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資料1






薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(第15回)議事要旨(案)



1. 日   時:平成15年10月21日(火)10:00〜12:30

2. 場   所:虎ノ門パストラル「ミント」

3.
出席者: 末松座長、佐藤副座長、秋尾、市川、乾、北澤、桐野、児玉、全田、高柳、寺田、富田、福田、望月、矢内原、吉岡の各協力者
文部科学省:小松課長、北山課長補佐、加藤(健)課長補佐ほか関係官

4. 議   事
(1)    事務局より中央教育審議会大学分科会におけるワーキング・グループの設置についての報告と今後の検討スケジュールについて説明があった。

(2)    これまでの議論を踏まえた総括的な議論として、年限延長に伴う修得単位数の増加、4年制学部卒業者の進路の問題、6年制学部と4年制学部のカリキュラムの違いについて議論が行われた。発言の概要は以下のとおり。(○:委員、△:文部科学省)

   卒業研究で+20単位、実務実習で+20単位、医療薬学で+20単位、薬事法規等で+10単位、トータルで約70単位程度の増が必要。従って、修業年限を2年間延長する必要がある。

   医療薬学の単位を増加させないと薬剤師としてのレベルアップにならない。カリキュラムの「詰め込み」の度合いは私立大学のほうが強い傾向にあり、科目をバランスよく配置すべき。現在は4年次目で各大学の特色を出そうとしているため、3年次までのカリキュラムが詰め込み過ぎとなっている。

   一般的に教養教育の講義は学生の出席率が非常に低い。薬学においても教養教育は非常に重要だと考えるが、実態はどうか。また講義と実習をどのように組み合わせているのか。
   教養教育の出席率について、講座数も多く学生の選択が自由にできる総合大学と単科大学では異なってくることも考えられるが、自分の大学においては専門教育との差はない。講義と演習についても、科目によって組み合わせは異なる。

   4年制学部は基本的に教養教育、基礎薬学を修得し、卒業、他方、6年制学部はさらに専門薬学の医療薬学、創薬科学、衛生薬学を修得する、という整理が可能と考えられる。

   現状の卒業研究は第4年次の1年間に集中して行っているのではく、飛び石で行っている、という実態もある。今後6年間の教育となった場合には、4〜5年次においてしっかり卒業研究をやることが可能となる。

   6年制になった場合においても、教養教育については現状と同じボリュームという意見があったが、豊かな人間性を備え、コミュニケーション能力のあるより良い薬剤師を養成するためには、教養教育の在り方も重要である。単に専門教育を増やすから修業年限も2年間延長するという説明であれば、単なる水増しだと言われる可能性もある。

   教養教育についても現状とは少し変わってくるだろう。文学や経済などは消えてしまうこともありうる。また患者コミュニケーション学などは、医療薬学といった専門科目に入ってくることもある。

   教養科目については、量的にも質的にも増加してくると考える。

   薬剤師にはコミュニケーション能力も重要であるが、患者個人を理解できるバックグラウンドとしての文学の知識や語学のような国際性も必要である。

   教養教育は広い人間性を養う、勉強のきっかけを与えるものである。国立大学は私立大学に比して2倍近くの教養教育を行っているが、実績はどうか。
   東大の場合、教養学部において2年間学ぶ場合には、他学部からの教官の支援や授業は少ない。しかし専門科目である薬学との連携をとっている。

   教養教育は重要である。そして継続して教えていくことも重要。そのためには時間をかけ、適切な配置で実施することが必要である。

   公には単位で換算しないと制度上説明はできない。また、大学の先生はカリキュラムを構成する際に、詰め込みすぎになることがあるので、学生のことをもっと考慮して作るべきである。

   科目の整理・統合・系統化をする必要がある。

   膨大な勉強をしても、知識としては残らず、単に、資格取得を目指すという学生もいる。資格だけを取得させ、実力の伴わない人間を養成する大学教育にならないようにしなければならない。

   修業年限を延長するにあたって、単に単位を足し算するだけではなく、引き算も必要であり、最低限の内容をより深く理解させる6年間であるという説明は、国民に理解しやすい。

   医学においても、科目間で横のつながりを理解していない教員がいる。薬学においても教員のFDは重要である。

   リベラルアーツの部分は重要であるが、単科大学は人的・制度的に制約があり、総合大学とは同じようにはできないという問題がある。

   現在入試制度が多様化しており、高校で学習してきた内容が違うなど、入学してきた学生にばらつきがある。それをふまえると、教養教育の充実も重要だが、あわせて専門基礎教育も重要となってくる。

   4年制学部卒業生の進路について、製薬企業のMR、サプリメントや健康食品などの機能性食品の研究者、化学製品関連会社、また、自動車の排ガス研究者、バイオテクノロジー関連会社、またそれに投資する金融会社、生命科学について社会に説明する科学ジャーナリストなどが考えられる。このような職域に薬学の教育を受けた人が進めば、世間のためにもなる。6年制学部に一本化すると、食品会社等への進路を4年制学部の理学部、農学部の卒業生に任せることになることが想定される。そのような就職市場を薬学部が放棄することになる。

   4年制学部は衛生環境、創薬研究、製薬企業のMRに、6年制学部は薬剤師にという進路が考えられる。

   創薬研究を特化するという方向が日本の将来のためではないかと考える。創薬は4年制学部のあとの大学院で実施し、教員も集中させる。広く何でも教え、教員を分散して配置すると創薬研究のできる科学者を輩出するには遠回りであり、非効率的である。

   6年制学部の目的は薬剤師受験資格取得のみではない。6年間の薬学を修めた者が結果として受験資格を得るということ。実務家としての薬剤師だけを育てるのではなく、サイエンティストとしての薬剤師を養成するための6年間でもある。4年制学部においては、医療薬学・創薬科学・衛生薬学の3本柱の基礎に属する部分を修める必要があることについては、コンセンサスが得られている。

   基礎薬学とコアカリキュラムとの関係はどのように理解すればよいか。
   その点については、議論を詰めないといけないところ。薬学教育6年制を見据えて薬学教育のコアカリキュラムを、いつ、どの程度実施するのかという整理をしなければならない。その際、4年制学部についても何をどこまで教えるのか、という点につき整理を行うことが必要。

   コアカリキュラムと共用試験との関係について、6年制学部と4年制学部の双方に共通して実施するのか、また違う学部・学科であるため共通性を持たせず、将来薬剤師資格を取りたい者が、共用試験を受けることになるのか。
→△    共用試験については、国が設けた制度ではなく、大学間の合意に基づき臨床実習に出る前の学生が必要十分な能力を備えているかどうかを判断する為に、医学と歯学の分野で始められた。それと全く同じものになるのか、それとも少し違う性格であるのか、という点についての検討が必要であり、その際医学、歯学の臨床実習と、薬学の実務実習の性格の違いも考慮に入れなければならない。また、医学・歯学の分野でもまだ今はトライアルの段階であることから、共用試験をどのように作っていくのか等をお決め頂くのはもう少し後の段階になる。

(3)    市川委員より、実務実習モデル・コアカリキュラム及び方略の策定に関し、作業の状況について報告があった。

(4)    望月委員より、国公私立薬系大学(学部)学長・学部長・研究科長合同会議における議論の内容について報告があった。

(5)    閉会





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