モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(平成22年度)(第1回)・モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する専門研究委員会(平成22年度)(第1回)合同会議 議事録

1.日時

平成22年6月16日(水曜日)15時00分~17時30分

2.場所

3F2特別会議室

3.議題

  1. 委員長の選任について
  2. 開催趣旨等について
  3. 関係者からのヒアリング

4.議事録

【唐沢課長補佐】 定刻になりましたので,ただいまからモデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会(第1回)及び専門研究委員会(第1回)の合同会議を開催いたします。

 私は,後ほど本会議の委員長が選任されるまでの間,進行を務めさせていただきます、文部科学省医学教育課で課長補佐をしております唐沢と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 会議に入ります前に,3点ほど私からご報告させていただきたいと思います。まず1点目ですが,本会議は,冒頭より公開とさせていただきますので,ご了承願います。

 2点目ですが,文部科学省におきましては,政府全体として取り組んでいる地球温暖化防止及び省エネルギーに資するため,今年も6月1日から9月末までの夏季期間において軽装で職務を行うこととしております。そのため,本日を含めまして,この期間の会議におきましては,関係職員がノーネクタイ,ノー上着等の軽装で出席させていただくことも多くなると思いますので,あらかじめご理解をいただければと思います。なお,ご参加の委員の皆様方におかれましても,その取り組みの趣旨をお酌み取りの上,軽装での参加にご協力をいただければと思います。

 3点目ですが,本日の会議は,恐縮ですが,発言に当たっては,マイクが手元にありますので,ボタンを押した上で発言をいただければと思います。

 引き続きまして,本日は今回の改訂に係る第1回目の会議でございますので,本会議の主催である文部科学省を代表いたしまして,德永高等教育局長より,一言ごあいさつを申し上げます。

【德永高等教育局長】  文部科学省の德永でございます。まず先生方には,このたび医学教育及び歯学教育に関するモデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会,そしてその下に置かれます専門研究委員会の委員にご就任いただきましたこと,そしてまた本日,ご出席いただきましたことについて,お礼を申し上げたいと思っております。

 今回,皆様方にご議論いただくモデル・コア・カリキュラム,これは平成13年につくったわけでございます。申すまでもないと思っておりますけれども,この性格は,いわば大学の教育のカリキュラムの指針でございます。文部科学省が一律に大学に対して強制力を発揮してつくるというようなものの性格ではなく,あくまでも大学の自律性,自主性,主体性を尊重しながら,文部科学省と大学関係者,そしてまた医学関係者が一体となって定め,全体として,日本の医学関係者がそれをベースに,それぞれが主体的にその内容の実現に取り組むというものでございます。

 そういう意味では,初等中等教育における指導要領をつくるというようなことではございません。あくまでも大学関係者が一体となって,全体としてこういったものを踏まえて,それぞれの大学で教育を実践していく。その指針となるものを定めるという性格でございます。

 特に私ども,今回の改訂に当たりましてお願いしたいと思っておりますのは,最近の動き,私が高等教育局長になりましてからでも,大きな動きがございます。1つは,きょう高久先生もご参加いただきましたけれども,つい先年まで,厚生労働省と文部科学省の共同事務局という形で,高久先生を座長にして,卒後臨床研修の見直しに関するさまざまな検討が行われたわけでございます。その際も,卒後臨床研修というものと,卒前の教育というものをどう具体化していくのか。その中でどう臨床的な教育をしていくのかといったことが課題となっておりますし,そういったことに向けて,これまでも私どもいろいろな議論をしてきたわけでございます。

 また,同時にこの3年間で,文部科学省として医学部の入学定員を1,000名以上ふやしているわけでございますが,その多くの場合は,例えば今年も360名増員いたしましたけれども,各県とそれぞれの大学の間におきまして,一定の話し合いをしていただき,例えば今年の標準モデルでいいますと,それぞれの大学で7名,医学部の入学定員を増員するに当たって,県内の割り当てを5,県外に2という形で,それぞれの関係県と協議し,そしてその地域枠を設け,また県のほうも奨学金等を用意していただく。そのかわりきちっとそれぞれの地域で,地域医療を志す,そういう教育を行うということが入学定員改定の趣旨でございます。

 したがって,私どもといたしましては,そういう地域医療と病院の置かれている状況を考えますと,まず大学の医学教育において,そういう地域医療を志す,ほんとうに志の高い医師をどう育成していくのかということが大きな課題となっておりますし,そのこと自体が入学定員を増員したときのお約束ということになっているわけでございます。ぜひそういったことも,この会議でご検討をいただければと思っているわけでございます。

 また同時に,歯学教育につきましては,歯科医師の過剰といったことがございまして,歯学部入学定員の削減ということもございます。一方で,卒業時の臨床能力の低下も懸念されているということも聞くわけでございます。昨年1月には,歯科医師の養成に向けた改善充実方策についての報告書を取りまとめているわけでございます。ぜひそういったことを踏まえて,ご検討いただければと思っております。

 また同時に,現在,政府部内で最終的な策定作業に入っております新しい成長戦略におきましても,ライフイノベーションということが重要な柱となっているわけでございます。私どもも,そういった中で,例えば特定機能病院等について,さまざまな従来の規制というものも多少緩和する上で,できる限り高度の医療というものをいち早く,国民等に対して提供していく。また同時に,新しい医療技術,医薬品を開発していく意味での臨床研究を推進するといったこともございますので,今回,22年度の入学定員におきましては,初めてでございますけれども,特にそういうライフイノベーションを担っていくような研究医について,17名でございますが,新しく入学定員を設けたわけでございます。

 これまで当然,大学の医学部教育においては,臨床の教育と同時に,そういう研究を行っていくという基礎医学,あるいは臨床研究に関する教育も行ってきたわけでございますが,近年では特に,国立大学の法人化以降,臨床医学に関する論文数が急激に落ちているというような指摘もございます。そういったことは,最近では,国立大学の法人化に関する検討結果でオープンになっております。

 また同時に,一方では,ライフイノベーションの担い手を育成しなければいけないといったことから,今年初めてでございますが,そういう研究ということに着目した形での入学定員を設定したわけでございます。ぜひ今後の医学教育のカリキュラムという中では,そういう面についてもご検討いただければありがたいと思っております。

 そういう意味では,私ども今回は大学のみならず,幅広いお立場で,医学あるいは医療にかかわっているご専門の先生方にお集まりいただいているわけでございます。こういったことから,大変お忙しいとは思いますが,こういった方向に向けて,ぜひ鋭意ご議論いただければ幸いでございます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

【唐沢課長補佐】  引き続きまして,配付資料を確認させていただきたいと思います。お手元の封筒の上に配付しておりますけれども,議事次第,右肩に資料1と付したものから資料5と付したものまで。資料1が今回の設置要綱,資料2がカラー版でございますけれども「医学・歯学教育に係るカリキュラムの改善に向けて」,資料3が勝村様からのヒアリング資料,資料4が井部様からのヒアリング資料,資料5はクリップでとめてあるかと思いますが,堀内様からのヒアリング資料でございます。

 なお,その後ろに参考資料といたしまして,参考資料1「準備教育モデル・コア・カリキュラム」,参考資料2「医学教育モデル・コア・カリキュラム」,参考資料3「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」,参考資料4「臨床研修制度の見直し等を踏まえた医学教育の改善について」,参考資料5として歯学教育の改善に関する第1次報告,そして最後に参考資料6といたしまして,「医学・歯学教育に関する主な提言等」という資料を添付しております。

 資料の落丁等がございましたら,事務局までご連絡をいただければと思います。なお,あわせて本日のメイン席にお座りの方々には,ドッチファイルで,モデル・コア・カリキュラムの冊子になったものをあわせて添付しておりますので,適宜ご参照いただければと思います。

 引き続きまして,資料1の別紙に今回の会議の委員名簿を添付していますが,各委員を座席順にご紹介させていただきます。資料1の2枚目及び3枚目をご覧願います。

 本日の会議は,連絡調整委員会と専門研究委員会の2つの会議の合同会議でありますが,まずは連絡調整委員会の委員からご紹介申し上げます。

 高久委員でございます。

【高久委員】  (一礼)

【唐沢課長補佐】  小川委員は本日欠席でございます。黒岩委員でございます。

【黒岩委員】  よろしくお願いいたします。

【唐沢課長補佐】  馬場委員でございます。

【馬場委員】  よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  江藤委員でございます。

【江藤委員】  よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  中原委員でございます。

【中原委員】  (一礼)

【唐沢課長補佐】  引き続きまして,専門研究委員会のほうに移らせていただきます。梶井委員でございます。

【梶井委員】  よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  北村委員でございます。

【北村委員】  よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  黒岩委員は,連絡調整委員会の委員と兼務でございます。よろしくお願いいたします。名川委員でございます。

【名川委員】  よろしくお願いいたします。

【唐沢課長補佐】  奈良委員でございます。

【奈良委員】  よろしくお願いいたします。

【唐沢課長補佐】  伴委員でございます。

【伴委員】  よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  福田委員でございます。

【福田委員】  よろしくお願いいたします。

【唐沢課長補佐】  三上委員でございます。

【三上委員】  よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  光山委員でございます。

【光山委員】  よろしくお願いいたします。

【唐沢課長補佐】  江藤委員は連絡調整委員会の委員と兼務でございます。よろしくお願いします。嶋田委員でございます。

【嶋田委員】  よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  関本委員でございます。

【関本委員】  よろしくお願いいたします。

【唐沢課長補佐】  西原委員でございます。

【西原委員】  よろしくお願いいたします。

【唐沢課長補佐】  俣木委員でございます。

【俣木委員】  よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  宮村委員でございます。

【宮村委員】  よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  辻本委員でございます。

【辻本委員】  よろしくお願いいたします。

【唐沢課長補佐】  邉見委員は本日ご欠席でございます。前野委員でございます。

【前野委員】  前野です。よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  本日は,専門研究委員会のオブザーバーといたしまして,厚生労働省から2名の課長にお越しいただいております。順にご紹介申し上げます。厚生労働省医政局医事課,杉野医事課長でございます。

【杉野医事課長】  よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  同じく,厚生労働省医政局歯科保健課の日髙課長でございます。

【日髙歯科保健課長】  よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  また,本日は3名の方からヒアリングをお願いしております。勝村様は後ほど来られますが,既に井部様,堀内様にお越しいただいていますので,本日はよろしくお願いいたします。

 最後に,本会議の主催であります文部科学省の事務局をご紹介申し上げます。先ほど,ごあいさつを申し上げましたが,文部科学省高等教育局長の德永でございます。

【德永高等教育局長】  (一礼)

【唐沢課長補佐】  文部科学省高等教育局医学教育課長の新木でございます。

【新木医学教育課長】  よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  文部科学省高等教育局視学官の茂里でございます。

【茂里視学官】  よろしくお願いいたします。

【唐沢課長補佐】  私,文部科学省高等局医学教育課で課長補佐をしております唐沢と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 引き続きまして,本日の議題の1つ目でございますが,委員長の選任に移らせていただきます。今回は合同会議でございますが,連絡調整委員会及び専門研究委員会,それぞれの会務を掌理するお立場としまして,連絡調整委員会には委員長1名,また専門研究委員会では医学教育,歯学教育,それぞれに関する検討をいただくということもございますので,医学教育担当の委員長,歯学教育担当の委員長,それぞれ1名ずつを置かせていただきたいと思います。

 具体的な委員の人選の進め方でございますけれども,連絡調整委員会の委員長につきましては,本日の会議におきまして,委員互選により選任させていただき,専門研究委員会の医学教育,歯学教育,それぞれの担当委員長につきましては,連絡調整委員会の委員長が指名する者とさせていただければと思います。

