾病を理由とする差別・偏見を克服するためには、すべての人が正しい医学的知識を持つことが、なによりも大切なことである。

・正しい医学的知識の普及・啓発という観点からみた場合、医療従事者の果たす役割は極めて大きい。このため、医療従事者の幅広い専門的知識と高い倫理的視野に対する社会の要請に医療従事者が応えられるよう、国・地方公共団体、大学、研究機関は、医学系・看護系教育の強化、充実、海外の知見や国内の少数意見を含め、正しい医学・医療の知識・情報を提供するためのシステムの構築を図っていかなければならない。さらに学術的根拠の解明が恒常的に推進され、啓発活動に資するよう、学術的研究体制の充実、研究者の確保、育成に努めなければならない。

○ 慢性の痛みに関する検討会報告書(平成22年9月)(抜粋)

           - 今後の慢性の痛み対策について(提言) -

                            厚生労働省

3.今後、必要とされる対策

(2)教育、普及・啓発

○ 医師、看護師等の医療従事者の育成において、慢性の痛みに関する診断法や対処法等を、初期教育や卒前・卒後教育において実施することが必要である。これらを教育プログラム等に反映させるような取組が望まれる。

お問合せ先

高等教育局医学教育課

医学教育課企画係
電話番号:03-5253-4111(内線2509)