私学共済年金制度の在り方等に関する調査研究協力者会議(第22回) 議事要旨

1.日時

平成22年10月28日(木曜日)14時~16時20分

2.場所

文部科学省 16F2会議室

3.議題

  1. 最近の私学共済制度をめぐる主な動向について
  2. 新年金制度に関する検討について
  3. その他

4.出席者

委員

黒田座長、雨宮委員、石川委員、上野委員、坂本委員、永井委員、中島委員、西村委員、平方委員

文部科学省

河村私学部長、勝野私学行政課長、戸松私学共済室長

オブザーバー

入江理事(日本私立学校振興・共済事業団)
加藤理事(日本私立学校振興・共済事業団)

5.議事要旨

 

(○:委員、●:文部科学省、◎:オブザーバー)

(1) 最近の私学共済制度をめぐる主な動向について事務局から説明が行われ、その後、意見交換が行われた。主な発言は以下のとおり。

○ 資料1の2ページ目で、平成23年度以後の基礎年金拠出金に対する国庫補助の財源をどのように確保するかは決まっていないとあるが、国庫補助割合を2分の1とする法案が通らなかったらどうなるのか。

● 仮に法案が通らなかったり財源が確保できない場合は、国庫補助割合が3分の1+1000分の32に戻ることとなるが、一方で、国民年金法の規定に基づき基礎年金拠出金を納付しなければならないため、国庫補助割合が2分の1の場合と3分の1+1000分の32の場合の差額である約270億円について、積立金を取り崩す等の方法により支払う必要がある。

○ 年金制度の方向性が政権交代の度に変わるのはおかしい。加入者に情報提供をした上で意見を聴き、制度設計をする必要があるのではないか。

● 被用者年金一元化法案が一度も審議されることもなく廃案となり、また、新たな年金制度については、中間まとめの中においても、超党派で国民的な議論を行っていくべきものと言っており、まさに先生の仰るとおりである。また、加入者や学校関係者に対する情報提供等については、私学団体や私学事業団に相談し、進めていきたいと考えている。

○ このようなことについて、私学事業団では広報活動をしているのか。

◎ 必要に応じて、私学事業団の広報誌等で情報提供をしている。年金一元化に関する検討過程の情報については、加入者が混乱しないよう配慮した上で対応している。

○ 私学事業団の広報誌は決まったことしか載せておらず、検討の過程については掲載されていない。

(2) 新年金制度に関する検討について事務局から説明が行われ、その後、意見交換が行われた。主な発言は以下のとおり。

○ 被用者年金一元化法案が提出されて、政府としては年金一元化への姿勢が決まったものの、法案が審議もされずに廃案となった。その後、新しい年金制度の議論となり、新しい制度設計、旧制度から新制度への移行の方法が問題となり、次は消費税等といったお金の話になっている。大きな流れとして、一元化するのは仕方がないが、どんな中身にするかという制度設計は、財源をどうするかが決まらないと次に進めないのが現状という理解で間違いないか。

● 確かに、税や財源をどうするかが最大の問題と考えている。

○ 年金制度の議論は、私学共済の一部だけが捉えられている。私学共済の財政状況は良いと言われており、積立比率によると、今後掛金を取らなくても10年保つというが、他の制度と比べるから良く見えるのであって、そもそも10年分保有するだけでいいのかという議論をしなくてはいけないと思う。

● 現在の年金制度は、少なくとも5年ごとに財政再計算をすることにより、100年保つ制度設計となっているが、そのためには現在の積立金は欠かせない状況である。その財源を踏まえて、賃金上昇率、物価上昇率、運用利回り、さらには加入者数の推移等を考慮し、将来見通しを立てており、このような方法を使っての制度設計は安心できると考えている。なお、積立金については、過去において、厚生年金や国共済(国家公務員共済)を上回る掛金率を設定するなど、加入者や学校法人の協力を得て、適切に掛金を調達し、堅実な運用を行ってきたものであり、余剰金ではないということを説明していきたい。