 なお,委員長が都合により出席できないというようなことがある場合には,当該委員長が指名する者を委員長代理とさせていただきたいと思います。

また,本日の合同会議におきましては,議事を円滑に進行するため,この合同会議の座長と副座長を置かせていただければと思います。座長につきましては,親会議に相当します連絡調整委員会の委員長とし,副座長につきましては,後ほどご選任いただく連絡調整委員会の委員長である座長が指名するものとさせていただければと思います。

 それでは,まずは連絡調整委員会の委員長を選任したいと思います。どなたかご推薦をいただければと思いますが,いかがでしょうか。

【俣木委員】  医療者教育全般にわたりまして,これまで大変ご尽力いただいている高久先生にお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。

( 拍手 )

【唐沢課長補佐】  ご異議はございませんでしょうか。

 それでは,恐縮ですが,高久先生に連絡調整委員会の委員長,並びに本日の会議の座長をお願いしたいと思います。高久委員は,座長席にご移動願います。

【高久委員長】  ご指名にあずかりました高久です。本日の司会を務めさせていただきますが,その前に一言ごあいさつ申し上げたいと思います。

 先ほど德永局長さんからお話がありましたように,モデル・コア・カリキュラムは平成13年につくられました。その当時、各医科大学でかなりばらばらに教育が行われているということで,コアの部分は共通にする必要があると。そのときの話し合いを思い出しますと,各医科大学のカリキュラムのうちの大体70%をコアにして,あとの30%は各医科大学の建学の理念かそういうものに沿った自由な内容にすればいいのではないかという意見で始まったと思います。実際には,モデル・コア・カリキュラムだけを学習している大学もあるようですが,最初の意図はそのようであったと思います。

 事務の方にお伺いしますと,平成19年に,このモデル・コア・カリキュラムの改訂に関する委員会がありまして,そのとき将来的にはモデル・コア・カリキュラムの連絡調整委員会と専門研究委員会を,常設の委員会として、コア・カリキュラムを変えていく必要があるということが話し合われました。今回が連絡調整委員会と専門研究委員会の最初の会合になったということです。

 それでは,座らせていただいて,司会をいたします。

【高久委員長】  先ほど事務局から提案がありましたように,専門研究委員会の委員長及び本日の合同会議の副座長につきましては,僭越ながら私が指名させていただくことになっています。これまでモデル・コア・カリキュラムの策定や改訂に際して,中心的な役割を担っていただいた経緯などを踏まえまして,専門研究委員会の委員長については,医学教育担当は福田委員,歯学教育担当は江藤委員のお二人にお願いしたいと思います。

 なお,本日の合同会議の副座長は,江藤委員にお願いしたいと思いますが,よろしいでしょうか。

( 拍手 )

【高久委員長】  それでは,江藤先生,副座長のほうに,よろしくお願いします。

 本日は議事次第にありますように,最初に事務局から,本会議の開催趣旨等についての説明を10分ぐらいしていただいて,その後,関係の3名の方からお話をお伺いしたいと思います。説明が20分,質疑応答15分という形でさせていただいて,5時半には終わりたいと思います。第1回目ですし,各委員の方からご自由なご意見をいただきたいと思います。

 それでは,事務局から,本会議の開催の趣旨等について,よろしくお願いします。

【唐沢課長補佐】  それでは,私から本会議の開催趣旨等につきまして,資料2並びに参考資料の1,2,3をお手元に置いていただければと思いますが,資料に沿って簡単に経過等をご説明申し上げます。

 資料2の冒頭,「これまでの取組」とございますけれども,医学教育及び歯学教育のモデル・コア・カリキュラムにつきましては,平成13年3月に策定され,19年12月に一部改訂されたところでございますが,その概要につきまして,資料2の2ページ,右肩に「別紙1」と書いてある資料をごらんください。

 この別紙1には,上段に「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の全体像,下段に「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」の全体像を示してあります。もう既にご承知の先生も多いかと思いますが,簡単に構成をご説明申し上げますけれども,「医学教育モデル・コア・カリキュラム」というのは,すべての医学生が卒業時までに共通して履修すべき必須の基本となる教育内容,どういったことを教育すべきかという一般目標と,その結果どういう状態を目指すのかという到達目標,その一般目標と到達目標というのを項目ごとに明記したものでございます。

 また,量的には学生の履修時間数の3分の2程度を目安としたものであり,残りの3分の1程度は,この図の上段にございますが,選択制カリキュラムとして,各学校が特色ある取り組みを実施することを期待するものでございます。

 全体の構成といたしましては,実は「準備教育モデル・コア・カリキュラム」と「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の両方で全体が構成されているような仕組みになっておりますが,この「医学教育モデル・コア・カリキュラム」につきましては,参考資料2に現物を添付しております。冒頭に「医師として求められる基本的な資質」を明記し,その後の構成は大きく,臨床前教育と臨床実習に関することに区分できます。臨床前教育,臨床実習を通じての基本的な事項として,「医の原則」,「コミュニケーションとチーム医療」等を学ぶべきという内容がAと設定され,臨床前教育の内容としては,「医学一般」,「医学・医療と社会」,「診療の基本」等の事項をEからFとして,また「臨床実習」についてがGとして構成されております。

 なお,先ほど少し申し上げましたけれども,生物学をはじめとする基礎科学,これはある意味,教養教育の課程で学習するような内容になるかと思いますが,そういった内容に関しては,この「医学教育モデル・コア・カリキュラム」と別途,参考資料1として添付しております「準備教育モデル・コア・カリキュラム」として整理し,各大学にお示ししているものでございます。

 引き続きまして,「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」の構成について,別紙1の下段をごらんください。基本的な構成は医学教育と同様でございます。内容としても必須の基本となる教育内容を一般目標として,また,その結果,到達すべき目標を到達目標として明記するとともに,内容的には学生の履修時間数のおおむね6割程度の履修を目安としたものを明記し,残りの4割程度は選択制カリキュラムとして,各大学で特色ある取組の実施を期待するというような内容になっております。

 また,その構成としましても,医学教育のモデルカリキュラムとほぼ同様になっておりますが,冒頭に「歯科医師として求められる基本的な資質」を明記し,その他の内容としては,AからF,並びに臨床実習の内容で構成されています。基本的な事項として,「医の原則」,「歯科医師としての基本的な態度」というA,Bの項目のほか,臨床前教育に相当するような事項として,CからFとして,「社会と歯学」や「臨床歯学教育」等が明記され,さらに別途「臨床実習」に関する一般目標や到達目標の内容が記載されているものでございます。

 なお,「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」の現物は参考資料3に添付しております。参考資料1の「準備教育モデル・コア・カリキュラム」,13年3月に策定されて以降,19年には改訂されていませんけれども,その策定のクレジットが「医学における教育プログラム研究・開発事業委員会」となっているので,内容が医学教育に関する内容のみと思われがちなのですが,参考資料1を1枚おめくりいただければと思います。

 この「準備教育モデル・コア・カリキュラム」というのは,検討自体は医学の先生方を中心にご議論されたようですが,内容としては医学教育のみならず,歯学教育における内容をも念頭に置いたもの。具体的には,1枚目の2の上段にございますが,「このガイドラインは,良き医療人を目指す医学・歯学教育の前提として身につけておくべき基本的な事項を整理して提示したもの」となっており,この「準備教育モデル・コア・カリキュラム」は歯学教育の内容も補完しているものでございます。

 引き続きまして,資料2の1ページ目に戻っていただければと思います。今,申し上げましたモデル・コア・カリキュラムというのは,教育内容や到達目標を明記したものでございますが,そこで示した教育内容を客観的な立場で,教育の質を確保するという観点から,共用試験というものが現在実施されております。実施主体は社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構でございますが,モデル・コア・カリキュラムが13年3月に策定されて以降,14年度からの試行実施を経て,17年度から正式実施されているものでございます。内容はCBTと言われる知識に関するもの,また,OSCEと呼ばれる技能に関するものでございますが,詳細は資料2の3ページ目,右肩に「別紙2」という資料に記載されておりますけれども,本日は細かい説明は省略させていただきたいと思います。

 恐縮ですが,引き続き1枚目に戻っていただければと思います。モデル・コア・カリキュラムあるいは共用試験が実施された中,先ほど冒頭,当局局長からもご紹介申し上げましたが,この医学教育や歯学教育を取り巻く状況といたしましては,臨床研修制度のあり方の見直し等がなされ,医学教育,歯学教育もその内容の改善が必要ではないかということで,昨年5月には,医学教育に関する改善の方向性が,また1月には,歯学教育に関する改善の方向性が示されたところでございます。具体的な改善の方向性としては,資料2の真ん中にございますように,医学教育に関しては,臨床実習の系統的・体系的な充実,地域の医療を担う意欲・使命感の向上,さらには研究マインドの涵養,または臨床実習等については,単に実施するだけではなく,その効果をきちんと評価するシステムが必要ではないかというご提言がなされております。

 一方,歯学教育につきましても,同じように臨床実習の体系的・段階的な実施,その中には実習効果をきちんと評価すべきではないか。また,あわせて研究マインドの育成等々についてもご提言をいただいてございます。

 こうした中,今般,モデル・コア・カリキュラムの改訂に着手することを考えたところでございますが,今回の検討体制につきましては,資料2の1ページの下段にございますように,先ほど高久座長からご説明がありましたが,平成19年5月に,このモデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会,専門研究委員会という組織を設置いたしました。その任務といたしましては,連絡調整委員会というのは改訂案を決定する機関,いわゆる意思決定をする機関でございまして,その下の専門研究委員会というのは,改訂等に資する改訂原案を作成するというミッションを与えられるものとして,設置いたしました。

 ただし,委員の任期が既に過ぎているような状況でございますので,基本的にはこの構成を生かしつつ,今回の改訂に当たっては,大きく2点,前回と変更して取り組みを進めていきたいと考えております。

 1点目は人選の変更でございます。前回の構成につきまして,専門研究委員会は,大学の先生方のみで構成されていたのですが,そもそも医学教育,歯学教育というのは,やはり国民的な視点でさまざまな目というのが大事になってきますので,今回の専門研究委員会におきましては,本日お集まりの大学の先生方のみならず,広く一般の方の御意見を頂くということで辻本様,前野様等々にもご参画をいただいて,いろいろな視点から,改訂案についてご検討いただければと考えております,

 もう1点の変更点は,できる限り効率的に事務を進めたほうがいいのではないかという観点から,また,冒頭の当局局長からの話にもございましたが,モデル・コア・カリキュラムというのは,大学人みずからが,学部教育の実態,あるいはそれを取り巻く状況を踏まえて,素案をつくるほうが効率的ではないかということで,今回は改正素案の作成については,現在公募しているところでございますけれども,具体的には,先導的大学改革推進委託事業という事業で,公募した大学,その大学関係者で調査研究チームを組んでいただき,その中には医学教育,歯学教育のワーキング・グループをつくるような形になるかと思いますけれども,その調査研究チームで検討し、作成していただいた改正素案を,この専門研究委員会で検証し,最終的には連絡調整委員会で意思決定するというような体制で,改正していきたいと考えております。

 具体的なスケジュールにつきましては,その下段にございますけれども,いろいろなご意見があるかと思いますが,1つの目安といたしまして,今年の年末,12月下旬までに,一定の合意が得られたものについては,できれば改訂版として整理をいたしたいと考えております。本日第1回キックオフ会議とさせていただいておりますけれども,この後,7月上旬には委託先が決まる予定でございますので,今後委託先に,いろいろな観点から,本日の意見等も踏まえた検討をしていただき,9月ぐらいに,その時点での検討の素案骨子のようなものをこの会議にお示しいただき,そして秋以降,専門研究委員会でその内容を検証・精査いただき,最終的には年末に連絡調整委員会を開いて,決定するという運びで考えております。

