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資料2−3

国際的な大学の質保証作業部会   EラーニングWG

Eラーニングをめぐる国際情勢
〜教育提供形態の多様化の促進〜

   eラーニングは、物理的な移動をともなう教育の提供と比較して、また、従来の遠隔教育配信手段と比較しても、はるかに容易に国境を越えるという特性をもつため、下記に記したような新たな事態が生じている。その1つが、これまでの高等教育の世界では周辺的な位置づけしか占めていなかった、あるいは、高等教育との関わりが薄かった営利企業等の機関が、アメリカを中心としてeラーニングの新たな担い手として登場し、それらが国際展開の主流になろうとしていることである。その国際展開は、高等教育の需要と供給に対応し、欧米から発展途上国へという一定の流れがある。
   それに対し、eラーニングの質保証を国際的に実施しようとする新たな機関も生まれているが、その活動の実態は不透明な部分があるものが多く、今後の実効可能性に関しても楽観はできない。また、国際機関の取り組みは、遅れている。
   日本は、今後、先進国の一員として欧米同様、提供側になる可能性があると同時にアジアの一員として発展途上国等における教育の質の確保等にも目配りをする必要がある。


<eラーニング:高等教育の新たな担い手の登場:アメリカを中心として>
1.    営利大学
 
フェニックス大学、デブライ大学などの伝統的営利大学と、ジョンズ・インターナショナル大学、カペラ大学など90年代に設立された新規営利大学。
全米高等教育機関の18.9%、971機関がプログラム提供、804機関が学位授与(2000)。

2.    コーポレート大学
 
コースの一般への販売   (eg.   各種のIT資格)
大学との提携   (eg.   MSXインターナショナルと中央ミシガン大学)
大学設立    (eg.    アーサー・D・リトル経営大学院、ニューイングランド地域アクレディテーション(CHEA加盟)を受けている)

3.    メディア企業
 
eラーニング・コース制作   (eg.   トムソン、ピアソン)
既存の大学の買収   (eg.   シルバン・インターナショナル大学)

4.    コンソーシアム
 
連携から学位発行体へ   (eg.   ウエスタン・ガバナーズ大学、Universitas 21)


<国際展開するeラーニング>

1.    プロバイダーとして
 
   カーディアン大学
   UNext社によって設立。カーネギー・メロン、コロンビア、スタンフォード、シカゴ、LSEのMBAコースを購入、eラーニング・コースとして企業向けに販売。ロイヤル・ダッチ・シェルが45カ国、81,000人の従業員に提供することを決定。国際展開を目指してトムソンと提携。DETCのアクレディテーションを受けている。

   Global University Alliance{http://www.gua.com
   英、米、豪、NZの6大学のコンソーシアム。NextEdとの提携による義務後教育→修士、アジアに教育センターを設置。組織体としてのアクレディテーションはうけていない。

   Univrsitas 21 Global {http://www.universitas21.com/}
   10カ国17大学のコンソーシアム、アジアの有名研究大学が参加していることが特徴。トムソンと提携してU21GlobalをUnivrsitas21の傘下に設立してMBAコースを提供。Universitas21の傘下にU21 Pedagogicaという部門を置き、アクレディテーション機能をもたせている。

   UK eUniversities Worldwide {http://www.ukeu.com/aboutus.shtml}
   英政府によって2001年に設立された営利機関、サンマイクロソフト社がハードやLMSに関して提携。富士通がサポートに関して提携。イギリスの大学のコースをeラーニングとして世界に配信。


2.    新種のアクレディテーション団体
 
   AAOPi (Association of Accredited Online Program International) {http://www.aaopi.org/index.htm}
   アクレディテーションを受けている機関のオンライン・プログラムのアクレディテーションを行う。2003年に設立、本部はニューハンプシャー。メンバーは8校。

   GATE (Global Alliance for Transnational Education) {http://www.edugate.org/}
   ジョンズ・インターナショナル大学が出資しているeラーニングのアクレディテーションを行う団体。これまで3機関にアクレディテーションを付与。

   U21Pedagogica
   Universitas 21 Globalのためのアクレディテーション機関

   SEEL (Supporting Excellence in E-learning) {http://www.seelnet.org/seel/default.htm}
   ヨーロッパの17機関のコンソーシアム。2003年2月に設立〜2004年7月までの時限プロジェクト。eラーニングに関するリソース・センターのネットワークの構築やE-Quality award の創設を目指す。2003年5月に会議を開催している。

   eLearn Accredit Project {http://www.mylara.com/elearn/index.cfm}
   2002年に開始された、eラーニングの国際的な質の基準を開発するためのプロジェクト。the Open and Distance Learning Quality、the Distance Education and Training Council、the European Association for Distance Learningをはじめとする機関のバックアップを受けている。SEELと共同で会議開催を行っている。


3.    国際機関の対処
 
   ICDE(International Council for Open and Distance Education) {http://www.icde.org/
   ICDE Standards Agencyを設立してeラーニングにおける学生へのサービスをチェック、提供される学習内容や水準はチェックしない。




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