○ 国共済や地共済(地方公務員共済)が私学共済より財政的に余裕がなくなってきたので、今までは私学共済が国に頼っていたのが、逆に頼られるようになってしまった。

● 国共済や地共済は、私学共済の動きを注視しているようである。もっとも、私学共済は国共済に準じている制度であるので、単独で動いていくのは、何かと難しい状況にある。制度をつくった当時のことを忘れることなく、国共済と連携しながら進めていかなければならないと考えている。

○ 私学共済は、年金と医療が一体となって運営されており、福祉事業も一緒に運営しているので、年金事業がなくなると私学共済自体が成り立たなくなる恐れがある。年金が一元化されても、運営は私学共済でやることにしないと、私学共済としては困る。年金積立金は、学校への貸付資金としても運用しているが、それができなくなると、私学共済の生命線を絶たれることになってしまう。また、私学共済は、給付分掛金とは別個に事務費分掛金を徴収しており、それを考えると、私学共済の掛金は決して低いわけではない。

○ 年金一元化のスケジュールは決まっているのか。

● 税と社会保障の改革を一体的に議論するために、総理を本部長として設置された「政府・与党社会保障改革検討本部」と「新年金制度に関する検討会」とで連携を取っていくことになるのではないか。ただし、検討会における中間まとめの7つの基本原則にもあるとおり、今後、野党と協力しながら議論していくものと考えられる。

○ 人口減少社会、超高齢社会となれば、年金制度が破綻するのは目に見えているので、年金一元化の議論が進むのは予測できる。あとは、税の直間比率をどうするか等の問題であり、憂慮される状況である。

○ 最終的には消費税の話となる。年金が一元化された後に私学共済がどうしていくのか、私学共済をなくしてしまうのか、議論が必要。

○ 文部科学省に頑張ってもらうためには、学校や組織は何をすればいいのか。もっと情報提供をしてもらい、加入者や世間に訴えかける必要がある。全私連のパブコメへの意見のとおりとなれば、一元化を受け入れることもやむを得ないと思うが、年金財政に不安がある中で、積立金を持っているところが出さなければ、世論から批判を受けるのではないか。私学共済制度発足当時に、いかに他制度に差をつけられていて大変だったかとか、年金制度が一元化されれば個人だけでなく学校も困るとか、もっと情報を発信していく必要がある。

○ すべての私学関係者に情報を伝える方法も難しい。私学共済と学校との繋がりをもっと強くしていかなければならないと思う。広報誌を通じて学校に伝えると、現在の動き等も伝わっていくはずである。

○ 中学校や高等学校の場合では、都道府県の中高関係団体を通じて、学校、校長、理事長に伝わっていくという仕組みがある。全私連のパブコメへの意見は、一元化の中で実現すべきものであり、今からでも、加入者や学校に伝えるようにすべき。

● 私学事業団や私学団体と相談しながら、情報発信の方法を検討したい。

○ 税や年金に関しては、数字が沢山あって理解するのが大変であり、普通の人は資料を読む気もしなくなる。だから、積立金が埋蔵金のように受け止められてしまったりする。情報を組織に伝えるのは重要だが、伝える方法を工夫しないと大変だ。分かりやすく短時間で読めるような工夫が必要である。

○ この膨大な内容を一枚に集約できるかどうか。私学共済は積立金を自前で貯めたが、他の制度は税金が入っている。

○ 私学共済は始まりが遅かったので、最初は列の後ろにいたのが、その後、周りの制度がへばってしまい、時間が経てば経つほど、私学共済が光るようになってしまった。

● 私学共済の現状等については、新年金制度に関する検討会の開催の都度、政務三役に伝えている。今後ともしっかりと説明し、十分に理解してもらえるようにしたい。

(3) 来年度の概算要求と最近の私学関係の動向について事務局から説明が行われた。

(4) 議事の終了後、私学共済年金研究会の今後の進め方について、事務局から説明が行われた。

● 各委員の先生方には、検討経緯等について、逐次情報を入れさせていただきたい。また、次回の開催については、政府における新年金制度の検討状況等を踏まえつつ、座長と事務局で相談の上、改めて御案内させていただきたい。

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高等教育局私学部私学行政課私学共済室

(高等教育局私学部私学行政課私学共済室)