 なお,ここには第2回,第3回と,2回しかやらないようなことになっておりますけれども,そこは内容等に応じて随時、開催していきたいと思いますし,また今回,医学教育と歯学教育,別々に委員長を設けたこともございますので,場合によっては,医学教育,歯学教育,それぞれ別々委員会を開き,内容の検証等をさせていただくこともあると思いますが,その際には事務局からご連絡を申し上げたいと思います。

 最後に,参考資料4,5,6とお配りしている内容でございますが,参考資料4と参考資料5は,先ほど申しました,昨年5月及び昨年1月に取りまとめられた医学教育及び歯学教育についての改善の方向性に係る報告の本体でございます。

 参考資料6をごらんください。医学教育,歯学教育を取り巻くいろいろな要望や提言等につきましては,その主なものを提示させていただきましたけれども,各種提言,あるいは要望等を当省にいただいたり,厚生労働省等の検討会の報告書に盛り込まれております。ここ一,二年で盛り込まれた主なものを参考までに提示させていただいておりますが,今後はこういったところで盛り込まれているようなことも踏まえまして,社会の要請を踏まえた,より実効性のあるモデル・コア・カリキュラムとしていければと考えております。

 以上,簡単ではございますが,事務局からの説明とさせていただきます。

【高久座長】  どうもありがとうございました。

 それでは,ただいまからヒアリングを行いたいと思います。まず最初に,全国薬害被害者団体連絡協議会の副代表世話人をされておられる勝村久司さんから,ご意見を伺いします。

 お忙しいところ恐縮ですが,よろしくお願いします。まず20分程度ご説明をいただいて,その後,少し質問をさせていただきたいと思いますので,勝村さん,よろしくお願いします。

【勝村氏】  よろしくお願いします。ただいまご紹介いただきました勝村です。本日は,非常に貴重な時間をいただきまして,私どものような立場の者の意見を聞いていただく機会をいただいたことに感謝いたしております。

 では,限られた時間ですので,早速ですが,お手元の資料3と,もう一つ別紙で新聞記事が5枚ほどとじられていて、一番最初に,「薬害の苦痛 生の声で語る 被害者の医大講義続々」というタイトルの記事があるものと、この2つの資料をもとにお話をさせていただこうと思いますので,よろしくお願いします。

 まず新聞記事の1つ目ですけれども,私たち全国薬害被害者団体連絡協議会というのは,ちょうど10年ほど前に結成されたのですが,それまでは,医療問題は厚生労働省という形ばかりでしたけれども,当協議会では、結成当初から、ここの文部科学省の皆さんといろいろ交渉する機会をいただけるようお願いしたわけです。薬害防止には,医学教育や,看護学,歯学,薬学などの高等教育はもちろん,義務教育などの公教育でも医療の話をしていくということが大切で,さらに大学の附属病院などが,医療の見本になるべきところであるということもあり,文部科学省との交渉を続けてきているところです。

 その中で,特に高等教育において,薬害というものが十分に伝えられていないという状況があります。卒業時または卒業してからのいろいろなアンケート調査等で――医療関係者の専門職の皆さんに薬害についての基本的な事項を聞くようなアンケート調査を,何人かの大学の先生がやってこられたんですけれども,その結果、薬害についてほとんど伝わっていない,教えられてきていないということがあり,文部科学省さんにもご尽力いただいて,できるだけ被害者本人の声を,大学の高等教育の中で聞いていくことを勧めるような働きかけも少ししていただいているわけです。

 それが始まったのが2003年のこの新聞記事ですけれども,よく読んでみますと,まだまだ実施している大学はまれで,それから7年たっていますが,これが十分に広がっていっているという形にはなっていなくて,減ってはいないんですけれども,ふえてもいないという状況です。しかもやっていただいているところでも,薬害にはいろいろありますけれども,卒業までに1回だけ,そのうちの1つの,だれかのお話を一度聞いていただいたらそれで終わりみたいな形も多くありますので,もう少し系統立ててやっていただけたらよいなと,今思っているところです。

 もう一つの資料3の17ページをごらんいただきたいのですが,これは昨年の夏の,薬被連から文部科学大臣への要望書です。当会は,このように結成から10年間,ずっと毎年,8月24日を「薬害根絶デー」として,そのときに厚生労働大臣と文部科学大臣に直接交渉をお願いしていただいているところです。文部科学大臣に関しては,まさに公教育,高等教育に関して,10年間にわたりいろいろな要望をさせていただいてきましたので,まさにそのあたりのことについて,きょうこれからお話しさせていただこうと思います。

 また,今年の8月24日も,政権交代以降初めて,薬被連が文部科学大臣とお会いできる機会をいただけると思いますので,またその場でも,私たちがお願いしたいと思っていることについても,この場でもお願いさせていただきたいと思っています。

 まず、資料3の1ページを見ていただきたいのですが,そこの下に書いていますけれども,それは主な薬害ということで,薬害にはいろいろありますが,それぞれ背景で,共通の構造というのもありますし,いっぽうで、違った要因もあり,今後の被害防止のために役立つべき教訓みたいなものが,またそれぞれに違ったものがあるということです。

 次のページですが,「薬事行政と薬害」ということでまとめてあります。その下には,「薬被連のスローガン」と書いてありますけれども,私たちが毎年8月24日に,全国から文部科学省に集まる理由というのは,「子どもたちを将来,薬害の被害者にも加害者にもしたくない」ということで,被害のつらさ,だから被害者を出さないというだけではなくて,きちんとやっていくことで,被害者が出ないということは加害者も出ないわけで,そのためにも高等教育に期待するところが多いということです。

 その一つ上のほうに,「薬害の原因はクスリだと思っていませんか?」ということを私たちは問いかけています。薬には必ず副作用があるんだ,副作用の被害が出てしまうのはどうしても仕方がないんだという話と一緒にされてしまうんですけれども,私たちは,そういう単なる副作用の被害を薬害の被害と呼んでいるのではなくて,もう少し、専門家の皆さんや産官学のどなたかが,この段階であったらもうこれは危険だとわかっていたにもかかわらず,そこで被害をとめることができたはずにもかかわらず,それが漫然と対策がとられないまま続いてしまって,いたずらに被害が拡大してしまった。関わった人間のほうに問題があり、しっかりと情報が与えられていれば防げたというものを薬害と呼んでいるのであり,仕方のない薬の副作用ではないということです。私たちはそのようなものを薬害というふうに大きく定義していますので,きちんと教育がされていれば,こういうことを防げるわけです。副作用はどの薬にも必ずあるでしょうけれども,薬害というのは,きちんとした教育や情報提供で防げるはずのものだと,私たちは信じているわけです。

 3ページの上のスライドですが,とはいっても厳密に見ていきますと,副作用と区別が難しいような薬害もあるのですが,その場合にも,下に書いてあるように,「受忍できない副作用が広く生ずる医薬品」という定義を,私たちは薬害の定義の一つにしていて,やはり単なる副作用の被害とは違うということをご理解いただきたいということです。

 その下にありますが,今回もまた、医薬品のデータ改ざんが,専門家によるものが起こっているわけですが,こういう医薬品のデータ改ざんも,過去私たちが知る限りでも相当数報道されてきた歴史もあるわけで,まさにこういうことがなくなっていくような教育というのも望まれ、それが薬害の防止にもつながるということです。

 次のページをお願いします。いろいろな薬害を教訓にして,そういう高等教育をしてほしいということをお願いしているわけですけれども,具体的にどんなイメージなのかということを,時間が限られておりますので,例として1つだけ取り上げてみたいと思います。それぞれの薬害から,それぞれに十分な教訓となる授業ができると私たちは思っているのですが,例えば陣痛促進剤の被害を例にすれば,どんな高等教育を期待しているのかということを,簡単にお話しさせていただきたいと思います。

 まず日本の出生数に関して,専門家にも伝えられていないものとして,出生数は曜日によって全く違うという事実です。2008年12月の出生数のデータをご覧下さい。なぜこのようになっているのか。それから,5ページの上のほうのデータですが,実はこの種のデータを厚生省が初めて統計をとった1984年から,既に曜日による出生数の違いがあって,この25年間ずっとこの傾向は変わっていないという事実があります。また,5ページの下ですが,時間別の出生数でも,2008年の1年間で生まれたすべての赤ちゃんを,時間別にプロットしてみると午後2時台が多くなっていて,6ページですが,やはり同じような傾向は,厚生省が初めて統計をとった25年前から既にそうなっていて,日本では午後2時台に生まれる赤ちゃんが一番多く,それがずっと続いています。

 ところが,6ページの下ですが,全国で1%だけですけれども,助産所というところでこの25年間に生まれたすべての赤ちゃんで時間別出生数のグラフをつくると,このようなグラフになります。大体,日本の産科医療というのは,そこから何が浮かび上がってくるのかということなのですが,その中身をどれほど知りたいと私たちとか専門家が思っても,十分な疫学的なデータとか調査とかがされていないというのが実情であって,そのあたり,産科医療というものを見るに当たっても,なぜ十分なデータがないのかということについても,教育の中で,これからの学生たちに伝えていってほしいことだと思っているわけです。

 これらのグラフが帝王切開で説明できるのではないかということが,データがないために,危惧や憶測ばかりで語られるわけですが,例えば7ページの上を見ていただいたらわかりますように,25年前と今では帝王切開率は全く違います。でも,グラフの形はずっと変わっていません。また、7ページの下のほうで,緊急帝王切開の割合というのが,初めて2006年に出されたのですがそれをみると,約4割が緊急帝王切開だということがわかってくるわけです。そうすると,予定の帝王切開だけで,平日の昼間に出産が集中しているということは説明しきれないということなのですが,そもそも、この緊急帝王切開率というようなデータ一つにしても,ほんとうになかなか出なかったわけで、きちんとデータがなさすぎるということです。

 次の8ページ,陣痛促進剤被害というものについて,被害に至ってしまう場合の共通点ですけれども,ほんとうのことをきちんと言わずに,子宮口を柔らかくする薬とか,血管確保の目的で点滴をしますと言うだけで,陣痛促進剤と言わずに投与されているような例が被害に遭っているけーすがあります。そんな医療機関,そんな医師がまだいるのかと思われるでしょうけれども,そういう事例が今も続いていて,昔は特に多かったのです。長期的に見れば,陣痛促進剤の被害は確実に減ってきていると感じていますけれども,今も少なからず起こっているわけです。このようなことがあったという事実,こういう歴史を学生たちに伝えていただきたいと思います。

 それから,異状や苦しみを訴えても,話をまともに聞いてもらえないから,取り返しのつかない被害に至ってしまうということも共通点になっています。その背景には,この薬を投与する医療関係者の人たちに,この陣痛促進剤の感受性の個人差が200倍以上あるという事実が伝えられていなかったということがありますだから,同じ薬を同じように多くの妊婦に使って,全くけろっとしている妊婦もいる中で,ぎゃあぎゃあ騒いでいる妊婦がいると慌てるのではなく,しっかりしなさいとか,この女性は根性が足りないのではないかと言って怒り続けるみたいな形で,被害に至っているというのが被害の共通点です。

 なぜ訴える妊婦を怒ってしまうのかというと,感受性の個人差が非常に大きいことを知らなかったという医療者たちによるものだということで,やはりそういうことからも,被害の事実や,薬の特性などをきちんと教育していくということが,いかに被害を防止していくことになるか。これは被害者を生まないと同時に,加害者を生まないということにもなり、それが非常に大事だと考えているわけです。

 最近,医学生が,交際していた妊娠中の女性を流産させるために,子宮収縮剤を投与したというニュースがありましたけれども,そのニュースで、医学生が薬を投与する際に使っていたせりふや、ほんとうのことを言わないで投与していた2種類の薬の投与方法というのは,私たちが10年前から20年前に非常に危惧していた,計画分娩といわれていましたが,ほんとうのことを言わないで,大量に不必要な陣痛促進剤が使われた時代のせりふと全く同じだったわけです。そのようなことがいまだに起こっているということからも,故意にほんとうのことを言わないで薬を投与するということから被害が起こっていたという事実も,伝えておいていただきたいと思うわけです。

 9ページですけれども,なぜそういう濫用されたかというところには,やはり薬害被害者たちの共通の問題意識ですが,どこかで患者の命や健康よりも,経済的な面を重視されたようなところがあったのではないかということを,さまざまな薬害において,いろいろな観点から感じているわけです。そういうことに至ってしまわないような仕組みなり,教育なりが必要だと考えます。先ほどもお話ししましたが,実は子宮収縮剤で,胎児死亡,重度の脳性麻痺,子宮破裂,母体死亡がたくさん起こっているから気をつけるようにという冊子が,1974年に,当時の日本母性保護協会,今の産婦人科医会が会員向けに,つまりすべての産科医に既に配付していた。だけども,その冊子はきちんと読まれなかった,そんな歴史があったということも,これからの教育の中には生かしておいてほしい話だと思うわけです。

 子宮収縮剤というのは一時期、多くの妊婦に使われていましたけれども,教育の中で、保健の教科書,母子健康手帳,母親教室のテキスト,それから高等教育のカリキュラムの中でも,陣痛促進剤とか子宮収縮剤という言葉は一切出てこないという状況で,被害だけが繰り返されている。なので,被害者たちがいろいろなところで声を上げていく努力をしないといけないというところに追い込まれるということになるわけです。

 陣痛促進剤被害がなぜ薬害なのかというのが9ページの下ですけれども,実は1974年に,全国の医師,産科医に配付された冊子には,既に薬の添付文書,能書に書いてある最大使用量の半分以下しか使ってはいけないとか,添付文書には筋肉注射で打ってもよいと書いてあるけれども,非常に感受性の個人差が大きいので,1分間に3滴の点滴など、少量から始めなければいけないというようなことが書いてあったわけです。そのことを私たち被害者が問題にしたのは18年後の92年で,92年にその冊子を厚生省に持っていくと,厚生省が大慌てで添付文書を大幅改訂したという歴史がありました。

 この18年間,産官学のどなたかにきちんとやっていただければ,例えば、筋肉注射で一気に投与されることは,18年前からなくなっていたはずだということを考えると,添付文書の改訂が非常におくれたと感じているわけです。

 また,その中で1分間に3滴の点滴では,自動点滴装置,インフュージョンポンプなどを使わなければいけないということを,被害者たちは訴えてきましたけれども,そういうのを使うのが望ましいという記述にしかなっていなかったのですが,今年の6月1日,つい先日ですけれども,ようやくインフュージョンポンプを使わなければできない,だめだということが,添付文書に記載される改訂がなされました。結局,それは92年からさらに18年かかったわけで,今書けるのだったら,もっと前から書いてほしかったというような思いがあるわけです。また,先日の6月1日の改訂の際には,インフォームド・コンセント,陣痛促進剤を使うことをきちっと言って使わなければいけないということも,添付文書にようやく書き込まれたということがあります。

 次のページですけれども,10ページの上は母子健康手帳にどのように記載されているかということです。これも全国薬害被害者団体連絡協議会が,毎年の厚生労働大臣との年に一度の交渉の中で,非常に大きなテーマとして掲げてきたことです。薬害被害者団体連絡協議会には,サリドマイドの被害者もいます。妊娠中の薬による被害です。それから,陣痛促進剤は出産の際に使う薬です。ところが,平成10年までは,母子健康手帳には,薬という漢字の1文字すら入っていなかった。それを被害者たちがいろいろ交渉を続けてきて,ようやくここまでたどりついてきているという,これは長年にわたり毎年何回も被害者団体が交渉した結果であるわけです。

 10ページですけれども,産科の医療事故の被害者の子どもたちは,ほとんどが重度の脳性麻痺になって,2歳から3歳ぐらいで最終的に肺炎という病名で死亡するというのが一つのパターンですが,実は1歳から4歳の疾患の死亡率が,日本は非常に高いということがあって,その中で外国と病名別で比べてみると,肺炎が断然高くて,私たちの実感と一致しているんです。それが産科の陣痛促進剤被害と関連しているのではないかと私たちは感じますけれども,そのあたりの疫学調査もきちんとなされていない。

 そうやってきちんと事故をなくしていく,被害をなくしていく,薬害をなくしていくというためには,いろいろとこれからの医学生とかにやっていただきたいことがたくさんあるというようなこと,そういう歴史的な背景とか,未来に向けても、そういうことを教育で伝えていっていただけたらありがたいと思うわけです。

 11ページの上のようなデータもあって,これら母体死亡に関しても,十分な疫学調査はまだまだこれからだということです。

 以上は,陣痛促進剤の被害から,高等教育などで伝えていただきたいことの大体のイメージですけれども,これと同じように,それぞれすべての薬害においてそれぞれに違う観点で,ほんとうに伝えたいことがたくさんあります。ぜひそれぞれすべての薬害の歴史と原因を伝えていただくことで,同じような被害を繰り返さないようにと思っているわけです。

 続いて、インフォームド・コンセントという話ですけれども,20年ほど前,レセプトやカルテは患者はまだ絶対に見ることができなかったときでしたが,インフォームド・コンセントという言葉が出てきました。が,薬害の被害者からすると,同じような被害が二度と起こってほしくないという立場からすると,インフォームドコンセントよりも先に、レセプトやカルテの開示こそが一番大事なんだということをずっと訴えてきました。

 同じお手元の資料の一番最後の19ページをごらんいただきたいのですが,これは今年2月12日に,私たち薬害被害者団体連絡協議会が,幾つかのところに出した要望書です。これはたまたま民主党幹事長あてになっている要望書ですが,そこに書いてあるように,病院の窓口でレセプト並みの詳細な明細書を患者に渡す。このことが被害者が何十年もかけて,どうしたらほんとうに被害がなくなるのかということを考えた末に,たどり着いたオセロゲームの角のこまのような感じのようなものですけれども,一番のきっかけとなるものだと思って訴えてきました。こういうレセプト開示,カルテ開示というのを説明していっていただきたい。

 ところが,ようやく4月1日から,明細書の発行とかも始まったんですけれども,インターネットなんかには,医療関係者の人たちの反対,反論とか,意義に対する理解のなさというものが多数書き込まれているようで、非常に苦労しているところです。また,歯科診療所では,このレセプト並みの明細書はほとんど,全くと言っていいほど進んでいません。医療機関でもこれから進めていきたいと思ってくれているところもあるでしょうし,国は進めてくれているんですけれども,医療関係者の中に  は非常に情報開示への反対,抵抗があるのですが,なぜしなければいけないのかということの意味が伝えられていないために,抵抗があるのではないかと考えているわけです。

 次の12ページをごらんいただきたいのですが,特に情報という意味では,私たちは改ざんとか,隠ぺいとか,そういうふうなものと,被害者団体は対峙して苦労してきたという経過があります。交通事故とか,医療事故とか,いろいろ被害を考えあわせると,車の運転手にはこんな事故が多いから気をつけなさい,左に曲がるときには自転車を巻き込みやすい,夕方にはこんな現象が起こる,雨が降るとこういう事故が多くなる,そういうネガティブな情報は,車を運転する人にとっては,ほんとうは知れば知るほどありがたいわけで,どんどん伝えてもらえているわけです。

 医学部,歯学部,これからの医療をする学生たちにとっても,そういうネガティブな過去の被害の話というのは,絶対に役に立つ,だれにとっても,その人たちにとっても役に立つことだけれども,ネガティブな情報というのが教育の中で十分に伝えられていないのではないかと感じている面がありますので,ぜひそういうものを伝えていただくようにお願いしたい。

 また,交通事故の場合でも,ひき逃げだけは絶対にしてはいけないという文化が――それでもひき逃げはあるのかもしれませんけれども――根づいているような気がしますが,医療においても隠ぺいとか改ざんだけは絶対にしてはいけないんだ,それをすると信頼が損なわれる,隠蔽や改ざんがされなければ、裁判所以外の場所でテーブルに着くことができて、医療訴訟とか,薬害訴訟などをする必要がなくなるんだというようなことも,私たちは学生さんたちにぜひ伝えたいと思っていることです。

 それから,12ページの下ですが,情報提供というときに,例えば産科の例を挙げましたので,産科の例をしてみますと,ほんとうに患者にとって必要な情報とは何なのかというと,そのスライドの左側ではないかと思うわけですけれども,どうしても今,いろいろなところを見ていくと,右側のような内容の情報発信が医師や医療機関もしているということがあって,ほんとうの情報開示の意味,情報共有の意味というようなものも,安全の面から,医療の安全ということから考えて,学生さんたちにも伝えていただきたいということです。

 13ページの上ですが,ほんとうのリスクマネージメントとは何かということで,1,2,3と,薬害,医療被害の歴史と事実を,再発防止を願う視点から,しっかりと伝えていただきたいと,強くお願いしたいということです。それから,健全なチーム医療を推進するために,医療界内部の民主化を実践できる学生さんを育ててほしいと思うわけです。薬害や医療被害というのは,だれか権威のある人,権力のある人が時々間違って判断したときに,それが間違っているのではないかと思っている人が周りにいても,なかなかそれが言えなかった。そのことで被害が拡大したというようなことがあったというように感じています。それから,情報の共有というものもほんとうに大事だということも,改めて伝えていただきたいと思っているわけです。

 13ページの下ですが,厚生労働省の医療安全対策検討ワーキング・グループの報告書でも,医療事故等の原因究明や分析に基づく再発防止対策の徹底という言葉が入りました。それから,薬害ヤコブの和解書では,私が今お話ししているような,医学,薬学,看護学,歯学教育において,過去の薬害や医療被害を十分学んだ上で,そういう薬害を防止できるような教育を推進するという文言が入っています。今回の薬害肝炎検証部会報告書にも,そのような趣旨が盛り込まれています。ところが,そのような素晴らしい言葉たちがほんとうに現実に,どのように具体化されていくのかということを見守る必要があるわけで,この会議に期待しているところです。

 それから14ページですけれども,一方で薬害の被害者は,それぞれにいろいろな偏見や誹謗中傷,差別と闘ってきました。お話しするまでもないと思いますが,スモン――スモンは伝染病ではないかというふうな医学者の話があって,非常に差別され,隔離された時代があったわけです。サリドマイドも生まれてくる子どもに対する差別,薬害エイズにもとんでもない差別・偏見の時期がありました。陣痛促進剤の被害者も,非常に母子に対する誹謗中傷などが今も医療関係者らからネット上などでされている,その中で闘ってきたというような歴史がありました。

 人間を相手にする仕事が医療関係者の仕事であることから,そのような人権に関わる歴史,事実なども伝えていただくことが,ほんとうによりよい医療社会をお互いのために築いていくために,非常に大切なのではないかと思っているわけです。

 14ページの下のほうにありますが,実は薬害訴訟や医療裁判というのは,先ほどもお話ししたように,偏見や差別,誹謗中傷と闘っているとか,薬害エイズでもそうでしたけれども,最後の最後まで,あるはずの資料を,ないという、だけど資料があるはずだと言って,隠ぺいと闘ってきたというような事実もありました。事実の隠蔽やカルテの改ざんなどがないのなら,裁判は必要がない。医療裁判というのは,決して医学論争などをしているのではなくて,被害者たちはただただ事実経過,ほんとうはこうだったという記憶や事実を訴えるだけで,どちらがうそをついているのかとの闘いばかりをしているので,非常に不毛なわけです。そのためにも情報共有,情報開示を進めていただきたいと思っています。

 14ページにありますが,別紙の新聞記事の一番最後にも載せてもらっていますけれども,今,医療被害者たち,薬害の被害者たちが一番困っているのは,インターネット上での医師による誹謗中傷の言葉の数々です。そこに書いていますけれども,ウィキペディアとか,医師専用の掲示板,医師のブログなどで,事実ではないことがまるで事実かのように書き込まれている。書いているのはほとんど医師であるというなかで,新聞記事にもありますように,警察が動くようなケースにまで発展しているわけです。

 そのような中で,15ページの上では,日医の生命倫理懇談会,高久先生が座長をされているというふうにここに書かれていますけれども,このような報告書を書いていただいたことは私たちにとって非常にありがたいことで,今,インターネットでいろいろな情報収集をしている学生さんたちにも,ぜひ教育の中で,このような問題も伝えていただきたいと思っているわけです。

 15ページの下ですけれども,また,私たちは副作用被害救済基金というのを――スモンの薬害の裁判の和解から始まっていることですが――副作用の被害者を救済するという制度を非常に重んじて,きちんと運営してほしいと思っているわけですが,なかなか進んでいないという現状があります。これも医師や歯科医師にこういう制度に対する理解がないと進まないというシステムになっていますので,こういう制度を進めていただくこともぜひお願いしたいと思っています。

 最後に16ページ,まとめのようなページになっていますが,特に下のほうですけれども,1から5までまとめてみましたが,まず薬害や医療被害の歴史と事実経過,その背景や真相などを,再発防止を強く願う被害者の視点からしっかりと伝えていただきたい,とお願いしたい。2つ目では,事実ではない情報を発信したり,そのような情報に惑わされたりしないように,薬害等の事例における偏見や差別の歴史もしっかりと伝えていただきたい。

 それから,医療情報の公開,開示,共有の歴史的経過。少し前まで,レセプトもカルテも患者は絶対に見ることができませんでした。そのために薬害肝炎の被害者とかは非常に苦労されてきた面もあったわけです。それから,陣痛促進剤も病院の中で使われている薬が何なのかが絶対にわからなくて,点滴の中に何が入っているかというのが,ほんとうについ最近まで知ることができなかったんです。なので,情報共有の重要性をしっかりと伝えて,情報リテラシーを高めていただきたい。

 それから,医学を根拠に仕事をする者としての学問的良心,人間を相手にする仕事をする者としての職業的良心というのをほんとうに大切にしてほしい,そういった価値観を育てていただきたい――それは16ページの上のほうのスライドにもあるわけですが――それから,薬の副作用とか薬害とか,そういう社会的弱者を救済する制度が幾つかできていますので,そのようなものを伝えていく役割も担ってほしい,医療関係者の人たちにぜひ,教育の中で患者を救済する制度も伝えていっていただきたいということです。

 以上が,要望です。どうもお時間をいただき,ありがとうございました。

【高久座長】  どうもありがとうございました。どなたかご質問,ご意見はおありでしょうか。どうぞ。

【福田委員】  どうもありがとうございました。参考資料2の「医学教育モデル・コア・カリキュラム」を見ていただけますか。3ページのところに,平成19年度の改訂で,医療の安全性の確保ということで,薬害の方々のご要望を強く受けておりましたので,「薬害」という言葉をきちんと入れようということをいたしました。上から(4)番目,医療の安全性という概念の中に,薬害や医療過誤ということを加えさせていただきました。これはどの程度周知されているかどうかわかりませんけれども,実は先ほど紹介のありました共用試験のCBTを介して,逆にここに試験問題として出題していくという方向を検討しております。

 ですから,そうしますと学生に直接そういう内容が出題されてくることになりました。この基本事項を一番大事な位置づけにしておりますので,ご出席の辻本委員にもご意見をいただきながら,十分に周知できるように努めているところです。まだ十分でないことはわかっております。そのような方向で検討しております。

【高久座長】  どうもありがとうございました。ほかにどなたか,どうぞ。

【勝村氏】  ありがとうございます。近年はほんとうにご尽力いただいて,公教育の場でもずっと10年間にわたり,学習指導要領に公害と並べて薬害という言葉を,小・中・高の初等教育でお願いしていたところも,ようやく実現しつつあって,それから今年度には,中・高のどこかの学年で,全国のすべての中学生に,薬害についてのパンフレットもつくって,配付していただいてということも始まろうとしています。それだけにほんとうに,高等教育がそのようになっていただくのはありがたいことです。

 そこで,昔,そういうアンケートをとられたときには,例えばスモンは何という薬だ,薬害エイズは何という薬の薬害なんだというように,なかなか医療関係者は答えられないようなアンケートだったんですけれども,例えばスモンはキノホルムだと答えられたところで,やはりほんとうに薬害の被害者の思いが伝わらない面もあるということで,できるだけ被害者の人たちの中でも生の声を一度聞いていくような機会とかも,あわせて持ってもらって,いろいろな意味で被害の背景とか,そのようなものを知っていただくような形の医学教育などもぜひお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

【高久座長】  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。

 そろそろちょうど時間になりましたので,勝村さん,ほんとうにありがとうございました。また,今後ともよろしくお願いいたします。

 それでは,引き続きまして,聖路加看護大学の学長をされておられる井部俊子さんからご意見をお伺いしたいと思います。20分程度,よろしくお願いします。

【井部氏】  それでは,看護職からの期待ということで,特に医学教育のカリキュラムに関する改善に向けての提案をいたしたいと思います。これは看護職と書いてありますけれども,私からです。これまでいろいろなところで発言してきた内容や,あるいはナースたちが常々口にしていることなどを代表してお伝えしたいと思います。

 資料4に書いてありますが,まず1番目に,私は「新たな医師臨床研修制度に看護職として期待すること」という文章を,2003年に書いております。改めて見直してみますと,このような5つのことについて,この医師臨床研修制度は希望を与えてくれたのではないかと思いました。

 1つ目は,基本的な診療能力の向上による確実で迅速な判断ができるようになること。2つ目は,患者を全人的に診るために,他の専門職との連携を促進し,真のチーム医療の実現を可能とする医師であることということが期待できる。

 3つ目は,そのためには謙虚であり,かつ寛容さが求められること。よく病棟の師長が言いますが,口の利き方が悪いというので,クレームが看護師長のところにやってくるために,そういう研修医のためにしょっちゅう謝っているといったようなエピソードが少なくありませんでした。指導医がいれば研修医の指導は完結するといった認識は傲慢であると――すみません,過激な言葉で――そのように考えていました。今もそう思います。

 4つ目は,つまり何事もマナーという作法があることと,コミュニケーションが基盤であること,そして一定の守らなければならないルールがあるといった社会性を早期に体得することができるようになるのではないかと期待しました。

 5つ目は,少なくともリスクマネージメント報告くらいは覚醒していられるくらいの「健康的な生活」が確保されること。当時私は病院の看護部長であり,副院長でした。ゼネラル・リスクマネジャーを担っていました。月1回,レジデントミーティングで研修医に,リスクマネージメント,どういうヒヤリハットや医療事故があったかということを報告するという役割を持っておりましたが,大半の研修医は寝ていました。休息する時間だと思っているのではないかと思うくらいに,彼らは疲れているように見えました。ということで,少なくともそれぐらいの話は聞けるぐらいの「健康的な生活」が確保される必要があると思っていました。この5番目に関しては,かなり改善されてきているのではないかと思います。

 この2003年に書いたことは,その後の疑問として,このようなことをまだ考えていますということです。1番目は,医学というのは「患者を全人的に診る」と言っておりますけれども,そういうパラダイムをほんとうに持っているのだろうかということです。例えば,医師は相手に,患者であったり,看護職であったりするわけですけれども,「どうしましたか」とか「どうしますか」という発問はしますが,その答えはほとんど聞いていないということです。つまり,自分の聞きたいことだけを選択するということです。例えばそれが鑑別診断のフレームワークであったり,治療の内容であったりすると思いますが,生物体としての,自然科学的なフレームワークを頭の中に持っているので,臨床推論というんでしょうか,そうした世界にすぐに入り込んでいってしまう。そのため相手から見ると,ちっとも聞いていないというふうに見えてしまうということです。

 もう一つ例として,同僚として勤務しているナースたちは,しょっちゅう医師に「わかってもらいたい」と,わかってもらうためにどうするかということを異口同音に話すわけでありまして,私はこれを「わかってもらいたい願望」と呼んでいます。それはずっとなくならないわけでありまして,医師と看護師は車の両輪と言われますけれども,この両輪は非常にいびつな両輪であると思っているわけであります。

 資料1につけましたのは,これも私が以前に書いたものですけれども,「主観的な体験としての医療の質」ということです。患者中心の医療の7つの要素ということで,これは『ペイシェンツ・アイズ』という本の抜粋であります。この資料の2枚目を見ていただきますと,表5に「7つの側面と患者への調査で指標とした設問項目」,つまり主観的な体験としての医療の質というのは,こういう7つの側面で構成されているという研究であります。側面1は,患者の価値観や意向,ニーズの尊重,側面2 ケアの連携と統合,側面3 情報,コミュニケーションと患者教育,側面4 身体の苦痛の解消,側面5 心理的な支援と恐怖・不安の軽減,側面6 家族と友人の関与,側面7 退院・転院とケアの継続性。こうしたことは,患者として気にかけてほしいことであるということを報告している研究であります。

 資料の最初に戻っていただきまして,「その後の疑問」の2つ目は……つまり,医学は医科学として成り立つということをはっきりしてもいいのではないかと思います。ですから,ほかの職種がいろいろ統合して「全人的に診る」という成果を出すというような方向であってもいいのではないかと考えております。そのように考えますと,2)「真のチーム医療」を実現するということが,非常に重要なことではないかと思います。

 「真のチーム医療」を実現するために,医師はチームリーダーとして適切かどうかということの考えに至るわけであります。チーム医療における4つの困難性を,細田さんという医療社会学を研究している方が示しています。チーム医療は4つの志向性があるということです。それらは「専門性志向」「患者志向」「職種構成志向」「協働志向」であり,これらそれぞれの構成要素が互いに対立することがあって,それがチーム医療を非常に困難にしていると述べています。この4つの志向性が,それぞれの専門領域で,対等でなければならないと言っているわけですが,この対等性というのが十分ではないという指摘をしています。我が国におけるチーム医療は,ほんとうのチーム医療ではないというわけです。

 そのために「真のチーム医療」の中でチームリーダーとして医師がなるためには,もう少しリーダーシップあるいはマネージメント理論の学習,あるいは臨床実習の際に実践をしてもらう必要があるのではないかということです。皆さんIQは高いと思いますが,EQ,心の知能指数というものは,リーダーになるための必需品であり,そうした教育をしていただくといいのではないかということです。このEQについて,資料2をつけています。

 EQは経営学の中で,すぐれた業績を上げるリーダーはEQが高いとダニエル・ゴールマンが述べています。EQは、5つの因子から構成されているということです。第1因子は「自己認識」,自分のことを十分わかっているかということ。第2因子は「自己規制」,自己コントロールであって,第3因子は「動機づけ」,第4因子は「共感」,第5因子は「社会的技術」,対人関係能力と思いますけれども,そうしたものが重要で,これらはトレーニングすることができるという考え方にです。

 戻っていただきまして,3つ目は,これはどの看護職も悩むことですけれども,「医師の指示」と看護業務の関係です。看護の仕事,特に病院の医療におきましては,医師の指示が看護業務に非常に大きな影響を与えているわけですけれども,医師の指示がどのくらい仕事に影響を与えているのかということが十分に認識されていないのではないかと思います。

 両括弧1番から4番までが,医師の指示と看護業務における問題だと私は考えているのです。1つ目は医師の指示を仰ぎ過ぎる看護職。何でも指示を求めなければならないと思っている看護師,これはだんだんと改善されると思いますが,一方では医師の指示範囲が非常にあいまいなために,医師の方もこんなことまで書くのかと思いつつ,指示を書かなければならない状況があると思います。

 もう一つは,医師の指示を催促しなければならない。この薬は処方が切れています,この薬は何ミリでよろしいのでしょうかとか,そうしたいちいち催促したり,確認しなければならないような現状。3つ目は,組織のルールを逸脱して出される医師の指示ということで,何時までに定期処方は出してくださいとかいうようなことは,大半は守られることがない。これは医師の仕事が忙しいということで,こうした組織上のルールを守ることができないという背景があるのは重々承知しておりますけれども,あまり組織のルールということに関しては注目されない傾向にある,そうしたことを通して,看護職はいつもジレンマを感じているのです。

 最後に書きましたけれども,車の両輪と言われる看護師と医師の仕事の役割分担として考えられますことは,看護師は専門分野であると言われております「生活行動の援助」,「療養生活の支援の専門家」と,厚生労働省は,「新たな看護のあり方に関する検討会」などで示していますが,「生活行動の援助」と医師の専門分野である「疾病の診断と治療」という,この専門分野が対等に意見を述べ合い,医療が進められるべきである。こうしたことが,若い医師たちにも十分認識されるような教育になっていくことを期待したいと思っています。

 看護学教育制度は複雑でありまして,専門学校と大学との教育があります。看護系の大学は,医師の医学教育のモデル・コア・カリキュラムとか,CBTとかOSCEといったようなものをいかに看護学教育に取り入れていくことができるかを模索しています。先生方にはいろいろご指導を賜っておりますので,感謝しているところであります。看護職が医師と協働して,いい医療が提供できるように,今後も努力していきたいと思っています。

 貴重な時間をありがとうございました。

【高久座長】  どうもありがとうございました。大分身につまされる話が出てまいりました。どなたかご質問……。

 議事録から外されても結構ですが,入学試験のときにどういう人間を選ぶかという事がほんとうは一番重要ですが,それがまた一番難しいですね。ですから,余談になりますが,どなたかご質問,ご意見,いかがでしょうか。ご意見,ないですか。よろしいですか。

 それでは,また後で少し時間があると思いますので,もしご在席していただけるなら,その時にまたご質問,ご意見をお伺いしたいと思います。

 引き続きまして,社団法人日本病院薬剤師会の会長をされておられます堀内龍也さんから,ご意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

【堀内氏】  日本病院薬剤師会の堀内でございます。私は2年前から,日本病院薬剤師会の会長を務めております。日本病院薬剤師会は,病院診療所で働く薬剤師約4万8,000人おりますけれども,そのうちの4万人ぐらい,約8割を会員にしている団体であります。その前は群馬大学医学系大学院の臨床薬理学を担当しておりまして,薬剤部長を併任していおりましたので,当時の経験も踏まえて,医学歯学教育にかかわるカリキュラム改善に向けての意見を述べさせていただきたいと思います。

 今,薬学教育,特に薬剤師教育は6年制になっておりますが,医学,医療,薬物療法の急速な進歩と,病める人中心の医療の定着化の中で,必然的に薬剤師の資質向上が求められていることにより延長されたものです。6年制教育にするに当たりましては,医学教育のモデル・コア・カリキュラムを手本に,薬剤師に必要な薬学教育のモデル・コア・カリキュラムを作成して実施中でありまして,現在最初の学生が5年生になり,長期実務実習に入ったところでございます。

 そうは言いながら,医療が急激に変化しておりますので,薬学分野でも早期にコア・カリキュラムの改正をすべきではないかというような議論が起こっているところでございます。資料5の2ページをごらんいただきたいと思います。

 まず最初に,医薬品あるいは薬物療法がどのようになっているかということを少しまとめてみました。特に分子標的薬や抗体薬の急速な開発と臨床応用が行われております。このために,選択肢は広がったわけでありますけれども,未知の重篤な副作用の発現の危険性が増大しています。極めて限られた治験の結果で,承認されるわけであります。したがいまして,市販後に有効性と安全性を担保することが極めて重要になっております。それから,個々の患者に最適な薬物療法を行うために,新しい複雑なレジメンの設計とかトライアルが行われるようになっております。

 後で申し上げますが,イレッサとかワファリンの作用などの経験から,遺伝子多型の人種差の重要性が認識されてきたということが言えると思います。それから,先ほど勝村さんからもお話がありましたけれども,薬害防止のための意識と体制づくりの機運が高まっております。さらに,極めて急速に高まっているのが,チーム医療による個々の患者に最適な薬物療法の必要性であります。また、後発品使用についても,今,いろいろ議論されているところであります。

 「これからの薬物療法の特徴」を御覧いただきたいと思います。これも当たり前のことでありますけれども,EvidenCe BAsed MediCineについて,根拠と経験をどう融合させるか,さじ加減をどうするかが重要です。それから,EvidenCe BAsed MediCineを進めるに当たりましては,パーソナル・ドラッグ,つまり,十分にその薬の作用機序,副作用,相互作用や,個々の患者にどういう使い方をするかなどの細かい点まで熟知している薬ということでございますが,それをどうやってふやしていくかということが,医師に求められると思っております。

 もう一つはテーラーメード医療,薬物療法の個別化でありますが,これをやるためには,薬物動態学,時間薬理学,遺伝薬理学というような新しい分野の知識を十分に知っている必要があるように思います。

 それから分子標的薬,これは今後も急速に開発が進むと思われますけれども,このような代謝調節機構作動薬の作用は正常細胞ともかなり共通の部分がありますので,分子標的薬をどのように使うかということが,今後ますます問われてくると思います。それから,このような薬は大変高価でありますが,薬価をどうするかという事が極めて重要だろうと思います。

 今述べましたような薬の使い方に関する問題点について述べさせていただきます。まず入院患者に対してどのくらい薬剤性の有害事象があるかということでございますけれども,既に1999年に『InsteAd of MediCine』で“To err is HumAn”というのが出されたのはご存じのとおりでありますが,米国では年間4万4,000人から10万人が医療事故で死亡していることが報告され,大変大きな話題になりました。

 日本では,なかなかそういうデータがなかったのでありますが,3頁の記事にありますように,京都大学のグループが,500床以上の中核病院3病院で,実際に調査員が入ってカルテを全部調査して,どのくらい薬剤性有害事象が起こっているか調査いたしました。そうしますと,かなり重症の場合も含めて,トータルで5人に1人が薬剤性の有害事象を被っているということであります。

 米国のデータは,ある面では大げさなデータかなとも思ったわけでありますけれども,このようにきちんと調べてみると,日本でも薬剤性の有害事象はかなり起こっていることが明らかになってきたわけでありまして,このような問題をどうするかが,今,問われているのではないかなと思います。

 歯科の場合でも同様でありまして,つい最近の新聞の記事ですが,53歳男性で,ひどい歯の痛みで,休日の緊急歯科診療所を受診し,問診表の病歴欄の「喘息」に○をした。にもかかわらず,解熱剤ロキソニンを処方された。昼食後にロキソニンを飲んだところ,で喘息の発作が起こって,心配停止で救急車搬送され,20日後に死亡したというものです。したがって,このような薬の使い方と前歴等については,極めて重要でありますけれども,このような記事は,今でも時々出てくるわけでありまして,遺族は,担当医が喘息のことを質問することなく薬を出し,注意義務を怠ったのではないかと言っているわけであります。

 次の4ページをごらんいただきたいと思います。薬の作用というのは,先ほどテーラーメードが重要であるというお話をいたしました。このグラフは,臨床薬理学の最初の講義のときに,学生に話をしていたものであります。一番左側の棒グラフは有効性の発現する薬物濃度,次が副作用の発現する薬物濃度,死に至る薬物濃度を示しております。

 その積分値が出ておりますけれども,一般的に薬は,抗がん薬等を除いては,7割,8割の患者に有効性の出る濃度設定になっているわけでありまして,それが添付文書に記載されております。一般的にはそのような濃度で使うケースが多いと思われるわけですけれども,このように個人差が大変大きいということでありまして,この個人差をどのようにチェックして,適正な量を使うかということが求められるわけであります。少量で有効であればその量を使うのが最もよろしいわけでありまして,投与量の処方設計をどうするか。それについては,ここにありますいろいろなファクターを考慮する必要があります。医師1人がすべてをカバーするのはかなり大変ではないかと思われますのでチーム医療が重要であろうと思います。

 具体的に言いますと,次の5ページに,ワルファリンの例がございます。ワルファリン投与量には人種差の大きい事が知られており,日本人と白人とで投与量が大きく違うということがわかっております。ワルファリンの作用機序は,VitAmin Kが抗凝固剤の合成に必要でありますけれども,その再生を行うVitAmin K CyCleというのがございます。大体5,000回ぐらい,1つのVitAmin Kが使われると言われておりますけれども,VitAmin K Oxide ReduCtAseを阻害いたします。このワルファリンは遺伝子多型の人種差が極めて大きいということであります。

 また,ワルファリン自体は,次のページにありますCYP2C9という酵素で分解されますけれども,これも人種差が大変大きいわけであります。これは遺伝子多型に差があることによるものでありまして,日本人は変異が少ないわけでありますが,6頁に示しましたように,人種差が大変大きいことがわかってきております。

次に,時間薬理学的な考え方が極めて重要であります。6頁にありますように生体内のCirCAdiAn Rhythm,これはもうご存じのとおりだと思いますので,省略いたしますが,1日の中でいろいろな生理活性が異なる,あるいはそれに伴っていろいろな症状の発現が異なることは,よく知られていることであります。

 次の7ページをごらんいただきたいと思いますが,最近の研究では, CirCAdiAn Rhythmの中で,合成されるタンパクがかなり異なっており,日内調節を受けていることがわかってきておりますし,DNAの合成や,細胞分裂についても昼夜で大きく違っています。白血病細胞ですと,夜中に細胞分裂を起こすことがよくわかっているわけでありますが,そうしますと,そのような結果を踏まえて,薬物療法を行うことが大事になってくるわけであります。時間治療について,簡単にまとめましたけれども,薬物療法を行う場合には,有効性と副作用防止の観点から,投薬のタイミングにCirCAdiAn Rhythmを考慮することが重要であると考えられます。

 8頁でありますが,このような問題について,コア・カリキュラムにおける薬物療法の中で,どのような記載になっているかということでありますが,薬物についてはBの医学一般「2 個体の反応 (4)生体と薬物」のところにございます。一般目標としては,薬物の生体内の作用について,個体・細胞,分子のレベルにおける作用機序と,生体と薬物分子の相互作用を理解し,的確な薬物療法を行うための基本的な考え方を学ぶとされ,薬物作用の基本,薬物の動態,薬物の評価を学ぶとされております。特に薬物の評価については,「薬物の評価におけるプラセボの意義を説明できる」と,これだけしか入っておりません。先ほどからお話ししておりますように,市販後臨床試験における有効性と安全性の評価に対する認識が重要だろうと思います。

 コアカリキュラムの10ページ及び43ページに出ているところでです。それから,今述べた事は10ページ「診療の基本」にございます。基本的診療知識,薬物医療の基本原理について1から17までありまして,ここにはある程度,臨床薬理的なことが記載されておりますが,診療に必要な薬物の基本を学ぶことの記載であります。ここも各組織における薬の薬理作用がメーンで,必要なことではありますけれども,分子標的薬についての記述は一切ありません。また,遺伝薬理学等についても記載がありません。この辺については新しい分野でございますので,ぜひ今後,コア・カリキュラムの中に入れていただければと思います。

 次に医療安全のことについて,お話しをさせていただきます。個々の患者に安全で最適な薬物療法を行う必要があります。先ほど薬害については出ておりますが,特に医療安全の観点から,分子標的薬などが大きな問題になるわけでありますけれども,イレッサは認識を大変大きく変えた薬物だろうと思います。イレッサは副作用による急性間質性肺炎で亡くなった患者数は,最初何の制限も加えずに使われた状況の中で,たくさん出てきたわけでありますけれども,経験のある専門の医師等による治療が条件になりまして,大幅に減ってはいます。しかしながら,今でも大体年間50人前後が亡くなっております。

 9ページの下のほうにありますけれども,発売になってからの月別のグラフをごらんいただきたいと思いますが,急激に急性間質性肺炎が出てまいりました。ここで起こっていることをきちんと分析しておく必要があると思います。こういうことが起こっても,実際に使われる患者数はあまり変わってはいないことが示されております。

 全体をまとめてみますと,10ページの上に示した事が,イレッサ問題から出てくるのではないかと思います。1つは,分子標的薬の作用機構・副作用の発現機構の解明,これはなかなか難しいということが認識された。いろいろ検討はされましたけれども,いまだに解明はされておりません。また,特に抗がん薬とか,分子標的薬については,市販後調査,市販後臨床試験の重要性が再認識された。先ほどお話ししたとおりでありまして,現在では,一定期間,全症例追跡調査を行うということが,ほとんどの例について行われるようになりました。

 それから,遺伝子変異を考慮した薬物療法の個別化の重要性,要するに,限られた患者にのみ有効であるということ,それから,情報伝達系に遺伝子変異が多いことが明確になりました。特に情報伝達のリン酸化タンパクには,遺伝子変異が多くて,人種差が多いということが明らかになってきました。これもイレッサに基づく研究から出てきたことであります。この中で,迅速な副作用情報の集積と報告が多数の重篤な副作用を防ぐためには極めて重要であります。残念なことに,医師,薬剤師はイレッサの場合にはほとんど関与しておりません。

 このような分子標的薬共通の問題,これを教訓にしていくことが極めて重要であると思います。たくさんの分子標的薬が使われておりますし,さらに今は,情報系の2つあるいは,3つのタンパク質をブロックするような薬が出てきているわけでありまして,極めて重要であろうと思います。医学教育の中で十分に検討されるべきことではないかと思います。

 次に,薬害についてお話します。既に先ほど出てまいりましたので,簡単にお話し致します。患者からの声を聞くべきであるというお話が,先ほど勝村さんからありまそたが,それは全くそのとおりであると思います。10頁の写真はは群馬大学の医学部4年生に対する臨床薬理学の講義で,サリドマイド被害者の方から講義をしてもらっているところでありますが,全然眠らずに集中して聞いているのは,この講義が一番でありまして,講義が終わると,講師のところへわっと集まってきて,さらにいろいろ聞くというようなことが,毎年行われているところであります。

 10頁を御覧下さい。薬害肝炎の問題でございますけれども,「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討会」が,患者との和解合意に基づいて行われました。検討会の下に,「薬害肝炎の検証及び再発防止に関する研究班」というのができまして,この下に書いてあるような発生・拡大の経過とか,薬害肝炎拡大と患者の身体的・精神的・社会的・経済的被害実態がどうなっているか,拡大に対する薬務行政の責任。それから,血液製剤製造製薬企業の責任,さらに5番目,肝炎発生の危険度及び肝炎の重篤性に関する知見の進展と医療現場への伝達,及び医療現場の責任と,こんな項目について検討を行いました。

 5番目が教育に関連すると思われますけれども,やはり医療側の意識,これが大きく乖離しており,統一されていませんでした。特に産婦人科医師と肝臓または血液専門家の認識が違っており,学会間での交流がないことが明らかになりました。それから,医師に対して,肝炎ウイルス感染に関する危機意識の相違が明らかになりましたし,患者に対する説明不足も明らかでした。これらを総合いたしますと,医師など医療関係者にも,薬害肝炎について責任があることが明確になりました。

 何を申し上げたいかというと,これまで薬害事件で医師――医療従事者と言ったほうがいいかもしれません――が責任を追及されてきたことは,あまりありません。しかしながら,その事をはきちんと統括しなければならないだろうと思います。このことに関して,カリキュラムの中には,11ページの下に記しましたが,平成18年の改訂で,医療における安全性への配慮などの記載を充実させたとなっており,大変結構だと思います。安全性の確保のところに,先ほどお話が出ましたが,一般目標4)に「医療の安全性に関する情報(薬害や医療過誤の事例,やってはいけないことの模範事例等を共有し,事後に役立てるための分析の重要性を説明できる)」が入りました。これが今の薬害等,あるいは重要な副作用を起こさないために十分かどうかについては,ぜひご検討をいただきたいと思います。

 コアカリキュラムの記載の下に私の見解を書いてありますが,1薬害や医療過誤,特に薬物療法に対する医師の責任を明確にする必要があること,2被害者の肉体的,精神的,社会的,経済的被害について,患者から直接聞く講義を行うことが重要であること,3医療過誤のうち,薬剤に関するものが一番多いので,医薬品関連の医療過誤防止を強調する必要があるのではないか,ということを述べさせていただきました。

 次に,医療崩壊との関係でございますけれども,2007年以降,医療崩壊に対するマスコミにおける記事が多数出現するようになってきております。この医療崩壊を防ぐためには,チーム医療がキーワードであるということは,よく言われていることでありますけれども,医政局の中につくられた「チーム医療の推進に関する検討会報告書」が今年の3月19日に出されましたが,その中にチーム医療とは,「医療に従事する多種多様なスタッフが,各々の高い専門性を前提に,目的と情報を共有し,業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い,患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」というようになっておりまして,これに私は同感であります。

 チーム医療は,MD Anderson CAnCer Centerで,15年かけてつくり上げたものでありますけれども,日本においては,今のこういう時期に,短期間で成熟したチーム医療に持っていく必要があるのではないかと思います。それをどうするか,やはりこれも教育の中でぜひ考えていただきたいと思います。

 次のページ,チーム医療の提供については,もうよくわかっていることでありますが,このような中で薬剤師の業務内容の変遷を記してあります。これも急激に変わってきております。特に病棟業務は1990年ぐらいから少しずつ行われておりまして,こ2007年頃から大幅にふえてきております。病棟に薬剤師が常駐していて,チーム医療に貢献することがかなりふえてきております。まだ十分だとは言えませんが。

 次の14ページですが,薬剤管理指導料が,薬剤師が病院業務で取れる診療報酬でありますが,以前は直接服薬指導を行った場合に算定するとなっておりました。ところが,2年前の改定で,直接服薬指導,服薬支援その他の薬学的管理指導(処方された薬剤の投与量,投与方法,投与速度,重複投与,配合変化,配合禁忌等に関する確認並びに患者の状態を適宜確認することによる効果,副作用等に関する状況把握を含む)を行った場合に算定するということになっておりまして,このように病棟において,薬剤師にも医療安全の観点から貢献することが,今,行われつつあるわけであります。写真にありますが,このフィジカルアセスメントの研修等も行われていますし,15ページでありますけれども,薬科大学においても研修が行われるようになっております。

 この4月30日に,医政局長通知「医療スタッフの協議・連携によるチーム医療の推進について」が出されました。その中に,これは看護師のことはこれから議論される為に入っておりませんが,薬剤師等について,現法律の中で何ができるかについて提示されました。薬剤師については,「医療の質の向上及び医療安全の確保の観点から,チーム医療において薬剤の専門家である薬剤師が主体的に薬物療法に参加することが非常に有益である」ということが,前文に書かれております。

 チーム医療につきましては,コア・カリキュラムの中には,当然コミュニケーションとチーム医療ということで書かれておりますが,「一般目標,チーム医療の重要性を理解し,医療従事者との連携を図る能力を身につける」に,到達目標が4つ挙がっています。1番目は,チーム医療の一員として参加すること。2番目が,自分の能力の限界を認識し,他の医療従事者に必要に応じて援助を求めることができるという表現になっておりますけれども,チーム医療の中で医師は中心的な役割を当然果たすべき立場にあるわけでありますから,そういう面では,もう少し積極的な意識を持てるような表現に変えるべきではないかと思います。「援助を求めることができる」というのは,いかにもチーム医療の中では受け身ではないかなを感じました。

 チーム医療推進のための検討会の報告書,及び先ほどの医政局長通知などを参考にして改正をしていただければありがたいと思います。

 最後に,「医療従事者の安全確保のために」について,簡単にお話しをさせていただきたいと思います。18頁に示しましたが,特に抗がん剤についての被曝の問題でありまして,2004年にNIOSH(米国国立雇用者の安全と健康研究所)から警告が出ました。医療環境において,抗がん薬や他の危険な医薬品に医療従事者が被曝しないために,「医療環境において有害薬を扱ったり,近くにいる医療従事者は皮疹,不妊,流産,出産時障害を引き起こすし,白血病や他のがんを引き起こす可能性がある」ということが出ております。これについては,私たち日本病院薬剤師会も,実際にどのくらい汚染したかということを調査いたしました。安全キャビネットを使っても,かなり環境が汚染されるということが出てまいりました。

 例えば下図に,フィルターを使ったところにどのくらい薬剤のガスが漏出するか,特にCyClophosphAmideのような揮発性の抗がん薬を使いますと,吸引することによって気化いたします。その空気がこのようにどんどんリークをしてきますので,それを防ぐ為にPhASeAlというような閉鎖性の器具を使う必要があります。

 それから次の19頁に示したように,操作によって,濃い抗がん薬が飛散することが起こります。このようなことを色素を入れたバイアル,あるいはアンプルの操作をすることで,ポリクリで,医学部の学生にも経験をさせております。しかしながら,実際上はまだ病棟で看護師が,このような普通の開放型でやっていますが,床が極めて汚染することがわかっております。

 このような抗がん薬の取り扱いについては安全キャビネットを使って,トレーニングを受けた薬剤師がやるのが一番いいと思います。この問題点はコアカリキュラムには21ページに「医療における安全性確保」,医療従事者の健康と安全」というところがございます。ここに医療従事者のことが書いてございますけれども,このような抗がん薬の増加,がん治療の増加と複雑なレジメン,外来化学療法の増加,日本は特殊ですけれども,特に一般病院の50%で抗がん薬を取り扱っているというようなことがありますので,抗がん薬などハイリスク薬の取り扱いの基本を医師が熟知している必要があることを,カリキュラムにも明記する必要があるのではないかと考えております。

 時間がありませんので,これまで述べてきたようなことをぜひ入れてほしいということと,薬剤部における参加型のポリクリ,臨床実習をやり,薬に対しても,あるいは無菌混合等も,ここで経験させる。それから,処方せんと疑義照会にどういう関係にあるかというようなことも経験させることが重要であろうと考えます。

 以上です。

【高久座長】  どうもありがとうございました。今の堀内さんのお話,どなたかご質問おありでしょうか。個人的な興味でお伺いしたいのですが,9ページの上のほうをみますと,イレッサの副作用で亡くなる方が最近は非常に減っていますね。これは,日本でもEGFレセプターの異常をなどを調べる様になったから減ったということですか。

【堀内氏】  はい。最近はかなりEGFレセプターの変異を調べて投与するようにはなってきております。

【高久座長】  日本でもなってきている。

【堀内氏】  日本でもそうなってきております。

【高久座長】  それで減ってきたということが考えられるわけですね。

【堀内氏】  はい。それと,最初のころはどの医者でも幅広く使ったというのがありましたが,検討会で方針を決めた以後は専門家ができるだけ使うように,それから1カ月は十分に観察するなど条件がついておりまして,それで大分変わってきたんだと思います。

【高久座長】  そういう意味では,このコアに,分子標的薬剤のことについて触れておく必要がありますね。どうもありがとうございました。

 ほかにどなたか,どうぞ。

【福田委員】  コア・カリキュラムによく目を通していただいて,ほんとうにありがとうございます。大学の先生,医学部の先生よりもよく見ていただいております。実は平成19年度の改訂版を出したとき以降,各大学の周知状況が十分でないということを認識しております。学生も,教員も,医療関係者に周知・配付はしているんですけれども,やはり意識の上できちんとどの程度認識しているか疑問です。

 これは先生にご指摘いただいたような,よく目を通していただいて,私どもが一番重要視していたところを,まさに改訂のご意見をいただきました。これについては,どういう形で趣旨を徹底するかということはかなり大事ですので,文部科学省あるいは厚生労働省にもお願いしたいと思います。それから全体として,特に医療安全あるいはチーム医療に関して,いろいろご意見をいただきました。これをどうやって具体化するかはなかなか難しいことです。しかし,私どもとしては,経験的に,ここに記載されたものは基本的に共用試験で出題していくという方向で考えております。

 そうすることによって,より現実的に学生にメッセージが伝わる,あるいは先生方にも伝わるのではないかと考えておりますので,ぜひ参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

【高久座長】  ほかにどなたか,質問。もしなければ,あと少し時間がありますので,今後の進め方についても少しご意見をお伺いしたいと思うのですが,医学系と歯学系と分かれて,主に専門研究委員会で検討するということになりますか。どうぞ。

【唐沢課長補佐】  冒頭,資料2でご説明申し上げましたけれども,いろいろなご意見があるかと思うのですが,今回の検討に当たりましては,この専門研究委員会の検討の素案となるようなものを来月上旬にも委託先を決めて,ご検討いただこうと思っています。その委託先における検討経過を,9月上旬あたりに一度本会議にご報告いただき,ご意見を伺う予定です。その際,医学,歯学に分けてご意見を伺うということもあり得るかと思いますけれども,そこは皆さんのご意見を聞きながら対応していきたいと思います。

【高久座長】  そういうことですね。ほかにどなたか,どうぞ。

【辻本委員】  きょうのお三方のお話を伺って,コア・カリキュラムにあれもこれも,そしてさらにこれもというような,言ってみればコンテンツをふやしてくれというふうに,それぞれのお立場で一生懸命お話しをなさいました。もちろんとても大事なことだと,伺いながら考えていたんですけれども,このコア・カリキュラム,これまでつくったものの中に,コンテンツとしてはいわばチェック項目ということでは,既に十分出そろっているぐらいではないか。それよりも,いわゆるメソッドのようなところで,今の三方のご意見のようなことをもう少し具体化したものというふうに膨らませていくという方向で考えたいと,この会議に私は参加させていただきたいというふうな思いで座っています。

 基本的な方針,方向ということで,確認をさせていただきたいのですが,もっとコンテンツをふやしましょうという会議と考えるべきなのか。それとも中身というのでしょうか,今おっしゃったようなそうした各医療者からの願い,さらには患者の願い,そういったものを膨らませていくという方向でこの会議が設定されたのか。どちらで理解したらよろしいのか,そこをちょっと私の整理のために教えていただきたいと思います。

【高久座長】  実際問題としては,モデル・カリキュラムはぎりぎりいっぱいでカバーしているものですから,その内容を多くふやすことは難しいだろうと思っています。もちろん新しいテーマが出たときには必要なことは加えなければならないと思うのですが,現在既に基本的なことはほとんど網羅されていると思います。私自身も委員の方々の御質問に十分に御回答できなくて,迷っているところがあります。

 事務局としては,何か考えがありますか。課長さん,どうですか。

【新木医学教育課長】  実際問題,医学部,歯学部の生活は6年間でございます。その中で教えていく。今の6年間に,医学、歯学ともに何か空白のようなものがあれば,いろいろ増やす余地はあると思うのですが,今でもかなり学生生活は忙しいと言われている中でございますので,項目の追加を無制限にできるということはなく,やはりスクラップ・アンド・ビルドと言うと変ですけれども,そういうことも念頭に置いて,もちろんどうしてもつけ加えなければならないことは,つけ加えていただいてということですが,我々としましては,現場の大学にあまり膨大なものを押しつけられるような形になって,教えられないということでは,コア・カリキュラムのコアという言葉が泣いてしまうのかなと思っておりますので,その辺はバランスのあるご議論をいただきながら取捨選択していく必要があるのかと思っております。

【高久座長】  私もそういう方向で行かざるを得ないだろうと思っていますので,ほかにどなたか。どうぞ,北村先生。

【北村委員】  このコア・カリキュラムのつくりですが,何々できるとか,何々を列挙できるという,行動科学に基づいて,後で試験ができることをカリキュラムに挙げられている。そういう構造になっています。ところが,きょう3人の方々にご発表いただいた内容は,そういう評価できることではなくて,むしろ医者あるいは医療人としての根本的な,今はやりの言葉で言えば,プロフェッショナリズム。あるいはこの参考資料で言うと,カリキュラムの前に,「医師として求められる基本的な資質」と書かれたことなんですね。

 実は,これがコア・カリキュラムに入っていないために,高久先生がおっしゃったように,教えるときにこのコア・カリキュラムをガイドにすると,一番根本的なことが抜けてしまって,試験できるようなこと,言ってみれば教育が表層的なことのみ行っているように,個人的には考えています。

 提案は,場合によっては試験できないこと,あるいは試験しにくいことであっても,きょうお三方がおっしゃったような,人間あるいは医療人としての根本を必ず教えると。教えたって効果がわからないじゃないかと言われると困るのですが,経験したんですけれども,教えないという事実は,学生にとってはくだらないことと受け取るんですね。評価,試験に出ないから勉強しない,あるいは表立って医療人とはこうである,医者とはこうであるということを教えないことが,そんなことを覚えている必要がないというふうに取ってしまうんです。我々としては,教えにくいからあまり教えない。試験しやすいことのほうが教えやすいのですが,そういう意味でコアカリは,試験できないことでも,場合によっては書いていいのではないかと思います。

【福田委員】  よろしいですか。

【高久座長】  どうぞ。

【福田委員】  今のテーマはまさにそのとおりで,実際にこれを一番初めにつくったとき,改訂をしたときも,全部試験に出せるものではないと考えております。ただし,非常に大事で確実に理解しなければいけないこと,学ばなければいけないことで,技能試験あるいは選択式の試験でできることだけではないという理解でおります。また、一部は試験問題を作成できない領域もございます。

 それから,辻本委員のご意見,今,新木課長からお話しいただきました量的な問題です。前に高久先生の委員会でこれをつくられたわけですが,やはり情報的に非常に多いですね。ですから,外国の例を見てみますと,もう少しすっきりしています。つい最近,トゥモロードクターが出ました。2009年です。それから,医学領域ではヨーロッパの統合を目指したチューニング・プロジェクトというのができております。ここで,コア・カリキュラムに相当する領域というのは,卒業したときに身につけるべき能力という形,コンピテンシーということで表現されております。これは非常にすっきりしております。

 こういう会議が開催されると,いろいろご要望をいただくことになりますけれども,それを1項目ずつどんどん加えていくということは,マキシマムのカリキュラムになってしまうおそれがあります。ですから,エッセンスをきちんとまとめていくという,新木課長のお話があったように,時代に対応した洗練されたものにしていくのが原則ではないかと考えておりますが,いかがでしょうか。

【高久座長】  北村先生の言われたことは,基本事項には一応全部盛り込まれているのですね。

【福田委員】  そうです。

【高久座長】  試験に出すかどうかはまた別の問題です。この基本事項は極めて重要なことで,必ず教えなければならないはずです。

 ほかにどなたか,どうぞ。

【中原委員】  モデル・コア・カリキュラムと共用試験というのは,当初から一体的にといいますか,連携して行われてきているということでございますけれども,今回の場合は,コアカリのほうを改訂する。それから,共用試験については,現行どおりの実施の仕方でやっていくということで考えてよろしいのでしょうか。

【高久座長】  はい。こコア・カリキュラムが変わったら,共用試験の問題の内容が変わる可能性がありますが,基本的にはコア・カリキュラムに基づいて,共用試験の問題はつくられていますから,変わった後では変わる可能性が高いと思いますが,変わるまでは現在のままとなります。

 ほかにどなたか,どうぞ。

【梶井委員】  自治医大の梶井でございます。私も,かなり項目としては盛り込まれているのではないかと思います。それで,きょうお伺いしましたお三方のお話を聞いて,私も辻本委員と同じ感触を持ちました。つまり,何をどういうふうに伝えるかという部分だと思うんです。項目の列挙はもう十分に,きょうもこうあるべきだということをおっしゃった内容は,文言はともかくとして,かなり盛り込まれている。そして,例えばプロフェッショナリズムをどのように伝えるかというときには,その伝え方だと思うんです。チーム医療にしてもそうです。チーム医療にかかわる人たち,医学部ですと,医師以外の人たち,例えばソーシャルワーカーという存在を知っているかとか,学生は結構知らないんですね。

 ですから,そういうことを講義だけでなくて,何か一同に介してそれを議論するとか。最近はIPE,インター・プロフェッショナル・エデュケーションという,いろいろな職種に携わろうという学生たちが一同に集まって,情報を共有していくとか,あるいはケーススタディーをやっていくとか,そのようなことがありますので,多分,きょうのお話はそういうところにどのように踏み込んでいくかということを,各大学で考えていくことが必要ではないかということの一つのご提案ではないかと思いました。

【高久座長】  どうもありがとうございました。ほかにどなたか,どうぞ。

【前野委員】  医科、歯科の医療を享受する患者の立場から話させていただきます。従来,医学,歯学の教育は独自別個に行われていて,それぞれの分野だけを深掘りして,お互いの領域については、知識も関心も薄かったのではないでしょうか。しかし,長寿社会に伴い、国民の健康に対する関心が高まり、全人的に医療を診るという意味でも,医学、歯学の連携の必要性が指摘されています。特に歯学においては,全身に及ぼす影響という面がクローズアップされておりますし,患者のQOLでも大切になっていると思います。

 今回も医学、歯学、お互いのコア・モデルの検討が別個で行われると,従来のままに引き継がれる危惧があます。今回,少なくとも全人的な,全身を診るという意味で歯学,医学の共有する領域をバックグラウンドに据えるという点を共通の認識にしていただきたいと思います。

【高久座長】  どうもありがとうございました。ほかにどなたか,ご意見あるでしょうか。

 事務局から,これからの予定は特にまだどういうふうにとは決まっていないようですが,今度は9月ごろには集まるわけですか。どうぞ。

【唐沢課長補佐】  先ほど資料2に記載させていただいたのは,1つの案でございまして,本日いただいたご意見を踏まえ,とりあえず9月ぐらいから、もう少し中身の議論をしていこうと思うのですが,回数とか,あるいは開催の仕方というのは,本日のご意見を踏まえて,あるいは先生方のご都合等を踏まえて,また調整させていただきたいと思います。正直,2回ぐらいの検討でおさまるのではないという認識もありますし,内容だけではなくて,手法等まで検討しなければいけないかなと思いますので,それはまた別途事務局でも検討して,各先生ともご相談させていただきたいと思います。

【高久座長】  どうもありがとうございました。よろしいですね。

 それでは,特にご意見がなければ,少し早目ですが,第1回目の委員会を終わらせていただきます。特に勝村さん,井部さん,堀内さん,どうもありがとうございました。

 

 

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